JP2004121127A - パン生地の製造方法及び該パン生地を用いるパンの製造方法 - Google Patents

パン生地の製造方法及び該パン生地を用いるパンの製造方法 Download PDF

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Mitsuaki Hiyoshi
日吉 三明
Masahiro Okamoto
岡元 正弘
Isamu Yagawa
矢川 勇
Akira Wada
和田 明
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Abstract

【課題】従来、パン生地を製造する場合における油脂類の添加は、その実質油脂分として、パン生地を構成する全小麦粉量に対し通常4〜8%であり、直捏法でも中種法でも、パン生地の混捏時に小麦グルテンの形成を阻害しないように、また、パン生地の硬軟を調整しやすいように、パン生地混捏の最終段階に行っているが、小麦粉量に対して8%以上の実質油脂分を添加しようとすると、多量の油脂類を生地全体に均一に混合させなければならず、混捏時間が必要以上に長くなってしまい、混捏が過剰となり生地が損傷してしまうおそれが大きかった。
【解決手段】本発明法は、先に小麦粉、イースト及び水を混捏して中種を作成した後に醗酵させ、別途、油脂類、糖類及び水分を混合してクリーム状生地を作成し、得られたクリーム状生地に小麦粉を混捏して中間生地を作成し、更に、前記中種と該中間生地とを混捏して機械耐性及び安定性が良好なパン生地を作成するパン生地の製造方法と、この方法によって得られたパン生地を用いるパンの製造方法を提供するものである。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パン生地の製造方法及び該パン生地を用いたパンの製造方法に関し、詳しくは、製造したパンの容積を増大させ、食べたときに大変柔らかく、また経時的にも硬化しにくくなるように、パン生地に多量の油脂類を添加することができ、しかも機械的大量製パンにおける適性、例えば、機械耐性及び安定性が良好なパン生地の製造方法及び該生地を用いたパンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パン生地を製造する場合における油脂類は、その実質油脂分として、パン生地を構成する全小麦粉量に対し通常4〜8%となるように添加する程度であり、油脂類の添加は直捏法でも中種法でも、パン生地の混捏時に小麦グルテンの形成を阻害しないように、また、パン生地の硬軟を調整しやすいように、パン生地混捏の最終段階に行う。即ち、油脂類を除く全原料でほとんど生地を形成してから、最後に油脂類を添加して混捏することにより生地を完成させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パン生地に多量の油脂類を添加することにより、パンの容積を増大させ、食べたときに大変柔らかく、また、経時的にも硬化しにくいパンを製造するために、前記従来法のとおり単に、小麦粉量に対して8%以上の実質油脂分を添加しようとすると、多量の油脂類を生地全体に均一に混合させなければならず、また、生地の硬軟を調整することも容易でないことから、混捏時間が必要以上に長くなってしまい、混捏が過剰となり生地が損傷してしまうおそれが大きい。さらに、機械的大量製パンにおける適性を欠いた性状のパン生地となるという課題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、これらの課題に対処するものであり、製造したパンの容積を増大させ、食べたときに大変柔らかく、また、経時的にも硬化しにくくなるようにパン生地に多量の油脂類を添加することができ、しかも機械的大量製パンにおける製パン適性、例えば、機械耐性及び安定性が良好なパン生地の製造方法及び該生地を用いたパンの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
