JP2004122581A - 銀安定化積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、電気電子部品等の銀系素材において銀本来の特性を低下させることなくその変質を有効に防止する手段を提供することにある。
【解決手段】本発明は、銀で構成される表面の全面に、金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成される厚み1μm未満の安定化層を積層してなる銀安定化積層体に関する。また、上記安定化層は、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかにより積層することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、銀で構成される表面の全面に、金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成される厚み1μm未満の安定化層を積層してなる銀安定化積層体に関する。また、上記安定化層は、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかにより積層することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気電子部品や半導体回路等において使用される銀系素材において、その銀で構成される表面を安定化させる技術に関する。さらに詳細には、配線用、導電用、回路用、ボンディング用、はんだ付用、または接触(接点、コネクタ、リレー、スイッチ等)用等を目的として使用される各種の銀系素材において、銀で構成された表面を安定化させる銀安定化積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀は、比抵抗や接触抵抗が低く優れた導電性を示すとともに、はんだ付性やボンディング性等の各種の加工特性にも優れるものであるため、電気電子部品や半導体回路等の分野において各種の材料に広範囲に亘って用いられてきた。たとえば、銀のこのような特性を利用して導電性の帯条体の表面を銀でコートした電気接点用材料が知られている(特許文献1参照)。しかし、銀はこのように優れた特性を具備するものの、その反面、酸化や硫化を受け易くこれにより導電性が減少したり黒く変色して外観を害するなどといった種々の問題点を有しているにもかかわらず、上記特許文献1には、このような問題点の指摘はなく、その解決手段についても全く言及されていない。該文献において、銀層の上に錫層を積層する態様が記載されているが、該錫層は銀層を保護するために存在するものではなく、逆に錫層にウイスカーが発生するのを防止するためのウイスカー防止層として錫層の下に銀層を存在させるといった構成となっており、銀層を安定化させるために銀層の表面の全面に錫層を積層させる旨の記載はない。したがって、上記特許文献1には、銀層の全面を保護するためにその全面に何等かの層を積層させるという技術については記載されていない。
【0003】
一般に、上記のような銀が有している問題点を解消する試みとしては、以下のようなものが挙げられる。たとえば、金やロジウムは銀と同様に高い導電性を有し、しかも硫化や酸化を受けることもないため銀の代替手段として使用することが考えられてきたが、これらは銀に比べ非常に高価であるためその代替は実用的手段とはなっていない。また、錫は銀と同様に高い導電性を有し、しかもはんだ特性等にも優れているためこれを銀と代替して使用することが考えられるが、錫は融点が非常に低いため耐熱性が要求される用途には使用できないという制約が存する。さらにまた、このように銀自体を代替するのではなく、銀の表面に各種の酸化防止剤等をコートして変色等の前記問題点を解決しようとする試みがなされているが、当該酸化防止剤等は大部分のものが有機化合物であるため導電性を示さず、また耐熱性にも劣ったものとなるため、銀本来の優れた性能を発揮することができないものとなっていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−78287号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであってその目的とするところは、電気電子部品や半導体回路等に使用される銀系素材において銀本来の特性を低下させることなくその変質を有効に防止する手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、銀自体を代替するのではなく銀の表面を改質するという方法に着目し、銀で構成される表面をある種の金属で保護すれば銀が安定化されるとの知見を得、この知見に基づきさらに研究を続けることによりついに本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、銀で構成される表面の全面に、金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成される厚み1μm未満の安定化層を積層してなる銀安定化積層体に関する。
【0008】
