JP2004117628A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電源投入時からある一定時間までにスタンバイ温調状態からプリントスタートさせた時の定着性を確保しつつもオフセットに対するマージンを犠牲にすることのない定着装置を提供する。
【解決手段】装置の電源投入後、プリント指令を待つスタンバイ状態に入ってからの経過時間に応じてスタンバイ状態の設定温度を、段階的に下げる。具体的には、通電開始後にサーミスタ13の検知温度が所定の温度に達したとき(t11)、定着ローラ10と加圧ローラ11を回転開始し、第2の温度に達したとき回転を停止し(t12)、続くスタンバイ状態において、第1の温度(160°C)での温調状態に入り、所定の時間経過後(t14)に第1の温度より低い第2の温度(150°C)での温調状態に入る。
【選択図】 図5
【解決手段】装置の電源投入後、プリント指令を待つスタンバイ状態に入ってからの経過時間に応じてスタンバイ状態の設定温度を、段階的に下げる。具体的には、通電開始後にサーミスタ13の検知温度が所定の温度に達したとき(t11)、定着ローラ10と加圧ローラ11を回転開始し、第2の温度に達したとき回転を停止し(t12)、続くスタンバイ状態において、第1の温度(160°C)での温調状態に入り、所定の時間経過後(t14)に第1の温度より低い第2の温度(150°C)での温調状態に入る。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録用紙に原稿又は画像情報に応じた画像を記録するプリンタや複写機等の画像形成装置、およびこれに用いられる定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置の定着装置において、本体の電源投入時やジャム処理後復旧時の立ち上げ時間短縮のために薄肉の定着ローラを用いた定着装置が知られている。また、定着装置においては定着ローラ表面に温度検知手段としてのサーミスタが当接されており、その検知温度に応じて定着ローラ内部に配設された定着ヒータヘの通電を制御している。
【0003】
定着ローラの温調(温度調整)制御は、設計期間短縮および設計コスト削減の為、制御の簡略化および制御プログラムのメモリ容量を考慮して、プリント温調とスタンバイ温調の設定温度を同一にしてシーケンスの簡略化が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スタンバイ温調が長時間に及ぶ場合、用紙に定着せずにローラ上に残ってしまった微少な残留トナーについては、定着ローラと加圧ローラの接触面で形成されるニップ内においてトナーに必要以上の熱量が加わり、溶融したトナーが定着ローラ側に付着して定着ローラを汚し、悪化すると記録用紙の印字面側にいわゆるオフセットを誘発していた。
【0005】
この対策として定着ローラの離型性能の向上や定着ローラ上にバイアスを印加させてトナーを付着させないような電位制御、またはクリーニング機構を設けるなどの対策があるが、近年は低コスト化設計の流れが進み、低コスト材料を使用し、定着バイアスレス、定着クリーニングレス方式を採用していることが多い。
【0006】
頻繁にプリントが行われる場合であれば、ローラ上の残留トナーは、排出される記録用紙上に目視では分らないレベルで吐き出され、結果として排紙される記録用紙がローラのクリーニング機能も兼ねる事になる。しかし、特に低速機プリンタなどは頻繁にプリントされることは稀であるため、このような効果は期待できない。
【0007】
この汚れを回避するためにスタンバイ温調温度を低くした制御シーケンスに設定する事が有効である。しかし、装置の電源投入による通電開始後、プリント指令を待つウェイト状態が解除された時点からある特定の経過時間までの間にプリント動作が開始されると、加圧ローラ温度が低いことに起因して、定着性が確保できない場合があった。
【0008】
逆にウェイト状態解除からある経過時間までの定着性を確保するために、スタンバイ温調温度を高くしてしまうと、本来解決しようとする課題であるオフセットヘのマージンが小さくなり、オフセットが発生する可能性が大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、電源投入時からある一定時間までにスタンバイ温調状態からプリントスタートさせた時の定着性を確保しつつもオフセットに対するマージンを犠牲にすることのない定着装置およびこの定着装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による定着装置は、通電により発熱するヒータと、このヒータにより加熱される被加熱部材と、この被加熱部材の記録用紙通過領域の温度を検知する温度検知素子と、この温度検知素子の検知温度が設定温度を維持するようにヒータヘの通電を制御する通電制御手段とを備え、この通電制御手段は、前記ヒータヘの通電開始直後、所定の温度に達するまでにプリント指令を受けない場合、プリント時の設定温度に達する前にプリント指令を待つスタンバイ状態に入り、その後の経過時間に応じてスタンバイ状態の設定温度を段階的に下げることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記スタンバイ状態の設定温度は、低い第1の温度と、この第1の温度より低い第2の温度である。
