JP2004121072A - トラクタ - Google Patents

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JP2004121072A JP2002288983A JP2002288983A JP2004121072A JP 2004121072 A JP2004121072 A JP 2004121072A JP 2002288983 A JP2002288983 A JP 2002288983A JP 2002288983 A JP2002288983 A JP 2002288983A JP 2004121072 A JP2004121072 A JP 2004121072A
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Kunihiko Iegi
家木 邦彦
Taketoshi Fujita
藤田 武利
Hideji Ishimaru
石丸 秀司
Yoshitaka Tani
谷 良孝
Koji Koyama
小山 浩二
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Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】前輪増速装置とポジション式油圧コントロール機構を装備し、廉価で日常の点検が容易な小型トラクターを提供することを目的とする。
【解決手段】前輪駆動系に前輪増速装置8を有するトラクタにおいて、変速装置を収容する伝動ケース6の横に電動モータ45を設け、この電動モータ45をステアリングハンドル7操作に連動させて正転又は逆転させて前輪増速装置8を標準四駆状態と前輪増速状態とに切換えるよう構成すると共に、前記伝動ケース6の後上部には板体122を設け、この板体122上にステアリングハンドル7操作と連動して作業機を自動的に上昇させる別の電動モータ130を設け、更に昇降用コントロールバルブ131、デセラバルブ132、リリーフバルブ134等を設ける。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、前輪増速装置とポジション式油圧機構を有するトラクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
前輪増速装置とポジション式油圧機構を備えたトラクタが知られている。一般的に前輪増速装置は伝動ケースの中に油圧式の高低速切換装置が組み込まれたものが多く(例えば、特許文献1、2参照)、ポジション式油圧機構は伝動ケースの後上部においてリフトアームを枢支している油圧シリンダケースの中に昇降バルブやポジションリンク機構等を組み込んでいるものが多い(例えば、特許文献3、4参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−245678号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平10−81255号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平8−252003号公報
【0006】
【特許文献4】
特開2002−8号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のように、前輪増速装置の高低速切換装置を油圧で構成する場合は、構成が複雑な上、多くの配管や制御バルブを必要としていた。
また、作業機を上げ下げするポジション式油圧機構を構成する場合、リフトアームを枢支している油圧シリンダケースの中に制御バルブやフィードバックリンクを組み込まなければならず、油圧装置全体が大きなものになり、製造コストも高くなるという欠点があった。
その上、これらが油圧シリンダケースの中にあるために日常の点検整備等もやり難いという欠点があり、小型のトラクタにそのまま適用することができなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記した問題点に鑑みて提案するものであって、前輪増速装置とポジション式油圧機構も装備することができ、しかも安価に製造できる小型トラクタを提供することを目的とし、このため次のような技術的手段を講じた。
【0009】
即ち、請求項1の発明は、前輪駆動系に前輪増速装置8を有するトラクタにおいて、変速装置76,77を収容する伝動ケース6の横外側に電動モータ45を設け、この電動モータ45の近傍には電動モータ45で駆動されるギヤ機構48を設け、このギヤ機構48の外側を扁平なケース51で覆うように構成すると共に、前記ギヤ機構48から取り出された前後方向の動きを機械的連動具43を介して前記前輪増速装置8の切換アーム40に伝達させてなるトラクタとした。
