JP2004122453A - カーボン複写用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】多数枚を重ね合わせて使用することができ、しかも、重ね合わせられたシートの上部から下部まで、十分な転写濃度を確保することができる、多数枚綴りの伝票等に有用なカーボン複写用シートを提供する。
【解決手段】紙基材に熱可塑性樹脂を積層し、バックカーボン層を熱可塑性樹脂最外層表面に設ける。バックカーボン層中のカーボンブラックの紙基材への染込みは、熱可塑性樹脂最外層等によって防止されるので、同量のカーボンブラックを含むバックカーボン層が直接紙基材に積層されている従来のものと比べ、多数枚を重ね合わせて使用することができ、その場合において、重ね合わせられたシートの上部から下部まで、十分な転写濃度を確保することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】紙基材に熱可塑性樹脂を積層し、バックカーボン層を熱可塑性樹脂最外層表面に設ける。バックカーボン層中のカーボンブラックの紙基材への染込みは、熱可塑性樹脂最外層等によって防止されるので、同量のカーボンブラックを含むバックカーボン層が直接紙基材に積層されている従来のものと比べ、多数枚を重ね合わせて使用することができ、その場合において、重ね合わせられたシートの上部から下部まで、十分な転写濃度を確保することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、バックカーボン転写性に優れたカーボン複写用の上紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上紙表面に筆記・タイプ印字等された文字などを、その裏面に印刷で設けられたバックカーボン層の転写によって、上紙下側に位置する紙等に複写して用いるタイプの伝票等が知られている。
【0003】
かかる伝票等は、例えば、荷物の配送に使用されるものであれば、送り主、取次ぎ店、配送業者、届け先等において、それぞれの控えとして少なくとも1枚づつ必要とされるため、複数枚綴りとして使用されることが多い。一つの伝票に綴られる紙片の数は、場合によってはさらに多くなり、伝票は時としてかなり分厚くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
複数枚綴りの伝票においては、伝票最上部に綴られ、裏面にバックカーボン層が設けられた上紙と、伝票最下部に綴られる下紙との間に、やはり裏面にバックカーボン層が設けられた複数の中紙が配される。上紙に筆記等されると、その圧力が、上部の中紙から下部の中紙、そして下紙へと伝播し、それによって順次バックカーボン層のカーボンブラック(以下、単にカーボンとも言う。)がその下側の紙片に転写されるので、結局、全ての紙片に同一の情報が記されるのである。
【0005】
しかし、多数枚の紙片が伝票に綴られ、伝票が分厚くなってくると、伝票最上部にかけられた圧力が伝票下部まで伝わらなくなり、カーボンの転写濃度が薄くなってくる。このため、上紙に記された文字等の情報が、中紙の下部や下紙では薄くて読み取れない等の問題が起こる場合があった。
【0006】
そこで、本願発明は、上記カーボン転写によって情報が複写される多数枚綴りの伝票に使用されても、伝票最下部において十分な転写濃度を確保することができる、カーボン複写用シートを提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは鋭意研究の結果、バックカーボン層を設ける面に熱可塑性樹脂層を配することにより上記課題が解決されることを見出し、本願発明を完成した。
【0008】
即ち、本願発明は、紙基材と熱可塑性樹脂からなる積層シートであって、少なくとも一方の最外層が熱可塑性樹脂層であり、この熱可塑性樹脂層の表面に、カーボンブラックとワックスを主成分とするバックカーボン層が設けられている、カーボン複写用シートに関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本願発明を詳細に説明する。
【0010】
本願発明において紙基材とは、植物繊維又は植物繊維とその他の繊維を絡み合わせ、膠着させて製造したものを言う。このような紙基材であれば、何であれ本願発明に使用することができるが、これを用いて製造された伝票等の印刷適性や美麗性の観点からは、例えば上質紙等、できるだけ平滑で白色度の高い紙が、耐水性の観点からはサイズ度の高い紙が、本願発明で用いる紙基材として好ましい。
【0011】
紙基材と共に積層シートを構成し、その最外層をなす熱可塑性樹脂層(以下、熱可塑性樹脂最外層と言う。)を形成する樹脂も、基本的に、熱可塑性のものであれば何であれ使用することができる。但し、この熱可塑性樹脂最外層上にはバックカーボン層が設けられるので、この層は、バックカーボン層の成分と干渉せず、また、バックカーボン層の付与工程において層の変形等を起こさないような樹脂で形成することが望ましい。通常、バックカーボン層は印刷により設けられ、このときバックカーボン層は105℃程度に加温されている。従って、バックカーボン層が設けられる熱可塑性樹脂最外層は、この程度の温度で層の変形を起こさないような樹脂で形成することが望ましい。
