JP2004115610A - ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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平井 康裕
Kazuo Okazaki
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Abstract

【目的】透明性、紫外線吸収能、かつ耐薬品性に優れ、金型汚染がない、ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)芳香族ポリカーボネート樹脂80〜99.99重量%と、(b)少なくとも2種類のジカルボン酸成分とジオール成分とから構成され、且つジカルボン酸成分の1〜50モル%がナフタレンジカルボン酸成分である共重合ポリエステル樹脂20〜0.01重量%からなる混合樹脂100重量部及び、(c)蛍光増白剤0.001〜0.2重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、紫外線吸収能、耐薬品性に優れ、金型汚染の殆どない、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、および該組成物から得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、透明で、強度、剛性、耐摩擦磨耗性等の機械的物性にも優れた樹脂であり、例えば、自動車部品、各種精密機械部品等に広く用いられている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、紫外線吸収能が十分ではなく、例えば、屋外使用では、製品の劣化による強度の低下や変色により使用が制限されていた。それ故、これらの性質を改良するため、従来より、種々の安定剤等を配合した組成物が提案されている。
【0003】
例えば、耐候性を改良して屋外使用するために、ポリカーボネート樹脂にベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤とクマリン化合物およびナフタルイミド化合物から選ばれる蛍光増白剤が添加されたポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂とトリアジン化合物からなる紫外線吸収剤とクマリン化合物およびナフタルイミド化合物から選ばれる蛍光増白剤が添加されたポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂に350〜400nmの紫外線領域に極大吸収波長を有しない紫外線吸収剤と、蛍光増白剤を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物等が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。しかしながら、これらは十分な紫外線吸収能を有しているとはいえず、耐薬品性が不十分であった。また、紫外線吸収剤は揮発性を有するため、添加量が増えるに従い、金型汚染性が高くなるという問題があった。
耐薬品性を改良するためには、ポリカーボネート樹脂に共重合ポリエステル樹脂を配合した組成物(例えば特許文献4参照)が提案されており、さらに耐薬品性と耐候性を改良するために、ポリカーボネート樹脂に共重合ポリエステルと耐候安定剤としての紫外線吸収剤を配合した組成物(例えば特許文献5)が提案されている。しかしながら、更に優れた性能を有するポリカーボネート樹脂材料が求められている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−196904号公報
【特許文献2】
特開平10−176103号公報
【特許文献3】
特開2002−3710号公報
【特許文献4】
特開2000−103948号公報
【特許文献5】
特開2001−207064号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリカーボネートの透明性を維持し、しかも、少ない添加量で紫外線吸収能を発現するため金型汚染がほとんどなく、かつ耐薬品性に優れた、ポリカーボネート樹脂と特定の共重合ポリエステル樹脂とからなる組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、その要旨は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂80〜99.99重量%と、(b)少なくとも2種類のジカルボン酸成分とジオール成分とから構成され、且つジカルボン酸成分の1〜50モル%がナフタレンジカルボン酸成分である共重合ポリエステル樹脂20〜0.01重量%からなる混合樹脂100重量部、及び(c)蛍光増白剤0.001〜0.2重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物及びかかるポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳細に説明する。先ず、本発明で使用する(a)芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネートの重合体または共重合体が挙げられる。
【0008】
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。これらの中では特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好適に使用される。
【0009】
また、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、ジヒドロキシ化合物と共に、フロログルシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等のポリヒドロキシ化合物を使用すればよい。
【0010】
ジヒドロキシ化合物とホスゲン或いは炭酸ジエステルの反応は公知の方法が採用される。ホスゲンを使用する場合は、末端停止剤または分子量調節剤を使用してもよい。末端停止剤または分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、フェノール、p−t−ブチルフェノール、トリブロモフェノール等の他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、アルキルエーテルフェノール等が例示される。本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の場合、末端停止剤または分子量調節剤は、必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。
