JP2004123601A - 1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン化合物及びその用途 - Google Patents
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- KRXQEWRCMBAALH-UHFFFAOYSA-N CC1OC(C)(C)c2cccc(N)c12 Chemical compound CC1OC(C)(C)c2cccc(N)c12 KRXQEWRCMBAALH-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は1,3,4−オキサゾリン−2−オン化合物及びその有害節足動物防除用途に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より有害節足動物の防除を目的として種々の有害節足動物防除剤が用いられているが、その効力は必ずしも十分でない場合がある。
本発明は、有害節足動物防除効力を有する新しい化合物及びその化合物の有害節足動物防除用途を提供することを課題とする。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−131481号公報
【特許文献2】
特開昭51−101981号公報
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は優れた節足動物防除効力を有する化合物を提供するために種々検討した結果、後記式(1)で示される1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン化合物が優れた有害節足動物防除効力を有することを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は式(1)
(式中、R1はメチル基又はエチル基を表し、R2はメチル基、エチル基又は2−プロピニル基を表す。)
で示される1,3,4−オキサゾリン−2−オン化合物(以下、本発明化合物と記す。)、本発明化合物を含有することを特徴とする有害節足動物防除剤及び本発明化合物の有効量を有害節足動物又は有害節足動物の節足場所に施用することを特徴とする有害節足動物の防除方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本発明化合物の製造方法について説明する。本発明化合物は例えば下記スキームに示すルートにより製造することができる。
(式中、R1及びR2は前記と同じ意味を表し、R3はC1−C4アルキル基を表す。)
【0007】
(1)式(b)で示される化合物は式(a)で示される化合物と式
R1MgX
(式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)
で示されるグリニヤール試薬とを反応させることにより製造することができる。
該反応は不活性気体雰囲気下、通常溶媒中で行われる。反応に用いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、及びエーテル類とトルエン等の芳香族炭化水素類との混合物が挙げられる。
反応に用いられるグリニヤール試薬は、R1Xで示されるハロゲン化アルキル化合物と金属マグネシウムとを反応させることにより製造することができる。反応に用いられるグリニヤール試薬の量は、式(a)で示される化合物1モルに対して、通常1〜4モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜40℃の範囲であり、反応時間は通常0.5〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を酸性水(塩酸、硫酸水等)に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(b)で示される化合物を単離することができる。
単離した式(b)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0008】
(2)式(c)で示される化合物は式(b)で示される化合物を遷移金属触媒の存在下、水素と反応させることにより製造することができる。
該反応は通常溶媒中で行われる。反応に用いられる溶媒しては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、及びアルコール類とトルエン等の芳香族炭化水素類との混合物が挙げられる。
反応に用いられる遷移金属触媒としては、例えばパラジウム/炭素等のパラジウム触媒が挙げられる。反応に用いられる遷移金属触媒の量は、式(b)で示される化合物1モルに対して、通常触媒量〜0.2モルの割合である。
該反応は水素雰囲気下で行われる。反応の際の水素の圧力は、例えば1〜10kg/cm2の範囲である。
また、該反応には硫酸等の無機酸及び/又は酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸を共存させてもよい。
該反応の反応温度は通常0〜100℃の範囲であり、反応時間は通常1〜48時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を濾過することにより遷移金属触媒を除去し、濾液を濃縮することにより式(c)で示される化合物を単離することができる。
単離した式(c)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
また、反応終了後は式(c)で示される化合物を単離することなく、次工程の反応を行うこともできる。
【0009】
(3)式(d)で示される化合物は式(c)で示される化合物を塩基の水溶液と反応させることにより製造することができる。
該反応は、例えば塩基の水溶液とアルコール類(メタノール、エタノール等の1価アルコール及びエチレングリコール等の2価アルコール等)との混合物中で行われる。
反応に用いられる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。反応に用いられる塩基の量は式(c)で示される化合物1モルに対して通常1〜20モルの割合である。
該反応の反応温度は通常20〜120℃の範囲、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を水に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を必要に応じて酸性水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(d)で示される化合物を単離することができる。
単離した式(d)で示される化合物はクロマトグラフィー、再結晶等の操作に付すことによりさらに精製することもできる。
【0010】
(4)式(e)で示される化合物は式(d)で示される化合物をジアゾ化し(前半工程)、次いで還元反応に付す(後半工程)ことにより製造することができる。
(i)前半工程
前半工程の反応は式(d)で示される化合物とジアゾ化剤とを反応させることにより行われる。
該反応は通常酸性水(塩酸、硫酸水等)中で行われる。
該反応に用いられるジアゾ化剤としては、例えば亜硝酸、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸カリウムが挙げられる。反応に用いられるジアゾ化剤の量は、式(d)で示される化合物1モルに対して、通常1〜1.2モルの割合である。
該反応の反応温度は通常−10〜10℃の範囲であり、反応時間は通常瞬時〜5時間の範囲である。
