JP2004116630A - フライホイールダンパ装置 - Google Patents

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flywheel
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Hidehiko Kanehara
金原 英彦
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Abstract

【課題】より簡単な構造で、共振が起こる可能性の高い時期に対応して共振の抑制を行なうことのできるフライホイールダンパ装置を提供する。
【解決手段】フライホイールダンパ装置は、エンジン出力軸9に接続された第1フライホイール1と、上記第1フライホイール1に固定されたクラッチカバー11と、上記変速機入力軸5の軸方向に沿って相対移動可能となっている第2フライホイール2と、上記第2フライホイール2を上記変速機入力軸5の軸方向に沿って相対移動させるための第2フライホイール移動手段と、上記第2フライホイール2が上記クラッチカバー11および上記第1フライホイール1のうち所定の一方に当接しているときにのみ上記エンジン出力軸9から上記変速機入力軸5への回転の伝達が行なわれるようにするための回転伝達手段とを備える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などにおいてエンジン出力軸と変速機入力軸との間に介在させて用いられるフライホイールダンパ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車などのエンジンにおいてトルク変動を良好に吸収するために、フライホイールを第1フライホイールおよび第2フライホイールの2つに分割し、両者の間にダンパ機構を介在させることが一般に行なわれている。しかし、このようにフライホイールが2つに分割されている場合、エンジンの低回転領域(200〜500rpmの領域)で共振が発生する。そこで、この共振を抑制するために、特許文献1では、クラッチ体を断接させる油圧により、第1フライホイールおよび第2フライホイールを必要に応じて一体化させる技術を提案している。特許文献1では、この技術によって、共振の抑制または非抑制の時期をクラッチ体の断接の時期と同期させたり、抑制の程度を任意に制御したりすることが容易にできると述べられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−112577号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1に提案された技術の構成においては、第1フライホイールおよび第2フライホイールを一体化させたり分離させたりするための構成と、クラッチ体の断接を行なうための構成との両方を備えることが必要になるため、構造が複雑化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明では、より簡単な構造で、共振が起こる可能性の高い時期に対応して共振の抑制を行なうことのできるフライホイールダンパ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に基づくフライホイールダンパ装置は、エンジン出力軸に接続された第1フライホイールと、上記第1フライホイールに固定されたクラッチカバーと、上記第1フライホイールと同軸状に配置された変速機入力軸を取り囲むように配置され、上記変速機入力軸の軸方向に沿って相対移動可能となっている第2フライホイールと、上記第2フライホイールが上記第1フライホイールおよび上記クラッチカバーのいずれか一方と当接するように、上記第2フライホイールを上記変速機入力軸の軸方向に沿って相対移動させるための第2フライホイール移動手段と、上記第2フライホイールが上記クラッチカバーおよび上記第1フライホイールのうち所定の一方に当接しているときにのみ上記エンジン出力軸から上記変速機入力軸への回転の伝達が行なわれるようにするための回転伝達手段とを備える。この構成を採用することにより、第2フライホイール移動手段によって、第2フライホイールをクラッチカバーおよび第1フライホイールのいずれに当接させるかによって、第2フライホイールに、エンジン出力軸から上記変速機入力軸への回転伝達の中継の役割を果たさせるか、あるいは、第1フライホイールと一体化させてダンパとしての機能を果たさせるかを選択することができる。さらに、クラッチ板の断接動作と2つのフライホイール同士の断接動作を同じ機構によって兼ねて行なうことができるので、構造を単純化することができる。