また、上記安定化層は、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかにより積層することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の銀安定化積層体について、各構成要素ごとに説明する。
【0010】
<銀で構成される表面>
本発明の銀安定化積層体のベースとなる銀で構成される表面とは、銀自体で構成される各種物品の表面が含まれる他、銀以外の素材の表面に銀からなる層が形成されているその表面も含まれる。具体的には、たとえば銀自体で構成される物品としては、銀線、銀ケーブル、銀スイッチ等を挙げることができる。また、銀以外の素材の表面に銀からなる層が形成されているものとしては、たとえば銀以外の素材として電気電子部品や半導体回路などの用途における従来公知の各種素材、たとえば銀以外の金属、セラミックス、合成樹脂等の素材に対して銀がめっきされていたり、蒸着あるいはスパッタリングされていたり、またあるいは銀箔が貼り合わされたりしているもの等を挙げることができる。また、本発明が対象とする銀で構成される表面の形状については、上述の記載からも明らかとなる通り平面的なものであっても立体的なものであっても差し支えなく、たとえばフィルム状、シート状、板状または各種成形物等を挙げることができる。また、その形態についても、複数のものが各単一の状態で独立して存在する単品状のものや、そのような複数のものが反復連続して一体的に存在する連続状のものやこれら両者の中間的なものが含まれる。なお、上記でいう銀には、銀のみ(微量の不純物を含む場合を含む)によって構成されるものをはじめ、銀がその主成分として構成されているものも含まれる。
【0011】
本発明においては、このように銀で構成される表面の全面に対して下記の安定化層を積層するものであるが、ここでいう全面とは、あくまでも安定化させることが必要な表面の全面という意味であり、安定化層が積層されていない表面が一部でも存在すれば本発明の技術的範囲に属しないものとするものではない。したがって、安定化させる必要がない部分にまで下記の安定化層を積層させる必要はない。
【0012】
<安定化層>
本発明の銀で構成される表面の全面に積層される安定化層は、金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成され、厚み1μm未満で積層されるものである。該安定化層は、下層の銀が硫化されたり酸化されたりして変質するのを有効に防止し、銀を保護、安定化する作用を奏するものである。該安定化層は、その構成成分が無機物質であることから従来の有機化合物の酸化防止剤のように耐熱性が劣ることもなく、また導電性やはんだ付特性などにおいても銀と類似する特性を有するため、銀自体が有する特性を何等低下させることなくその変質のみを有効に防止することに成功したものである。ここで、上記合金の組成は、金または錫が含まれている限り特に限定されるものではないが、たとえば金または錫以外の成分として、Pd、Rh、Ru、Co、Ni等を含むことができる。このような合金の組成において、金または錫の含有量は、20〜99.9質量%、好ましくは90〜99.5質量%とすることが好適である。
【0013】
また、該安定化層の厚みは、1μm未満とすることが必要である。これは、銀を保護安定化するには1μmあれば十分であり、これより厚くなると逆に銀本来の良好な表面特性が害されることとなるためである。より具体的には、金または金を含む合金により構成される場合、その厚みは0.001〜1μm、好ましくは0.01〜0.1μmとすることが好適である。0.001μm未満の場合は、銀の安定化効果が十分に発揮されなくなる一方、1μmを超えても安定化効果に大差なく経済的に却って不利となるばかりか、逆に銀本来の良好な表面特性が害されることとなる。また、該安定化層が錫または錫を含む合金により構成される場合、その厚みは0.05〜1μm、好ましくは接点として用いられる場合、0.05〜0.2μm、接点以外として用いられる場合、0.1〜0.5μmとすることが好適である。0.05μm未満の場合は、銀の安定化効果が十分に発揮されなくなる一方、1μmを超えても安定化効果に大差なく経済的に却って不利となるばかりか、逆に銀本来の良好な表面特性が害されることとなる。また、接点として用いられる場合、厚みが0.2μm未満に限定されるのは、0.2μmを超えると銀本来の導電性が害されることとなるからである。
【0014】
なお、銀で構成される表面をボンディングやリレー接点等主として電気的接合の目的で供する場合には、該安定化層として金または金を含む合金を選択することが好ましく、また銀で構成される表面をはんだ付等主として物理的接合の目的で供する場合には、経済的観点から該安定化層として錫または錫を含む合金を選択することが好ましい。
【0015】
<積層方法>
