JP2004118112A - 光ケーブル補強用金属線 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造性を損なうことなく樹脂被覆と高い密着性を得ることができる光ファイバ補強用金属線を提供する。
【解決手段】表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、
前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める多数の凹部を有する。金属線表面に形成する凹部の具体例としては、▲1▼圧印11(インデント)を形成する、▲2▼メッキ層を有する金属線において、メッキ層に多数のクラックを形成する、▲3▼金属線表面に粗面化処理を施す、ことが挙げられる。
【選択図】 図1
【解決手段】表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、
前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める多数の凹部を有する。金属線表面に形成する凹部の具体例としては、▲1▼圧印11(インデント)を形成する、▲2▼メッキ層を有する金属線において、メッキ層に多数のクラックを形成する、▲3▼金属線表面に粗面化処理を施す、ことが挙げられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ケーブル補強用金属線に関するものである。特に、被覆樹脂との密着性を改善できる光ケーブル補強用金属線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ケーブル補強用として各種の金属線又は撚り線が用いられている。特に、支線等の比較的細い径の光ケーブルには、主として直径0.3〜3.0mm程度の鉄線、鋼線、亜鉛めっき鋼線、亜鉛アルミめっき鋼線などが使用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
これらの金属線100は、例えば図7に示すように、光ファイバ110にほぼ平行に配置された状態で、押し出し法により光ファイバ110と共に樹脂120で被覆されてケーブルに加工されている。
【0004】
一方、ケーブルによっては、樹脂の被覆厚みが薄い場合や、配線の施工性から引き裂き性の良い、即ち強度の弱い樹脂を選択する場合がある。このような場合、特に、金属線表面と被覆樹脂との密着性(接着性)が重要な特性となる。この密着性を確保するために、例えば図8に示すように、金属線の表面に接着剤または接着性の良い樹脂を一次被覆した後、光ケーブル加工に供している。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−10384号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の光ケーブル補強用金属線では、金属線と被覆される樹脂との密着性が低いという問題があった。
【0007】
通常の伸線加工された金属線の表面は、ダイス引き抜き加工のため平坦度が高く、樹脂被覆と密着するのに必要な摩擦抵抗を得ることが難しい。また、メッキ層を具える金属線の表面も平坦度が高く、十分な摩擦抵抗を確保できない。
【0008】
一方、金属線と樹脂被覆との密着性を確保するために、接着剤又は接着性の良い樹脂の一次被覆加工を行うのでは製造工程が煩雑になり面倒である。
【0009】
従って、本発明の主目的は、製造性を損なうことなく樹脂被覆と高い密着性を得ることができる光ファイバ補強用金属線を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属線の表面に凹凸を形成することで上記の目的を達成する。
【0011】
すなわち、本発明光ケーブル補強用金属線の第1の特徴は、表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める多数の凹部を具えることにある。
【0012】
金属線表面に多数の凹部を形成することで、金属線表面に凹凸を形成し、樹脂被覆との摩擦抵抗を大きくして密着性を高めることができる。
【0013】
金属線表面に形成する凹部の具体例としては、▲1▼圧印(インデント)を形成する、▲2▼メッキ層を有する金属線において、メッキ層に多数のクラックを形成する、▲3▼金属線表面に粗面化処理を施す、ことが挙げられる。
【0014】
ここで、圧印は、樹脂被覆との高い密着力が確保でき、かつ金属線の機械的強度を損なうことがないものであれば、種々の形状、深さ、数のものが適用できる。また、圧印の配列は、金属線の長手方向や周方向に規則的あるいは不規則的に設けることが挙げられる。このような圧印は、金属線を部分的に圧縮して塑性変形させることで形成することができる。この圧印の形成は、鉄線や鋼線などの芯材に直接行っても良いし、芯材表面にメッキ層を形成した金属線に行っても良い。
