JP2005007964A - トラクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】仕様変更時に搭載するエンジン毎にエアコンプレッサを付け替える手間を不要にして、コストの低減化を図ること。
【解決手段】被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能とした。このようにして、エアコンプレッサをミッション部に連動連設しているため、従来のように、仕様変更時に搭載するエンジン毎にエアコンプレッサを付け替える手間が不要となり、汎用性を有して、コストの低減化を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能とした。このようにして、エアコンプレッサをミッション部に連動連設しているため、従来のように、仕様変更時に搭載するエンジン毎にエアコンプレッサを付け替える手間が不要となり、汎用性を有して、コストの低減化を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のブレーキ装置の形態としては、主として液圧ブレーキ装置とエア(空気)ブレーキ装置が採用されており、液圧ブレーキ装置は、応答性に優れ、構造が簡易で、設計上の自由度も高い等の利点がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、エアブレーキ装置は、ブレーキバルブの開閉操作のみでコントロールが可能であり、小さい踏力で大きな制動力が得られ、また、空気は圧縮性があるために配管系から多少のエア漏れがあっても著しい制動力の低下がなく、厳しい使用条件にも耐え得るという特徴がある。
【0004】
さらに、エアブレーキ装置は、液圧ブレーキ装置の分解・組立に必要なブレーキ液の交換・エア抜き等の作業が不要であるため、作業性がよく、連結・連結解除を行う連結車両用のブレーキ装置として最適である等の利点がある。
【0005】
このため、エアブレーキ装置は、大型のトラック、バス、トラクタとトレーラの連結車両等に採用されている。
【0006】
そして、従来のエアブレーキ装置は、圧縮空気を作り出すエアコンプレッサが、クラッチ操作に関係なく常時駆動されるように、ギヤポンプ等を取り付けるエンジンの調時ギヤ室に取り付けられている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−139284号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば、トラクタ等の農業用機械においては、走行部に装着する作業機を油圧で昇降させるために、エンジンの調時ギヤ室に油圧ポンプを取り付ける構造を採用しているが、エアブレーキ装置用のエアコンプレッサをも調時ギヤ室に取り付ける構造を採用すると、同調時ギヤ室の形状が特殊なものとなって、エンジンが汎用性に欠けるものとなり、コストアップにつながるという不具合がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、原動機部にミッション部を連動連結して、同ミッション部より前車輪と後車輪にそれぞれ動力を伝達して走行を可能とすると共に、連結手段を介して被牽引車両を連結して、同被牽引車両を牽引可能としたトラクタにおいて、被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能としたことを特徴とするトラクタを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
【0011】
(1)エアコンプレッサは、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサに作動操作用の操作部を設けたこと。
【0012】
(2)エアコンプレッサは、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置したこと。
【0013】
(3)エアコンプレッサは、ミッション部上に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置したこと。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
すなわち、本発明に係るトラクタは、原動機部にミッション部を連動連結して、同ミッション部より前車輪と後車輪にそれぞれ動力を伝達して走行を可能とすると共に、連結手段を介して被牽引車両を連結して、同被牽引車両を牽引可能としており、被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能としている。
【0016】
そして、エアコンプレッサは、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサに作動操作用の操作部を設けている。
【0017】
しかも、エアコンプレッサは、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置すると共に、ミッション部上に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置している。
【0018】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すAは、本発明に係るトラクタであり、同トラクタAは、その後方に連結手段Cを介して被牽引車両としてのトレーラBを連結して、同トレーラBを牽引可能としている。
【0020】
トラクタAは、図1及び図2に示すように、機体フレーム1上に原動機部2を設け、同原動機部2にクラッチ部3を介してミッション部4を連動連設し、同ミッション部4上に運転部5を配設すると共に、同ミッション部4の後部にPTO変速部6を着脱自在に連動連結して、上記機体フレーム1の下方にフロントアクスルケース(図示せず)を介して左右一対の前車輪7,7を連動連結する一方、上記ミッション部4にリヤアクスルケース8,8(図3及び図11を参照)を介して左右一対の後車輪9,9を連動連結している。
【0021】
トレーラBは、図1に示すように、車体フレーム301上に荷箱302を形成する一方、同車体フレーム301の前部に前車輪支持体303を介して左右一対の前車輪304,304を取り付けると共に、後部に後車輪支持体305を介して左右一対の後車輪306,306,306,306を取り付けて走行部307を形成している。
【0022】
連結手段Cは、図1に示すように、トラクタAのミッション部4の後端部より後方へ伸延させて形成したトラクタ側連結片308と、トレーラBの前車輪支持体303から前方へ伸延させて形成したトレーラ側連結片309と、両連結片308,309の先端部同士を枢支・連結する連結ピン310とから構成している。
【0023】
上記のような構成において、本発明の要旨は、図1〜図4に示すように、トレーラBの走行部307の一部を形成する後車輪支持体305にエアブレーキ機構311を設ける一方、ミッション部4にエアコンプレッサ312を連動連設して、同エアコンプレッサ312からエアブレーキ機構311に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構311により左右一対の後車輪306,306をブレーキ制動可能としたことにある。なお、ミッション部4へのエアコンプレッサ312の連動連設構造の説明は、後述するミッション部4の構造説明において行う。
【0024】
このようにして、エアコンプレッサ312をミッション部4に連動連設することにより、後述するエンジン15の調時ギヤ室の形状を特殊なものとすることなく、汎用性のあるエンジン15の使用を可能として、コストの低減化を図ることができる。
【0025】
そして、エアコンプレッサ312は、ミッション部4の一側壁(本実施例では左側壁)で、かつ、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサ312に作動操作用の操作部としての操作レバー313を設けている。
【0026】
このようにして、エアコンプレッサ312を、ミッション部4の左側壁で、かつ、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に位置する部分に連動連設しているため、同エアコンプレッサ312に設けた操作レバー313の操作性を良好に確保することができる。
【0027】
しかも、エアコンプレッサ312は、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に配設した左側の昇降用ステップ部314の近傍に配置している。
【0028】
このようにして、エアコンプレッサ312を、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に配設した昇降用ステップ部314の近傍に配置しているため、同昇降用ステップ部314を介して昇降するオペレータにとって、昇降用ステップ部314の昇降動作と、エアコンプレッサ312の操作レバー313を介した操作を、近傍位置にて連続的にかつ効率良く行うことができる。
【0029】
さらには、ミッション部4上に配設した運転部5の左側の床部315の上面よりも下方に配置している。
【0030】
このようにして、エアコンプレッサ312を、ミッション部4上に配設した運転部5の左側の床部315の上面よりも下方に配置しているため、同床部315に凹凸を設けることなくエアコンプレッサ312を配置することができて、同床部315上におけるオペレータの居住性を良好に確保することができる。
【0031】
ここで、運転部5は、図1〜図3に示すように、ミッション部4上において、原動機部2の後端部にダッシュボード316を連設し、同ダッシュボード316にハンドル支軸317を介してハンドル318を取り付け、同ハンドル318の後方位置に運転席319を配置し、ミッション部4の左右側壁の上部に、前後方向に伸延する四角形板状に形成した左右一対の床部315,315の内側縁部を連設して、各床部315,315を外側方へ略水平に張り出し状態となしている。
【0032】
しかも、各床部315,315の外側縁部の前部とクラッチ部3の左右側壁下部との間に前部支持体320,320を介設し、また、各床部315,315の外側縁部の中途部とミッション部4の左右側壁下部との間に中途部支持体321,321を介設し、また、各床部315,315の外側縁部の後部とミッション部4の左右側壁下部との間に後部支持体322,322を介設している。
【0033】
そして、各床部315,315の前半部の外側縁部に昇降用ステップ部314,314を垂設すると共に、各床部315,315の後半部の外側縁部に後車輪フェンダー323,323を立設している。
【0034】
また、昇降用ステップ部314は、図2及び図3に示すように、床部315の外側縁部の下面に、上下方向に伸延する前後一対のステップ支持片324,324の上端部を前後方向に間隔を開けて取り付け、両ステップ支持片324,324の下端間に、前後方向に伸延するステップ片325を架設して形成している。
【0035】
そして、かかる昇降用ステップ部314よりも内方(機体側)で、かつ、昇降用ステップ部314の上下幅内にエアコンプレッサ312を配置して、同エアコンプレッサ312を障害物から保護している。
【0036】
しかも、左側の昇降用ステップ部314を形成する前後一対のステップ支持片324,324と、両ステップ支持片324,324の下端間に架設したステップ片325と、左側の床部315とにより形成される空間326内にエアコンプレッサ312の操作レバー313を配置して、同操作レバー313の操作性を良好に確保している。
【0037】
また、図1〜図3に示すように、エアコンプレッサ312の後方位置には、前後方向に伸延するエアタンク327を配置しており、同エアタンク327は、前後方向に伸延する円筒状の周壁328と、同周壁328の前後端縁部に連設した前・後壁329,330とから形成して、前記した中途部支持体321と後部支持体322とに連結支持片331,331を介して連結・支持されている。
【0038】
そして、図4に示すように、エアコンプレッサ312に第1エア配管332を介してエアタンク327を連通連結し、同エアタンク327に第2エア配管333を介してバルブ334を連通連結し、同バルブ334に第3エア配管335を介して前記エアブレーキ機構311を連通連結しており、同バルブ334にはバルブ開閉レバー336を設け、同バルブ開閉レバー336に連結ロッド337を介して運転部5に設けたブレーキペダル338を連動連結している。
【0039】
なお、エアタンク327の配設位置は、本実施例の場合に限られるものではなく、例えば、エアコンプレッサ312とは反対側である機体の右側部に配設することも、また、運転席319の後方位置に配置することもできる。
【0040】
そして、エアタンク327は複数に分割して形成し、機体重量バランス等を考慮して、所要の個所に配置することもできる。
【0041】
ブレーキペダル338は、ボス部339を介してペダルアーム支軸340に支持させ、同ボス部339に連動アーム341を突設し、同連動アーム341と前記バルブ開閉レバー336との間に連結ロッド337を介設すると共に、ボス部339にブレーキ作動アーム342を垂設し、同ブレーキ作動アーム342と後述するブレーキ部191のブレーキ操作レバー198(図3及び図11参照)との間にブレーキ作動用連結ロッド343を介設している。
【0042】
このようにして、トラクタAを走行させる前に、あらかじめ操作レバー313を操作してエアコンプレッサ312を作動させておき、同トラクタAを走行中にオペレータがブレーキペダル338を踏み込み操作すると、同ブレーキペダル338の回動操作力がボス部339→ブレーキ作動アーム342→ブレーキ作動用連結ロッド343→ブレーキ操作レバー198に伝達されて、ブレーキ部191の走行用ブレーキ192をブレーキ制動させることができると共に、ブレーキペダル338の回動操作力がボス部339→連動アーム341→連結ロッド337→バルブ開閉レバー336に伝達されて、バルブ334が開放作動される。
【0043】
その結果、エアコンプレッサ312から圧縮空気が第1エア配管332→エアタンク327→第2エア配管333→バルブ334→第3エア配管335→エアブレーキ機構311に圧送されて、同エアブレーキ機構311によりトレーラBに設けた左右一対の後車輪306,306をブレーキ制動される。
【0044】
従って、トラクタAのブレーキペダル338を踏み込み操作することにより、トラクタAはもとよりその後方に連結したトレーラBもブレーキ制動することができて、走行上の安全性を向上させることができる。
【0045】
次に、前記したトラクタAの原動機部2とクラッチ部3とミッション部4の構造について、以下に順次具体的に説明する。
【0046】
原動機部2は、図1に示すように、機体フレーム1上にエンジン15等を搭載し、同エンジン15等をボンネット16により開閉自在に被覆している。
【0047】
クラッチ部3は、図2〜図4に示すように、クラッチハウジング17内に前後方向に伸延する内外側二重駆動軸体18を回動自在に支持しており、同内外側二重駆動軸体18は、前後方向に伸延する内側駆動軸19と、同内側駆動軸19の外周に回動自在に嵌合させた筒状の外側駆動軸20とから形成している。
【0048】
そして、一方の内側駆動軸19の基端部(前端部)は、走行用クラッチ21を介して前記エンジン15に連動連結すると共に、同内側駆動軸19の先端部(後端部)は、後述する走行系伝動機構51に連動連結し、かつ、他方の外側駆動軸20の基端部(前端部)は、PTO用クラッチ22を介して前記エンジン15に連動連結すると共に、同外側駆動軸20の先端部(後端部)は、後述するPTO系伝動機構52に連動連結している。
【0049】
ここで、クラッチハウジング17の後端縁部には、後述するミッション部4の主変速ケース53の前端縁部を着脱自在に連結しており、前記内外側二重駆動軸体18は、先端部をクラッチハウジング17内の前部に配設したベアリング24に枢支する一方、後端部を主変速ケース53内の前部に配設したベアリング25に枢支している。
【0050】
しかも、クラッチハウジング17の後端内周縁部には、中央部に開口部26を有する後壁27を形成し、同後壁27に前後方向に伸延する筒状支持体28を開口部26中に挿通して取り付けて、同筒状支持体28により前記内外側二重駆動軸体18の中途部外周面を支持させている。
【0051】
そして、筒状支持体28は、クラッチハウジング17内に位置する前部28aを縮径状に形成する一方、主変速ケース53内に位置する後部28bを拡径状に形成し、同後部28bの外周面に取付用鍔片28cを形成して、同取付用鍔片28cをクラッチハウジング17の後壁27の後面に後方から当接させると共に、取付用ボルト29により取り付けている。
【0052】
また、内側駆動軸19は、前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31とに分割して形成すると共に、両分割駆動軸片30,31同士を外側駆動軸20内にて連動連結しており、前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31との分割位置(連動連結位置)を、クラッチハウジング17と主変速ケース53との連結部の近傍、すなわち、筒状支持体28の後部28b内に配置している。
【0053】
しかも、前部分割駆動軸片30の先端部と後部分割駆動軸片31の基端部は、印籠嵌合して着脱自在に連動連結している。
【0054】
すなわち、前部分割駆動軸片30の先端面には嵌合用突片30aを後方へ向けて突設する一方、後部分割駆動軸片31の基端面には基端側嵌合用凹部31aを形成して、同基端側嵌合用凹部31a中に上記嵌合用突片30aを印籠嵌合させると共に、前部分割駆動軸片30の先端部外周面に形成したスプライン溝30bと、後部分割駆動軸片31の基端部外周面に形成したスプライン溝31bとに、前後方向に軸線を向けた筒状連結体32をスプライン嵌合させている。
【0055】
外側駆動軸20は、前部20aを内側駆動軸19の外周面に沿わせて小径に形成する一方、後部20bを前記筒状連結体32の外周面に沿わせて大径に形成し、同後部20bの外周面と筒状支持体28の後部28bの内周面との間にベアリング33,34を介設している。
【0056】
しかも、外側駆動軸20の先端部は、筒状支持体28の後端よりも後方へ延設して、外周面にPTO駆動ギヤ20cを一体成形している。35はPTO駆動ギヤ支持ベアリングである。
【0057】