反応終了後、反応混合物は通常そのまま後半工程の反応に用いられる。
(ii)後半工程
式(e)で示される化合物は、前半工程で得られた反応混合物と還元剤とを混合することにより得ることができる。
該反応は、通常酸性水(塩酸、硫酸水等)中で行われる。
反応に用いられる還元剤としては、例えば塩化スズ(II)が挙げられる。
反応に用いられる還元剤の量は、前半工程の反応に用いられる式(d)で示される化合物1モルに対して通常3〜10モルの割合である。
該還元反応の反応温度は通常−50〜10℃の範囲であり、反応時間は通常0.5〜12時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物に氷水、さらに塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)を加え有機溶媒抽出して得られる有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(e)で示される化合物を単離することができる。
【0011】
(5)式(f)で示される化合物は式(e)で示される化合物と式
ClCOOR2
(式中、R2は前記と同じ意味を表す。)
で示されるクロロギ酸エステル化合物と反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常塩基の存在下、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及びテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン類が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(e)で示される化合物1モルに対して式ClCOOR2で示されるクロロギ酸エステル化合物が0.8〜1.2モルの割合であり、塩基が通常1モル〜過剰量の割合である。
該反応の反応温度は通常−20〜20℃の範囲、反応時間は通常0.5〜12時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を酸性水(希塩酸、希硫酸水等)に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を、塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより式(f)で示される化合物を単離することができる。
【0012】
(6)式(1)で示される本発明化合物は式(f)で示される化合物とホスゲンとを反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常塩基の存在下、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類及びテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン類が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(f)で示される化合物1モルに対して、ホスゲンが通常1〜1.5モルの割合、塩基が通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常20〜150℃の範囲であり、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を酸性水(希塩酸、希硫酸水等)に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を、塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(1)で示される本発明化合物を単離することができる。単離された式(1)で示される本発明化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0013】
本発明化合物が防除効力を有する有害節足動物としては、例えば有害昆虫類や有害ダニ類が挙げられ、具体的には例えば以下のものが挙げられる。
【0014】
鱗翅目害虫
ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫 (Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫 (Helicoverpa spp.)、ヘリオティス属害虫 (Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等、
【0015】
双翅目害虫
アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等、
【0016】
網翅目害虫
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等、
【0017】
膜翅目害虫
アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等、
【0018】
隠翅目害虫
イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等、
【0019】
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等、
【0020】
等翅目害虫
ヤマトシロアリ、イエシロアリ等、
【0021】
半翅目害虫
ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等、
【0022】
鞘翅目害虫
ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属 (Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等、
【0023】
総翅目害虫
ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等、
【0024】
直翅目害虫
ケラ、バッタ等、
【0025】
ダニ類
コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類。
【0026】
本発明の有害節足動物防除剤は、本発明化合物そのものであってもよいが、通常はさらに固体担体、液体担体、ガス状担体及び/又は餌(毒餌基材)等を混合し、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、粒剤、粉剤、毒餌、マイクロカプセル剤等に製剤化されている。
これらの製剤は本発明化合物を通常0.001〜95重量%含有する。
【0027】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム等)、化学肥料(硫安、硝安、塩安等)等の微粉末あるいは粒状物があげられる。液体担体としては、例えば水、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン等)、ジメチルスルホキシド及び植物油(大豆油、綿実油等)があげられる。
ガス状担体としては、例えばフルオロカーボン、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル及び二酸化炭素があげられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類並びに糖アルコール誘導体があげられる。
【0029】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステルがあげられる。
【0030】
