JP2004124024A - 活性エネルギー線硬化性組成物及び容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定性に優れるため長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ1段階の塗装で完了する活性エネルギー線硬化性組成物、及び、上記活性エネルギー線硬化性組成物からなる塗膜を有する容器を提供する。
【解決手段】カップリング剤、活性エネルギー線硬化性化合物、及び、炭素数1〜6の水酸基含有化合物からなり、酸価が0.01〜50である活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】カップリング剤、活性エネルギー線硬化性化合物、及び、炭素数1〜6の水酸基含有化合物からなり、酸価が0.01〜50である活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物及び容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料、食品、薬品、化粧品等を充填、包装するためにガラス、樹脂、アルミ蒸着された基材等の素材からなる容器が汎用されている。このような容器に塗膜を形成するための塗料組成物として、活性エネルギー線硬化性化合物からなる塗料組成物が知られている。
【0003】
このような活性エネルギー線硬化性化合物からなる塗料組成物においては、被塗物と塗膜との密着性を高めるために、カップリング剤を配合することが一般的に行われている。しかし、活性エネルギー線硬化性化合物及びカップリング剤を含有する組成物は、保存安定性が悪いという問題を有する。このため、このような組成物を長期間保存したり、同一の浴で連続的に塗装を施したりすると、次第に組成物の物性が低下し、塗膜の強度、密着性、耐アルカリ性等が低い塗膜になるという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決する方法としては、被塗物をシランカップリング剤で処理した後、重合性不飽和結合を有する反応性組成物を塗装する方法(例えば、特許文献1参照)や、カップリング剤と活性エネルギー線硬化性化合物と水を含有してなる活性エネルギー線硬化性組成物であって、酸価が0.01〜100である活性エネルギー硬化性組成物を塗布する方法(例えば、特許文献2参照)等が検討されている。しかしながら、特許文献1の方法では二段階の塗装工程を必要とするため作業性の問題があり、特許文献2の方法では保存安定性の改善が充分ではなく、更に長期間の保存安定性を有する組成物が必要とされている。また、水の配合を必須とするため、組成物において使用することができる溶媒が限定されるという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−201047号公報
【特許文献2】
特開平3−292312号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安定性に優れるため長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階の塗装で完了する活性エネルギー線硬化性組成物、及び、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を有する容器を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カップリング剤、活性エネルギー線硬化性化合物、及び、炭素数1〜6の水酸基含有化合物からなり、酸価が0.01〜50であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物である。
上記カップリング剤は、シランカップリング剤であることが好ましい。
上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物は、メタノールであることが好ましい。
上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物は、1〜80質量%含まれていることが好ましい。
【0007】
本発明は、表面に塗膜が形成されてなる容器であって、上記塗膜は、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成されたものであることを特徴とする容器でもある。
上記容器は、ガラス瓶であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、安定性に優れるため長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階で塗装を完了することができる活性エネルギー線硬化性組成物である。上記活性エネルギー線硬化性組成物の諸性能が長期間維持されない原因は、カップリング剤が組成物中で不安定で劣化しやすいためと考えられている。本発明においては、上記カップリング剤の安定性を向上させることによって、組成物の安定性が向上しているものと推測される。
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、カップリング剤を含有する。本発明で用いるカップリング剤としては特に限定されず、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等を挙げることができる。なかでも基材の密着性を高める効果の点から、シランカップリング剤が好ましい。
【0010】
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、及び、これらの加水分解物等を挙げることができる。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びこれらの加水分解物が好ましい。上記カップリング剤は、二以上を同時に使用するものであってもよい。
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物におけるカップリング剤の含有量は、下限0.1質量%、上限10質量%の範囲内であることが好ましい。上記カップリング剤の含有量が0.1質量%未満であると、得られる塗膜の密着性が充分でないおそれがある。上記カップリング剤の含有量が10質量%を超えると、得られる塗膜の密着性はそれ以上向上せず、経済的に不利である。上記下限は、0.2質量%がより好ましく、0.5質量%が更に好ましい。上記上限は、8質量%がより好ましく、5質量%が更に好ましい。
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、炭素数1〜6の水酸基含有化合物を含有してなる。上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、3−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン等を挙げることができる。なかでもメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール等の炭素数1〜3のモノアルコールが好ましく、メタノールがより好ましい。
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物の働きは、カップリング剤を安定化させることであると推測される。シランカップリング剤の場合を例にとると、シランカップリング剤による塗膜の密着性改善効果は、シランカップリング剤が下記一般式(1):
【0014】
【化1】
【0015】
で表される反応によって加水分解し、生成したシラノール基が基材表面の吸着水、金属−OH基等と脱水縮合してシロキサン結合を形成することによって発現すると一般的に考えられている。上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物は、シラノール基と水素結合を形成する。このため、シランカップリング剤が溶液中で安定化し、脱水縮合反応を抑制することによって、組成物の安定性が向上すると考えられる。その他のカップリング剤においても同様の水素結合によって、溶液中での安定化がなされているものと考えられる。また、これらの化合物は、水に比べて上記カップリング剤との相溶性が高いため、カップリング剤との水素結合が生じやすい。このため、水よりも優れた安定化の効果を生じるものと推測される。
