JP2004123536A - フェニルチアゾリジンジオン誘導体およびその医薬用途 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェニルチアゾリジンジオン誘導体およびその製薬学的に許容し得る塩、および フェニルチアゾリジンジオン誘導体およびその製薬学的に許容し得る塩を有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
キマーゼは中性のセリンプロテアーゼ(約30kD)の一つであり、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する特異的な酵素であることが知られている〔J. Biol. Chem., 265巻, 22348頁(1990年)〕。
キマーゼ阻害剤は、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するのを阻害するため、アンジオテンシンIIに起因する心臓、循環器疾患の予防、治療に有効であることが期待できる。
また、キマーゼはコラゲナーゼから活性型コラゲナーゼへの活性化や細胞外マトリックス、トロンビン、IgGの限定分解、肥満細胞からヒスタミンの遊離を促進するなどの作用が明らかになっていることから〔J. Biol. Chem. 103巻, 820頁(1988年)〕、キマーゼは、炎症性疾患、リウマチ、アレルギーなどにも関与していると予測されている。
さらに、眼組織中のキマーゼについては、その働きはまだ解明されていないが、眼循環(眼血流、房水循環)および毛様体筋の調節に関与していると考えられる。
【0003】
キマーゼ阻害剤としては、従来、イミダゾリジン誘導体(WO 9604248)、アセトアミド誘導体(WO 9809949)、トリアジンスルホン誘導体(特開平10−245384)、ヒダントイン誘導体(特開平9−31061)、キナゾリン誘導体(WO 9711941)、フェノールエステル誘導体(特開平10−87567)、チアジン誘導体(EP 0713876)、複素環式アミド化合物(WO9633974、WO9818794)などが知られている。しかし、これら化合物は未だ実用化されていない。
近年チアゾリジン骨格を有し、かつキマーゼ阻害活性を有する化合物(特開2000−95700およびWO00/06594)が開示された。しかし、これらの化合物も未だ実用化に至っていない。本発明者らは、さらに安定で強力なキマーゼ阻害活性を有するフェニルチアゾリジンジオン誘導体を開発することを目的に研究を行った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れたキマーゼ阻害作用を有する新規フェニルチアゾリジンジオン誘導体およびその製薬学的に許容し得る塩を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ある種のフェニルチアゾリジンジオン誘導体にキマーゼ阻害作用が存在することを見出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
【0007】
【化2】
【0008】
〔式中、Aはカルボニル基を示し、B1は芳香族炭化水素基を示し、B2は置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕で表わされる化合物またはその製薬学的に許容し得る塩、
【0009】
(2)上記(1)に記載の化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有してなる医薬、
(3)キマーゼが関与する疾患の予防または治療剤である上記(2)に記載の医薬、
(4)キマーゼが関与する疾患が炎症性疾患である上記(3)に記載の医薬、
(5)キマーゼが関与する疾患が循環器系疾患である上記(3)に記載の医薬、
(6)キマーゼが関与する疾患が網脈絡膜疾患または緑内障である上記(3)に記載の医薬、
(7)上記(1)に記載の化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有してなるキマーゼ阻害剤、および
(8)毛様体筋収縮弛緩調節剤である上記(7)に記載のキマーゼ阻害剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(I)において、B1で示される芳香族炭化水素基は、例えばフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ナフタセニル基などが挙げられ、好ましくはナフチル基であり、より好ましくは1−ナフチル基、2−ナフチル基である。
【0011】
B2で示されるベンゼン環に置換されていてもよい置換基としては、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素など)、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、または置換基を有していてもよい芳香環基などである。
ベンゼン環に置換されていてもよいアルキル基としては、直鎖または分岐状の炭素数1〜9のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基である。これらの低級アルキル基が有していてもよい置換基としてはアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、好ましくはフェニル基である。これらのアリール基には、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素など)などの置換基を有していてもよい。
ベンゼン環に置換されていてもよいアルコキシ基としては、直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンルチオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基およびデシルオキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基である。
ベンゼン環に置換されていてもよい芳香環基としては、アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基、フルオレニル基、フェナントレリル基、アントリル基などが挙げられる。好ましくはフェニル基である。
【0012】
ベンゼン環に置換されていてもよいこれら上記置換基は、2−,3−,4−置換体のいずれの置換体であってもよい。さらに、2以上の同一または異なった置換基を有していてもよく、2以上の置換基は、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−二置換体、2,3,4−,2,4,6−,2,3,5−三置換体、,2,3,4,5−四置換体、2,3,4,5,6−五置換体のいずれであってもよい。好ましくは、3,4−二置換体が挙げられる。具体な置換体としては、例えば3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル基などが挙げられる。