【0007】
上記発明において好ましくは、上記回転伝達手段は、上記変速機入力軸の外周面のうち、上記第2フライホイールが上記所定の一方に当接する位置にあるときに占める領域に設けられたスプライン部と、上記第2フライホイールの内周面に、上記スプライン部と係合可能なように設けられた係合部とを含む。この構成を採用することにより、簡単な構造で回転伝達を行なうことができる。また、係合部の着脱により、回転伝達の可否を簡単に切り替えることができる。
【0008】
上記発明において好ましくは、上記第2フライホイール移動手段は、上記第2フライホイールを上記クラッチカバーに向けて付勢する付勢手段と、上記第2フライホイールを上記第1フライホイールに向けて押圧するための押圧手段とを含む。この構成を採用することにより、押圧手段による押圧の有無または程度によって第2フライホイールをどちら向きに移動させるかを決定することができ、操作が簡単となる。
【0009】
上記発明において好ましくは、上記付勢手段はダイヤフラムばねである。この構成を採用することにより、限られたスペースの中で信頼性の高い付勢を行なうことができる。
【0010】
上記発明において好ましくは、上記押圧手段は、クラッチペダルを踏む動作に連動して上記変速機入力軸の軸方向に沿って変位するように配置された部材である。この構成を採用することにより、変速機入力軸の軸方向に沿って変位することで第2フライホイールを第1フライホイールに向けて確実に押圧することができる。
【0011】
上記発明において好ましくは、上記所定の一方とは、上記クラッチカバーである。この構成を採用することにより、第1フライホイールと第2フライホイールとが離れているときにクラッチカバーから第2フライホイールへの回転伝達が行なわれ、回転が円滑に変速機入力軸に伝えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(構成)
図1、図2を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるフライホイールダンパ装置について説明する。このフライホイールダンパ装置は、図1に示すように、エンジン出力軸9と一体的に回転する第1フライホイール1と、この第1フライホイール1に固定されたクラッチカバー11と、変速機入力軸5を取り囲むように配置された第2フライホイール2とを備える。本実施の形態では、エンジン出力軸9、第1フライホイール1、第2フライホイール2および変速機入力軸5は、いずれも同軸状に配置されている。変速機入力軸5の一方の端(図中左端)は第1フライホイール1の中に挿入された形となっているが、変速機入力軸5の端はボールベアリング10によって回動自在に支持されているので、第1フライホイール1から変速機入力軸5へは回転が直接伝達されることはない。
【0013】
第2フライホイール2は、変速機入力軸5の軸方向に沿って相対移動可能となっている。第2フライホイール2は周方向ばね3を含んでいる。クラッチカバー11は、第1フライホイール1から殻状に張り出しており、第2フライホイール2を内部に包囲するような形状となっている。したがって、第2フライホイール2は、図中右に移動すればクラッチカバー11の内面に当接し、図中左に移動すれば第1フライホイール1に当接することとなる。ただし、クラッチカバー11の内面のうち、第2フライホイール2が当接し得る部位には結合部12が設けられている。第1フライホイール1の表面のうち、第2フライホイール2が当接し得る部位には摩擦材8が設けられている。
【0014】
さらに、このフライホイールダンパ装置は、第2フライホイール2が第1フライホイール1およびクラッチカバー11のいずれか一方と当接するように、第2フライホイール2を変速機入力軸5の軸方向に沿って相対移動させるための第2フライホイール移動手段を備えている。本実施の形態においては、第2フライホイール移動手段は、具体的には、第2フライホイール2を第1フライホイール1に向けて(図中左向きに)押圧する押圧手段と、第2フライホイール2をクラッチカバー11に向けて(図中右向きに)付勢する付勢手段とからなる。本実施の形態においては、押圧手段とは、クラッチレリーズフォーク4であり、付勢手段とは、第2フライホイール2の第フライホイール1側の面を押すようにクラッチカバー11の内部に配置されたダイヤフラムスプリング7である。クラッチレリーズフォーク4は、変速機入力軸5の軸方向に沿って変位可能なように配置されており、クラッチペダル(図示省略)を踏まれたときには、図2に示すように図中左側に変位し、クラッチペダルを踏むのをやめたときには、図1に示すように図中右側に変位する仕組みとなっている。クラッチペダルからクラッチレリーズフォーク4への動きの伝達機構は公知技術による。