また、一般に、栄養成分や呈味成分の添加、風味向上などを目的とする粉状やペースト状の副原料をパン生地原料として添加する場合には、製造されたパン生地の水分が蒸発しやすく、硬化しやすいことから、この生地を加熱して製造されるパンは水分が少なく、硬くなりやすいものであるが、本発明は、このような課題をも解決するものである。
【0006】
即ち本発明の第一は、少なくとも、パン生地を構成する全小麦粉量のうちの一部の小麦粉、イースト及び水を混捏して中種を作成し、これを醗酵させる工程と、前記中種とは別に、前記中種を構成する原料を除き、少なくとも、油脂類、糖類及び水分を混合してクリーム状生地を作成する工程と、前記クリーム状生地と残量の小麦粉とを混捏して中間生地を作成する工程と、前記醗酵後の中種と前記中間生地とを混捏してパン生地を作成する工程と、を備えることを特徴とするパン生地の製造方法である。
【0007】
本発明の第二は、前記クリーム状生地を作成する工程は、予め水分を除いた、少なくとも前記原料を混合してクリーム状としてから、水分を添加して混合することを特徴とする請求項1に記載のパン生地の製造方法である。
【0008】
本発明の第三は、前記クリーム状生地は、水分を添加して混合した後の比重が、0.55〜0.95の含気生地となるように調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のパン生地の製造方法である。
【0009】
本発明の第四は、前記油脂類は、その実質油脂分として、パン生地を構成する全小麦粉量に対して質量比で8〜100%となるように添加することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のパン生地の製造方法である。
【0010】
本発明の第五は、前記混捏後の中間生地を0〜15℃で1〜72時間保存し、前記醗酵後の中種と混捏することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のパン生地の製造方法である。
【0011】
本発明の第六は、パン生地を構成する全小麦粉量に対して、卵黄液として質量比で4〜15%、又は全卵(液卵)として質量比で15〜45%添加することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のパン生地の製造方法である。
【0012】
本発明の第七は、パン生地を構成する全小麦粉量のうち50%以下を薄力粉とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のパン生地の製造方法である。
【0013】
本発明の第八は、前記薄力粉の全部又は一部は前記中間生地を作成するにあたり添加することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のパン生地の製造方法である。
【0014】
本発明の第九は、請求項1乃至8のいずれかに記載のパン生地の製造方法に従って製造したパン生地を用いてパンを製造することを特徴とするパンの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、製造したパンの容積を増大させ、食べた時に大変柔らかく、また、経時的にも硬化しにくくなるようにすることを目的として、中種を作成して醗酵させるとともに、該中種を構成する原料を除き、少なくとも油脂類、糖類及び水分を添加してクリーム状生地を作成し、該クリーム状生地と残量の小麦粉を混捏して中間生地を作成した後、該中間生地と予め醗酵させておいた中種とを混捏することを特徴とするパン生地の製造方法及び該生地を用いたパンの製造方法である。
【0016】
尚、本発明における「パン」は、食パン、菓子パン、ペストリー、スイートロール、コーヒーケーキ、ロールパン、ドーナッツ、揚げパン、中華まんじゅう、蒸しパン等を意味し、本発明は、特に菓子パン生地及び菓子パンの製造に適するものである。
【0017】
また、本発明で使用する「%」は、パン生地を構成する全小麦粉量を100とする基準に対する質量比を示している。
【0018】