【0013】
本発明の化合物としては、例えば5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(2−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(1−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンおよび5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−フェニルカルボニル−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
【0014】
本発明の一般式(I)で示される化合物は、例えば次の製造方法により、またはこれに準じて製造することができる。
【0015】
式(II)
【化3】
【0016】
〔式(II)中、Xはハロゲン(塩素、臭素、フッ素など)原子を示し、AおよびB1は前記と同義である。〕で表される化合物と、 式(III)
【0017】
【化4】
【0018】
〔式(III)中、B2は前記と同義である。〕で示される化合物を反応溶媒中、無機または有機塩基の存在下で反応させる。
本反応に用いることができる反応溶媒としては、例えば、無水塩化メチレン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの反応に悪影響をおよぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合溶媒などが挙げられる。これら反応溶媒は適宜選択して使用できるが、テトラヒドロフランあるいはテトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒が好適である。本反応に用いる無機塩基としては、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられ、いずれも好適に使用できる。本反応に用いることができる有機塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ピリジン、ルチジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、適宜選択して用いることができるが、好ましくは水素化ナトリウムである。かかる無機および有機塩基は式(III)で示される化合物1モルに対して1〜3モル比の範囲で用いるのが好ましい。反応温度は、通常、冷却下から加温下の範囲であり、好ましくは−10℃〜30℃の範囲である。
反応物を水およびエタノールなどの常用の溶媒を用いて再結晶またはカラムクロマトグラフィーで精製することにより、一般式(I)で示される化合物を製造することができる。
【0019】
このようにして得られる一般式(I)で示される化合物の製薬学的に許容し得る塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸との塩、および、酢酸塩、クエン酸塩、トルエンスルホン酸塩などの有機酸との塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
さらに、本発明は、一般式(I)で示される化合物およびその製薬学的に許容される塩の各種の溶媒和や結晶多形、さらにそれらのプロドラッグをも包含する。
【0021】
本発明の一般式(I)で示される化合物およびその製薬学的に許容される塩は、キマーゼ阻害活性を有するので、温血動物(例えばヒト、ウサギ、モルモット、ラット、イヌ、ネコなど)のキマーゼが関与する疾患、例えば心臓・循環器系疾患(例えば経皮経管冠動脈形成術などによる血管障害後の再狭窄、高血圧症、動脈硬化、心肥大、心不全、末梢循環障害など)および糖尿病性および非糖尿病性腎障害などの予防・治療剤として、眼循環障害性疾患(網脈絡膜疾患;網膜色素変性症,黄斑変性症,虚血性視神経症,虹彩毛様体炎,網脈動脈閉塞症,網脈静脈閉塞症,糖尿病性網膜症,網脈病変に続発する脈絡膜疾患、および緑内障など)の予防・治療剤として、また、毛様体筋の収縮緊張の調節剤として近視および眼精疲労などの改善に、さらに、腎炎、肝炎、肺炎、消化管炎症および眼炎症(結膜炎、角結膜炎、角膜炎、春季カタル、ぶどう膜炎、眼窩炎症など)などの炎症性疾患、アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎など)、リウマチなどの予防・治療剤として経口的にあるいは非経口的に適宜に使用できる。
【0022】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩の製剤の形態としては、例えば、錠剤、顆粒、散剤、カプセル剤、軟膏剤などの固形製剤および注射剤、点眼剤などの液剤が挙げられる。いずれの製剤も、公知の方法により適宜調製することができる。これら製剤には、通常用いられる賦形剤(澱粉、ブドウ糖、果糖、白糖、リン酸カルシウムなど)、結合剤(澱粉、アラビアゴム、ゼラチン溶液、アルギン酸ナトリウム、カルメロース液など)、崩壊剤(澱粉、炭酸カルシウム、結晶セルロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)、吸収促進剤(チオグリコール酸、カプリン酸、カプリル酸など)、緩衝剤(ホウ酸、ホウ砂、酢酸ナトリウム、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液など)、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、溶解補助剤(ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン、ヨウ化カリウムなど)、保存剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン類、クロロブタノールなど)、乳化剤(アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、等張化剤(塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトールなど)、安定化剤(エデト酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなど)、pH調整剤(塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウムなど)などを適宜使用してもよい。
【0023】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を心臓・循環器系疾患の予防・治療剤として使用する場合、その用量は、対象とする疾患の種類、使用する化合物の種類、患者の年齢、体重、症状およびその剤形などによっても異なるが、例えば、内服剤の場合は、成人1日数回、1回量約1mg〜100mg程度投与するのがよい。また、注射剤の場合は、成人1日1回、約0.1mg〜30mg程度投与するのがよい。さらに、眼循環障害性疾患に眼局所投与形態として用いる場合、本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を約0.01w/v%〜1.0w/v%、好ましくは約0.05w/v%〜0.5w/v%含有する点眼剤を、1回1〜数滴、1日1〜6回程度点眼するのがよい。