【0016】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物の含有量は、上記活性エネルギー線硬化性組成物に対して下限1質量%、上限80質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が1質量%未満であると、充分なシラノール基の安定化効果が得られない。上記含有量が80質量%を超えると、安定化効果はそれ以上増大されず、更に塗装作業性が悪化する等の問題が生じて好ましくない。上記下限は、1.5質量%がより好ましく、2質量%が更に好ましい。上記上限は、60質量%がより好ましく、50質量%が更に好ましい。
【0017】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物としては、活性エネルギー線で硬化するものであれば特に限定されず、例えば、ラジカル重合型紫外線硬化性化合物、カチオン重合型紫外線硬化性化合物、及び、これらを併用した併用型紫外線硬化性化合物等を挙げることができる。
【0018】
上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物としては特に限定されず、例えば、分子内に1個以上の(メタ)アクリレート基、(メタ)アリル基等のラジカル重合性反応基を有するもの等を挙げることができる。このような化合物としては、例えば、(不)飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を(メタ)アクリル酸等の酸含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマーで変性したもの、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基含有アクリルモノマーとヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等のイソシアネートモノマーで変性した数平均分子量300〜5000の変性ポリエステル樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ウレタン樹脂、変性アクリル樹脂等の1種以上の混合物等を挙げることができる。必要に応じて、これにエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのモノマー類を配合したものであってもよい。
【0019】
上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物の紫外線硬化性を高めるために、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルシクロヘキサノール等の公知の光ラジカル重合開始剤の1種以上を、組成物中の樹脂固形分100に対し1〜10%併用してもよい。
【0020】
上記カチオン重合型紫外線硬化性化合物としては、分子内に1個以上のエポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、ビニル基等のカチオン重合性反応基を有するもの等を挙げることができる。例えば、エポキシ樹脂、エポキシ化ポリジエン樹脂等を挙げることができる。
【0021】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA,B,F、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリオールと(メチル)エピハロヒドリンを反応させて得られた芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族/脂肪族エポキシ樹脂,これにアジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多塩基酸を付加してエポキシ基を残した数平均分子量2000以上のもの等を挙げることができる。
【0022】
上記エポキシ化ポリジエン樹脂としては、例えば、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマーの単独又は2種以上とスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸等のビニルモノマーの単独又は2種以上の共重合体を過酢酸等でエポキシ化したもの、エポキシ化大豆油等が挙げられる。
【0023】
上記カチオン重合型紫外線硬化性化合物の紫外線硬化性を高めるために、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート等の公知の光カチオン重合開始剤の1種以上を組成物中の樹脂固形分100に対し1〜10%併用してもよい。
【0024】
上記併用型紫外線硬化性化合物としては特に限定されず、例えば、上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物と上記カチオン重合型紫外線硬化性化合物をブレンドしたもの、分子内に1個以上の(メタ)アクリレート基、(メタ)アリル基等のラジカル重合性反応基と1個以上のエポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、ビニル基等のカチオン重合性反応基を共に有するもの等を挙げることができる。上記併用型紫外線硬化性化合物の紫外線硬化性を高めるために、上記光ラジカル重合開始剤の一種以上、及び、上記光カチオン重合開始剤の一種以上を組成物中の樹脂固形分100に対し、それぞれ1〜10%併用してもよい。上記併用型紫外線硬化性化合物としてブレンドする上記ラジカル重合性紫外線硬化性化合物としては、分子内に窒素原子を含むものは硬化性を低下させるので使わないことが望ましい。
【0025】
上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物は、必要に応じて硬化性を低下させない範囲でヒンダードアミン系光安定剤を併用することもできる。ヒンダードアミン系光安定剤は樹脂固形分100に対し、3%以内の添加量にすることが望ましい。上記カチオン重合型紫外線硬化性組成物、及び、併用型紫外線硬化性組成物には、硬化性を低下させるので上記ヒンダードアミン系光安定剤は併用しないことが望ましい。
【0026】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、例えば、スミソープ577(住友化学社製)、チヌビン622LD、チヌビン144、チヌビン111FDL、チヌビン123、チヌビン292(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−63、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87(旭電化社製)、グッドライトUV−3034(グッドリッチ社製)等の商品名のものを挙げることができる。
【0027】
本発明の活性エネルギー硬化性組成物の酸価は、下限0.01、上限50の範囲内である。ここでいう酸価とは、活性エネルギー硬化性組成物の塗膜形成成分1グラム中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数である。上記活性エネルギー硬化性組成物の酸価が0.01未満であると、基材に対する密着性が不充分となり好ましくない。上記活性エネルギー硬化性組成物の酸価が50を超えると、塗膜の耐アルカリ性及び耐水性が低下する場合がある。上記下限は、0.03が好ましく、0.5がより好ましい。上記上限は40が好ましく、35がより好ましい。
【0028】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に酸価を付与する方法としては、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物に酸基を付与する方法、又は、酸基を有する非活性エネルギー線硬化性化合物を添加する方法等を挙げることができる。なかでも、密着性向上効果が大きいことから、酸基を有する非活性エネルギー線硬化性組成物を添加する方法が好ましい。