本発明における中種は、常法の中種法の条件により作成することできる。具体的には、例えば、少なくとも、パン生地を構成する全小麦粉量のうちの一部の小麦粉、好ましくは30〜90%の小麦粉、より好ましくは60〜80%の小麦粉と適量のイースト及び水を混捏して作成する。このとき、砂糖、ブドウ糖等の糖類、イーストフード、乳化剤、酸化剤、酵素剤等の生地改良剤を添加することも可能である。中種の捏上温度は、24〜26℃とすることが望ましい。
【0019】
中種の醗酵条件も常法による場合と同じ条件が採用可能であり、例えば、菓子パン生地では、温度25〜32℃、湿度70〜95%の条件下で、90〜180分醗酵させるのが望ましい。また、食パン生地の場合は、前記温度及び湿度の条件下で、180〜360分醗酵させることが望ましい。
【0020】
本発明では、油脂類を予め糖類及び水分と混捏してクリーム状生地を作成する工程で添加することとしている。従来法では、油脂類の添加は、パン生地混捏の最終段階に行っていたため、多量の油脂類を添加しようとすると、油脂類を均一に混合すること及び生地の硬軟の調整の必要性から、混捏が過剰となる傾向があり、その結果、生地が損傷されるおそれがあり、また、機械的大量製パンにおける適性を欠いた性状のパン生地となる。しかし、このような混捏過剰による生地損傷は、本発明のパン生地を作成する工程を採用することにより、防止することが可能である。
【0021】
前記油脂類は、ペースト状又は可塑性を有するやし油、パーム核油、カカオ脂等の植物油脂、牛脂、豚脂等の動物油脂及び/又は油性組成物を意味する。該油脂組成物は、具体的にはバター、マーガリン、ショートニング、主成分として植物油脂、又は動物油脂、副成分として乳製品、無機塩類、糖類、乳化剤、塩、高分子多糖類、着色料、香料、酸類、呈味剤、水等から選択される1種類又は2種類以上の組み合わせからなる油脂組成物、その他の油脂組成物を意味し、本発明では、これらの油脂類を1種類又は2種類以上を組み合わせて、添加することも可能である。
【0022】
前記油脂類は、その実質油脂分として、即ち、植物油脂及び/又は動物油脂として8〜100%となるように添加することが望ましい。該添加量がこれより少ないと、製造したパンの容積増大、食べたときに大変柔らかく、また、経時的にも硬化しにくくなるという本発明の効果が顕著に現れないおそれがある。これに対し、該添加量が多すぎるとパン生地の発酵を阻害するおそれがあり、また、油脂類添加後の生地の取り扱いが困難となり、更に、機械的大量製パンにおける製パン適性を欠いた性状のパン生地となる。前記油脂類は、その実質油脂分として、8〜50%となるように添加することがより望ましい。こうすることにより、本発明の効果を実現しつつ、製造されたパンは食べた時に油っぽさを感じない、良好なものとなる。本発明の効果を確実に実現するには、前記油脂類は、その実質油脂分として12〜20%となるように添加することがより一層望ましい。
【0023】
本発明で「機械的大量製パン」とは、例えば、菓子パンの場合は、大型ミキサー、ホッパー付きディバイダー、ラウンダー、ローラーモルダー、これらの各機械間でパン生地を運搬するコンベアなどの機械を用いて、大量にパンを製造することを意味する.また例えば、食パンの場合には、前記機械に加え、カーリングや型詰めの機械等を用いて、大量にパンを製造することを意味する。
【0024】
本発明では、クリーム状生地を作成する工程で、糖類を添加することとしている。
【0025】
前記糖類は、砂糖、転化糖、含蜜糖、ブドウ糖、異性化糖、麦芽糖、乳糖、果糖等があげられるが、特にこれらに限定されるものではなく、また前記糖類のうちから任意に選択する1種類又は2種類以上の組合せを用いることも可能である.前記糖類は、粉状のものを使用するのが望ましい。ここで粉状の糖類が望ましいのは、前記油脂類に気泡を抱きこませ、油脂類を均一に混合することを容易にするためである.前記糖類は、菓子パンの場合は、20〜40%、食パンの場合は、3〜10%添加することが望ましい。
【0026】