【0024】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩は、目的と必要に応じて、本発明化合物の1種または2種以上を適宜組合わせて使用することもできる。
【0025】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩は、本発明の目的に反しない限り、その他のキマーゼ阻害成分、心臓・循環器系疾患ならびに眼循環障害に起因する疾患の予防・治療成分および/または別種の薬効成分を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0026】
【実施例】
本発明を、以下の実施例および試験例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例で述べる化合物の物性値において、核磁気共鳴スペクトル(NMR)はVarian Gemini 2000 を用いて測定したものである。
【0027】
(実施例1)
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(2−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【0028】
【化5】
【0029】
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2.0gをTHF(15mL)に溶解し、氷冷下0℃にて水素化ナトリウム(60%,油状)0.31gを加えた。30分間撹拌後、0℃にて2−ナフチルカルボニルクロリド 1.41gを加え、室温にて2.5時間撹拌した。注意深く水を加えた後、酢酸エチル200mLを加え分配した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶媒留去した。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、標題化合物を淡黄色粉末として0.88g得た。
1H−NMR(DMSO−d6) δ0.88 (3H, t, J = 6.7 Hz), 1.27−1.40 (7H, m), 1.66−1.73 (2H, m), 3.97 (2H, t, J = 6.6 Hz), 4.03−4.11 (2H, m), 6.07 (1H, s) ,7.02 (1H, d, J = 8.2 Hz) ,7.11 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.67−7.80 (2H, m) , 7.98−8.18 (4H, m), 8.81 (1H, s).
13C−NMR(DMSO−d6) δ 13.9, 14.7, 21.8, 27.7, 28.3, 53.8, 64.2, 68.4, 113.7, 114.1, 121.6, 124.5, 126.2, 127.6, 127.8, 127.9, 129.3, 129.9, 130.2, 131.9, 133.9, 136.1, 148.5, 149.1, 167.2, 169.1, 172.1.
【0030】
(実施例2)
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(1−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【0031】
【化6】
【0032】
2−ナフチルカルボニルクロリドの代わりに、1−ナフチルカルボニルクロリドを用いる以外は実施例1と同様に操作し、白色結晶の5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(1−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(収率61%:化合物2)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6) δ0.87(3H, t, J = 6.1 Hz), 1.10−1.35(7H, m), 1.69(2H, m), 3.93−4.11 (4H, m), 5.99(1H, s), 6.98−7.14(3H, m), 7.64−7.80(3H, m), 8.12(1H, d, J = 7.9 Hz), 8.35(2H, d, J = 7.5 Hz), 8.65(1H, d, J = 8.4 Hz).
13C−NMR(DMSO−d6) δ 13.9, 14.7, 21.9, 27.7, 28.4, 53.4, 64.2, 68.4, 113.7, 114.1, 121.6, 124.2, 125.1, 126.3, 127.2, 127.4, 129.2, 129.5, 130.3, 132.9, 133.5, 136.2, 148.5, 149.1, 166.6, 169.1, 171.9.
【0033】
(実施例3)
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−フェニルカルボニル−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【0034】
【化7】
【0035】
2−ナフチルカルボニルクロリドの代わりに、ベンゾイルクロリドを用いる以外は実施例1と同様に操作し、白色結晶の5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−フェニルカルボニル−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(収率9%:化合物3)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6) δ0.88 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.29−1.41 (7H, m), 1.70 (2H, t, J = 6.9 Hz), 3.96 (2H, t, J = 6.7 Hz), 4.01−4.09 (2H, m), 6.04 (1H, s), 6.98−7.07 (2H, m), 7.13 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.62 (2H, td, J = 7.1, 1.7 Hz), 7.82 (1H, tt, J = 6.8, 1.2 Hz), 8.05 (2H, dt, J = 6.6, 1.3 Hz).
13C−NMR(DMSO−d6) δ 13.9, 14.7, 21.8, 27.7, 28.3, 53.7, 64.2, 68.4, 113.7, 114.1, 121.5, 126.2, 129.5, 130.5, 130.7, 136.0, 148.5, 149.1, 167.2, 169.1, 171.9.