【0029】
上記酸基を有する非活性エネルギー線硬化性化合物としては特に限定されず、例えば、酢酸、酪酸等の脂肪酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類、メチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類等を挙げることができる。
【0030】
更に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて紫外線吸収剤、塗装作業性を改善するための消泡剤、レベリング剤、意匠性を向上するための着色剤、体質顔料、金属粉末、艶消剤、潤滑剤等を配合しても良い。
【0031】
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
上記カチオン重合型紫外線硬化性組成物、及び、併用型紫外線硬化性組成物には、硬化性を低下させるので上記ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系及びトリアジン系の紫外線吸収剤は使わないことが望ましい。
【0032】
サリチル酸系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。
【0033】
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等を挙げることができる。
【0034】
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−〔3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、オクチル−〔3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5’−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1’,1’,3’,3’−テトラメチルブチル)−6−(1’’−メチル−1’’−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール等を挙げることができる。
【0035】
シアノアクリレート系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。
【0036】
トリアジン系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−〔4’−[2’’−ヒドロキシ−3’’−ドデシルオキシプロピル]オキシ〕−2’−ヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2’’’,4’’’−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2’,4’−ジメチルフェニル)−6−(2’’−ヒドロキシ−4’’−イソオクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
また、紫外線硬化性化合物を配合する場合は、硬化反応を効率よく行うため、紫外線吸収剤は樹脂固形分100に対し3%以内の添加量にすることが望ましい。
【0037】
上記着色剤としては特に限定されず、例えば、酸化チタン、硫酸鉛、黄鉛、弁柄、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、フタロシアニン系、塩基性染料系、酸性染料系、建染染料系、媒染染料系の有機顔料、染料、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の体質顔料等を挙げることができる。上記着色剤は、一種類のみを使用するものであっても、二以上の成分を併用して使用するものであってもよい。着色剤は、通常、高い紫外線吸収能を有するため、硬化性を阻害しない範囲で配合することが好ましい。
【0038】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、塗装性を改善するために、有機溶剤、シリコン系、フッ素系、アクリル樹脂系等の添加剤を含有したものであってもよい。
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、n−ヘキサン、トルエン、1−フロロ−1−ジクロロ−2−ジフロロ−2−クロロエタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、キシレン等の水に混和しない溶媒も使用することができる。なかでもシランカップリング剤との相溶性が良好なことからトルエン、メチルエチルケトン及び酢酸エチルが好ましい。
【0039】
また、本発明のエネルギー線硬化性組成物は、実質的に水を含まないものであってもよい。「実質的に含まない」とは、意図的に水を配合する場合を含まないとするものであって、上記エネルギー線硬化性組成物の原料中に混在する水が存在する場合を含む。水の含有量としては、上記エネルギー線硬化性組成物の物性に影響を与えない範囲であれば特に限定されないが、上記エネルギー線硬化性組成物中0.5質量%未満が好ましい。
上記活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法によって製造することができる。
【0040】
本発明は、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を表面に有することを特徴とする容器でもある。上記容器は、上記活性エネルギー線硬化性組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後適切な活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることによって得ることができる。
【0041】
上記容器は、ガラス瓶、樹脂フィルム、樹脂成形物等からなる容器であることが好ましい。上記樹脂フィルムとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリスチレン系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系、ポリカーボネート系、セルロース系等を成形してなる単層のフィルム及びこれらの1種以上を積層してなる複層フィルム等を挙げることができる。また、上記樹脂フィルムは、蒸着等の方法で形成された無機層を有するものであってもよい。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、カップリング剤が安定化されているため、上記無機層上に対しても良好な塗膜を形成することができる。上記樹脂成形体としては、上述した樹脂フィルムで使用することができる樹脂の成形体等を挙げることができる。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によって形成された塗膜を有する容器は、密着性及び耐衝撃性が向上するので、内填物を安全に保存することができる。上記容器がガラス瓶である場合には、熱硬化性樹脂による塗膜形成を行った場合に比べて、エネルギー効率の点から有利であり、また、耐アルカリ性においても優れているため好ましい。
【0042】
上記活性エネルギー線硬化性組成物の塗布方法としては特に限定されず、例えば、スプレー、ロールコート、カーテンフローコート、刷毛塗り、浸漬等の公知の方法で行うことができる。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を硬化する為に使用する活性エネルギー線としては特に限定されず、例えば、紫外線、電子線、放射線(β線、γ線)等を挙げることができる。また、活性エネルギー線のエネルギー源としては特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極放電ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の紫外線ランプ類、走査型、非走査型の電子線照射装置等を挙げることができる。
