JP2004115714A - 粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリオレフィン系ポリマーを主体とする樹脂組成物からなる基材を使用した粘着テープにおいて、良好な手切れ性と良好な柔軟性を有する粘着テープを提供する。
【解決手段】基材と粘着剤層とからなる粘着テープであって、
基材をなす樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部にシランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合したものである。
【選択図】 なし
【解決手段】基材と粘着剤層とからなる粘着テープであって、
基材をなす樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部にシランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合したものである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線、ケーブル等の配線作業および消磁コイル等に使用される粘着テープに関し、燃焼時にハロゲン含有有毒ガスを発生しないようにしたノンハロゲン粘着テープであって、優れた手切れ性を付与したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電線、ケーブル等の配線作業および消磁コイル等に使用される粘着テープとしては、軟質ポリ塩化ビニルからなる厚み0.1〜0.3mm、幅15〜30mmのテープ状の基材の一方の表面にブチルゴム系粘着剤などからなる粘着剤層を形成したもの(以下、「PVC製粘着テープ」という。)が広く使用されている。
【0003】
ところで、現在環境問題が重視され、ダイオキシンの発生源とされている塩化ビニル系プラスチックの使用を取りやめる動きがある。このため、電線、ケーブルなどの被覆材についても脱塩化ビニル化が進んでおり、電線、ケーブルの接続等に使用されている粘着テープにも脱塩化ビニル化が要求されつつある。
【0004】
この要求を満たすものとして、粘着テープの基材をなす樹脂組成物にポリオレフィン系ポリマーを使用するとともに、例えば、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を配合することによって難燃性を付与し、燃焼時にダイオキシンやハロゲン含有ガスを発生しないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このような基材をなす樹脂組成物にポリオレフィン系ポリマーを使用する粘着テープ(以下、「ポリオレフィン系ポリマー製粘着テープ」という。)にあっては、PVC製粘着テープに比べて破断伸びが大きく、PVC製粘着テープのように簡単に手で切ることができず(手切れ性が悪く)、大きく伸びた状態で切れることになり、作業性が劣るといった問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−11400号公報(第2−4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記従来の問題点に鑑み、ポリオレフィン系ポリマー製粘着テープにおいて、PVC製粘着テープと同等な、良好な手切れ性を付与したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明による粘着テープは、基材と粘着剤層とからなる粘着テープであって、基材をなす樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に、シランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明による粘着テープは、基材と、この基材の上に形成された粘着剤層とからなる。
この粘着テープの基材を構成する樹脂組成物として、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合したものを用いる。
【0010】
ポリオレフィン系ポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、アクリルゴム、EPゴムなどから選択される1種もしくは2種以上のブレンドポリマーを用いることができる。
【0011】
なかでも、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−エチルアクリレート共重合体や、それらとアクリルゴムとのブレンドポリマーが好ましく、難燃性を重視する場合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−エチルアクリレート共重合体をベースポリマーとし、適宜ポリオレフィン系ポリマーを添加する。
【0012】
また、粘着テープに高難燃性を付与する(UL510に規定する難燃試験に合格する)ためには、ノンハロゲン系難燃剤として金属水酸化物を配合する。
この金属水酸化物には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどが用いられ、なかでも難燃性付与効果が高い水酸化マグネシウムが好ましい。
【0013】
粘着テープに高難燃性を付与する場合、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、金属水酸化物を80〜150重量部、好ましくは100〜130重量部配合する。80重量部未満では必要な難燃性が得られず(UL510に規定する難燃試験に合格できず)、150重量部を超えると組成物の機械強度、伸び等が大きく低下する。
【0014】
また樹脂組成物の難燃性を高めるために、ガム状シリコーン、シリコーン樹脂粉末などのシリコーン化合物、赤リン、ポリリン酸メラニン、ポリリン酸アンモニウム、ヒドロキシスズ酸亜鉛、モリブデン化合物、モリブデン水酸化アルミニウムなどから選択される1種または2種以上を混合した難燃助剤を配合してもよい。この難燃助剤の配合量は、ベースポリマー100重量部に対して、1〜15重量部、好ましくは8〜12重量部とされる。1重量部未満では配合効果が得られず、15重量部を超えるとコストが嵩む。
【0015】
