JP2004123247A - 多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各塗布ステーション26のダンサローラ30の位置が中立位置で安定するまで対応するフィードローラ32の回転速度を調整してその回転速度を各塗布ステーションにおけるフィードローラの基準回転速度とする。次に、ダンサローラ30に変動が発生した場合には、短い周期の変動は無視して長い周期の変動が中立位置から次第に離れていく傾向にある場合のみ、ダンサローラ30が中立位置に戻るように対応するフィードローラ32の回転速度を微調整する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法に係り、特に、送出機から送り出されて搬送されるウエブに、該ウエブの搬送ラインに順次配置された複数の塗布ステーションで塗布液を逐次塗布して巻取機に巻き取ることにより製造される多層逐次塗布シートに塗布ムラが生じないようにするためのウエブ搬送制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウエブに塗布液を複数回塗布することで多層塗布されたシートを形成する装置として、送出機から送り出されて搬送されるウエブに、該ウエブの搬送ラインに順次配置された複数の塗布ステーションで塗布液を逐次塗布して巻取機に巻き取る多層逐次塗布装置がある。このように、複数の塗布ステーションで塗布液を逐次塗布する多層逐次塗布装置では、塗布ムラが発生しないように、各塗布ステーションでのウエブの搬送速度変動率が小さくなるようにすることが重要である。
【0003】
このことから、従来は、複数の塗布ステーションの1つを、ウエブ搬送速度の速度基準となるマスターステーションとし、マスターステーション以外の塗布ステーションのフィードローラを、マスターステーションのフィードローラの回転速度を基準としてP制御(比例制御)若しくはPI制御(比例・積分制御)するようにしていた。また、各塗布ステーションの間にダンサローラ等のアキュムレータを設けて、大きな変動を吸収していた。例えば、特許文献1には、多段印刷において、ダンサローラを基準位置に復帰させるようにインフィードローラの回転速度を制御すると共に、シート材の張力変動を抑制するようにインフィードローラの回転速度を制御する回転速度制御手段を備え、少なくともダンサローラが基準位置に保持された不感帯領域で張力検出手段の検出信号に応じたインフィードローラの回転速度制御を実行するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−145499
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法の場合、マスターステーションは対応するフィードローラの回転速度を固定することでウエブの搬送速度変動率を小さく抑制できるが、マスターステーション以外の塗布ステーションでは少なからず外乱の影響を受けるので、対応するフィードローラの回転速度を頻繁に可変しなくてはならず、マスターステーションレベルまでウエブの搬送速度変動率は小さくすることができないという欠点がある。即ち、多層逐次塗布装置のウエブ搬送ラインには、ウエブを浮上させながら搬送させる浮上系パス装置でのウエブの振動、乾燥ステーションでの乾燥風によるウエブのバタツキや乾燥熱によるウエブの収縮、搬送中のウエブの蛇行等の様々な外乱要素があるため、マスターステーション以外の塗布ステーションでは、少なからず外乱の影響を前後の塗布ステーションから受けることになる。特に、マスターステーションから離れた塗布ステーションほど外乱要素が多くなると共に、種々の外乱が加算されて外乱量が大きくなるので、ウエブの搬送速度変動率を小さくすることが極めて難しい。
【0006】
この為、従来のウエブ搬送制御方法では、外乱量やダンサローラの移動周期に応じてウエブ搬送の速度基準が支配されるため、特許文献1のようにダンサローラ、フィードローラ、張力検出手段等の構成で制御ゲインを小さくする不感帯を設ける等の工夫を凝らしたとしても、マスターステーション以外の塗布ステーションにおけるウエブの搬送速度変動率をマスターステーションレベルまで小さくすることは不可能である。
【0007】