このようにして、内側駆動軸19を、前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31とに分割形成すると共に、両分割駆動軸片30,31同士を外側駆動軸20内にて連動連結しているため、従来技術、すなわち、内側駆動軸の先端部を、外側駆動軸の先端部よりも後方位置まで延設して、筒状の軸継手を介してPTO系入力軸の基端部に突き合わせ状態にして同一軸線上にて連動連結している従来技術に比べて、クラッチハウジング17と主変速ケース53とを前後方向に連結して、これらクラッチハウジング17及び主変速ケース53内に内外側二重駆動軸体18を挿通した場合でも、主変速ケース53が前後方向に長大になるという不具合を解消することができる。
【0058】
しかも、クラッチハウジング17と主変速ケース53とをアッセンブリとして連結する場合の組立作業や、連結解除して行うメンテナンス作業等が容易となる。
【0059】
さらには、内側駆動軸19の前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31との分割位置を、クラッチハウジング17と主変速ケース53との連結部の近傍に配置しているため、主変速ケース53を前後方向に短幅化して、機体のコンパクト化を図ることができると共に、主変速ケース53の組立ユニットを前後方向に短幅化して、組立ユニットの物流コストの低減化を図ることができ、その結果、外注から一度に多数のユニットを搬入することができる。
【0060】
この際、前部分割駆動軸片30の先端部に形成した嵌合用突片30aを、後部分割駆動軸片31の基端部に形成した基端側嵌合用凹部31a中に、印籠嵌合して着脱自在に連動連結しているため、分割して形成した前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31とを精度良く組み付けて連動連結することができる。
【0061】
また、外側駆動軸20の外周面と筒状支持体28の外周面とにわたって走行用筒状作動体36を前後摺動自在に嵌合し、同走行用筒状作動体36の後部に走行用クラッチ作用レバー37の基端部を連動連結する一方、同走行用筒状作動体36の前端縁部にクラッチ作用片36aを設けて、同クラッチ作用片36aを走行用クラッチ21の受動アーム21aに対向させて近接配置している。38はレバー支軸である。
【0062】
このようにして、走行用クラッチ作用レバー37を回動操作すると、走行用筒状作動体36が前方へ摺動されて、クラッチ作用片36aが受動アーム21aを押圧し、同受動アーム21aが回動されて走行用クラッチ21が動力切断作動されるようにしている。
【0063】
また、走行用筒状作動体36の外周面にPTO用筒状作動体39を前後摺動自在に嵌合し、同PTO用筒状作動体39の後部にPTO用クラッチ作用レバー40の基端部を連動連結する一方、同PTO用筒状作動体39の前端縁部にクラッチ作用片39aを設けて、同クラッチ作用片39aをPTO用クラッチ22の受動アーム22aに対向させて近接配置している。41はレバー支軸である。
【0064】
このようにして、PTO用クラッチ作用レバー40を回動操作すると、PTO用筒状作動体39が前方へ摺動されて、クラッチ作用片39aが受動アーム22aを押圧し、同受動アーム22aが回動されてPTO用クラッチ22が動力切断作動されるようにしている。
【0065】
ミッション部4は、図2及び図3に示すように、前後方向に伸延させて筒状に形成したミッションケース45内に、前方から後方へ順次主変速機構46と副変速機構47とデファレンシャル機構48とを配設すると共に、同ミッションケース45にクリープ変速部49を着脱自在に取り付けて、同クリープ変速部49に設けたクリープ変速機構50を上記副変速機構47に連動連結して、主変速、副変速、さらには、クリープ変速が行える走行系伝動機構51を形成し、また、前記外側駆動軸20と、後述するPTO変速部6との間にPTO系伝動機構52を介設している。
【0066】
そして、ミッションケース45は、主変速機構46を内蔵する主変速ケース53と、副変速機構47とデファレンシャル機構48とを内蔵するケース本体54とに二分割形成しており、主変速ケース53は、前記したクラッチハウジング17の後端縁部に前端縁部を連結ボルト56aにより着脱自在に連結すると共に、ケース本体54は、主変速ケース53の後端縁部に支持壁形成体55を介して前端縁部を連結ボルト56bにより着脱自在に連結している。
【0067】
そこで、以下に、主変速ケース53、主変速機構46、ケース本体54、副変速機構47、及び、デファレンシャル機構48の構成をこの順序で説明する。
【0068】
〔主変速ケース〕
主変速ケース53は、図5及び図6に示すように、前後方向に伸延する筒状に形成して、前部内周面に内部支持壁57を形成し、同内部支持壁57と前記支持壁形成体55との間に主変速機構46を介設して、同主変速機構46により複数段(本実施例では5段)の前進変速操作と、後進切替操作とが行えるようにしている。
【0069】
〔主変速機構〕
主変速機構46は、図5及び図6に示すように、内部支持壁57の中央部に前記ベアリング25を介して後部分割駆動軸片31の先端部(後端部)を支持し、同ベアリング25よりも後方に位置する後部分割駆動軸片31の先端部外周面に第5速ギヤ31cを一体成形すると共に、同後部分割駆動軸片31の後端面に先端側嵌合用凹部31dを形成し、同先端側嵌合用凹部31d中に、前後方向に伸延する主変速主軸58の基端面(前端面)より前方へ突出させて形成した嵌合用突片58aをその軸線廻りに回動自在に嵌合する一方、同主変速主軸58の先端部(後端部)を支持壁形成体55の中央部にベアリング59を介してその軸線廻りに回動自在に支持している。
【0070】
そして、主変速主軸58には、基端部側から先端部側に向けて順次第4・第3・第2・第1速ギヤ60,61,62,63と後進切替ギヤ64とを、前後方向に間隔を開けて同軸的に、かつ、主変速主軸58の外周面回りに回転自在に取り付けている。
【0071】
また、主変速主軸58には、第5速ギヤ31cと第4速ギヤ60の間に配置した第3変速体65と、第3速ギヤ61と第2速ギヤ62との間に配置した第2変速体66と、第1速ギヤ63と後進切替ギヤ64との間に配置した第1変速体67とを取り付けている。
【0072】
ここで、各変速体65,66,67は、主変速主軸58に連動連結した軸側連動連結片65a,66a,67aと、前後に隣接する各ギヤに連動連結した前・後ギヤ側連動連結片65b,65c,66b,66c,67b,67cと、各軸側連動連結片65a,66a,67aと各ギヤ側連動連結片65b,65c,66b,66c,67b,67cとの間で軸線方向に摺動自在にスプライン嵌合したスライド連結片65d,66d,67dとを具備している。
【0073】
そして、各スライド連結片65d,66d,67dは、各軸側連動連結片65a,66a,67a上に位置させた中立位置と、各軸側連動連結片65a,66a,67aと前ギヤ側連動連結片65b,66b,67bとの間にスライド位置させて両者を連動連結した前方スライド変速位置と、各軸側連動連結片65a,66a,67aと後ギヤ側連動連結片65c,66c,67cとの間にスライド位置させて両者を連動連結した後方スライド変速位置のいずれかにスライド操作可能としている。
【0074】
また、内部支持壁57と前記支持壁形成体55との間には、前・後部ベアリング68,69を介して前後方向に伸延する主変速副軸70を支持しており、同主変速副軸70の外周面には第1・2・3変速ギヤ体71,72,73を同軸的にかつ回転自在に取り付けている。
【0075】
しかも、第1変速ギヤ体71に一体成形した前部ギヤ71aと後部ギヤ71bは、それぞれ第5速ギヤ31cと第2速ギヤ60に噛合させ、また、第2変速ギヤ体72に一体成形した前部ギヤ72aと後部ギヤ72bは、それぞれ第3速ギヤ61と第2速ギヤ62に噛合させ、また、第3変速ギヤ体73に一体成形した前部ギヤ73aは、第1速ギヤ63に噛合させる一方、同第3変速ギヤ体73に一体成形した後部ギヤ73bは、支持壁形成体55に軸支したカウンタギヤ74を介して後進切替ギヤ64に噛合させている。75はカウンタギヤ支軸、76は主変速ケース53内に設けた軸支持体である。
【0076】
さらには、内部支持壁57と前記支持壁形成体55との間には、図5〜図7に示すように、前後方向に伸延するスライド体支軸80を、前記主変速主軸58の直上方位置において前後摺動自在に架設すると共に、前後方向に伸延するレバー連動軸81を、上記スライド体支軸80の右側方位置にて平行させて前後摺動自在に架設し、同レバー連動軸81の前部より左側方へ突設した係合片82の先端部を、スライド体支軸80の前部に設けた被係合片83に係合させる一方、ケース本体54内まで延設したレバー連動軸81の後端部に作用受片84を設け、同作用受片84に主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aを係合させている。97は作用受片取付ピンである。
【0077】
そして、図2に示すように、ケース本体54の天井部54cに揺動支持体86を設け、図6に示すように、同揺動支持体86に設けた揺動支持片87に上下方向に伸延する主変速レバー85の下部を枢支して、同主変速レバー85を前後左右方向に揺動操作自在となし、同主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aの下端を、天井部54cに形成したレバー挿通孔88中に挿通して、前記作用受片84に係合させている。89はレバー中立復帰用スプリングである。
【0078】
また、図5及び図7に示すように、スライド体支軸80の中途部には、側方開口部90を有して背面視C字状に形成したスライド規制体91を嵌合すると共に、スライド体支軸80より半径方向に側方開口部90中を通してスライド作用片92を突出させている。
【0079】
しかも、スライド体支軸80には、後方から前方へ向けて順次第1・第2・第3スライド体95,94,93を軸線方向にスライド自在に取り付けると共に、第3スライド体93はスライド規制体91よりも前方に配置する一方、第1・第2スライド体95,94はスライド規制体91よりも後方に配置している。
【0080】
さらには、各スライド体95,94,93は、スライド体支軸80にスライド自在に嵌合したボス部95a,94a,93aと、各ボス部95a,94a,93aより左右側下方へ伸延させて形成したシフトフォーク95b,94b,93bと、各ボス部95a,94a,93aよりスライド規制体91に向けて伸延させて形成したスライド作用受片95c,94c,93cとを具備している。
【0081】
そして、第1・第2・第3スライド体95,94,93の各シフトフォーク95b,94b,93bは、それぞれ前記第1・第2・第3変速体67,66,65のスライド連結片67d,66d,65dに連動連結している。
【0082】
また、第1・第2・第3スライド体95,94,93の各スライド作用受片95c,94c,93cは、スライド体支軸80を軸線廻りに回動させてスライド作用片92とスライド規制体91を所要の方向に回動させることにより、所要の一つのスライド作用受片にスライド作用片92を係合させて、同スライド作用受片をスライド体支軸80の前後摺動に連動させてスライド作動させると共に、他の二つのスライド作用受片にスライド規制体91に突設した規制片91a,91bの少なくともいずれか一方を係合させて、両スライド作用受片がスライド体支軸80の前後摺動に連動したスライド作動されるのを規制することができるようにしている。96は、スライド規制体91の軸線方向の動きを規制するためにケース本体54の天井部54cに垂設した規制用突片である。
【0083】
主変速機構46は、上記のように構成しているものであり、以下にかかる主変速機構46の変速操作(第1変速操作〜第5変速操作及び後進切替操作)について説明する。
【0084】
(第1変速操作)
主変速レバー85を略垂直に起立させた状態にて後方向に回動操作し、その回動操作力を主変速レバー85の下端部に形成した作用片85a→作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を前方向に摺動させる。
【0085】
そうすると、スライド体支軸80の前方向への摺動力が、スライド作用片92→第1スライド体95のスライド作用受片95c→ボス部95a→シフトフォーク95bに伝達されて、同シフトフォーク95bに連動連結した第1変速体67のスライド連結片67dが中立位置から前方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片67aと前ギヤ側連動連結片67bとが連動連結された状態となる。
【0086】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第1変速ギヤ体73の前部ギヤ73a→第1速ギヤ63→第1変速体67の前ギヤ側連動連結片67b→スライド連結片67d→軸側連動連結片67a→主変速主軸58に伝達されて、第1変速がなされる。
【0087】
この際、スライド作用片92は、第1スライド体95のスライド作用受片95cに係合されると共に、スライド規制体91の形成片91a,91bは、第2・第3スライド体94,93のスライド作用受片94c,93cに係合されて、両スライド体94,93の動きが規制される。
【0088】
(第2変速操作)
主変速レバー85を右側方へ回動操作して、揺動支持片87を支点として主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aを左側方へ回動させ、その回動力を作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を、図7の背面図において、時計廻りに回動させると共に、スライド作用片92を介してスライド規制体91も時計廻りに回動させる。
【0089】
続いて、右側方へ回動操作した主変速レバー85をさらに前方へ回動操作して、スライド体支軸80を後方向に摺動させる。
【0090】
そうすると、スライド体支軸80の後方向への摺動力が、スライド作用片92→第2スライド体94のスライド作用受片94c→ボス部94a→シフトフォーク94bに伝達されて、同シフトフォーク94bに連動連結した第2変速体66のスライド連結片66dを中立位置から後方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片66aと後ギヤ側連動連結片66cとが連動連結された状態となる。
【0091】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第2変速ギヤ体72の後部ギヤ72b→第2速ギヤ62→第2変速体66の後ギヤ側連動連結片66c→スライド連結片66d→軸側連動連結片66a→主変速主軸58に伝達されて、第2変速がなされる。
【0092】
この際、スライド作用片92は、第2スライド体94のスライド作用受片94cに係合されると共に、スライド規制体91の形成片91bは、第1・第3スライド体95,93のスライド作用受片95c,93cに係合されて、両スライド体95,93の動きが規制される。
【0093】
(第3変速操作)
主変速レバー85を右側方へ回動操作すると共に後方へ回動操作して、スライド体支軸80を前方向に摺動させる。
【0094】
そうすると、スライド体支軸80の前方向への摺動力が、スライド作用片92→第2スライド体94のスライド作用受片94c→ボス部94a→シフトフォーク94bに伝達されて、同シフトフォーク94bに連動連結した第2変速体6 6のスライド連結片66dを中立位置から前方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片66aと前ギヤ側連動連結片66bとが連動連結された状態となる。
【0095】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第1変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第2変速ギヤ体72の前部ギヤ72a→第3速ギヤ61→第2変速体66の前ギヤ側連動連結片66b→スライド連結片66d→軸側連動連結片66a→主変速主軸58に伝達されて、第3変速がなされる。
【0096】
この際、スライド作用片92は、第2スライド体94のスライド作用受片94cに係合されると共に、スライド規制体91の規成片91bは、第1・第3スライド体95,93のスライド作用受片95c,93cに係合されて、両スライド体95,93の動きが規制される。
【0097】
(第4変速操作)
主変速レバー85を左側方へ回動操作して、揺動支持片87を支点として主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aを右側方へ回動させ、その回動力を作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を、図7の背面図において、反時計廻りに回動させると共に、スライド作用片92を介してスライド規制体91も反時計廻りに回動させる。
【0098】
続いて、右側方へ回動操作した主変速レバー85をさらに前方へ回動操作して、スライド体支軸80を後方向に摺動させる。
【0099】
そうすると、スライド体支軸80の後方向への摺動力が、スライド作用片92→第3スライド体93のスライド作用受片93c→ボス部93a→シフトフォーク93bに伝達されて、同シフトフォーク93bに連動連結した第3変速体65のスライド連結片65dを中立位置から後方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片65aと後ギヤ側連動連結片65cとが連動連結された状態となる。
【0100】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の後部ギヤ71b→第4速ギヤ62→第3変速体65の後ギヤ側連動連結片65c→スライド連結片65d→軸側連動連結片65a→主変速主軸58に伝達されて、第4変速がなされる。
【0101】
この際、スライド作用片92は、第3スライド体93のスライド作用受片93cに係合されると共に、スライド規制体91の規成片91aは、第1・第2スライド体95,94のスライド作用受片95c,94cに係合されて、両スライド体95,94の動きが規制される。
【0102】
(第5変速操作)
主変速レバー85を左側方へ回動操作すると共に後方へ回動操作して、スライド体支軸80を前方向に摺動させる。
【0103】
そうすると、スライド体支軸80の前方向への摺動力が、スライド作用片92→第3スライド体95のスライド作用受片95c→ボス部95a→シフトフォーク95bに伝達されて、同シフトフォーク95bに連動連結した第3変速体67のスライド連結片67dを中立位置から前方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片67aと前ギヤ側連動連結片67bとが連動連結された状態となる。