【0015】
メッキ層に多数のクラックを形成した場合も、このクラックに樹脂被覆が食い込んでアンカー効果が発揮されて、樹脂被覆との密着性を高めることができる。メッキ層に多数のクラックを形成するには、芯材上にメッキ層を形成した金属線を得た後、この金属線に減面率50%以上の伸線加工を施すことが好ましい。特に、芯材よりも展延性に乏しいメッキ層を形成して上記の伸線加工を施せば、芯材とメッキ層の展延性の相違からメッキ層に多数のクラックを形成することができる。より具体的には、鉄線または鋼線に溶融亜鉛メッキ処理を施してFeとZnの合金メッキ層を形成した金属線を用いることが好適である。
【0016】
金属線に粗面化処理を施すことによっても、金属線表面の摩擦抵抗を高め、樹脂被覆との密着性を向上させることができる。粗面化処理の具体例としては、ショットピーニング、ショットブラスト、ホーニング加工などが挙げられる。いずれによっても金属線表面に多数の凹凸を形成することができる。この粗面化処理を施す金属線も、芯材のみからなるものでも良いし、芯材表面にメッキ層を形成したものでも良い。
【0017】
また、本発明光ケーブル補強用金属線の第2の特徴は、表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、前記金属線は、前記樹脂被覆との密着性を高めるよう波形に成形されていることにある。
【0018】
金属線自体を波形に成形することによっても長手方向の引き抜きに対する摩擦抵抗を大きくし、樹脂被覆との密着性を高めることができる。
【0019】
波形の周期や振幅は、樹脂被覆との密着性を高めることができる適宜な値を選択すれば良い。例えば、周期は線径の4〜10倍程度、振幅は線径の1/2〜3/2倍程度が好適である。
【0020】
さらに、上述した金属線表面への凹部の形成と、金属線自体の波形成形とを組み合わせても良い。
【0021】
なお、上述した本発明のいずれの構成においても、金属線を得る工程には、伸線加工、伸線加工後メッキ加工またはメッキ加工後伸線加工のいずれを経たものでも構わない。さらに、これらの工程に伸直加工や200〜500℃の焼鈍処理を組み合わせて得た金属線も利用できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1:金属線表面への圧印加工)
1.2mmのZnメッキ鋼線を用い、2面または4面の圧印加工を施して本発明光ケーブル補強用金属線を得た。Znメッキは亜鉛溶融メッキにより行った。2面の圧印加工を施したものを図1に、4面の圧印加工を施したものを図2に示す。図1に示すように、2面の圧印加工を施したZnメッキ鋼線10は、その上下面に交互に圧印11を形成している。また、図2に示すように、4面の圧印を施したZnメッキ鋼線10は、その上下面のみならず、左右面にも交互に圧印11を形成している。
【0023】
これらの金属線は、図3に示す製造ラインにより、圧印加工を施される。サプライ20から線材30を供給して湿式伸線機40に導入し、伸直ロール50を経て高周波加熱炉60に導入する。この加熱炉60では、ホットストレッチを行ってさらに伸直性を付加する。その後、金属線を局部的に押圧して圧印を形成する。
【0024】
圧印の大きさは長さL:0.3mm、幅W:0.17mm、隣接する圧印との間隔D:2.0mm、深さ0.05〜0.15mmとした(図1)。そして、得られた金属線に熱収縮チューブ(住友電気工業株式会社製スミチューブD)を被覆して、この金属線を引き抜く際の最大荷重を測定した。熱収縮チューブでの金属線の被覆は、180℃×15分の加熱を行った後、冷却することにより行った。最大荷重の測定は、金属線を覆う熱収縮チューブの下端に、金属線に貫通されるダイスを設置し、ダイスを固定して金属線を下方に引き抜いて、熱収縮チューブが抜ける際の荷重を調べた。そして、圧印の全くない金属線の引き抜き力を100としたときの指数により各最大荷重を表した。
【0025】
その結果を図4のグラフに示す。このグラフから明らかなように、圧印の形成面数が2面のものよりも4面のものの方が引き抜き力指数は大きいことがわかる。また、圧印の深さが深いほど引き抜き力指数が大きいことがわかる。特に、圧印の深さが0.1mm以上であれば圧印のないものに比べて1.5以上の引き抜き力指数が得られることがわかる。
【0026】
(実施例2:メッキ層へのクラック形成)
次に、実施例1で用いたZnメッキ鋼線に断面減少率の異なる伸線加工を施した。断面減少率50%の伸線加工を施した金属線表面を拡大して観察したところ、図5に示すように、メッキ層12に面積率で約35%を占めるクラック13が形成されていることが確認された。また、断面減少率50%の伸線加工を行ったものはクラックの平均深さが0.01mm、断面減少率80%の伸線加工を行ったものはクラックの平均深さが0.02mmであった。