【0010】
このように、前輪増速装置8の高低切換を電動モータ45で行うようにしたものであるから、構造が簡潔となり油圧式に比べて廉価に構成できるものである。また、電動モータ45の動きをギヤ機構48で前後方向の動きに変換し、これらギヤ機構48はケース51で覆うようにしたので、代掻き作業時に泥水等がギヤ機構48部に浸入するようなことがない。
【0011】
請求項2の発明は、前輪駆動系に前輪増速装置8を有するトラクタにおいて、変速装置76,77を収容する伝動ケース6の上部に板体122を取り付け、この板体122の上方に作業機を昇降させる電動モータ130を取り付け、この電動モータ130をフェンダー107と、座席118を支持するフロアシート119で覆ったことを特徴とするトラクタとした。
【0012】
このようにすることによって作業時のみならず、作業を終えてトラクタを洗車する際にも水が駆動部に掛からず、電動モータ130の耐久性を向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明は、前記板体122上に、昇降用コントロールバルブ131と、リフトアーム125の下降速度を地表近くで遅くするデセラバルブ132と、設定圧以上の作動油を伝動ケース6内に排出するリリーフバルブ134と、作業機の左右傾斜姿勢を制御する水平制御バルブ136とを設け、これらのバルブ131,132,134,136を左右方向に並設させたことを特徴とする請求項2記載のトラクタとした。
【0014】
このようにすべてのバルブを1箇所にまとめて板体122に並設するようにしたので、フロアシート119を外すと全てのバルブが目に入りやすくなり日常の点検整備が容易になる。
【0015】
請求項4の発明は、前記板体122上に昇降用コントロールバルブ131を操作するポジション油圧操作レバー138とリフトアーム125からのフィードバック部材159を設けたことを特徴とする請求項2記載のトラクタとした。
【0016】
これにより、トラクタに必要不可欠なポジションコントロール系の作動の確認や調整が容易になった。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、この発明の実施の形態を説明する。まず、構成から説明すると、1は小型のトラクタで機体の前後部に前輪2,2と後輪3,3を備え、ボンネット4内に収容したエンジン5の回転動力を伝動ケース6内の変速装置により適宜減速し、この減速した動力を前輪2,2と後輪3,3に伝達すべく構成している。
【0018】
このトラクタ1は走行伝動系の中に、旋回時に前輪2,2の回転周速度が後輪3,3の周速の2倍程度に増速される前輪増速装置8を備えている。図2を用いて前輪増速装置8を説明する。
【0019】
前輪2,2を駆動するための駆動軸9は、後輪デフ装置10の直前から分岐されたギヤ機構によって駆動され、この駆動軸9の先端にはギヤ11が固着されている。符号12は中空状のボスでこのボス12と一体のギヤ13が前記ギヤ11と常時噛み合っている。
【0020】
ボス12の中空部には2枚のキー式シフト爪15,15を枢支する変速軸16が挿入され、2枚のキー式シフト爪15,15の間には1本のスプリング17が介装され、各々のキー式シフト爪15,15を半径方向外側へ向かって拡開すべく附勢している。
【0021】
18,18はキー式シフト爪15,15を変速軸16に枢着しているピンである。前記の筒状ボス12の外周上には標準ギヤ19と増速ギヤ20が回転自在に遊嵌され、これらのギヤ19,20に前輪駆動軸23と一体のギヤ24,25が常時噛み合う。前記ギヤ13と増速ギヤ20と標準ギヤ19との間には所定の間隔を保つようにカラー27,28が介装されている。
前側カラー28の内周面にはキー式シフト爪15の先端が入り込む空間部28aが形成される。
一方、カラー28を挟んだ前後のギヤ19,20にはキー式シフト爪15,15と係合する係止溝19a,20aがギヤの内周部に設けられている。
【0022】
変速軸16を軸長手方向にスライドさせてキー式シフト爪15の先端を増速ギヤ20の係止溝20aに係止させると変速軸16と増速ギヤ20が一体となり、増速された回転動力が前輪駆動軸23側に伝達される。変速軸16を前側に移動させてキー式シフト爪15の先端を標準ギヤ19の係止溝19aに係合させると変速軸16と標準ギヤ19が一体となり、標準速が前輪駆動軸23に伝えられる。このときは、等速四駆状態、言い換えると前輪2と後輪3の回転周速度が略等しい回転動力が変速軸16側から前輪駆動軸23側に伝達される。キー式シフト爪15がカラー28の空間部28aに入ると前輪2,2には動力が伝わらない中立の状態となる。