【0044】
上記塗膜を硬化させる活性エネルギー線の照射量としては、紫外線の場合は下限100mJ/cm2、上限10000mJ/cm2が好ましく、電子線の場合は、下限1Mrad、上限50Mradが好ましい。上記塗膜は、塗装後に50〜200℃の温風で1秒〜10分間程度乾燥させて溶媒を蒸発させた後に、活性エネルギー線を照射し、硬化させることが好ましい。
【0045】
上記塗膜は、乾燥膜厚が下限1μm、上限200μmの範囲内であることが好ましい。上記乾燥膜厚が1μm未満であると、得られる容器に充分な耐水性及び耐アルカリ性を付与できないおそれがある。また、上記乾燥膜厚が200μmを超えると、耐水性及び耐アルカリ性はそれ以上向上せず経済的に不利である。上記下限は、3μmがより好ましく、5μmが更に好ましい。上記上限は、100μmがより好ましく、50μmが更に好ましい。
【0046】
本発明活性エネルギー硬化性組成物を塗布する前に、基材を脱脂、化成処理、フレーム処理、火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、シランカップリング剤塗布処理等をすることもできる。これらの処理は、通常の方法によって行うことができる。このような前処理を施すことによって、被塗物と塗膜との密着性を更に向上させることができる。
【0047】
本発明により、含有するシランカップリング剤を安定化することによって、長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階の塗装で完了する活性エネルギー線硬化性組成物、及び、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を有する容器を得ることができる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部又は%はそれぞれ質量部、質量%を意味する。
【0049】
製造例1 ウレタンアクリレート樹脂溶液の製造
攪拌機付き4口フラスコに酢酸エチル610部、アロニックスM−305(東亜合成社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート)1200部、ハイドロキノン0.8部、及び、ジブチル錫ジラウレート0.8部を仕込み、攪拌しながら40℃以下でイソホロンジイソシアネート222部を1時間かけて滴下した。その後70℃まで加熱して2時間攪拌を継続した後、赤外分光光度計で2220
cm−1のイソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認して、数平均分子量600、固形分70%のウレタンアクリレート樹脂溶液を得た。
【0050】
製造例2 加水分解シランカップリング剤溶液の製造
ステンレス容器に水10部、酢酸0.01部、メタノール10部を仕込み、ディスパーで攪拌し、25℃に保ちながらγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部を滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌を継続した。次に生成した反応液をメタノール10部に溶解し、固形分25%の加水分解シランカップリング剤溶液を得た。
【0051】
実施例1〜7
ライトアクリレートTMP−3EO−A(共栄社化学製、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリアクリレート)、及び、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学製、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート)を用いて、表1に示すようなラジカル重合型紫外線硬化性組成物を調製した。
【0052】
紫外線遮断ポリ容器に、得られたラジカル重合型紫外線硬化性組成物を入れ、25℃で保管した。保管後当日〜20日目までの上記ラジカル重合型紫外線硬化性組成物を1mm厚の脱脂したソーダガラス板にスプレーで塗布した。次に80℃の温風で3分間乾燥させた後、集光型高圧水銀灯HL−60NL(日本電池製、120W/cm)を10m/分の速度で通過させて塗膜を形成し、試験板を作成した。この時照射した紫外線量は1600mJ/cm2であり、各試験板に形成された塗膜の乾燥膜厚は約10μmであった。得られた試験板を用いて、下記の評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0053】
評価試験
〈密着性〉
塗膜に鋭利なカッターで1mm間隔の碁盤目を100個作成し、粘着テープを貼布した後剥離した。塗膜の残存面積を測定して評価した。
〇:残存面積80%以上
△:残存面積20〜80%
×:残存面積20%未満
【0054】
〈鉛筆硬度〉
三菱ユニ鉛筆を約45度の角度で塗膜に当てて表面を引っかく。塗膜が破れない最高の鉛筆の濃度記号を鉛筆硬度とした。
【0055】
〈耐アルカリ性〉
塗膜にカッターで長さ40mmのクロスカットを入れ、80℃の苛性ソーダ3%水溶液に試験板を5時間浸漬した。引き上げ直後のクロスカット部の剥離状態を観察して評価した。
〇:剥離無し
△:若干の剥離あり
×:かなりの剥離あり
【0056】
実施例8
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、アロニックスM−305を用いて、表1に示すような併用型紫外線硬化性組成物を調製した。次に、実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0057】
実施例9
集光型高圧水銀灯HL−60NLに代えて、走査型電子線照射装置(岩崎電機社製)を用いて電子線を10Mrad照射し、得られたラジカル重合型紫外線硬化性組成物を硬化させた以外は、実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0058】
実施例10
得られたラジカル重合型紫外線硬化性組成物をロールコーターを用いて塗布したこと以外は、実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0059】
比較例1〜3
表2に示すようなラジカル重合型紫外線硬化性組成物を調製した後、ロールコーターを用いて塗布したこと以外は実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0060】
比較例4
メタノールに代えて脱イオン水を使用し、ロールコーターを用いて塗布したこと以外は実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
表3から明らかなように、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜は、長期間保存後でも良好な密着性、強度、及び、耐アルカリ性を発揮することが示された。一方、炭素数1〜6の水酸基含有化合物に代えて水を配合した比較例4のラジカル重合型紫外線硬化性組成物から得られる塗膜は、保存2日後から鉛筆強度及び耐アルカリ性の低下、更に4日後から密着性の低下がみられ、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の方が安定性に優れることが示された。
【0065】
【発明の効果】
本発明により、安定性に優れるため長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階の塗装で完了する活性エネルギー線硬化性組成物、及び、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を有する容器を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物及び容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料、食品、薬品、化粧品等を充填、包装するためにガラス、樹脂、アルミ蒸着された基材等の素材からなる容器が汎用されている。このような容器に塗膜を形成するための塗料組成物として、活性エネルギー線硬化性化合物からなる塗料組成物が知られている。