従って、マスターステーション以外の塗布ステーションでの塗布ムラをある程度無視できる多層逐次塗布シートであれば、従来のウエブ搬送制御方法でも採用可能であるが、昨今のように塗布面状に高い品質が要求され且つ塗布厚みが薄く各層の塗布ムラが塗布表面の面質に影響し易い場合には、全ての塗布ステーションでの塗布ムラをなくすことが必要であり、従来のウエブ搬送制御方法は採用できないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、複数の塗布ステーションから成る多層逐次塗布において、マスターステーション以外の塗布ステーションにおけるウエブの搬送速度変動率をマスターステーションなみのレベルまで小さくすることができるので、ウエブの走行方向に経時的な塗布ムラのない良好な多層逐次塗布シートを得ることのできる多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、送出機から送り出されて巻取機に巻き取られるウエブの搬送ラインに順次配置された複数の塗布ステーションで、搬送されるウエブに塗布液を逐次塗布する多層逐次塗布装置であって、前記各塗布ステーションのうちの1つをウエブの搬送速度基準となるマスターステーションとして前記各塗布ステーションに対応して設けられたフィードローラとダンサローラとで前記搬送されるウエブの搬送速度を制御するウエブ搬送制御方法において、前記各塗布ステーションのダンサローラの位置が中立位置で安定するまで対応するフィードローラの回転速度を調整してその回転速度を各塗布ステーションにおけるフィードローラの基準回転速度とする第1の制御と、前記各塗布ステーションのフィードローラの回転速度を前記基準回転速度に固定すると共に、固定することによりダンサローラに変動が発生した場合には、短い周期の変動は無視して長い周期の変動が前記中立位置から次第に離れていく傾向にある場合のみ、ダンサローラが前記中立位置に戻るように対応するフィードローラの回転速度を微調整する第2の制御と、から成ることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、各塗布ステーションのうちの1つをウエブ搬送速度の基準となるマスターステーションとして各塗布ステーションごとに設けられたフィードローラとダンサローラとでウエブの搬送速度を制御するウエブ搬送制御方法において、先ず、各塗布ステーションのダンサローラの位置が中立位置で安定するまで対応するフィードローラの回転速度を調整してその回転速度を各塗布ステーションにおけるフィードローラの基準回転速度とする第1の制御を行う。
【0011】
これにより、各塗布ステーションごとに、外乱の影響を加味した上でウエブの搬送速度を安定させるためのフィードローラの基準回転速度を得ることができる。この場合、マスターステーションから離れた塗布ステーションほど外乱の影響が大きくなるが、各塗布ステーションごとにダンサローラが中立位置に安定するようにフィードローラを調整することで、塗布ステーションごとに異なる外乱の種類や大きさをも考慮した基準回転速度を得ることができる。
【0012】
次に、各塗布ステーションごとのフィードローラの回転速度を前記基準回転速度に固定する。これにより、マスターステーションのみならず、マスターステーション以外の塗布ステーションのウエブ搬送速度も安定する。しかし、フィードローラの回転速度を固定したまま長時間運転していると各塗布ステーションにおけるダンサローラの位置が徐々に変わって、ウエブテンションに影響を及ぼす恐れがある。そこで、ダンサローラに変動が発生した場合には、ウエブテンションに殆ど影響のない短い周期の変動は無視して長い周期の変動が中立位置から次第に離れていく傾向にある場合のみ、ダンサローラが中立位置に戻るように、対応するフィードローラの回転速度を微調整するようにした。これにより、フィードローラの回転速度を固定することによるウエブのテンション変動も防止できる。
【0013】
従って、本発明の多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法を行うことによって、複数の塗布ステーションから成る多層逐次塗布において、マスターステーション以外の塗布ステーションにおけるウエブの搬送速度変動率を、マスターステーションレベルまで小さくすることができる。各塗布ステーションでの搬送速度変動率としては、ウエブ搬送速度の平均値をV(m/分)、ウエブの搬送速度の変動量をΔv(m/分)としたときに、搬送速度変動率(Δv/V)×100を0.5%以下に、好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.2%以下にすることが好ましく、本発明を実施することで達成できる。これにより、ウエブの走行方向に経時的な塗布ムラのない良好な多層逐次塗布シートを得ることができる。
【0014】
本発明の請求項2は、請求項1において、ダンサローラの制御有効ストロークが1.5m以上あることを特徴とするもので、ダンサローラの長周期の変動を包含できることが必要なためである。
【0015】
本発明の請求項3は、請求項1又は2において、前記ダンサローラ近傍のウエブテンションを検出し、検出結果に応じて前記ウエブのテンションが一定に維持されるように、前記ダンサローラに加える荷重を制御することを特徴とする。これにより、ウエブテンションを一定に維持することができるので、フィードローラの微調整の程度を一層小さくすることができ、ウエブの搬送速度変動率の低減に寄与する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0017】