そして、ポリオレフィン系ポリマーに金属水酸化物を配合した樹脂組成物からなる基材を使用した粘着テープに、PVC製粘着テープと同等な手切れ性を付与するために、上記樹脂組成物に配合される金属水酸化物の表面をシランカップリング剤で表面処理し、かつシランカップリング処理した金属水酸化物の配合量が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、50〜100重量部となるように調整する。
【0016】
ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物の配合量が50重量部未満である場合、破断伸びが大きく手切れ性が悪い。一方、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物の配合量が100重量部を超える場合、破断伸びが小さくなりすぎて実使用に適さず、また柔軟性が悪くなる。
【0017】
なお、シランカップリング処理した金属水酸化物と、シランカップリング処理しない金属水酸化物とを混合し、金属水酸化物の全配合量を調整し、粘着テープに良好な手切れ性と高難燃性(UL510に規定する難燃試験に合格する)とを付与するようにしてもよい。なお金属酸化物の全量の50wt%以上をシランカップリング処理した金属水酸化物が占めることが望ましい。
例えば、ポリオレフィンポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物を60重量部配合しただけでは、粘着テープに良好な手切れ性を付与することはできるが、高難燃性(UL510に規定する難燃試験に合格する)を付与することはできない(80重量部未満ではUL510に規定する難燃試験に合格できない)。しかしながら、これにシランカップリング処理しない(例えばステアリン酸処理した)金属水酸化物を50重量部さらに配合することによって、上記手切れ性が良好な粘着テープに高難燃性も付与することができる。
【0018】
上述したように、ポリオレフィン系ポリマーにノンハロゲン系難燃剤として金属水酸化物を配合してなる樹脂組成物において、ポリオレフィンポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物を50〜100重量部配合することによって、この樹脂組成物からなる基材を使用して作製された粘着テープに、PVC製粘着テープと同等な良好な手切れ性と、柔軟性を付与することができる。
【0019】
一方、シランカップリング処理した金属水酸化物のかわりに、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を配合しても、PVC製粘着テープと同等な手切れ性を付与することができる。ノンハロゲン系充填剤には、炭酸カルシウム、タルク、クレー等が挙げられる。
すなわち、ポリオレフィン系ポリマーにノンハロゲン系充填剤を配合してなる樹脂組成物において、ポリオレフィンポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合することによって、この樹脂組成物からなる基材を使用して作製された粘着テープに、PVC製粘着テープと同等な良好な手切れ性と、柔軟性を付与することができる。
【0020】
ポリオレフィン系ポリマー100重量に対して、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤の配合量が50重量部未満である場合、破断伸びが大きく手切れ性が悪い。一方、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤の配合量が100重量部を超える場合、破断伸びが小さくなりすぎ、柔軟性がなく実使用に適さない。
【0021】
なお、粘着テープの基材をなす樹脂組成物には、さらに必要に応じて老化防止剤、着色剤、無機充填剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤などを適宜配合してもよい。
【0022】
さらに、この樹脂組成物について、重金属含有量0.1重量%以下で、かつ塩素、フッ素、臭素まどのハロゲン元素を含有しないことが好ましい。重金属含有量0.1重量%以下とすることで、燃焼灰分中に有害とされるカドミウム、鉛などが規制値以下となり、処分が容易となる。
【0023】
また、上記樹脂組成物からなる基材は、体積抵抗率を1013Ω/cm3以上であることが好ましく、これにより得られる粘着テープは充分な電気絶縁性を有し、PVC製粘着テープと同様に電気絶縁処理にも使用し得る。
【0024】
次に、粘着剤層としては、ハロゲンやリン、その他有害な元素が含有されていなければ特に限定されず、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤などの一般的な粘着剤が使用できる。また粘着剤には必要に応じて粘着付与剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、顔料、充填剤等が添加されてもよい。
【0025】
粘着剤の具体例としては、次の粘着剤を1種もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
(イ)SBR系粘着剤、(ロ)アクリル系粘着剤、(ハ)天然ゴム系粘着剤、(二)イソプレンゴム系粘着剤、(ホ)イソブチレンゴム系粘着剤
【0026】
SBR系粘着剤としては、スチレンーブタジエンゴムを主成分とし、これにロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、コーバル、アルキルフェノールなどの粘着付与剤(タッキファイヤー)や、プロセスオイルなどの軟化剤、カーボンブラック、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、クレーなどの充填剤、トルエン、ヘキサン、無鉛ガソリンなどの溶剤、老化防止剤などを配合したものなどが用いられる。
【0027】
アクリル系粘着剤としては、種々のアクリル酸エステルを2種以上共重合したガラス転移温度が−20℃以下のアクリル共重合体を主成分とするもので、必要に応じて上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
【0028】