【0023】
変速軸16の前部にはシフタアーム30の下端30aが係合され、シフタアーム30が支点31を中心として回動すると変速軸16が前後方向に移動して前輪駆動系を標準四駆状態にしたり、前輪増速状態にしたり、若しくは後輪3のみを駆動して前輪2は駆動しない中立状態に切り替えるように構成している。
【0024】
前記支点ピン31の外側には図6に示すように上部アーム32が固着されると共にこの上部アーム32には下部アーム33がピン34にて枢着されている。
【0025】
下部アーム33は下方が開口された板金ケース35に固着の筒体37内に挿通された水平支持ピン38に固着され、このピン38の外側においてピン38と一体で回動するボス39が設けられ、このボス39には外部アーム40が固着されている。
【0026】
外部アーム40の外側上端には前後方向に沿わせて設けた連結ロッド43の前端が枢着され、ロッド43の後端は後述する電動モータ45にて駆動されるカム部材57に連結される。
【0027】
図5はその様子を示すものであり、伝動ケース6の外側にブラケット47を取り付け、このブラケット47には電動モータ45によって駆動されるギヤ機構48を収容するケースカバー51をボルト50により固着している。電動モータ45はこのケースカバー51に一体的に、且つ、縦方向にして組み付けられており、電動モータ45の出力軸52にはピニオンギヤ53(図3参照)が取り付けられている。このピニオンギヤ53にはケースカバー51内に収容されている側面視半月状のギヤ54が噛み合い、電動モータ45が駆動されるとピニオンギヤ53、ギヤ54を順次介してケースカバー51に支架されたピン55を回転させるようにしている。
【0028】
このピン55の外端部にはボス57a付のカム板57が取り付けられ、このカム板57がピン55の軸心廻りに回動するように構成している。前記ロッド43の後端部はこのカム板57に連結される。
【0029】
カム板57の上には2個のストップスイッチ58,58のローラ部58a,58aが接しており、これらスイッチ58,58は前記ブラケット47に固定されている。2個のスイッチ58,58は電動モータ45が正転方向又は逆転方向に回されてストロークエンドに達したときに電動モータ45を停止させるために設けられる。
【0030】
前記電動モータ45がONとなって前輪増速装置8が高速側に切り換わるのは、低速作業時で、且つ、ステアリングハンドル7が所定角度以上回動操作されたときである。そして、ステアリングハンドル7を元の直進走行位置に戻せば、再び、前輪増速状態から標準四駆状態に戻るように構成されている。この実施例では、路上走行や圃場を高速で走行する場合には決して前輪増速装置8が作動しないようになっている。
【0031】
以上の説明から明らかなように、この実施例では、電動モータ45で回転駆動されるギヤ類やカム板57は左右方向の幅が狭くその外側を扁平なケースカバー51で覆ったので、これらが横方向に大きく広がって場所を取るようなことがなく、しかも、電動モータ45等の取り付けも容易であり、また、これらの外側をフェンダー107の立壁面で覆うことで泥土や泥水が掛からないので、常時、円滑な作動を行わせることができるものである。
【0032】
なお、図3において、符号59はブレーキシャフト、60はブレーキ軸、62はブレーキアーム、61はアーム63とブレーキアーム62とをつなぐロッドである。ブレーキペダル64,64を踏み込むことによって踏み込んだ側のロッド61が後方に押され、ブレーキ軸60を回動させてブレーキ装置を作動させるようにしている。
【0033】
図7はブレーキペダル64,64とこれを支持するケース35との関係を展開して示す図である。
下方が開口されたケース35の左右両側下部に筒体67,67を固着してこの筒体67,67でブレーキシャフト59を支持する。夫々の筒体67,67にはブッシュ68,68が嵌合されており、内端にOリング69,69が取り付けられ、更にこのOリング69,69とブッシュ68,68との間にはグリスニップル70,70が取り付けられている。グリスニップル70,70からグリスを注入すると、グリスが内側へは流れずに外側のブッシュ68,68へ向かう。ブレーキシャフト59の右側には2本のブレーキペダル64,64が取り付けられ、そのうち、右側のペダル64はブレーキシャフト59に遊嵌され、左側のブレーキペダル64はブレーキシャフト59と一体的に構成している。図示は省略するが、右側ブレーキペダル64を踏むと右のブレーキ装置が作動し、左側のブレーキペダル64を踏むと左のブレーキ装置が作動する。クラッチペダル71はブレーキシャフト59の左側に遊嵌され、クラッチアームと連結されていて、クラッチペダル71を踏むとクラッチが切れるようにしている。
