JP2004119061A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】発明が解決しようとする課題は、正極集電体表面にセラミックス等からなる耐食性導電材層を形成した集電体において、導電性に問題がなく、集電体と正極活物質との密着性の優れた正極板を備えた鉛蓄電池を提供することにある。
【解決手段】正極集電体表面に耐食性導電材層を形成した正極板を備えた鉛蓄電池において、前記耐食性導電材層がTa−TiO複合酸化物もしくはTiであって、前記正極板に40〜200kPaの圧迫力を加えたことを特徴とするものである。
【選択図】   図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池は、コスト・安全性・信頼性の面で二次電池として長く利用されてきているが、ここ数年の性能向上および普及が著しい新種電池(ニッケル水素、リチウムイオン)に比べ、エネルギー密度が低いという欠点がある。
【0003】
鉛蓄電池は、正極活物質が二酸化鉛(PbO)、負極活物質が鉛(Pb)から構成されており、集電体には正・負極いずれも鉛あるいは鉛合金が使用されている。鉛蓄電池の劣化の主要因は正極集電体の腐食である。正極集電体は、開回路の状態でも電位の高いPbOと常時接しているため、常に腐食される環境にある。充電時には充電過電圧が加わって、電位が高くなり、腐食がさらに加速される。集電体は、集電機能の他に活物質を保持する機能を持っているが、腐食が進めば、これらの機能が低下して蓄電池の容量を低下させることになる。したがって、寿命性能の要求を満足させるためには集電体の容積を一定以上確保する必要がある。そのことによって、正極板の厚みは自ずと厚いものになる。
【0004】
また、正極活物質は微細構造を有する多孔性物質で多くの細孔を有しており、放電において、電解液である硫酸が関与し、極板が厚くなると、電解液の活物質細孔内への拡散が悪くなり、正極活物質の利用率が低下する。さらに、正極集電体の耐食性をよくするために、低比重電解液を用いるのが良いことは知られているが、これも電解液中の反応物として消費される硫酸根が不足して、正極活物質の利用率を下げる要因となる。活物質の利用率が低下すると、要求される電気容量を取り出すためにより多くの活物質量が必要となり、極板が重くなってエネルギー密度のさらなる低下につながる。このように正極集電体の腐食劣化が、理論エネルギー密度の低い鉛蓄電池の実用エネルギー密度を更に低くする大きな原因となっている。このような状況の中で、耐食性の優れた正極集電体の開発が望まれている。
【0005】
鉛蓄電池の正極集電体に要求される特性は、高い導電性、硫酸への不溶性、硫酸溶液中でのPbOを用いることによる正極電位に対する電気化学的安定性、高い水素・酸素過電圧である。したがって、鉛以外の安価で軽量なアルミニウムやカーボンといった材料は、鉛蓄電池の電解液である硫酸中で正極電位に晒されると著しく溶解あるいは腐食してしまうために用いることはできない。そういった中で、酸素化合物や珪素化合物のようなセラミックスの中に耐食性導電材料の可能性を僅かに見出すことができる。
【0006】
しかしながら、これらの材料は導電性に優れるとはいえ、鉛と比較すれば、比抵抗が高く、またコストも高価であり、これらの材料を集電体としてそのまま用いることは出来なかった。しかし、鉛あるいは鉛合金もしくは他の導電性の優れた集電体の表面にこの耐食性導電材層を形成し、集電体本体を被覆することで、この耐食性導電性材による電圧降下が小さく抑えられ、比抵抗の問題やコストの問題を克服し、耐食性の優れた正極集電体が得られる可能性がある。特に、近年、薄膜製法の中で、スパッタリング法やプラズマCVD法等の製法を用いれば、鉛のような低融点材料にも良質な結晶性と導電性を持ったセラミックスのような高融点の耐食性導電材を被覆することが可能になってきた。そのような方法の一例が特開平7−65823に記載されている。
【0007】