アクリル系粘着剤は、一般にブチルゴム名粘着剤やSBR系粘着剤などに比べて、粘着性が高いため、粘着剤層の層厚が薄くても十分強力な粘着力が得られる。粘着剤層の層厚が薄くてすめば、粘着テープ全体の厚みを一定とすると、基材の厚みを厚くすることができ、粘着テープの基材の機械的強度を高めることが可能となる。
【0029】
天然ゴム系粘着剤としては、天然ゴムを主成分とし、これに上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
イソプレンゴム系粘着剤としては、イソプレンゴムを主成分とし、これに上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
イソブチレンゴム系粘着剤としては、イソブチレンゴムを主成分とし、これに上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
【0030】
また、粘着テープを製造する方法としては、特に限定されないが、前期の樹脂組成物を溶融混練し、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形などによって、厚み0.1〜0.3mmの広幅のフィルムを製造し、粘着テープの基材とする。次いで、この基材の片面に前記の粘着剤をコーティング装置により所定の厚みに塗布した後、スリッターにて幅15〜30mmに裁断して巻き取る方法などがある。
【0031】
この場合、基材の粘着剤を塗布する面に、コロナ処理、プライマー処理等を行うことにより、粘着剤層と基材との接着力を向上させる方法を採ることも可能である。
また粘着剤層の厚みも限定されるものでなく、接着性および難燃性を損なわない程度にすればよく、数μm〜500μmで使用可能であり、一般には10μm〜200μmの範囲が好ましい。
【0032】
以下に、本発明による粘着テープについて具体的な実施例を挙げ、詳細に説明する。なお本発明は、以下の製造例のみに限定されるものではない。
【0033】
この発明の実施例1では、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムを50〜100重量部配合するとともに、老化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を配合した難燃性樹脂組成物から基材を構成し、粘着テープを作製した。
【0034】
この実施例では、表1に示すような配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し(製造例1〜3)、これらをインフレーション成形して厚み0.17mmのフィルム状の基材をそれぞれ取得した。そして、基材の片面に天然ゴム系粘着剤を塗布した後、スリッターで裁断し、幅19mmの粘着テープとした。
【0035】
なお、表1に示す比較例1〜4の粘着テープは、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムの配合量が50重量部未満であるか、100重量部を超えるものである。
【0036】
表1に示す物性値(伸びと柔軟性)の試験方法は、何れも、JIS C 2336に規定する試験方法に基づいて行ったものである。
【0037】
JIS C 2336に規定する伸び(%)の試験では、試験に必要なつかみ間隔を得るのに十分な長さの粘着テープを採取し、この粘着テープの両端を引張装置でつかみ、荷重が幅方向に均一にかかるように引張し、粘着テープが破断した時の伸び(%)を求めた。この伸び(%)は、最初のつかみ間隔に対する破断時のつかみ間隔の増加分をパーセント表示したものである。
そして、この伸び(%)が200〜350の範囲内である粘着テープは、PVC製粘着テープと同等な、良好な手切れ性を有する。
【0038】
またJIS C 2336に規定する低温特性における柔軟性の試験では、直径約1.6mm導線(最高許容導体温度75℃)からなる長さ300mmの熱可塑性樹脂絶縁ケーブル(湿潤場所での露出配線に適したタイプ)の銅の導体の中央50mmを露出させ、その露出した部分において、絶縁物が被覆されている両端部まで確実に被覆されるように粘着テープ(1本の粘着テープを用いて)をハーフラップで3回巻きつけた試験片を使用する。なお粘着テープを導体に巻きつけるにあたって、粘着テープは継ぎ部分に追従するように最小の張力で滑らかに巻いた。
そして、前記試験片を低温室に放置し、調整温度−40±1℃にて3時間調整した後、試験片をそのままの温度で柔軟性試験することによって、粘着テープの低温特性における柔軟性が、調整温度−40℃の柔軟性試験に合格する低温度等級−33℃のものであるかを判断した。
低温特性における柔軟性が、調整温度−40℃の柔軟性試験に合格する低温度等級−33℃のものでないと、電線に使用する粘着テープの柔軟性として不十分である。
【0039】
柔軟性の試験では、粘着テープで銅の導体を被覆した試験片を使用し、粘着テープが巻かれた部分を直径8mmのマンドレルの円周に沿って180°折り曲げ、それから真直ぐに伸ばし、次に折り曲げ面が逆になるように折り返す。この手順を、30秒以内に1回半行い、粘着テープの基材にクラックまたは剥がれがあるかどうかを調べ、クラックや剥がれが発生した場合は柔軟性が悪いと判断し、不合格とする。
表1では、柔軟性の試験に合格したものを○で示すとともに、特に柔軟性の優れたものを◎で示し、不合格ものを×で示した。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムを50〜100重量部配合してなる樹脂組成物を基材とする実施例1の粘着テープ(製造例1〜3)は、何れも、JIS C 2236に規定する試験方法に基づいて測定した伸び特性が200〜350%の範囲であるとともに、低温特性における柔軟性が、調整温度−40℃の柔軟性の試験に合格した低温度等級−33℃のものである。つまり、手切れ性に優れ、柔軟性に優れた粘着テープであった。
一方、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムを50重量部未満、または100重量部を超えて配合してなる樹脂組成物を基材とする比較例の粘着テープ(比較例1〜4)は、伸び特性が200〜350%の範囲に入らず、水酸化マグネシウムの配合量が50重量部未満である場合、伸びが大きく手切れ性が悪く、水酸化マグネシウムの配合量が100重量部を超える場合、柔軟性が悪かった。
