JP2004116138A - 網戸付きサッシ - Google Patents
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Abstract
【課題】引き違い障子とともに使用する場合に、網戸と障子との干渉が生じることがなく、表面にラッピングシートを貼付する際にも該シートを分断する必要がない網戸を提供する。
【解決手段】障子31、32を引き違い可能にしてなる引き違いサッシに網戸40を備えた網戸付きサッシにおいて、網戸は上下左右の框を組み合わせた枠体の内側に網を張設して設け、左右両側の縦框41a、41bは表面に所定の色若しくは模様又は色および模様が施されたラッピングシートにより覆うとともに側部に延設されるパッキン42a、42bを略全長に亘って設け、パッキンはラッピングシートと略同一の色若しくは模様又は色および模様が表れるようにされた樹脂により形成し、パッキンの障子の縦框43a、43bに対向すべき面にはモヘアホール424を設けるとともに、該モヘアホールには障子の縦框に向けてモヘア425を略全長に亘って取り付ける。
【選択図】 図3
【解決手段】障子31、32を引き違い可能にしてなる引き違いサッシに網戸40を備えた網戸付きサッシにおいて、網戸は上下左右の框を組み合わせた枠体の内側に網を張設して設け、左右両側の縦框41a、41bは表面に所定の色若しくは模様又は色および模様が施されたラッピングシートにより覆うとともに側部に延設されるパッキン42a、42bを略全長に亘って設け、パッキンはラッピングシートと略同一の色若しくは模様又は色および模様が表れるようにされた樹脂により形成し、パッキンの障子の縦框43a、43bに対向すべき面にはモヘアホール424を設けるとともに、該モヘアホールには障子の縦框に向けてモヘア425を略全長に亘って取り付ける。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き違い障子に好適に用いられる網戸付きサッシに関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の玄関などの開口部には、扉式の開閉装置とともに一部では引き違い式の開閉装置(障子)が根強い人気を保っている。このような引き違い障子が使用される建物開口部は一般に上下左右の四辺に枠を配した外枠が備えられ、その下枠には2本のレールが設けられて、このレール上を2枚の引き違い障子を往き来させて、開口部の開閉を実現している。かかる引き違い式障子は、玄関などに使用されることが多く、夏場は通風を確保しつつ蚊やハエなどが室内に侵入するのを防ぐため、網戸が併用される場合がある。
【0003】
このように引き違い障子に網戸を例えば室内側に設けた場合、構造上、網戸と内障子との間に僅かな隙間が生じるので、この隙間から蚊やハエなどが室内へ侵入するのを防ぐため、網戸の縦框と内障子の縦框とが対向すべき面には、シールが必要となる。
【0004】
上記要請に対し、特許文献1では、網戸の縦框側部にパッキン部材を設け、該パッキン部材から内障子に向けて柔軟な材料で形成した縦長平板状の防虫シールを延設する構造が開示されている。かかる構造を有するパッキン部材を引き違い障子の網戸に適用した一例を図6、および図7に示す。各図は、召し合わせ部の高さにおける水平断面図であり、上方が室外側、下方が室内側を示す。なお、本願の各断面図においては、図面を見やすく、理解を容易なものとするため、拡大図におけるパッキン部材の断面のみにハッチングを付し、他の断面はハッチングを省略して表す。
【0005】
図6において、外障子61の左側面は、外枠サッシの左縦枠100に当接しており、内障子62の右側面は、外枠サッシの右縦枠101に当接している。ここでは、引き違い障子は閉鎖された状態にある。外枠サッシの下枠には、レール65、66が設けられており、外障子61および内障子62はレール65、66上を外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで図の左右方向に移動することができる。
【0006】
網戸70は、内障子62の室内側に、外枠サッシに組み付けられている。網戸70も、不図示の滑走機構によりレール65、66と平行な方向に、外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで移動することができる。網戸70の左右の縦框71a、71bのさらに両側方にはパッキン部材72a、72bが嵌め込まれて取り付けられている。さらにパッキン部材72a、72bからは、室外側に向けて平板状の防虫シール73a、73bが延設され、これら防虫シール73a、73bの先端部は内障子62の縦框63a、63bの室内側の面に当接されている。
【0007】
この状態において、内障子62を図の左方向に外枠サッシの左縦枠100に当接するまで移動すると、障子は開かれ、網戸70は閉じているので、室内外は網戸70を介して通風可能な状態となる。このとき、網戸70左側の防虫シール73aの先端は、内障子62の右縦框63bの室内側に向く面に当接されるので、室内外の完全なシールが行われ、ハエや蚊が室内に侵入することが防止される。
【0008】
また、特許文献2〜4では、網戸の縦框が内障子の縦框に対向する面に、モヘアホールを設け、該モヘアホールにモヘアを内障子に向けて取り付けて、網戸と内障子との隙間からハエや蚊が侵入するのを防止する構造が開示されている。
【特許文献1】
実開昭53−149444公報
【特許文献2】
特開2001−207737号公報
【特許文献3】
実開平6−83896号公報
【特許文献4】