【0034】
次に図8ないし図10に基づいて副変速装置77とその操作系について説明する。図8に示す変速装置は主変速装置76と副変速装置77を示し、これらは前後に直列に設けられている。主変速装置76も先に説明した前輪増速装置8と同じキーシフト方式を採用しており、変速軸78を前後方向に操作することによって後進1段(R1)、前進3段(F1,F2,F3)が変速できる。クラッチを介して伝達されたエンジン5側の動力は第一駆動軸79から変速軸78に伝達される。第一駆動軸79と一体の小径ギヤ80、中径ギヤ81、大径ギヤ82は変速軸78に遊嵌されている大径ギヤ84、中径ギヤ85、小径ギヤ86と常時噛み合っている。変速軸78上に遊嵌された後進ギヤ87は図示外のカウンタギヤを介して第一駆動軸の小径ギヤ80と常時噛み合っている。図8においてキー式シフト爪88を前側から後側に順次スライドさせることによって後進(R1)、中立、前進1速(F1)、前進2速(F2)、前進3速(F3)が得られる。主変速装置76で減速された動力は変速軸78の軸後端部78aから取り出され、副変速装置77側に伝達される。
【0035】
変速軸78の後部には同芯状に配設されたドライブピニオン軸90が回転自在に遊嵌されている。このドライブピニオン軸90上には副変速用のギヤ91が前後スライド自在にスプライン嵌合されている。
【0036】
一方、前記第一駆動軸79の後部には筒状で前後にギヤ92,93を有するたカウンタギヤ94が回転自在に遊嵌されている。
【0037】
副変速ギヤ91を前側に移動させて副変速ギヤ91の内歯91aを変速軸78後端のギヤ95に噛み合わせると変速軸78とドライブピニオン軸90とが直結され、副変速の「高」が後輪デフ装置99に伝達される。副変速ギヤ91を後方にスライドさせると、変速軸78の後端のギヤ95、カウンタギヤ94のギヤ92,93、副変速ギヤ91を順次介して副変速の「低」の回転が後輪デフ装置99に伝達される。
【0038】
また、副変速ギヤ91の外周に形成した凹部100には副変速シフターピン101の下端が嵌入させられている。副変速シフターピン101は上下方向のピン103の下端に軸芯をずらした状態で固着されており、このピン103は伝動ケース6上面に固着された軸受カバー105によって回動可能に支持されている。
【0039】
ピン103と一体のアーム106とフェンダー107寄りに設けられた中間ベルクランク108とは水平横向きのプレート110(図9参照)で連結されている。ベルクランク108は支点111を中心に回動自在に構成される。左側フェンダー107のガイド溝109に挿通された副変速操作レバー113は支点114を中心に前後回動自在に枢着されており、この副変速操作レバー113のアーム部の途中と前記ベルクランク108とはロッド120で連結されている。
【0040】
この副変速操作レバー113をガイド溝109内で前後方向に操作すると、ロッド120、ベルクランク108、プレート110、アーム106を順次介してピン103が回動され、副変速ギヤ91を前後に移動させて副変速装置77を高低に切り換えるように構成している。
【0041】
次に図11ないし図13に基づいて油圧系の構成について説明する。
伝動ケース6の後上部には平坦な板体122が設けられ、この板体122の左右にはフェンダー取付ブラケット123,123が固着され、この取付ブラケット123,123にフェンダー107,107が取り付けられる。
【0042】
板体122の上部であって、且つ座席118を支えるフロアシート119の下方には機体の進行方向に向かって右から順番に電動モータ130、作業機昇降用のコントロールバルブ131、デセラバルブ132、リリーフバルブ134、水平制御バルブ136、外部装着式の油圧シリンダー137が設けられている。
【0043】
電動モータ130は作業機昇降用のコントロールバルブ131を上げ下げ制御するために設けられたものであり、後述するポジション系の油圧操作レバー138とは別に設けられた昇降スイッチ(ステアリングハンドル7の下方に設けられたフィンガップレバー116によって操作される)、又はステアリングハンドル7操作によって入切りされるスイッチによって作動するものである。
【0044】
フィンガップレバー116を上げ下げしてその基部に設けたスイッチがON,OFFされると、電動モータ130に対して上げ又は下げの信号が出力される。図示外のオートリフトモードスイッチをONした状態でステアリングハンドル7を所定角度以上操作すると、上げ側のスイッチがONとなり、電動モータ130が作動して昇降用コントロールバルブ131のメインスプール131aを押し込み作業機を上昇させる。
【0045】