毒餌の基材としては、例えば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分が挙げられる。毒餌には必要に応じて、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ粉末等の子どもやペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料等が添加される。
【0031】
本発明の有害生物防除方法は、通常本発明の有害節足動物防除剤を有害節足動物に直接及び/又は有害節足動物の生息場所(巣、植物体、土壌等)に施用することにより行われる。
【0032】
本発明の有害節足動物防除剤を農林業分野の有害節足動物防除に用いる場合、その施容量は、1000m2あたりの本発明化合物の量で通常0.1〜1000gである。本発明の有害節足動物防除剤が乳剤、フロアブル剤、水和剤、マイクロカプセル剤等に製剤化されている場合は、本発明化合物濃度が通常0.01〜10000ppmとなるように水で希釈して散布することにより施用する。本発明の有害節足動物防除剤が油剤、粒剤、粉剤等に製剤化されている場合は、通常そのまま施用する。
本発明の有害節足動物防除剤は、有害節足動物に直接又は有害節足動物から保護すべき作物等の植物に散布したり、有害節足動物から保護すべき作物等の植物の株元に施用してもよく、また、土壌に施用することにより土壌に生息する有害節足動物を防除することもできる。
【0033】
本発明の有害節足動物防除剤を防疫分野の有害節足動物の防除に用いる場合、その施用量は面上に処理するときは適用面積1m2あたりの本発明化合物量で通常0.001〜100mgであり、空間に処理するときは適用空間1m3あたりの本発明化合物量で通常0.001〜10mgである。本発明の有害節足動物防除剤が乳剤、フロアブル剤、水和剤、マイクロカプセル剤等に製剤化されている場合は本発明化合物濃度が通常0.01〜100000ppmとなるように水で希釈して施用する。本発明の有害節足動物防除剤が粒剤、粉剤等に製剤化されている場合は通常そのまま施用する。
【0034】
また、本発明の有害節足動物防除剤は他の殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等と共に用いることもできる。
【0035】
かかる殺虫剤、殺ダニ剤及び殺線虫剤としては、
例えばフェニトロチオン、フェンチオン、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、アセフェート、メチダチオン、ジスルホトン、DDVP、スルプロホス、プロフェノホス、シアノホス、ジオキサベンゾホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、アジンホスメチル、モノクロトホス、ジクロトホス、エチオン、ホスチアゼート等の有機リン系化合物、
BPMC、ベンフラカルブ、プロポキスル、カルボスルファン、カルバリル、メソミル、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、オキサミル、フェノチオカルブ、チオジカルブ等のカーバメート系化合物、
【0036】
エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、Ζ−シペルメトリン、ペルメトリン、シハロトリン、λ−シハロトリン、シフルトリン、β−シフルトリン、デルタメトリン、シクロプロスリン、τ−フルバリネート、フルシトリネート、ビフェンスリン、アクリナスリン、トラロメスリン、シラフルオフェン、ハルフェンプロクス等のピレスロイド化合物、
【0037】
アセタミプリド、チアメトキサム、チアクロプリド等のネオニコチノイド化合物、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ルフェニュロン等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、テブフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、クロマフェノジド等のベンゾイルヒドラジド化合物、ブプロフェジン等のチアジアジン誘導体、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等のネライストキシン誘導体、エンドスルファン、γ−BHC、1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノ−ル等の塩素化炭化水素化合物、アミトラズ、クロルジメホルム等のホルムアミジン誘導体、ジアフェンチウロン等のチオ尿素誘導体、フェニルピラゾール系化合物、クロルフェナピル、ピメトロジン、スピノサッド、インドキサカルブ、ブロモプロピレート、テトラジホン、キノメチオネート、プロパルゲイト、フェンブタティンオキシド、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、クロフェンテジン、ピリダベン、ピリダリル、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェナザキン、アセキノシル、ビフェナゼート、フルアクリピリム、スピロジクロフェン、ミルベメクチン、アヴェルメクチン、エマメクチン安息香酸塩、アザジラクチン〔AZAD〕、ポリナクチンコンプレックス〔テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン〕等があげられる。
【0038】
【実施例】
以下、製造例、製剤例及び試験例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0039】
まず、本発明化合物の製造例を示す。
製造例
(1)
窒素雰囲気下、室温でテトラヒドロフラン36重量部及びトルエン13.9重量部の混合物にマグネシウム(削り状)3.48重量部を加え、ここに塩化メチルマグネシウム(5モル/L)3.16重量部を加えた。さらに、ここに35〜45℃でモノクロロメタン7.19重量部を4時間かけて吹き込んだ。このようにして得られたメチルマグネシウムクロリド溶液に約10℃で4−アセトアミノ−1,1−ジメチル−2−オキサインダン−3−オン
13.2重量部をトルエン73.4重量部に溶解した溶液を5時間かけて滴下した。その後、反応混合物に約15℃で5重量%硫酸水50重量部を3時間かけて滴下した。その後、分液して有機層をとった。水層をトルエンで抽出して得られたトルエン層と前記有機層とを合わせて、1%炭酸ナトリウム水、水で順次洗浄した後、減圧下濃縮した。得られた結晶を濾取して、4−アセトアミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン−3−オール14.1重量部を得た。4−アセトアミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン−3−オール
【0040】
(2)
メタノール6重量部とトルエン12重量部との混合物に4−アセトアミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン−3−オール 6重量部、濃硫酸0.026重量部及び5%Pd/C 0.6重量部を加え、60℃、水素雰囲気下で4時間攪拌した。その後、濾過して不溶物を取り除いた。
【0041】
(3)