登録実用新案第3011461号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された防虫シールの構造では、図6、図7からも明らかなように、内障子62の召し合わせ錠台座64a、および、戸先錠の台座64bが室内側に突出しているため、例えば、図7に示される内障子62と網戸70とが外枠サッシの左縦枠100に当接されている状態から、網戸70を右方向に移動させようとした場合、上記防虫シール73a、73bの先端部分と、内障子62の錠台座64a、64bとが干渉し、内障子62も一緒に右方向に引きずられて移動してしまい、また、逆に内障子62を移動しようとするとそれに引きずられて網戸70も移動してしまう、という問題があった。
【0010】
また、特許文献2〜4に開示されたモヘアを利用する構造では、上記のような網戸の防虫シールと、内障子の錠台座との干渉による問題は解決されるものの、図8に一例を示すように、網戸の縦框80がモヘアホール81により左右に分断されるため、網戸縦框の室内側表面に例えば木目模様のラッピングシート82を貼り付けようとする場合、シートを切断して2枚のシート82a、82bを貼り付ける作業が必要になる(図8(a)〜(c)参照)という問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は、引き違い障子とともに使用する場合に、網戸と障子との干渉が生じることがなく、表面にラッピングシートを貼付する際にも該シートを分断する必要がない網戸付きサッシを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記課題解決のためには、何らかの形でモヘアを使用することが不可欠であると考えた。特許文献1に開示されているような防虫シールでは防虫効果を確保しつつ、干渉の問題を完全に解決することはできないと考えられるからである。そこでまず、特許文献1の構造において、防虫シールを単純にモヘアに置き換えれば、干渉の問題を回避しつつ、ラッピングシートを分断する必要がなくなるものと考えられる。しかし、特許文献1に開示されているような構造のパッキン部材では、図6または図7の拡大図から明らかなとおり、モヘアホールを設けるための左右方向の幅がほとんどないため、モヘアを内障子方向に向けて取り付けることが不可能である。一方、パッキン部材の構造を、モヘアホールを設けることができるように変更することも考えられるが、この場合、モヘアホールを設ける分だけ左右のパッキン部材が網戸幅方向に延長される。
【0013】
この幅方向に延長されたパッキン部材において、モヘアホールが設けられた部分を除く、室内側に面する面、および端面の部分は網戸の框に張られるラッピングシートと異なる外観を呈すると、この網戸および障子が組み込まれた引き違いサッシ全体に違和感を生じることがある。本願発明者らは、パッキン部材の外観にラッピングシートの外観と統一性を持たせることにより、上記課題を解決することが可能であることを見出した。
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0015】
請求項1の発明は、障子(31、32)を引き違い可能にしてなる引き違いサッシ(10)に網戸(40)を備えた網戸付きサッシであって、網戸は上下左右の框(21、23、41a、41b)を組み合わせた枠体の内側に網(29)を張設して設けられ、左右両側の縦框(41a、41b)は表面に所定の色若しくは模様又は色および模様(以下において「色等」という。)が施されたラッピングシートにより覆われるとともに側部に延設されるパッキン(42a、42b)を略全長に亘って備え、パッキンはラッピングシートと略同一の色若しくは模様又は色および模様が表れるようにされた樹脂により形成され、パッキンの障子の縦框(43a、43b)に対向すべき面にはモヘアホール(424)が設けられるとともに、該モヘアホールには障子の縦框に向けてモヘア(425)が略全長に亘って取り付けられている網戸付きサッシにより前記課題を解決する。
【0016】
この発明によれば、網戸両側部に取り付けられたパッキンは網戸縦框のさらに外側に延設されているので、障子に対向する面にモヘアホールを設けるためのスペースを確保することが可能となる。また、このパッキンの障子に対向すべき面にモヘアが取り付けられているので、網戸と障子との干渉が生じることがなく、また表面にラッピングシートを貼付する際にも該シートを分断する必要がない。またパッキンは網戸本体を覆うラッピングシートと略同一の色等が表面に現れるように形成されているので、網戸全体の外観を統一することにより、意匠上の効果を高めることができる。また、パッキンは樹脂で形成されるので、表面に所定の色等を形成することが容易である。このパッキンは、図6および図7に示すような従来の網戸枠体にも交換用として使用することが可能である。
【0017】
上記網戸付きサッシにおいて、障子の幅をW、障子の縦框の幅wとしたとき、モヘア間の距離Xが
W−w≦X≦W−w/3
となるように横框の長さを調整してもよい。
【0018】
このようにすれば、パッキンが網戸縦框の側部より幅方向に突出する長さに応じて横框の長さを調整することにより、網戸と障子が重なった状態においても確実に、障子の召し合わせ部、または引き手を室内側に露出させることができる。また、左右のモヘア間の距離を一定範囲に保つことができるので、網戸の使用状態において各モヘア先端部を確実に障子の縦框に当接する位置に配置することが容易となり、ハエや蚊の室内への進入を防止することができる。また、従来と同一形状の押し出しおよび加工用金型を使用することができるのでコスト的にも有利である。さらに例えば特許文献1〜4の構造に比較した場合、横框の長さを切り詰めた分だけ網戸の枠体に占めるアルミニウムの重量を減らすことができるので、材料のコストダウンに資することが可能となる。
【0019】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の網戸を玄関の引き違い障子に適用した例を図面に示す実施形態に基づき説明する。本実施形態において、網戸は障子の室内側に配置されている。
【0021】