【0042】
次に、この発明の実施例2の粘着テープについて説明する。
この実施例2では、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムを50〜100重量部配合するとともに、老化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を配合した難燃性樹脂組成物から基材を構成し、粘着テープを作製した。
【0043】
この実施例では、表2に示すような配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し(製造例4〜6)、これらをインフレーション成形して厚み0.17mmのフィルム状の基材をそれぞれ取得した。そして、基材の片面に天然ゴム系粘着剤を塗布した後、スリッターで裁断し、幅19mmの粘着テープとした。
なお、表2に示す比較例5〜8の粘着テープは、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムの配合量が50重量部未満であるか、100重量部を超えるものである。
【0044】
表2に示す物性値(伸びと柔軟性)の試験方法は、何れも、JIS C 2336に規定する試験方法に基づいて行ったものであり、上述した実施例1と同様にして行ったものである。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示すように、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムを50〜100重量部配合してなる樹脂組成物を基材とする実施例2の粘着テープ(製造例4〜6)は、何れも、JIS C 2236に規定する試験方法に基づいて測定した伸び特性が200〜350%の範囲であるとともに、調整温度−40℃の柔軟性の試験に合格した。つまり、手切れ性に優れ、柔軟性に優れた粘着テープであった。
一方、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムを50重量部未満、または100重量部を超えて配合してなる樹脂組成物を基材とする比較例の粘着テープ(比較例5〜8)は、伸び特性が200〜350%の範囲に入らず、水酸化アルミニウムの配合量が50重量部未満である場合、伸びが大きく手切れ性が悪く、水酸化アルミニウムの配合量が100重量部を超える場合、柔軟性が悪かった。
【0047】
続いて、この発明の実施例3の粘着テープについて説明する。
この実施例3では、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムを50〜100重量部配合するとともに、老化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を配合した難燃性樹脂組成物から基材を構成し、粘着テープを作製した。
【0048】
この実施例では、表3に示すような配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し(製造例4〜6)、これらをインフレーション成形して厚み0.17mmのフィルム状の基材をそれぞれ取得した。そして、基材の片面に天然ゴム系粘着剤を塗布した後、スリッターで裁断し、幅19mmの粘着テープとした。
なお、表3に示す比較例9〜12の粘着テープは、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムの配合量が50重量部未満であるか、100重量部を超えるものである。
【0049】
表3に示す物性値(伸びと柔軟性)の試験方法は、何れも、JIS C 2336に規定する試験方法に基づいて行ったものであり、上述した実施例1と同様にして行ったものである。
【0050】
【表3】
【0051】
表3に示すように、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムを50〜100重量部配合してなる樹脂組成物を基材とする実施例3の粘着テープ(製造例6〜9)は、何れも、JIS C 2236に規定する試験方法に基づいて測定した伸び特性が200〜350%の範囲であるとともに、調整温度−40℃の柔軟性の試験に合格した。つまり、手切れ性に優れ、柔軟性に優れた粘着テープであった。
一方、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムを50重量部未満、または100重量部を超えて配合してなる樹脂組成物を基材とする比較例の粘着テープ(比較例9〜12)は、伸び特性が200〜350%の範囲に入らず、炭酸カルシウムの配合量が50重量部未満である場合、伸びが大きく手切れ性が悪く、炭酸カルシウムの配合量が100重量部を超える場合、柔軟性が悪かった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による粘着テープは、燃焼時にダイオキシンやハロゲン含有ガスなどの有害物質を発生することがないポリオレフィン系ポリマー製粘着テープにおいて、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリンク処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合した樹脂組成物からなる基材を使用して粘着テープを作製することによって、PVC製粘着テープと同等な良好な手切れ性と、良好な柔軟性を付与したものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線、ケーブル等の配線作業および消磁コイル等に使用される粘着テープに関し、燃焼時にハロゲン含有有毒ガスを発生しないようにしたノンハロゲン粘着テープであって、優れた手切れ性を付与したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電線、ケーブル等の配線作業および消磁コイル等に使用される粘着テープとしては、軟質ポリ塩化ビニルからなる厚み0.1〜0.3mm、幅15〜30mmのテープ状の基材の一方の表面にブチルゴム系粘着剤などからなる粘着剤層を形成したもの(以下、「PVC製粘着テープ」という。)が広く使用されている。
【0003】