上記(2)で得られた濾液に47%水酸化ナトリウム水溶液8.55重量部を加え、6時間加熱還流した。その後、室温まで放冷してから、反応混合物に20%塩酸23.2重量部を加え1時間攪拌した。その後、分液して得られた水層をモノクロロベンゼンで洗浄した。水層に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整し、これをモノクロロベンゼンで抽出した。有機層を水で洗浄した後、濃縮し、4−アミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン 3.86重量部を得た。
4−アミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン
【0042】
(4)1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−アミノインダンを濃塩酸15mlと水10mlとの混合物に注加し、ここに0〜5℃で亜硝酸ナトリウム2.1gを水5mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、0〜5℃でさらに30分間攪拌した(このようにして得られた反応混合物を反応混合物Aと記す。)。一方、塩化スズ(II)27gを濃塩酸20mlに注加し、ここに反応混合物Aを10℃以下の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、10℃以下の温度を保ちながら、さらに1時間攪拌した。その後、反応混合物を氷水に注加し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮して、1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−ヒドラジノインダン3.9gを得た。
1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−ヒドラジノインダン
【0043】
(5)テトラヒドロフラン40mlに1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−ヒドラジノインダン3.9g及びトリエチルアミン2.9gを加え、ここに0〜5℃でクロロギ酸メチル1.9gを滴下し、同温で2時間攪拌した。その後、反応混合物を1重量%塩酸に注加し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮してメチル−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)カルバジネート4.5gを得た。
メチル(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)カルバジネート
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.43(s、3H)、1.54(s、3H)、1.56(d、3H)、3.76(s、3H)、5.38(q、1H)、5.56(brs、1H)、6.67(brs、1H)、6.69(d、1H)、6.79(d、1H)、
7.22(dd、1H)
【0044】
(6)トルエン10mlにメチル(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)カルバジネート0.84g、ピリジン0.27g及びホスゲン0.34gを加え、室温で2時間、さらに加熱還流下で1時間攪拌した。その後、反応液を減圧下濃縮した。
得られた残渣を塩化メチレン5mlに懸濁し、ここにトリエチルアミン0.41gを加え室温で2時間攪拌した。その後、反応混合物を1%塩酸に注加し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン0.77gを得た。
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.38(d、3H)、1.48(s、3H)、1.57(s、3H)、4.07(s、3H)、5.64(q、1H)、7.08(d、1H)、7.36(dd、1H)、7.49(d、1H)
【0045】
次に、製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。
製剤例1
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 20部を、キシレン65部に溶解しソルポール3005X(東邦化学登録商標)15部を加え、よく攪拌混合して乳剤を得る。
【0046】
製剤例2
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 9部を、ラウリル硫酸ナトリウム4部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末20部および珪素土65部を混合した中に加え、よく攪拌混合して水和剤を得る。
【0047】
製剤例3
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 3部、合成含水酸化珪素微粉末5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部およびクレー57部を加え、よく攪拌混合し、ついでこれらの混合物に適当量の水を加え、さらに攪拌し、増粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0048】
製剤例4
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 4.5部、合成含水酸化珪素微粉末1部、凝集剤としてドリレスB(三共社製)1部、クレー7部を乳鉢でよく混合した後にジュースミキサーで攪拌混合する。得られた混合物にカットクレー86.5部を加えて、充分攪拌混合し粉剤を得る。
【0049】
製剤例5
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより製剤を得る。
【0050】
次に、本発明化合物が有害節足動物防除効力を有することを試験例により示す。
試験例
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンを製剤例1により乳剤に製剤化し、この乳剤を水で有効成分濃度が500ppmとなるように希釈した。この希釈液0.7mlを100mlのイオン交換水に加え、試験用薬液を調製した(有効成分濃度3.5ppm)。この試験用薬液中にアカイエカ(Culex pipiens pallens)終令幼虫約20頭を放ち、1日後にその生死を調査した。効果判定基準は、
a:死虫率90%以上
b:死虫率10%〜90%未満
c:死虫率10%未満
とした。その結果、5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンを処理した区は効果判定aを示した。それに対し、5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンを含有しない乳剤を処理した区は効果判定cを示した。
【0051】
【発明の効果】
本発明化合物は優れた有害節足動物防除効力を有することから、有害節足動物防除剤の有効成分として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は1,3,4−オキサゾリン−2−オン化合物及びその有害節足動物防除用途に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より有害節足動物の防除を目的として種々の有害節足動物防除剤が用いられているが、その効力は必ずしも十分でない場合がある。
本発明は、有害節足動物防除効力を有する新しい化合物及びその化合物の有害節足動物防除用途を提供することを課題とする。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−131481号公報