この方法によれば、鉛からなる集電体にプラズマ処理によってチタンあるいはチタン化合物層を形成するものである。
【0008】
しかし、上述したように耐食性導電材は鉛表面に薄膜層を形成した状態であっても鉛と比較して比抵抗が高いという問題を完全に克服したわけでなく、また、従来の鉛蓄電池では、熟成工程によって集電体と活物質との化学的な結合反応により両者の密着性が確保されるのに対して、本方式では、鉛表面に耐食性導電材層が存在するので鉛と活物質との化学的な結合反応が起こり難く、基本的に集電体と活物質との密着性が弱く、充電中のガス発生や充・放電に伴う活物質の膨張・収縮あるいは外的な振動等の物理的な力によって集電体と活物質とが剥離して極板としての機能を失ってしまい易い問題点を抱えていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
発明が解決しようとする課題は、正極集電体表面にセラミックス等からなる耐食性導電材層を形成した正極板において、導電性に問題がなく、正極活物質と集電体との密着性にも優れた正極板を備えた鉛蓄電池を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための手段として、請求項1によれば、正極集電体表面に耐食性導電材層を形成した正極板を備えた鉛蓄電池において、
前記耐食性導電材がTa−TiO複合酸化物もしくはTiであって、
前記正極板に40〜200kPaの圧迫力を加えたことを特徴とするものである。
【0011】
鉛あるいは鉛合金もしくは他の金属からなる集電体表面にセラミックスの薄膜層を形成する場合の大きな問題点は導電性の低下である。発明者は、各種チタン化合物を用いて鉛およびTiからなる集電体表面に薄膜層を形成させ、評価試験を行った。その結果、Ta−TiO複合酸化物およびTiの薄膜層を形成した集電体は、鉛蓄電池の正極集電体として要求される特性を有し実用可能であることを見出した。
【0012】
薄膜層の厚みに関しては、層厚みが100ミクロン以下であれば鉛蓄電池として必要な導電性を確保できることが分かった。また、薄膜層の厚みの下限は、膜の形成方法によっても変わるが、例えば、スパッタリング法により形成された薄膜の場合は8ミクロンでも、また、ディップコーティング法により形成された薄膜の場合は100ナノメータでも、鉛蓄電池の正極集電体として十分な耐食性を有していることがわかった。
【0013】
さらに本発明では、前記正極板に40〜200kPaの圧迫力を加え、活物質と集電体との電気的接触を維持することを特徴とするものである。
【0014】
従来の鉛蓄電池では、鉛あるいは鉛合金集電体に正極活物質を当接あるいは塗布した後、上述したように熟成工程を経る。この工程により、鉛あるいは鉛合金集電体と活物質との間に化学的な結合反応が起こり両者の密着性が確保される。しかし、本発明の鉛あるいは鉛合金もしくは他の金属からなる集電体表面にTa−TiO複合酸化物あるいはTiの薄膜層を形成させた場合には、集電体の耐食性は優れているが、活物質と集電体との間に化学的な結合反応による密着性が十分に得られないので、活物質が集電体から離脱しやすい問題を抱えている。これに対して、発明者は、前記集電体に正極活物質を当接あるいは塗布した後、集電体に対して垂直方向に40〜200kPaの圧迫力を加えることによって活物質と集電体との電気的接触が維持でき、鉛蓄電池用正極板として安定して使用可能であることを見出した。
【0015】
本発明の他の特徴は、平板状の鉛あるいは鉛合金もしくは他の金属からなる集電体の片面に耐食性導電材層を形成し、該面に正極活物質を当接あるいは塗布し、反対面に負極活物質を当接あるいは塗布し、該正極活物質面と該負極活物質面とを電解液を保持するセパレータを介して積層したバイポーラ構造が可能であることである。
【0016】
耐食性導電材層を形成した集電体は優れた耐食性を有しており、平板状集電体が薄くても腐食で劣化する心配がないので該集電体が正極・負極を接続する機能を備えた上記バイポーラ構造が容易に実現できる。
【0017】