【0012】
前記被加熱部材は、例えば、定着ローラからなり、この定着ローラは加圧ローラと圧接して回転し、通電開始後に前記温度検知素子の検知温度が上昇する過程で両ローラの回転を開始し、プリント指令がなければスタンバイ状態に入り、このスタンバイ状態において、両ローラの回転を停止するとともに、まず前記第1の温度での温調状態に入り、所定の時間経過後に前記第2の温度での温調状態に入る。
【0013】
この構成により、前記加圧ローラの温度が前記両ローラの回転停止後に徐々に低下しても、第1の温度が第2の温度より高く設定されているので、加圧ローラの温度が低下した時点のプリント指令受領時に定着性が劣化することがない。また、加圧ローラの温度が前記所定の時間経過の前に上昇に転じることから、定着ローラの温調温度が第2の温度に低下した後も定着性は損なわれない。しかも、第2の温度はプリント時の温調温度より低いので長時間スタンバイ状態が継続しても定着ローラ汚れが発生せず、これに起因するオフセットが生じない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1に本発明を採用した画像形成装置における定着装置の概略の断面図を示す。この実施の形態における定着ローラ10は外径30mm、肉圧1.0mmの中空形状で芯金の材質はアルミ、表面にフッ素樹脂コートが施されている。加圧ローラ11は、定着ローラ10に圧接して回転するローラであり、本実施の形態では外径25mmで、シリコンゴム層の上にPFAチューブを被っている。PFAは、フッ素系材料の一種であるパーフルオロアルキルオロビニルエーテル重合体の略号であり、特に離型性が優れている。
【0016】
定着ローラ10と加圧ローラ11間は不図示の加圧部材により総加圧力15kgf(約9.8N)で加圧され、記録用紙を挟持搬送可能なニップを形成している。またこれらのローラは駆動装置(図示せず)によって同期的に回転し記録用紙を搬送する。
【0017】
定着ローラ10の中空内部には定着ヒータ12が配置されている。本実施の形態における定着ヒータ12は通電点灯時の消費電力約800Wで定着ローラ(被加熱部材)を加熱する。
【0018】
サーミスタ13は定着ローラ10に当接し、定着ローラ10表面の温度を検知する。この検知温度Tが所定の温度となるように定着ヒータ12への通電を制御する。またサーミスタ13は図2に示すように、本実施の形態の画像形成装置における最大通紙幅L(297mm(A3サイズ))の半分である148.5mm位置(通紙基準位置(中央)C)に配置され、通紙域での温度を検知する。
【0019】
既知の画像形成プロセスにより記録用紙P上に転写されたトナー像14は、搬送装置(図示せず)により定着ローラ10と加圧ローラ11のニップに搬送され、ニップ内で加熱、加圧されることにより定着される。本画像形成装置のプロセススピードは100mm/secであり、A4サイズ20枚/分で画像を形成する。
【0020】
図3に、本実施の形態における定着装置の制御部の構成例を示す。この制御部は、CPU20と、このCPUが実行する後述のような定着温度制御シーケンスのための制御プログラム等を格納したROM21、CPU20の作業領域および一時記憶領域を提供するRAM22からなり、サーミスタ13の検知温度に基づいて定着ヒータ制御部23により定着ヒータ12の通電を制御する。
【0021】
ここで図4に、従来の一定の設定温度によるスタンバイ温調制御を行った場合の定着ローラおよび加圧ローラの中央部の温度推移を示す(41,42)。電源投入によりヒータ通電が開始され、サーミスタ検知温度が100°Cに達した時点t1で両ローラの前多回転を開始し、150°Cに達した時点t2で定着ローラ回転を停止し、その後180°C一定温調に入った場合を示している。両ローラの回転停止により、加圧ローラの温度は徐々に低下していく。この従来制御では、プリント開始時の温調とスタンバイ温調の設定温度が同一であるために、スタンバイ時間がある程度長くなると、定着ローラと加圧ローラに付着した微少なトナーがニップ内で過剰に加熱され、溶融しすぎたトナーが高温オフセットを発生させて定着ローラを汚してしまう。(なお、150°Cに達する時点t2まではウェイト状態であり、この間は、プリント不可であるがプリント予約可能である。)
【0022】