【0003】
このような活性エネルギー線硬化性化合物からなる塗料組成物においては、被塗物と塗膜との密着性を高めるために、カップリング剤を配合することが一般的に行われている。しかし、活性エネルギー線硬化性化合物及びカップリング剤を含有する組成物は、保存安定性が悪いという問題を有する。このため、このような組成物を長期間保存したり、同一の浴で連続的に塗装を施したりすると、次第に組成物の物性が低下し、塗膜の強度、密着性、耐アルカリ性等が低い塗膜になるという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決する方法としては、被塗物をシランカップリング剤で処理した後、重合性不飽和結合を有する反応性組成物を塗装する方法(例えば、特許文献1参照)や、カップリング剤と活性エネルギー線硬化性化合物と水を含有してなる活性エネルギー線硬化性組成物であって、酸価が0.01〜100である活性エネルギー硬化性組成物を塗布する方法(例えば、特許文献2参照)等が検討されている。しかしながら、特許文献1の方法では二段階の塗装工程を必要とするため作業性の問題があり、特許文献2の方法では保存安定性の改善が充分ではなく、更に長期間の保存安定性を有する組成物が必要とされている。また、水の配合を必須とするため、組成物において使用することができる溶媒が限定されるという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−201047号公報
【特許文献2】
特開平3−292312号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安定性に優れるため長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階の塗装で完了する活性エネルギー線硬化性組成物、及び、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を有する容器を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カップリング剤、活性エネルギー線硬化性化合物、及び、炭素数1〜6の水酸基含有化合物からなり、酸価が0.01〜50であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物である。
上記カップリング剤は、シランカップリング剤であることが好ましい。
上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物は、メタノールであることが好ましい。
上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物は、1〜80質量%含まれていることが好ましい。
【0007】
本発明は、表面に塗膜が形成されてなる容器であって、上記塗膜は、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成されたものであることを特徴とする容器でもある。
上記容器は、ガラス瓶であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、安定性に優れるため長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階で塗装を完了することができる活性エネルギー線硬化性組成物である。上記活性エネルギー線硬化性組成物の諸性能が長期間維持されない原因は、カップリング剤が組成物中で不安定で劣化しやすいためと考えられている。本発明においては、上記カップリング剤の安定性を向上させることによって、組成物の安定性が向上しているものと推測される。
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、カップリング剤を含有する。本発明で用いるカップリング剤としては特に限定されず、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等を挙げることができる。なかでも基材の密着性を高める効果の点から、シランカップリング剤が好ましい。
【0010】
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、及び、これらの加水分解物等を挙げることができる。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びこれらの加水分解物が好ましい。上記カップリング剤は、二以上を同時に使用するものであってもよい。
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物におけるカップリング剤の含有量は、下限0.1質量%、上限10質量%の範囲内であることが好ましい。上記カップリング剤の含有量が0.1質量%未満であると、得られる塗膜の密着性が充分でないおそれがある。上記カップリング剤の含有量が10質量%を超えると、得られる塗膜の密着性はそれ以上向上せず、経済的に不利である。上記下限は、0.2質量%がより好ましく、0.5質量%が更に好ましい。上記上限は、8質量%がより好ましく、5質量%が更に好ましい。
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、炭素数1〜6の水酸基含有化合物を含有してなる。上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、3−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン等を挙げることができる。なかでもメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール等の炭素数1〜3のモノアルコールが好ましく、メタノールがより好ましい。
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物の働きは、カップリング剤を安定化させることであると推測される。シランカップリング剤の場合を例にとると、シランカップリング剤による塗膜の密着性改善効果は、シランカップリング剤が下記一般式(1):
【0014】
【化1】
【0015】
で表される反応によって加水分解し、生成したシラノール基が基材表面の吸着水、金属−OH基等と脱水縮合してシロキサン結合を形成することによって発現すると一般的に考えられている。上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物は、シラノール基と水素結合を形成する。このため、シランカップリング剤が溶液中で安定化し、脱水縮合反応を抑制することによって、組成物の安定性が向上すると考えられる。その他のカップリング剤においても同様の水素結合によって、溶液中での安定化がなされているものと考えられる。また、これらの化合物は、水に比べて上記カップリング剤との相溶性が高いため、カップリング剤との水素結合が生じやすい。このため、水よりも優れた安定化の効果を生じるものと推測される。
【0016】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における上記炭素数1〜6の水酸基含有化合物の含有量は、上記活性エネルギー線硬化性組成物に対して下限1質量%、上限80質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が1質量%未満であると、充分なシラノール基の安定化効果が得られない。上記含有量が80質量%を超えると、安定化効果はそれ以上増大されず、更に塗装作業性が悪化する等の問題が生じて好ましくない。上記下限は、1.5質量%がより好ましく、2質量%が更に好ましい。上記上限は、60質量%がより好ましく、50質量%が更に好ましい。
【0017】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に含まれる活性エネルギー線硬化性化合物としては、活性エネルギー線で硬化するものであれば特に限定されず、例えば、ラジカル重合型紫外線硬化性化合物、カチオン重合型紫外線硬化性化合物、及び、これらを併用した併用型紫外線硬化性化合物等を挙げることができる。