また、平板状の正極集電体の片面に正極活物質を当接あるいは塗布し、反対面は蓄電池外装、すなわち電槽と接続端子の機能を兼ね備える構造も可能である。
【0018】
次に、鉛あるいは鉛合金もしくは他の金属からなる集電体表面に耐食性導電材層を形成した場合、鉛あるいは鉛合金のみの集電体に比べて電位的に安定でないために、化成工程ではその点での配慮が必要である。それを以下に示す。
【0019】
蓄電池に電解液を注入後、直ちに蓄電池の電圧を1.0V以上の電圧に制御した状態で化成を行うと共に少なくとも1時間は2.0V以下に保つことが必要である。
【0020】
集電体表面に形成させた上記耐食性導電材層は、1.0V以下の電圧になると、硫酸中に溶出することがわかった。鉛蓄電池製造中にその電位になるのは極板の化成初期で、0V〜0.5Vの非常に低い電圧を示す。したがって、電解液注入後、直ちに蓄電池の電圧を1.0V以上にすることが好ましい。
【0021】
一方、高い電圧で化成すると耐食性導電材層の表面で化成中にガス発生が起こり、活物質と集電体との密着性が失われ、電池の内部抵抗が高くなる。そのため化成開始後、少なくとも1時間は、電圧を2V以下に制限することが必要である。
【0022】
鉛蓄電池に電解液を注入した時点での電位は1.0V以下と低く、集電体表面に形成した耐食性導電材層が溶出するので、注液後直ちに通電を開始する必要がある。しかし、実際の作業において難しい面があり、発明者は耐食性導電材層の厚みと化成開始までの時間との関係を求める試験を行い、耐食性導電材層の厚みをA(ミクロン)、化成開始までの時間をT(分)とした時に
T≦19.2LOG10
にしたがって化成を開始すればよいことを見出した。
【0023】
【実施の形態】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
〔実施例1〕
図1は、本発明による実施例の正極集電体を示す断面図であり、1は低融点金属である鉛からなる集電体本体、2は該集電体表面に形成されたTa−TiO複合酸化物薄膜層をそれぞれ示す。
【0024】
図1において、Ta−TiO複合酸化物薄膜層の形成には、これと同じ組成(Ta−TiO複合酸化物:比率1対1)のターゲットを用いて、0.75PaのArガス雰囲気中でRFスパッタリング装置を用いて行った。薄膜層形成時の基板温度は120℃であり、鉛の融点327℃に比べ充分低く問題ない。
【0025】
鉛集電体表面にTa−TiO複合酸化物の薄膜層を上述したスパッタリング法により形成させた集電体と、被覆しない集電体とを作製し、その上にそれぞれ鉛蓄電池用のペースト状活物質を塗布し、通常の化成を行い、硫酸電解液の比重が1.280になるように調整した後、20mA/cmの定電流でアノード酸化試験を行った。さらに、チタンの集電体にTa−TiO複合酸化物の薄膜層を形成したものと被覆しないものについても試験に供した。
【0026】
試験中の電圧推移を図2に示す。Ta−TiO複合酸化物の薄膜層で被覆しなかったチタン基板の集電体は基板表面が不働態化したためか、早期に著しく高い電圧を示した。すなわち高い抵抗体が形成され、正極板として機能が維持できなくなってしまった。しかし、Ta−TiO複合酸化物層で被覆したTi集電体は600時間酸化試験を行っても全く電圧挙動に異常はなく、鉛蓄電池の集電体として十分適用可能であることが分かった。鉛の集電体に上記耐食性導電材を被覆したものも600時間の酸化試験で異常はなかった。試験後、これらを解体調査した結果、いずれもTa−TiO複合酸化物層の劣化等が見られなかった。一方、Pbのみの集電体は、機能が短期間で維持できなくなるということはなかったが、被覆していないために集電体の腐食が著しかった。
【0027】
図3に上記600時間のアノード酸化試験後の鉛集電体の腐食量を示す。被覆ありのものは被覆なしのものに比べ、腐食量は著しく少ないことが分る。
【0028】
図4にTa−TiO複合酸化物の薄膜層ありとなしの鉛集電体を用いた正極板について、電流密度を変えた場合の放電特性を示す。被覆ありと被覆なしでは、放電性能に差はなかった。