図1は本発明を適用する多層逐次塗布装置10を模式的に図示したものであり、3つの塗布ステーションで3層逐次塗布する一例である。尚、塗布ステーションの数は3つに限定されるものではなく、複数以上であればよい。
【0018】
図1に示すように、3層逐次塗布を行う多層逐次塗布装置10は、ウエブ12を搬送ラインに送り出す送出機14と、塗布・乾燥されたウエブ12を巻き取る巻取機16との間に、送出機14側から順に、第1の塗布・乾燥工程18、第2の塗布・乾燥工程20、及び第3の塗布・乾燥工程22の3つの塗布・乾燥工程を設けて構成される。そして、送出機14から送り出されたウエブ12は、第1の塗布・乾燥工程18で第1層目の塗布層の塗布・乾燥が行われ、第2の塗布・乾燥工程20で第2層目の塗布層の塗布・乾燥が行われ、第3の塗布・乾燥工程22で第3層目の塗布層の塗布・乾燥が行われ、巻取機16に巻き取られる。これにより、図2に示す3層逐次塗布シート24が製造される。
【0019】
第1及び第2の塗布・乾燥工程18、20の構成は同じであり、塗布ステーション26と塗布されたウエブ12を乾燥する乾燥ステーション28が設けられ、乾燥ステーション28のウエブ搬送方向から見た下流側にアキューム量の大きな、即ち制御変動ストロークの許容量が大きなダンサローラ装置31が配置され、塗布ステーション26の上流側にウエブ12を確実に保持して搬送することのできるフィードローラ32が配置される。また、乾燥ステーション28とダンサローラ装置31との間には、浮上系パス装置34が設けられる。
【0020】
第3の塗布・乾燥工程22は、浮上系パス装置34を有しない他は第1及び第2の塗布・乾燥工程18、20と同様であり、説明は省略する。
【0021】
尚、多層逐次塗布装置10は、上記構成に限定されるものでははく、例えば、送出機14と第1の塗布・乾燥工程18との間に、更にダンサローラ装置31やフィードローラ32を設けてもよく、第3の塗布・乾燥工程22と巻取機16との間に、更にダンサローラ装置31やフィードローラ32を設けてもよい。また、搬送ラインには複数のパスローラ36が随意配置される。
【0022】
各塗布ステーション26に設けられる塗布装置としては、薄膜塗布層を高速塗布可能なエクストルージョン型の塗布装置が好適であるが、特に限定するものではなく、ロールコータ、キスコータ、グラビアコータ、スライドビードコータ等の各種の塗布機を使用することができる。エクストルージョン型の塗布装置38は、図3に示すように、塗布ヘッド40と、ウエブ12を支持するコーティングローラ42とで構成される。塗布ヘッド40内には、塗布液が供給されて塗布幅方向に拡流されるポケット部44と、ポケット部44に連通されるスリット46とから構成され、コーティングローラ42に支持されて搬送されるウエブ12にスリット46先端から吐出された塗布液がビードを介して塗布される。コーティングローラ42の回転速度は、各塗布ステーション26に対応するフィードローラ32の回転速度に連動して回転駆動する。
【0023】
各乾燥ステーション28に設けられるドライヤーとしては、図示しないが、乾燥風が供給されるトンネル状の乾燥ドーム内でウエブ12をロール搬送しながら乾燥するタイプのドライヤーや、ウエブ12の上側と下側にウエブの搬送ラインに沿って設けた複数の吹出器から乾燥風を吹き出すことで、ウエブ12を浮上搬送させながら乾燥するタイプのドライヤー等を使用することができ、ドライヤーの種類には特に限定されない。
【0024】
ダンサローラ30は、その変動ストロークが従来のP制御(比例制御)若しくはPI制御(比例・積分制御)の場合よりも大きいことが必要であり、1.5m以上、好ましくは2m以上あることが好ましい。また、フィードローラ32としては、ウエブ12の保持搬送力を十分に有することが必要であり、ウエブ12を吸引保持して搬送するサクションドラム又はウエブを挟持して搬送するニップローラを好適に使用できる。
【0025】
ダンサローラ装置31は、図4に示すように、固定支持された一対のパスローラ36の下方に、軸48を中心にA−B方向に揺動可能なアーム50の先端部にダンサローラ30が設けられ、ウエブ12がダンサローラ30を介して一対のパスローラ36に掛け渡される。これにより、ウエブ12の搬送速度変動やテンション変動があると、アーム50がA−B方向に揺動してダンサローラ30が上下動することで、変動を吸収する。また、ダンサローラ装置31には、ダンサローラ30に加わる荷重を制御する荷重制御手段が設けられると共に、ダンサローラ装置31の近傍のウエブ位置には、ウエブテンションを検出するテンション検出器54が設けられる。そして、テンション検出器54で検出されたウエブテンションが一定に維持されるように、ダンサローラ30に加わる荷重が荷重制御手段により制御される。荷重制御手段としては、例えば、エアシリンダ装置56を使用することができ、エアシリンダ装置56のピストンロッド58の先端孔が、アーム50に固定されたピン60に回動自在に連結される。そして、テンション検出器54で検出された検出結果に応じてウエブ12のテンションが一定に維持されるように、エアシリンダ装置56のエア圧が制御される。更に、アーム50の軸48部分には、揺動角度検出器62が設けられ、中立位置(水平位置)に対するアーム50の揺動角度が検出される。