【0012】
具体的には、上記熱可塑性樹脂最外層を形成する樹脂として、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を始め、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の中、上記条件を満たすものを好適に使用することができる。これらの中でも、HDPE、LDPE、LLDPEは紙との密着性が良いので、紙基材上に直接熱可塑性樹脂最外層を設ける場合には特に好適である。
【0013】
なお、熱可塑性樹脂最外層には不透明性、筆記性等を持たせる目的で酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機填料を配合することもできる。ただし、無機填料の配合は、これが配合される熱可塑性樹脂最外層の表面性を悪化させる原因ともなるため、その配合量は、熱可塑性樹脂最外層に対して25重量%以下、できれば15重量%以下とすることが好ましい。
【0014】
本願発明のカーボン複写用シートにおいては、本願発明の目的を害さない限り、紙基材と熱可塑性樹脂最外層以外に他の層を設けることができる。他の層はどこに配しても構わないし、この層を形成する材料が何であっても構わない。シートの一方の最外層が熱可塑性樹脂層であることを要する。
【0015】
紙基材を除いた熱可塑性樹脂最外層及び他の層の厚さは、全体として2μm以上とすることが望ましい。特に望ましくは10〜20μmの範囲内である。樹脂層全体の厚さが2μm未満のものの製造は困難であり、却って製造コストがかさむ。また、紙基材と樹脂層との密着性が悪くなる場合が多い。一方、樹脂層全体の厚さを20μmより厚くすると、コスト的に見合わないばかりか、むしろ、本願発明の効果を損ねるおそれがある。このように厚い樹脂層が紙基材に積層されたシートは、筆記等により加えられる圧力を吸収してしまうため、これを本願発明のカーボン複写用シートとして多数枚綴りの伝票等を製造しても、その伝票は最下部において十分な転写濃度を確保できない場合が生じるからである。
【0016】
なお、紙基材、熱可塑性樹脂最外層及び他の層には、やはり本願発明の目的を害さない限り、種々の添加剤を添加したり、塗工剤を塗工したりすることができる。例えば、これらの添加剤や塗工剤として、紙基材にはサイズ剤、無機填料(酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等)、熱可塑性樹脂最外層及び他の層には帯電防止剤等、一般的に使用される添加剤や塗工剤を使用することができる。
【0017】
紙基材への上記他の層及び/又は熱可塑性樹脂最外層の積層、あるいは、上記他の層への熱可塑性樹脂最外層の積層は、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法等、公知の方法を単独で、又はこれらを適宜組合せて行うことができる。不透明性等を目的として酸化チタン等の無機填料を熱可塑性樹脂に配合するような場合には、ラミネーション加工性は悪化するが、かかる場合には、この無機填料配合樹脂を、無機填料を含まない樹脂と共に共押出しラミネートすれば、樹脂層の厚さを薄くしても、いわゆる膜切れ等のトラブルの発生を押さえて、安定的な製造を行うことができる。
【0018】
バックカーボン層は、カーボンブラックとワックスを主成分とする。もちろん、これらの主成分の他、本願発明の目的を害さない限り、種々の添加剤、例えば分散剤等が含有されていても構わない。このバックカーボン層を熱可塑性樹脂最外層の表面に設けるには、公知の方法を用いればよい。典型的には、ワックスにカーボンが練り込まれているカーボン印刷用インキを熱可塑性樹脂最外層表面に凸版印刷等することで、本願発明のバックカーボン層を設けることができる。
【0019】
【作用】
紙基材に直接バックカーボン層を設けた場合、カーボンブラックの紙基材への染込みはある程度避けられない。このため、紙基材に設けられたバックカーボン層自体のカーボンブラック量は、結果的に低下してしまう。実際に製造されたシートにおけるバックカーボン層のカーボンブラック量は、通常、計算値よりも低くなっているのである。
【0020】
従って、このようなカーボン複写用シートを多数枚重ね合わせて伝票等に使用すると、計算上は、弱い圧力でも十分な転写濃度を確保できるだけのカーボンブラックがバックカーボン層に含まれているにも関わらず、実際は、筆記等の圧力が伝わり難い伝票下部において、転写された文字等が薄くて読み取れないといった問題を生じる。
【0021】