【0029】
また、スパッタリング法により鉛集電体表面に10ミクロンの厚さのTi薄膜層を形成させた正極板を作製し、同様のアノード酸化試験を行った。その結果、Ta−TiO複合酸化物で被覆した場合と同じく、ほとんど腐食せず、耐食性に著しい効果があった。
【0030】
なお、今回の実施例ではスパッタリング法を用いたが、技術的にはプラズマCVD法を用いても同等の効果が得られることは周知である。
〔実施例2〕
スパッタリング法により0.5mm厚さの鉛シート表面に厚さ10ミクロンのTa−TiO複合酸化物薄膜層を形成した集電体の表面に、鉛蓄電池用正極ペーストを塗布し、負極には通常の鉛シート上に負極ペーストを塗布し、両極板の間に制御弁式鉛蓄電池用のガラスマットセパレータを種々の圧迫力になるように厚みを変えて挿入した。それらを定法に従い希硫酸を注液し、通電(化成)を行い、表1に示す内容の約0.25Ah容量(10時間率)の制御弁式鉛蓄電池を作製した。該蓄電池の構造断面図を図5に示す。
【0031】
図5において、1は正極集電体、2は耐食性導電材層(Ta−TiO複合酸化物)、3は正極活物質、4は負極集電体、5は負極活物質、6はセパレータ、7は排気孔、8は絶縁枠をそれぞれ示す。
【0032】
図5に示すように、両極の集電体は外装ケースの一部をかねていると共に端子の機能も備えており、従来の鉛蓄電池のように端子が不要である。
【0033】
なお、Ta−TiO複合酸化物を形成させていない鉛シートをそのまま用いた以外は上記と同じ方法で従来型の制御弁式鉛電池も作製し、試験に供した。
【0034】
【表1】
Figure 2004119061
【0035】
これらの蓄電池を室温で0.6CA(C:定格容量、A:電流の単位)電流で1時間放電し、0.2CA電流で4.1時間充電するパターンの充・放電サイクル試験を行った。寿命試験中の放電容量の推移を図6に示す。
【0036】
従来型鉛蓄電池は、約500サイクルで寿命に達したが、本発明の40〜200kPaで圧迫した蓄電池は、いずれも800サイクルの時点でほとんど容量の低下がなかった。しかし、圧迫力が低い(20kPa)蓄電池Aは、100サイクルと非常に早く容量が低下した。解体したところ、正極活物質が集電体から剥離していたので、圧迫力が低いために、サイクル中に集電体と活物質との界面の抵抗および蓄電池の内部抵抗が高くなって早期に容量が低下したものと思われる。
【0037】
また、400kPaと最も高圧迫にして作製した蓄電池Eは、300サイクルで容量が低下した。解体した結果、活物質がガラスマットの中に侵入し、短絡が起こっていた。圧迫が強すぎるために、活物質のPbO粒子あるいはPb粒子がセパレータの小さな孔の中にまで侵入していったものと思われる。
【0038】
以上の結果から、鉛集電体表面にTa−TiO複合酸化物薄膜層を形成し、その上に活物質を塗布した正極板は、従来のTa−TiO複合酸化物を被覆していない正極板に比べ集電体と活物質との密着性が良くないため圧迫力を高くする必要があること、そしてその圧迫力も高すぎると短絡が起こってしまうため、圧迫力は40〜200kPaに制限する必要があることがわかった。
【0039】
本実施例では、活物質を集電体に塗布した正極板を使用したが、あらかじめ別途作製した活物質のペレットを準備しておき、集電体に所定の圧力で当接しても、同じで結果が得られる。
【0040】
また、本実施例では、Ta−TiO複合酸化物を耐食性導電材に用いたが、実施例1で示したTiの場合も活物質との密着が悪く、必要な圧迫力はTa−TiO複合酸化物の場合と同じであった。
【0041】
本実施例では図5に示す2Vの蓄電池を製作したが、本発明の構造では、2Vの蓄電池を積層して高い電圧あるいは高容量のモジュール電池を作製することは容易である。図7は高電圧モジュールの断面図、図8は高容量のモジュールの断面図をそれぞれ示す。
【0042】
図7において、構成部材は図5と同じ番号を付記する。
【0043】
図8において、9は正極端子、10は負極端子をそれぞれ示す。他の構成部材は図5と同じ番号を付記する。