【0011】
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常20,000〜50,000であることが好ましく、より好ましくは20,000〜45,000であり、さらに好ましくは21,000〜40,000である。分子量は、メチレンクロライド溶媒中25℃で測定された溶液粘度より換算される。
【0012】
本発明で使用する(b)共重合ポリエステル樹脂は、少なくとも2種類のジカルボン酸成分とジオール成分とから成り、且つ全ジカルボン酸成分の1〜50モル%がナフタレンジカルボン酸成分である共重合ポリエステル樹脂である。かかる共重合ポリエステル樹脂を得る方法としては、例えば、ナフタレンジカルボン酸およびナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸とジオールとを共重合する方法が挙げられる。ナフタレンジカルボン酸やナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸の代わりにそれらのエステル形成性誘導体を使用することも出来る。
【0013】
ナフタレンジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸などの各種異性体が挙げられる。これらのナフタレンジカルボン酸異性体は、必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。これらの中では特に2,6−ナフタレンジカルボン酸が好適に使用される。
【0014】
ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびオキシ酸などが挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙げられる。
【0015】
脂環族ジカルボン酸としては、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの上記の芳香族ジカルボン酸の核水添化合物が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などが挙げられる。オキシ酸としては、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシカプロン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。これらのジカルボン酸の中では、好ましくは芳香族ジカルボン酸である。芳香族ジカルボン酸の中でもフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸が好ましく、テレタル酸が更に好ましい。
【0016】
ジカルボン酸と反応させるジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオール、芳香族ジオールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコールの他、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0017】
脂環族ジオールとしては、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0018】
芳香族ジオールのエチレンオキサイド付加物としては、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等が挙げられる。これらのジオール成分は、必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。これらの中では、脂肪族ジオールが好ましく、中でもエチレングリコール及び1,4−ブタンジオールが好ましく、エチレングリコールが更に好ましい。
【0019】
(b)共重合ポリエステル樹脂におけるジカルボン酸成分中のナフタレンジカルボン酸成分の割合は1〜50モル%である。1モル%未満であると耐薬品性の改良効果が不充分であり、50モル%を超えると透明性が低下する。ジカルボン酸成分中のナフタレンジカルボン酸の割合の下限は、好ましくは2モル%以上であり、更に好ましくは4モル%以上であり、特に好ましくは6モル%以上である。ジカルボン酸成分中のナフタレンジカルボン酸の割合の上限は、好ましくは40モル%以下であり、更に好ましくは25モル%以下である。
【0020】
(b)共重合ポリエステル樹脂の分子量は、特に限定されないが、テトラクロロエタン/フェノール=5/5(重量比)混合溶媒中30℃で測定された極限粘度が、通常0.3〜2dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.5dl/g、更に好ましくは0.5〜1.4dl/gである。
【0021】
(b)共重合ポリエステル樹脂の使用量は,(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と(b)共重合ポリエステル樹脂からなる混合樹脂中の0.01〜20重量%であり、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。(b)共重合ポリエステル樹脂の量が0.01重量%未満では、本発明樹脂組成物の耐薬品性が不十分であり、また20重量%を超えると、本発明樹脂組成物から得られる成形品の透明性が悪くなるので好ましくない。
【0022】
本発明に使用される(c)蛍光増白剤は、成形品を明るく見せるため、成形品に配合される顔料または染料であり、成形品の黄色味を消し、明るさを増加させるように機能する。成形品の黄色味を消すという点では、機能がブルーイング剤と類似しているが、ブルーイング剤は単に成形品の黄色光を除去するのに対して、蛍光増白剤は紫外線を吸収し、そのエネルギーを可視部の青紫色の光線に変えて放射する点で異なっている。本発明に使用される(c)蛍光増白剤は、紫外線を吸収し、そのエネルギーを可視部の青紫色の光線に変えて放射する作用を有するものであれば特に限定されないが、クマリン系化合物およびベンゾオキサゾ−ル系化合物が好ましい。