【0027】
得られた金属線に、実施例1と同様の引き抜き試験を行い、最大荷重を指数で表した。その結果を図6のグラフに示す。このグラフから明らかなように、クラックの深さが0.02mmになれば、全くクラックのないZnメッキ鋼線に比べて15%程度引き抜き力を向上できることがわかる。
【0028】
(実施例3:金属線へのショットピーニング)
1.2mmの金属線に対してショットピーニングを施し、表面を粗面化した。ショット材は鋼球、ショット材の大きさは0.20mm、ショット時間は15秒である。粗面化した金属線と、ショットピーニングを施していない金属線とを用いて、実施例1と同様の引き抜き試験を行い、引き抜き力指数の評価を行った。
【0029】
その結果、ショットピーニングによる粗面化でも、15%程度引き抜き力指数が向上されていることがわかった。
【0030】
(実施例4:金属線の波形成形)
次に、直径1.2mmの鋼線に波付け加工を施した。この波付け加工における周期は6mm、振幅は0.5mmである。そして、この波付け鋼線と、波付け加工を施していない鋼線とを用いて実施例1と同様の引き抜き試験を行い、引き抜き力指数の評価を行った。
【0031】
その結果、金属線自体を波型に加工することでも、20%程度引き抜き力指数が向上されていることがわかった。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明金属線によれば、金属線の表面に凹部を形成したり、金属線自体を波付け加工することにより、樹脂との密着性(接着性)を安価にて向上させることができる。従って、従来行っていたように、金属線の表面に接着剤または接着性の良い樹脂を一次被覆する工程を省略でき、光ケーブル製造工程における生産リードタイムの大幅な短縮と大幅なコスト改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は2面に圧印を形成した本発明金属線の正面図、(B)は同平面図である。
【図2】4面に圧印を形成した本発明金属線の正面図である。
【図3】本発明金属線の製造ラインを示す説明図である。
【図4】圧印の深さと引き抜き力指数との関係を示すグラフである。
【図5】メッキ層に多数のクラックを有する本発明金属線の模式図である。
【図6】メッキ層におけるクラックの深さと引き抜き力指数との関係を示すグラフである。
【図7】光ケーブルの概略断面図である。
【図8】光ケーブルの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10 メッキ鋼線
11 圧印
12 メッキ層
13 クラック
20 サプライ
30 線材
40 湿式伸線機
50 伸直ロール
60 高周波加熱炉
100 金属線
110 光ファイバ
120 樹脂
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ケーブル補強用金属線に関するものである。特に、被覆樹脂との密着性を改善できる光ケーブル補強用金属線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ケーブル補強用として各種の金属線又は撚り線が用いられている。特に、支線等の比較的細い径の光ケーブルには、主として直径0.3〜3.0mm程度の鉄線、鋼線、亜鉛めっき鋼線、亜鉛アルミめっき鋼線などが使用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
これらの金属線100は、例えば図7に示すように、光ファイバ110にほぼ平行に配置された状態で、押し出し法により光ファイバ110と共に樹脂120で被覆されてケーブルに加工されている。
【0004】
一方、ケーブルによっては、樹脂の被覆厚みが薄い場合や、配線の施工性から引き裂き性の良い、即ち強度の弱い樹脂を選択する場合がある。このような場合、特に、金属線表面と被覆樹脂との密着性(接着性)が重要な特性となる。この密着性を確保するために、例えば図8に示すように、金属線の表面に接着剤または接着性の良い樹脂を一次被覆した後、光ケーブル加工に供している。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−10384号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の光ケーブル補強用金属線では、金属線と被覆される樹脂との密着性が低いという問題があった。
【0007】