この対策として、定着ローラ汚れ防止のために150°Cでウェイト解除後、プリント信号が入ってこなければ、150°Cでスタンバイ状態に入り、スタンバイ温調を行う場合を考える。これは、図5の破線のグラフ52に相当する。この場合、時点t12でウェイト解除して一定温調に入ってからある経過時間までの間にプリントを開始すると、ピンポイントではあるが定着不良を生じる時間帯が存在する。すなわち、ウェイト解除からの経過時間が短いうちにプリントを開始すれば、時点t11から時点t12までの前多回転時に上昇した加圧ローラ温度がある程度高いので、定着性が確保できるが、徐々に加圧ローラ温度が低下して最低温度S1付近でプリント動作が始まった場合、加圧ローラの蓄熱量が少なく、定着不良が起きてしまう。そのポイントはウェイト解除から約180秒前後であった。この時間帯を過ぎれば加圧ローラの温度は上昇していくので、定着性は確保できる。
【0023】
そこで、本実施の形態では図7に示すように、ウェイト解除から240秒間は160°C(第1の温度)でスタンバイ温調を行い、続いて240秒経過後は150°C(第2の温度)でスタンバイ温調を行う。
【0024】
図6に、本実施の形態における定着温度制御シーケンスを表すフローチャートを示す。この処理を、図5のグラフ51,53を参照しながら説明する。
【0025】
本体休止状態から電源投入により定着ヒータに通電を開始し(S11)、サーミスタ13の検知温度が100°Cに達した時点t11で(S12,Yes)、前多回転を開始する(S13)。これにより、両ローラが接触した状態で回転するので、加圧ローラの温度が急激に上昇していく。サーミスタ13の検知温度が150°Cに達するまでは、プリント不可であるがプリント予約は可能であるウェイト状態とする。150°Cに達した時点t12で(S14,Yes)、ウェイト状態を解除し、定着ローラの回転を停止するとともにタイマを起動する(S15)。
【0026】
時点t12までにプリント指令がなければ(S16,No)、160°C温調に入る(S17)。タイマがタイムアウトしたとき、すなわちウェイト解除から予め定めた時間(本例では240秒)が経過した時点t14で(S18,Yes)、150°C温調に入る(S19)。なお、グラフ53に示すように、ウェイト解除から180秒経過した時点t13まで加圧ローラの温度は徐々に低下するが、最低温度S2に達した後、緩やかに上昇していく。このグラフ53の時点t12以降の軌跡は、対応する定着ローラの温度が高いために、グラフ54より温度が高いことに留意されたい。
【0027】
ウェイト状態においてプリント予約があった場合はウェイト状態解除後このままプリント動作を開始する。プリント中のサーミスタによる温度制御シーケンスはウェイト状態解除後、プリント開始時の設定温度(180°C)を目指しその温度で一定温調を行う。より具体的には、150°Cでウェイト解除後、すぐに前多回転を行うことによって加圧ローラ温度が上昇すると同時に、記録用紙が不図示のカセットから給紙され、不図示の搬送装置を経由して定着ニップまで搬送されるまでに、定着ローラ温度は180°C付近まで到達する。このときの定着ローラの温度の変化は図4のグラフ41と同様となる。
【0028】
ウェイト解除から240秒間までは160°Cで温調を行うため、この時間帯の最悪ポイントである加圧ローラ最低温度S2が前述のように150°Cスタンバイ温調時S1より高い。したがって、このタイミングでプリントを開始しても定着性能には問題はない。また、240秒(t14)以降はスタンバイ温度は150°Cに下がるが、加圧ローラの温度が時点t13から緩やかに上昇するため定着不良は発生しない。しかも、スタンバイ時間が長時間になっても、温調温度(150°C)がプリント時の設定温度(180°C)より低くヒータから定着ローラを介して加圧ローラヘ供給される熱量が少ないので、ニップ内で高温オフセットは発生しない。よって定着ローラ汚れは発生しない。
【0029】
160°C温調期間中(ウェイト解除から240秒まで)にプリント指令があった場合(S16,Yes)、図8のグラフ81に示すように180°C温調に入る(S21)。プリント終了後は(S22,Yes)、150°C温調に戻る(S19)。また、150°C温調中にプリント指令があれば(S20,Yes)、180°C温調に入る(S21)。
【0030】
このように本実施の形態によれば、電源投入後、ウェイト解除してからある経過時間までのタイミングでプリントスタートした時の定着性不良は発生しない。またスタンバイ状態に入ってから時間が経ってからのニップでの定着ローラ汚れも生じない。
【0031】
なお、図9に示すように、スタンバイ時に160°C温調から150°C温調に移行する際に直接移行せずに、少なくとも1段階、中間の温度の温調を経るようにしてもよい。図9は、160°C温調から短時間155°C温調を経て150°C温調へ移行する例を示している。