【0018】
上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物としては特に限定されず、例えば、分子内に1個以上の(メタ)アクリレート基、(メタ)アリル基等のラジカル重合性反応基を有するもの等を挙げることができる。このような化合物としては、例えば、(不)飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を(メタ)アクリル酸等の酸含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマーで変性したもの、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基含有アクリルモノマーとヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等のイソシアネートモノマーで変性した数平均分子量300〜5000の変性ポリエステル樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ウレタン樹脂、変性アクリル樹脂等の1種以上の混合物等を挙げることができる。必要に応じて、これにエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのモノマー類を配合したものであってもよい。
【0019】
上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物の紫外線硬化性を高めるために、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルシクロヘキサノール等の公知の光ラジカル重合開始剤の1種以上を、組成物中の樹脂固形分100に対し1〜10%併用してもよい。
【0020】
上記カチオン重合型紫外線硬化性化合物としては、分子内に1個以上のエポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、ビニル基等のカチオン重合性反応基を有するもの等を挙げることができる。例えば、エポキシ樹脂、エポキシ化ポリジエン樹脂等を挙げることができる。
【0021】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA,B,F、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリオールと(メチル)エピハロヒドリンを反応させて得られた芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族/脂肪族エポキシ樹脂,これにアジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多塩基酸を付加してエポキシ基を残した数平均分子量2000以上のもの等を挙げることができる。
【0022】
上記エポキシ化ポリジエン樹脂としては、例えば、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマーの単独又は2種以上とスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸等のビニルモノマーの単独又は2種以上の共重合体を過酢酸等でエポキシ化したもの、エポキシ化大豆油等が挙げられる。
【0023】
上記カチオン重合型紫外線硬化性化合物の紫外線硬化性を高めるために、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート等の公知の光カチオン重合開始剤の1種以上を組成物中の樹脂固形分100に対し1〜10%併用してもよい。
【0024】
上記併用型紫外線硬化性化合物としては特に限定されず、例えば、上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物と上記カチオン重合型紫外線硬化性化合物をブレンドしたもの、分子内に1個以上の(メタ)アクリレート基、(メタ)アリル基等のラジカル重合性反応基と1個以上のエポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、ビニル基等のカチオン重合性反応基を共に有するもの等を挙げることができる。上記併用型紫外線硬化性化合物の紫外線硬化性を高めるために、上記光ラジカル重合開始剤の一種以上、及び、上記光カチオン重合開始剤の一種以上を組成物中の樹脂固形分100に対し、それぞれ1〜10%併用してもよい。上記併用型紫外線硬化性化合物としてブレンドする上記ラジカル重合性紫外線硬化性化合物としては、分子内に窒素原子を含むものは硬化性を低下させるので使わないことが望ましい。
【0025】
上記ラジカル重合型紫外線硬化性化合物は、必要に応じて硬化性を低下させない範囲でヒンダードアミン系光安定剤を併用することもできる。ヒンダードアミン系光安定剤は樹脂固形分100に対し、3%以内の添加量にすることが望ましい。上記カチオン重合型紫外線硬化性組成物、及び、併用型紫外線硬化性組成物には、硬化性を低下させるので上記ヒンダードアミン系光安定剤は併用しないことが望ましい。
【0026】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、例えば、スミソープ577(住友化学社製)、チヌビン622LD、チヌビン144、チヌビン111FDL、チヌビン123、チヌビン292(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−63、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87(旭電化社製)、グッドライトUV−3034(グッドリッチ社製)等の商品名のものを挙げることができる。
【0027】
本発明の活性エネルギー硬化性組成物の酸価は、下限0.01、上限50の範囲内である。ここでいう酸価とは、活性エネルギー硬化性組成物の塗膜形成成分1グラム中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数である。上記活性エネルギー硬化性組成物の酸価が0.01未満であると、基材に対する密着性が不充分となり好ましくない。上記活性エネルギー硬化性組成物の酸価が50を超えると、塗膜の耐アルカリ性及び耐水性が低下する場合がある。上記下限は、0.03が好ましく、0.5がより好ましい。上記上限は40が好ましく、35がより好ましい。
【0028】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に酸価を付与する方法としては、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物に酸基を付与する方法、又は、酸基を有する非活性エネルギー線硬化性化合物を添加する方法等を挙げることができる。なかでも、密着性向上効果が大きいことから、酸基を有する非活性エネルギー線硬化性組成物を添加する方法が好ましい。
【0029】
上記酸基を有する非活性エネルギー線硬化性化合物としては特に限定されず、例えば、酢酸、酪酸等の脂肪酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類、メチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類等を挙げることができる。
【0030】
更に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて紫外線吸収剤、塗装作業性を改善するための消泡剤、レベリング剤、意匠性を向上するための着色剤、体質顔料、金属粉末、艶消剤、潤滑剤等を配合しても良い。
【0031】
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
上記カチオン重合型紫外線硬化性組成物、及び、併用型紫外線硬化性組成物には、硬化性を低下させるので上記ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系及びトリアジン系の紫外線吸収剤は使わないことが望ましい。