【0036】
試験例1.キマーゼ阻害活性
キマーゼ阻害活性は Kato 等の方法〔J. Biochem., 103巻, 820頁 (1988) 〕に準じて測定した。すなわち、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)に溶解した被験物質2.5μLに、ヒト成熟(活性型)キマーゼ (特開平10−87567公報)をキマーゼの酵素活性が2.3μUnit となるようHEPES緩衝液で調製した溶液72.5μLを加え、37℃で5分間保温した後、基質として0.6mM Suc−Ala−Ala−Pro−Phe−MCA(ペプチド研究所製)/トリス緩衝液を125μL添加し、反応液とした。反応液を、マルチウェルプレートリーダー CYTOFLUOR Series 4000(パーセプティブバイオシステムズ社製)にセットし、30℃で、30分間、蛍光強度の変化を経時的に測定した(励起波長360nm、検出波長450nm)。
コントロールは、被験薬を含まないDMSO2.5μLを使用し、同様に処理し測定した。ブランクはキマーゼ溶液をの代わりにHEPES緩衝液を加え、同様に処理し測定した。
キマーゼ阻害率(%)は、蛍光強度の変化からそれぞれ被験薬の近似直線の傾き(S),コントロールの近似直線の傾き(C),被験薬のブランクの近似直線の傾き(Bs), コントロールのブランクの近似直線の傾き(Bc)を算出し、下記式から算出した。
阻害率(%)=〔1−(S−Bs)/(C−Bc)〕×100
【0037】
(試験結果)
本発明の主な化合物につき、この方法で求めた阻害率(%)より50%阻害濃度(IC50)を計算し表1に示す。本結果は、本発明の一般式(I)で示される化合物はキマーゼ阻害活性を有することを示す。
【0038】
【表1】
【0039】
製剤例1 錠剤
化合物 1 50mg
乳糖 80mg
デンプン 17mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
結晶セルロース 10mg
以上の成分を1錠分の材料として、常法により錠剤を成形した。この錠剤は糖衣およびフィルム(例えばエチルセルロースなど)でコーティングしてもよい。
【0040】
製剤例2 カプセル剤
化合物2 75mg
マンニット 75mg
デンプン 17mg
ステアリン酸カルシウム 3mg
以上の成分を1カプセル剤の材料として均一に混合し、常法により顆粒状とし、硬カプセルに充填した。この充填する顆粒は必要に応じて糖衣およびフィルム(例えばエチルセルロースなど)でコーティングしてもよい。
【0041】
製剤例3 水性懸濁点眼剤
化合物1 0.5g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
リン酸2水素ナトリウム・2水和物 0.1g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
0.1N水酸化ナトリウム 適量(pH7.2)
精製水 全100mL
精製水約80mLにヒドロキシプロピルメチルセルロースを加温して分散させた後、室温まで冷却して溶かした、この溶液に塩化ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム・2水和物および塩化ベンザルコニウムを加えて溶かし、0.1N水酸化ナトリウムを加えpHを7.2に調製した。この液に化合物10を添加し、ホモジナイザーにより均一に懸濁させた。精製水を加え、全量100mLとし、水性懸濁点眼剤を調整した。
【0042】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で示される化合物およびその製薬学的に許容される塩は、温血動物(例えばヒト、ウサギ、モルモット、ラット、イヌ、ネコなど)のキマーゼが関与する疾患に有用であり、例えば心臓・循環器系疾患(例えば経皮経管冠動脈形成術などによる血管障害後の再狭窄、高血圧症、動脈硬化、心肥大、心不全、末梢循環障害など)、糖尿病性および非糖尿病性腎障害、眼循環障害性疾患(網脈絡膜疾患;網膜色素変性症,黄斑変性症,虚血性視神経症,虹彩毛様体炎,網脈動脈閉塞症,網脈静脈閉塞症,糖尿病性網膜症,網脈病変に続発する脈絡膜疾患、および緑内障など)の予防・治療剤として、また、毛様体筋の収縮緊張の調節剤として近視および眼精疲労などの改善に、さらに、腎炎、肝炎、肺炎、消化管炎症および眼炎症(結膜炎、角結膜炎、角膜炎、春季カタル、ぶどう膜炎、眼窩炎症など)などの炎症性疾患、アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎など)、リウマチなどの予防・治療剤に有利に使用される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェニルチアゾリジンジオン誘導体およびその製薬学的に許容し得る塩、および フェニルチアゾリジンジオン誘導体およびその製薬学的に許容し得る塩を有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
キマーゼは中性のセリンプロテアーゼ(約30kD)の一つであり、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する特異的な酵素であることが知られている〔J. Biol. Chem., 265巻, 22348頁(1990年)〕。
キマーゼ阻害剤は、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するのを阻害するため、アンジオテンシンIIに起因する心臓、循環器疾患の予防、治療に有効であることが期待できる。
また、キマーゼはコラゲナーゼから活性型コラゲナーゼへの活性化や細胞外マトリックス、トロンビン、IgGの限定分解、肥満細胞からヒスタミンの遊離を促進するなどの作用が明らかになっていることから〔J. Biol. Chem. 103巻, 820頁(1988年)〕、キマーゼは、炎症性疾患、リウマチ、アレルギーなどにも関与していると予測されている。
さらに、眼組織中のキマーゼについては、その働きはまだ解明されていないが、眼循環(眼血流、房水循環)および毛様体筋の調節に関与していると考えられる。
【0003】
キマーゼ阻害剤としては、従来、イミダゾリジン誘導体(WO 9604248)、アセトアミド誘導体(WO 9809949)、トリアジンスルホン誘導体(特開平10−245384)、ヒダントイン誘導体(特開平9−31061)、キナゾリン誘導体(WO 9711941)、フェノールエステル誘導体(特開平10−87567)、チアジン誘導体(EP 0713876)、複素環式アミド化合物(WO9633974、WO9818794)などが知られている。しかし、これら化合物は未だ実用化されていない。
