JP2004122763A - インクジェット記録用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が界面活性剤を2〜6重量%、水溶性のカチオン性有機物質を4〜8重量%含有し、且つ板状の水和アルミニウム酸化物及び水溶性アルミニウム塩を含有する層であるインクジェット記録用シートとする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用シートに関し、さらに詳しくは、ビーディングの防止、適度なインク吸収性、画像の耐水性、インク受理層の耐水性、画像濃度を同時に満足させたインクジェット記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録用シートに於いては、カチオン性物質の添加によって画像濃度を向上させる技術が用いられているが、その技術には、インク受理層の耐水性が低下するという問題があった。
本発明者は、先に、カチオン性物質の添加方法等に改良を施した発明を提案した(特開2002−144700)。その中で、さらに、▲1▼水和アルミニウム酸化物によりインク受理層の耐水性を強化すること▲2▼水溶性アルミニウム塩により、画像濃度を向上させることを併せて行うことを提案した。これにより、画像濃度、インク受理層の耐水性等に優れたインクジェット記録用シートを製造することができた。
【0003】
しかしながら、上記のインクジェット記録用シートは、印画条件によってはビーディングが発生するという問題がある。
このビーディングとは、インクジェット記録用シートに噴射されたインク液滴が吸収等の過程に凝集して大きな液滴になるために発生する現象であり、インクジェット記録用シートのインク吸収が遅い場合等に発生し易いといわれている。このビーディング現象は、視覚的にはビーズ球程度の大きさの色ムラとして認識されるものであり、インク受理層表面もしくはインク受理層内部に観察される。
すなわち、従来、適度なインク吸収性、画像の耐水性、インク受理層の耐水性、画像濃度と共に、ビーディングの防止をも同時に充分に満足させることは困難であったのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況で、ビーディングの防止、適度なインク吸収性、画像の耐水性、インク受理層の耐水性、画像濃度を同時に満足させたインクジェット記録用シートを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題、特にビーディング現象を抑制したインクジェット記録用シートを開発すべく検討した結果、前記の本発明者の技術(特開2002−144700)に加え、インク受理層に、界面活性剤および水溶性のカチオン性有機物質を特定量含有させ、水和アルミニウム酸化物として、板状のものを用いることで、上記で課題とする性能のすべてをバランスよく奏するインクジェット記録用シートが得られることを知見し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が、インク受理層中の固形分含有量で、界面活性剤を2〜6重量%、水溶性のカチオン性有機物質を4〜8重量%含有し、且つ板状の水和アルミニウム酸化物及び水溶性アルミニウム塩を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートは、基材の少なくとも一方の面に、インク受理層を有するものである。
本発明においては、基材は、シート状のものであればよく、特に限定されるものではない。紙、プラスチックフィルム、不織布等の、従来この種の目的に使用されていたもののいずれもが使用可能であるが、耐水性の点からプラスチックフィルムが特に好適である。
プラスチックフィルムの素材としては、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等の一般的な熱可塑性樹脂、あるいは、炭酸カルシウム等の無機粉末を内添させたもの、有機ピグメントを内添させたもの等から選択することが可能である。
また、生分解性プラスチックのフィルムを使用することもできる。
【0008】
さらに、発泡プラスチックフィルムを使用してもよい。ここで、発泡プラスチックとは、フィルムの表面や内部に形成させる亀裂や欠所、或いは、細かな気泡や空洞などを有するプラスチックフィルムをいうが、これらの気泡や空洞などは、炭酸カルシウム等の無機粉末を含有したフィルムを延伸して無機粉末の周囲に発生させたり(ミクロボイドフィルム)、発泡剤を含有させて発泡させたりして形成したものなど、その名称や形成方法或いは気泡や空洞の生成形態は問わない。
なお、ここでいうプラスチックフィルムには、合成紙と称されるものも含まれる。
【0009】
基材は、単層構造でも多層構造でもよく、多層構造を形成する方法としては、例えば、接着剤を介して層同士を貼り合せる方法、複数の押し出し機から複数の原料を押し出し合流させて製膜するいわゆる共押出方法、フィルムの上に押出機から直接フィルムを押し出しながら貼り合わせて積層するいわゆる押し出しラミネート方法など、公知の方法の何れで形成したものも用いることができる。
【0010】
基材には、インク受理層等との密着性や濡れ性を向上させるなどの目的で、所望により、基材の片面または両面に、酸化法や凹凸法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、熱風処理、などが挙げられ、また、凹凸法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果および操作性などの面から好ましく用いられる。また、易接着処理を施すこともできる。