【0015】
さらに、このフライホイールダンパ装置は、第2フライホイール2がクラッチカバー11および第1フライホイール1のうち所定の一方に当接しているときにのみエンジン出力軸9から変速機入力軸5への回転の伝達が行なわれるようにするための回転伝達手段を備えている。所定の一方とは、本実施の形態においてはクラッチカバー11である。本実施の形態においては、回転伝達手段とは、スプライン部6と、第2フライホイール2の係合部すなわちスプライン部13とからなる。スプライン部6は、変速機入力軸5の外周面のうち所定の領域にのみ形成されたスプライン溝のある部位である。スプライン部13は、第2フライホイール2の内周面にスプライン部6と係合可能な形状で形成された部位をいう。
【0016】
(作用・効果)
本実施の形態におけるフライホイールダンパ装置は、上述の構成を備えていることから、クラッチペダルを踏まないときには、図1に示すようにクラッチレリーズフォーク4は第2フライホイール2を押圧しない状態にあり、第2フライホイール2はダイヤフラムスプリング7の付勢によってクラッチカバー11内で第フライホイール1から最も遠い端に押しやられている。すなわち、第2フライホイール2は、クラッチカバー11の内面に押しつけられている。このとき、第2フライホイール2は結合部12を介してクラッチカバー11と当接する。したがって、第2フライホイール2は、クラッチカバー11と一体的に回転するようになる。一方、第2フライホイール2がダイヤフラムスプリング7の付勢によって図中右側に移動したことにより、第2フライホイール2の内面のスプライン部13と、変速機入力軸5の外面のスプライン部6とが互いに噛み合う。この結果、第2フライホイール2の回転は変速機入力軸5に伝達されるようになる。
【0017】
以上より、エンジン出力軸9の回転は、第1フライホイール1およびクラッチカバー11を回転させ、クラッチカバー11の回転は、結合部12を通じて第2フライホイール2の回転となり、さらに、回転伝達手段としてのスプライン部6,13の係合を介して、変速機入力軸5にまで伝達される。
【0018】
仮にクラッチペダルが踏まれたときには、図2に示すようにクラッチレリーズフォーク4は第2フライホイール2を図中左に向けて押圧する。そのため、第2フライホイール2はダイヤフラムスプリング7の付勢にもかかわらずクラッチカバー11内で第1フライホイール1に向けて押しつけられる。このとき、第2フライホイール2は摩擦材8を介して第1フライホイール1と当接する。したがって、第2フライホイール2は、第1フライホイール1と一体的に回転するようになる。一方、第2フライホイール2がクラッチレリーズフォーク4の押圧によって図中左側に移動したことにより、スプライン部13とスプライン部6と係合は解除され、第2フライホイール2の回転は変速機入力軸5には伝達されない状態となる。
【0019】
この状態では、第1フライホイール1と第2フライホイール2とは一体的に回転し、なおかつ、第2フライホイール2には周方向ばね3が含まれているので、従来の、2つに分割されて両者間にダンパを介在させたフライホイールと同様の機能を発揮する。
【0020】
従来、共振が問題となっていたような低回転数領域は、実際の運転者の動作においては、クラッチペダルを踏んでいる時期と概ね同期している。したがって、クラッチペダルを踏んでいるときには共振を防ぐことができる構成となり、逆に、クラッチペダルを踏んでいないときには、エンジン出力軸9の回転は、変速機入力軸5に伝達される構成となる。
【0021】
本実施の形態では、このような切り換えをクラッチペダルへの踏み込みの有無に連動して行なわせる構成を、上述のような簡単な機構によって実現することができる。また、従来技術によるフライホイールダンパ装置では、第1フライホイール、第2フライホイールおよびクラッチ板が別々の部品であったのに対して、本発明では、第2フライホイールがクラッチ板を兼ねて機能するため、部品点数を減らすことができる。さらに、クラッチ板の断接動作と2つのフライホイール同士の断接動作とを同じ機構によって兼ねて行なうため、構造を単純化することができる。
【0022】
なお、本実施の形態では、第2フライホイール2がクラッチカバー11および第1フライホイール1のうちクラッチカバー11に当接しているときにのみエンジン出力軸9から変速機入力軸5への回転の伝達が行なわれる構造としたが、逆に第1フライホイール1に当接しているときにのみエンジン出力軸9から変速機入力軸5への回転の伝達が行なわれる構造とすることもできる。
【0023】
本実施の形態では、回転伝達手段を、スプライン部6とスプライン部13とで実現していたが、他の機構によって実現してもよい。