図1(a)は玄関障子を閉めた状態を室外側から示す図である。ここでは、内障子32が左側に、外障子31が右側にそれぞれ示されており、網戸はあらわれていない。図1(b)は玄関障子を閉めた状態を室内側からの視点により示す図である。外障子31は左側に表され、網戸40が右側に表されている。この状態においては、内障子32は網戸40の奥側にあるため、内障子32の左縦框43aのみ網戸40の左側に表れており、その余の部分は網戸40の網を透かして室内側から見ることができる。図1(c)は内障子32を開け、網戸40を閉めた状態を室内側から示す図である。この状態においては内障子32が左側にあり、網戸40が右側にある。外障子31は内障子32の奥に隠れて室内側からは見ることができない。
【0022】
図1(a)において、玄関開口部の開口周囲には矩形の外枠サッシ10があてがわれている。内障子32の縦框43b中央やや下方には、引き手5が形成され、不図示の戸先錠が設けられている。外障子31の、図1(a)における左側の縦框44bには召し合わせ部6が形成され、不図示の召し合わせ錠が設けられている。外障子31の図1(a)における右側の縦框44a中央やや下方には、引き手7が設けられている。引き手7にも不図示の戸先錠が設けられている。なお、図1(a)の視点からは表すことができないが、外障子31、内障子32のそれぞれの縦框43a、43b、44a、および、44bには、室内側および室外側それぞれの所定位置に召し合わせ、および引き手が設けられている(図1(b)、および図1(c)参照)。
【0023】
図2(a)は網戸の枠等構成部材を分解して示す図、(b)は網戸の組み立てを示す図である。図2(a)において、網戸は上框21、中框22、および下框23の3本の横框と、下框23の下側から嵌入される下部カバー24と、左縦框41a、右縦框41b、および左右の縦框の側部に取り付けられるパッキン42a、42bとを備え、これらが組み立てられて網戸の枠体を構成する。図2(b)において、組み立てられた網戸の枠体に網29が載せられ、その上から網押し棒28を枠体に設けられた溝部27に押し込むことにより網29が枠体に固定される。この状態において、溝部27周辺に沿って網29をカッター等で切断することにより、網戸が完成する。
【0024】
図3は、閉めた状態の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。外障子31の左端面は、外枠サッシの左縦枠100に当接されており、一方内障子32の右端面は、外枠サッシの右縦枠101に当接されている。図3においては、外障子31、および内障子32が上記のように配置され、引き違い障子は閉鎖された状態にある。外枠サッシの下枠には、レール35、36が設けられており、外障子31および内障子32はレール35、36上を外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで図の左右方向に移動されることができる。
【0025】
網戸40は、内障子32のさらに室内側に設けられている。網戸40も、不図示の滑走機構によりレール35、36と平行な方向に、外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで移動されることができる。網戸40の左右の縦框41a、41bのさらに側方にはパッキン42a、42bが嵌め込まれ取り付けられている。ここでパッキン42a(42b)の構造について、図3の下部に示されるA部拡大図を参照しつつ説明する。網戸40の左縦框41aの左側方には二つの突出部410、411が設けられている。パッキン42aは、これらの突出部410、411に嵌入する嵌合部420a、および421aを備え、さらにこれらの嵌合部420a、および421aの側方からそれぞれ図で左の方向にアーム420、421が延設されている。アーム420、421の各先端は連結片423により結ばれている。アーム420の内障子32に対向する側には、モヘアホール424が形成されている。モヘアホール424内にはモヘア425が接着固定されている。モヘア425は、ポリプロピレン等比較的柔軟な合成樹脂で形成されたベース425aの上面に多数のナイロン等からなる毛状部材425bが植え込まれて形成されている。毛状部材425bの先端は内障子32の左縦框43a室内側面に当接されている。室内側のアーム421の先端には突出片426が設けられている。突出片426は、外枠サッシや網戸40の枠体の建付け調整が悪くなった場合にその変形分を緩衝する機能を有している。
【0026】
以上に説明したように、網戸40の両翼部に取り付けられたパッキン42a、42bにモヘアホール424を設けたので、網戸表面にラッピングシートを貼付する際に、ラッピングシートを分断する必要がない。
【0027】
この状態において、内障子32を図の左方向に外枠サッシの左縦枠100に当接するまで移動すると、室内外は網戸40を介して通風可能な状態となる。このとき、網戸40左側のモヘア425の先端は、内障子32の右縦框43bの室内側面に当接されるので、室内外の完全なシールが行われ、ハエや蚊が室内に侵入するのを防止することができる。
【0028】
図4は、外障子31、内障子32、及び網戸40を全て外枠サッシの左縦枠100側に寄せた場合の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。内障子32の召し合わせ錠台座34a、および、戸先錠の台座34bが縦框43a、43bの室内側の面から室内側に向かって突出している。
【0029】