【0104】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速体67の前ギヤ側連動連結片65b→スライド連結片67d→軸側連動連結片65a→主変速主軸58に伝達されて、第5変速がなされる。
【0105】
この際、スライド作用片92は、第3スライド体93のスライド作用受片93cに係合されると共に、スライド規制体91の規成片91aは、第1・第2スライド体95,94のスライド作用受片95c,94cに係合されて、両スライド体95,94の動きが規制される。
【0106】
(後進切替操作)
主変速レバー85を略垂直に起立させた状態にて前方向に回動操作し、その回動操作力を主変速レバー85の下端部に形成した作用片85a→作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を後方向に摺動させる。
【0107】
そうすると、スライド体支軸80の後方向への摺動力が、スライド作用片9 2→第1スライド体95のスライド作用受片95c→ボス部95a→シフトフォーク95bに伝達されて、同シフトフォーク95bに連動連結した第3変速体67のスライド連結片67dが中立位置から後方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片67aと後ギヤ側連動連結片67cとが連動連結された状態となる。
【0108】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第1変速ギヤ体73の後部ギヤ73b→カウンタギヤ74→後進切替ギヤ64→第3変速体67の後ギヤ側連動連結片67c→スライド連結片67d→軸側連動連結片67a→主変速主軸58に伝達されて、同主変速主軸58が逆回転され、後進切替がなされる。
【0109】
この際、スライド作用片92は、第1スライド体95のスライド作用受片95cに係合されると共に、スライド規制体91の形成片91a,91bは、第2・第3スライド体94,93のスライド作用受片94c,93cに係合されて、両スライド体94,93の動きが規制される。
【0110】
〔ケース本体〕
ケース本体54は、図2、図8及び図11に示すように、前後方向に伸延する筒状に形成し、内周面中途部に軸支持壁100を形成しており、同ケース本体54内において、上記軸支持壁100の前方位置に副変速機構47を配設すると共に、同軸支持壁100の後方位置にデファレンシャル機構48を配設している。
【0111】
そして、軸支持壁100よりも前方に位置するケース本体54には、右側壁54bに開口部101を形成して、同開口部101を介して後述するクリープ変速部49を着脱自在に取り付けると共に、底部54dに開口部102を形成して、同開口部102を介して後述する前車輪駆動用動力取出部103を取り付けており、これらクリープ変速部49と前車輪駆動用動力取出部103はそれぞれ副変速機構47に連動連結している。
【0112】
また、軸支持壁100よりも後方に位置するケース本体54には、図9に示すように、左右側壁54a,54bにそれぞれ開口部104,104を形成して、各開口部104,104を介してリヤアクスルケース8,8を連通連設し、各リヤアクスルケース8,8中に左右方向に伸延する後車軸105,105を挿通すると共に回動自在に支持しており、各後車軸105,105はデファレンシャル機構48に連動連結している。
【0113】
しかも、軸支持壁100よりも後方に位置するケース本体54には、図8に示すように、天井部にメンテナンス用の開口部106を形成して、同開口部106を着脱自在の蓋体107により閉蓋しており、同蓋体107の後部にはリフトアーム支持体108を上方へ膨出させて形成して、同リフトアーム支持体108の上部に左右方向に軸線を向けたリフトアーム支軸109を挿通すると共に回動自在に支持し、同リフトアーム支軸109の左右側端部に左右一対のリフトアーム110,110の基端部を取り付けている。
【0114】
さらには、図8に示すように、ケース本体54の後端に形成されている開口部111にPTO変速部6を取り付けている。
【0115】
また、図2及び図8に示すように、ケース本体54の左右側壁の後下部には、ロワリンク連結ピン112,112を外側方へ向けて突設して、左右一対のロワリンク13,13の前端部をロワリンク連結ピン112,112を介してケース本体54により回動自在に支持するようにしている。
【0116】
〔副変速機構〕
副変速機構47は、図8に示すように、前記主変速主軸58の先端部(後端部)に遊星ギヤ機構115を介して副変速軸116を連動連結して構成しており、主変速主軸58の先端部は、後方へ伸延させて遊星ギヤ機構115の一部を構成するサンギヤ117となす一方、副変速軸116は、主変速主軸58と同一軸線上に配置すると共に、中途部をケース本体54内に設けた軸支持体118にベアリング119を介して支持させ、かつ、先端部(後端部)を前記軸支持壁100にベアリング120を介して支持させている。
【0117】
遊星ギヤ機構115は、前記支持壁形成体55に、リング状に形成してサンギヤ117の外周に配置した前後一対のインナーギヤ支持体121,122を、前後方向に軸線を向けた取付ボルト123により取り付けて、両インナーギヤ支持体121,122間にインナーギヤ124を両持ち支持させ、同インナーギヤ124の円周方向に間隔を開けて複数の遊星ギヤ125を配置すると共に、各遊星ギヤ125をインナーギヤ124とサンギヤ117の両方に噛合させる一方、前後一対のインナーギヤ支持体121,122の内周縁部間に前後一対のベアリング126,127を介してキャリヤ128を取り付け、同キャリヤ128に複数の遊星ギヤ125を一体的に連動連結して構成している。
【0118】
しかも、キャリヤ128は、後端縁部を後側のベアリング127よりも後方へ延設して筒状のギヤ形成片129を形成しており、同ギヤ形成片129の内周面に内歯130を形成すると共に、同ギヤ形成片129の外周面にクリープ駆動ギヤとしての外歯131を形成している。
【0119】
さらには、サンギヤ117の外周面と副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面との間には、筒状のシフトギヤ支持体132を軸線方向にシフト自在にスプライン嵌合しており、同シフトギヤ支持体132の前部外周面に前部シフトギヤ133を一体成形すると共に、後部外周面に後部シフトギヤ134を一体成形している。
【0120】
そして、図10及び図11に示すように、ケース本体54内の右側には、前後方向に軸線を向けたフォーク支軸135を配設しており、同フォーク支軸135にシフトフォーク136の基端部137を前後摺動自在に取り付けると共に、同シフトフォーク136の先端部138をシフトギヤ支持体132に係合させている。
【0121】
また、後述するクリープ変速部49の一部を構成する蓋体139に、左右方向に軸線を向けたボス部140を形成し、同ボス部140中にレバー支軸141を挿通し、同レバー支軸141の外側端部に副変速レバー142の基端部を取り付けると共に、同レバー支軸141の内側端部に連動アーム143の基端部を取り付け、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して前記シフトフォーク136の基端部137を連結している。
【0122】
このようにして、副変速レバー142を前後方向に回動操作することにより、シフトギヤ支持体132を前後方向にシフト作動させて、副変速操作が行えるようにしている。
【0123】
すなわち、副変速レバー142を後方へ回動させると、レバー支軸141を介して連動アーム143が前方へ回動され、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して連結したシフトフォーク13 6が前方へ摺動されて、同シフトフォーク136に係合されたシフトギヤ支持体132が前方へシフトされる。
【0124】
この際、シフトギヤ支持体132は、サンギヤ117の外周面と副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面との間に掛け渡された状態にシフトされて、同シフトギヤ支持体132を介してサンギヤ117と副変速軸116とが連動連結された状態(主変速主軸58と副変速軸116とが直結された状態)となる。
【0125】
従って、かかるシフト位置では、主変速主軸58に一体成形したサンギヤ117からシフトギヤ支持体132を介して副変速軸1 16に動力が伝達される。
【0126】
また、副変速レバー142を前方へ回動させると、レバー支軸141を介して連動アーム143が後方へ回動され、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して連結したシフトフォーク136が後方へ摺動されて、同シフトフォーク136に係合されたシフトギヤ支持体132が後方へシフトされる。
【0127】
そして、シフトギヤ支持体132は、サンギヤ117の外周面から離脱されて、副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面上にシフトされると共に、前部シフトギヤ133がギヤ形成片129の内周面に形成した内歯1 30に噛合される。
【0128】
従って、かかるシフト位置では、主変速主軸58に一体成形したサンギヤ117の回動力は、同サンギヤ117に噛合している遊星ギヤ125→キャリヤ128→同キャリヤ128に一体成形したギヤ形成片129の内歯130→シフトギヤ支持体132の前部シフトギヤ133→シフトギヤ支持体132→副変速軸116の基端部114に伝達される。
【0129】
この際、主変速主軸58から副変速軸116には、遊星ギヤ機構115を介して減速された動力が伝達されて、副変速がなされる。
【0130】
また、本実施例では、副変速レバー142をさらに前方へ回動させると、クリープ変速部49によりクリープ変速(超低速の変速)がなされるようにしている。
【0131】
ここで、クリープ変速部49について説明すると、同クリープ変速部49は、図8、図10及び図11に示すように、前記ケース本体54の右側壁に形成した開口部101に、蓋体139を取付ボルト145により着脱自在に取り付けて閉蓋すると共に、同蓋体139の内面にクリープ変速機構146を着脱自在に取り付けて構成している。
【0132】
そして、クリープ変速機構146は、蓋体139の内面に突設した前後一対の軸支持片147,148間に前後方向に軸線を向けたギヤ支軸149を着脱自在に架設し、同ギヤ支軸149にベアリング150を介してクリープ変速ギヤ体151を回動自在に取り付け、同クリープ変速ギヤ体151の前部と後部に大径の入力ギヤ152と小径の出力ギヤ153を一体成形して構成している。
【0133】
しかも、入力ギヤ152は、ギヤ形成片129の外周面に形成したクリープ駆動ギヤとしての外歯131に着脱自在に噛合させると共に、出力ギヤ153は、副変速軸116にベアリング154を介して回転自在に取り付けたクリープ伝動ギヤ155に着脱自在に噛合させており、同クリープ伝動ギヤ155の前面には、シフトギヤ支持体132の後部外周面に一体成形した後部シフトギヤ134が嵌入されて噛合する嵌入噛合ギヤ156を形成している。
【0134】
このようにして、副変速レバー142を最大限に前方へ回動させると、レバー支軸141を介して連動アーム143が後方へ回動され、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して連結したシフトフォーク136が後方へ摺動されて、同シフトフォーク136に係合されたシフトギヤ支持体132が最大限に後方へシフトされる。
【0135】
そして、シフトギヤ支持体132は、サンギヤ117の外周面から離脱されて、副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面上にシフトされると共に、後部シフトギヤ134がクリープ伝動ギヤ155の前面に形成した嵌入噛合ギヤ156に嵌入されて噛合する。
【0136】
従って、かかるシフト位置では、主変速主軸58に一体成形したサンギヤ117の回動力は、同サンギヤ117に噛合している遊星ギヤ125→キャリヤ128→同キャリヤ128に一体成形したギヤ形成片129の外歯131→クリープ変速ギヤ体151の入力ギヤ152→クリープ変速ギヤ体151の出力ギヤ153→クリープ伝動ギヤ155→嵌入噛合ギヤ156→シフトギヤ支持体132の後部外周面に一体成形した後部シフトギヤ134→シフトギヤ支持体132→副変速軸116の基端部114に伝達される。
【0137】
この際、主変速主軸58から副変速軸116には、遊星ギヤ機構115とクリープ変速機構146とを介して超低速に減速された動力が伝達されて、クリープ変速がなされる。
【0138】
ここで、キャリヤ128にクリープ駆動ギヤとして一体成形したギヤ形成片129の外歯131に、クリープ変速ギヤ体151の入力ギヤ152を着脱自在に噛合させているため、クリープ変速機構146を遊星ギヤ機構115の周縁部にコンパクトに配置するができて、ミッション部4の長大化を回避することができる。
【0139】
しかも、遊星ギヤ機構115の軸線方向にてクリープ変速操作も直線的に行うことができるため、変速操作機構の簡素化を図ることができる。
【0140】
さらには、蓋体139にクリープ変速機構146を取り付けてクリープ変速部49を構成すると共に、同クリープ変速部49は、ケース本体54に形成した開口部101に蓋体139を着脱自在に取り付けて閉蓋するようにしているため、同クリープ変速部49の組立性を良好となすことができる。
【0141】
そして、クリープ仕様を必要としない場合には、クリープ変速機構146を蓋体139から取り外した状態で、同蓋体139をケース本体54の開口部101に取り付けておくことにより、クリープ有り仕様からクリープ無し仕様に簡単に仕様変更することができる。
【0142】
また、クリープ仕様を必要とする場合には、クリープ変速機構146を蓋体139に取り付ければよく、クリープ有り・無しの仕様設定を容易に行うことができる。
【0143】
前車輪駆動用動力取出部103は、図2及び図8に示すように、ケース本体54の底部に形成した開口部102に、取出部ケース160を取付ボルト161により取り付け、同取出部ケース160内に前後一対のベアリング162,163を介して前後方向に軸線を向けた前車輪駆動軸164を架設し、同前車輪駆動軸164の中途部に入力ギヤ165を取り付けて、同入力ギヤ165と副変速軸116の後部に取り付けた出力ギヤ166との間に第1・第2中間ギヤ167,168を介設して構成している。
【0144】
ここで、第1中間ギヤ167は、後述するPTO系伝動軸169にベアリング170を介して回転自在に取り付けると共に、第2中間ギヤ168は、ケース本体54内に突出させて形成した前後一対のギヤ支持片171,172にギヤ支軸173を架設し、同ギヤ支軸173にベアリング174を介して回転自在に取り付けている。
【0145】
そして、出力ギヤ166と第1中間ギヤ167と第2中間ギヤ168と入力ギヤ165とを直列的に噛合させて連動連結している。
【0146】
また、前車輪駆動軸164は、先端部175を取出部ケース160より前方へ突出させて、同先端部175をフロントアクスルケースに設けた入力軸(図示せず)に伝動シャフト等を介して連動連結している。
【0147】
このようにして、副変速軸116の回動力は、同副変速軸116に取り付けた出力ギヤ166→第1中間ギヤ167→第2中間ギヤ168→入力ギヤ165→前車輪駆動軸164→伝動シャフト等→入力軸→前車軸→前車輪7,7に伝達されて、四輪駆動走行が行えるようにしている。
【0148】
また、本実施例では、入力ギヤ165は、前車輪駆動軸164の中途部にスプライン嵌合して、第2中間ギヤ168に噛合した位置と噛合解除された位置とにシフト可能とすると共に、同入力軸165のシフト操作を取出部ケース160の外部からシフト操作機構(図示せず)により行えるようにしている。
【0149】
このようにして、入力ギヤ165を第2中間ギヤ168に噛合させるシフト操作を行うと、前記したように四輪駆動走行が行える一方、入力ギヤ165を第2中間ギヤ168から噛合解除させるシフト操作を行うと、後輪駆動だけの二輪駆動走行が行えるようにして、作業条件に応じて適宜四輪駆動走行と二輪駆動走行の切替操作を行って、効率良く作業が行えるようにしている。
【0150】
〔デファレンシャル機構〕
デファレンシャル機構48は、図8及び図9に示すように、前記した副変速軸116と左右一対の後車軸105,105との間に介設しており、軸支持壁100よりも後方に伸延させた副変速軸1 16の先端部(後端部)に、出力用ベベルギヤ180を一体的に形成する一方、各後車軸105,105の基端部に後車軸入力ギヤ181,181を取り付けて、出力用ベベルギヤ180をデファレンシャル機構48を介して各後車軸入力ギヤ181,181に連動連結している。
【0151】
すなわち、デファレンシャル機構48は、デファレンシャルケース182の外周面に、前記出力用ベベルギヤ180に噛合する大減速ギヤ183を取り付ける一方、デファレンシャルケース182内に、前後方向に伸延する小差動ギヤ支軸184を介して前後一対の小差動ギヤ185,185を回転自在に取り付けると共に、左右方向に伸延する左右一対の大差動ギヤ支軸186,186を介して左右一対の大差動ギヤ187,187を取り付けて、各大差動ギヤ187,187を両小差動ギヤ185,185に噛合させている。
【0152】
そして、デファレンシャルケース182の左右側部に一体成形した筒状連通連結片188,188には、左右方向に軸線を向けた左右一対の筒状軸支持体189,189を着脱自在に嵌合して連通連結可能となし、各筒状連通連結片188,188中を通して各筒状軸支持体189,189中に、前記大差動ギヤ支軸18 6,186を挿通すると共に支持させており、各大差動ギヤ支軸186,186の筒状軸支持体189,189から突出する部分には、それぞれ前記後車軸入力ギヤ181,181と噛合する伝動ギヤ190,190を取り付け、さらに、各大差動ギヤ支軸186,186の先端部は、後述するブレーキ部191,191の走行用ブレーキ192,192に着脱自在に接続している。
【0153】
このようにして、副変速軸116に伝達された回動力は、同副変速軸116の先端部(後端部)に一体的に形成した出力用ベベルギヤ180→大減速ギヤ183→デファレンシャルケース182→小差動ギヤ支軸184→各小差動ギヤ185,185→各大差動ギヤ187,187→各大差動ギヤ支軸186,186→各伝動ギヤ190,190→各後車軸入力ギヤ181,181→各後車軸105,105→各後車輪9,9に伝達されるようにしている。