上記の安定化層は、銀で構成される表面に積層されるものであるが、その積層方法としては、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法が挙げられる。また、本発明においては、これらの方法により積層するのに先立って、予め銀で構成される表面に対して活性化処理を行なっておくことが好ましい。ここでいう活性化処理とは、銀で構成される表面に対して安定化層を強力な密着力をもって積層させるための前処理であって、通常脱脂処理の後数回の水洗後硫酸等の酸により銀の表面に存在する酸化銀等を溶解乃至除去する処理が含まれる。
【0016】
ここで、このような積層方法についてより詳細に説明すると、たとえば、金または金を含む合金をスパッタリング法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、スパッタリング装置において1×10−3〜7×10−1Pa、好ましくは5×10−3〜5×10−2Paの真空下、Arガス50〜300cc/分、好ましくは180〜250cc/分、出力0.3〜5kW、好ましくは1〜2kWの条件下でスパッタリングすることができる。また、金または金を含む合金を蒸着法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、蒸着装置において1×10−5〜1×10−3Pa、好ましくは1×10−4〜1×10−3Paの真空下、出力5〜100kW、好ましくは10〜30kWの条件下で蒸着することができる。また、金または金を含む合金をめっき法により積層する方法としては、好ましくは活性化処理された銀で構成される表面に対して、めっき液(金0.5〜15g/l、好ましくは1〜5g/lを含み、pH1〜13、好ましくはpH3〜7からなるもの)を用いて、液温20〜90℃、好ましくは45〜60℃、電流密度0.1〜10A/dm2、好ましくは0.5〜2A/dm2の条件下でめっきすることができる。
【0017】
一方、錫または錫を含む合金をスパッタリング法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、スパッタリング装置において1×10−3〜7×10−1Pa、好ましくは5×10−3〜5×10−2Paの真空下、Arガス50〜300cc/分、好ましくは180〜250cc/分、出力0.3〜5kW、好ましくは1〜2kWの条件下でスパッタリングすることができる。また、錫または錫を含む合金を蒸着法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、蒸着装置において1×10−5〜1×10−3Pa、好ましくは1×10−4〜1×10−3Paの真空下、出力5〜100kW、好ましくは20〜40kWの条件下で蒸着することができる。また、錫または錫を含む合金をめっき法により積層する方法としては、好ましくは活性化処理された銀で構成される表面に対して、めっき液(錫5〜70g/l、好ましくは30〜60g/lを含み、有機酸50〜300g/l、好ましくは90〜130g/lおよび所望により少量の添加剤からなるもの)を用いて、液温10〜60℃、好ましくは25〜35℃、電流密度0.01〜30A/dm2、好ましくは0.5〜10A/dm2の条件下でめっきすることができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
<実施例1>
銀で構成される表面として、リン青銅からなるスイッチの端子の表面に1μmの厚みで銀がめっきされた表面に対して、50g/lのエスクリーン30(商品名、奥野製薬工業(株)製)が充填された浸漬浴に液温40℃の下30秒間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0020】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下30秒間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0021】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、電気めっき装置を用いて、めっき液(金2g/l、pH3.8)、液温55℃、電流密度0.5A/dm2の条件下で金を電気めっきすることにより厚み0.1μmの金からなる安定化層を積層した。その後、水洗を3回繰り返し、水切り、乾燥することにより銀で構成される表面に金により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0022】
<実施例2>
2mmの直径に延伸された銀線をヘッタ加工することにより得られるリレー接点用の端子の表面に対して、50g/lのエスクリーン30(前出)が充填された浸漬浴に液温50℃の下1分間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0023】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下1分間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0024】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、バレルめっき装置を用いて、めっき液(金1g/l、pH3.8)、液温50℃、電流密度0.2A/dm2の条件下で金を電気めっきすることにより厚み0.05μmの金からなる安定化層を積層した。その後、水洗を3回繰り返し、水切り、乾燥することにより銀で構成される表面に金により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0025】