図4に示される内障子32と網戸40とが外枠サッシの左縦枠100に当接されている状態から、網戸40を右方向に移動させようとした場合、モヘア425の先端部分と、内障子32の錠台座34a、34bとが干渉する。しかしモヘア425の毛状部材425bは、その材料自体がナイロン等で形成されているため柔軟性、弾性に富んでいる。さらに、モヘア425の毛状部材425bは、ベース425aに取り付けられている部分のみが固定端であり、先端側は全て自由端とされているので、横方向からの力に対し、大きな抵抗を示すことなく容易に屈曲される。したがって、図4に示す状態から、網戸40を右方向に移動させて、モヘア425の先端部分と、内障子32の錠台座34a、34bとが干渉する状態が発生しても、内障子32に網戸40からの力が伝わることがなく、内障子32が網戸40と一緒に右方向に引きずられて移動してしまうことがない。また、逆に内障子32を移動しても、それに引きずられて網戸40も移動されてしまう、ということもない。
【0030】
図5は、玄関障子および網戸の、水平方向の長さの関係を説明する室内側から見た正面図である。この図では、内障子32および外障子31が左側に寄せられて玄関障子が開放された状態を示しているが、外障子31が右側に寄せられた状態も鎖線により示されている。玄関障子の内障子32、および外障子31は正面視において同一形状に形成されている。意匠の美感上、それぞれの障子を左右対称形状とし、玄関障子として外枠サッシ10に組み付けた場合にも、正面視左右対称とすることが行われている。各障子の縦框それぞれには、同じ高さに召し合わせ部と引き手部とが設けられている。この場合、各障子の幅Wは統一されている。また、各障子における縦框の幅wも一定に設定されている。
【0031】
網戸40の両翼に取り付けられたパッキン42aの突出片426の長さ、および連結片423の厚さは、Wおよびwと比較した場合充分に小さいのでここでは無視し、モヘアは網戸40の左右両端にあるものとして考えることとする。玄関障子を図5の位置に開放し、網戸40を外枠サッシの右縦枠101に当接した状態において、網戸40のモヘア先端を内障子32の縦框43bに確実に当接させて虫類の室内への侵入を防ぐには、網戸40のモヘア間の距離Xを、(W−w)以上に設定する必要がある。これは、図5において、網戸の右側面を、外枠サッシの右縦枠101に当接させた状態において、網戸の左端部室外側に向けられたモヘアの先端が、内障子32の右縦框43bの右端に接する状態を意味するものである。また、モヘア間の距離Xがとりうる最大値はWである。Xをこれ以上にすると、網戸の右側面を、外枠サッシの右縦枠101に当接させた状態において、網戸の左端部室外側に向けられたモヘアの先端が、内障子32の右縦框43bの左端を越えてしまい、モヘア先端と内障子32との間に隙間が生じてしまうからである。
【0032】
本実施形態の網戸付きサッシにおいて、モヘア間の距離Xの上限は(W−w/3)とすることが望ましい。これよりXを大きくすると、玄関障子に対して網戸40が必要以上に大きくなりすぎて、障子と網戸とを重ねた際に障子の召し合わせまたは引き手が網戸に隠されてしまうからである。またこのような上限を設けることにより、アルミニウム材料使用量を節約することができ、コストダウンに資することが可能となる。なお、上記モヘア間の距離Xは、各モヘアの幅方向中心間の距離をいうものとする。また、各障子の縦框の幅wが異なる場合には、各框の幅の平均値をもってwを定めることとする。
【0033】
本実施形態において、網戸の框にはラッピングシートが貼付される。このラッピングシートに表された色等と同一の色等をパッキン表面に表すことが好ましい。パッキンを樹脂で形成する場合、容易にラッピングシートに表された色等と同一の色等を表すことができる。このようにすれば、網戸本体とパッキンとの意匠上の統一を図ることができ、網戸に高級感を与えることができる。
【0034】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う網戸付きサッシもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。例えば、以下に示す変形例は、当然に本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0035】
(変形例)
<1> 本実施形態において、網戸の框にラッピングシートが貼付され、このラッピングシートに表された色等と同一の色等をパッキン表面に表すことを説明したが、障子の部分にも同一の色等を施して外観の統一性を確保することが好ましい。このようにすれば、網戸付きサッシ全体に高級感を与え、商品価値を高めることができる。
<2> 引き違い障子として、玄関引き戸の例を示したが、縁側、窓など、建物開口部に設けられた引き違い障子であればいずれにおいても本発明の網戸付きサッシを適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1の発明によれば、網戸縦框の両側部にパッキンが延設されているので、障子に対向する面にモヘアホールを設けるためのスペースを確保することが可能となる。また、このパッキンの障子に対向すべき面にモヘアが取り付けられているので、例えば、網戸を開くときに同時に障子が動いてしまうということが生じることがなく、また表面にラッピングシートを貼付する際にも該シートを分断する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は玄関障子を閉めた状態を室外側から示す正面図、(b)は玄関障子を閉めた状態を室内側から示す正面図、(c)は玄関障子を開け、網戸を閉めた状態を室内側から示す正面図である。
【図2】(a)は網戸の枠等構成部材を分解して示す図、(b)は網戸の組み立てを示す図である。
【図3】閉めた状態の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。
【図4】全て左側に寄せた場合の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。
【図5】玄関障子および網戸の、水平方向の長さの関係を説明する正面図である。
【図6】玄関障子に、従来の網戸を組み合わせたものの水平断面図である。