【0154】
また、左右一対の筒状軸支持体189,189は、ケース本体54の左右側壁54a,54bに形成した取付用開口部194,194に外側方から嵌合すると共に、取付ボルト195,195により着脱自在に取り付けており、デファレンシャルケース182は、両筒状軸支持体189,189間に着脱自在に架設されている。
【0155】
そして、各筒状軸支持体189,189は、取付ボルト195,195を取り外した後、取付用開口部194,194から外側方へ引き出すことにより、ケース本体54から取り外すことができ、この際、各大差動ギヤ支軸186,186も各筒状軸支持体189,189と一体的にデファレンシャルケース182から引き抜いて取り外すことができる。
【0156】
従って、両筒状軸支持体189,189間に着脱自在に架設されているデファレンシャルケース182は、各筒状軸支持体189,189を取り外した後は、ケース本体5 4の天井部に形成したメンテナンス用の開口部106から取り出すことができる。
【0157】
また、ブレーキ部191は、ブレーキケース196内に走行用ブレーキ192を配設し、同走行用ブレーキ192をブレーキ作用片197を介してブレーキ操作レバー198によりブレーキ制動・解除操作することができるようにしている。199は、ブレーキケース196に枢支したブレーキレバー支軸である。
【0158】
そして、ブレーキケース196は、ケース本体54の側壁とリヤアクスルケース8の外周面基部との間に掛け渡し状態にて着脱自在に取り付けており、同ブレーキケース196をこれらから取り外すことにより、同ブレーキケース196と一体的に走行用ブレーキ192を大差動ギヤ支軸186の先端部から取り外すことができるようにしている。
【0159】
このようにして、デファレンシャル機構48は、図9(a)に示すように、出力用ベベルギヤ180に大減速ギヤ183を右側方から噛合させて取り付ける形態と、図9(b)に示すように、デファレンシャル機構48を上下反転させて左右を振り替えた状態にして、出力用ベベルギヤ180に大減速ギヤ183を左側方から噛合させて取り付ける形態とを、選択的に採用することができるようにしている。
【0160】
従って、トラクタAに連結する作業機や作業形態に応じて、同トラクタAの前進方向(主たる作業方向)をデファレンシャル機構48の取付形態を選択することにより、簡単に変更することができる。
【0161】
次に、図8、図10及び図11を参照しながらPTO変速部6の構成について説明する。
【0162】
すなわち、PTO変速部6は、図8、図10及び図11に示すように、ケース本体54の後端に形成されている開口部111にPTOケース200を着脱自在に取り付け、同PTOケース200内にPTO変速機構201を配設している。
【0163】
そして、PTOケース200は、ケース本体54内に収容状態に配置される前部ケース形成体202と、ケース本体54から後方へ膨出状態に配置される後部ケース形成体203とから形成しており、後部ケース形成体203の前端周縁部に鍔状の取付片204を一体成形して、同取付片204をケース本体54の後端縁部に後方から当接させると共に、前後方向に軸線を向けた取付ボルト205により取り付けている。
【0164】
このようにして、ケース本体54の後端に形成されている開口部111にPTOケース200を着脱自在に取り付けているため、同PTOケース200内に収容したPTO変速機溝201の組立作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0165】
ここで、前記したリフトアーム支持体108の後部とケース本体54の後端縁部の上部との間には、トップリンク12の前端部を枢支・連結するためのトップリンクブラケット206を取り付けており、同トップリンクブラケット206は、リフトアーム支持体108の後部とケース本体54の後端縁部の上部に面接させて取付ボルト210により取り付ける板状の取付座207と、同取付座207の後面より後方へ向けて突設した左右一対の板状の枢支・連結片208,208とから形成している。209は連結孔である。
【0166】
そして、取付座207の下部は、後部ケース形成体203の取付片204に後方から当接させて重合状態となすと共に、取付ボルト205により共締めしてケース本体54の後端縁部に取り付けている。
【0167】
また、後部ケース形成体203の左右側壁には、リフトシリンダ取付部としてのリフトシリンダ支軸211,211を外側方へ向けて突設し、各リフトシリンダ支軸211,211と前記リフトアーム110,110の中途部との間に上下方向に伸縮作動するリフトシリンダ212,212を介設している。213はリフトシリンダ連結ピン、214はリフトシリンダ枢支連結片である。
【0168】
このようにして、後部ケース形成体203の左右側方位置に、上下方向に伸縮作動する左右一対のリフトシリンダ212,212を配置すると共に、各リフトシリンダ212,212の下端部をリフトシリンダ支軸211,211を介して後部ケース形成体203に支持させているため、両リフトシリンダ212,212を鉛直ないしは略鉛直に配置した姿勢となすことが容易となり、各リフトシリンダ212,212のストロークを小さくすることができて、各リフトシリンダ212,212の小型化を図ることができる上に、パワーロスを小さくすることができる。
【0169】
しかも、各リフトシリンダ212,212の下端部は、リフトシリンダ支軸211,211を介して後部ケース形成体203に支持させているため、各リフトシリンダ212,212を強固に支持することができる。
【0170】
また、例えば、後部ケース形成体203の左右幅を小さくして、左右一対のリフトシリンダ212,212を後部ケース形成体203の左右側方位置に配置すると共に、ケース本体54の左右幅内に配置することにより、同ケース本体54への昇降リンク機構の取付位置の自由度を増大させることができる。
【0171】
次に、PTO変速機構201について説明すると、同PTO変速機構201は、図8に示すように、PTOケース200内に、前後方向に軸線を向けた入力軸220と変速軸221とPTO軸222とを、それぞれベアリング223,224,225,226,227,228を介して回動自在に支持させており、入力軸220は、PTOケース200の前壁に形成した入力軸突出部239から前方へ先端部240を突出させる一方、PTO軸222は、PTOケース200の後壁に形成したPTO軸突出部241から後方へ先端部242を突出させている。
【0172】
そして、入力軸220に出力ギヤ229を設ける一方、変速軸221に大径入力ギヤ230と第1変速ギヤ231と第2変速ギヤ232を同軸的に取り付けて、上記大径入力ギヤ230を上記出力ギヤ229に噛合させている。
【0173】
また、PTO軸222には、シフトギヤ体233を軸線方向にスライドシフト自在にスプライン嵌合すると共に、ベアリング234を介して入力ギヤ235を回転自在に取り付けており、シフトギヤ体233に大径シフトギヤ236と小径シフトギヤ237を設ける一方、入力ギヤ2 35の前面に、上記小径シフトギヤ237が嵌入されて噛合する嵌入噛合ギヤ238を形成している。
【0174】
このようにして、シフトギヤ体233を図示しないPTO変速操作機構により、大径シフトギヤ236を前記第1変速ギヤ231に噛合させる第1PTO変速操作と、小径シフトギヤ237を嵌入噛合ギヤ238に嵌入・噛合させる第2PTO変速操作とが行えるようにしている。
【0175】
また、入力軸220の先端部240は、図3に示すように、PTO系伝動軸169を介して前記外側駆動軸20に連動連結してPTO系伝動機構52を構成しており、PTO系伝動軸169は、ミッションケース45内にて前部から後部まで前後方向に軸線を向けて配置している。
【0176】
すなわち、PTO系伝動軸169は、図3に示すように、第1〜第4分割伝動軸245,246,247,248を前後方向に接続して形成している。
【0177】
そして、第1分割伝動軸245は、図3及び図5に示すように、クラッチハウジング17の後壁27と前記内部支持壁57との間にベアリング249,250を介して回動自在に架設しており、同第1分割伝動軸245の中途部に入力ギヤ244を設けて、同入力ギヤ244をPTO駆動ギヤ20cに噛合させている。
【0178】
また、第2分割伝動軸246は、図3及び図5に示すように、ベアリング251を介して前記支持壁形成体55に中途部を回動自在に支持させると共に、前端部を上記第1分割伝動軸245の後端部に第1筒状接続体252を介して接続している。
【0179】
第3分割伝動軸247は、図3及び図8に示すように、ベアリング253を介して軸支持体118に中途部を回動自在に支持させると共に、前端部を上記第2分割伝動軸246の後端部に第2筒状接続体254を介して接続している。
【0180】
第4分割伝動軸248は、図3及び図8に示すように、前端部を上記第3分割伝動軸247の後端部にワンウェイクラッチ255を介して接続すると共に、後端部を前記入力軸220の先端部240に第3筒状接続体256を介して接続している。
【0181】
ここで、ワンウェイクラッチ255は、第3分割伝動軸247の後端部に取り付けた前部クラッチ形成体257と、第4分割伝動軸248の前端部に取り付けた後部クラッチ形成体258とから形成しており、前部クラッチ形成体257の後面に突設した噛合片259と、後部クラッチ形成体258の前面に突設した噛合片260とを前後対向状態に噛合させて、正回転では両噛合片259,260が係合して第3・第4分割伝動軸247,248が一体的に正回転方向に回動する一方、逆回転では両噛合片259,260が係合しないようにしている。
【0182】
このようにして、エンジン15から外側駆動軸20に伝達された動力は、同外側駆動軸20に一体成形したPTO駆動ギヤ20c→入力ギヤ244→第1分割伝動軸245→第1筒状接続体252→第2分割伝動軸246→第2筒状接続体254→第3分割伝動軸247→ワンウェイクラッチ255→第4分割伝動軸248→第3筒状接続体256→入力軸220に伝達されるようにしている。
【0183】
そして、PTO変速機構201が第1PTO変速操作されている場合には、入力軸220に伝達された動力は、出力ギヤ229→大径入力ギヤ230→変速軸221→第1変速ギヤ231→シフトギヤ体233の大径シフトギヤ236→PTO軸222に伝達されるようにしており、同PTO軸222より動力を取り出して各種作業機を駆動することができる。
【0184】
また、PTO変速機構201が第2PTO変速操作されている場合には、入力軸220に伝達された動力は、出力ギヤ229→大径入力ギヤ230→変速軸221→第2変速ギヤ232→入力ギヤ23 5→シフトギヤ体233の小径シフトギヤ237→PTO軸222に伝達されるようにしており、同PTO軸222より動力を取り出して各種作業機を駆動することができる。
【0185】
この際、各種作業機からの負荷を受けてPTO軸222が逆回転され、その動力が入力軸220→第3筒状接続体256→第4分割伝動軸248に伝達されたとしても、同第4分割伝動軸248と第3分割伝動軸247との間にはワンウェイクラッチ255を介設しているため、第4分割伝動軸248から第3分割伝動軸247には動力が伝達されない。
【0186】
従って、PTO軸222から動力が主変速機構46をはじめとする走行系伝動機構51に逆流して伝達されることにより、同走行系伝動機構51が損傷等されるという不具合の発生を防止することができる。
【0187】
特に、図12に示すように、シングルクラッチ仕様のクラッチ部3では、後部分割駆動軸片31に設けたPTO駆動ギヤ300に、第1分割伝動軸245に設けた入力ギヤ244を噛合させているため、同第1分割伝動軸245→入力ギヤ244→PTO駆動ギヤ300→後部分割駆動軸片31→主変速主軸58に動力が逆流して伝達されるのを、ワンウェイクラッチ255により確実に防止することができる。
【0188】
そして、ケース本体54内にワンウェイクラッチ255を設けておくことにより、図8に示すような走行用クラッチ21とPTO用クラッチ22のダブルクラッチ仕様と、図12に示すような走行用クラッチ21のみのシングルクラッチ仕様との相互仕様の変更を行う際には、ミッションケース45内は共通部としてそのままの状態にして、クラッチ部3をだけを取り替えるだけで、仕様の変更を簡単に行うことができる。
【0189】
また、図2、図3、図5及び図7に示すように、ミッション部4の左側前部には動力取出部350を設けており、同動力取出部350は、主変速ケース53の左側壁前部に、外方へ膨出させて成形した動力取出ケース351を取付ボルト360を介して着脱自在に取り付け、同動力取出ケース351内にベアリング352を介して前後方向に軸線を向けた動力取出軸353をその軸線廻りに回動自在に取り付け、同動力取出軸353に動力取出用入力ギヤ354を取り付けて、同動力取出用入力ギヤ354を前記第1分割伝動軸245の中途部に設けた入力ギヤ244に中間ギヤ355を介して噛合させている。356は中間ギヤ支軸、357はベアリングである。
【0190】
そして、図15にも示すように、動力取出軸353の前端部に被噛合片358を前方へ向けて突設する一方、エアコンプレッサ312の入力軸361にスライド体362を軸線方向にスライド自在にスプライン嵌合し、同スライド体362の後端部に噛合片359を後方へ向けて突設して、同噛合片359を上記被噛合片358に噛合可能となしており、エアコンプレッサ312に前後回動自在に取り付けた操作レバー313の基端部をスライド体362の周面にシフトフォーク363を介して連動連結して、同操作レバー313の回動操作に連動して噛合片359を進退作動するようにしている。
【0191】
また、図15中、364は噛合付勢スプリングであり、同噛合付勢スプリング364により噛合片359を被噛合片358に噛合させる方向に弾性付勢している。365はレバーガイド体であり、操作レバー313を噛合操作位置(イ)と噛合解除操作位置(ロ)とに案内すると共に、噛合解除操作位置(ロ)では操作レバー313を同位置に係合・保持することができるようにしている。
【0192】
このようにして、操作レバー313を下方へ回動させて噛合操作位置(イ)まで操作することにより、噛合片359を後退移動させて被噛合片358に噛合させて、エアコンプレッサ312を作動させることができるようにしている。
【0193】
一方、操作レバー313を上方へ回動させて噛合解除操作位置(ロ)まで操作することにより、噛合片359を前進移動させて被噛合片358との噛合を解除させて、エアコンプレッサ312を作動解除させることができるようにしている。
【0194】
また、本実施例では、走行系動力を切断する走行用クラッチ21と、PTO系動力を切断するPTO用クラッチ22と(いわゆるデュアルクラッチ機構)を備えたミッション部4において、エアコンプレッサ312をPTO系伝動機構52に連動連結しているため、走行用クラッチ21を切断して走行用ブレーキ192をブレーキ制動させても、エアコンプレッサ312への動力伝達は切断されることがない。従って、従来のように、エンジン15の調時ギヤ室にエアコンプレッサ312を取り付けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0195】
そして、動力取出部350にエアコンプレッサ312を装着(連動連結)しない場合には、同動力取出部350に適宜スノーブロアー等のフロント作業機を連動連結して、同動力取出部350をミッドPTOとして利用することもできる。
【0196】
【発明の効果】
(1)請求項1記載の本発明では、被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能としている。
【0197】
このようにして、エアコンプレッサをミッション部に連動連設することにより、エンジンの調時ギヤ室の形状を特殊なものとすることなく、汎用性のあるエンジンの使用を可能として、コストの低減化を図ることができる。
【0198】
(2)請求項2記載の本発明では、エアコンプレッサは、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサに作動操作用の操作部を設けている。
【0199】
このようにして、エアコンプレッサを、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設しているため、同エアコンプレッサに設けた作動操作用の操作部の操作性を良好に確保することができる。
【0200】
(3)請求項3記載の本発明では、エアコンプレッサは、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置している。
【0201】
このようにして、エアコンプレッサを、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置しているため、同昇降用ステップ部を介して昇降するオペレータにとって、昇降用ステップ部の昇降動作と、エアコンプレッサの操作部を介した操作を、近傍位置にて連続的にかつ効率良く行うことができる。
【0202】
(4)請求項4記載の本発明では、エアコンプレッサは、ミッション部上に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置している。
【0203】
このようにして、エアコンプレッサを、原動機部とミッション部との間に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置しているため、同床部に凹凸を設けることなくエアコンプレッサを配置することができて、同床部上におけるオペレータの居住性を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトラクタの側面図。
【図2】クラッチ部とミッション部の側面図。
【図3】ミッション部の断面正面図。
【図4】エアコンプレッサとエアブレーキ機構とのエア配管説明図。
【図5】同クラッチ部とミッション部の断面側面説明図。
【図6】同クラッチ部の断面側面説明図。
【図7】主変速部の断面側面説明図。
【図8】同主変速部の断面背面説明図。
【図9】同主変速部の上部の拡大断面背面説明図。
【図10】副変速部及びPTO変速部の断面側面説明図。
【図11】デファレンシャル機構の断面平面説明図。
【図12】PTO変速部の背面図。
【図13】同PTO変速部の一部切欠背面図。
【図14】シングルクラッチ仕様のクラッチ部の断面側面図。
【図15】エアコンプレッサの切替操作説明図。
【符号の説明】
A トラクタ
1 機体フレーム
2 原動機部