【0011】
本発明において、前記基材の少なくとも一方の面に設けられるインク受理層は、填料、結着剤の他に、特定量の界面活性剤及び水溶性のカチオン性有機物質と、板状の水和アルミニウム酸化物ならびに水溶性アルミニウム塩を含有する層である。
インク受理層の填料として使用できる物質は、有機、無機の制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、けいそう土、水酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリメタクリレート、酸化チタン、焼成カオリン、含水マグネシウムシリケートなどが挙げられる。これらは単独、又は混合して使用できる。
シリカはゲル法によって製造されたものが好ましい。又、インク吸収スピード、画像にじみ防止性向上の為に細孔容積が0.5〜2.5ml/g、粒度分布(d10/d90)が0.22以上のものが特に好ましい。
インク受理層中の填料の含有量は、固形分含有量で、45〜85重量%が好ましい。特に、填料として細孔容積が0.5〜1.0ml/gのものを用いる場合は、60〜85重量%が好ましく、65〜80重量%がより好ましい。また、細孔容積がこれより大きいものを用いる場合は、45〜65重量%が好ましく、50〜60重量%がより好ましい。填料の含有量がこの範囲より少ないと、インク吸収性が低下しやすくなり、逆に、この範囲より多いと、インク受理層の強度が低下しやすくなる。
また、填料は界面活性剤との関係において、次のように選択するのが好ましい。すなわち、シリコーン系以外の界面活性剤を用いる場合には、填料として細孔容積が1.0〜2.5ml/gのものを用いることが好ましい。1.0ml/g以上であることにより、優れたインク吸収スピードと画像にじみ防止性が得られ、2.5ml/g以下であることにより、優れたインク受理層の耐擦過性が得られる。一方、シリコーン系の界面活性剤を用いる場合には、填料として細孔容積が0.5〜1.0ml/gのものを用いることが好ましい。シリコーン系の界面活性剤を用いる場合には、0.5ml/g以上であれば優れたインク吸収スピードと画像にじみ防止性が得られ、また1.0ml/g以下であることによって非常に優れたインク受理層の耐擦過性が得られる。
【0012】
インク受理層の結着剤として使用できる物質としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ゼラチン、ポリビニルアセタール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、アクリル重合体、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、バーサチック酸ビニルの単独又は共重合体、スチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、などが挙げられる。特に、シリカを填料として使用する場合のシリカとの密着性、水和アルミニウム酸化物を使用した際の画像濃度や画像の耐水性の点からシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましい。
これらの結着剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
インク受理層中の結着剤の含有量は、固形分含有量で、10〜45重量%が好ましい。特に細孔容積が0.5〜1.0ml/gの填料を用いる場合は、10〜30重量%が好ましく、13〜18重量%がより好ましい。また細孔容積が1.0ml/gを超える填料を用いる場合は、20〜45重量%が好ましく、30〜35重量%がより好ましい。結着剤の含有量がこの範囲より少ないと、インク受理層の強度が低下しやすくなり、逆に、この範囲より多いと、インク吸収性が低下しやすくなる。
【0013】
本発明においてインク受理層に含有させる界面活性剤は特に限定されないが、非イオン性の界面活性剤が好ましい。
非イオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸モノエステル、アセチレングリコール系界面活性剤などが挙げられる。特に、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましく用いることができる。
非イオン性のアセチレングリコール系界面活性剤としては、脂肪族ジオールなどが挙げられる。この脂肪族ジオールとしては、例えば一般式(I)
HO−R1 −C≡C−R2 −OH ・・・(I)
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ一つ以上の酸素原子で中断されていてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(I)において、OH基が結合するR1 及びR2 基における炭素原子の位置については特に制限はなく、いずれの位置の炭素原子に結合していてもよい。該一般式(I)で表される脂肪族ジオールとしては、例えば2−ブチン−1,4−ジオール、2−ペンチン−1,5−ジオール、3−ヘキシン−1,6−ジオール、2−ヘキシン−1,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど、及びこれらのジオールのエチレンオキシドやプロピレンオキシドモノ付加物又はビス付加物などを挙げることができる。この脂肪族ジオールの全炭素数としては、特に制限はないが、4〜50の範囲が好ましい。また、この脂肪族ジオールとしては、アセチレンジオール化合物のエチレンオキシドビス付加物が特に好適である。