本願発明のカーボン複写用シートでは、かかる知見に基づき、紙基材に熱可塑性樹脂を積層し、バックカーボン層を熱可塑性樹脂最外層表面に設けることとした。カーボンブラックの紙基材への染込みは、紙基材とカーボンブラックとの間に配された熱可塑性樹脂最外層等によって妨げられる。従って、このカーボン複写用シートにおいては、バックカーボン層中のカーボンブラックは、そのほぼ全量が転写に用いられる。このため、本願発明のカーボン複写用シートは、同量のカーボンブラックを含むバックカーボン層が直接紙基材に積層されているものと比べ、多数枚を重ね合わせて使用することができ、その場合において、重ね合わせられたシートの上部から下部まで、十分な転写濃度を確保することができる。
【0022】
また、本願発明のカーボン複写用シートは、紙基材へのカーボンブラックの染込みがないため、カーボンブラックの裏抜けがなく、表面、即ち、バックカーボン層が設けられている側と反対側の面における白色度が高いという、優れた特徴をも併せ持つ。カーボン複写用シート表面は、主に、伝票等に固有の情報が印刷され、人目につきやすい部分でもあるので、かかる特徴は、本願発明のカーボン複写用シートの伝票等への使用に、非常有利である。
【0023】
【実施例】
以下に、本願発明を実施例に基づいて説明する。
【0024】
なお、実施例及び比較例において白色度及びバックカーボン転写性は次のようにして評価した。
【0025】
表面白色度:
サンプル表面(バックカーボン層が設けられている側と反対側の面。以下同じ。)における白色度を、JIS P−8123に従って測定した。
【0026】
バックカーボン転写性:
バックカーボンを設けた面を下にしてサンプルを重ね合わせ、その一番上のサンプル表面にタイプライター(IBM社製Wheelwriter2500)を用いて一定印圧で印字を行い、一番下のサンプル表面に転写されるカーボンの濃度を目視にて観察したとき、鮮明に文字が判別できた重ね合わせ枚数の最大値を、バックカーボン転写性をあらわす指標とした。
【0027】
例えば、バックカーボン転写性が6とは、サンプルを6枚重ね合わせて転写させたときは、一番下のサンプル表面に鮮明に判別できる程度に文字が転写されたが、7枚重ね合わせたときは、一番下のサンプル表面には鮮明に判別できる程度に文字が転写されなかったということを意味している。
【0028】
[実施例1]
LDPE(MFR7.2g/10分、密度0.917g/cm3)を、坪量41g/m2の上質紙の片面に、Tダイを用いて押出温度285℃にて押出しラミネートし、クーリングロールで圧着して、紙基材に厚さ20μmのLDPE層が積層された積層シートを作成した。次いで、黒色のカーボン印刷用インキ(内外カーボンインキ(株)製『NO.55 黒』、融点85℃)を用い、この積層シートのLDPE層に、温度95〜100℃で凸版印刷を行ってバックカーボン層を設け、カーボン複写用シートを作成した。
【0029】
得られたカーボン複写用シートについて、表面白色度とバックカーボン転写性を調査した結果を表1に示す。
【0030】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約68%、バックカーボン転写性が8であった。即ち、裏面にバックカーボンが印刷されたシートにしては表面白色度が高く、また、8枚重ね合わせて使用した場合でも、その上部から下部まで、十分な転写濃度が確保できる優れたカーボン複写用シートであった。
【0031】
[実施例2]
予め溶融したLDPE(LDPEのMFR及び密度は、特に示さない限り、実施例1に同じ。)65重量部に炭酸カルシウム35重量部を添加混合しておき、この炭酸カルシウム含有LDPEを炭酸カルシウムを含まないLDPEと共に、坪量41g/m2の上質紙の片面に、炭酸カルシウム不含LDPEが上質紙側に位置するように、Tダイを用いて押出温度285℃にて共押出しラミネートを行い、クーリングロールで圧着して、紙基材に炭酸カルシウム不含LDPE層10μm及び炭酸カルシウム含有LDPE層10μmが、この順で積層された積層シートを作成した。次いで、この積層シートの炭酸カルシウム含有LDPE層に、実施例1と同様にしてバックカーボン層を設けてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0032】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約70%、バックカーボン転写性が8であった。即ち、裏面にバックカーボンが印刷されたシートにしては表面白色度が高く、また、8枚重ね合わせて使用した場合でも、その上部から下部まで、十分な転写濃度が確保できる優れたカーボン複写用シートであった。
【0033】
[比較例1]
坪量41g/m2の上質紙に熱可塑性樹脂層を積層せず、その片面に直接バックカーボン層を設けた他は、実施例1と同様にしてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0034】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約59%、バックカーボン転写性が6であった。即ち、表面白色度が低く、また、重ね合わせて使用した場合、最下部においても十分な転写濃度が確保できる重ね合わせ枚数は、6枚が限度のものであった。