3 クラッチ部
4 ミッション部
5 運転部
6 PTO変速部
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のブレーキ装置の形態としては、主として液圧ブレーキ装置とエア(空気)ブレーキ装置が採用されており、液圧ブレーキ装置は、応答性に優れ、構造が簡易で、設計上の自由度も高い等の利点がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、エアブレーキ装置は、ブレーキバルブの開閉操作のみでコントロールが可能であり、小さい踏力で大きな制動力が得られ、また、空気は圧縮性があるために配管系から多少のエア漏れがあっても著しい制動力の低下がなく、厳しい使用条件にも耐え得るという特徴がある。
【0004】
さらに、エアブレーキ装置は、液圧ブレーキ装置の分解・組立に必要なブレーキ液の交換・エア抜き等の作業が不要であるため、作業性がよく、連結・連結解除を行う連結車両用のブレーキ装置として最適である等の利点がある。
【0005】
このため、エアブレーキ装置は、大型のトラック、バス、トラクタとトレーラの連結車両等に採用されている。
【0006】
そして、従来のエアブレーキ装置は、圧縮空気を作り出すエアコンプレッサが、クラッチ操作に関係なく常時駆動されるように、ギヤポンプ等を取り付けるエンジンの調時ギヤ室に取り付けられている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−139284号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば、トラクタ等の農業用機械においては、走行部に装着する作業機を油圧で昇降させるために、エンジンの調時ギヤ室に油圧ポンプを取り付ける構造を採用しているが、エアブレーキ装置用のエアコンプレッサをも調時ギヤ室に取り付ける構造を採用すると、同調時ギヤ室の形状が特殊なものとなって、エンジンが汎用性に欠けるものとなり、コストアップにつながるという不具合がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、原動機部にミッション部を連動連結して、同ミッション部より前車輪と後車輪にそれぞれ動力を伝達して走行を可能とすると共に、連結手段を介して被牽引車両を連結して、同被牽引車両を牽引可能としたトラクタにおいて、被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能としたことを特徴とするトラクタを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
【0011】
(1)エアコンプレッサは、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサに作動操作用の操作部を設けたこと。
【0012】
(2)エアコンプレッサは、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置したこと。
【0013】
(3)エアコンプレッサは、ミッション部上に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置したこと。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
すなわち、本発明に係るトラクタは、原動機部にミッション部を連動連結して、同ミッション部より前車輪と後車輪にそれぞれ動力を伝達して走行を可能とすると共に、連結手段を介して被牽引車両を連結して、同被牽引車両を牽引可能としており、被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能としている。
【0016】
そして、エアコンプレッサは、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサに作動操作用の操作部を設けている。
【0017】
しかも、エアコンプレッサは、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置すると共に、ミッション部上に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置している。
【0018】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すAは、本発明に係るトラクタであり、同トラクタAは、その後方に連結手段Cを介して被牽引車両としてのトレーラBを連結して、同トレーラBを牽引可能としている。
【0020】
トラクタAは、図1及び図2に示すように、機体フレーム1上に原動機部2を設け、同原動機部2にクラッチ部3を介してミッション部4を連動連設し、同ミッション部4上に運転部5を配設すると共に、同ミッション部4の後部にPTO変速部6を着脱自在に連動連結して、上記機体フレーム1の下方にフロントアクスルケース(図示せず)を介して左右一対の前車輪7,7を連動連結する一方、上記ミッション部4にリヤアクスルケース8,8(図3及び図11を参照)を介して左右一対の後車輪9,9を連動連結している。
【0021】
トレーラBは、図1に示すように、車体フレーム301上に荷箱302を形成する一方、同車体フレーム301の前部に前車輪支持体303を介して左右一対の前車輪304,304を取り付けると共に、後部に後車輪支持体305を介して左右一対の後車輪306,306,306,306を取り付けて走行部307を形成している。
【0022】
連結手段Cは、図1に示すように、トラクタAのミッション部4の後端部より後方へ伸延させて形成したトラクタ側連結片308と、トレーラBの前車輪支持体303から前方へ伸延させて形成したトレーラ側連結片309と、両連結片308,309の先端部同士を枢支・連結する連結ピン310とから構成している。
【0023】
上記のような構成において、本発明の要旨は、図1〜図4に示すように、トレーラBの走行部307の一部を形成する後車輪支持体305にエアブレーキ機構311を設ける一方、ミッション部4にエアコンプレッサ312を連動連設して、同エアコンプレッサ312からエアブレーキ機構311に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構311により左右一対の後車輪306,306をブレーキ制動可能としたことにある。なお、ミッション部4へのエアコンプレッサ312の連動連設構造の説明は、後述するミッション部4の構造説明において行う。
【0024】
このようにして、エアコンプレッサ312をミッション部4に連動連設することにより、後述するエンジン15の調時ギヤ室の形状を特殊なものとすることなく、汎用性のあるエンジン15の使用を可能として、コストの低減化を図ることができる。
【0025】
そして、エアコンプレッサ312は、ミッション部4の一側壁(本実施例では左側壁)で、かつ、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサ312に作動操作用の操作部としての操作レバー313を設けている。
【0026】
このようにして、エアコンプレッサ312を、ミッション部4の左側壁で、かつ、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に位置する部分に連動連設しているため、同エアコンプレッサ312に設けた操作レバー313の操作性を良好に確保することができる。
【0027】
しかも、エアコンプレッサ312は、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に配設した左側の昇降用ステップ部314の近傍に配置している。
【0028】
このようにして、エアコンプレッサ312を、左側面視にて前車輪7と後車輪9の間に配設した昇降用ステップ部314の近傍に配置しているため、同昇降用ステップ部314を介して昇降するオペレータにとって、昇降用ステップ部314の昇降動作と、エアコンプレッサ312の操作レバー313を介した操作を、近傍位置にて連続的にかつ効率良く行うことができる。
【0029】
さらには、ミッション部4上に配設した運転部5の左側の床部315の上面よりも下方に配置している。
【0030】
このようにして、エアコンプレッサ312を、ミッション部4上に配設した運転部5の左側の床部315の上面よりも下方に配置しているため、同床部315に凹凸を設けることなくエアコンプレッサ312を配置することができて、同床部315上におけるオペレータの居住性を良好に確保することができる。
【0031】
ここで、運転部5は、図1〜図3に示すように、ミッション部4上において、原動機部2の後端部にダッシュボード316を連設し、同ダッシュボード316にハンドル支軸317を介してハンドル318を取り付け、同ハンドル318の後方位置に運転席319を配置し、ミッション部4の左右側壁の上部に、前後方向に伸延する四角形板状に形成した左右一対の床部315,315の内側縁部を連設して、各床部315,315を外側方へ略水平に張り出し状態となしている。
【0032】
しかも、各床部315,315の外側縁部の前部とクラッチ部3の左右側壁下部との間に前部支持体320,320を介設し、また、各床部315,315の外側縁部の中途部とミッション部4の左右側壁下部との間に中途部支持体321,321を介設し、また、各床部315,315の外側縁部の後部とミッション部4の左右側壁下部との間に後部支持体322,322を介設している。
【0033】
そして、各床部315,315の前半部の外側縁部に昇降用ステップ部314,314を垂設すると共に、各床部315,315の後半部の外側縁部に後車輪フェンダー323,323を立設している。
【0034】
また、昇降用ステップ部314は、図2及び図3に示すように、床部315の外側縁部の下面に、上下方向に伸延する前後一対のステップ支持片324,324の上端部を前後方向に間隔を開けて取り付け、両ステップ支持片324,324の下端間に、前後方向に伸延するステップ片325を架設して形成している。
【0035】
そして、かかる昇降用ステップ部314よりも内方(機体側)で、かつ、昇降用ステップ部314の上下幅内にエアコンプレッサ312を配置して、同エアコンプレッサ312を障害物から保護している。
【0036】
しかも、左側の昇降用ステップ部314を形成する前後一対のステップ支持片324,324と、両ステップ支持片324,324の下端間に架設したステップ片325と、左側の床部315とにより形成される空間326内にエアコンプレッサ312の操作レバー313を配置して、同操作レバー313の操作性を良好に確保している。
【0037】
また、図1〜図3に示すように、エアコンプレッサ312の後方位置には、前後方向に伸延するエアタンク327を配置しており、同エアタンク327は、前後方向に伸延する円筒状の周壁328と、同周壁328の前後端縁部に連設した前・後壁329,330とから形成して、前記した中途部支持体321と後部支持体322とに連結支持片331,331を介して連結・支持されている。
【0038】
そして、図4に示すように、エアコンプレッサ312に第1エア配管332を介してエアタンク327を連通連結し、同エアタンク327に第2エア配管333を介してバルブ334を連通連結し、同バルブ334に第3エア配管335を介して前記エアブレーキ機構311を連通連結しており、同バルブ334にはバルブ開閉レバー336を設け、同バルブ開閉レバー336に連結ロッド337を介して運転部5に設けたブレーキペダル338を連動連結している。
【0039】
なお、エアタンク327の配設位置は、本実施例の場合に限られるものではなく、例えば、エアコンプレッサ312とは反対側である機体の右側部に配設することも、また、運転席319の後方位置に配置することもできる。
【0040】
そして、エアタンク327は複数に分割して形成し、機体重量バランス等を考慮して、所要の個所に配置することもできる。
【0041】
ブレーキペダル338は、ボス部339を介してペダルアーム支軸340に支持させ、同ボス部339に連動アーム341を突設し、同連動アーム341と前記バルブ開閉レバー336との間に連結ロッド337を介設すると共に、ボス部339にブレーキ作動アーム342を垂設し、同ブレーキ作動アーム342と後述するブレーキ部191のブレーキ操作レバー198(図3及び図11参照)との間にブレーキ作動用連結ロッド343を介設している。
【0042】
このようにして、トラクタAを走行させる前に、あらかじめ操作レバー313を操作してエアコンプレッサ312を作動させておき、同トラクタAを走行中にオペレータがブレーキペダル338を踏み込み操作すると、同ブレーキペダル338の回動操作力がボス部339→ブレーキ作動アーム342→ブレーキ作動用連結ロッド343→ブレーキ操作レバー198に伝達されて、ブレーキ部191の走行用ブレーキ192をブレーキ制動させることができると共に、ブレーキペダル338の回動操作力がボス部339→連動アーム341→連結ロッド337→バルブ開閉レバー336に伝達されて、バルブ334が開放作動される。
【0043】
その結果、エアコンプレッサ312から圧縮空気が第1エア配管332→エアタンク327→第2エア配管333→バルブ334→第3エア配管335→エアブレーキ機構311に圧送されて、同エアブレーキ機構311によりトレーラBに設けた左右一対の後車輪306,306をブレーキ制動される。
【0044】
従って、トラクタAのブレーキペダル338を踏み込み操作することにより、トラクタAはもとよりその後方に連結したトレーラBもブレーキ制動することができて、走行上の安全性を向上させることができる。
【0045】
次に、前記したトラクタAの原動機部2とクラッチ部3とミッション部4の構造について、以下に順次具体的に説明する。
【0046】
原動機部2は、図1に示すように、機体フレーム1上にエンジン15等を搭載し、同エンジン15等をボンネット16により開閉自在に被覆している。
【0047】
クラッチ部3は、図2〜図4に示すように、クラッチハウジング17内に前後方向に伸延する内外側二重駆動軸体18を回動自在に支持しており、同内外側二重駆動軸体18は、前後方向に伸延する内側駆動軸19と、同内側駆動軸19の外周に回動自在に嵌合させた筒状の外側駆動軸20とから形成している。
【0048】
そして、一方の内側駆動軸19の基端部(前端部)は、走行用クラッチ21を介して前記エンジン15に連動連結すると共に、同内側駆動軸19の先端部(後端部)は、後述する走行系伝動機構51に連動連結し、かつ、他方の外側駆動軸20の基端部(前端部)は、PTO用クラッチ22を介して前記エンジン15に連動連結すると共に、同外側駆動軸20の先端部(後端部)は、後述するPTO系伝動機構52に連動連結している。
【0049】
ここで、クラッチハウジング17の後端縁部には、後述するミッション部4の主変速ケース53の前端縁部を着脱自在に連結しており、前記内外側二重駆動軸体18は、先端部をクラッチハウジング17内の前部に配設したベアリング24に枢支する一方、後端部を主変速ケース53内の前部に配設したベアリング25に枢支している。
【0050】
しかも、クラッチハウジング17の後端内周縁部には、中央部に開口部26を有する後壁27を形成し、同後壁27に前後方向に伸延する筒状支持体28を開口部26中に挿通して取り付けて、同筒状支持体28により前記内外側二重駆動軸体18の中途部外周面を支持させている。
【0051】
そして、筒状支持体28は、クラッチハウジング17内に位置する前部28aを縮径状に形成する一方、主変速ケース53内に位置する後部28bを拡径状に形成し、同後部28bの外周面に取付用鍔片28cを形成して、同取付用鍔片28cをクラッチハウジング17の後壁27の後面に後方から当接させると共に、取付用ボルト29により取り付けている。
【0052】
また、内側駆動軸19は、前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31とに分割して形成すると共に、両分割駆動軸片30,31同士を外側駆動軸20内にて連動連結しており、前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31との分割位置(連動連結位置)を、クラッチハウジング17と主変速ケース53との連結部の近傍、すなわち、筒状支持体28の後部28b内に配置している。
【0053】
しかも、前部分割駆動軸片30の先端部と後部分割駆動軸片31の基端部は、印籠嵌合して着脱自在に連動連結している。
【0054】
すなわち、前部分割駆動軸片30の先端面には嵌合用突片30aを後方へ向けて突設する一方、後部分割駆動軸片31の基端面には基端側嵌合用凹部31aを形成して、同基端側嵌合用凹部31a中に上記嵌合用突片30aを印籠嵌合させると共に、前部分割駆動軸片30の先端部外周面に形成したスプライン溝30bと、後部分割駆動軸片31の基端部外周面に形成したスプライン溝31bとに、前後方向に軸線を向けた筒状連結体32をスプライン嵌合させている。
【0055】
外側駆動軸20は、前部20aを内側駆動軸19の外周面に沿わせて小径に形成する一方、後部20bを前記筒状連結体32の外周面に沿わせて大径に形成し、同後部20bの外周面と筒状支持体28の後部28bの内周面との間にベアリング33,34を介設している。
【0056】
しかも、外側駆動軸20の先端部は、筒状支持体28の後端よりも後方へ延設して、外周面にPTO駆動ギヤ20cを一体成形している。35はPTO駆動ギヤ支持ベアリングである。
【0057】
このようにして、内側駆動軸19を、前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31とに分割形成すると共に、両分割駆動軸片30,31同士を外側駆動軸20内にて連動連結しているため、従来技術、すなわち、内側駆動軸の先端部を、外側駆動軸の先端部よりも後方位置まで延設して、筒状の軸継手を介してPTO系入力軸の基端部に突き合わせ状態にして同一軸線上にて連動連結している従来技術に比べて、クラッチハウジング17と主変速ケース53とを前後方向に連結して、これらクラッチハウジング17及び主変速ケース53内に内外側二重駆動軸体18を挿通した場合でも、主変速ケース53が前後方向に長大になるという不具合を解消することができる。
【0058】
しかも、クラッチハウジング17と主変速ケース53とをアッセンブリとして連結する場合の組立作業や、連結解除して行うメンテナンス作業等が容易となる。
【0059】