ところで、現在環境問題が重視され、ダイオキシンの発生源とされている塩化ビニル系プラスチックの使用を取りやめる動きがある。このため、電線、ケーブルなどの被覆材についても脱塩化ビニル化が進んでおり、電線、ケーブルの接続等に使用されている粘着テープにも脱塩化ビニル化が要求されつつある。
【0004】
この要求を満たすものとして、粘着テープの基材をなす樹脂組成物にポリオレフィン系ポリマーを使用するとともに、例えば、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を配合することによって難燃性を付与し、燃焼時にダイオキシンやハロゲン含有ガスを発生しないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このような基材をなす樹脂組成物にポリオレフィン系ポリマーを使用する粘着テープ(以下、「ポリオレフィン系ポリマー製粘着テープ」という。)にあっては、PVC製粘着テープに比べて破断伸びが大きく、PVC製粘着テープのように簡単に手で切ることができず(手切れ性が悪く)、大きく伸びた状態で切れることになり、作業性が劣るといった問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−11400号公報(第2−4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記従来の問題点に鑑み、ポリオレフィン系ポリマー製粘着テープにおいて、PVC製粘着テープと同等な、良好な手切れ性を付与したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明による粘着テープは、基材と粘着剤層とからなる粘着テープであって、基材をなす樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に、シランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明による粘着テープは、基材と、この基材の上に形成された粘着剤層とからなる。
この粘着テープの基材を構成する樹脂組成物として、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合したものを用いる。
【0010】
ポリオレフィン系ポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、アクリルゴム、EPゴムなどから選択される1種もしくは2種以上のブレンドポリマーを用いることができる。
【0011】
なかでも、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−エチルアクリレート共重合体や、それらとアクリルゴムとのブレンドポリマーが好ましく、難燃性を重視する場合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−エチルアクリレート共重合体をベースポリマーとし、適宜ポリオレフィン系ポリマーを添加する。
【0012】
また、粘着テープに高難燃性を付与する(UL510に規定する難燃試験に合格する)ためには、ノンハロゲン系難燃剤として金属水酸化物を配合する。
この金属水酸化物には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどが用いられ、なかでも難燃性付与効果が高い水酸化マグネシウムが好ましい。
【0013】
粘着テープに高難燃性を付与する場合、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、金属水酸化物を80〜150重量部、好ましくは100〜130重量部配合する。80重量部未満では必要な難燃性が得られず(UL510に規定する難燃試験に合格できず)、150重量部を超えると組成物の機械強度、伸び等が大きく低下する。
【0014】
また樹脂組成物の難燃性を高めるために、ガム状シリコーン、シリコーン樹脂粉末などのシリコーン化合物、赤リン、ポリリン酸メラニン、ポリリン酸アンモニウム、ヒドロキシスズ酸亜鉛、モリブデン化合物、モリブデン水酸化アルミニウムなどから選択される1種または2種以上を混合した難燃助剤を配合してもよい。この難燃助剤の配合量は、ベースポリマー100重量部に対して、1〜15重量部、好ましくは8〜12重量部とされる。1重量部未満では配合効果が得られず、15重量部を超えるとコストが嵩む。
【0015】
そして、ポリオレフィン系ポリマーに金属水酸化物を配合した樹脂組成物からなる基材を使用した粘着テープに、PVC製粘着テープと同等な手切れ性を付与するために、上記樹脂組成物に配合される金属水酸化物の表面をシランカップリング剤で表面処理し、かつシランカップリング処理した金属水酸化物の配合量が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、50〜100重量部となるように調整する。
【0016】
ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物の配合量が50重量部未満である場合、破断伸びが大きく手切れ性が悪い。一方、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物の配合量が100重量部を超える場合、破断伸びが小さくなりすぎて実使用に適さず、また柔軟性が悪くなる。
【0017】
なお、シランカップリング処理した金属水酸化物と、シランカップリング処理しない金属水酸化物とを混合し、金属水酸化物の全配合量を調整し、粘着テープに良好な手切れ性と高難燃性(UL510に規定する難燃試験に合格する)とを付与するようにしてもよい。なお金属酸化物の全量の50wt%以上をシランカップリング処理した金属水酸化物が占めることが望ましい。
例えば、ポリオレフィンポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物を60重量部配合しただけでは、粘着テープに良好な手切れ性を付与することはできるが、高難燃性(UL510に規定する難燃試験に合格する)を付与することはできない(80重量部未満ではUL510に規定する難燃試験に合格できない)。しかしながら、これにシランカップリング処理しない(例えばステアリン酸処理した)金属水酸化物を50重量部さらに配合することによって、上記手切れ性が良好な粘着テープに高難燃性も付与することができる。