【0023】
好ましいクマリン系化合物としては、3−フェニル−7−アミノクマリン,3−フェニル−7−(イミノ−1’3’5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)−クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’3’5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−メトキシ)−クマリン、3−フェニル−7−(2H−ナフト(1,2−d)−トリアゾール−2−イル)クマリン、4−メチル−7−ヒドロキシ−クマリンなどをあげることができる。
【0024】
好ましいベンゾトリアゾ−ル系化合物としては、2,5−チオフェンジイル(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン,4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)フランなどをあげることができる。
具体的な商品としては、ハコール産業社からハッコールPSR、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社からUVITEX OB、UVITEX OB−ONEとして販売されており、容易に入手することができる。
【0025】
(c)蛍光増白剤の配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と(b)共重合ポエリエステル樹脂の合計量(100重量部)に対して、0.001〜
0.2重量部の範囲から選ばれる。蛍光増白剤の配合量が0.001重量部未満であると、成形品の黄色味を消し、明るさを増加させるという機能、および紫外線を吸収し可視部の青紫色に放射する機能が十分に発揮されず、0.2重量部を超えてもそれ以上の蛍光増白剤としての添加効果は見られない。蛍光増白剤の配合量の好ましい範囲は、0.003〜0.15重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。
【0026】
本発明樹脂組成物は、上記の(a)、(b)、(c)成分を必須成分として含有するものであるが、更に(d)亜リン酸エステル系安定剤を含有することが好ましい。本発明において用いられる(d)亜リン酸エステル系安定剤(以下、単に「リン系安定剤」ということがある)としては、種々のものが使用されるが、耐加水分解性が要求される組成物については、ペンタエリスリトール構造を有する亜リン酸エステル系安定剤の使用は、プレッシャークッカ−試験(120℃,100%RH,5hr)後に、成形品が白濁する場合があり好ましくない。
【0027】
本発明において用いられる(d)亜リン酸エステル系安定剤としては、下記一般式(1)および/または一般式(2)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0028】
【化3】
Figure 2004115610
【0029】
(Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基を表す)。
【0030】
【化4】
Figure 2004115610
【0031】
(R〜Rは、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、p及びqは、それぞれ0〜4の整数を表す。)。
これらRおよびR〜Rで示される基としては、それぞれ、例えば、炭素数1〜20のアルキル基などの脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基などの脂環族炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基が好ましい。また、これらの基はヒドロキシル基などの置換基で置換されていてもよい。
【0032】
上記一般式(1)または(2)の構造を有する亜リン酸エステル系安定剤としては、具体的には、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブチルフェニル)ホスファイト及びトリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。これらの安定剤のうち、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが好ましい。
【0033】
本発明組成物中の(d)亜リン酸エステル系安定剤の含有量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と(b)共重合ポエリエステル樹脂の合計量(100重量部)に対して0.01〜2重量部である。亜リン酸エステル系安定剤の量が0.01重量部より少ないと、安定剤としての効果が不十分であり、一方、2重量部を超えてもそれ以上の安定剤としての効果は得られない。亜リン酸エステル系安定剤の配合量は,0.02〜1重量部が好ましい。
【0034】
上記リン系安定剤を用いることにより耐候性、耐衝撃性、透明性、色調安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が得られるが、このリン系安定剤に加えて、さらに(e)フェノール系抗酸化剤を配合することにより、さらに紫外線吸収能、色調安定性が優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
本発明に使用される(e)フェノール系抗酸化剤としては,特に制限はないがヒンダードフェノール系化合物が好適に用いられる。代表的な例としてはペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’、3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
上記のうちで、特にペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これらのフェノール系抗酸化剤は、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、商品名「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されており、容易に入手することができる。