【0024】
第2フライホイール移動手段は、上述のものに限らず、付勢手段と押圧手段の位置関係を逆にしてもよい。付勢手段は、ダイヤフラムばねとしたが、他の種類のばねとしてもよい。押圧手段は、クラッチレリーズフォークとしたが、クラッチペダルを踏む動作に連動して変速機入力軸の軸方向に沿って変位することが可能なものであれば、他の形態の部材であってもよい。
【0025】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、第2フライホイール移動手段によって、第2フライホイールをクラッチカバーおよび第1フライホイールのいずれに当接させるかによって、第2フライホイールに、エンジン出力軸から上記変速機入力軸への回転伝達の中継の役割を果たさせるか、あるいは、第1フライホイールと一体化させてダンパとしての機能を果たさせるかを選択することができる。さらに、クラッチ板の断接動作と2つのフライホイール同士の断接動作を同じ機構によって兼ねて行なうことができるので、構造を単純化することができる。したがって、共振が起こる可能性の高い時期に対応して共振の抑制を行なうことのできるフライホイールダンパ装置を、従来より簡単な構造で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施の形態1のフライホイールダンパ装置においてクラッチペダルを踏んでいない状態を示す説明図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1のフライホイールダンパ装置においてクラッチペダルを踏んでいる状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1フライホイール、2 第2フライホイール、3 周方向ばね、4 クラッチレリーズフォーク、5 変速機入力軸、6 (変速機入力軸の外周面の)スプライン部、7 ダイヤフラムスプリング、8 摩擦材、9 エンジン出力軸、10 ボールベアリング、11 クラッチカバー、12 結合部、13 (第2フライホイールの内周面の)スプライン部。

Claims (6)

  1. エンジン出力軸に接続された第1フライホイールと、
    前記第1フライホイールに固定されたクラッチカバーと、
    前記第1フライホイールと同軸状に配置された変速機入力軸を取り囲むように配置され、前記変速機入力軸の軸方向に沿って相対移動可能となっている第2フライホイールと、
    前記第2フライホイールが前記第1フライホイールおよび前記クラッチカバーのいずれか一方と当接するように、前記第2フライホイールを前記変速機入力軸の軸方向に沿って相対移動させるための第2フライホイール移動手段と、
    前記第2フライホイールが前記クラッチカバーおよび前記第1フライホイールのうち所定の一方に当接しているときにのみ前記エンジン出力軸から前記変速機入力軸への回転の伝達が行なわれるようにするための回転伝達手段とを備える、フライホイールダンパ装置。
  2. 前記回転伝達手段は、
    前記変速機入力軸の外周面のうち、前記第2フライホイールが前記所定の一方に当接する位置にあるときに占める領域に設けられたスプライン部と、
    前記第2フライホイールの内周面に、前記スプライン部と係合可能なように設けられた係合部とを含む、
    請求項1に記載のフライホイールダンパ装置。
  3. 前記第2フライホイール移動手段は、前記第2フライホイールを前記クラッチカバーに向けて付勢する付勢手段と、前記第2フライホイールを前記第1フライホイールに向けて押圧するための押圧手段とを含む、請求項1または2に記載のフライホイールダンパ装置。
  4. 前記付勢手段はダイヤフラムばねである、請求項3に記載のフライホイールダンパ装置。
  5. 前記押圧手段は、クラッチペダルを踏む動作に連動して前記変速機入力軸の軸方向に沿って変位するように配置された部材である、請求項3または4に記載のフライホイールダンパ装置。
  6. 前記所定の一方とは、前記クラッチカバーである、請求項1から5に記載のフライホイールダンパ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106369131A (zh) * 2015-07-21 2017-02-01 熵零股份有限公司 一种能量调整方法及其能量调整系统
CN106877559A (zh) * 2015-12-14 2017-06-20 孙聚天 电动动量扭矩发动机

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