作業機昇降用のコントロールバルブ131はそのメインスプール131aが前後方向に沿わせて設けられ、これが押し込まれると作業機を上昇させ、後側に引かれると作業機を下降させるようになっている。常態においては、昇降用コントロールバルブ131は中立位置に保たれる。
【0046】
デセラバルブ132のスプール132aも前後方向に沿うように設けられ、このスプール132aが押し込まれると作業機の下降速度を遅くする。このデセラバルブ134によるデセラ制御が効くのはリフトアーム125が下降回動して作業機が着地する瞬間だけとしている。作業機が地表面近傍に達した後は元の下降速度に戻って設定された耕深に速く到達するように、また、上昇時にはこのデセラ制御が効かないようにしている。水平制御バルブ136は機体後部に連結した作業機の左右ローリング姿勢を制御するためのバルブであって、通常は作業機を絶対水平姿勢に維持する。自動による水平制御だけでなく、手動操作によって作業機を任意の角度に傾斜させることもできる。
【0047】
リフトアーム125を昇降回動させる外部装着式の油圧シリンダー137は単動式であり、前端は板体122側に枢着され、前記コントロールバルブ131が上昇側に切り換えられるとこの油圧シリンダー137内に作動油が供給されて油圧シリンダー137のピストンが伸びてリフトアーム125を支点126廻りに上昇側に回動させ、反対にコントロールバルブ131が下降側に切り換えられるとリフトアーム125が下降側に回動するように構成している。
【0048】
次に図12と図13を用いてポジションコントロール系を説明する。
板体122の上に固着したベース板139にはポジション操作用の油圧操作レバー138が枢着されている。140はこの油圧操作レバー138の回動支点である。
【0049】
油圧操作レバー138の回動基部にはカムプレート141が固着され、このカムプレート141を介して上部軸143を回動させる。この上部軸143の内端には図13に示すようにプレート144が固着され、このプレート144の下端には水平横向きに下部軸147が固着されている。下部軸147には筒状のカラー148が回動自在に遊嵌され、このカラー148にはメインスプール131aを後方から押すプッシュプレート149が取り付けられている。プッシュプレート149の前側中間部に形成した突起149aがスプール131を押圧すると作業機が上昇する。
【0050】
このプッシュプレート149とその後方においてピン151廻りに枢着された遥動プレート153とはプレート154で連結され、遥動プレート153の上部とリフトアーム125とは1本のロッド155で連結されている。
【0051】
上記構成において、例えば、図12の状態から油圧操作レバー138を後方へ回動させると、そのカムプレート141が側面視L字に折れ曲がったプレート156を同じ方向に押し上げ、上部軸143を時計方向に回動させる。
【0052】
内端に固着されたプレート144も時計方向に回される結果、下部軸147が前側に移動する。すると、この下部軸147の上に遊嵌されたプッシュプレート149が前側に移動することになって、突起149aでメインスプール131aを後方から押してリフトアーム125を上方に回動させる。
【0053】
このときメインスプール131aが押され続けると作業機は上昇し続けることになるが、リフトアーム125の上方への回動によってロッド155が後方(図12では右)へ引かれ、遥動アーム153を時計方向に回動させ、プレート154を後方へ引き、プッシュプレート149を後方に引き戻す。このようにして、メインスプール131aが上昇側から中立側に引き戻され、ポジションコントロールのフィードバックが効いてリフトアーム125は油圧操作レバー138が設定した上昇位置で停止する。油圧操作レバー138を下降側に操作したときは上記の場合とは全く逆の作用をなし、リフトアーム125の下降回動によりロッド155が押されてメインスプール131aが中立位置に押し込まれて停止し、このようにして油圧操作レバー138の操作位置に応じたところでリフトアーム125が停止する。このようにして、ポジション制御が実行される。なお、この実施例では、ロッド155、遥動プレート153、プレート154、プッシュプレート149、プレート144をフィードバック部材159と総称する。
【0054】
次に図14、図15、図16に基づいて電動モータ130の作動部の構成を説明する。板体122の上にはモータ支持ブラケット158を介して電動モータ130が支持されている。電動モータ130の回転軸160にはアーム161が取り付けられ、電動モータ130が回転すると、このアーム161が時計方向にあるいは反時計方向に回る。
【0055】