【0036】
(e)フェノール系抗酸化剤の配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と共重合ポエリエステル樹脂(b)の合計量(100重量部)に対して0.01〜2重量部である。配合量が0.01重量部より少ない場合には、抗酸化剤としての効果が不十分であり、一方、2重量部を超えて添加してもそれ以上の抗酸化剤としての効果は得られない。フェノール系抗酸化剤の配合量は、0.02〜1重量部が好ましい。
【0037】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、上記の(a)〜(e)の成分の他に、ベンゾフラノ−2−オン型化合物,紫外線吸収剤、離型剤、さらに必要であれば、顔料、染料などの添加剤を配合することができる。
【0038】
本発明に使用されるベンゾフラノ−2−オン型化合物は、下記一般式(3)で示される構造を有する化合物から選ばれる。
【0039】
【化5】
Figure 2004115610
【0040】
(式中、mは0〜4、nは0〜5の整数であり、X及びYは、同じまたは異なって、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基をす。)。
ベンゾフラノ−2−オン型化合物は、ポリマー中のアルキルラジカルを捕捉し、自動酸化反応を抑制する効果を有しており、かつ、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の成形加工時に、樹脂の黄変を抑える効果を有する特殊な安定剤である。
【0041】
上記一般式(3)において、X、Yは、具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基である。m、nは好ましくは2である。本発明に使用されるベンゾフラノー2−オン型化合物として、好ましくは、ベンゾフラノ−2−オン型化合物が、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tertブチル−ベンゾフラノー2−オン[上記一般式(3)において、(X)mが5,7−ジ−tertブチル基で、(Y)nが3,4−ジメチル基である化合物]、もしくは3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tertブチル−ベンゾフラノー2−オン[上記一般式(3)において、(X)mが5,7−ジ−tertブチル基で、(Y)nが2,3−ジメチル基である化合物]またはそれらの混合物である。
【0042】
樹脂組成物中のベンゾフラノ−2−オン型化合物の含有量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と(b)共重合ポエリエステル樹脂の合計量(100重量部)に対して、0.003〜1重量部であり、0.005〜0.5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.007〜0.1重量部である。0.003重量部より少ない場合には、ポリマー中のアルキルラジカルを捕捉する効果、自動酸化反応を抑制する効果、かつ、成形加工時に黄変を抑える効果が不十分であり、1重量部を超えた量を添加しても、それ以上の効果は得られない。
【0043】
本発明樹脂組成物は紫外線吸収能を有するが、更に紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などがあげられる。
【0044】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキジ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0045】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0046】
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートなどが挙げられる。
【0047】
紫外線吸収剤には、上に挙げた4種類の化合物類以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを、熱エネルギーなどとして放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤または着色剤などと併用することによって相乗効果を発揮するもの、またはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤などを併用することもできる。
【0048】
紫外線吸収剤の配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と(b)共重合ポエリエステル樹脂の合計量(100重量部)に対して通常、0.01〜2重量部の範囲で選ばれる。紫外線吸収剤が0.01重量部未満であると、樹脂組成物から得られる成形品の耐侯性が不十分成り、2重量部を越えると成形品の黄味が強くなって調色性が劣ったり、また成形品表面にブリードアウトし易い傾向がある。紫外線吸収剤の好ましい配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と共重合ポエリエステル樹脂の合計100重量部に対し、0.05〜1.8重量部であり、さらに好ましくは0.1〜1.5重量部である。
【0049】
本発明樹脂組成物に使用される離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも1種の化合物等芳香族ポリカーボネート樹脂に使用されるものが用いられる。これらの中で、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0050】
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
【0051】
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
【0052】
これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0053】
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
【0054】