<実施例3>
銀で構成される表面として、銅箔が貼り合わされたガラス繊維強化エポキシ樹脂フィルムからなるロール状の導電性シートの銅箔の表面に2μmの厚みで銀がめっきされた表面に対して、50g/lのエスクリーン30(前出)が充填された浸漬浴に液温40℃の下30秒間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0026】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下30秒間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0027】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、スパッタリング装置を用いて、ターゲットに金をセットし、真空度1.3×10−2Pa、Arガス200cc/分、出力2kWの条件下でスパッタリングすることにより厚み0.05μmの金からなる安定化層を積層することによって、銀で構成される表面に金により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0028】
<実施例4>
銀で構成される表面として、黄銅の表面に1μmの厚みで銀がクラッドされ、それをプレス加工により半固定抵抗器用の端子の形状とされた表面に対して、50g/lのエスクリーン30(前出)が充填された浸漬浴に液温40℃の下30秒間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0029】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下30秒間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0030】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、電気めっき装置を用いて、めっき液(錫40g/l、有機酸としてメタスAM(商品名、ユケン工業(株)製)120g/l、SBS−R(商品名、ユケン工業(株)製)70cc/l)、液温35℃、電流密度2A/dm2の条件下で1分間錫を電気めっきすることにより厚み0.45μmの錫からなる安定化層を積層した。その後、水洗を3回繰り返し、水切り、乾燥することにより銀で構成される表面に錫により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0031】
<耐食性試験>
各実施例で得られた銀安定化積層体について、高温高湿試験機(タバイ製作所製)を用いて温度80℃、湿度90%の条件下で12時間後、24時間後、48時間後の腐食性を評価した。評価は、全く腐食していないもの「○」、やや腐食しているもの「△」、かなり腐食しているもの「×」とした。なお、比較例として、各実施例において安定化層を積層していないもの(すなわち、表面が銀であるもの)についても同じ条件下で腐食性を評価した。その結果を表1に示す。
【0032】
<はんだ付試験>
各実施例で得られた銀安定化積層体を、150℃のベーキング温度でそれぞれ1時間、2時間、4時間のベーキングを行なった後、フラックスはJIS Z3197−1986を使用し、はんだ組成がSn:Pb=6:4である共晶はんだを用いて240℃のはんだ付温度条件下で、はんだヌレ時間(秒)をはんだヌレ性試験機(試験機名:ソルダーグラフ、(株)タムラ製作所製)を用いて測定した。なお、比較例として、各実施例において安定化層を積層していないもの(すなわち、表面が銀であるもの)についても同じ条件下ではんだヌレ時間(秒)を測定した。その結果を表1に示す。表1中「NG」とは、表面が著しく酸化されたため活性化力の高いフラックスを使用しないとはんだ付ができないこと、すなわち5秒以内でははんだがヌレないことを表わしている。
【0033】
【表1】
【0034】
表1の通り、各実施例において銀で構成される表面に安定化層を積層すれば耐食性が顕著に向上しており、酸化による変質が防止されていることが明らかである。また、はんだ付試験においても、安定化層を積層すればはんだヌレ時間が顕著に短縮されており良好なはんだ付特性が示されることが明らかとなった。
【0035】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0036】
【発明の効果】