【図7】図6の玄関障子の外障子、内障子、および網戸を全て左側に寄せた状態の水平断面図である。
【図8】(a)〜(c)は縦框にモヘアを取り付け、さらにラッピングシートで覆う工程を示す水平断面図である。
【符号の説明】
10 サッシ
21、23 横框
31 外障子(障子)
32 内障子(障子)
40 網戸
41a、41b 縦框
42a、42b パッキン
43a、43b 障子縦框
424 モヘアホール
425 モヘア
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き違い障子に好適に用いられる網戸付きサッシに関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の玄関などの開口部には、扉式の開閉装置とともに一部では引き違い式の開閉装置(障子)が根強い人気を保っている。このような引き違い障子が使用される建物開口部は一般に上下左右の四辺に枠を配した外枠が備えられ、その下枠には2本のレールが設けられて、このレール上を2枚の引き違い障子を往き来させて、開口部の開閉を実現している。かかる引き違い式障子は、玄関などに使用されることが多く、夏場は通風を確保しつつ蚊やハエなどが室内に侵入するのを防ぐため、網戸が併用される場合がある。
【0003】
このように引き違い障子に網戸を例えば室内側に設けた場合、構造上、網戸と内障子との間に僅かな隙間が生じるので、この隙間から蚊やハエなどが室内へ侵入するのを防ぐため、網戸の縦框と内障子の縦框とが対向すべき面には、シールが必要となる。
【0004】
上記要請に対し、特許文献1では、網戸の縦框側部にパッキン部材を設け、該パッキン部材から内障子に向けて柔軟な材料で形成した縦長平板状の防虫シールを延設する構造が開示されている。かかる構造を有するパッキン部材を引き違い障子の網戸に適用した一例を図6、および図7に示す。各図は、召し合わせ部の高さにおける水平断面図であり、上方が室外側、下方が室内側を示す。なお、本願の各断面図においては、図面を見やすく、理解を容易なものとするため、拡大図におけるパッキン部材の断面のみにハッチングを付し、他の断面はハッチングを省略して表す。
【0005】
図6において、外障子61の左側面は、外枠サッシの左縦枠100に当接しており、内障子62の右側面は、外枠サッシの右縦枠101に当接している。ここでは、引き違い障子は閉鎖された状態にある。外枠サッシの下枠には、レール65、66が設けられており、外障子61および内障子62はレール65、66上を外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで図の左右方向に移動することができる。
【0006】
網戸70は、内障子62の室内側に、外枠サッシに組み付けられている。網戸70も、不図示の滑走機構によりレール65、66と平行な方向に、外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで移動することができる。網戸70の左右の縦框71a、71bのさらに両側方にはパッキン部材72a、72bが嵌め込まれて取り付けられている。さらにパッキン部材72a、72bからは、室外側に向けて平板状の防虫シール73a、73bが延設され、これら防虫シール73a、73bの先端部は内障子62の縦框63a、63bの室内側の面に当接されている。
【0007】
この状態において、内障子62を図の左方向に外枠サッシの左縦枠100に当接するまで移動すると、障子は開かれ、網戸70は閉じているので、室内外は網戸70を介して通風可能な状態となる。このとき、網戸70左側の防虫シール73aの先端は、内障子62の右縦框63bの室内側に向く面に当接されるので、室内外の完全なシールが行われ、ハエや蚊が室内に侵入することが防止される。
【0008】
また、特許文献2〜4では、網戸の縦框が内障子の縦框に対向する面に、モヘアホールを設け、該モヘアホールにモヘアを内障子に向けて取り付けて、網戸と内障子との隙間からハエや蚊が侵入するのを防止する構造が開示されている。
【特許文献1】
実開昭53−149444公報
【特許文献2】
特開2001−207737号公報
【特許文献3】
実開平6−83896号公報
【特許文献4】
登録実用新案第3011461号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された防虫シールの構造では、図6、図7からも明らかなように、内障子62の召し合わせ錠台座64a、および、戸先錠の台座64bが室内側に突出しているため、例えば、図7に示される内障子62と網戸70とが外枠サッシの左縦枠100に当接されている状態から、網戸70を右方向に移動させようとした場合、上記防虫シール73a、73bの先端部分と、内障子62の錠台座64a、64bとが干渉し、内障子62も一緒に右方向に引きずられて移動してしまい、また、逆に内障子62を移動しようとするとそれに引きずられて網戸70も移動してしまう、という問題があった。
【0010】
また、特許文献2〜4に開示されたモヘアを利用する構造では、上記のような網戸の防虫シールと、内障子の錠台座との干渉による問題は解決されるものの、図8に一例を示すように、網戸の縦框80がモヘアホール81により左右に分断されるため、網戸縦框の室内側表面に例えば木目模様のラッピングシート82を貼り付けようとする場合、シートを切断して2枚のシート82a、82bを貼り付ける作業が必要になる(図8(a)〜(c)参照)という問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は、引き違い障子とともに使用する場合に、網戸と障子との干渉が生じることがなく、表面にラッピングシートを貼付する際にも該シートを分断する必要がない網戸付きサッシを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記課題解決のためには、何らかの形でモヘアを使用することが不可欠であると考えた。特許文献1に開示されているような防虫シールでは防虫効果を確保しつつ、干渉の問題を完全に解決することはできないと考えられるからである。そこでまず、特許文献1の構造において、防虫シールを単純にモヘアに置き換えれば、干渉の問題を回避しつつ、ラッピングシートを分断する必要がなくなるものと考えられる。しかし、特許文献1に開示されているような構造のパッキン部材では、図6または図7の拡大図から明らかなとおり、モヘアホールを設けるための左右方向の幅がほとんどないため、モヘアを内障子方向に向けて取り付けることが不可能である。一方、パッキン部材の構造を、モヘアホールを設けることができるように変更することも考えられるが、この場合、モヘアホールを設ける分だけ左右のパッキン部材が網戸幅方向に延長される。