【0018】
上述したように、ポリオレフィン系ポリマーにノンハロゲン系難燃剤として金属水酸化物を配合してなる樹脂組成物において、ポリオレフィンポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物を50〜100重量部配合することによって、この樹脂組成物からなる基材を使用して作製された粘着テープに、PVC製粘着テープと同等な良好な手切れ性と、柔軟性を付与することができる。
【0019】
一方、シランカップリング処理した金属水酸化物のかわりに、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を配合しても、PVC製粘着テープと同等な手切れ性を付与することができる。ノンハロゲン系充填剤には、炭酸カルシウム、タルク、クレー等が挙げられる。
すなわち、ポリオレフィン系ポリマーにノンハロゲン系充填剤を配合してなる樹脂組成物において、ポリオレフィンポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合することによって、この樹脂組成物からなる基材を使用して作製された粘着テープに、PVC製粘着テープと同等な良好な手切れ性と、柔軟性を付与することができる。
【0020】
ポリオレフィン系ポリマー100重量に対して、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤の配合量が50重量部未満である場合、破断伸びが大きく手切れ性が悪い。一方、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤の配合量が100重量部を超える場合、破断伸びが小さくなりすぎ、柔軟性がなく実使用に適さない。
【0021】
なお、粘着テープの基材をなす樹脂組成物には、さらに必要に応じて老化防止剤、着色剤、無機充填剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤などを適宜配合してもよい。
【0022】
さらに、この樹脂組成物について、重金属含有量0.1重量%以下で、かつ塩素、フッ素、臭素まどのハロゲン元素を含有しないことが好ましい。重金属含有量0.1重量%以下とすることで、燃焼灰分中に有害とされるカドミウム、鉛などが規制値以下となり、処分が容易となる。
【0023】
また、上記樹脂組成物からなる基材は、体積抵抗率を1013Ω/cm3以上であることが好ましく、これにより得られる粘着テープは充分な電気絶縁性を有し、PVC製粘着テープと同様に電気絶縁処理にも使用し得る。
【0024】
次に、粘着剤層としては、ハロゲンやリン、その他有害な元素が含有されていなければ特に限定されず、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤などの一般的な粘着剤が使用できる。また粘着剤には必要に応じて粘着付与剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、顔料、充填剤等が添加されてもよい。
【0025】
粘着剤の具体例としては、次の粘着剤を1種もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
(イ)SBR系粘着剤、(ロ)アクリル系粘着剤、(ハ)天然ゴム系粘着剤、(二)イソプレンゴム系粘着剤、(ホ)イソブチレンゴム系粘着剤
【0026】
SBR系粘着剤としては、スチレンーブタジエンゴムを主成分とし、これにロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、コーバル、アルキルフェノールなどの粘着付与剤(タッキファイヤー)や、プロセスオイルなどの軟化剤、カーボンブラック、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、クレーなどの充填剤、トルエン、ヘキサン、無鉛ガソリンなどの溶剤、老化防止剤などを配合したものなどが用いられる。
【0027】
アクリル系粘着剤としては、種々のアクリル酸エステルを2種以上共重合したガラス転移温度が−20℃以下のアクリル共重合体を主成分とするもので、必要に応じて上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
【0028】
アクリル系粘着剤は、一般にブチルゴム名粘着剤やSBR系粘着剤などに比べて、粘着性が高いため、粘着剤層の層厚が薄くても十分強力な粘着力が得られる。粘着剤層の層厚が薄くてすめば、粘着テープ全体の厚みを一定とすると、基材の厚みを厚くすることができ、粘着テープの基材の機械的強度を高めることが可能となる。
【0029】
天然ゴム系粘着剤としては、天然ゴムを主成分とし、これに上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
イソプレンゴム系粘着剤としては、イソプレンゴムを主成分とし、これに上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
イソブチレンゴム系粘着剤としては、イソブチレンゴムを主成分とし、これに上述の粘着付与剤、軟化剤、充填剤、溶剤、老化防止剤などを適宜配合したものなどが用いられる。
【0030】
また、粘着テープを製造する方法としては、特に限定されないが、前期の樹脂組成物を溶融混練し、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形などによって、厚み0.1〜0.3mmの広幅のフィルムを製造し、粘着テープの基材とする。次いで、この基材の片面に前記の粘着剤をコーティング装置により所定の厚みに塗布した後、スリッターにて幅15〜30mmに裁断して巻き取る方法などがある。
【0031】
この場合、基材の粘着剤を塗布する面に、コロナ処理、プライマー処理等を行うことにより、粘着剤層と基材との接着力を向上させる方法を採ることも可能である。
また粘着剤層の厚みも限定されるものでなく、接着性および難燃性を損なわない程度にすればよく、数μm〜500μmで使用可能であり、一般には10μm〜200μmの範囲が好ましい。
【0032】
以下に、本発明による粘着テープについて具体的な実施例を挙げ、詳細に説明する。なお本発明は、以下の製造例のみに限定されるものではない。
【0033】