また界面活性剤はイオン性に関係なく、シリコーン系界面活性剤も使用できる。
これらの界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、インク受理層中の界面活性剤の含有量は、固形分含有量で、2〜6重量%であることを要し、好ましくは3〜5重量%である。界面活性剤の含有量が2重量%未満では、ビーディング防止効果が減少しやすく、逆に、6重量%を超えると、にじみが生じやすくなり、インク乾燥性が低下する。
【0014】
本発明においてインク受理層に含有させる水溶性のカチオン性有機物質としては、特に限定されないが、ジシアンジアミド縮合物、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンとの付加重合物、ポリアミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの水溶性のカチオン性有機物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性のカチオン性有機物質は、インク受理層を形成するための塗工液に内添して用いてもよく、インク受理層を塗工乾燥させた後、水溶性のカチオン性有機物質を含む液体を塗工し含浸させる方法によって含有させてもよい。
本発明において、インク受理層中の水溶性のカチオン性有機物質の含有量は、固形分含有量で、4〜8重量%であることを要し、好ましくは5〜7重量%である。水溶性のカチオン性有機物質の含有量が4重量%未満では、画像濃度が低下しやすく、逆に、8重量%を超えると、画像の耐水性が低下し、ビーディングが発生し、また、インクの乾燥性が低下する。
【0015】
水和アルミニウム酸化物には、板状、棒状、羽毛状等の種々の形態があるが、本発明のインク受理層には板状のものを用いる。
板状の水和アルミニウム酸化物は、画像及びインク受理層の耐水性の点からは、アスペクト比が2〜6であることが好ましく、さらには(1)細孔容積が0.3ml/g以下であること、(2)走査型電子顕微鏡(SEM)で実測できる粒子径あるいは粒子長が5〜50nmであること、及び(3)BET比表面積が50〜350m2/gであることから選ばれる少なくとも1の物性値を満たすものであればなお好ましい。
本発明においては板状の水和アルミニウム酸化物を用いることは必須であるが、同時に、繊維状のものを併用すると、インク受理層の耐水性を更に向上させるので、好ましい態様の1つである。
インク受理層中の板状の水和アルミニウム酸化物の含有量は、固形分含有量で、0.5〜10重量%、特に1〜5重量%が好ましい。板状の水和アルミニウム酸化物の含有量が0.5重量%未満では、画像の耐水性が低下しやすく、逆に、10重量%を超えると、カールが発生し易くなる。
【0016】
水溶性アルミニウム塩としては塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム及びその類似物のようなアルミニウム塩が挙げられる。
特に画像濃度性の面から塩基性乳酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウムが好適である。
上記のものを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
インク受理層中の水溶性アルミニウム塩の含有量は、固形分含有量で、0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。水溶性アルミニウム塩の含有量が0.1重量%未満では、画像濃度が低下しやすく、逆に、5重量%を超えると、カールが発生し易くなる。
【0017】
さらに、インク受理層には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、防腐剤、顔料分散剤、増粘剤などを添加してもよい
【0018】
インク受理層の厚み(乾燥後)は、20〜50μm、特に25〜40μmであることが好ましい。インク受理層の厚みが20μm未満であると、にじみ、ビーディングが発生し、逆に、50μmを超えると、インク受理層の強度が低下する。
【0019】
本発明のインクジェット記録用シートは、インク受理層を少なくとも1層以上有するものであり、基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。また、必要に応じ、基材の1つの面に2層以上設けてもよい。
さらに、インク受理層以外の層も設けてもよい。
例えば、インク受理層と基材の中間に、密着力を向上させる目的でアンカーコート層を設けてもよく、インクの溶剤の吸収を補助する層を設けてもよい。また、隠蔽性を向上させる目的で、不透明度が高い層を設けてもよく、紫外線吸収層を設けてもよい。
【0020】
かかる本発明のインクジェット記録用シートのインク受理層は次のようにして形成することができる。
インク受理層、アンカーコート層などは、必要な成分を分散させたり、溶解させた塗工液を塗工して乾燥させることなどによって形成することができ、塗工は、リバースロールコート、エアナイフコート、グラビアコート、ブレードコート等の従来公知の種々の方法を用いることが可能である。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、インクジェット記録用シートの性能は、以下に示す要領に従って評価した。また、印画は、キャノン社製のインクジェットプリンター(機種名:BJ F9000)で、色材として染料を用いた純正の水性染料タイプのインクを使用して行った。
【0022】
(1)ビーディング
高品位専用紙出力モードでベタ画像(グリーン)をインク噴射量280%で印画し、画像を目視で観察して、下記の基準で評価した。