【0032】
サリチル酸系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。
【0033】
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等を挙げることができる。
【0034】
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−〔3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、オクチル−〔3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5’−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1’,1’,3’,3’−テトラメチルブチル)−6−(1’’−メチル−1’’−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール等を挙げることができる。
【0035】
シアノアクリレート系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。
【0036】
トリアジン系の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−〔4’−[2’’−ヒドロキシ−3’’−ドデシルオキシプロピル]オキシ〕−2’−ヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2’’’,4’’’−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2’,4’−ジメチルフェニル)−6−(2’’−ヒドロキシ−4’’−イソオクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
また、紫外線硬化性化合物を配合する場合は、硬化反応を効率よく行うため、紫外線吸収剤は樹脂固形分100に対し3%以内の添加量にすることが望ましい。
【0037】
上記着色剤としては特に限定されず、例えば、酸化チタン、硫酸鉛、黄鉛、弁柄、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、フタロシアニン系、塩基性染料系、酸性染料系、建染染料系、媒染染料系の有機顔料、染料、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の体質顔料等を挙げることができる。上記着色剤は、一種類のみを使用するものであっても、二以上の成分を併用して使用するものであってもよい。着色剤は、通常、高い紫外線吸収能を有するため、硬化性を阻害しない範囲で配合することが好ましい。
【0038】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、塗装性を改善するために、有機溶剤、シリコン系、フッ素系、アクリル樹脂系等の添加剤を含有したものであってもよい。
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、n−ヘキサン、トルエン、1−フロロ−1−ジクロロ−2−ジフロロ−2−クロロエタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、キシレン等の水に混和しない溶媒も使用することができる。なかでもシランカップリング剤との相溶性が良好なことからトルエン、メチルエチルケトン及び酢酸エチルが好ましい。
【0039】
また、本発明のエネルギー線硬化性組成物は、実質的に水を含まないものであってもよい。「実質的に含まない」とは、意図的に水を配合する場合を含まないとするものであって、上記エネルギー線硬化性組成物の原料中に混在する水が存在する場合を含む。水の含有量としては、上記エネルギー線硬化性組成物の物性に影響を与えない範囲であれば特に限定されないが、上記エネルギー線硬化性組成物中0.5質量%未満が好ましい。
上記活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法によって製造することができる。
【0040】
本発明は、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を表面に有することを特徴とする容器でもある。上記容器は、上記活性エネルギー線硬化性組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後適切な活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることによって得ることができる。
【0041】
上記容器は、ガラス瓶、樹脂フィルム、樹脂成形物等からなる容器であることが好ましい。上記樹脂フィルムとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリスチレン系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系、ポリカーボネート系、セルロース系等を成形してなる単層のフィルム及びこれらの1種以上を積層してなる複層フィルム等を挙げることができる。また、上記樹脂フィルムは、蒸着等の方法で形成された無機層を有するものであってもよい。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、カップリング剤が安定化されているため、上記無機層上に対しても良好な塗膜を形成することができる。上記樹脂成形体としては、上述した樹脂フィルムで使用することができる樹脂の成形体等を挙げることができる。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によって形成された塗膜を有する容器は、密着性及び耐衝撃性が向上するので、内填物を安全に保存することができる。上記容器がガラス瓶である場合には、熱硬化性樹脂による塗膜形成を行った場合に比べて、エネルギー効率の点から有利であり、また、耐アルカリ性においても優れているため好ましい。
【0042】
上記活性エネルギー線硬化性組成物の塗布方法としては特に限定されず、例えば、スプレー、ロールコート、カーテンフローコート、刷毛塗り、浸漬等の公知の方法で行うことができる。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を硬化する為に使用する活性エネルギー線としては特に限定されず、例えば、紫外線、電子線、放射線(β線、γ線)等を挙げることができる。また、活性エネルギー線のエネルギー源としては特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極放電ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の紫外線ランプ類、走査型、非走査型の電子線照射装置等を挙げることができる。
【0044】
上記塗膜を硬化させる活性エネルギー線の照射量としては、紫外線の場合は下限100mJ/cm2、上限10000mJ/cm2が好ましく、電子線の場合は、下限1Mrad、上限50Mradが好ましい。上記塗膜は、塗装後に50〜200℃の温風で1秒〜10分間程度乾燥させて溶媒を蒸発させた後に、活性エネルギー線を照射し、硬化させることが好ましい。
【0045】
上記塗膜は、乾燥膜厚が下限1μm、上限200μmの範囲内であることが好ましい。上記乾燥膜厚が1μm未満であると、得られる容器に充分な耐水性及び耐アルカリ性を付与できないおそれがある。また、上記乾燥膜厚が200μmを超えると、耐水性及び耐アルカリ性はそれ以上向上せず経済的に不利である。上記下限は、3μmがより好ましく、5μmが更に好ましい。上記上限は、100μmがより好ましく、50μmが更に好ましい。
【0046】
本発明活性エネルギー硬化性組成物を塗布する前に、基材を脱脂、化成処理、フレーム処理、火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、シランカップリング剤塗布処理等をすることもできる。これらの処理は、通常の方法によって行うことができる。このような前処理を施すことによって、被塗物と塗膜との密着性を更に向上させることができる。