【0013】
この幅方向に延長されたパッキン部材において、モヘアホールが設けられた部分を除く、室内側に面する面、および端面の部分は網戸の框に張られるラッピングシートと異なる外観を呈すると、この網戸および障子が組み込まれた引き違いサッシ全体に違和感を生じることがある。本願発明者らは、パッキン部材の外観にラッピングシートの外観と統一性を持たせることにより、上記課題を解決することが可能であることを見出した。
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0015】
請求項1の発明は、障子(31、32)を引き違い可能にしてなる引き違いサッシ(10)に網戸(40)を備えた網戸付きサッシであって、網戸は上下左右の框(21、23、41a、41b)を組み合わせた枠体の内側に網(29)を張設して設けられ、左右両側の縦框(41a、41b)は表面に所定の色若しくは模様又は色および模様(以下において「色等」という。)が施されたラッピングシートにより覆われるとともに側部に延設されるパッキン(42a、42b)を略全長に亘って備え、パッキンはラッピングシートと略同一の色若しくは模様又は色および模様が表れるようにされた樹脂により形成され、パッキンの障子の縦框(43a、43b)に対向すべき面にはモヘアホール(424)が設けられるとともに、該モヘアホールには障子の縦框に向けてモヘア(425)が略全長に亘って取り付けられている網戸付きサッシにより前記課題を解決する。
【0016】
この発明によれば、網戸両側部に取り付けられたパッキンは網戸縦框のさらに外側に延設されているので、障子に対向する面にモヘアホールを設けるためのスペースを確保することが可能となる。また、このパッキンの障子に対向すべき面にモヘアが取り付けられているので、網戸と障子との干渉が生じることがなく、また表面にラッピングシートを貼付する際にも該シートを分断する必要がない。またパッキンは網戸本体を覆うラッピングシートと略同一の色等が表面に現れるように形成されているので、網戸全体の外観を統一することにより、意匠上の効果を高めることができる。また、パッキンは樹脂で形成されるので、表面に所定の色等を形成することが容易である。このパッキンは、図6および図7に示すような従来の網戸枠体にも交換用として使用することが可能である。
【0017】
上記網戸付きサッシにおいて、障子の幅をW、障子の縦框の幅wとしたとき、モヘア間の距離Xが
W−w≦X≦W−w/3
となるように横框の長さを調整してもよい。
【0018】
このようにすれば、パッキンが網戸縦框の側部より幅方向に突出する長さに応じて横框の長さを調整することにより、網戸と障子が重なった状態においても確実に、障子の召し合わせ部、または引き手を室内側に露出させることができる。また、左右のモヘア間の距離を一定範囲に保つことができるので、網戸の使用状態において各モヘア先端部を確実に障子の縦框に当接する位置に配置することが容易となり、ハエや蚊の室内への進入を防止することができる。また、従来と同一形状の押し出しおよび加工用金型を使用することができるのでコスト的にも有利である。さらに例えば特許文献1〜4の構造に比較した場合、横框の長さを切り詰めた分だけ網戸の枠体に占めるアルミニウムの重量を減らすことができるので、材料のコストダウンに資することが可能となる。
【0019】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の網戸を玄関の引き違い障子に適用した例を図面に示す実施形態に基づき説明する。本実施形態において、網戸は障子の室内側に配置されている。
【0021】
図1(a)は玄関障子を閉めた状態を室外側から示す図である。ここでは、内障子32が左側に、外障子31が右側にそれぞれ示されており、網戸はあらわれていない。図1(b)は玄関障子を閉めた状態を室内側からの視点により示す図である。外障子31は左側に表され、網戸40が右側に表されている。この状態においては、内障子32は網戸40の奥側にあるため、内障子32の左縦框43aのみ網戸40の左側に表れており、その余の部分は網戸40の網を透かして室内側から見ることができる。図1(c)は内障子32を開け、網戸40を閉めた状態を室内側から示す図である。この状態においては内障子32が左側にあり、網戸40が右側にある。外障子31は内障子32の奥に隠れて室内側からは見ることができない。
【0022】
図1(a)において、玄関開口部の開口周囲には矩形の外枠サッシ10があてがわれている。内障子32の縦框43b中央やや下方には、引き手5が形成され、不図示の戸先錠が設けられている。外障子31の、図1(a)における左側の縦框44bには召し合わせ部6が形成され、不図示の召し合わせ錠が設けられている。外障子31の図1(a)における右側の縦框44a中央やや下方には、引き手7が設けられている。引き手7にも不図示の戸先錠が設けられている。なお、図1(a)の視点からは表すことができないが、外障子31、内障子32のそれぞれの縦框43a、43b、44a、および、44bには、室内側および室外側それぞれの所定位置に召し合わせ、および引き手が設けられている(図1(b)、および図1(c)参照)。