通常の伸線加工された金属線の表面は、ダイス引き抜き加工のため平坦度が高く、樹脂被覆と密着するのに必要な摩擦抵抗を得ることが難しい。また、メッキ層を具える金属線の表面も平坦度が高く、十分な摩擦抵抗を確保できない。
【0008】
一方、金属線と樹脂被覆との密着性を確保するために、接着剤又は接着性の良い樹脂の一次被覆加工を行うのでは製造工程が煩雑になり面倒である。
【0009】
従って、本発明の主目的は、製造性を損なうことなく樹脂被覆と高い密着性を得ることができる光ファイバ補強用金属線を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属線の表面に凹凸を形成することで上記の目的を達成する。
【0011】
すなわち、本発明光ケーブル補強用金属線の第1の特徴は、表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める多数の凹部を具えることにある。
【0012】
金属線表面に多数の凹部を形成することで、金属線表面に凹凸を形成し、樹脂被覆との摩擦抵抗を大きくして密着性を高めることができる。
【0013】
金属線表面に形成する凹部の具体例としては、▲1▼圧印(インデント)を形成する、▲2▼メッキ層を有する金属線において、メッキ層に多数のクラックを形成する、▲3▼金属線表面に粗面化処理を施す、ことが挙げられる。
【0014】
ここで、圧印は、樹脂被覆との高い密着力が確保でき、かつ金属線の機械的強度を損なうことがないものであれば、種々の形状、深さ、数のものが適用できる。また、圧印の配列は、金属線の長手方向や周方向に規則的あるいは不規則的に設けることが挙げられる。このような圧印は、金属線を部分的に圧縮して塑性変形させることで形成することができる。この圧印の形成は、鉄線や鋼線などの芯材に直接行っても良いし、芯材表面にメッキ層を形成した金属線に行っても良い。
【0015】
メッキ層に多数のクラックを形成した場合も、このクラックに樹脂被覆が食い込んでアンカー効果が発揮されて、樹脂被覆との密着性を高めることができる。メッキ層に多数のクラックを形成するには、芯材上にメッキ層を形成した金属線を得た後、この金属線に減面率50%以上の伸線加工を施すことが好ましい。特に、芯材よりも展延性に乏しいメッキ層を形成して上記の伸線加工を施せば、芯材とメッキ層の展延性の相違からメッキ層に多数のクラックを形成することができる。より具体的には、鉄線または鋼線に溶融亜鉛メッキ処理を施してFeとZnの合金メッキ層を形成した金属線を用いることが好適である。
【0016】
金属線に粗面化処理を施すことによっても、金属線表面の摩擦抵抗を高め、樹脂被覆との密着性を向上させることができる。粗面化処理の具体例としては、ショットピーニング、ショットブラスト、ホーニング加工などが挙げられる。いずれによっても金属線表面に多数の凹凸を形成することができる。この粗面化処理を施す金属線も、芯材のみからなるものでも良いし、芯材表面にメッキ層を形成したものでも良い。
【0017】
また、本発明光ケーブル補強用金属線の第2の特徴は、表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、前記金属線は、前記樹脂被覆との密着性を高めるよう波形に成形されていることにある。
【0018】
金属線自体を波形に成形することによっても長手方向の引き抜きに対する摩擦抵抗を大きくし、樹脂被覆との密着性を高めることができる。
【0019】
波形の周期や振幅は、樹脂被覆との密着性を高めることができる適宜な値を選択すれば良い。例えば、周期は線径の4〜10倍程度、振幅は線径の1/2〜3/2倍程度が好適である。
【0020】
さらに、上述した金属線表面への凹部の形成と、金属線自体の波形成形とを組み合わせても良い。
【0021】
なお、上述した本発明のいずれの構成においても、金属線を得る工程には、伸線加工、伸線加工後メッキ加工またはメッキ加工後伸線加工のいずれを経たものでも構わない。さらに、これらの工程に伸直加工や200〜500℃の焼鈍処理を組み合わせて得た金属線も利用できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1:金属線表面への圧印加工)
1.2mmのZnメッキ鋼線を用い、2面または4面の圧印加工を施して本発明光ケーブル補強用金属線を得た。Znメッキは亜鉛溶融メッキにより行った。2面の圧印加工を施したものを図1に、4面の圧印加工を施したものを図2に示す。図1に示すように、2面の圧印加工を施したZnメッキ鋼線10は、その上下面に交互に圧印11を形成している。また、図2に示すように、4面の圧印を施したZnメッキ鋼線10は、その上下面のみならず、左右面にも交互に圧印11を形成している。
【0023】