また、前記モータ支持ブラケット158の支点ピン163に回動自在に枢着された側面視三角状の遥動板164と前記モータ側のアーム161との間には押し引きプレート165が介装連結されている。先に説明したポジション系の上部軸143に嵌合されたボス145と一体のプレート145aに取り付けたピン166には通孔166aが穿設されており、この通孔166a内にロッド168が挿通され、ロッド168の後端には抜け止めとしてのナット169が締め付けされ、ロッド168の前端は前記遥動板164の中間部に連結されている。
【0056】
図14は電動モータ130が下げ位置にある状態を示しており、電動モータ130に対して下げの信号が入るとアーム161は時計方向に回され、遥動板164を後方に回動させ、ロッド168を後方に移動させる。
【0057】
このときにはロッド168を挿通支持するピン166とナット169の間に間隙が形成されることになるので、下げ状態にある作業機を電動モータ130によらずに油圧操作レバー138を上げ側に操作しても作業機を吊り上げることができる。即ち、油圧操作レバー138を上げ側に操作すると、プレート156、上部軸143、ボス145、プレート145aを時計方向に回すことができる。
【0058】
図15は下状態から上げの信号が入ったときの状態を示すものである。即ち、昇降スイッチを押して作業機を上昇させようとするか、ステアリングハンドル7を所定角度だけ回した結果、上昇信号が電動モータ130に対して与えられたときの様子を示すものである。電動モータ130の回転軸160は反時計方向に回動され、遥動板164を支点ピン163を中心として前側に倒し、ロッド168を前方に引っ張る。この結果、ナット169がピン166に当たって上部軸143を時計方向に回動させ、メインスプール131aを上げ側に切り換える。
【0059】
次に図17に示す耕深調整(デプス)機構について説明する。
耕耘装置のロータリカバーの上下回動をワイヤやロッド等のフィードバック部材を利用して耕深調節を行うものを一般的にメカオート式の耕深(デプス)制御と言っているが、図17はこのようなメカ式のものにおける耕深調節とそのフィードバックとの関係について説明したものである。
【0060】
同図において、符号171は耕深を設定するデプス操作レバーで、ポジション制御用の油圧操作レバー138と同軸芯上に回動自在に設けられ、プレート144には長孔172を有するプレート173が支点ピン174を中心として前後に所定範囲回動できるように枢着されている。このプレート173上部と固定側のベース板139との間にはスプリング175が介装され、常時このプレート173を前側に引きつけるようにしている。
【0061】
デプス操作レバー171の基部と前記プレート173との間には両端が折れ曲がった短いロッド177が介装されている。更に詳述すると、ロッド177の前端はデプス操作レバー171の基部に係止され、反対側の端部はプレート173の長孔172に遊嵌されている。
そして、プレート173の上部ピン179には図示外の耕耘装置のリヤカバーの動きをフィードバックするワイヤー180の前端が連結されている。
【0062】
耕深が深くなってリヤカバーが土によって上方に回動させられると、ワイヤー180が引っ張られ(図17では右側に引かれる)プレート144が上部軸143を中心として時計方向に回され、コントロールバルブ131のメインスプール131aを押して耕耘装置全体を持ち上げて耕深を浅くするようにしている。耕深がデプス操作レバー171で設定した深さに対して浅くなる場合は上記作用とは逆になり、耕耘装置を下げる方向にメインスプール131aが操作される。デプス制御の場合、前記プレート144が前後に動くことにより、これと連動して作動するプッシュプレート149を介してコントロールバルブ131のメインスプール131aが押し引き操作されるのである。
【0063】
最後に図18、図19、図20のウエイト取付構造について説明する。
図18に示すウエイト185はトラクタ1の機体前部に搭載したエンジン5とラジエータ14との間にウエイト185を取り付けて前輪2に掛かる荷重を増大させたものである。
【0064】
機体後部に作業機を装着して耕耘作業を行うときに前輪分担荷重が軽いと機体の推進力が発揮できず、従って、良好な耕耘作業を行えないという欠点があるが、このトラクタ1にはラジエータ14の後方下部において左右のフレーム186,186間を埋めるようにウエイト185を設けている。このウエイト185は図19に示すように上面が後方に至るほど下位となるように傾斜させて設けられており、ラジエータ14後方の吸引ファン188が吸い込んだ外気をこの傾斜面に沿ってエンジン5の下方に導いてエンジン5等を冷却すると共に、冷却後の熱風が再びラジエータ14の前方に回りこんで熱気を吸い込まないようにしている。
【0065】