さらには、内側駆動軸19の前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31との分割位置を、クラッチハウジング17と主変速ケース53との連結部の近傍に配置しているため、主変速ケース53を前後方向に短幅化して、機体のコンパクト化を図ることができると共に、主変速ケース53の組立ユニットを前後方向に短幅化して、組立ユニットの物流コストの低減化を図ることができ、その結果、外注から一度に多数のユニットを搬入することができる。
【0060】
この際、前部分割駆動軸片30の先端部に形成した嵌合用突片30aを、後部分割駆動軸片31の基端部に形成した基端側嵌合用凹部31a中に、印籠嵌合して着脱自在に連動連結しているため、分割して形成した前部分割駆動軸片30と後部分割駆動軸片31とを精度良く組み付けて連動連結することができる。
【0061】
また、外側駆動軸20の外周面と筒状支持体28の外周面とにわたって走行用筒状作動体36を前後摺動自在に嵌合し、同走行用筒状作動体36の後部に走行用クラッチ作用レバー37の基端部を連動連結する一方、同走行用筒状作動体36の前端縁部にクラッチ作用片36aを設けて、同クラッチ作用片36aを走行用クラッチ21の受動アーム21aに対向させて近接配置している。38はレバー支軸である。
【0062】
このようにして、走行用クラッチ作用レバー37を回動操作すると、走行用筒状作動体36が前方へ摺動されて、クラッチ作用片36aが受動アーム21aを押圧し、同受動アーム21aが回動されて走行用クラッチ21が動力切断作動されるようにしている。
【0063】
また、走行用筒状作動体36の外周面にPTO用筒状作動体39を前後摺動自在に嵌合し、同PTO用筒状作動体39の後部にPTO用クラッチ作用レバー40の基端部を連動連結する一方、同PTO用筒状作動体39の前端縁部にクラッチ作用片39aを設けて、同クラッチ作用片39aをPTO用クラッチ22の受動アーム22aに対向させて近接配置している。41はレバー支軸である。
【0064】
このようにして、PTO用クラッチ作用レバー40を回動操作すると、PTO用筒状作動体39が前方へ摺動されて、クラッチ作用片39aが受動アーム22aを押圧し、同受動アーム22aが回動されてPTO用クラッチ22が動力切断作動されるようにしている。
【0065】
ミッション部4は、図2及び図3に示すように、前後方向に伸延させて筒状に形成したミッションケース45内に、前方から後方へ順次主変速機構46と副変速機構47とデファレンシャル機構48とを配設すると共に、同ミッションケース45にクリープ変速部49を着脱自在に取り付けて、同クリープ変速部49に設けたクリープ変速機構50を上記副変速機構47に連動連結して、主変速、副変速、さらには、クリープ変速が行える走行系伝動機構51を形成し、また、前記外側駆動軸20と、後述するPTO変速部6との間にPTO系伝動機構52を介設している。
【0066】
そして、ミッションケース45は、主変速機構46を内蔵する主変速ケース53と、副変速機構47とデファレンシャル機構48とを内蔵するケース本体54とに二分割形成しており、主変速ケース53は、前記したクラッチハウジング17の後端縁部に前端縁部を連結ボルト56aにより着脱自在に連結すると共に、ケース本体54は、主変速ケース53の後端縁部に支持壁形成体55を介して前端縁部を連結ボルト56bにより着脱自在に連結している。
【0067】
そこで、以下に、主変速ケース53、主変速機構46、ケース本体54、副変速機構47、及び、デファレンシャル機構48の構成をこの順序で説明する。
【0068】
〔主変速ケース〕
主変速ケース53は、図5及び図6に示すように、前後方向に伸延する筒状に形成して、前部内周面に内部支持壁57を形成し、同内部支持壁57と前記支持壁形成体55との間に主変速機構46を介設して、同主変速機構46により複数段(本実施例では5段)の前進変速操作と、後進切替操作とが行えるようにしている。
【0069】
〔主変速機構〕
主変速機構46は、図5及び図6に示すように、内部支持壁57の中央部に前記ベアリング25を介して後部分割駆動軸片31の先端部(後端部)を支持し、同ベアリング25よりも後方に位置する後部分割駆動軸片31の先端部外周面に第5速ギヤ31cを一体成形すると共に、同後部分割駆動軸片31の後端面に先端側嵌合用凹部31dを形成し、同先端側嵌合用凹部31d中に、前後方向に伸延する主変速主軸58の基端面(前端面)より前方へ突出させて形成した嵌合用突片58aをその軸線廻りに回動自在に嵌合する一方、同主変速主軸58の先端部(後端部)を支持壁形成体55の中央部にベアリング59を介してその軸線廻りに回動自在に支持している。
【0070】
そして、主変速主軸58には、基端部側から先端部側に向けて順次第4・第3・第2・第1速ギヤ60,61,62,63と後進切替ギヤ64とを、前後方向に間隔を開けて同軸的に、かつ、主変速主軸58の外周面回りに回転自在に取り付けている。
【0071】
また、主変速主軸58には、第5速ギヤ31cと第4速ギヤ60の間に配置した第3変速体65と、第3速ギヤ61と第2速ギヤ62との間に配置した第2変速体66と、第1速ギヤ63と後進切替ギヤ64との間に配置した第1変速体67とを取り付けている。
【0072】
ここで、各変速体65,66,67は、主変速主軸58に連動連結した軸側連動連結片65a,66a,67aと、前後に隣接する各ギヤに連動連結した前・後ギヤ側連動連結片65b,65c,66b,66c,67b,67cと、各軸側連動連結片65a,66a,67aと各ギヤ側連動連結片65b,65c,66b,66c,67b,67cとの間で軸線方向に摺動自在にスプライン嵌合したスライド連結片65d,66d,67dとを具備している。
【0073】
そして、各スライド連結片65d,66d,67dは、各軸側連動連結片65a,66a,67a上に位置させた中立位置と、各軸側連動連結片65a,66a,67aと前ギヤ側連動連結片65b,66b,67bとの間にスライド位置させて両者を連動連結した前方スライド変速位置と、各軸側連動連結片65a,66a,67aと後ギヤ側連動連結片65c,66c,67cとの間にスライド位置させて両者を連動連結した後方スライド変速位置のいずれかにスライド操作可能としている。
【0074】
また、内部支持壁57と前記支持壁形成体55との間には、前・後部ベアリング68,69を介して前後方向に伸延する主変速副軸70を支持しており、同主変速副軸70の外周面には第1・2・3変速ギヤ体71,72,73を同軸的にかつ回転自在に取り付けている。
【0075】
しかも、第1変速ギヤ体71に一体成形した前部ギヤ71aと後部ギヤ71bは、それぞれ第5速ギヤ31cと第2速ギヤ60に噛合させ、また、第2変速ギヤ体72に一体成形した前部ギヤ72aと後部ギヤ72bは、それぞれ第3速ギヤ61と第2速ギヤ62に噛合させ、また、第3変速ギヤ体73に一体成形した前部ギヤ73aは、第1速ギヤ63に噛合させる一方、同第3変速ギヤ体73に一体成形した後部ギヤ73bは、支持壁形成体55に軸支したカウンタギヤ74を介して後進切替ギヤ64に噛合させている。75はカウンタギヤ支軸、76は主変速ケース53内に設けた軸支持体である。
【0076】
さらには、内部支持壁57と前記支持壁形成体55との間には、図5〜図7に示すように、前後方向に伸延するスライド体支軸80を、前記主変速主軸58の直上方位置において前後摺動自在に架設すると共に、前後方向に伸延するレバー連動軸81を、上記スライド体支軸80の右側方位置にて平行させて前後摺動自在に架設し、同レバー連動軸81の前部より左側方へ突設した係合片82の先端部を、スライド体支軸80の前部に設けた被係合片83に係合させる一方、ケース本体54内まで延設したレバー連動軸81の後端部に作用受片84を設け、同作用受片84に主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aを係合させている。97は作用受片取付ピンである。
【0077】
そして、図2に示すように、ケース本体54の天井部54cに揺動支持体86を設け、図6に示すように、同揺動支持体86に設けた揺動支持片87に上下方向に伸延する主変速レバー85の下部を枢支して、同主変速レバー85を前後左右方向に揺動操作自在となし、同主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aの下端を、天井部54cに形成したレバー挿通孔88中に挿通して、前記作用受片84に係合させている。89はレバー中立復帰用スプリングである。
【0078】
また、図5及び図7に示すように、スライド体支軸80の中途部には、側方開口部90を有して背面視C字状に形成したスライド規制体91を嵌合すると共に、スライド体支軸80より半径方向に側方開口部90中を通してスライド作用片92を突出させている。
【0079】
しかも、スライド体支軸80には、後方から前方へ向けて順次第1・第2・第3スライド体95,94,93を軸線方向にスライド自在に取り付けると共に、第3スライド体93はスライド規制体91よりも前方に配置する一方、第1・第2スライド体95,94はスライド規制体91よりも後方に配置している。
【0080】
さらには、各スライド体95,94,93は、スライド体支軸80にスライド自在に嵌合したボス部95a,94a,93aと、各ボス部95a,94a,93aより左右側下方へ伸延させて形成したシフトフォーク95b,94b,93bと、各ボス部95a,94a,93aよりスライド規制体91に向けて伸延させて形成したスライド作用受片95c,94c,93cとを具備している。
【0081】
そして、第1・第2・第3スライド体95,94,93の各シフトフォーク95b,94b,93bは、それぞれ前記第1・第2・第3変速体67,66,65のスライド連結片67d,66d,65dに連動連結している。
【0082】
また、第1・第2・第3スライド体95,94,93の各スライド作用受片95c,94c,93cは、スライド体支軸80を軸線廻りに回動させてスライド作用片92とスライド規制体91を所要の方向に回動させることにより、所要の一つのスライド作用受片にスライド作用片92を係合させて、同スライド作用受片をスライド体支軸80の前後摺動に連動させてスライド作動させると共に、他の二つのスライド作用受片にスライド規制体91に突設した規制片91a,91bの少なくともいずれか一方を係合させて、両スライド作用受片がスライド体支軸80の前後摺動に連動したスライド作動されるのを規制することができるようにしている。96は、スライド規制体91の軸線方向の動きを規制するためにケース本体54の天井部54cに垂設した規制用突片である。
【0083】
主変速機構46は、上記のように構成しているものであり、以下にかかる主変速機構46の変速操作(第1変速操作〜第5変速操作及び後進切替操作)について説明する。
【0084】
(第1変速操作)
主変速レバー85を略垂直に起立させた状態にて後方向に回動操作し、その回動操作力を主変速レバー85の下端部に形成した作用片85a→作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を前方向に摺動させる。
【0085】
そうすると、スライド体支軸80の前方向への摺動力が、スライド作用片92→第1スライド体95のスライド作用受片95c→ボス部95a→シフトフォーク95bに伝達されて、同シフトフォーク95bに連動連結した第1変速体67のスライド連結片67dが中立位置から前方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片67aと前ギヤ側連動連結片67bとが連動連結された状態となる。
【0086】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第1変速ギヤ体73の前部ギヤ73a→第1速ギヤ63→第1変速体67の前ギヤ側連動連結片67b→スライド連結片67d→軸側連動連結片67a→主変速主軸58に伝達されて、第1変速がなされる。
【0087】
この際、スライド作用片92は、第1スライド体95のスライド作用受片95cに係合されると共に、スライド規制体91の形成片91a,91bは、第2・第3スライド体94,93のスライド作用受片94c,93cに係合されて、両スライド体94,93の動きが規制される。
【0088】
(第2変速操作)
主変速レバー85を右側方へ回動操作して、揺動支持片87を支点として主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aを左側方へ回動させ、その回動力を作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を、図7の背面図において、時計廻りに回動させると共に、スライド作用片92を介してスライド規制体91も時計廻りに回動させる。
【0089】
続いて、右側方へ回動操作した主変速レバー85をさらに前方へ回動操作して、スライド体支軸80を後方向に摺動させる。
【0090】
そうすると、スライド体支軸80の後方向への摺動力が、スライド作用片92→第2スライド体94のスライド作用受片94c→ボス部94a→シフトフォーク94bに伝達されて、同シフトフォーク94bに連動連結した第2変速体66のスライド連結片66dを中立位置から後方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片66aと後ギヤ側連動連結片66cとが連動連結された状態となる。
【0091】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第2変速ギヤ体72の後部ギヤ72b→第2速ギヤ62→第2変速体66の後ギヤ側連動連結片66c→スライド連結片66d→軸側連動連結片66a→主変速主軸58に伝達されて、第2変速がなされる。
【0092】
この際、スライド作用片92は、第2スライド体94のスライド作用受片94cに係合されると共に、スライド規制体91の形成片91bは、第1・第3スライド体95,93のスライド作用受片95c,93cに係合されて、両スライド体95,93の動きが規制される。
【0093】
(第3変速操作)
主変速レバー85を右側方へ回動操作すると共に後方へ回動操作して、スライド体支軸80を前方向に摺動させる。
【0094】
そうすると、スライド体支軸80の前方向への摺動力が、スライド作用片92→第2スライド体94のスライド作用受片94c→ボス部94a→シフトフォーク94bに伝達されて、同シフトフォーク94bに連動連結した第2変速体6 6のスライド連結片66dを中立位置から前方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片66aと前ギヤ側連動連結片66bとが連動連結された状態となる。
【0095】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第1変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第2変速ギヤ体72の前部ギヤ72a→第3速ギヤ61→第2変速体66の前ギヤ側連動連結片66b→スライド連結片66d→軸側連動連結片66a→主変速主軸58に伝達されて、第3変速がなされる。
【0096】
この際、スライド作用片92は、第2スライド体94のスライド作用受片94cに係合されると共に、スライド規制体91の規成片91bは、第1・第3スライド体95,93のスライド作用受片95c,93cに係合されて、両スライド体95,93の動きが規制される。
【0097】
(第4変速操作)
主変速レバー85を左側方へ回動操作して、揺動支持片87を支点として主変速レバー85の下端部に形成した作用片85aを右側方へ回動させ、その回動力を作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を、図7の背面図において、反時計廻りに回動させると共に、スライド作用片92を介してスライド規制体91も反時計廻りに回動させる。
【0098】
続いて、右側方へ回動操作した主変速レバー85をさらに前方へ回動操作して、スライド体支軸80を後方向に摺動させる。
【0099】
そうすると、スライド体支軸80の後方向への摺動力が、スライド作用片92→第3スライド体93のスライド作用受片93c→ボス部93a→シフトフォーク93bに伝達されて、同シフトフォーク93bに連動連結した第3変速体65のスライド連結片65dを中立位置から後方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片65aと後ギヤ側連動連結片65cとが連動連結された状態となる。
【0100】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の後部ギヤ71b→第4速ギヤ62→第3変速体65の後ギヤ側連動連結片65c→スライド連結片65d→軸側連動連結片65a→主変速主軸58に伝達されて、第4変速がなされる。
【0101】
この際、スライド作用片92は、第3スライド体93のスライド作用受片93cに係合されると共に、スライド規制体91の規成片91aは、第1・第2スライド体95,94のスライド作用受片95c,94cに係合されて、両スライド体95,94の動きが規制される。
【0102】
(第5変速操作)
主変速レバー85を左側方へ回動操作すると共に後方へ回動操作して、スライド体支軸80を前方向に摺動させる。
【0103】
そうすると、スライド体支軸80の前方向への摺動力が、スライド作用片92→第3スライド体95のスライド作用受片95c→ボス部95a→シフトフォーク95bに伝達されて、同シフトフォーク95bに連動連結した第3変速体67のスライド連結片67dを中立位置から前方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片67aと前ギヤ側連動連結片67bとが連動連結された状態となる。
【0104】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速体67の前ギヤ側連動連結片65b→スライド連結片67d→軸側連動連結片65a→主変速主軸58に伝達されて、第5変速がなされる。
【0105】
この際、スライド作用片92は、第3スライド体93のスライド作用受片93cに係合されると共に、スライド規制体91の規成片91aは、第1・第2スライド体95,94のスライド作用受片95c,94cに係合されて、両スライド体95,94の動きが規制される。
【0106】
(後進切替操作)
主変速レバー85を略垂直に起立させた状態にて前方向に回動操作し、その回動操作力を主変速レバー85の下端部に形成した作用片85a→作用受片84→レバー連動軸81→係合片82→被係合片83→スライド体支軸80に伝達させて、同スライド体支軸80を後方向に摺動させる。
【0107】