【特許文献2】
特開昭51−101981号公報
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は優れた節足動物防除効力を有する化合物を提供するために種々検討した結果、後記式(1)で示される1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン化合物が優れた有害節足動物防除効力を有することを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は式(1)
(式中、R1はメチル基又はエチル基を表し、R2はメチル基、エチル基又は2−プロピニル基を表す。)
で示される1,3,4−オキサゾリン−2−オン化合物(以下、本発明化合物と記す。)、本発明化合物を含有することを特徴とする有害節足動物防除剤及び本発明化合物の有効量を有害節足動物又は有害節足動物の節足場所に施用することを特徴とする有害節足動物の防除方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本発明化合物の製造方法について説明する。本発明化合物は例えば下記スキームに示すルートにより製造することができる。
(式中、R1及びR2は前記と同じ意味を表し、R3はC1−C4アルキル基を表す。)
【0007】
(1)式(b)で示される化合物は式(a)で示される化合物と式
R1MgX
(式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)
で示されるグリニヤール試薬とを反応させることにより製造することができる。
該反応は不活性気体雰囲気下、通常溶媒中で行われる。反応に用いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、及びエーテル類とトルエン等の芳香族炭化水素類との混合物が挙げられる。
反応に用いられるグリニヤール試薬は、R1Xで示されるハロゲン化アルキル化合物と金属マグネシウムとを反応させることにより製造することができる。反応に用いられるグリニヤール試薬の量は、式(a)で示される化合物1モルに対して、通常1〜4モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜40℃の範囲であり、反応時間は通常0.5〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を酸性水(塩酸、硫酸水等)に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(b)で示される化合物を単離することができる。
単離した式(b)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0008】
(2)式(c)で示される化合物は式(b)で示される化合物を遷移金属触媒の存在下、水素と反応させることにより製造することができる。
該反応は通常溶媒中で行われる。反応に用いられる溶媒しては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、及びアルコール類とトルエン等の芳香族炭化水素類との混合物が挙げられる。
反応に用いられる遷移金属触媒としては、例えばパラジウム/炭素等のパラジウム触媒が挙げられる。反応に用いられる遷移金属触媒の量は、式(b)で示される化合物1モルに対して、通常触媒量〜0.2モルの割合である。
該反応は水素雰囲気下で行われる。反応の際の水素の圧力は、例えば1〜10kg/cm2の範囲である。
また、該反応には硫酸等の無機酸及び/又は酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸を共存させてもよい。
該反応の反応温度は通常0〜100℃の範囲であり、反応時間は通常1〜48時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を濾過することにより遷移金属触媒を除去し、濾液を濃縮することにより式(c)で示される化合物を単離することができる。
単離した式(c)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
また、反応終了後は式(c)で示される化合物を単離することなく、次工程の反応を行うこともできる。
【0009】
(3)式(d)で示される化合物は式(c)で示される化合物を塩基の水溶液と反応させることにより製造することができる。
該反応は、例えば塩基の水溶液とアルコール類(メタノール、エタノール等の1価アルコール及びエチレングリコール等の2価アルコール等)との混合物中で行われる。
反応に用いられる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。反応に用いられる塩基の量は式(c)で示される化合物1モルに対して通常1〜20モルの割合である。
該反応の反応温度は通常20〜120℃の範囲、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を水に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を必要に応じて酸性水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(d)で示される化合物を単離することができる。
単離した式(d)で示される化合物はクロマトグラフィー、再結晶等の操作に付すことによりさらに精製することもできる。
【0010】
(4)式(e)で示される化合物は式(d)で示される化合物をジアゾ化し(前半工程)、次いで還元反応に付す(後半工程)ことにより製造することができる。
(i)前半工程
前半工程の反応は式(d)で示される化合物とジアゾ化剤とを反応させることにより行われる。
該反応は通常酸性水(塩酸、硫酸水等)中で行われる。
該反応に用いられるジアゾ化剤としては、例えば亜硝酸、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸カリウムが挙げられる。反応に用いられるジアゾ化剤の量は、式(d)で示される化合物1モルに対して、通常1〜1.2モルの割合である。
該反応の反応温度は通常−10〜10℃の範囲であり、反応時間は通常瞬時〜5時間の範囲である。
反応終了後、反応混合物は通常そのまま後半工程の反応に用いられる。
(ii)後半工程
式(e)で示される化合物は、前半工程で得られた反応混合物と還元剤とを混合することにより得ることができる。
該反応は、通常酸性水(塩酸、硫酸水等)中で行われる。
反応に用いられる還元剤としては、例えば塩化スズ(II)が挙げられる。
反応に用いられる還元剤の量は、前半工程の反応に用いられる式(d)で示される化合物1モルに対して通常3〜10モルの割合である。
該還元反応の反応温度は通常−50〜10℃の範囲であり、反応時間は通常0.5〜12時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物に氷水、さらに塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)を加え有機溶媒抽出して得られる有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(e)で示される化合物を単離することができる。
【0011】
(5)式(f)で示される化合物は式(e)で示される化合物と式
ClCOOR2
(式中、R2は前記と同じ意味を表す。)