【0044】
図7および図8に示すように従来の鉛蓄電池で高電圧化の際に必要であった極板群上部での鉛あるいは鉛合金同士の溶接、もしくは蓄電池外部でリード線等による結線の手間が必要ない構造の蓄電池を容易に得ることができる。
【0045】
また、本発明の耐食性導電材層を正極集電体表面に形成するという技術を使用すれば、基本的に集電体の腐食がないために、バイポーラ電池の実現も可能となる。図9は、バイポーラ電池の構造断面図を示すもので、11はバイポーラ集電体を示す。他の構成部材は図5と同じ番号を付記する。
【0046】
図9に示すように1枚の集電体の両面に正極および負極の活物質を塗布し、この極板をセパレータを介して多数枚積層することにより高電圧の蓄電池が容易に作製できる。このような1枚の極板で正極・負極活物質を有する極板を用いた蓄電池をバイポーラ電池と呼ぶ。本発明の蓄電池は集電体の腐食がほとんどないことからバイポーラ電池を作製するのに適しており、非常に安価なモジュール蓄電池が供給できる。
〔実施例3〕
これまで発明者が実験してきた結果、集電体表面に形成したTa−TiO複合酸化物層は、1.0V以下の電圧になると、硫酸中に溶出することがわかった。鉛蓄電池製造中にその電位になるのは極板の化成初期である。鉛蓄電池の極板は希硫酸注液後0V〜0.5Vの非常に低い電圧を示す。
【0047】
本発明では、硫酸注入後、直ちに蓄電池の電圧を1.0V以上にすることにより、集電体表面のTa−TiO複合酸化物の溶出を抑制できた。
【0048】
一方、高い電圧で化成するとTa−TiO複合酸化物の表面で化成中にガス発生が起こり、活物質と集電体との密着性が失われ、電池の内部抵抗が高くなる問題がある。本発明では、化成開始後少なくとも1時間は、電圧を2V以下に制限することにより、Ta−TiO複合酸化物と活物質との密着性を維持できることがわかった。以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。
【0049】
まず、スパッタリング法により厚さ0.5mmの純鉛シートの表面にTa−TiO複合酸化物を種々の厚さに形成した後、通常の鉛蓄電池用活物質を塗布して正極板を作製した。この極板を通常の鉛蓄電池用負極板および制御弁式鉛蓄電池用の微細ガラス繊維セパレータと組み合わせて、容量が約0.25Ahの蓄電池を作製した。比較のために、鉛シート表面にTa−TiO複合酸化物層を形成していない正極板を用いた従来型鉛蓄電池も作製し、試験に供した。
【0050】
これらの蓄電池を2ステップ法により化成した。第1ステップ化成において、電解液注入後開始までの時間、化成時の電圧および時間を種々変えた。第2ステップの化成は全て、0.2CA電流で正極活物質理論容量の350%に達するまで行った。
【0051】
Ta−TiO複合酸化物層の厚さおよび化成条件の内容を表2に示す。
【0052】
【表2】
Figure 2004119061
【0053】
Ta−TiO複合酸化物層の厚さが10ミクロンの蓄電池について、注液後直ちに第1ステップ化成を開始し、その際、化成電圧および化成時間を表2に示すように変えた。化成後、これら蓄電池の正極板中のPbO量を測定した。さらに、これらの蓄電池について0.05CA電流で120時間アノード酸化試験を行い、試験後の腐食量を測定した。その結果を図10および図11にそれぞれ示す。
【0054】
図10に示すように、第1ステップ化成の電圧を2V以下にした場合にPbO量が多かった。2Vを超えるとPbO量が少なかった。これは化成初期の電圧が高すぎると、集電体表面のTa−TiO複合酸化物と活物質との界面でガス発生が激しいため化成効率が低下したためと思われる。また、この第1ステップ化成の時間は、1時間以上場合にPbO量が多かった。
【0055】
図11に示すアノード酸化試験後の腐食層の厚さの測定結果から、第1ステップ化成の電圧を1Vよりも低くすると、Ta−TiO複合酸化物層の溶解が起こるためか、腐食層の厚さがTa−TiO複合酸化物層を集電体表面に形成させていない従来型鉛蓄電池の場合と変わらなかった。1V以上の電圧で化成すればほとんど腐食は起こっていなかった。