そうすると、スライド体支軸80の後方向への摺動力が、スライド作用片9 2→第1スライド体95のスライド作用受片95c→ボス部95a→シフトフォーク95bに伝達されて、同シフトフォーク95bに連動連結した第3変速体67のスライド連結片67dが中立位置から後方スライド変速位置にスライドされて、軸側連動連結片67aと後ギヤ側連動連結片67cとが連動連結された状態となる。
【0108】
その結果、エンジン15から内側駆動軸19に伝達された動力は、前部分割駆動軸片30→後部分割駆動軸片31→第5速ギヤ31c→第3変速ギヤ体71の前部ギヤ71a→主変速副軸70→第1変速ギヤ体73の後部ギヤ73b→カウンタギヤ74→後進切替ギヤ64→第3変速体67の後ギヤ側連動連結片67c→スライド連結片67d→軸側連動連結片67a→主変速主軸58に伝達されて、同主変速主軸58が逆回転され、後進切替がなされる。
【0109】
この際、スライド作用片92は、第1スライド体95のスライド作用受片95cに係合されると共に、スライド規制体91の形成片91a,91bは、第2・第3スライド体94,93のスライド作用受片94c,93cに係合されて、両スライド体94,93の動きが規制される。
【0110】
〔ケース本体〕
ケース本体54は、図2、図8及び図11に示すように、前後方向に伸延する筒状に形成し、内周面中途部に軸支持壁100を形成しており、同ケース本体54内において、上記軸支持壁100の前方位置に副変速機構47を配設すると共に、同軸支持壁100の後方位置にデファレンシャル機構48を配設している。
【0111】
そして、軸支持壁100よりも前方に位置するケース本体54には、右側壁54bに開口部101を形成して、同開口部101を介して後述するクリープ変速部49を着脱自在に取り付けると共に、底部54dに開口部102を形成して、同開口部102を介して後述する前車輪駆動用動力取出部103を取り付けており、これらクリープ変速部49と前車輪駆動用動力取出部103はそれぞれ副変速機構47に連動連結している。
【0112】
また、軸支持壁100よりも後方に位置するケース本体54には、図9に示すように、左右側壁54a,54bにそれぞれ開口部104,104を形成して、各開口部104,104を介してリヤアクスルケース8,8を連通連設し、各リヤアクスルケース8,8中に左右方向に伸延する後車軸105,105を挿通すると共に回動自在に支持しており、各後車軸105,105はデファレンシャル機構48に連動連結している。
【0113】
しかも、軸支持壁100よりも後方に位置するケース本体54には、図8に示すように、天井部にメンテナンス用の開口部106を形成して、同開口部106を着脱自在の蓋体107により閉蓋しており、同蓋体107の後部にはリフトアーム支持体108を上方へ膨出させて形成して、同リフトアーム支持体108の上部に左右方向に軸線を向けたリフトアーム支軸109を挿通すると共に回動自在に支持し、同リフトアーム支軸109の左右側端部に左右一対のリフトアーム110,110の基端部を取り付けている。
【0114】
さらには、図8に示すように、ケース本体54の後端に形成されている開口部111にPTO変速部6を取り付けている。
【0115】
また、図2及び図8に示すように、ケース本体54の左右側壁の後下部には、ロワリンク連結ピン112,112を外側方へ向けて突設して、左右一対のロワリンク13,13の前端部をロワリンク連結ピン112,112を介してケース本体54により回動自在に支持するようにしている。
【0116】
〔副変速機構〕
副変速機構47は、図8に示すように、前記主変速主軸58の先端部(後端部)に遊星ギヤ機構115を介して副変速軸116を連動連結して構成しており、主変速主軸58の先端部は、後方へ伸延させて遊星ギヤ機構115の一部を構成するサンギヤ117となす一方、副変速軸116は、主変速主軸58と同一軸線上に配置すると共に、中途部をケース本体54内に設けた軸支持体118にベアリング119を介して支持させ、かつ、先端部(後端部)を前記軸支持壁100にベアリング120を介して支持させている。
【0117】
遊星ギヤ機構115は、前記支持壁形成体55に、リング状に形成してサンギヤ117の外周に配置した前後一対のインナーギヤ支持体121,122を、前後方向に軸線を向けた取付ボルト123により取り付けて、両インナーギヤ支持体121,122間にインナーギヤ124を両持ち支持させ、同インナーギヤ124の円周方向に間隔を開けて複数の遊星ギヤ125を配置すると共に、各遊星ギヤ125をインナーギヤ124とサンギヤ117の両方に噛合させる一方、前後一対のインナーギヤ支持体121,122の内周縁部間に前後一対のベアリング126,127を介してキャリヤ128を取り付け、同キャリヤ128に複数の遊星ギヤ125を一体的に連動連結して構成している。
【0118】
しかも、キャリヤ128は、後端縁部を後側のベアリング127よりも後方へ延設して筒状のギヤ形成片129を形成しており、同ギヤ形成片129の内周面に内歯130を形成すると共に、同ギヤ形成片129の外周面にクリープ駆動ギヤとしての外歯131を形成している。
【0119】
さらには、サンギヤ117の外周面と副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面との間には、筒状のシフトギヤ支持体132を軸線方向にシフト自在にスプライン嵌合しており、同シフトギヤ支持体132の前部外周面に前部シフトギヤ133を一体成形すると共に、後部外周面に後部シフトギヤ134を一体成形している。
【0120】
そして、図10及び図11に示すように、ケース本体54内の右側には、前後方向に軸線を向けたフォーク支軸135を配設しており、同フォーク支軸135にシフトフォーク136の基端部137を前後摺動自在に取り付けると共に、同シフトフォーク136の先端部138をシフトギヤ支持体132に係合させている。
【0121】
また、後述するクリープ変速部49の一部を構成する蓋体139に、左右方向に軸線を向けたボス部140を形成し、同ボス部140中にレバー支軸141を挿通し、同レバー支軸141の外側端部に副変速レバー142の基端部を取り付けると共に、同レバー支軸141の内側端部に連動アーム143の基端部を取り付け、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して前記シフトフォーク136の基端部137を連結している。
【0122】
このようにして、副変速レバー142を前後方向に回動操作することにより、シフトギヤ支持体132を前後方向にシフト作動させて、副変速操作が行えるようにしている。
【0123】
すなわち、副変速レバー142を後方へ回動させると、レバー支軸141を介して連動アーム143が前方へ回動され、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して連結したシフトフォーク13 6が前方へ摺動されて、同シフトフォーク136に係合されたシフトギヤ支持体132が前方へシフトされる。
【0124】
この際、シフトギヤ支持体132は、サンギヤ117の外周面と副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面との間に掛け渡された状態にシフトされて、同シフトギヤ支持体132を介してサンギヤ117と副変速軸116とが連動連結された状態(主変速主軸58と副変速軸116とが直結された状態)となる。
【0125】
従って、かかるシフト位置では、主変速主軸58に一体成形したサンギヤ117からシフトギヤ支持体132を介して副変速軸1 16に動力が伝達される。
【0126】
また、副変速レバー142を前方へ回動させると、レバー支軸141を介して連動アーム143が後方へ回動され、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して連結したシフトフォーク136が後方へ摺動されて、同シフトフォーク136に係合されたシフトギヤ支持体132が後方へシフトされる。
【0127】
そして、シフトギヤ支持体132は、サンギヤ117の外周面から離脱されて、副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面上にシフトされると共に、前部シフトギヤ133がギヤ形成片129の内周面に形成した内歯1 30に噛合される。
【0128】
従って、かかるシフト位置では、主変速主軸58に一体成形したサンギヤ117の回動力は、同サンギヤ117に噛合している遊星ギヤ125→キャリヤ128→同キャリヤ128に一体成形したギヤ形成片129の内歯130→シフトギヤ支持体132の前部シフトギヤ133→シフトギヤ支持体132→副変速軸116の基端部114に伝達される。
【0129】
この際、主変速主軸58から副変速軸116には、遊星ギヤ機構115を介して減速された動力が伝達されて、副変速がなされる。
【0130】
また、本実施例では、副変速レバー142をさらに前方へ回動させると、クリープ変速部49によりクリープ変速(超低速の変速)がなされるようにしている。
【0131】
ここで、クリープ変速部49について説明すると、同クリープ変速部49は、図8、図10及び図11に示すように、前記ケース本体54の右側壁に形成した開口部101に、蓋体139を取付ボルト145により着脱自在に取り付けて閉蓋すると共に、同蓋体139の内面にクリープ変速機構146を着脱自在に取り付けて構成している。
【0132】
そして、クリープ変速機構146は、蓋体139の内面に突設した前後一対の軸支持片147,148間に前後方向に軸線を向けたギヤ支軸149を着脱自在に架設し、同ギヤ支軸149にベアリング150を介してクリープ変速ギヤ体151を回動自在に取り付け、同クリープ変速ギヤ体151の前部と後部に大径の入力ギヤ152と小径の出力ギヤ153を一体成形して構成している。
【0133】
しかも、入力ギヤ152は、ギヤ形成片129の外周面に形成したクリープ駆動ギヤとしての外歯131に着脱自在に噛合させると共に、出力ギヤ153は、副変速軸116にベアリング154を介して回転自在に取り付けたクリープ伝動ギヤ155に着脱自在に噛合させており、同クリープ伝動ギヤ155の前面には、シフトギヤ支持体132の後部外周面に一体成形した後部シフトギヤ134が嵌入されて噛合する嵌入噛合ギヤ156を形成している。
【0134】
このようにして、副変速レバー142を最大限に前方へ回動させると、レバー支軸141を介して連動アーム143が後方へ回動され、同連動アーム143の先端部にコマ144を介して連結したシフトフォーク136が後方へ摺動されて、同シフトフォーク136に係合されたシフトギヤ支持体132が最大限に後方へシフトされる。
【0135】
そして、シフトギヤ支持体132は、サンギヤ117の外周面から離脱されて、副変速軸116の基端部(前端部)114の外周面上にシフトされると共に、後部シフトギヤ134がクリープ伝動ギヤ155の前面に形成した嵌入噛合ギヤ156に嵌入されて噛合する。
【0136】
従って、かかるシフト位置では、主変速主軸58に一体成形したサンギヤ117の回動力は、同サンギヤ117に噛合している遊星ギヤ125→キャリヤ128→同キャリヤ128に一体成形したギヤ形成片129の外歯131→クリープ変速ギヤ体151の入力ギヤ152→クリープ変速ギヤ体151の出力ギヤ153→クリープ伝動ギヤ155→嵌入噛合ギヤ156→シフトギヤ支持体132の後部外周面に一体成形した後部シフトギヤ134→シフトギヤ支持体132→副変速軸116の基端部114に伝達される。
【0137】
この際、主変速主軸58から副変速軸116には、遊星ギヤ機構115とクリープ変速機構146とを介して超低速に減速された動力が伝達されて、クリープ変速がなされる。
【0138】
ここで、キャリヤ128にクリープ駆動ギヤとして一体成形したギヤ形成片129の外歯131に、クリープ変速ギヤ体151の入力ギヤ152を着脱自在に噛合させているため、クリープ変速機構146を遊星ギヤ機構115の周縁部にコンパクトに配置するができて、ミッション部4の長大化を回避することができる。
【0139】
しかも、遊星ギヤ機構115の軸線方向にてクリープ変速操作も直線的に行うことができるため、変速操作機構の簡素化を図ることができる。
【0140】
さらには、蓋体139にクリープ変速機構146を取り付けてクリープ変速部49を構成すると共に、同クリープ変速部49は、ケース本体54に形成した開口部101に蓋体139を着脱自在に取り付けて閉蓋するようにしているため、同クリープ変速部49の組立性を良好となすことができる。
【0141】
そして、クリープ仕様を必要としない場合には、クリープ変速機構146を蓋体139から取り外した状態で、同蓋体139をケース本体54の開口部101に取り付けておくことにより、クリープ有り仕様からクリープ無し仕様に簡単に仕様変更することができる。
【0142】
また、クリープ仕様を必要とする場合には、クリープ変速機構146を蓋体139に取り付ければよく、クリープ有り・無しの仕様設定を容易に行うことができる。
【0143】
前車輪駆動用動力取出部103は、図2及び図8に示すように、ケース本体54の底部に形成した開口部102に、取出部ケース160を取付ボルト161により取り付け、同取出部ケース160内に前後一対のベアリング162,163を介して前後方向に軸線を向けた前車輪駆動軸164を架設し、同前車輪駆動軸164の中途部に入力ギヤ165を取り付けて、同入力ギヤ165と副変速軸116の後部に取り付けた出力ギヤ166との間に第1・第2中間ギヤ167,168を介設して構成している。
【0144】
ここで、第1中間ギヤ167は、後述するPTO系伝動軸169にベアリング170を介して回転自在に取り付けると共に、第2中間ギヤ168は、ケース本体54内に突出させて形成した前後一対のギヤ支持片171,172にギヤ支軸173を架設し、同ギヤ支軸173にベアリング174を介して回転自在に取り付けている。
【0145】
そして、出力ギヤ166と第1中間ギヤ167と第2中間ギヤ168と入力ギヤ165とを直列的に噛合させて連動連結している。
【0146】
また、前車輪駆動軸164は、先端部175を取出部ケース160より前方へ突出させて、同先端部175をフロントアクスルケースに設けた入力軸(図示せず)に伝動シャフト等を介して連動連結している。
【0147】
このようにして、副変速軸116の回動力は、同副変速軸116に取り付けた出力ギヤ166→第1中間ギヤ167→第2中間ギヤ168→入力ギヤ165→前車輪駆動軸164→伝動シャフト等→入力軸→前車軸→前車輪7,7に伝達されて、四輪駆動走行が行えるようにしている。
【0148】
また、本実施例では、入力ギヤ165は、前車輪駆動軸164の中途部にスプライン嵌合して、第2中間ギヤ168に噛合した位置と噛合解除された位置とにシフト可能とすると共に、同入力軸165のシフト操作を取出部ケース160の外部からシフト操作機構(図示せず)により行えるようにしている。
【0149】
このようにして、入力ギヤ165を第2中間ギヤ168に噛合させるシフト操作を行うと、前記したように四輪駆動走行が行える一方、入力ギヤ165を第2中間ギヤ168から噛合解除させるシフト操作を行うと、後輪駆動だけの二輪駆動走行が行えるようにして、作業条件に応じて適宜四輪駆動走行と二輪駆動走行の切替操作を行って、効率良く作業が行えるようにしている。
【0150】
〔デファレンシャル機構〕
デファレンシャル機構48は、図8及び図9に示すように、前記した副変速軸116と左右一対の後車軸105,105との間に介設しており、軸支持壁100よりも後方に伸延させた副変速軸1 16の先端部(後端部)に、出力用ベベルギヤ180を一体的に形成する一方、各後車軸105,105の基端部に後車軸入力ギヤ181,181を取り付けて、出力用ベベルギヤ180をデファレンシャル機構48を介して各後車軸入力ギヤ181,181に連動連結している。
【0151】
すなわち、デファレンシャル機構48は、デファレンシャルケース182の外周面に、前記出力用ベベルギヤ180に噛合する大減速ギヤ183を取り付ける一方、デファレンシャルケース182内に、前後方向に伸延する小差動ギヤ支軸184を介して前後一対の小差動ギヤ185,185を回転自在に取り付けると共に、左右方向に伸延する左右一対の大差動ギヤ支軸186,186を介して左右一対の大差動ギヤ187,187を取り付けて、各大差動ギヤ187,187を両小差動ギヤ185,185に噛合させている。
【0152】
そして、デファレンシャルケース182の左右側部に一体成形した筒状連通連結片188,188には、左右方向に軸線を向けた左右一対の筒状軸支持体189,189を着脱自在に嵌合して連通連結可能となし、各筒状連通連結片188,188中を通して各筒状軸支持体189,189中に、前記大差動ギヤ支軸18 6,186を挿通すると共に支持させており、各大差動ギヤ支軸186,186の筒状軸支持体189,189から突出する部分には、それぞれ前記後車軸入力ギヤ181,181と噛合する伝動ギヤ190,190を取り付け、さらに、各大差動ギヤ支軸186,186の先端部は、後述するブレーキ部191,191の走行用ブレーキ192,192に着脱自在に接続している。
【0153】
このようにして、副変速軸116に伝達された回動力は、同副変速軸116の先端部(後端部)に一体的に形成した出力用ベベルギヤ180→大減速ギヤ183→デファレンシャルケース182→小差動ギヤ支軸184→各小差動ギヤ185,185→各大差動ギヤ187,187→各大差動ギヤ支軸186,186→各伝動ギヤ190,190→各後車軸入力ギヤ181,181→各後車軸105,105→各後車輪9,9に伝達されるようにしている。
【0154】
また、左右一対の筒状軸支持体189,189は、ケース本体54の左右側壁54a,54bに形成した取付用開口部194,194に外側方から嵌合すると共に、取付ボルト195,195により着脱自在に取り付けており、デファレンシャルケース182は、両筒状軸支持体189,189間に着脱自在に架設されている。
【0155】
そして、各筒状軸支持体189,189は、取付ボルト195,195を取り外した後、取付用開口部194,194から外側方へ引き出すことにより、ケース本体54から取り外すことができ、この際、各大差動ギヤ支軸186,186も各筒状軸支持体189,189と一体的にデファレンシャルケース182から引き抜いて取り外すことができる。
【0156】
従って、両筒状軸支持体189,189間に着脱自在に架設されているデファレンシャルケース182は、各筒状軸支持体189,189を取り外した後は、ケース本体5 4の天井部に形成したメンテナンス用の開口部106から取り出すことができる。
【0157】