この発明の実施例1では、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムを50〜100重量部配合するとともに、老化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を配合した難燃性樹脂組成物から基材を構成し、粘着テープを作製した。
【0034】
この実施例では、表1に示すような配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し(製造例1〜3)、これらをインフレーション成形して厚み0.17mmのフィルム状の基材をそれぞれ取得した。そして、基材の片面に天然ゴム系粘着剤を塗布した後、スリッターで裁断し、幅19mmの粘着テープとした。
【0035】
なお、表1に示す比較例1〜4の粘着テープは、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムの配合量が50重量部未満であるか、100重量部を超えるものである。
【0036】
表1に示す物性値(伸びと柔軟性)の試験方法は、何れも、JIS C 2336に規定する試験方法に基づいて行ったものである。
【0037】
JIS C 2336に規定する伸び(%)の試験では、試験に必要なつかみ間隔を得るのに十分な長さの粘着テープを採取し、この粘着テープの両端を引張装置でつかみ、荷重が幅方向に均一にかかるように引張し、粘着テープが破断した時の伸び(%)を求めた。この伸び(%)は、最初のつかみ間隔に対する破断時のつかみ間隔の増加分をパーセント表示したものである。
そして、この伸び(%)が200〜350の範囲内である粘着テープは、PVC製粘着テープと同等な、良好な手切れ性を有する。
【0038】
またJIS C 2336に規定する低温特性における柔軟性の試験では、直径約1.6mm導線(最高許容導体温度75℃)からなる長さ300mmの熱可塑性樹脂絶縁ケーブル(湿潤場所での露出配線に適したタイプ)の銅の導体の中央50mmを露出させ、その露出した部分において、絶縁物が被覆されている両端部まで確実に被覆されるように粘着テープ(1本の粘着テープを用いて)をハーフラップで3回巻きつけた試験片を使用する。なお粘着テープを導体に巻きつけるにあたって、粘着テープは継ぎ部分に追従するように最小の張力で滑らかに巻いた。
そして、前記試験片を低温室に放置し、調整温度−40±1℃にて3時間調整した後、試験片をそのままの温度で柔軟性試験することによって、粘着テープの低温特性における柔軟性が、調整温度−40℃の柔軟性試験に合格する低温度等級−33℃のものであるかを判断した。
低温特性における柔軟性が、調整温度−40℃の柔軟性試験に合格する低温度等級−33℃のものでないと、電線に使用する粘着テープの柔軟性として不十分である。
【0039】
柔軟性の試験では、粘着テープで銅の導体を被覆した試験片を使用し、粘着テープが巻かれた部分を直径8mmのマンドレルの円周に沿って180°折り曲げ、それから真直ぐに伸ばし、次に折り曲げ面が逆になるように折り返す。この手順を、30秒以内に1回半行い、粘着テープの基材にクラックまたは剥がれがあるかどうかを調べ、クラックや剥がれが発生した場合は柔軟性が悪いと判断し、不合格とする。
表1では、柔軟性の試験に合格したものを○で示すとともに、特に柔軟性の優れたものを◎で示し、不合格ものを×で示した。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムを50〜100重量部配合してなる樹脂組成物を基材とする実施例1の粘着テープ(製造例1〜3)は、何れも、JIS C 2236に規定する試験方法に基づいて測定した伸び特性が200〜350%の範囲であるとともに、低温特性における柔軟性が、調整温度−40℃の柔軟性の試験に合格した低温度等級−33℃のものである。つまり、手切れ性に優れ、柔軟性に優れた粘着テープであった。
一方、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化マグネシウムを50重量部未満、または100重量部を超えて配合してなる樹脂組成物を基材とする比較例の粘着テープ(比較例1〜4)は、伸び特性が200〜350%の範囲に入らず、水酸化マグネシウムの配合量が50重量部未満である場合、伸びが大きく手切れ性が悪く、水酸化マグネシウムの配合量が100重量部を超える場合、柔軟性が悪かった。
【0042】
次に、この発明の実施例2の粘着テープについて説明する。
この実施例2では、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムを50〜100重量部配合するとともに、老化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を配合した難燃性樹脂組成物から基材を構成し、粘着テープを作製した。
【0043】
この実施例では、表2に示すような配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し(製造例4〜6)、これらをインフレーション成形して厚み0.17mmのフィルム状の基材をそれぞれ取得した。そして、基材の片面に天然ゴム系粘着剤を塗布した後、スリッターで裁断し、幅19mmの粘着テープとした。
なお、表2に示す比較例5〜8の粘着テープは、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムの配合量が50重量部未満であるか、100重量部を超えるものである。
【0044】
表2に示す物性値(伸びと柔軟性)の試験方法は、何れも、JIS C 2336に規定する試験方法に基づいて行ったものであり、上述した実施例1と同様にして行ったものである。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示すように、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムを50〜100重量部配合してなる樹脂組成物を基材とする実施例2の粘着テープ(製造例4〜6)は、何れも、JIS C 2236に規定する試験方法に基づいて測定した伸び特性が200〜350%の範囲であるとともに、調整温度−40℃の柔軟性の試験に合格した。つまり、手切れ性に優れ、柔軟性に優れた粘着テープであった。