近年チアゾリジン骨格を有し、かつキマーゼ阻害活性を有する化合物(特開2000−95700およびWO00/06594)が開示された。しかし、これらの化合物も未だ実用化に至っていない。本発明者らは、さらに安定で強力なキマーゼ阻害活性を有するフェニルチアゾリジンジオン誘導体を開発することを目的に研究を行った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れたキマーゼ阻害作用を有する新規フェニルチアゾリジンジオン誘導体およびその製薬学的に許容し得る塩を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ある種のフェニルチアゾリジンジオン誘導体にキマーゼ阻害作用が存在することを見出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
【0007】
【化2】
【0008】
〔式中、Aはカルボニル基を示し、B1は芳香族炭化水素基を示し、B2は置換されていてもよいベンゼン環を示す。〕で表わされる化合物またはその製薬学的に許容し得る塩、
【0009】
(2)上記(1)に記載の化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有してなる医薬、
(3)キマーゼが関与する疾患の予防または治療剤である上記(2)に記載の医薬、
(4)キマーゼが関与する疾患が炎症性疾患である上記(3)に記載の医薬、
(5)キマーゼが関与する疾患が循環器系疾患である上記(3)に記載の医薬、
(6)キマーゼが関与する疾患が網脈絡膜疾患または緑内障である上記(3)に記載の医薬、
(7)上記(1)に記載の化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有してなるキマーゼ阻害剤、および
(8)毛様体筋収縮弛緩調節剤である上記(7)に記載のキマーゼ阻害剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(I)において、B1で示される芳香族炭化水素基は、例えばフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ナフタセニル基などが挙げられ、好ましくはナフチル基であり、より好ましくは1−ナフチル基、2−ナフチル基である。
【0011】
B2で示されるベンゼン環に置換されていてもよい置換基としては、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素など)、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、または置換基を有していてもよい芳香環基などである。
ベンゼン環に置換されていてもよいアルキル基としては、直鎖または分岐状の炭素数1〜9のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基である。これらの低級アルキル基が有していてもよい置換基としてはアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、好ましくはフェニル基である。これらのアリール基には、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素など)などの置換基を有していてもよい。
ベンゼン環に置換されていてもよいアルコキシ基としては、直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンルチオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基およびデシルオキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基である。
ベンゼン環に置換されていてもよい芳香環基としては、アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基、フルオレニル基、フェナントレリル基、アントリル基などが挙げられる。好ましくはフェニル基である。
【0012】
ベンゼン環に置換されていてもよいこれら上記置換基は、2−,3−,4−置換体のいずれの置換体であってもよい。さらに、2以上の同一または異なった置換基を有していてもよく、2以上の置換基は、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−二置換体、2,3,4−,2,4,6−,2,3,5−三置換体、,2,3,4,5−四置換体、2,3,4,5,6−五置換体のいずれであってもよい。好ましくは、3,4−二置換体が挙げられる。具体な置換体としては、例えば3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル基などが挙げられる。
【0013】
本発明の化合物としては、例えば5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(2−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(1−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンおよび5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−フェニルカルボニル−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
【0014】
本発明の一般式(I)で示される化合物は、例えば次の製造方法により、またはこれに準じて製造することができる。
【0015】
式(II)
【化3】
【0016】
〔式(II)中、Xはハロゲン(塩素、臭素、フッ素など)原子を示し、AおよびB1は前記と同義である。〕で表される化合物と、 式(III)
【0017】
【化4】
【0018】
〔式(III)中、B2は前記と同義である。〕で示される化合物を反応溶媒中、無機または有機塩基の存在下で反応させる。