【0035】
[比較例2]
実施例1で作成した積層シートを用い、その紙基材層が露出している側に直接バックカーボン層を設けた他は、実施例1と同様にしてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0036】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約60%、バックカーボン転写性が6であった。即ち、表面白色度が低く、また、重ね合わせて使用した場合、最下部においても十分な転写濃度が確保できる重ね合わせ枚数は、6枚が限度のものであった。
【0037】
[比較例3]
実施例2で作成した積層シートを用い、その紙基材層が露出している側に直接バックカーボン層を設けた他は、実施例1と同様にしてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0038】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約68%、バックカーボン転写性が6であった。即ち、表面最外層に積層された炭酸カルシウム含有ポリエチレン層の効果によって高い表面白色度を示すが、これを重ね合わせて使用した場合、最下部においても十分な転写濃度が確保できる重ね合わせ枚数は、6枚が限度のものであった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本願発明のカーボン複写用シートによれば、バックカーボン層中のカーボンブラックの紙基材への染込みが防止されるため、従来のカーボン複写用シートよりも、多数枚を重ね合わせて使用することができ、その場合において、重ね合わせられたシートの上部から下部まで、十分な転写濃度を確保することができる。
【0041】
また、本願発明のカーボン複写用シートは、カーボンブラックの裏抜けがなく、高い表面白色度を示すものである。
【0042】
即ち、本願発明は、多数枚綴りの伝票等に有用で、美麗なカーボン複写用シートを提供するものである。
【発明の属する技術分野】
本願発明は、バックカーボン転写性に優れたカーボン複写用の上紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上紙表面に筆記・タイプ印字等された文字などを、その裏面に印刷で設けられたバックカーボン層の転写によって、上紙下側に位置する紙等に複写して用いるタイプの伝票等が知られている。
【0003】
かかる伝票等は、例えば、荷物の配送に使用されるものであれば、送り主、取次ぎ店、配送業者、届け先等において、それぞれの控えとして少なくとも1枚づつ必要とされるため、複数枚綴りとして使用されることが多い。一つの伝票に綴られる紙片の数は、場合によってはさらに多くなり、伝票は時としてかなり分厚くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
複数枚綴りの伝票においては、伝票最上部に綴られ、裏面にバックカーボン層が設けられた上紙と、伝票最下部に綴られる下紙との間に、やはり裏面にバックカーボン層が設けられた複数の中紙が配される。上紙に筆記等されると、その圧力が、上部の中紙から下部の中紙、そして下紙へと伝播し、それによって順次バックカーボン層のカーボンブラック(以下、単にカーボンとも言う。)がその下側の紙片に転写されるので、結局、全ての紙片に同一の情報が記されるのである。
【0005】
しかし、多数枚の紙片が伝票に綴られ、伝票が分厚くなってくると、伝票最上部にかけられた圧力が伝票下部まで伝わらなくなり、カーボンの転写濃度が薄くなってくる。このため、上紙に記された文字等の情報が、中紙の下部や下紙では薄くて読み取れない等の問題が起こる場合があった。
【0006】
そこで、本願発明は、上記カーボン転写によって情報が複写される多数枚綴りの伝票に使用されても、伝票最下部において十分な転写濃度を確保することができる、カーボン複写用シートを提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは鋭意研究の結果、バックカーボン層を設ける面に熱可塑性樹脂層を配することにより上記課題が解決されることを見出し、本願発明を完成した。
【0008】
即ち、本願発明は、紙基材と熱可塑性樹脂からなる積層シートであって、少なくとも一方の最外層が熱可塑性樹脂層であり、この熱可塑性樹脂層の表面に、カーボンブラックとワックスを主成分とするバックカーボン層が設けられている、カーボン複写用シートに関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本願発明を詳細に説明する。
【0010】
本願発明において紙基材とは、植物繊維又は植物繊維とその他の繊維を絡み合わせ、膠着させて製造したものを言う。このような紙基材であれば、何であれ本願発明に使用することができるが、これを用いて製造された伝票等の印刷適性や美麗性の観点からは、例えば上質紙等、できるだけ平滑で白色度の高い紙が、耐水性の観点からはサイズ度の高い紙が、本願発明で用いる紙基材として好ましい。