一方、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した水酸化アルミニウムを50重量部未満、または100重量部を超えて配合してなる樹脂組成物を基材とする比較例の粘着テープ(比較例5〜8)は、伸び特性が200〜350%の範囲に入らず、水酸化アルミニウムの配合量が50重量部未満である場合、伸びが大きく手切れ性が悪く、水酸化アルミニウムの配合量が100重量部を超える場合、柔軟性が悪かった。
【0047】
続いて、この発明の実施例3の粘着テープについて説明する。
この実施例3では、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムを50〜100重量部配合するとともに、老化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を配合した難燃性樹脂組成物から基材を構成し、粘着テープを作製した。
【0048】
この実施例では、表3に示すような配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し(製造例4〜6)、これらをインフレーション成形して厚み0.17mmのフィルム状の基材をそれぞれ取得した。そして、基材の片面に天然ゴム系粘着剤を塗布した後、スリッターで裁断し、幅19mmの粘着テープとした。
なお、表3に示す比較例9〜12の粘着テープは、エチレンー酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量19wt%)を100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムの配合量が50重量部未満であるか、100重量部を超えるものである。
【0049】
表3に示す物性値(伸びと柔軟性)の試験方法は、何れも、JIS C 2336に規定する試験方法に基づいて行ったものであり、上述した実施例1と同様にして行ったものである。
【0050】
【表3】
【0051】
表3に示すように、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムを50〜100重量部配合してなる樹脂組成物を基材とする実施例3の粘着テープ(製造例6〜9)は、何れも、JIS C 2236に規定する試験方法に基づいて測定した伸び特性が200〜350%の範囲であるとともに、調整温度−40℃の柔軟性の試験に合格した。つまり、手切れ性に優れ、柔軟性に優れた粘着テープであった。
一方、エチレンー酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、シランカップリング処理した炭酸カルシウムを50重量部未満、または100重量部を超えて配合してなる樹脂組成物を基材とする比較例の粘着テープ(比較例9〜12)は、伸び特性が200〜350%の範囲に入らず、炭酸カルシウムの配合量が50重量部未満である場合、伸びが大きく手切れ性が悪く、炭酸カルシウムの配合量が100重量部を超える場合、柔軟性が悪かった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による粘着テープは、燃焼時にダイオキシンやハロゲン含有ガスなどの有害物質を発生することがないポリオレフィン系ポリマー製粘着テープにおいて、ポリオレフィン系ポリマー100重量部に対して、シランカップリング処理した金属水酸化物、またはシランカップリンク処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合した樹脂組成物からなる基材を使用して粘着テープを作製することによって、PVC製粘着テープと同等な良好な手切れ性と、良好な柔軟性を付与したものである。
Claims (9)
- 基材と粘着剤層とからなる粘着テープであって、
基材をなす樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部にシランカップリング処理した金属水酸化物を50〜100重量部配合したものであることを特徴とする粘着テープ。 - シランカップリング処理した水酸化マグネシウムを50〜100重量部配合したものであることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
- シランカップリング処理した水酸化アルミニウムを50〜100重量部配合したものであることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
- 基材と粘着剤層とからなる粘着テープであって、
基材をなす樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマー100重量部にシランカップリング処理したノンハロゲン系充填剤を50〜100重量部配合したものであることを特徴とする粘着テープ。 - シランカップリング処理した炭酸カルシウムを50〜100重量部配合したものであることを特徴とする請求項4に記載の粘着テープ。
- ポリオレフィン系ポリマーとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、アクリルゴム、EPゴムから選択される1種もしくは2種以上のブレンドポリマーを使用することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の粘着テープ。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはエチレン−エチルアクリレート共重合体を主体とするブレンドポリマーを使用することを特徴とする請求項6に記載の粘着テープ。
- 基材をなす樹脂組成物の重金属含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の粘着テープ。
- JIS C 2236に規定する試験方法により、伸び特性が200〜350%の範囲であり、低温特性における柔軟性が調整温度−40℃の柔軟性試験に合格する低温度等級−33℃のものであることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の粘着テープ。
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