本反応に用いることができる反応溶媒としては、例えば、無水塩化メチレン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの反応に悪影響をおよぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合溶媒などが挙げられる。これら反応溶媒は適宜選択して使用できるが、テトラヒドロフランあるいはテトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒が好適である。本反応に用いる無機塩基としては、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられ、いずれも好適に使用できる。本反応に用いることができる有機塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ピリジン、ルチジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、適宜選択して用いることができるが、好ましくは水素化ナトリウムである。かかる無機および有機塩基は式(III)で示される化合物1モルに対して1〜3モル比の範囲で用いるのが好ましい。反応温度は、通常、冷却下から加温下の範囲であり、好ましくは−10℃〜30℃の範囲である。
反応物を水およびエタノールなどの常用の溶媒を用いて再結晶またはカラムクロマトグラフィーで精製することにより、一般式(I)で示される化合物を製造することができる。
【0019】
このようにして得られる一般式(I)で示される化合物の製薬学的に許容し得る塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸との塩、および、酢酸塩、クエン酸塩、トルエンスルホン酸塩などの有機酸との塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
さらに、本発明は、一般式(I)で示される化合物およびその製薬学的に許容される塩の各種の溶媒和や結晶多形、さらにそれらのプロドラッグをも包含する。
【0021】
本発明の一般式(I)で示される化合物およびその製薬学的に許容される塩は、キマーゼ阻害活性を有するので、温血動物(例えばヒト、ウサギ、モルモット、ラット、イヌ、ネコなど)のキマーゼが関与する疾患、例えば心臓・循環器系疾患(例えば経皮経管冠動脈形成術などによる血管障害後の再狭窄、高血圧症、動脈硬化、心肥大、心不全、末梢循環障害など)および糖尿病性および非糖尿病性腎障害などの予防・治療剤として、眼循環障害性疾患(網脈絡膜疾患;網膜色素変性症,黄斑変性症,虚血性視神経症,虹彩毛様体炎,網脈動脈閉塞症,網脈静脈閉塞症,糖尿病性網膜症,網脈病変に続発する脈絡膜疾患、および緑内障など)の予防・治療剤として、また、毛様体筋の収縮緊張の調節剤として近視および眼精疲労などの改善に、さらに、腎炎、肝炎、肺炎、消化管炎症および眼炎症(結膜炎、角結膜炎、角膜炎、春季カタル、ぶどう膜炎、眼窩炎症など)などの炎症性疾患、アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎など)、リウマチなどの予防・治療剤として経口的にあるいは非経口的に適宜に使用できる。
【0022】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩の製剤の形態としては、例えば、錠剤、顆粒、散剤、カプセル剤、軟膏剤などの固形製剤および注射剤、点眼剤などの液剤が挙げられる。いずれの製剤も、公知の方法により適宜調製することができる。これら製剤には、通常用いられる賦形剤(澱粉、ブドウ糖、果糖、白糖、リン酸カルシウムなど)、結合剤(澱粉、アラビアゴム、ゼラチン溶液、アルギン酸ナトリウム、カルメロース液など)、崩壊剤(澱粉、炭酸カルシウム、結晶セルロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)、吸収促進剤(チオグリコール酸、カプリン酸、カプリル酸など)、緩衝剤(ホウ酸、ホウ砂、酢酸ナトリウム、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液など)、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、溶解補助剤(ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン、ヨウ化カリウムなど)、保存剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン類、クロロブタノールなど)、乳化剤(アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、等張化剤(塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトールなど)、安定化剤(エデト酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなど)、pH調整剤(塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウムなど)などを適宜使用してもよい。
【0023】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を心臓・循環器系疾患の予防・治療剤として使用する場合、その用量は、対象とする疾患の種類、使用する化合物の種類、患者の年齢、体重、症状およびその剤形などによっても異なるが、例えば、内服剤の場合は、成人1日数回、1回量約1mg〜100mg程度投与するのがよい。また、注射剤の場合は、成人1日1回、約0.1mg〜30mg程度投与するのがよい。さらに、眼循環障害性疾患に眼局所投与形態として用いる場合、本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を約0.01w/v%〜1.0w/v%、好ましくは約0.05w/v%〜0.5w/v%含有する点眼剤を、1回1〜数滴、1日1〜6回程度点眼するのがよい。
【0024】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩は、目的と必要に応じて、本発明化合物の1種または2種以上を適宜組合わせて使用することもできる。
【0025】