【0032】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、上述した温度や時間等の具体的な数値はあくまで例示であり、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、電源投入後の定着不良が生じないこと、および、スタンバイ温調が長時間経過した時に発生する定着ローラ汚れが生じないことを両立させた定着装置ひいてはこれを用いた画像形成装置を得ることができる。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を採用した画像形成装置における定着装置の概略の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるサーミスタ当接位置と最大通紙域をあらわす平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における定着装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
【図4】従来の一定の設定温度によるスタンバイ温調制御を行った場合の定着ローラおよび加圧ローラの中央部の温度推移を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態におけるスタンバイ温調時の定着ローラと加圧ローラの温度変化を表したグラフである。
【図6】本発明の実施の形態における定着温度制御シーケンスを表すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態におけるスタンバイ温調の段階的な温度の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における160°C温調期間中にプリント指令があった場合の定着ローラの温度変化を表したグラフである。
【図9】本発明の実施の形態におけるスタンバイ温調時の定着ローラと加圧ローラの他の温度変化を表したグラフである。
【符号の説明】
10…定着ローラ
11…加圧ローラ
12…定着ヒータ
13…サーミスタ
20…CPU
21…ROM
22…RAM
23…定着ヒータ制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録用紙に原稿又は画像情報に応じた画像を記録するプリンタや複写機等の画像形成装置、およびこれに用いられる定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置の定着装置において、本体の電源投入時やジャム処理後復旧時の立ち上げ時間短縮のために薄肉の定着ローラを用いた定着装置が知られている。また、定着装置においては定着ローラ表面に温度検知手段としてのサーミスタが当接されており、その検知温度に応じて定着ローラ内部に配設された定着ヒータヘの通電を制御している。
【0003】
定着ローラの温調(温度調整)制御は、設計期間短縮および設計コスト削減の為、制御の簡略化および制御プログラムのメモリ容量を考慮して、プリント温調とスタンバイ温調の設定温度を同一にしてシーケンスの簡略化が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スタンバイ温調が長時間に及ぶ場合、用紙に定着せずにローラ上に残ってしまった微少な残留トナーについては、定着ローラと加圧ローラの接触面で形成されるニップ内においてトナーに必要以上の熱量が加わり、溶融したトナーが定着ローラ側に付着して定着ローラを汚し、悪化すると記録用紙の印字面側にいわゆるオフセットを誘発していた。
【0005】
この対策として定着ローラの離型性能の向上や定着ローラ上にバイアスを印加させてトナーを付着させないような電位制御、またはクリーニング機構を設けるなどの対策があるが、近年は低コスト化設計の流れが進み、低コスト材料を使用し、定着バイアスレス、定着クリーニングレス方式を採用していることが多い。
【0006】
頻繁にプリントが行われる場合であれば、ローラ上の残留トナーは、排出される記録用紙上に目視では分らないレベルで吐き出され、結果として排紙される記録用紙がローラのクリーニング機能も兼ねる事になる。しかし、特に低速機プリンタなどは頻繁にプリントされることは稀であるため、このような効果は期待できない。
【0007】
この汚れを回避するためにスタンバイ温調温度を低くした制御シーケンスに設定する事が有効である。しかし、装置の電源投入による通電開始後、プリント指令を待つウェイト状態が解除された時点からある特定の経過時間までの間にプリント動作が開始されると、加圧ローラ温度が低いことに起因して、定着性が確保できない場合があった。
【0008】
逆にウェイト状態解除からある経過時間までの定着性を確保するために、スタンバイ温調温度を高くしてしまうと、本来解決しようとする課題であるオフセットヘのマージンが小さくなり、オフセットが発生する可能性が大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、電源投入時からある一定時間までにスタンバイ温調状態からプリントスタートさせた時の定着性を確保しつつもオフセットに対するマージンを犠牲にすることのない定着装置およびこの定着装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による定着装置は、通電により発熱するヒータと、このヒータにより加熱される被加熱部材と、この被加熱部材の記録用紙通過領域の温度を検知する温度検知素子と、この温度検知素子の検知温度が設定温度を維持するようにヒータヘの通電を制御する通電制御手段とを備え、この通電制御手段は、前記ヒータヘの通電開始直後、所定の温度に達するまでにプリント指令を受けない場合、プリント時の設定温度に達する前にプリント指令を待つスタンバイ状態に入り、その後の経過時間に応じてスタンバイ状態の設定温度を段階的に下げることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記スタンバイ状態の設定温度は、低い第1の温度と、この第1の温度より低い第2の温度である。