本発明の銀安定化積層体においては、銀で構成される表面の全面を金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成される厚み1μm未満の安定化層によって保護する構成となっているため、銀が酸化されたり硫化されたりして変質してしまうことを十分に保護することが可能である一方、該安定化層はこのような無機物質であるため耐熱性にも非常に優れたものとなり、はんだ付等の各種特性にも非常に優れたものとなる。このため、本発明の銀安定化積層体は、配線用、導電用、回路用、ボンディング用、はんだ付用、または接触(接点、コネクタ、リレー、スイッチ等)用等を目的として、電気電子部品や半導体回路等において基材その他の材料として広範囲に亘って使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気電子部品や半導体回路等において使用される銀系素材において、その銀で構成される表面を安定化させる技術に関する。さらに詳細には、配線用、導電用、回路用、ボンディング用、はんだ付用、または接触(接点、コネクタ、リレー、スイッチ等)用等を目的として使用される各種の銀系素材において、銀で構成された表面を安定化させる銀安定化積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀は、比抵抗や接触抵抗が低く優れた導電性を示すとともに、はんだ付性やボンディング性等の各種の加工特性にも優れるものであるため、電気電子部品や半導体回路等の分野において各種の材料に広範囲に亘って用いられてきた。たとえば、銀のこのような特性を利用して導電性の帯条体の表面を銀でコートした電気接点用材料が知られている(特許文献1参照)。しかし、銀はこのように優れた特性を具備するものの、その反面、酸化や硫化を受け易くこれにより導電性が減少したり黒く変色して外観を害するなどといった種々の問題点を有しているにもかかわらず、上記特許文献1には、このような問題点の指摘はなく、その解決手段についても全く言及されていない。該文献において、銀層の上に錫層を積層する態様が記載されているが、該錫層は銀層を保護するために存在するものではなく、逆に錫層にウイスカーが発生するのを防止するためのウイスカー防止層として錫層の下に銀層を存在させるといった構成となっており、銀層を安定化させるために銀層の表面の全面に錫層を積層させる旨の記載はない。したがって、上記特許文献1には、銀層の全面を保護するためにその全面に何等かの層を積層させるという技術については記載されていない。
【0003】
一般に、上記のような銀が有している問題点を解消する試みとしては、以下のようなものが挙げられる。たとえば、金やロジウムは銀と同様に高い導電性を有し、しかも硫化や酸化を受けることもないため銀の代替手段として使用することが考えられてきたが、これらは銀に比べ非常に高価であるためその代替は実用的手段とはなっていない。また、錫は銀と同様に高い導電性を有し、しかもはんだ特性等にも優れているためこれを銀と代替して使用することが考えられるが、錫は融点が非常に低いため耐熱性が要求される用途には使用できないという制約が存する。さらにまた、このように銀自体を代替するのではなく、銀の表面に各種の酸化防止剤等をコートして変色等の前記問題点を解決しようとする試みがなされているが、当該酸化防止剤等は大部分のものが有機化合物であるため導電性を示さず、また耐熱性にも劣ったものとなるため、銀本来の優れた性能を発揮することができないものとなっていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−78287号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであってその目的とするところは、電気電子部品や半導体回路等に使用される銀系素材において銀本来の特性を低下させることなくその変質を有効に防止する手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、銀自体を代替するのではなく銀の表面を改質するという方法に着目し、銀で構成される表面をある種の金属で保護すれば銀が安定化されるとの知見を得、この知見に基づきさらに研究を続けることによりついに本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、銀で構成される表面の全面に、金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成される厚み1μm未満の安定化層を積層してなる銀安定化積層体に関する。
【0008】
また、上記安定化層は、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかにより積層することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の銀安定化積層体について、各構成要素ごとに説明する。
【0010】
<銀で構成される表面>