本発明の一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容し得る塩は、本発明の目的に反しない限り、その他のキマーゼ阻害成分、心臓・循環器系疾患ならびに眼循環障害に起因する疾患の予防・治療成分および/または別種の薬効成分を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0026】
【実施例】
本発明を、以下の実施例および試験例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例で述べる化合物の物性値において、核磁気共鳴スペクトル(NMR)はVarian Gemini 2000 を用いて測定したものである。
【0027】
(実施例1)
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(2−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【0028】
【化5】
【0029】
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン 2.0gをTHF(15mL)に溶解し、氷冷下0℃にて水素化ナトリウム(60%,油状)0.31gを加えた。30分間撹拌後、0℃にて2−ナフチルカルボニルクロリド 1.41gを加え、室温にて2.5時間撹拌した。注意深く水を加えた後、酢酸エチル200mLを加え分配した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶媒留去した。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、標題化合物を淡黄色粉末として0.88g得た。
1H−NMR(DMSO−d6) δ0.88 (3H, t, J = 6.7 Hz), 1.27−1.40 (7H, m), 1.66−1.73 (2H, m), 3.97 (2H, t, J = 6.6 Hz), 4.03−4.11 (2H, m), 6.07 (1H, s) ,7.02 (1H, d, J = 8.2 Hz) ,7.11 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.67−7.80 (2H, m) , 7.98−8.18 (4H, m), 8.81 (1H, s).
13C−NMR(DMSO−d6) δ 13.9, 14.7, 21.8, 27.7, 28.3, 53.8, 64.2, 68.4, 113.7, 114.1, 121.6, 124.5, 126.2, 127.6, 127.8, 127.9, 129.3, 129.9, 130.2, 131.9, 133.9, 136.1, 148.5, 149.1, 167.2, 169.1, 172.1.
【0030】
(実施例2)
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(1−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【0031】
【化6】
【0032】
2−ナフチルカルボニルクロリドの代わりに、1−ナフチルカルボニルクロリドを用いる以外は実施例1と同様に操作し、白色結晶の5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−(1−ナフチルカルボニル)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(収率61%:化合物2)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6) δ0.87(3H, t, J = 6.1 Hz), 1.10−1.35(7H, m), 1.69(2H, m), 3.93−4.11 (4H, m), 5.99(1H, s), 6.98−7.14(3H, m), 7.64−7.80(3H, m), 8.12(1H, d, J = 7.9 Hz), 8.35(2H, d, J = 7.5 Hz), 8.65(1H, d, J = 8.4 Hz).
13C−NMR(DMSO−d6) δ 13.9, 14.7, 21.9, 27.7, 28.4, 53.4, 64.2, 68.4, 113.7, 114.1, 121.6, 124.2, 125.1, 126.3, 127.2, 127.4, 129.2, 129.5, 130.3, 132.9, 133.5, 136.2, 148.5, 149.1, 166.6, 169.1, 171.9.
【0033】
(実施例3)
5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−フェニルカルボニル−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン
【0034】
【化7】
【0035】
2−ナフチルカルボニルクロリドの代わりに、ベンゾイルクロリドを用いる以外は実施例1と同様に操作し、白色結晶の5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)−3−フェニルカルボニル−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(収率9%:化合物3)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6) δ0.88 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.29−1.41 (7H, m), 1.70 (2H, t, J = 6.9 Hz), 3.96 (2H, t, J = 6.7 Hz), 4.01−4.09 (2H, m), 6.04 (1H, s), 6.98−7.07 (2H, m), 7.13 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.62 (2H, td, J = 7.1, 1.7 Hz), 7.82 (1H, tt, J = 6.8, 1.2 Hz), 8.05 (2H, dt, J = 6.6, 1.3 Hz).
13C−NMR(DMSO−d6) δ 13.9, 14.7, 21.8, 27.7, 28.3, 53.7, 64.2, 68.4, 113.7, 114.1, 121.5, 126.2, 129.5, 130.5, 130.7, 136.0, 148.5, 149.1, 167.2, 169.1, 171.9.