【0047】
本発明により、含有するシランカップリング剤を安定化することによって、長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階の塗装で完了する活性エネルギー線硬化性組成物、及び、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を有する容器を得ることができる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部又は%はそれぞれ質量部、質量%を意味する。
【0049】
製造例1 ウレタンアクリレート樹脂溶液の製造
攪拌機付き4口フラスコに酢酸エチル610部、アロニックスM−305(東亜合成社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート)1200部、ハイドロキノン0.8部、及び、ジブチル錫ジラウレート0.8部を仕込み、攪拌しながら40℃以下でイソホロンジイソシアネート222部を1時間かけて滴下した。その後70℃まで加熱して2時間攪拌を継続した後、赤外分光光度計で2220
cm−1のイソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認して、数平均分子量600、固形分70%のウレタンアクリレート樹脂溶液を得た。
【0050】
製造例2 加水分解シランカップリング剤溶液の製造
ステンレス容器に水10部、酢酸0.01部、メタノール10部を仕込み、ディスパーで攪拌し、25℃に保ちながらγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部を滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌を継続した。次に生成した反応液をメタノール10部に溶解し、固形分25%の加水分解シランカップリング剤溶液を得た。
【0051】
実施例1〜7
ライトアクリレートTMP−3EO−A(共栄社化学製、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリアクリレート)、及び、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学製、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート)を用いて、表1に示すようなラジカル重合型紫外線硬化性組成物を調製した。
【0052】
紫外線遮断ポリ容器に、得られたラジカル重合型紫外線硬化性組成物を入れ、25℃で保管した。保管後当日〜20日目までの上記ラジカル重合型紫外線硬化性組成物を1mm厚の脱脂したソーダガラス板にスプレーで塗布した。次に80℃の温風で3分間乾燥させた後、集光型高圧水銀灯HL−60NL(日本電池製、120W/cm)を10m/分の速度で通過させて塗膜を形成し、試験板を作成した。この時照射した紫外線量は1600mJ/cm2であり、各試験板に形成された塗膜の乾燥膜厚は約10μmであった。得られた試験板を用いて、下記の評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0053】
評価試験
〈密着性〉
塗膜に鋭利なカッターで1mm間隔の碁盤目を100個作成し、粘着テープを貼布した後剥離した。塗膜の残存面積を測定して評価した。
〇:残存面積80%以上
△:残存面積20〜80%
×:残存面積20%未満
【0054】
〈鉛筆硬度〉
三菱ユニ鉛筆を約45度の角度で塗膜に当てて表面を引っかく。塗膜が破れない最高の鉛筆の濃度記号を鉛筆硬度とした。
【0055】
〈耐アルカリ性〉
塗膜にカッターで長さ40mmのクロスカットを入れ、80℃の苛性ソーダ3%水溶液に試験板を5時間浸漬した。引き上げ直後のクロスカット部の剥離状態を観察して評価した。
〇:剥離無し
△:若干の剥離あり
×:かなりの剥離あり
【0056】
実施例8
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、アロニックスM−305を用いて、表1に示すような併用型紫外線硬化性組成物を調製した。次に、実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0057】
実施例9
集光型高圧水銀灯HL−60NLに代えて、走査型電子線照射装置(岩崎電機社製)を用いて電子線を10Mrad照射し、得られたラジカル重合型紫外線硬化性組成物を硬化させた以外は、実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0058】
実施例10
得られたラジカル重合型紫外線硬化性組成物をロールコーターを用いて塗布したこと以外は、実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0059】
比較例1〜3
表2に示すようなラジカル重合型紫外線硬化性組成物を調製した後、ロールコーターを用いて塗布したこと以外は実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0060】
比較例4
メタノールに代えて脱イオン水を使用し、ロールコーターを用いて塗布したこと以外は実施例1と同様に試験板を作製し、評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
表3から明らかなように、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜は、長期間保存後でも良好な密着性、強度、及び、耐アルカリ性を発揮することが示された。一方、炭素数1〜6の水酸基含有化合物に代えて水を配合した比較例4のラジカル重合型紫外線硬化性組成物から得られる塗膜は、保存2日後から鉛筆強度及び耐アルカリ性の低下、更に4日後から密着性の低下がみられ、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の方が安定性に優れることが示された。
【0065】
【発明の効果】
本発明により、安定性に優れるため長期間の保存及び連続使用においても良好な基材との密着性、強度、耐アルカリ性を有し、かつ一段階の塗装で完了する活性エネルギー線硬化性組成物、及び、上記活性エネルギー線硬化性組成物によって形成される塗膜を有する容器を提供することができる。
Claims (6)
- カップリング剤、活性エネルギー線硬化性化合物、及び、炭素数1〜6の水酸基含有化合物からなり、酸価が0.01〜50であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
- カップリング剤は、シランカップリング剤である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 炭素数1〜6の水酸基含有化合物は、メタノールである請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 炭素数1〜6の水酸基含有化合物が1〜80質量%含まれてなる請求項1、2又は3に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 表面に塗膜が形成されてなる容器であって、
前記塗膜は、請求項1、2、3又は4に記載の活性エネルギー線硬化性組成物によって形成されたものであることを特徴とする容器。 - 容器は、ガラス瓶である請求項5に記載の容器。
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WO2023100633A1 (ja) * | 2021-12-03 | 2023-06-08 | 大成化工株式会社 | スクイズ容器 |
-
2002
- 2002-10-07 JP JP2002294077A patent/JP2004124024A/ja active Pending
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