前記クリーム状生地を作成する工程は、予め水分を除いた前記原料を混合してクリーム状(ホイップにより、気泡を抱きこませた含気生地)としてから、水分を添加して混合することが望ましい。このようにして、油脂類に気泡を抱きこませた後、水分を添加すると、油脂類の気泡に水分が取り込まれ、油脂類と水分が乳化され、均一に混合しやすくなる。また、前記クリーム状生地は、水分混合後の比重が0.55〜0.95の含気生地となるよう調整することが望ましく、0.7〜0.9とすることがより望ましい。前記クリーム状生地を作成する工程で、塩、脱脂粉乳、香料等の原料を添加することができる。この場合、塩、脱脂粉乳等の液状でない原料は、前記水分を添加する前に予め添加するのが望ましく、液状香料等の液体原料は、前記水分と共に添加するのが望ましい。
【0027】
本発明で「水分」とは、水、牛乳、ジュース、コーヒー、液卵等の飲用可能な液体を意味する。
【0028】
本発明では、前記クリーム状生地にパン生地を構成する全小麦粉量のうち、前記中種に添加した小麦粉量の残量を添加して、中間生地を作成する。こうすることにより、小麦粉添加後のパン生地の混捏時間を短縮することができるため、生地の損傷を防止でき、しかも生地がしっかりしたものとなり、本捏後のパン生地が製パン適性に富んだ良好なものなる。
【0029】
これに対し、前記残量の小麦粉をクリーム状生地の作成工程等、中間生地を作成する工程よりも早い段階で添加すると、小麦粉を添加してからの混捏時間が長くなり、グルテンが発達しすぎて、引き締まった硬いパン生地となり、加熱するとヒキの強い硬いパンとなり、本発明の効果を相殺するおそれがあり、また、場合により、混捏過剰でグルテンが損傷し、製パンに適さない性状の生地となるおそれもある。尚、前記中間生地を作成する工程で添加する前記残量の小麦粉量は、10〜70%とすることが望ましい。
【0030】
本発明における混捏後の中間生地は、0〜15℃で1〜72時間保存することが望ましく、該温度帯で5〜15時間保存することがより望ましい。こうすることにより、小麦粉と水分の水和作用が進行し、製造したパンが一層柔らかい食感となる。保存時間が1時間より短いと、中間生地を保存することによる効果が顕著に現れなくなるおそれがある。他方、保存時間が72時間を越えると、中間生地の水分が蒸発して所望の吸水を維持できないため、生地は硬くなり、本発明の効果が相殺されるおそれがあり、また、食品衛生の観点からも望ましくない。
【0031】
本発明では、卵黄液として4〜15%、又は、全卵(液卵)として15〜45%添加することが望ましく、卵黄液として7〜13%、又は全卵(液卵)として20〜40%添加することがより望ましい。こうすることにより、製造したパンは、容積の増大、食べたときに大変柔らかく、経時的にも硬化しにくくなるという本発明の効果を増大させることができる。更に、製造したパンの形状安定や風味向上という効果も期待できる。前記卵黄液又は全卵(液卵)の添加は、中種を作成する工程及び/又はクリーム状生地を作成する工程で行うのが望ましい。
【0032】
また、本発明では、パン生地を構成する全小麦粉量のうち全部又は、一部を薄力粉とすることもできる。しかし、前記機械的大量製パンにおける製パン適性という観点から、50%以下とすることが望ましい。こうすることにより、製造したパンは、スポンジケーキのような軽く、ソフトな食感のものとすることができる。前記薄力粉は、どの段階でも添加することが可能であり、また一度に全部を添加し、若しくは複数回に分割して添加することも可能である。前記薄力粉の添加量が30%以下の場合は、前記中間生地を作成する工程で前記薄力粉を全部添加することが望ましい。また、前記薄力粉の添加は、薄力粉単独で、または強力粉とともに添加することも可能である。
【0033】
上述のとおり、本発明により、パン生地に多量の油脂類を添加することが可能になり、製造したパンは、その容積が増大し、食べたときに大変柔らかく、また、経時的にも硬化しにくいものとなった。しかも、多量に油脂類を添加しても、機械的大量製パンにおける製パン適性を維持したパン生地を製造することができた。
【0034】
更に、栄養成分、呈味成分の添加や風味向上等を目的とした副原料、例えば、ココアパウダーやコーヒーペースト等をパン生地原料として添加しても、製造されるパン生地の水分が蒸発しやすく、また、硬化しやすくなるという課題を解決することができた。
【0035】
本発明を更に詳細に説明するため、以下の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【実施例1】