で示されるクロロギ酸エステル化合物と反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常塩基の存在下、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及びテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン類が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(e)で示される化合物1モルに対して式ClCOOR2で示されるクロロギ酸エステル化合物が0.8〜1.2モルの割合であり、塩基が通常1モル〜過剰量の割合である。
該反応の反応温度は通常−20〜20℃の範囲、反応時間は通常0.5〜12時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を酸性水(希塩酸、希硫酸水等)に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を、塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより式(f)で示される化合物を単離することができる。
【0012】
(6)式(1)で示される本発明化合物は式(f)で示される化合物とホスゲンとを反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常塩基の存在下、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類及びテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン類が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(f)で示される化合物1モルに対して、ホスゲンが通常1〜1.5モルの割合、塩基が通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常20〜150℃の範囲であり、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を酸性水(希塩酸、希硫酸水等)に注加し有機溶媒抽出して得られる有機層を、塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等)、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(1)で示される本発明化合物を単離することができる。単離された式(1)で示される本発明化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0013】
本発明化合物が防除効力を有する有害節足動物としては、例えば有害昆虫類や有害ダニ類が挙げられ、具体的には例えば以下のものが挙げられる。
【0014】
鱗翅目害虫
ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫 (Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫 (Helicoverpa spp.)、ヘリオティス属害虫 (Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等、
【0015】
双翅目害虫
アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等、
【0016】
網翅目害虫
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等、
【0017】
膜翅目害虫
アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等、
【0018】
隠翅目害虫
イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等、
【0019】
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等、
【0020】
等翅目害虫
ヤマトシロアリ、イエシロアリ等、
【0021】
半翅目害虫
ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等、
【0022】
鞘翅目害虫
ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属 (Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等、
【0023】
総翅目害虫
ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等、
【0024】
直翅目害虫
ケラ、バッタ等、
【0025】
ダニ類
コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類。
【0026】
本発明の有害節足動物防除剤は、本発明化合物そのものであってもよいが、通常はさらに固体担体、液体担体、ガス状担体及び/又は餌(毒餌基材)等を混合し、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、粒剤、粉剤、毒餌、マイクロカプセル剤等に製剤化されている。
これらの製剤は本発明化合物を通常0.001〜95重量%含有する。
【0027】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム等)、化学肥料(硫安、硝安、塩安等)等の微粉末あるいは粒状物があげられる。液体担体としては、例えば水、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン等)、ジメチルスルホキシド及び植物油(大豆油、綿実油等)があげられる。
ガス状担体としては、例えばフルオロカーボン、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル及び二酸化炭素があげられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類並びに糖アルコール誘導体があげられる。
【0029】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステルがあげられる。
【0030】
毒餌の基材としては、例えば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分が挙げられる。毒餌には必要に応じて、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ粉末等の子どもやペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料等が添加される。
【0031】
本発明の有害生物防除方法は、通常本発明の有害節足動物防除剤を有害節足動物に直接及び/又は有害節足動物の生息場所(巣、植物体、土壌等)に施用することにより行われる。
【0032】
本発明の有害節足動物防除剤を農林業分野の有害節足動物防除に用いる場合、その施容量は、1000m2あたりの本発明化合物の量で通常0.1〜1000gである。本発明の有害節足動物防除剤が乳剤、フロアブル剤、水和剤、マイクロカプセル剤等に製剤化されている場合は、本発明化合物濃度が通常0.01〜10000ppmとなるように水で希釈して散布することにより施用する。本発明の有害節足動物防除剤が油剤、粒剤、粉剤等に製剤化されている場合は、通常そのまま施用する。