【0012】
前記被加熱部材は、例えば、定着ローラからなり、この定着ローラは加圧ローラと圧接して回転し、通電開始後に前記温度検知素子の検知温度が上昇する過程で両ローラの回転を開始し、プリント指令がなければスタンバイ状態に入り、このスタンバイ状態において、両ローラの回転を停止するとともに、まず前記第1の温度での温調状態に入り、所定の時間経過後に前記第2の温度での温調状態に入る。
【0013】
この構成により、前記加圧ローラの温度が前記両ローラの回転停止後に徐々に低下しても、第1の温度が第2の温度より高く設定されているので、加圧ローラの温度が低下した時点のプリント指令受領時に定着性が劣化することがない。また、加圧ローラの温度が前記所定の時間経過の前に上昇に転じることから、定着ローラの温調温度が第2の温度に低下した後も定着性は損なわれない。しかも、第2の温度はプリント時の温調温度より低いので長時間スタンバイ状態が継続しても定着ローラ汚れが発生せず、これに起因するオフセットが生じない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1に本発明を採用した画像形成装置における定着装置の概略の断面図を示す。この実施の形態における定着ローラ10は外径30mm、肉圧1.0mmの中空形状で芯金の材質はアルミ、表面にフッ素樹脂コートが施されている。加圧ローラ11は、定着ローラ10に圧接して回転するローラであり、本実施の形態では外径25mmで、シリコンゴム層の上にPFAチューブを被っている。PFAは、フッ素系材料の一種であるパーフルオロアルキルオロビニルエーテル重合体の略号であり、特に離型性が優れている。
【0016】
定着ローラ10と加圧ローラ11間は不図示の加圧部材により総加圧力15kgf(約9.8N)で加圧され、記録用紙を挟持搬送可能なニップを形成している。またこれらのローラは駆動装置(図示せず)によって同期的に回転し記録用紙を搬送する。
【0017】
定着ローラ10の中空内部には定着ヒータ12が配置されている。本実施の形態における定着ヒータ12は通電点灯時の消費電力約800Wで定着ローラ(被加熱部材)を加熱する。
【0018】
サーミスタ13は定着ローラ10に当接し、定着ローラ10表面の温度を検知する。この検知温度Tが所定の温度となるように定着ヒータ12への通電を制御する。またサーミスタ13は図2に示すように、本実施の形態の画像形成装置における最大通紙幅L(297mm(A3サイズ))の半分である148.5mm位置(通紙基準位置(中央)C)に配置され、通紙域での温度を検知する。
【0019】
既知の画像形成プロセスにより記録用紙P上に転写されたトナー像14は、搬送装置(図示せず)により定着ローラ10と加圧ローラ11のニップに搬送され、ニップ内で加熱、加圧されることにより定着される。本画像形成装置のプロセススピードは100mm/secであり、A4サイズ20枚/分で画像を形成する。
【0020】
図3に、本実施の形態における定着装置の制御部の構成例を示す。この制御部は、CPU20と、このCPUが実行する後述のような定着温度制御シーケンスのための制御プログラム等を格納したROM21、CPU20の作業領域および一時記憶領域を提供するRAM22からなり、サーミスタ13の検知温度に基づいて定着ヒータ制御部23により定着ヒータ12の通電を制御する。
【0021】
ここで図4に、従来の一定の設定温度によるスタンバイ温調制御を行った場合の定着ローラおよび加圧ローラの中央部の温度推移を示す(41,42)。電源投入によりヒータ通電が開始され、サーミスタ検知温度が100°Cに達した時点t1で両ローラの前多回転を開始し、150°Cに達した時点t2で定着ローラ回転を停止し、その後180°C一定温調に入った場合を示している。両ローラの回転停止により、加圧ローラの温度は徐々に低下していく。この従来制御では、プリント開始時の温調とスタンバイ温調の設定温度が同一であるために、スタンバイ時間がある程度長くなると、定着ローラと加圧ローラに付着した微少なトナーがニップ内で過剰に加熱され、溶融しすぎたトナーが高温オフセットを発生させて定着ローラを汚してしまう。(なお、150°Cに達する時点t2まではウェイト状態であり、この間は、プリント不可であるがプリント予約可能である。)
【0022】