【発明の効果】
請求項1の発明は、前輪駆動系に前輪増速装置8を有するトラクタにおいて、変速装置76,77を収容する伝動ケース6の横外側に電動モータ45を設け、この電動モータ45の近傍には電動モータ45で駆動されるギヤ機構48を設け、このギヤ機構48の外側を扁平なケース51で覆うように構成すると共に、前記ギヤ機構48から取り出された前後方向の動きを機械的連動具43を介して前記前輪増速装置8の切換アーム40に伝達させたので、油圧式に比べて前輪増速装置8の構成が簡潔になると共に電動モータ45によって駆動されるギヤ機構48等に泥水が掛かることがなく、前輪増速装置8の確実な作動を期待することができる。
【0066】
請求項2の発明は、前輪駆動系に前輪増速装置8を有するトラクタにおいて、変速装置76,77を収容する伝動ケース6の上部に板体122を取り付け、この板体122の上方に作業機を昇降させる電動モータ130を取り付け、この電動モータ130をフェンダー107と、座席118を支持するフロアシート119で覆ったことを特徴とするトラクタとしたので、代掻き作業時に電動モータ130に泥水が掛かったり洗車時に圧力水が掛かるといった不具合が生じることがない。
【0067】
また、請求項3の発明は、前記板体122上に、昇降用コントロールバルブ131と、リフトアーム125の下降速度を地表近くで遅くするデセラバルブ132と、設定圧以上の作動油を伝動ケース6内に排出するリリーフバルブ134と、作業機の左右傾斜姿勢を制御する水平制御バルブ136とを設け、これらのバルブ131,132,134,136を左右方向に並設させたことを特徴とする請求項2記載のトラクタとしたので、フロアシート119を取り去ればバルブ類が全て見える状態にあり、バルブの作動の確認、点検が容易になるほか、調節も簡単に行える。
【0068】
請求項4の発明は、前記板体122上に昇降用コントロールバルブ131を操作するポジション油圧操作レバー138とリフトアーム125からのフィードバック部材159を設けたことを特徴とする請求項2記載のトラクタとしたので、フィードバック部材159を構成するリンクやプレートあるいはこれら連結部の動作確認や点検、調整が容易に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】前輪増速装置の断面図である。
【図3】前輪増速装置を入切りする電動モータ部分と切換アーム部分の関係を示す側面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】要部の正面断面図である。
【図6】要部の正面図である。
【図7】ブレーキペダルとクラッチペダルの軸支構造を示す断面図である。
【図8】副変速装置部分の断面図である。
【図9】副変速装置の操作系を示す平面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】各種バルブの配置を示す平面図である。
【図12】コントロールバルブとリフトアームの関係を示す側面図である。
【図13】その背面図である。
【図14】作業機昇降用電動モータ取付部分の側面図である。
【図15】作業機昇降用電動モータ取付部分の側面図である。
【図16】その平面図である。
【図17】耕深制御用レバー取付部分の側面図である。
【図18】ウエイト取付状態を示す平面図である。
【図19】ウエイト取付状態を示す側面図である。
【図20】ウエイトを装着したトラクタの側面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ        2 前輪
3 後輪          4 ボンネット
5 エンジン        6 伝動ケース
7 ステアリングハンドル  8 前輪増速装置
9 駆動軸         10 後輪デフ装置
11、13 ギヤ      12 中空状のボス
14 ラジエータ      15 キー式シフト爪
16 変速軸        17 スプリング
18 ピン         19 標準ギヤ
19a、20a 係止溝   20 増速ギヤ
23 前輪駆動軸      24、25 ギヤ
27、28 カラー     28a 空間部
30 シフタアーム     30a 下端
31 支点         32 上部アーム
33 下部アーム      34 ピン
35 板金ケース      37 筒体
38 水平支持ピン     39 ボス
40 外部アーム      43 連結ロッド
45 電動モータ      47 ブラケット
48 ギヤ機構       50 ボルト
51 ケースカバー     52 出力軸
53 ピニオンギヤ     54 ギヤ
55 ピン         57 カム部材