本発明の有害節足動物防除剤は、有害節足動物に直接又は有害節足動物から保護すべき作物等の植物に散布したり、有害節足動物から保護すべき作物等の植物の株元に施用してもよく、また、土壌に施用することにより土壌に生息する有害節足動物を防除することもできる。
【0033】
本発明の有害節足動物防除剤を防疫分野の有害節足動物の防除に用いる場合、その施用量は面上に処理するときは適用面積1m2あたりの本発明化合物量で通常0.001〜100mgであり、空間に処理するときは適用空間1m3あたりの本発明化合物量で通常0.001〜10mgである。本発明の有害節足動物防除剤が乳剤、フロアブル剤、水和剤、マイクロカプセル剤等に製剤化されている場合は本発明化合物濃度が通常0.01〜100000ppmとなるように水で希釈して施用する。本発明の有害節足動物防除剤が粒剤、粉剤等に製剤化されている場合は通常そのまま施用する。
【0034】
また、本発明の有害節足動物防除剤は他の殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等と共に用いることもできる。
【0035】
かかる殺虫剤、殺ダニ剤及び殺線虫剤としては、
例えばフェニトロチオン、フェンチオン、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、アセフェート、メチダチオン、ジスルホトン、DDVP、スルプロホス、プロフェノホス、シアノホス、ジオキサベンゾホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、アジンホスメチル、モノクロトホス、ジクロトホス、エチオン、ホスチアゼート等の有機リン系化合物、
BPMC、ベンフラカルブ、プロポキスル、カルボスルファン、カルバリル、メソミル、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、オキサミル、フェノチオカルブ、チオジカルブ等のカーバメート系化合物、
【0036】
エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、Ζ−シペルメトリン、ペルメトリン、シハロトリン、λ−シハロトリン、シフルトリン、β−シフルトリン、デルタメトリン、シクロプロスリン、τ−フルバリネート、フルシトリネート、ビフェンスリン、アクリナスリン、トラロメスリン、シラフルオフェン、ハルフェンプロクス等のピレスロイド化合物、
【0037】
アセタミプリド、チアメトキサム、チアクロプリド等のネオニコチノイド化合物、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ルフェニュロン等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、テブフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、クロマフェノジド等のベンゾイルヒドラジド化合物、ブプロフェジン等のチアジアジン誘導体、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等のネライストキシン誘導体、エンドスルファン、γ−BHC、1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノ−ル等の塩素化炭化水素化合物、アミトラズ、クロルジメホルム等のホルムアミジン誘導体、ジアフェンチウロン等のチオ尿素誘導体、フェニルピラゾール系化合物、クロルフェナピル、ピメトロジン、スピノサッド、インドキサカルブ、ブロモプロピレート、テトラジホン、キノメチオネート、プロパルゲイト、フェンブタティンオキシド、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、クロフェンテジン、ピリダベン、ピリダリル、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェナザキン、アセキノシル、ビフェナゼート、フルアクリピリム、スピロジクロフェン、ミルベメクチン、アヴェルメクチン、エマメクチン安息香酸塩、アザジラクチン〔AZAD〕、ポリナクチンコンプレックス〔テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン〕等があげられる。
【0038】
【実施例】
以下、製造例、製剤例及び試験例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0039】
まず、本発明化合物の製造例を示す。
製造例
(1)
窒素雰囲気下、室温でテトラヒドロフラン36重量部及びトルエン13.9重量部の混合物にマグネシウム(削り状)3.48重量部を加え、ここに塩化メチルマグネシウム(5モル/L)3.16重量部を加えた。さらに、ここに35〜45℃でモノクロロメタン7.19重量部を4時間かけて吹き込んだ。このようにして得られたメチルマグネシウムクロリド溶液に約10℃で4−アセトアミノ−1,1−ジメチル−2−オキサインダン−3−オン
13.2重量部をトルエン73.4重量部に溶解した溶液を5時間かけて滴下した。その後、反応混合物に約15℃で5重量%硫酸水50重量部を3時間かけて滴下した。その後、分液して有機層をとった。水層をトルエンで抽出して得られたトルエン層と前記有機層とを合わせて、1%炭酸ナトリウム水、水で順次洗浄した後、減圧下濃縮した。得られた結晶を濾取して、4−アセトアミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン−3−オール14.1重量部を得た。4−アセトアミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン−3−オール
【0040】
(2)
メタノール6重量部とトルエン12重量部との混合物に4−アセトアミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン−3−オール 6重量部、濃硫酸0.026重量部及び5%Pd/C 0.6重量部を加え、60℃、水素雰囲気下で4時間攪拌した。その後、濾過して不溶物を取り除いた。
【0041】
(3)
上記(2)で得られた濾液に47%水酸化ナトリウム水溶液8.55重量部を加え、6時間加熱還流した。その後、室温まで放冷してから、反応混合物に20%塩酸23.2重量部を加え1時間攪拌した。その後、分液して得られた水層をモノクロロベンゼンで洗浄した。水層に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整し、これをモノクロロベンゼンで抽出した。有機層を水で洗浄した後、濃縮し、4−アミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン 3.86重量部を得た。
4−アミノ−1,1,3−トリメチル−2−オキサインダン
【0042】
(4)1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−アミノインダンを濃塩酸15mlと水10mlとの混合物に注加し、ここに0〜5℃で亜硝酸ナトリウム2.1gを水5mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、0〜5℃でさらに30分間攪拌した(このようにして得られた反応混合物を反応混合物Aと記す。)。一方、塩化スズ(II)27gを濃塩酸20mlに注加し、ここに反応混合物Aを10℃以下の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、10℃以下の温度を保ちながら、さらに1時間攪拌した。その後、反応混合物を氷水に注加し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮して、1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−ヒドラジノインダン3.9gを得た。