この対策として、定着ローラ汚れ防止のために150°Cでウェイト解除後、プリント信号が入ってこなければ、150°Cでスタンバイ状態に入り、スタンバイ温調を行う場合を考える。これは、図5の破線のグラフ52に相当する。この場合、時点t12でウェイト解除して一定温調に入ってからある経過時間までの間にプリントを開始すると、ピンポイントではあるが定着不良を生じる時間帯が存在する。すなわち、ウェイト解除からの経過時間が短いうちにプリントを開始すれば、時点t11から時点t12までの前多回転時に上昇した加圧ローラ温度がある程度高いので、定着性が確保できるが、徐々に加圧ローラ温度が低下して最低温度S1付近でプリント動作が始まった場合、加圧ローラの蓄熱量が少なく、定着不良が起きてしまう。そのポイントはウェイト解除から約180秒前後であった。この時間帯を過ぎれば加圧ローラの温度は上昇していくので、定着性は確保できる。
【0023】
そこで、本実施の形態では図7に示すように、ウェイト解除から240秒間は160°C(第1の温度)でスタンバイ温調を行い、続いて240秒経過後は150°C(第2の温度)でスタンバイ温調を行う。
【0024】
図6に、本実施の形態における定着温度制御シーケンスを表すフローチャートを示す。この処理を、図5のグラフ51,53を参照しながら説明する。
【0025】
本体休止状態から電源投入により定着ヒータに通電を開始し(S11)、サーミスタ13の検知温度が100°Cに達した時点t11で(S12,Yes)、前多回転を開始する(S13)。これにより、両ローラが接触した状態で回転するので、加圧ローラの温度が急激に上昇していく。サーミスタ13の検知温度が150°Cに達するまでは、プリント不可であるがプリント予約は可能であるウェイト状態とする。150°Cに達した時点t12で(S14,Yes)、ウェイト状態を解除し、定着ローラの回転を停止するとともにタイマを起動する(S15)。
【0026】
時点t12までにプリント指令がなければ(S16,No)、160°C温調に入る(S17)。タイマがタイムアウトしたとき、すなわちウェイト解除から予め定めた時間(本例では240秒)が経過した時点t14で(S18,Yes)、150°C温調に入る(S19)。なお、グラフ53に示すように、ウェイト解除から180秒経過した時点t13まで加圧ローラの温度は徐々に低下するが、最低温度S2に達した後、緩やかに上昇していく。このグラフ53の時点t12以降の軌跡は、対応する定着ローラの温度が高いために、グラフ54より温度が高いことに留意されたい。
【0027】
ウェイト状態においてプリント予約があった場合はウェイト状態解除後このままプリント動作を開始する。プリント中のサーミスタによる温度制御シーケンスはウェイト状態解除後、プリント開始時の設定温度(180°C)を目指しその温度で一定温調を行う。より具体的には、150°Cでウェイト解除後、すぐに前多回転を行うことによって加圧ローラ温度が上昇すると同時に、記録用紙が不図示のカセットから給紙され、不図示の搬送装置を経由して定着ニップまで搬送されるまでに、定着ローラ温度は180°C付近まで到達する。このときの定着ローラの温度の変化は図4のグラフ41と同様となる。
【0028】
ウェイト解除から240秒間までは160°Cで温調を行うため、この時間帯の最悪ポイントである加圧ローラ最低温度S2が前述のように150°Cスタンバイ温調時S1より高い。したがって、このタイミングでプリントを開始しても定着性能には問題はない。また、240秒(t14)以降はスタンバイ温度は150°Cに下がるが、加圧ローラの温度が時点t13から緩やかに上昇するため定着不良は発生しない。しかも、スタンバイ時間が長時間になっても、温調温度(150°C)がプリント時の設定温度(180°C)より低くヒータから定着ローラを介して加圧ローラヘ供給される熱量が少ないので、ニップ内で高温オフセットは発生しない。よって定着ローラ汚れは発生しない。
【0029】
160°C温調期間中(ウェイト解除から240秒まで)にプリント指令があった場合(S16,Yes)、図8のグラフ81に示すように180°C温調に入る(S21)。プリント終了後は(S22,Yes)、150°C温調に戻る(S19)。また、150°C温調中にプリント指令があれば(S20,Yes)、180°C温調に入る(S21)。
【0030】
このように本実施の形態によれば、電源投入後、ウェイト解除してからある経過時間までのタイミングでプリントスタートした時の定着性不良は発生しない。またスタンバイ状態に入ってから時間が経ってからのニップでの定着ローラ汚れも生じない。
【0031】
なお、図9に示すように、スタンバイ時に160°C温調から150°C温調に移行する際に直接移行せずに、少なくとも1段階、中間の温度の温調を経るようにしてもよい。図9は、160°C温調から短時間155°C温調を経て150°C温調へ移行する例を示している。