離型剤の配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂と(b)共重合ポエリエステル樹脂の合計量(100重量部)に対して、通常、5重量部以下であり、好ましくは1重量部以下である。5重量部を超えると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。該離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
また、必要に応じて添加される顔料や染料は、従来から目的に応じて芳香族ポリカーボネート樹脂に適宜使用されるそれ自体公知のものが使用される。
【0055】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、例えば、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂、(b)共重合ポリエステル樹脂、(c)蛍光増白剤、さらに必要であれば(d)亜リン酸エステル系安定剤、(e)フェノール系抗酸化剤及び必要に応じて用いられるその他の添加剤を一括溶融混練する方法、あるいは(a)芳香族ポリカーボネート樹脂、(b)共重合ポリエステル樹脂、(d)亜リン酸エステル系安定剤を予め混練後、(c)蛍光増白剤、さらに必要であれば(e)フェノール系抗酸化剤その他の添加剤を配合し、溶融混練する方法などが挙げられる。また、これらの成分は、最終成形品を成形する直前までの任意の段階で、当業者に周知の種々の方法によって配合し混練することができる。配合方法としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などが挙げられる。混練方法としては、一軸押出機、二軸押出機などを使用する方法が挙げられる。
【0056】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、その目的に応じ、所望の特性を付与する他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤、発泡剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、マイカ、タルク等の補強剤、充填剤、染顔料などの一種または二種以上を含有させてもよい。
【0057】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形など、慣用の熱可塑性樹脂の成形方法に従って、所望の成形品とすることが出来る。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は透明性に優れ、厚さ3mmの試験片での測定値として、曇り度(ヘーズ値)が通常5%以下、更には3%以下の成形品を得ることが出来る。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は紫外線吸収能に優れ、厚み3mmにおける波長410nmの光線透過率が5%以下であり、かつ、厚み3mmにおける波長400nmの光線透過率が0.5%以下の成形品を得ることが出来る。また、後記実施例に示すように、少量の蛍光増白剤の添加で3mm厚みにおける光線透過率が0.05%以下となる(実質的に光線を透過しない)波長が400〜410nmに有り、紫外線吸収剤(特許文献1,3,5で使用の耐候性改良剤)を用いた組成物に比し、透明性を維持し、耐薬品性を有すると共に、広い波長範囲で紫外線透過を阻止することができ、かつ添加量が紫外線吸収剤より少量で優れた紫外線吸収能を示すので、金型汚染性も良好である。
【0058】
本発明により得られた成形品は、透明性、紫外線吸収能、及び耐薬品性に優れると共に、ポリカーボネート樹脂が有する種々の優れた機械的、熱的性質を有している。その用途としては、紫外線や薬品による劣化が懸念される用途のみならず、広い範囲の用途に使用可能であり、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電部品、自動車部品、建築材料、中空容器などが挙げられる。更に具体的には、アーケード、カーポート、屋内プール等の屋根用パネル、表示板カバー、スイッチボタン、表示ボタン、表示パネル、メーターパネル等の透過光式成型品、デリニエーター、信号灯、遮音壁、自動車のサイドウィンドー、リアクオーターウィンドー、サンルーフ、リアパネルガーニッシュ、ヘッドランプレンズ、テールランプ等の自動車部品、鉄道用灯具カバー、カメラレンズ、電話ジャック、リレーカバー、端子台カバー、太陽電池ハウジング、アイロン水タンク、コントロールボックス、パチンコ用玉入れケース、飾り治具、スキー用などのゴーグル、保護眼鏡レンズ、サングラスレンズ、保護面体、人工透析器、人工肺ケース及びそのキャップ並びにコネクター、街灯カバー等が挙げられる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した原材料および評価方法は次の通りである。
【0060】
(1)ポリカーボネート樹脂:粘度平均分子量が25,000のポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート。
【0061】
(2)共重合ポリエステル樹脂−1:ナフタレンジカルボン酸8モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂、極限粘度0.81(三菱化学(株)製、商品名:ノバペックス NC102Z)。
(3)共重合ポリエステル樹脂−2:ナフタレンジカルボン酸31モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂、極限粘度0.50(三菱化学(株)製、商品名:N31PET)。
【0062】
(4)蛍光増白剤−1:3−フェニル−7−(2H−ナフト(1,2−d)−トリアゾール−2−イル)クマリン(ハッコールケミカル社製、商品名:ハッコールPSR)。
(5)蛍光増白剤−2:2,5−チオフェンジイル(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾキサゾール)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名:UVITEX OB)。
(6)蛍光増白剤−3:4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名:UVITEX OB−ONE)。