これらの金属線は、図3に示す製造ラインにより、圧印加工を施される。サプライ20から線材30を供給して湿式伸線機40に導入し、伸直ロール50を経て高周波加熱炉60に導入する。この加熱炉60では、ホットストレッチを行ってさらに伸直性を付加する。その後、金属線を局部的に押圧して圧印を形成する。
【0024】
圧印の大きさは長さL:0.3mm、幅W:0.17mm、隣接する圧印との間隔D:2.0mm、深さ0.05〜0.15mmとした(図1)。そして、得られた金属線に熱収縮チューブ(住友電気工業株式会社製スミチューブD)を被覆して、この金属線を引き抜く際の最大荷重を測定した。熱収縮チューブでの金属線の被覆は、180℃×15分の加熱を行った後、冷却することにより行った。最大荷重の測定は、金属線を覆う熱収縮チューブの下端に、金属線に貫通されるダイスを設置し、ダイスを固定して金属線を下方に引き抜いて、熱収縮チューブが抜ける際の荷重を調べた。そして、圧印の全くない金属線の引き抜き力を100としたときの指数により各最大荷重を表した。
【0025】
その結果を図4のグラフに示す。このグラフから明らかなように、圧印の形成面数が2面のものよりも4面のものの方が引き抜き力指数は大きいことがわかる。また、圧印の深さが深いほど引き抜き力指数が大きいことがわかる。特に、圧印の深さが0.1mm以上であれば圧印のないものに比べて1.5以上の引き抜き力指数が得られることがわかる。
【0026】
(実施例2:メッキ層へのクラック形成)
次に、実施例1で用いたZnメッキ鋼線に断面減少率の異なる伸線加工を施した。断面減少率50%の伸線加工を施した金属線表面を拡大して観察したところ、図5に示すように、メッキ層12に面積率で約35%を占めるクラック13が形成されていることが確認された。また、断面減少率50%の伸線加工を行ったものはクラックの平均深さが0.01mm、断面減少率80%の伸線加工を行ったものはクラックの平均深さが0.02mmであった。
【0027】
得られた金属線に、実施例1と同様の引き抜き試験を行い、最大荷重を指数で表した。その結果を図6のグラフに示す。このグラフから明らかなように、クラックの深さが0.02mmになれば、全くクラックのないZnメッキ鋼線に比べて15%程度引き抜き力を向上できることがわかる。
【0028】
(実施例3:金属線へのショットピーニング)
1.2mmの金属線に対してショットピーニングを施し、表面を粗面化した。ショット材は鋼球、ショット材の大きさは0.20mm、ショット時間は15秒である。粗面化した金属線と、ショットピーニングを施していない金属線とを用いて、実施例1と同様の引き抜き試験を行い、引き抜き力指数の評価を行った。
【0029】
その結果、ショットピーニングによる粗面化でも、15%程度引き抜き力指数が向上されていることがわかった。
【0030】
(実施例4:金属線の波形成形)
次に、直径1.2mmの鋼線に波付け加工を施した。この波付け加工における周期は6mm、振幅は0.5mmである。そして、この波付け鋼線と、波付け加工を施していない鋼線とを用いて実施例1と同様の引き抜き試験を行い、引き抜き力指数の評価を行った。
【0031】
その結果、金属線自体を波型に加工することでも、20%程度引き抜き力指数が向上されていることがわかった。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明金属線によれば、金属線の表面に凹部を形成したり、金属線自体を波付け加工することにより、樹脂との密着性(接着性)を安価にて向上させることができる。従って、従来行っていたように、金属線の表面に接着剤または接着性の良い樹脂を一次被覆する工程を省略でき、光ケーブル製造工程における生産リードタイムの大幅な短縮と大幅なコスト改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は2面に圧印を形成した本発明金属線の正面図、(B)は同平面図である。
【図2】4面に圧印を形成した本発明金属線の正面図である。
【図3】本発明金属線の製造ラインを示す説明図である。
【図4】圧印の深さと引き抜き力指数との関係を示すグラフである。
【図5】メッキ層に多数のクラックを有する本発明金属線の模式図である。
【図6】メッキ層におけるクラックの深さと引き抜き力指数との関係を示すグラフである。
【図7】光ケーブルの概略断面図である。
【図8】光ケーブルの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10 メッキ鋼線
11 圧印
12 メッキ層
13 クラック
20 サプライ
30 線材
40 湿式伸線機
50 伸直ロール
60 高周波加熱炉
100 金属線
110 光ファイバ
120 樹脂
Claims (6)
- 表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、