【0011】
紙基材と共に積層シートを構成し、その最外層をなす熱可塑性樹脂層(以下、熱可塑性樹脂最外層と言う。)を形成する樹脂も、基本的に、熱可塑性のものであれば何であれ使用することができる。但し、この熱可塑性樹脂最外層上にはバックカーボン層が設けられるので、この層は、バックカーボン層の成分と干渉せず、また、バックカーボン層の付与工程において層の変形等を起こさないような樹脂で形成することが望ましい。通常、バックカーボン層は印刷により設けられ、このときバックカーボン層は105℃程度に加温されている。従って、バックカーボン層が設けられる熱可塑性樹脂最外層は、この程度の温度で層の変形を起こさないような樹脂で形成することが望ましい。
【0012】
具体的には、上記熱可塑性樹脂最外層を形成する樹脂として、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を始め、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の中、上記条件を満たすものを好適に使用することができる。これらの中でも、HDPE、LDPE、LLDPEは紙との密着性が良いので、紙基材上に直接熱可塑性樹脂最外層を設ける場合には特に好適である。
【0013】
なお、熱可塑性樹脂最外層には不透明性、筆記性等を持たせる目的で酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機填料を配合することもできる。ただし、無機填料の配合は、これが配合される熱可塑性樹脂最外層の表面性を悪化させる原因ともなるため、その配合量は、熱可塑性樹脂最外層に対して25重量%以下、できれば15重量%以下とすることが好ましい。
【0014】
本願発明のカーボン複写用シートにおいては、本願発明の目的を害さない限り、紙基材と熱可塑性樹脂最外層以外に他の層を設けることができる。他の層はどこに配しても構わないし、この層を形成する材料が何であっても構わない。シートの一方の最外層が熱可塑性樹脂層であることを要する。
【0015】
紙基材を除いた熱可塑性樹脂最外層及び他の層の厚さは、全体として2μm以上とすることが望ましい。特に望ましくは10〜20μmの範囲内である。樹脂層全体の厚さが2μm未満のものの製造は困難であり、却って製造コストがかさむ。また、紙基材と樹脂層との密着性が悪くなる場合が多い。一方、樹脂層全体の厚さを20μmより厚くすると、コスト的に見合わないばかりか、むしろ、本願発明の効果を損ねるおそれがある。このように厚い樹脂層が紙基材に積層されたシートは、筆記等により加えられる圧力を吸収してしまうため、これを本願発明のカーボン複写用シートとして多数枚綴りの伝票等を製造しても、その伝票は最下部において十分な転写濃度を確保できない場合が生じるからである。
【0016】
なお、紙基材、熱可塑性樹脂最外層及び他の層には、やはり本願発明の目的を害さない限り、種々の添加剤を添加したり、塗工剤を塗工したりすることができる。例えば、これらの添加剤や塗工剤として、紙基材にはサイズ剤、無機填料(酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等)、熱可塑性樹脂最外層及び他の層には帯電防止剤等、一般的に使用される添加剤や塗工剤を使用することができる。
【0017】
紙基材への上記他の層及び/又は熱可塑性樹脂最外層の積層、あるいは、上記他の層への熱可塑性樹脂最外層の積層は、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法等、公知の方法を単独で、又はこれらを適宜組合せて行うことができる。不透明性等を目的として酸化チタン等の無機填料を熱可塑性樹脂に配合するような場合には、ラミネーション加工性は悪化するが、かかる場合には、この無機填料配合樹脂を、無機填料を含まない樹脂と共に共押出しラミネートすれば、樹脂層の厚さを薄くしても、いわゆる膜切れ等のトラブルの発生を押さえて、安定的な製造を行うことができる。
【0018】
バックカーボン層は、カーボンブラックとワックスを主成分とする。もちろん、これらの主成分の他、本願発明の目的を害さない限り、種々の添加剤、例えば分散剤等が含有されていても構わない。このバックカーボン層を熱可塑性樹脂最外層の表面に設けるには、公知の方法を用いればよい。典型的には、ワックスにカーボンが練り込まれているカーボン印刷用インキを熱可塑性樹脂最外層表面に凸版印刷等することで、本願発明のバックカーボン層を設けることができる。
【0019】
【作用】
紙基材に直接バックカーボン層を設けた場合、カーボンブラックの紙基材への染込みはある程度避けられない。このため、紙基材に設けられたバックカーボン層自体のカーボンブラック量は、結果的に低下してしまう。実際に製造されたシートにおけるバックカーボン層のカーボンブラック量は、通常、計算値よりも低くなっているのである。
【0020】