本発明の銀安定化積層体のベースとなる銀で構成される表面とは、銀自体で構成される各種物品の表面が含まれる他、銀以外の素材の表面に銀からなる層が形成されているその表面も含まれる。具体的には、たとえば銀自体で構成される物品としては、銀線、銀ケーブル、銀スイッチ等を挙げることができる。また、銀以外の素材の表面に銀からなる層が形成されているものとしては、たとえば銀以外の素材として電気電子部品や半導体回路などの用途における従来公知の各種素材、たとえば銀以外の金属、セラミックス、合成樹脂等の素材に対して銀がめっきされていたり、蒸着あるいはスパッタリングされていたり、またあるいは銀箔が貼り合わされたりしているもの等を挙げることができる。また、本発明が対象とする銀で構成される表面の形状については、上述の記載からも明らかとなる通り平面的なものであっても立体的なものであっても差し支えなく、たとえばフィルム状、シート状、板状または各種成形物等を挙げることができる。また、その形態についても、複数のものが各単一の状態で独立して存在する単品状のものや、そのような複数のものが反復連続して一体的に存在する連続状のものやこれら両者の中間的なものが含まれる。なお、上記でいう銀には、銀のみ(微量の不純物を含む場合を含む)によって構成されるものをはじめ、銀がその主成分として構成されているものも含まれる。
【0011】
本発明においては、このように銀で構成される表面の全面に対して下記の安定化層を積層するものであるが、ここでいう全面とは、あくまでも安定化させることが必要な表面の全面という意味であり、安定化層が積層されていない表面が一部でも存在すれば本発明の技術的範囲に属しないものとするものではない。したがって、安定化させる必要がない部分にまで下記の安定化層を積層させる必要はない。
【0012】
<安定化層>
本発明の銀で構成される表面の全面に積層される安定化層は、金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成され、厚み1μm未満で積層されるものである。該安定化層は、下層の銀が硫化されたり酸化されたりして変質するのを有効に防止し、銀を保護、安定化する作用を奏するものである。該安定化層は、その構成成分が無機物質であることから従来の有機化合物の酸化防止剤のように耐熱性が劣ることもなく、また導電性やはんだ付特性などにおいても銀と類似する特性を有するため、銀自体が有する特性を何等低下させることなくその変質のみを有効に防止することに成功したものである。ここで、上記合金の組成は、金または錫が含まれている限り特に限定されるものではないが、たとえば金または錫以外の成分として、Pd、Rh、Ru、Co、Ni等を含むことができる。このような合金の組成において、金または錫の含有量は、20〜99.9質量%、好ましくは90〜99.5質量%とすることが好適である。
【0013】
また、該安定化層の厚みは、1μm未満とすることが必要である。これは、銀を保護安定化するには1μmあれば十分であり、これより厚くなると逆に銀本来の良好な表面特性が害されることとなるためである。より具体的には、金または金を含む合金により構成される場合、その厚みは0.001〜1μm、好ましくは0.01〜0.1μmとすることが好適である。0.001μm未満の場合は、銀の安定化効果が十分に発揮されなくなる一方、1μmを超えても安定化効果に大差なく経済的に却って不利となるばかりか、逆に銀本来の良好な表面特性が害されることとなる。また、該安定化層が錫または錫を含む合金により構成される場合、その厚みは0.05〜1μm、好ましくは接点として用いられる場合、0.05〜0.2μm、接点以外として用いられる場合、0.1〜0.5μmとすることが好適である。0.05μm未満の場合は、銀の安定化効果が十分に発揮されなくなる一方、1μmを超えても安定化効果に大差なく経済的に却って不利となるばかりか、逆に銀本来の良好な表面特性が害されることとなる。また、接点として用いられる場合、厚みが0.2μm未満に限定されるのは、0.2μmを超えると銀本来の導電性が害されることとなるからである。
【0014】
なお、銀で構成される表面をボンディングやリレー接点等主として電気的接合の目的で供する場合には、該安定化層として金または金を含む合金を選択することが好ましく、また銀で構成される表面をはんだ付等主として物理的接合の目的で供する場合には、経済的観点から該安定化層として錫または錫を含む合金を選択することが好ましい。
【0015】
<積層方法>
上記の安定化層は、銀で構成される表面に積層されるものであるが、その積層方法としては、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法が挙げられる。また、本発明においては、これらの方法により積層するのに先立って、予め銀で構成される表面に対して活性化処理を行なっておくことが好ましい。ここでいう活性化処理とは、銀で構成される表面に対して安定化層を強力な密着力をもって積層させるための前処理であって、通常脱脂処理の後数回の水洗後硫酸等の酸により銀の表面に存在する酸化銀等を溶解乃至除去する処理が含まれる。
【0016】