【0037】
【表1】
Figure 2004121127
【0038】
上記[表1]に示す配合の原料を低速で2分攪拌(大型ミキサー使用、以下同様)した後、高速で3分攪拌して、捏上温度25℃の中種を作成した。次いで、該中種を温度28℃、湿度82%の条件下で140分醗酵させた。
【0039】
【表2】
Figure 2004121127
【0040】
上記[表2]に示す配合のうち、糖類、塩、脱脂粉乳及び油脂類を低速で1分攪拌した後、高速で6分攪拌してクリーム状とした。次いで、水を添加して、低速で1分、高速で1分攪拌して比重0.8のクリーム状生地を作成した。該クリーム状生地に[表2]に示す小麦粉を添加して、低速1分、高速1分攪拌し、捏上温度24℃の中間生地を作成した。
【0041】
前記醗酵させた中種と前記中間生地を合わせて、低速で5分、高速で9分攪拌して、捏上温度28℃のパン生地を作成した。
【0042】
前記パン生地を40分醗酵させた(フロアータイム)後、90gに分割(ホッパー付きディバイダー使用)し、丸め(ラウンダー使用)、圧延・ガス抜き(三段ローラーモルダー使用)後、カーリングネットを使用して巻き込んで長さ27cmのスティック形状に成形した。
【0043】
前記成形したパン生地を温度38℃、湿度82%の条件下で60分醗酵(ホイロ)させた。
【0044】
前記醗酵させたパン生地を温度210℃〜220℃で12分焼成した。こうして得られたパンはボリュームがあり(容積が大きい)、食べてみると大変柔らかく、また、老化の抑制されたものであった。しかも、パン生地は、多量の油脂類が添加されているにもかかわらず、機械耐性及び安定性が良好なものであった。
【0045】
【実施例2】
液卵(全卵)を30質量%中種の配合に加え、上記[表1]の中種配合の水を50質量%から20質量%に減らす以外は、実施例1と同様の条件にてパン生地を製造し、実施例1と同様の条件にてパンを製造した。
【0046】
こうして得られたパンは、ボリューム、柔らかさ及び老化抑制という点で実施例1で得られたパンより優れており、さらに、形状が安定し、風味の良好なパンであった。しかも、パン生地は、多量の油脂類が添加されているにもかかわらず、機械耐性及び安定性が良好なものであった。
【0047】
【実施例3】
実施例1で中間生地を作成する工程でクリーム状生地に小麦粉として強力粉を30質量%添加するのに代えて、薄力粉を30質量%を添加する以外は、実施例1と同様の条件にてパン生地を製造し、実施例1と同様の条件にてパンを製造した。
【0048】
こうして得られたパンはボリュームがあり(容積が大きい)、食べてみると大変柔らかく、また、老化の抑制されたものであった。さらに、スポンジケーキのような軽く、ソフトな食感のパンであった。しかも、パン生地は、薄力粉を使用したうえ、多量の油脂類が添加されているにもかかわらず、機械耐性及び安定性が良好なものであった。
【0049】
【実施例4】
実施例1と同様の条件にて作成した混捏後の中間生地を5℃で10時間保存した以外は、実施例1と同様の条件にてパン生地を製造し、実施例1と同様の条件にてパンを製造した。
【0050】
こうして得られたパンはボリュームがあり(容積が大きい)、食べてみると柔らかさでは実施例1で得られたものより優れており、また、実施例1で得られたパンと同様に老化の抑制されたものであった。しかも、パン生地は、多量の油脂類が添加されているにもかかわらず、機械耐性及び安定性が良好なものであった。
【0051】
【実施例5】
実施例1において、実施例2と同様に液卵(全卵)を加え、水を減らすとともに、実施例3と同様に、強力粉を薄力粉に代え、更に、実施例4と同様に混捏後の中間生地を保存する以外は、実施例1と同様の条件にてパンを製造した。
【0052】
こうして得られたパンは、ボリューム、柔らかさ及び老化抑制という点で実施例1乃至4で得られたパンより優れており、更に、形状が安定し、風味が良好なものであり、また、スポンジケーキのような軽く、ソフトな食感のパンであった。しかも、パン生地は、薄力粉を使用したうえ、多量の油脂類が添加されているにもかかわらず、機械耐性及び安定性が良好なものであった。