1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−ヒドラジノインダン
【0043】
(5)テトラヒドロフラン40mlに1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−ヒドラジノインダン3.9g及びトリエチルアミン2.9gを加え、ここに0〜5℃でクロロギ酸メチル1.9gを滴下し、同温で2時間攪拌した。その後、反応混合物を1重量%塩酸に注加し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮してメチル−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)カルバジネート4.5gを得た。
メチル(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)カルバジネート
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.43(s、3H)、1.54(s、3H)、1.56(d、3H)、3.76(s、3H)、5.38(q、1H)、5.56(brs、1H)、6.67(brs、1H)、6.69(d、1H)、6.79(d、1H)、
7.22(dd、1H)
【0044】
(6)トルエン10mlにメチル(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)カルバジネート0.84g、ピリジン0.27g及びホスゲン0.34gを加え、室温で2時間、さらに加熱還流下で1時間攪拌した。その後、反応液を減圧下濃縮した。
得られた残渣を塩化メチレン5mlに懸濁し、ここにトリエチルアミン0.41gを加え室温で2時間攪拌した。その後、反応混合物を1%塩酸に注加し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン0.77gを得た。
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.38(d、3H)、1.48(s、3H)、1.57(s、3H)、4.07(s、3H)、5.64(q、1H)、7.08(d、1H)、7.36(dd、1H)、7.49(d、1H)
【0045】
次に、製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。
製剤例1
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 20部を、キシレン65部に溶解しソルポール3005X(東邦化学登録商標)15部を加え、よく攪拌混合して乳剤を得る。
【0046】
製剤例2
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 9部を、ラウリル硫酸ナトリウム4部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末20部および珪素土65部を混合した中に加え、よく攪拌混合して水和剤を得る。
【0047】
製剤例3
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 3部、合成含水酸化珪素微粉末5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部およびクレー57部を加え、よく攪拌混合し、ついでこれらの混合物に適当量の水を加え、さらに攪拌し、増粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0048】
製剤例4
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 4.5部、合成含水酸化珪素微粉末1部、凝集剤としてドリレスB(三共社製)1部、クレー7部を乳鉢でよく混合した後にジュースミキサーで攪拌混合する。得られた混合物にカットクレー86.5部を加えて、充分攪拌混合し粉剤を得る。
【0049】
製剤例5
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン 10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより製剤を得る。
【0050】
次に、本発明化合物が有害節足動物防除効力を有することを試験例により示す。
試験例
5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンを製剤例1により乳剤に製剤化し、この乳剤を水で有効成分濃度が500ppmとなるように希釈した。この希釈液0.7mlを100mlのイオン交換水に加え、試験用薬液を調製した(有効成分濃度3.5ppm)。この試験用薬液中にアカイエカ(Culex pipiens pallens)終令幼虫約20頭を放ち、1日後にその生死を調査した。効果判定基準は、
a:死虫率90%以上
b:死虫率10%〜90%未満
c:死虫率10%未満
とした。その結果、5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンを処理した区は効果判定aを示した。それに対し、5−メトキシ−3−(1,1,3−トリメチル−2−オキサ−4−インダニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オンを含有しない乳剤を処理した区は効果判定cを示した。
【0051】
【発明の効果】
本発明化合物は優れた有害節足動物防除効力を有することから、有害節足動物防除剤の有効成分として有用である。
Claims (3)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002289625A JP2004123601A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン化合物及びその用途 |
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JP2002289625A JP2004123601A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン化合物及びその用途 |
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ID=32281736
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JP2002289625A Pending JP2004123601A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン化合物及びその用途 |
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-
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- 2002-10-02 JP JP2002289625A patent/JP2004123601A/ja active Pending
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