ここで、このような積層方法についてより詳細に説明すると、たとえば、金または金を含む合金をスパッタリング法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、スパッタリング装置において1×10−3〜7×10−1Pa、好ましくは5×10−3〜5×10−2Paの真空下、Arガス50〜300cc/分、好ましくは180〜250cc/分、出力0.3〜5kW、好ましくは1〜2kWの条件下でスパッタリングすることができる。また、金または金を含む合金を蒸着法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、蒸着装置において1×10−5〜1×10−3Pa、好ましくは1×10−4〜1×10−3Paの真空下、出力5〜100kW、好ましくは10〜30kWの条件下で蒸着することができる。また、金または金を含む合金をめっき法により積層する方法としては、好ましくは活性化処理された銀で構成される表面に対して、めっき液(金0.5〜15g/l、好ましくは1〜5g/lを含み、pH1〜13、好ましくはpH3〜7からなるもの)を用いて、液温20〜90℃、好ましくは45〜60℃、電流密度0.1〜10A/dm2、好ましくは0.5〜2A/dm2の条件下でめっきすることができる。
【0017】
一方、錫または錫を含む合金をスパッタリング法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、スパッタリング装置において1×10−3〜7×10−1Pa、好ましくは5×10−3〜5×10−2Paの真空下、Arガス50〜300cc/分、好ましくは180〜250cc/分、出力0.3〜5kW、好ましくは1〜2kWの条件下でスパッタリングすることができる。また、錫または錫を含む合金を蒸着法により積層する方法としては、銀で構成される表面を好ましくは活性化処理した後、蒸着装置において1×10−5〜1×10−3Pa、好ましくは1×10−4〜1×10−3Paの真空下、出力5〜100kW、好ましくは20〜40kWの条件下で蒸着することができる。また、錫または錫を含む合金をめっき法により積層する方法としては、好ましくは活性化処理された銀で構成される表面に対して、めっき液(錫5〜70g/l、好ましくは30〜60g/lを含み、有機酸50〜300g/l、好ましくは90〜130g/lおよび所望により少量の添加剤からなるもの)を用いて、液温10〜60℃、好ましくは25〜35℃、電流密度0.01〜30A/dm2、好ましくは0.5〜10A/dm2の条件下でめっきすることができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
<実施例1>
銀で構成される表面として、リン青銅からなるスイッチの端子の表面に1μmの厚みで銀がめっきされた表面に対して、50g/lのエスクリーン30(商品名、奥野製薬工業(株)製)が充填された浸漬浴に液温40℃の下30秒間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0020】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下30秒間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0021】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、電気めっき装置を用いて、めっき液(金2g/l、pH3.8)、液温55℃、電流密度0.5A/dm2の条件下で金を電気めっきすることにより厚み0.1μmの金からなる安定化層を積層した。その後、水洗を3回繰り返し、水切り、乾燥することにより銀で構成される表面に金により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0022】
<実施例2>
2mmの直径に延伸された銀線をヘッタ加工することにより得られるリレー接点用の端子の表面に対して、50g/lのエスクリーン30(前出)が充填された浸漬浴に液温50℃の下1分間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0023】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下1分間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0024】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、バレルめっき装置を用いて、めっき液(金1g/l、pH3.8)、液温50℃、電流密度0.2A/dm2の条件下で金を電気めっきすることにより厚み0.05μmの金からなる安定化層を積層した。その後、水洗を3回繰り返し、水切り、乾燥することにより銀で構成される表面に金により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0025】
<実施例3>