【0053】
【実施例6】
【0054】
【表3】
Figure 2004121127
【0055】
上記[表3]に示す配合の原料を低速で2分攪拌(大型ミキサー使用、以下同様)した後、高速で3分攪拌して、捏上温度25℃の中種を作成した。次いで、該中種を温度28℃、湿度82%の条件下で140分醗酵させた。
【0056】
【表4】
Figure 2004121127
【0057】
上記[表4]に示す配合のうち、糖類、塩、脱脂粉乳及び油脂類を低速で1分攪拌した後、高速で6分攪拌してクリーム状とした。次いで、水を添加して、低速で1分、高速で1分攪拌して比重0.8のクリーム状生地を作成した。該クリーム状生地に[表4]に示す小麦粉を添加して、低速1分、高速1分攪拌し、捏上温度24℃の中間生地を作成した。該中間生地をビニール袋に入れ、5℃に設定してある冷蔵庫内で10時間保存した。
【0058】
前記醗酵させた中種と前記保存した中間生地を合わせて、低速で5分、高速で9分攪拌して、捏上温度28℃のパン生地を作成した。
【0059】
前記パン生地を40分醗酵させた(フロアータイム)後、90gに分割(ホッパー付きディバイダー使用)し、丸め(ラウンダー使用)、圧延・ガス抜き(三段ローラーモルダー使用)後、カーリングネットを使用して巻き込んで長さ27cmのスティック形状に成形した。
【0060】
前記成形したパン生地を温度38℃、湿度82%の条件下で60分醗酵(ホイロ)させた。
【0061】
こうして得られたパンは、実施例5と同様にボリューム、柔らかさ及び老化抑制という点で実施例1乃至4で得られたパンより優れており、更に、形状が安定し、風味が良好なものであり、また、スポンジケーキのような軽く、ソフトな食感のパンであった。しかも、パン生地は、薄力粉を使用したうえ、多量のマーガリンが添加されているにもかかわらず、機械耐性及び安定性が良好なものであった。
【0062】
【実施例7】
実施例6におけるマーガリンの添加量を20%から100%(実質油脂分80%)とした以外は、実施例6と同様の条件にてパンを製造した。
【0063】
こうして得られたパンは、ボリュームがあり、食べてみると大変柔らかく、また老化の抑制されたものであった。更に、風味が良好なものであり、また、スポンジケーキのような軽く、ソフトな食感のパンであった。しかも、パン生地は、薄力粉を使用したうえ、多量のマーガリンが添加されているにもかかわらず、機械耐性及び安定性が良好なものであった。
【0064】
【比較例1】
実施例1の中種と同様の配合及び条件にて、中種を作成し、実施例1の中種醗酵と同様の条件にて、中種を醗酵させた。
【0065】
下記表5に示す配合の原料を低速で2分攪拌した後、高速で3分攪拌した。次いで、前記醗酵させた中種を加えて、低速で2分、高速で6分攪拌して、捏上温度28℃のパン生地を作成した。
【0066】
【表5】
Figure 2004121127
【0067】
前記パン生地を40分醗酵させた(フロアータイム)後、100gに分割(ホッパーつきディバインダー使用)し、丸め(ラウンダー使用)、圧延・ガス抜き(三段ローラーモルダー使用)後、カーリングネットを使用して巻き込んで長さ27cmのスティック形状に成形した。
【0068】
前記成形したパン生地を実施例1と同様のホイロ条件(温度38℃、湿度82%、時間60分)で醗酵(ホイロ)させた。
【0069】
前記醗酵させたパン生地を実施例1と同様の焼成条件(温度210〜220℃、時間12分)で焼成した。このようにして、従来技術である一般的な中種法による菓子パンを得た。
【0070】
【試験例1】
実施例5及び比較例1で得られたパンを5ヶずつ用意しそれぞれ5つの高さを測定し、それぞれの平均値を以下の表6に示す。
【0071】
【表6】
Figure 2004121127
【0072】
実施例5のパンは、比較例1のパンに対して、高さでは3.6mm大きいものであった。本発明による実施例5は、比較例1よりパン生地重量は10g少ないにもかかわらず、製造したパンは、図1及び図2に示す参考写真のようにほぼ同等の寸法を有し、高さでは、比較例1より大きいものであった。このことから、本発明によれば、製造したパンの容積を増大させる効果があることがわかる。