【0032】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、上述した温度や時間等の具体的な数値はあくまで例示であり、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、電源投入後の定着不良が生じないこと、および、スタンバイ温調が長時間経過した時に発生する定着ローラ汚れが生じないことを両立させた定着装置ひいてはこれを用いた画像形成装置を得ることができる。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を採用した画像形成装置における定着装置の概略の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるサーミスタ当接位置と最大通紙域をあらわす平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における定着装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
【図4】従来の一定の設定温度によるスタンバイ温調制御を行った場合の定着ローラおよび加圧ローラの中央部の温度推移を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態におけるスタンバイ温調時の定着ローラと加圧ローラの温度変化を表したグラフである。
【図6】本発明の実施の形態における定着温度制御シーケンスを表すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態におけるスタンバイ温調の段階的な温度の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における160°C温調期間中にプリント指令があった場合の定着ローラの温度変化を表したグラフである。
【図9】本発明の実施の形態におけるスタンバイ温調時の定着ローラと加圧ローラの他の温度変化を表したグラフである。
【符号の説明】
10…定着ローラ
11…加圧ローラ
12…定着ヒータ
13…サーミスタ
20…CPU
21…ROM
22…RAM
23…定着ヒータ制御部
Claims (5)
- 通電により発熱するヒータと、
このヒータにより加熱される被加熱部材と、
この被加熱部材の記録用紙通過領域の温度を検知する温度検知素子と、
この温度検知素子の検知温度が設定温度を維持するようにヒータヘの通電を制御する通電制御手段とを備え、
この通電制御手段は、前記ヒータヘの通電開始直後、所定の温度に達するまでにプリント指令を受けない場合、プリント時の設定温度に達する前にプリント指令を待つスタンバイ状態に入り、その後の経過時間に応じてスタンバイ状態の設定温度を段階的に下げることを特徴とする定着装置。 - 前記スタンバイ状態の設定温度は、第1の温度と、この第1の温度より低い第2の温度である請求項1記載の定着装置。
- 前記被加熱部材は定着ローラからなり、この定着ローラは加圧ローラと圧接して回転し、通電開始後に前記温度検知素子の検知温度が上昇する過程で両ローラの回転を開始し、プリント指令がなければスタンバイ状態に入り、このスタンバイ状態において、両ローラの回転を停止するとともに、まず前記第1の温度での温調状態に入り、所定の時間経過後に前記第2の温度での温調状態に入ることを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。
- 前記加圧ローラの温度は前記両ローラの回転停止後に徐々に低下し、前記所定の時間経過の前に上昇に転じることを特徴とする請求項3記載の定着装置。
- 請求項1、2、3または4記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002278636A JP2004117628A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | 定着装置および画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002278636A JP2004117628A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | 定着装置および画像形成装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100465816C (zh) * | 2004-06-14 | 2009-03-04 | 佳能株式会社 | 图像加热装置和定影装置 |
JP2013178453A (ja) * | 2012-02-09 | 2013-09-09 | Ricoh Co Ltd | 定着装置及び画像形成装置 |
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-
2002
- 2002-09-25 JP JP2002278636A patent/JP2004117628A/ja not_active Withdrawn
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