また、ブレーキ部191は、ブレーキケース196内に走行用ブレーキ192を配設し、同走行用ブレーキ192をブレーキ作用片197を介してブレーキ操作レバー198によりブレーキ制動・解除操作することができるようにしている。199は、ブレーキケース196に枢支したブレーキレバー支軸である。
【0158】
そして、ブレーキケース196は、ケース本体54の側壁とリヤアクスルケース8の外周面基部との間に掛け渡し状態にて着脱自在に取り付けており、同ブレーキケース196をこれらから取り外すことにより、同ブレーキケース196と一体的に走行用ブレーキ192を大差動ギヤ支軸186の先端部から取り外すことができるようにしている。
【0159】
このようにして、デファレンシャル機構48は、図9(a)に示すように、出力用ベベルギヤ180に大減速ギヤ183を右側方から噛合させて取り付ける形態と、図9(b)に示すように、デファレンシャル機構48を上下反転させて左右を振り替えた状態にして、出力用ベベルギヤ180に大減速ギヤ183を左側方から噛合させて取り付ける形態とを、選択的に採用することができるようにしている。
【0160】
従って、トラクタAに連結する作業機や作業形態に応じて、同トラクタAの前進方向(主たる作業方向)をデファレンシャル機構48の取付形態を選択することにより、簡単に変更することができる。
【0161】
次に、図8、図10及び図11を参照しながらPTO変速部6の構成について説明する。
【0162】
すなわち、PTO変速部6は、図8、図10及び図11に示すように、ケース本体54の後端に形成されている開口部111にPTOケース200を着脱自在に取り付け、同PTOケース200内にPTO変速機構201を配設している。
【0163】
そして、PTOケース200は、ケース本体54内に収容状態に配置される前部ケース形成体202と、ケース本体54から後方へ膨出状態に配置される後部ケース形成体203とから形成しており、後部ケース形成体203の前端周縁部に鍔状の取付片204を一体成形して、同取付片204をケース本体54の後端縁部に後方から当接させると共に、前後方向に軸線を向けた取付ボルト205により取り付けている。
【0164】
このようにして、ケース本体54の後端に形成されている開口部111にPTOケース200を着脱自在に取り付けているため、同PTOケース200内に収容したPTO変速機溝201の組立作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0165】
ここで、前記したリフトアーム支持体108の後部とケース本体54の後端縁部の上部との間には、トップリンク12の前端部を枢支・連結するためのトップリンクブラケット206を取り付けており、同トップリンクブラケット206は、リフトアーム支持体108の後部とケース本体54の後端縁部の上部に面接させて取付ボルト210により取り付ける板状の取付座207と、同取付座207の後面より後方へ向けて突設した左右一対の板状の枢支・連結片208,208とから形成している。209は連結孔である。
【0166】
そして、取付座207の下部は、後部ケース形成体203の取付片204に後方から当接させて重合状態となすと共に、取付ボルト205により共締めしてケース本体54の後端縁部に取り付けている。
【0167】
また、後部ケース形成体203の左右側壁には、リフトシリンダ取付部としてのリフトシリンダ支軸211,211を外側方へ向けて突設し、各リフトシリンダ支軸211,211と前記リフトアーム110,110の中途部との間に上下方向に伸縮作動するリフトシリンダ212,212を介設している。213はリフトシリンダ連結ピン、214はリフトシリンダ枢支連結片である。
【0168】
このようにして、後部ケース形成体203の左右側方位置に、上下方向に伸縮作動する左右一対のリフトシリンダ212,212を配置すると共に、各リフトシリンダ212,212の下端部をリフトシリンダ支軸211,211を介して後部ケース形成体203に支持させているため、両リフトシリンダ212,212を鉛直ないしは略鉛直に配置した姿勢となすことが容易となり、各リフトシリンダ212,212のストロークを小さくすることができて、各リフトシリンダ212,212の小型化を図ることができる上に、パワーロスを小さくすることができる。
【0169】
しかも、各リフトシリンダ212,212の下端部は、リフトシリンダ支軸211,211を介して後部ケース形成体203に支持させているため、各リフトシリンダ212,212を強固に支持することができる。
【0170】
また、例えば、後部ケース形成体203の左右幅を小さくして、左右一対のリフトシリンダ212,212を後部ケース形成体203の左右側方位置に配置すると共に、ケース本体54の左右幅内に配置することにより、同ケース本体54への昇降リンク機構の取付位置の自由度を増大させることができる。
【0171】
次に、PTO変速機構201について説明すると、同PTO変速機構201は、図8に示すように、PTOケース200内に、前後方向に軸線を向けた入力軸220と変速軸221とPTO軸222とを、それぞれベアリング223,224,225,226,227,228を介して回動自在に支持させており、入力軸220は、PTOケース200の前壁に形成した入力軸突出部239から前方へ先端部240を突出させる一方、PTO軸222は、PTOケース200の後壁に形成したPTO軸突出部241から後方へ先端部242を突出させている。
【0172】
そして、入力軸220に出力ギヤ229を設ける一方、変速軸221に大径入力ギヤ230と第1変速ギヤ231と第2変速ギヤ232を同軸的に取り付けて、上記大径入力ギヤ230を上記出力ギヤ229に噛合させている。
【0173】
また、PTO軸222には、シフトギヤ体233を軸線方向にスライドシフト自在にスプライン嵌合すると共に、ベアリング234を介して入力ギヤ235を回転自在に取り付けており、シフトギヤ体233に大径シフトギヤ236と小径シフトギヤ237を設ける一方、入力ギヤ2 35の前面に、上記小径シフトギヤ237が嵌入されて噛合する嵌入噛合ギヤ238を形成している。
【0174】
このようにして、シフトギヤ体233を図示しないPTO変速操作機構により、大径シフトギヤ236を前記第1変速ギヤ231に噛合させる第1PTO変速操作と、小径シフトギヤ237を嵌入噛合ギヤ238に嵌入・噛合させる第2PTO変速操作とが行えるようにしている。
【0175】
また、入力軸220の先端部240は、図3に示すように、PTO系伝動軸169を介して前記外側駆動軸20に連動連結してPTO系伝動機構52を構成しており、PTO系伝動軸169は、ミッションケース45内にて前部から後部まで前後方向に軸線を向けて配置している。
【0176】
すなわち、PTO系伝動軸169は、図3に示すように、第1〜第4分割伝動軸245,246,247,248を前後方向に接続して形成している。
【0177】
そして、第1分割伝動軸245は、図3及び図5に示すように、クラッチハウジング17の後壁27と前記内部支持壁57との間にベアリング249,250を介して回動自在に架設しており、同第1分割伝動軸245の中途部に入力ギヤ244を設けて、同入力ギヤ244をPTO駆動ギヤ20cに噛合させている。
【0178】
また、第2分割伝動軸246は、図3及び図5に示すように、ベアリング251を介して前記支持壁形成体55に中途部を回動自在に支持させると共に、前端部を上記第1分割伝動軸245の後端部に第1筒状接続体252を介して接続している。
【0179】
第3分割伝動軸247は、図3及び図8に示すように、ベアリング253を介して軸支持体118に中途部を回動自在に支持させると共に、前端部を上記第2分割伝動軸246の後端部に第2筒状接続体254を介して接続している。
【0180】
第4分割伝動軸248は、図3及び図8に示すように、前端部を上記第3分割伝動軸247の後端部にワンウェイクラッチ255を介して接続すると共に、後端部を前記入力軸220の先端部240に第3筒状接続体256を介して接続している。
【0181】
ここで、ワンウェイクラッチ255は、第3分割伝動軸247の後端部に取り付けた前部クラッチ形成体257と、第4分割伝動軸248の前端部に取り付けた後部クラッチ形成体258とから形成しており、前部クラッチ形成体257の後面に突設した噛合片259と、後部クラッチ形成体258の前面に突設した噛合片260とを前後対向状態に噛合させて、正回転では両噛合片259,260が係合して第3・第4分割伝動軸247,248が一体的に正回転方向に回動する一方、逆回転では両噛合片259,260が係合しないようにしている。
【0182】
このようにして、エンジン15から外側駆動軸20に伝達された動力は、同外側駆動軸20に一体成形したPTO駆動ギヤ20c→入力ギヤ244→第1分割伝動軸245→第1筒状接続体252→第2分割伝動軸246→第2筒状接続体254→第3分割伝動軸247→ワンウェイクラッチ255→第4分割伝動軸248→第3筒状接続体256→入力軸220に伝達されるようにしている。
【0183】
そして、PTO変速機構201が第1PTO変速操作されている場合には、入力軸220に伝達された動力は、出力ギヤ229→大径入力ギヤ230→変速軸221→第1変速ギヤ231→シフトギヤ体233の大径シフトギヤ236→PTO軸222に伝達されるようにしており、同PTO軸222より動力を取り出して各種作業機を駆動することができる。
【0184】
また、PTO変速機構201が第2PTO変速操作されている場合には、入力軸220に伝達された動力は、出力ギヤ229→大径入力ギヤ230→変速軸221→第2変速ギヤ232→入力ギヤ23 5→シフトギヤ体233の小径シフトギヤ237→PTO軸222に伝達されるようにしており、同PTO軸222より動力を取り出して各種作業機を駆動することができる。
【0185】
この際、各種作業機からの負荷を受けてPTO軸222が逆回転され、その動力が入力軸220→第3筒状接続体256→第4分割伝動軸248に伝達されたとしても、同第4分割伝動軸248と第3分割伝動軸247との間にはワンウェイクラッチ255を介設しているため、第4分割伝動軸248から第3分割伝動軸247には動力が伝達されない。
【0186】
従って、PTO軸222から動力が主変速機構46をはじめとする走行系伝動機構51に逆流して伝達されることにより、同走行系伝動機構51が損傷等されるという不具合の発生を防止することができる。
【0187】
特に、図12に示すように、シングルクラッチ仕様のクラッチ部3では、後部分割駆動軸片31に設けたPTO駆動ギヤ300に、第1分割伝動軸245に設けた入力ギヤ244を噛合させているため、同第1分割伝動軸245→入力ギヤ244→PTO駆動ギヤ300→後部分割駆動軸片31→主変速主軸58に動力が逆流して伝達されるのを、ワンウェイクラッチ255により確実に防止することができる。
【0188】
そして、ケース本体54内にワンウェイクラッチ255を設けておくことにより、図8に示すような走行用クラッチ21とPTO用クラッチ22のダブルクラッチ仕様と、図12に示すような走行用クラッチ21のみのシングルクラッチ仕様との相互仕様の変更を行う際には、ミッションケース45内は共通部としてそのままの状態にして、クラッチ部3をだけを取り替えるだけで、仕様の変更を簡単に行うことができる。
【0189】
また、図2、図3、図5及び図7に示すように、ミッション部4の左側前部には動力取出部350を設けており、同動力取出部350は、主変速ケース53の左側壁前部に、外方へ膨出させて成形した動力取出ケース351を取付ボルト360を介して着脱自在に取り付け、同動力取出ケース351内にベアリング352を介して前後方向に軸線を向けた動力取出軸353をその軸線廻りに回動自在に取り付け、同動力取出軸353に動力取出用入力ギヤ354を取り付けて、同動力取出用入力ギヤ354を前記第1分割伝動軸245の中途部に設けた入力ギヤ244に中間ギヤ355を介して噛合させている。356は中間ギヤ支軸、357はベアリングである。
【0190】
そして、図15にも示すように、動力取出軸353の前端部に被噛合片358を前方へ向けて突設する一方、エアコンプレッサ312の入力軸361にスライド体362を軸線方向にスライド自在にスプライン嵌合し、同スライド体362の後端部に噛合片359を後方へ向けて突設して、同噛合片359を上記被噛合片358に噛合可能となしており、エアコンプレッサ312に前後回動自在に取り付けた操作レバー313の基端部をスライド体362の周面にシフトフォーク363を介して連動連結して、同操作レバー313の回動操作に連動して噛合片359を進退作動するようにしている。
【0191】
また、図15中、364は噛合付勢スプリングであり、同噛合付勢スプリング364により噛合片359を被噛合片358に噛合させる方向に弾性付勢している。365はレバーガイド体であり、操作レバー313を噛合操作位置(イ)と噛合解除操作位置(ロ)とに案内すると共に、噛合解除操作位置(ロ)では操作レバー313を同位置に係合・保持することができるようにしている。
【0192】
このようにして、操作レバー313を下方へ回動させて噛合操作位置(イ)まで操作することにより、噛合片359を後退移動させて被噛合片358に噛合させて、エアコンプレッサ312を作動させることができるようにしている。
【0193】
一方、操作レバー313を上方へ回動させて噛合解除操作位置(ロ)まで操作することにより、噛合片359を前進移動させて被噛合片358との噛合を解除させて、エアコンプレッサ312を作動解除させることができるようにしている。
【0194】
また、本実施例では、走行系動力を切断する走行用クラッチ21と、PTO系動力を切断するPTO用クラッチ22と(いわゆるデュアルクラッチ機構)を備えたミッション部4において、エアコンプレッサ312をPTO系伝動機構52に連動連結しているため、走行用クラッチ21を切断して走行用ブレーキ192をブレーキ制動させても、エアコンプレッサ312への動力伝達は切断されることがない。従って、従来のように、エンジン15の調時ギヤ室にエアコンプレッサ312を取り付けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0195】
そして、動力取出部350にエアコンプレッサ312を装着(連動連結)しない場合には、同動力取出部350に適宜スノーブロアー等のフロント作業機を連動連結して、同動力取出部350をミッドPTOとして利用することもできる。
【0196】
【発明の効果】
(1)請求項1記載の本発明では、被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能としている。
【0197】
このようにして、エアコンプレッサをミッション部に連動連設することにより、エンジンの調時ギヤ室の形状を特殊なものとすることなく、汎用性のあるエンジンの使用を可能として、コストの低減化を図ることができる。
【0198】
(2)請求項2記載の本発明では、エアコンプレッサは、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサに作動操作用の操作部を設けている。
【0199】
このようにして、エアコンプレッサを、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設しているため、同エアコンプレッサに設けた作動操作用の操作部の操作性を良好に確保することができる。
【0200】
(3)請求項3記載の本発明では、エアコンプレッサは、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置している。
【0201】
このようにして、エアコンプレッサを、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置しているため、同昇降用ステップ部を介して昇降するオペレータにとって、昇降用ステップ部の昇降動作と、エアコンプレッサの操作部を介した操作を、近傍位置にて連続的にかつ効率良く行うことができる。
【0202】
(4)請求項4記載の本発明では、エアコンプレッサは、ミッション部上に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置している。
【0203】
このようにして、エアコンプレッサを、原動機部とミッション部との間に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置しているため、同床部に凹凸を設けることなくエアコンプレッサを配置することができて、同床部上におけるオペレータの居住性を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトラクタの側面図。
【図2】クラッチ部とミッション部の側面図。
【図3】ミッション部の断面正面図。
【図4】エアコンプレッサとエアブレーキ機構とのエア配管説明図。
【図5】同クラッチ部とミッション部の断面側面説明図。
【図6】同クラッチ部の断面側面説明図。
【図7】主変速部の断面側面説明図。
【図8】同主変速部の断面背面説明図。
【図9】同主変速部の上部の拡大断面背面説明図。
【図10】副変速部及びPTO変速部の断面側面説明図。
【図11】デファレンシャル機構の断面平面説明図。
【図12】PTO変速部の背面図。
【図13】同PTO変速部の一部切欠背面図。
【図14】シングルクラッチ仕様のクラッチ部の断面側面図。
【図15】エアコンプレッサの切替操作説明図。
【符号の説明】
A トラクタ
1 機体フレーム
2 原動機部
3 クラッチ部
4 ミッション部
5 運転部
6 PTO変速部
Claims (4)
- 原動機部にミッション部を連動連結して、同ミッション部より前車輪と後車輪にそれぞれ動力を伝達して走行を可能とすると共に、連結手段を介して被牽引車両を連結して、同被牽引車両を牽引可能としたトラクタにおいて、
被牽引車両の走行部にエアブレーキ機構を設ける一方、ミッション部にエアコンプレッサを連動連設して、同エアコンプレッサからエアブレーキ機構に圧縮空気を供給して、同エアブレーキ機構をブレーキ制動可能としたことを特徴とするトラクタ。 - エアコンプレッサは、ミッション部の一側壁で、かつ、側面視にて前車輪と後車輪の間に位置する部分に連動連設し、同エアコンプレッサに作動操作用の操作部を設けたことを特徴とする請求項1記載のトラクタ。
- エアコンプレッサは、側面視にて前車輪と後車輪の間に配設した昇降用ステップ部の近傍に配置したことを特徴とする請求項2記載のトラクタ。
- エアコンプレッサは、ミッション部上に配設した運転部の床部の上面よりも下方に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトラクタ。
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