○・・・ビーディングの発生なし
△・・・ビーディングは若干発生したが実用上支障なし
×・・・ビーディングの発生が多く実用上支障あり
(2)インク吸収性
高品位専用紙出力モードでベタ画像(グリーン)をインク噴射量280%で印画し、印画の直後から30秒毎に印画部から白紙部に向けて綿棒で擦りインクが白紙部に移動しなくなるまでの時間を測定した。
【0023】
(3)画像の耐水性
高品位専用紙出力モードでベタ画像(グリーン)をインク噴射量280%で印画し、印画5分後に印画部に蒸留水を滴下して、インクの流出の程度を目視で評価した。
○・・・インクの流出なし
△・・・若干インクが流出したが実用上支障なし
×・・・インクの流出が多く実用上支障あり
【0024】
(4)耐擦過性
東洋精機製作所社製の磨耗試験機(商品名:ロータリーアブレージョンテスタ型式:T)を使用して測定した。TABER社製の磨耗輪(商品名:CALIBRASE CS−10、幅:13mm)を用い、スピード設定を4とし、1000回転させた後の、インク受理層の脱離量(mg)を測定した。
【0025】
(5)画像濃度
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの単色ベタ画像を印画し、反射濃度をマクベス濃度計RD−918を用いて測定した。
【0026】
実施例1
基材として、厚さ80μmの白色ポリプロピレンフィルム〔ユポ・コーポレーション社製、ミクロボイドフィルム・発泡プラスチックフィルム、商品名:ユポFPG#80〕を用いた。
アンカーコート層用塗工液として、次の成分の均一混合物を用いた。
(a) アクリル樹脂〔BASFディスパージョン社製、商品名:アクロナールYJ−6221D、固形分濃度:49重量%、アニオン性〕60重量部
(b) 炭酸カルシウム〔白石中央研究所社製、商品名:カルライトSA、固形分濃度:100重量%、アラゴナイト質〕10重量部
(c) 水30重量部
【0027】
インク受理層用塗工液として、次の成分の均一混合物を用いた。
(1) シリカ〔GraceDavison社製、商品名:サイロジェットP412、固形分濃度:100重量%、細孔容積:2.05ml/g、平均粒子径:6〜8μm〕20.15量部
(2) シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレ社製、商品名:クラレRポリマーR−1130、固形分濃度:100重量%〕8.06重量部
(3) 界面活性剤[日信化学工業社製、商品名:オルフィンSTG、固形分濃度:85重量%、アセチレン結合を有する非イオン性界面活性剤(アセチレンジオール化合物のエチレンオキシドビス付加物)〕1.60重量部
(4) 水溶性のカチオン性有機物質〔日華化学工業社製、商品名:ネオフィックスE−117、固形分濃度:50%〕4.56重量部
(5) 板状の水和アルミニウム酸化物〔触媒化成工業社製、商品名:カタロイドAS−2、固形分濃度:10重量%、アスペクト比:2〜6、細孔容積:0.1ml/g、粒子径20〜30nm、BET比表面積100〜300m2/g〕9.00重量部
(6) 繊維状の水和アルミニウム酸化物〔日産化学工業社製、商品名:アルミナゾル200、固形分濃度:10重量%〕5.40重量部
(7) 水溶性アルミニウム塩〔多木化学社製、商品名:タキセラムM−160L、固形分濃度:25重量%、塩基性乳酸アルミニウム〕1.69重量部
(8) 水126.34重量部
【0028】
基材の一方の面に、アンカーコート用塗工液を塗工・乾燥して、厚さ3μm(乾燥後)のアンカーコート層を形成し、その上にインク受理層用塗工液を塗工・乾燥し、厚さ30μm(乾燥後)のインク受理層を形成することにより、インクジェット記録用シートを作製した。
【0029】
実施例2
インク受理層塗工液として次の成分の均一混合物を用い、乾燥後のインク受理層厚みを25μmとした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(1) シリカ〔富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア550、固形分濃度100重量%、細孔容積0.80ml/g〕35.24重量部
(2) シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレRポリマーR−1130〕7.83重量部
(3) 界面活性剤[サンノプコ社製、商品名:SN ウエット 123、固形分濃度100重量%、シリコーン系界面活性剤]1.02重量
(4) 水溶性のカチオン性有機物質〔ネオフィックス E−117〕5.80重量部
(5) 板状の水和アルミニウム酸化物〔カタロイドAS−2〕9.00重量部
(6) 繊維状の水和アルミニウム酸化物〔アルミナゾル200〕6.70重量部
(7) 水溶性アルミニウム塩〔タキセラムM−160L〕0.80重量部
(8) 水142.63重量部
【0030】
実施例3
インク受理層塗工液成分の配合を次のようにした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(1) シリカ〔サイロジェットP412〕20.62量部
(2) シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレRポリマーR−1130〕8.25重量部
(3) 界面活性剤[オルフィンSTG]0.83重量部
(4) 水溶性のカチオン性有機物質〔ネオフィックス E−117〕4.56重量部
(5) 板状の水和アルミニウム酸化物〔カタロイドAS−2〕9.00重量部
(6) 繊維状の水和アルミニウム酸化物〔アルミナゾル200〕5.40重量部