【0073】
【試験例2】
実施例5及び比較例1で得られたパンを用いて、官能試験を61名で行ったところ、本発明による実施例5のパンは、比較例1のそれよりも口溶けが著しく良好であり、クラストは食感、触感ともに著しく柔らかく、クラムは食感が著しくしっとり柔らかいものであった。さらに、口当たりも著しく柔らかいものであった。一方、比較例1のパンは、実施例5のパンに比べ、口溶けが悪く、クラストは硬くて引きが強く、クラムはバサついていた。
【0074】
【発明の効果】
本発明により、パン生地に多量の油脂類を添加することが可能となり、製造したパンは、その容積が増大し、食べたときに大変柔らかく、また、経時的にも硬化しにくいものとなった。しかも、多量に油脂類を添加しても、機械的大量製パンにおける製パン適性を維持したパン生地を製造することができた。
【0075】
更に、栄養成分、呈味成分の添加や風味向上を目的とした副原料をパン生地原料として添加しても、パン生地の水分が蒸発しやすく、また、硬化しやすくなるという課題を解決することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5及び比較例1で得られたパンの表面を示す参考写真である。
【図2】図1に示す参考写真の部分拡大写真である。
【符号の説明】
1・・・比較例1で得られたパン
2・・・実施例5で得られたパン

Claims (9)

  1. 少なくとも、パン生地を構成する全小麦粉量のうちの一部の小麦粉、イースト及び水を混捏して中種を作成し、これを醗酵させる工程と、
    前記中種とは別に、前記中種を構成する原料を除き、少なくとも、油脂類、糖類及び水分を混合してクリーム状生地を作成する工程と、
    前記クリーム状生地と残量の小麦粉とを混捏して中間生地を作成する工程と、
    前記醗酵後の中種と前記中間生地とを混捏してパン生地を作成する工程と、
    を備えることを特徴とするパン生地の製造方法。
  2. 前記クリーム状生地を作成する工程は、予め水分を除いた、少なくとも前記原料を混合してクリーム状としてから、水分を添加して混合することを特徴とする請求項1に記載のパン生地の製造方法。
  3. 前記クリーム状生地は、水分を添加して混合した後の比重が、0.55〜0.95の含気生地となるように調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のパン生地の製造方法。
  4. 前記油脂類は、その実質油脂分として、パン生地を構成する全小麦粉量に対して質量比で8〜100%となるように添加することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のパン生地の製造方法。
  5. 前記混捏後の中間生地を0〜15℃で1〜72時間保存し、前記醗酵後の中種と混捏することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のパン生地の製造方法。
  6. パン生地を構成する全小麦粉量に対して、卵黄液として質量比で4〜15%、又は全卵(液卵)として質量比で15〜45%添加することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のパン生地の製造方法。
  7. パン生地を構成する全小麦粉量のうち50%以下を薄力粉とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のパン生地の製造方法。
  8. 前記薄力粉の全部又は一部は前記中間生地を作成するにあたり添加することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のパン生地の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のパン生地の製造方法に従って製造したパン生地を用いてパンを製造することを特徴とするパンの製造方法。
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