【0056】
以上の結果より、第1ステップ化成の電圧は1V以上にすべきこと、さらにPbO量を向上させるには電圧を2V以下にした化成を1時間以上すべきであることがわかった。
【0057】
次に、第1ステップ化成を1V×5hに固定し、Ta−TiO複合酸化物薄膜層の厚さおよび注液から化成開始までの時間を表2に示すように変えたときのアノード酸化の腐食に及ぼす影響について調べた。その結果を図12に示す。
【0058】
図12に示すように、Ta−TiO複合酸化物層を厚くして、注液後化成開始までの時間を短くしたものは、酸化試験において腐食はほとんど起こっていなかった。一方、Ta−TiO複合酸化物層が薄い場合や注液後化成開始までの時間が長い場合には、酸化試験後の腐食量が多くなった。
【0059】
腐食量が少なくなる条件を明らかにするために、腐食の少ない限界の化成開始時間とTa−TiO複合酸化物薄膜の厚さとの関係を図13にプロットし直した。この図から、化成中にTa−TiO複合酸化物薄膜の溶解を抑制して耐食性能を向上させるには、Ta−TiO複合酸化物の薄膜層厚さをA(ミクロン)とし、電解液を注液後、化成開始までの時間をT(分)とした時に、以下の式にしたがって化成すればよいことがわかった。
【0060】
T<19.2LOG10
【効果】
以上説明したように、鉛あるいは鉛合金もしくは他の金属からなる集電体表面に耐食性導電材層を形成した正極板を用いた鉛蓄電池においては、集電体の導電性に問題があったり、集電体と活物質との密着性が悪く電気が取り出せなくなったりする等の問題点を抱えていたが、本発明によれば、そのような問題点を解決し、耐食性に優れた軽くて薄い鉛蓄電池用正極集電体が得られ、そのことによって長寿命でエネルギー密度が高く、しかも信頼性の高い鉛蓄電池を安価で提供できその工業的な価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による正極集電体の実施例の構造を示す要部模式断面図
【図2】アノード酸化試験中の端子電圧の推移を示す特性図
【図3】アノード酸化試験後の鉛集電体の腐食量を示す特性図
【図4】放電特性を示す図
【図5】耐食性導電材層を形成した正極板を用いた鉛蓄電池の構造の一例を示す模式断面図
【図6】サイクル寿命試験中の放電容量の推移を示す特性図
【図7】耐食性導電材層を形成した正極板を用いた鉛蓄電池の高電圧化の一例を示す模式断面図
【図8】耐食性導電材層を形成した正極板を用いた鉛蓄電池の高容量化の一例を示す模式断面図
【図9】耐食性導電材層を形成した正極板によるバイポーラ鉛蓄電池の構造を示す模式断面図
【図10】第1ステップ化成時の電圧および化成時間と化成後のPbO量との関係を示す特性図
【図11】第1ステップ化成時の電圧および化成時間とアノード酸化試験後の腐食層厚さとの関係を示す特性図
【図12】注液後、化成開始までの時間およびTa−TiO複合酸化物の薄膜厚さと腐食層厚さとの関係を示す特性図
【図13】Ta−TiO薄膜層の溶解が鉛蓄電池の性能に影響しない限界厚さと化成開始までの時間との関係を示す特性図
【符号の説明】
1 正極集電体
2 耐食性導電材層
3 正極活物質
4 負極集電体
5 負極活物質
6 セパレータ
7 排気孔
8 絶縁枠
9 正極端子
10 負極端子
11 バイポーラ集電体

Claims (1)

  1. 正極集電体表面に耐食性導電材層を形成した正極板を備えた鉛蓄電池において、
    前記耐食性導電材がTa−TiO複合酸化物もしくはTiであって、前記正極板に40〜200kPaの圧迫力を加えたことを特徴とする鉛蓄電池。
JP2002277681A 2002-09-24 2002-09-24 鉛蓄電池用正極板及び鉛蓄電池 Expired - Fee Related JP4320536B2 (ja)

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