【0036】
試験例1.キマーゼ阻害活性
キマーゼ阻害活性は Kato 等の方法〔J. Biochem., 103巻, 820頁 (1988) 〕に準じて測定した。すなわち、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)に溶解した被験物質2.5μLに、ヒト成熟(活性型)キマーゼ (特開平10−87567公報)をキマーゼの酵素活性が2.3μUnit となるようHEPES緩衝液で調製した溶液72.5μLを加え、37℃で5分間保温した後、基質として0.6mM Suc−Ala−Ala−Pro−Phe−MCA(ペプチド研究所製)/トリス緩衝液を125μL添加し、反応液とした。反応液を、マルチウェルプレートリーダー CYTOFLUOR Series 4000(パーセプティブバイオシステムズ社製)にセットし、30℃で、30分間、蛍光強度の変化を経時的に測定した(励起波長360nm、検出波長450nm)。
コントロールは、被験薬を含まないDMSO2.5μLを使用し、同様に処理し測定した。ブランクはキマーゼ溶液をの代わりにHEPES緩衝液を加え、同様に処理し測定した。
キマーゼ阻害率(%)は、蛍光強度の変化からそれぞれ被験薬の近似直線の傾き(S),コントロールの近似直線の傾き(C),被験薬のブランクの近似直線の傾き(Bs), コントロールのブランクの近似直線の傾き(Bc)を算出し、下記式から算出した。
阻害率(%)=〔1−(S−Bs)/(C−Bc)〕×100
【0037】
(試験結果)
本発明の主な化合物につき、この方法で求めた阻害率(%)より50%阻害濃度(IC50)を計算し表1に示す。本結果は、本発明の一般式(I)で示される化合物はキマーゼ阻害活性を有することを示す。
【0038】
【表1】
【0039】
製剤例1 錠剤
化合物 1 50mg
乳糖 80mg
デンプン 17mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
結晶セルロース 10mg
以上の成分を1錠分の材料として、常法により錠剤を成形した。この錠剤は糖衣およびフィルム(例えばエチルセルロースなど)でコーティングしてもよい。
【0040】
製剤例2 カプセル剤
化合物2 75mg
マンニット 75mg
デンプン 17mg
ステアリン酸カルシウム 3mg
以上の成分を1カプセル剤の材料として均一に混合し、常法により顆粒状とし、硬カプセルに充填した。この充填する顆粒は必要に応じて糖衣およびフィルム(例えばエチルセルロースなど)でコーティングしてもよい。
【0041】
製剤例3 水性懸濁点眼剤
化合物1 0.5g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
リン酸2水素ナトリウム・2水和物 0.1g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
0.1N水酸化ナトリウム 適量(pH7.2)
精製水 全100mL
精製水約80mLにヒドロキシプロピルメチルセルロースを加温して分散させた後、室温まで冷却して溶かした、この溶液に塩化ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム・2水和物および塩化ベンザルコニウムを加えて溶かし、0.1N水酸化ナトリウムを加えpHを7.2に調製した。この液に化合物10を添加し、ホモジナイザーにより均一に懸濁させた。精製水を加え、全量100mLとし、水性懸濁点眼剤を調整した。
【0042】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で示される化合物およびその製薬学的に許容される塩は、温血動物(例えばヒト、ウサギ、モルモット、ラット、イヌ、ネコなど)のキマーゼが関与する疾患に有用であり、例えば心臓・循環器系疾患(例えば経皮経管冠動脈形成術などによる血管障害後の再狭窄、高血圧症、動脈硬化、心肥大、心不全、末梢循環障害など)、糖尿病性および非糖尿病性腎障害、眼循環障害性疾患(網脈絡膜疾患;網膜色素変性症,黄斑変性症,虚血性視神経症,虹彩毛様体炎,網脈動脈閉塞症,網脈静脈閉塞症,糖尿病性網膜症,網脈病変に続発する脈絡膜疾患、および緑内障など)の予防・治療剤として、また、毛様体筋の収縮緊張の調節剤として近視および眼精疲労などの改善に、さらに、腎炎、肝炎、肺炎、消化管炎症および眼炎症(結膜炎、角結膜炎、角膜炎、春季カタル、ぶどう膜炎、眼窩炎症など)などの炎症性疾患、アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎など)、リウマチなどの予防・治療剤に有利に使用される。
Claims (8)
- 請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有してなる医薬。
- キマーゼが関与する疾患の予防または治療剤である請求項2に記載の医薬。
- キマーゼが関与する疾患が炎症性疾患である請求項3に記載の医薬。
- キマーゼが関与する疾患が循環器系疾患である請求項3に記載の医薬。
- キマーゼが関与する疾患が網脈絡膜疾患または緑内障である請求項3に記載の医薬。
- 請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有してなるキマーゼ阻害剤。
- 毛様体筋収縮弛緩調節剤である請求項7に記載のキマーゼ阻害剤。
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