従って、このようなカーボン複写用シートを多数枚重ね合わせて伝票等に使用すると、計算上は、弱い圧力でも十分な転写濃度を確保できるだけのカーボンブラックがバックカーボン層に含まれているにも関わらず、実際は、筆記等の圧力が伝わり難い伝票下部において、転写された文字等が薄くて読み取れないといった問題を生じる。
【0021】
本願発明のカーボン複写用シートでは、かかる知見に基づき、紙基材に熱可塑性樹脂を積層し、バックカーボン層を熱可塑性樹脂最外層表面に設けることとした。カーボンブラックの紙基材への染込みは、紙基材とカーボンブラックとの間に配された熱可塑性樹脂最外層等によって妨げられる。従って、このカーボン複写用シートにおいては、バックカーボン層中のカーボンブラックは、そのほぼ全量が転写に用いられる。このため、本願発明のカーボン複写用シートは、同量のカーボンブラックを含むバックカーボン層が直接紙基材に積層されているものと比べ、多数枚を重ね合わせて使用することができ、その場合において、重ね合わせられたシートの上部から下部まで、十分な転写濃度を確保することができる。
【0022】
また、本願発明のカーボン複写用シートは、紙基材へのカーボンブラックの染込みがないため、カーボンブラックの裏抜けがなく、表面、即ち、バックカーボン層が設けられている側と反対側の面における白色度が高いという、優れた特徴をも併せ持つ。カーボン複写用シート表面は、主に、伝票等に固有の情報が印刷され、人目につきやすい部分でもあるので、かかる特徴は、本願発明のカーボン複写用シートの伝票等への使用に、非常有利である。
【0023】
【実施例】
以下に、本願発明を実施例に基づいて説明する。
【0024】
なお、実施例及び比較例において白色度及びバックカーボン転写性は次のようにして評価した。
【0025】
表面白色度:
サンプル表面(バックカーボン層が設けられている側と反対側の面。以下同じ。)における白色度を、JIS P−8123に従って測定した。
【0026】
バックカーボン転写性:
バックカーボンを設けた面を下にしてサンプルを重ね合わせ、その一番上のサンプル表面にタイプライター(IBM社製Wheelwriter2500)を用いて一定印圧で印字を行い、一番下のサンプル表面に転写されるカーボンの濃度を目視にて観察したとき、鮮明に文字が判別できた重ね合わせ枚数の最大値を、バックカーボン転写性をあらわす指標とした。
【0027】
例えば、バックカーボン転写性が6とは、サンプルを6枚重ね合わせて転写させたときは、一番下のサンプル表面に鮮明に判別できる程度に文字が転写されたが、7枚重ね合わせたときは、一番下のサンプル表面には鮮明に判別できる程度に文字が転写されなかったということを意味している。
【0028】
[実施例1]
LDPE(MFR7.2g/10分、密度0.917g/cm3)を、坪量41g/m2の上質紙の片面に、Tダイを用いて押出温度285℃にて押出しラミネートし、クーリングロールで圧着して、紙基材に厚さ20μmのLDPE層が積層された積層シートを作成した。次いで、黒色のカーボン印刷用インキ(内外カーボンインキ(株)製『NO.55 黒』、融点85℃)を用い、この積層シートのLDPE層に、温度95〜100℃で凸版印刷を行ってバックカーボン層を設け、カーボン複写用シートを作成した。
【0029】
得られたカーボン複写用シートについて、表面白色度とバックカーボン転写性を調査した結果を表1に示す。
【0030】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約68%、バックカーボン転写性が8であった。即ち、裏面にバックカーボンが印刷されたシートにしては表面白色度が高く、また、8枚重ね合わせて使用した場合でも、その上部から下部まで、十分な転写濃度が確保できる優れたカーボン複写用シートであった。
【0031】
[実施例2]
予め溶融したLDPE(LDPEのMFR及び密度は、特に示さない限り、実施例1に同じ。)65重量部に炭酸カルシウム35重量部を添加混合しておき、この炭酸カルシウム含有LDPEを炭酸カルシウムを含まないLDPEと共に、坪量41g/m2の上質紙の片面に、炭酸カルシウム不含LDPEが上質紙側に位置するように、Tダイを用いて押出温度285℃にて共押出しラミネートを行い、クーリングロールで圧着して、紙基材に炭酸カルシウム不含LDPE層10μm及び炭酸カルシウム含有LDPE層10μmが、この順で積層された積層シートを作成した。次いで、この積層シートの炭酸カルシウム含有LDPE層に、実施例1と同様にしてバックカーボン層を設けてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0032】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約70%、バックカーボン転写性が8であった。即ち、裏面にバックカーボンが印刷されたシートにしては表面白色度が高く、また、8枚重ね合わせて使用した場合でも、その上部から下部まで、十分な転写濃度が確保できる優れたカーボン複写用シートであった。
【0033】
[比較例1]