【0023】
図2(a)は網戸の枠等構成部材を分解して示す図、(b)は網戸の組み立てを示す図である。図2(a)において、網戸は上框21、中框22、および下框23の3本の横框と、下框23の下側から嵌入される下部カバー24と、左縦框41a、右縦框41b、および左右の縦框の側部に取り付けられるパッキン42a、42bとを備え、これらが組み立てられて網戸の枠体を構成する。図2(b)において、組み立てられた網戸の枠体に網29が載せられ、その上から網押し棒28を枠体に設けられた溝部27に押し込むことにより網29が枠体に固定される。この状態において、溝部27周辺に沿って網29をカッター等で切断することにより、網戸が完成する。
【0024】
図3は、閉めた状態の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。外障子31の左端面は、外枠サッシの左縦枠100に当接されており、一方内障子32の右端面は、外枠サッシの右縦枠101に当接されている。図3においては、外障子31、および内障子32が上記のように配置され、引き違い障子は閉鎖された状態にある。外枠サッシの下枠には、レール35、36が設けられており、外障子31および内障子32はレール35、36上を外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで図の左右方向に移動されることができる。
【0025】
網戸40は、内障子32のさらに室内側に設けられている。網戸40も、不図示の滑走機構によりレール35、36と平行な方向に、外枠サッシ左右の縦枠100、101に当接するまで移動されることができる。網戸40の左右の縦框41a、41bのさらに側方にはパッキン42a、42bが嵌め込まれ取り付けられている。ここでパッキン42a(42b)の構造について、図3の下部に示されるA部拡大図を参照しつつ説明する。網戸40の左縦框41aの左側方には二つの突出部410、411が設けられている。パッキン42aは、これらの突出部410、411に嵌入する嵌合部420a、および421aを備え、さらにこれらの嵌合部420a、および421aの側方からそれぞれ図で左の方向にアーム420、421が延設されている。アーム420、421の各先端は連結片423により結ばれている。アーム420の内障子32に対向する側には、モヘアホール424が形成されている。モヘアホール424内にはモヘア425が接着固定されている。モヘア425は、ポリプロピレン等比較的柔軟な合成樹脂で形成されたベース425aの上面に多数のナイロン等からなる毛状部材425bが植え込まれて形成されている。毛状部材425bの先端は内障子32の左縦框43a室内側面に当接されている。室内側のアーム421の先端には突出片426が設けられている。突出片426は、外枠サッシや網戸40の枠体の建付け調整が悪くなった場合にその変形分を緩衝する機能を有している。
【0026】
以上に説明したように、網戸40の両翼部に取り付けられたパッキン42a、42bにモヘアホール424を設けたので、網戸表面にラッピングシートを貼付する際に、ラッピングシートを分断する必要がない。
【0027】
この状態において、内障子32を図の左方向に外枠サッシの左縦枠100に当接するまで移動すると、室内外は網戸40を介して通風可能な状態となる。このとき、網戸40左側のモヘア425の先端は、内障子32の右縦框43bの室内側面に当接されるので、室内外の完全なシールが行われ、ハエや蚊が室内に侵入するのを防止することができる。
【0028】
図4は、外障子31、内障子32、及び網戸40を全て外枠サッシの左縦枠100側に寄せた場合の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。内障子32の召し合わせ錠台座34a、および、戸先錠の台座34bが縦框43a、43bの室内側の面から室内側に向かって突出している。
【0029】
図4に示される内障子32と網戸40とが外枠サッシの左縦枠100に当接されている状態から、網戸40を右方向に移動させようとした場合、モヘア425の先端部分と、内障子32の錠台座34a、34bとが干渉する。しかしモヘア425の毛状部材425bは、その材料自体がナイロン等で形成されているため柔軟性、弾性に富んでいる。さらに、モヘア425の毛状部材425bは、ベース425aに取り付けられている部分のみが固定端であり、先端側は全て自由端とされているので、横方向からの力に対し、大きな抵抗を示すことなく容易に屈曲される。したがって、図4に示す状態から、網戸40を右方向に移動させて、モヘア425の先端部分と、内障子32の錠台座34a、34bとが干渉する状態が発生しても、内障子32に網戸40からの力が伝わることがなく、内障子32が網戸40と一緒に右方向に引きずられて移動してしまうことがない。また、逆に内障子32を移動しても、それに引きずられて網戸40も移動されてしまう、ということもない。
【0030】
図5は、玄関障子および網戸の、水平方向の長さの関係を説明する室内側から見た正面図である。この図では、内障子32および外障子31が左側に寄せられて玄関障子が開放された状態を示しているが、外障子31が右側に寄せられた状態も鎖線により示されている。玄関障子の内障子32、および外障子31は正面視において同一形状に形成されている。意匠の美感上、それぞれの障子を左右対称形状とし、玄関障子として外枠サッシ10に組み付けた場合にも、正面視左右対称とすることが行われている。各障子の縦框それぞれには、同じ高さに召し合わせ部と引き手部とが設けられている。この場合、各障子の幅Wは統一されている。また、各障子における縦框の幅wも一定に設定されている。
【0031】