(7) 水溶性アルミニウム塩〔タキセラムM−160L〕1.69重量部
(8) 水126.34重量部
【0031】
実施例4
インク受理層塗工液成分の配合を次のようにした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(1) シリカ〔サイロジェットP412〕19.70量部
(2) シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレRポリマーR−1130〕7.88重量部
(3) 界面活性剤[オルフィンSTG]2.34重量部
(4) 水溶性のカチオン性有機物質〔ネオフィックス E−117〕4.56重量部
(5) 板状の水和アルミニウム酸化物〔カタロイドAS−2〕9.00重量部
(6) 繊維状の水和アルミニウム酸化物〔アルミナゾル200〕5.40重量部
(7) 水溶性アルミニウム塩〔タキセラムM−160L〕1.69重量部
(8) 水126.34重量部
【0032】
比較例1
実施例1におけるインク受理層用塗工液から界面活性剤〔オルフィンSTG〕のみを除いた以外は同じ組成の塗工液を使用し、その他は実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0033】
比較例2
実施例1におけるインク受理層用塗工液の水溶性のカチオン性有機物質〔ネオフィックス E−117〕の量を9.20重量部に変えた以外は同じ組成の塗工液を使用し、その他は実施例1と同様な操作を行い、インクジェット記録用シートを作製した。
【0034】
比較例3
インク受理層塗工液成分の配合を次のようにした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(1) シリカ〔サイロジェットP412〕20.88量部
(2) シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレRポリマーR−1130〕8.35重量部
(3) 界面活性剤[オルフィンSTG]0.40重量部
(4) 水溶性のカチオン性有機物質〔ネオフィックス E−117〕4.56重量部
(5) 板状の水和アルミニウム酸化物〔カタロイドAS−2〕9.00重量部
(6) 繊維状の水和アルミニウム酸化物〔アルミナゾル200〕5.40重量部
(7) 水溶性アルミニウム塩〔タキセラムM−160L〕1.69重量部
(8) 水126.34重量部
【0035】
比較例4
インク受理層塗工液成分の配合を次のようにした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(1) シリカ〔サイロジェットP412〕19.44量部
(2) シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレRポリマーR−1130〕7.77重量部
(3) 界面活性剤[オルフィンSTG]2.78重量部
(4) 水溶性のカチオン性有機物質〔ネオフィックス E−117〕4.56重量部
(5) 板状の水和アルミニウム酸化物〔カタロイドAS−2〕9.00重量部
(6) 繊維状の水和アルミニウム酸化物〔アルミナゾル200〕5.40重量部
(7) 水溶性アルミニウム塩〔タキセラムM−160L〕1.69重量部
(8) 水126.34重量部
【0036】
上記実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたインクジェット記録用シートそれぞれについて、(1)ビーディング、(2)インク吸収性、(3)画像耐水性、(4)耐擦過性及び(5)画像濃度(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を評価した結果を第1表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
基材上に特定量の界面活性剤および水溶性のカチオン性有機物質を含有し、且つ板状の水和アルミニウム酸化物及び水溶性アルミニウム塩を含有するインク受理層を設けた本発明のインクジェット記録用シートは、ビーディングの防止、適度なインク吸収性、画像の耐水性、画像濃度を同時に満足させることができるものとなる。特にシリコーン系界面活性剤と細孔容積範囲が特定の填料を併用すると、さらに耐擦過性を向上できる。
Claims (5)
- 基材上にインク受理層を設けてなり、該インク受理層が、インク受理層中の固形分含有量で、界面活性剤を2〜6重量%、水溶性のカチオン性有機物質を4〜8重量%含有し、且つ板状の水和アルミニウム酸化物及び水溶性アルミニウム塩を含有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
- 板状の水和アルミニウム酸化物のインク受理層中の含有量が、固形分含有量で、0.5〜10重量%である請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
- 水溶性アルミニウム塩のインク受理層中の含有量が、固形分含有量で、0.1〜5重量%である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用シート。
- 板状の水和アルミニウム酸化物と共に繊維状の水和アルミニウム酸化物を使用する請求項1、2又は3に記載のインクジェット記録用シート。
- 界面活性剤がシリコーン系界面活性剤であり、且つインク受理層が細孔容積が0.5〜1.0ml/gである填料を含有する請求項1、2、3又は4に記載のインクジェット記録用シート。
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