坪量41g/m2の上質紙に熱可塑性樹脂層を積層せず、その片面に直接バックカーボン層を設けた他は、実施例1と同様にしてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0034】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約59%、バックカーボン転写性が6であった。即ち、表面白色度が低く、また、重ね合わせて使用した場合、最下部においても十分な転写濃度が確保できる重ね合わせ枚数は、6枚が限度のものであった。
【0035】
[比較例2]
実施例1で作成した積層シートを用い、その紙基材層が露出している側に直接バックカーボン層を設けた他は、実施例1と同様にしてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0036】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約60%、バックカーボン転写性が6であった。即ち、表面白色度が低く、また、重ね合わせて使用した場合、最下部においても十分な転写濃度が確保できる重ね合わせ枚数は、6枚が限度のものであった。
【0037】
[比較例3]
実施例2で作成した積層シートを用い、その紙基材層が露出している側に直接バックカーボン層を設けた他は、実施例1と同様にしてカーボン複写用シートを作成し、得られたカーボン複写用シートについて表面白色度とバックカーボン転写性を調査した。
結果を表1に示す。
【0038】
表1より明らかなように、このカーボン複写用シートは、バックカーボン印刷後の表面白色度が約68%、バックカーボン転写性が6であった。即ち、表面最外層に積層された炭酸カルシウム含有ポリエチレン層の効果によって高い表面白色度を示すが、これを重ね合わせて使用した場合、最下部においても十分な転写濃度が確保できる重ね合わせ枚数は、6枚が限度のものであった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本願発明のカーボン複写用シートによれば、バックカーボン層中のカーボンブラックの紙基材への染込みが防止されるため、従来のカーボン複写用シートよりも、多数枚を重ね合わせて使用することができ、その場合において、重ね合わせられたシートの上部から下部まで、十分な転写濃度を確保することができる。
【0041】
また、本願発明のカーボン複写用シートは、カーボンブラックの裏抜けがなく、高い表面白色度を示すものである。
【0042】
即ち、本願発明は、多数枚綴りの伝票等に有用で、美麗なカーボン複写用シートを提供するものである。
Claims (2)
- 紙基材と熱可塑性樹脂からなる積層シートであって、少なくとも一方の最外層が熱可塑性樹脂層であり、この熱可塑性樹脂層の表面に、カーボンブラックとワックスを主成分とするバックカーボン層が設けられていることを特徴とする、カーボン複写用シート。
- 紙基材の少なくとも一方に、紙基材と接して、熱可塑性樹脂層、無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂層がこの順で積層されている、請求項1に基材のカーボン複写用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002287382A JP2004122453A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | カーボン複写用シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002287382A JP2004122453A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | カーボン複写用シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004122453A true JP2004122453A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32280208
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002287382A Pending JP2004122453A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | カーボン複写用シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004122453A (ja) |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002287382A patent/JP2004122453A/ja active Pending
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