銀で構成される表面として、銅箔が貼り合わされたガラス繊維強化エポキシ樹脂フィルムからなるロール状の導電性シートの銅箔の表面に2μmの厚みで銀がめっきされた表面に対して、50g/lのエスクリーン30(前出)が充填された浸漬浴に液温40℃の下30秒間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0026】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下30秒間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0027】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、スパッタリング装置を用いて、ターゲットに金をセットし、真空度1.3×10−2Pa、Arガス200cc/分、出力2kWの条件下でスパッタリングすることにより厚み0.05μmの金からなる安定化層を積層することによって、銀で構成される表面に金により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0028】
<実施例4>
銀で構成される表面として、黄銅の表面に1μmの厚みで銀がクラッドされ、それをプレス加工により半固定抵抗器用の端子の形状とされた表面に対して、50g/lのエスクリーン30(前出)が充填された浸漬浴に液温40℃の下30秒間浸漬することにより脱脂処理を行なった。その後水洗を4回繰り返した。
【0029】
次いで、このように脱脂処理された表面に対して、1%の硫酸が充填された浸漬浴に室温下30秒間浸漬することにより酸による活性化処理を行なった。その後水洗を3回繰り返した。
【0030】
続いて、このように活性化処理された表面に対して、電気めっき装置を用いて、めっき液(錫40g/l、有機酸としてメタスAM(商品名、ユケン工業(株)製)120g/l、SBS−R(商品名、ユケン工業(株)製)70cc/l)、液温35℃、電流密度2A/dm2の条件下で1分間錫を電気めっきすることにより厚み0.45μmの錫からなる安定化層を積層した。その後、水洗を3回繰り返し、水切り、乾燥することにより銀で構成される表面に錫により構成される安定化層を積層してなる銀安定化積層体を得た。得られた銀安定化積層体について下記の耐食性試験とはんだ付試験を行なった。その結果を以下の表1に記す。
【0031】
<耐食性試験>
各実施例で得られた銀安定化積層体について、高温高湿試験機(タバイ製作所製)を用いて温度80℃、湿度90%の条件下で12時間後、24時間後、48時間後の腐食性を評価した。評価は、全く腐食していないもの「○」、やや腐食しているもの「△」、かなり腐食しているもの「×」とした。なお、比較例として、各実施例において安定化層を積層していないもの(すなわち、表面が銀であるもの)についても同じ条件下で腐食性を評価した。その結果を表1に示す。
【0032】
<はんだ付試験>
各実施例で得られた銀安定化積層体を、150℃のベーキング温度でそれぞれ1時間、2時間、4時間のベーキングを行なった後、フラックスはJIS Z3197−1986を使用し、はんだ組成がSn:Pb=6:4である共晶はんだを用いて240℃のはんだ付温度条件下で、はんだヌレ時間(秒)をはんだヌレ性試験機(試験機名:ソルダーグラフ、(株)タムラ製作所製)を用いて測定した。なお、比較例として、各実施例において安定化層を積層していないもの(すなわち、表面が銀であるもの)についても同じ条件下ではんだヌレ時間(秒)を測定した。その結果を表1に示す。表1中「NG」とは、表面が著しく酸化されたため活性化力の高いフラックスを使用しないとはんだ付ができないこと、すなわち5秒以内でははんだがヌレないことを表わしている。
【0033】
【表1】
【0034】
表1の通り、各実施例において銀で構成される表面に安定化層を積層すれば耐食性が顕著に向上しており、酸化による変質が防止されていることが明らかである。また、はんだ付試験においても、安定化層を積層すればはんだヌレ時間が顕著に短縮されており良好なはんだ付特性が示されることが明らかとなった。
【0035】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0036】
【発明の効果】
本発明の銀安定化積層体においては、銀で構成される表面の全面を金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成される厚み1μm未満の安定化層によって保護する構成となっているため、銀が酸化されたり硫化されたりして変質してしまうことを十分に保護することが可能である一方、該安定化層はこのような無機物質であるため耐熱性にも非常に優れたものとなり、はんだ付等の各種特性にも非常に優れたものとなる。このため、本発明の銀安定化積層体は、配線用、導電用、回路用、ボンディング用、はんだ付用、または接触(接点、コネクタ、リレー、スイッチ等)用等を目的として、電気電子部品や半導体回路等において基材その他の材料として広範囲に亘って使用することができる。
Claims (2)
- 銀で構成される表面の全面に、金、錫およびこれらを含む合金のいずれかにより構成される厚み1μm未満の安定化層を積層してなる銀安定化積層体。
- 安定化層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかにより積層される請求項1記載の銀安定化積層体。
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