網戸40の両翼に取り付けられたパッキン42aの突出片426の長さ、および連結片423の厚さは、Wおよびwと比較した場合充分に小さいのでここでは無視し、モヘアは網戸40の左右両端にあるものとして考えることとする。玄関障子を図5の位置に開放し、網戸40を外枠サッシの右縦枠101に当接した状態において、網戸40のモヘア先端を内障子32の縦框43bに確実に当接させて虫類の室内への侵入を防ぐには、網戸40のモヘア間の距離Xを、(W−w)以上に設定する必要がある。これは、図5において、網戸の右側面を、外枠サッシの右縦枠101に当接させた状態において、網戸の左端部室外側に向けられたモヘアの先端が、内障子32の右縦框43bの右端に接する状態を意味するものである。また、モヘア間の距離Xがとりうる最大値はWである。Xをこれ以上にすると、網戸の右側面を、外枠サッシの右縦枠101に当接させた状態において、網戸の左端部室外側に向けられたモヘアの先端が、内障子32の右縦框43bの左端を越えてしまい、モヘア先端と内障子32との間に隙間が生じてしまうからである。
【0032】
本実施形態の網戸付きサッシにおいて、モヘア間の距離Xの上限は(W−w/3)とすることが望ましい。これよりXを大きくすると、玄関障子に対して網戸40が必要以上に大きくなりすぎて、障子と網戸とを重ねた際に障子の召し合わせまたは引き手が網戸に隠されてしまうからである。またこのような上限を設けることにより、アルミニウム材料使用量を節約することができ、コストダウンに資することが可能となる。なお、上記モヘア間の距離Xは、各モヘアの幅方向中心間の距離をいうものとする。また、各障子の縦框の幅wが異なる場合には、各框の幅の平均値をもってwを定めることとする。
【0033】
本実施形態において、網戸の框にはラッピングシートが貼付される。このラッピングシートに表された色等と同一の色等をパッキン表面に表すことが好ましい。パッキンを樹脂で形成する場合、容易にラッピングシートに表された色等と同一の色等を表すことができる。このようにすれば、網戸本体とパッキンとの意匠上の統一を図ることができ、網戸に高級感を与えることができる。
【0034】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う網戸付きサッシもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。例えば、以下に示す変形例は、当然に本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0035】
(変形例)
<1> 本実施形態において、網戸の框にラッピングシートが貼付され、このラッピングシートに表された色等と同一の色等をパッキン表面に表すことを説明したが、障子の部分にも同一の色等を施して外観の統一性を確保することが好ましい。このようにすれば、網戸付きサッシ全体に高級感を与え、商品価値を高めることができる。
<2> 引き違い障子として、玄関引き戸の例を示したが、縁側、窓など、建物開口部に設けられた引き違い障子であればいずれにおいても本発明の網戸付きサッシを適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1の発明によれば、網戸縦框の両側部にパッキンが延設されているので、障子に対向する面にモヘアホールを設けるためのスペースを確保することが可能となる。また、このパッキンの障子に対向すべき面にモヘアが取り付けられているので、例えば、網戸を開くときに同時に障子が動いてしまうということが生じることがなく、また表面にラッピングシートを貼付する際にも該シートを分断する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は玄関障子を閉めた状態を室外側から示す正面図、(b)は玄関障子を閉めた状態を室内側から示す正面図、(c)は玄関障子を開け、網戸を閉めた状態を室内側から示す正面図である。
【図2】(a)は網戸の枠等構成部材を分解して示す図、(b)は網戸の組み立てを示す図である。
【図3】閉めた状態の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。
【図4】全て左側に寄せた場合の玄関障子および網戸を、玄関障子の召し合わせ部の高さで水平断面として表した図である。
【図5】玄関障子および網戸の、水平方向の長さの関係を説明する正面図である。
【図6】玄関障子に、従来の網戸を組み合わせたものの水平断面図である。
【図7】図6の玄関障子の外障子、内障子、および網戸を全て左側に寄せた状態の水平断面図である。
【図8】(a)〜(c)は縦框にモヘアを取り付け、さらにラッピングシートで覆う工程を示す水平断面図である。
【符号の説明】
10 サッシ
21、23 横框
31 外障子(障子)
32 内障子(障子)
40 網戸
41a、41b 縦框
42a、42b パッキン
43a、43b 障子縦框
424 モヘアホール
425 モヘア
Claims (1)
- 障子を引き違い可能にしてなる引き違いサッシに網戸を備えた網戸付きサッシであって、
前記網戸は上下左右の框を組み合わせた枠体の内側に網を張設して設けられ、
左右両側の縦框は、表面に所定の色若しくは模様又は色および模様が施されたラッピングシートにより覆われるとともに、側部に延設されるパッキンを略全長に亘って備え、
前記パッキンは、前記ラッピングシートと略同一の色若しくは模様又は色および模様が表れるようにされた樹脂により形成され、
前記パッキンの、前記障子の縦框に対向すべき面には、モヘアホールが設けられるとともに、該モヘアホールには前記障子の縦框に向けてモヘアが略全長に亘って取り付けられている網戸付きサッシ。
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Cited By (4)
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