【0026】
そして、ダンサローラ装置31の揺動角度検出器62の検出値やテンション検出器54の検出値は、多層逐次塗布装置10を制御するコントローラ(図示せず)に逐次入力され、それに基づいて各塗布・乾燥工程18、20、22のフィードローラ32、ダンサローラ装置31及びエアシリンダ装置56等が制御される。
【0027】
次に、上記の如く構成された多層逐次塗布装置10を使用してウエブ12の搬送制御方法を説明する。尚、第1から第3の塗布・乾燥工程18、20、22の塗布ステーション26の1つをウエブ12の搬送速度の基準となるマスターステーションとする。
【0028】
多層逐次塗布装置10の運転を開始して送出機14からウエブ12を送り出し始めたら、コントローラは、各塗布ステーション26に対応するダンサローラ30が中立位置、即ちダンサローラ装置31に取り付けた揺動角度検出器62の揺動角度がゼロ(アーム50が水平状態)又はゼロ近傍の所定振れ幅内で安定するまで対応するフィードローラ32の回転速度を調整する。この調整を行うための制御としてはダンサローラ30の位置偏差に基づくP制御若しくはPI制御を使用することができる。これにより、各塗布ステーション26ごとに、外乱の影響を加味した上でウエブ12の搬送速度を安定させるためのフィードローラ32の基準回転速度を得ることができる。
【0029】
この場合、各乾燥ステーション28での温湿度や、搬送されるウエブ12の搬送が安定するまでは、温湿度や搬送が不安定なことによる外乱も含まれて、外乱内容が複雑になるだけでなく、このような状態で塗布を行っても良好な製品が得られない。従って、各乾燥ステーション28での温湿度や、搬送されるウエブ12の搬送が安定するまでは、各塗布ステーション26での塗布を行わないでダンサローラ30が中立位置になるようにフィードローラ32の回転速度をP制御若しくはPI制御しておいて、ダンサローラ30が安定したら塗布を開始して再度ダンサローラ30が中立位置になるようにフィードローラ32の回転速度をP制御補正若しくはPI制御補正することが好ましい。
【0030】
通常は、各塗布ステーション26の塗布を開始した状態で、送出機14から送り出されたウエブ12の送り出し開始部分が巻取機16に到着した時点で、搬送ライン全体に発生する全ての外乱を加味したフィードローラ32の基準回転速度が得られる。従って、ウエブが巻取機16に到着した時点でのP制御補正値若しくはPI制御補正値をコントローラに記憶して、塗布のない状態でのP制御若しくはPI制御に補正を加えるようにすればよい。この場合、コントローラに記憶される前のP制御補正値若しくはPI制御補正値にフィルタをかけて平均化しておくことが好ましい。
【0031】
次に、コントローラは、各塗布ステーション26ごとのフィードローラ32の回転速度を前記基準回転速度に固定する。即ち、ダンサローラ30に位置偏差が生じてもフィードローラ32の回転速度に補正は加えずに基準回転速度に固定する。このように各塗布ステーション26ごとのダンサローラ30を中立位置に維持可能なフィードローラ32の基準回転速度で固定することにより、ウエブ搬送速度の基準となるマスターステーションのみならず、マスターステーション以外の塗布ステーション26のウエブ搬送速度も安定する。
【0032】
しかし、フィードローラ32の回転速度を基準回転速度に固定したままでダンサローラ30の位置をフィードローラ32で制御しないため、特にマスターステーション以外の塗布ステーション26に対応するダンサローラ30は、長時間運転の間にウエブ12の伸縮等によりダンサローラ30の位置が徐々に変わって、中立位置から大きく離れてしまう場合がある。そして、ダンサローラ30の位置が中立位置から離れるほど、ダンサローラ30の荷重がウエブ12に寄与しにくくなるため、ウエブ12のテンションが変動し易くなり、ウエブ12の搬送速度の安定に悪影響を及ぼす虞がある。そこで、本発明では、フィードローラ32の回転速度を固定することによりマスターステーション以外の塗布ステーション26のダンサローラ30に変動が発生した場合には、ウエブ12のテンションに殆ど影響のない短い周期の変動は無視して、例えば数分〜数十分の長い周期でダンサローラ30が中立位置から次第に離れていく傾向にある場合のみ、ダンサローラ30が徐々に中立位置に戻るように対応するフィードローラ32の回転速度を微調整するようにした。ダンサローラ30の位置が長い周期で中立位置から離れていく変動は、フィードローラ32の回転速度を微調整することで、中立位置に戻すことができる。また、長い周期の変動が次第に中立位置に戻る傾向にある場合には、フィードローラ32の回転速度を調整する必要はないので、そのままにする。これにより、フィードローラ32の回転速度を固定することによるウエブ12のテンション変動も防止できる。この場合、ダンサローラ30の制御有効ストロークの許容量が小さいと、長周期の振れ幅が許容量の許容限界に達したときにウエブ12の搬送速度に急激な変動が生じてしまうので、本発明で使用するダンサローラ30の制御有効ストロークは、1.5m以上、好ましくは2m以上あることが好ましい。