57a ボス        58 ストップスイッチ
58a ローラ部      59 ブレーキシャフト
60 ブレーキ軸      61 ロッド
62 ブレーキアーム    63 アーム
64 ブレーキペダル    67 筒体
68 ブッシュ       69 Oリング
70 グリスニップル    71 クラッチペダル
76 主変速装置      77 副変速装置
78 変速軸        78a 軸後端部
79 第一駆動軸      80 小径ギヤ
81 中径ギヤ       82 大径ギヤ
84 大径ギヤ       85 中径ギヤ
86 小径ギヤ       87 後進ギヤ
88 キー式シフト爪    90 ドライブピニオン軸
91 ギヤ         91a 内歯
92、93 ギヤ      94 カウンタギヤ
95 ギヤ         99 後輪デフ装置
100 凹部        101 副変速シフターピン
103 ピン        105 軸受カバー
106 アーム       107 フェンダー
108 中間ベルクランク  109 ガイド溝
110 プレート      111、114 支点
113 副変速操作レバー  116 フィンガップレバー
118 座席        119 フロアシート
120 ロッド       122 板体
123 フェンダー取付ブラケット
125 リフトアーム    126 支点
130 電動モータ     131 コントロールバルブ
131a メインスプール  132 デセラバルブ
132a スプール     134 リリーフバルブ
136 水平制御バルブ   137 油圧シリンダー
138 油圧操作レバー   139 ベース板
141 カムプレート    143 上部軸
144 プレート      145 ボス
145a プレート     147 下部軸
148 カラー       149 プッシュプレート
149a 突起       151 ピン
153 遥動プレート    154、156 プレート
155 ロッド       158 支持ブラケット
159 フィードバック部材 160 回転軸
161 アーム       163 支点ピン
164 遥動板       165 押し引きプレート
166 ピン        166a 通孔
168 ロッド       169 ナット
171 デプス操作レバー  172 長孔
173 プレート      174 支点ピン
175 スプリング     177 ロッド
179 上部ピン      180 ワイヤー
185 ウエイト      186 フレーム
188 吸引ファン

Claims (4)

  1. 前輪駆動系に前輪増速装置8を有するトラクタにおいて、変速装置76,77を収容する伝動ケース6の横外側に電動モータ45を設け、この電動モータ45の近傍には電動モータ45で駆動されるギヤ機構48を設け、このギヤ機構48の外側を扁平なケース51で覆うように構成すると共に、前記ギヤ機構48から取り出された前後方向の動きを機械的連動具43を介して前記前輪増速装置8の切換アーム40に伝達させてなるトラクタ。
  2. 前輪駆動系に前輪増速装置8を有するトラクタにおいて、変速装置76,77を収容する伝動ケース6の上部に板体122を取り付け、この板体122の上方に作業機を昇降させる電動モータ130を取り付け、この電動モータ130をフェンダー107と、座席118を支持するフロアシート119で覆ったことを特徴とするトラクタ。
  3. 前記板体122上に、昇降用コントロールバルブ131と、リフトアーム125の下降速度を地表近くで遅くするデセラバルブ132と、設定圧以上の作動油を伝動ケース6内に排出するリリーフバルブ134と、作業機の左右傾斜姿勢を制御する水平制御バルブ136とを設け、これらのバルブ131,132,134,136を左右方向に並設させたことを特徴とする請求項2記載のトラクタ。
  4. 前記板体122上に昇降用コントロールバルブ131を操作するポジション油圧操作レバー138とリフトアーム125からのフィードバック部材159を設けたことを特徴とする請求項2記載のトラクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007295867A (ja) * 2006-05-01 2007-11-15 Ihi Shibaura Machinery Corp 作業車の作業機昇降制御装置
CN111295959A (zh) * 2020-03-13 2020-06-19 山东弘宇农机股份有限公司 一种拖拉机用外置强压卧缸提升器

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