前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める多数の凹部を有することを特徴とする光ケーブル補強用金属線。 - 前記多数の凹部は、金属線の表面に形成された圧印であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル補強用金属線。
- 前記金属線は、芯材と、芯材上に形成されたメッキ層とを具え、
前記多数の凹部は、前記メッキ層に形成されたクラックであることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル補強用金属線。 - 前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める粗面化処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル補強用金属線。
- 表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、
前記金属線は、前記樹脂被覆との密着性を高めるよう波形に成形されていることを特徴とする光ケーブル補強用金属線。 - 金属線の表面に樹脂被覆が施される光ケーブル補強用金属線であって、次の構成を複数組み合わせてなることを特徴とする光ケーブル補強用金属線。
A:前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める多数の圧印を形成する。
B:前記金属線はメッキ層を具え、このメッキ層に前記樹脂被覆との密着性を高める多数のクラックを有する。
C:前記金属線の表面に前記樹脂被覆との密着性を高める粗面化処理が施されている。
D:前記金属線は、前記樹脂被覆との密着性を高めるよう波形に整形されている。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002284394A JP2004118112A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 光ケーブル補強用金属線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002284394A JP2004118112A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 光ケーブル補強用金属線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004118112A true JP2004118112A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32277972
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002284394A Pending JP2004118112A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 光ケーブル補強用金属線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004118112A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007179983A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Sumitomo Denko Steel Wire Kk | 被覆鋼線の製造方法 |
JP2008197486A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Ube Nitto Kasei Co Ltd | 光ファイバケーブル用スペーサの製造方法 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002284394A patent/JP2004118112A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007179983A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Sumitomo Denko Steel Wire Kk | 被覆鋼線の製造方法 |
JP2008197486A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Ube Nitto Kasei Co Ltd | 光ファイバケーブル用スペーサの製造方法 |
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