【0033】
また、本発明では、ダンサローラ近傍のウエブテンションをテンション検出器54で検出し、検出結果に応じてウエブテンションが一定に維持されるようにエアシリンダ装置56のエア圧が制御されるようにした。これにより、ダンサローラ30が長周期で変動してもウエブテンションが変動しにくいので、前記したフィードローラ32の微調整を一層小さくすることができる。
【0034】
上記したように、本発明によれば、マスターステーション以外の塗布ステーション26についても、マスターステーションのフィードローラ32と同様に回転速度を極力固定した状態で制御できるので、マスターステーションにおけるウエブ12の搬送速度変動率と同等まで小さくすることができる。従って、コーティングローラ42を有するエクストルージョン型の塗布装置38の場合、フィードローラ32に基づいて回転駆動するコーティングローラ42の回転速度変動率を小さくでき、塗布時におけるウエブ搬送変動率が小さくなるので、塗布ムラのない安定した塗布を行うことができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法によれば、マスターステーション以外の塗布ステーションにおけるウエブの搬送速度変動率をマスターステーションなみのレベルまで小さくすることができる。これにより、昨今のように塗布面状に高い品質が要求され且つ塗布厚みが薄く各層の塗布ムラが塗布表面の面質に影響し易い場合でも、全ての塗布ステーションでの塗布ムラをなくすことができるので、高品質の多層逐次塗布シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層逐次塗布装置の全体構成を示す模式図
【図2】3層逐次塗布シートの説明図
【図3】エクストルージョン型の塗布装置の構成を説明する部分断面図
【図4】ダンサローラの説明図
【符号の説明】
10…多層逐次塗布装置、12…ウエブ、14…送出機、16…巻取機、18…第1の塗布・乾燥工程、20…第2の塗布・乾燥工程、22…第3の塗布・乾燥工程、24…3層逐次塗布シート、26…塗布ステーション、28…乾燥ステーション、30…ダンサローラ、31…ダンサローラ装置、32…フィードローラ、36…パスローラ、38…エクストルージョン型の塗布装置、40…塗布ヘッド、42…コーティングローラ、50…アーム、52…移動ローラ、54…テンション検出器、56…エアシリンダ装置、62…揺動角度検出器
Claims (3)
- 送出機から送り出されて巻取機に巻き取られるウエブの搬送ラインに順次配置された複数の塗布ステーションで、搬送されるウエブに塗布液を逐次塗布する多層逐次塗布装置であって、前記各塗布ステーションのうちの1つをウエブの搬送速度基準となるマスターステーションとして前記各塗布ステーションに対応して設けられたフィードローラとダンサローラとで前記搬送されるウエブの搬送速度を制御するウエブ搬送制御方法において、
前記各塗布ステーションのダンサローラの位置が中立位置で安定するまで対応するフィードローラの回転速度を調整してその回転速度を各塗布ステーションにおけるフィードローラの基準回転速度とする第1の制御と、
前記各塗布ステーションのフィードローラの回転速度を前記基準回転速度に固定すると共に、固定することによりダンサローラに変動が発生した場合には、短い周期の変動は無視して長い周期の変動が前記中立位置から次第に離れていく傾向にある場合のみ、ダンサローラが前記中立位置に戻るように対応するフィードローラの回転速度を微調整する第2の制御と、
から成ることを特徴とする多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法。 - 前記ダンサローラの制御有効ストロークが1.5m以上あることを特徴とする請求項1の多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法。
- 前記ダンサローラ近傍のウエブテンションを検出し、検出結果に応じて前記ウエブのテンションが一定に維持されるように、前記ダンサローラに加える荷重を制御することを特徴とする請求項1又は2の多層逐次塗布装置のウエブ搬送制御方法。
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