【0063】
(9)リン系安定剤−1:トリス(2,4―ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト。
(10)リン系安定剤−2:2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト。
【0064】
(11)フェノール系抗酸化剤:ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:IRGANOX1010)。
(12)紫外線吸収剤:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール。
【0065】
<評価方法>
(A)曇度(ヘーズ値):3mm厚みのプレートを成形し、濁度計NDH−2000(日本電色工業(株)製)で測定した。
(B)初期黄変度(YI):3mm厚みのプレートを成形し、分光式色彩計SE−2000(日本電色工業(株)製)で測定した。
(C)光線透過率:3mm厚みのプレートを成形し、分光光度計UV−3100PC(島津製作所製)を用いて、JIS−K7361に準拠して、波長410nm、波長400nmの光線透過率、及び光線透過率が0.05%以下となる波長を測定した。
【0066】
(D)耐薬品性:厚さ3.2mmの引張試験片を成形し、変形率1%の撓みを負荷した状態で試験薬品を塗布し、48時間後の破断エネルギーの保持率(試験薬品を塗布しないものに対する比率)を求め、次の基準で評価した。
◎:破断エネルギー保持率が80%以上である場合、
○:破断エネルギー保持率が60%以上である場合、
×:破断エネルギー保持率が20%未満である場合、
試験薬品としては次の薬品を使用した。
(a)DOP:ジ゛オクチルフタレート(フタル酸ジ(2−エチルヘキシル))(東京化成工業(株)製)。
【0067】
(E)金型汚染性:日精樹脂製PS−40成形機を用い、しずく型金型を用いて、成形温度290℃で500ショット連続成形し、終了後金型の付着物の有無を観察し,次の基準で評価した。
○:金型の付着物が少ない。△:金型の付着物が多い。×:金型の付着物が非常に多い。
【0068】
実施例1〜10および比較例1〜5
表−1〜表−3に示す配合処方で、原料を秤量し、タンブラーによって20分混合した後、40mmφ単軸押出機によってい、シリンダー温度290℃でペレット化した。得られたペレットを用い、射出成形機にて、シリンダー温度290℃にて3.2mm厚の引張試験片および3mm厚プレートを成形し、各種の評価を行った。評価結果を表−1〜表−3に示した。
【0069】
【表1】
Figure 2004115610
【0070】
【表2】
Figure 2004115610
【0071】
【表3】
Figure 2004115610
【0072】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、透明性、紫外線吸収能、かつ耐薬品性に優れると共に、また、金型汚染性が良好であり、さらにポリカーボネート樹脂が本来有する優れた耐衝撃性、耐熱性等の諸特性を有しており、各種成形品の材料として使用される。例えば、ヘッドランプレンズ、テールランプ等の自動車部品、鉄道用灯具カバー、保護眼鏡レンズ、サングラスレンズの用途等に極めて有用である。特に薬品との接触及び、又は紫外線照射により劣化する分野への用途が期待される。

Claims (13)

  1. (a)芳香族ポリカーボネート樹脂80〜99.99重量%と、(b)少なくとも2種類のジカルボン酸成分とジオール成分とから構成され、且つジカルボン酸成分の1〜50モル%がナフタレンジカルボン酸成分である共重合ポリエステル樹脂20〜0.01重量%からなる混合樹脂100重量部、及び(c)蛍光増白剤0.001〜0.2重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (a)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が20,000〜50,000であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. (b)共重合ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分の2〜40モル%がナフタレンジカルボン酸成分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. (b)共重合ポリエステル樹脂を構成するナフタレンジカルボン酸成分以外のジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸成分であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. (b)共重合ポリエステル樹脂を構成する芳香族ジカルボン酸成分が、フタル酸成分、イソフタル酸成分およびテレフタル酸成分から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. (b)共重合ポリエステル樹脂を構成するジオール成分が脂肪族ジオール成分であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. (b)共重合ポリエステル樹脂を構成する脂肪族ジオール成分がエチレングリコール成分または1,4−ブタンジオール成分であることを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  8. (b)共重合ポリエステル樹脂の極限粘度が、(テトラクロロエタン/フェノール=5/5(重量比)混合溶媒中、30℃での測定値として、0.3〜2dl/gであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  9. (c)蛍光増白剤がクマリン系化合物および/またはベンゾオキサゾール系化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  10. (a)芳香族ポリカーボネート樹脂及び(b)共重合ポリエステル樹脂の合計量100重量部に対し、更に(d)亜リン酸エステル系安定剤0.01〜2重量部を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  11. (d)亜リン酸エステル系安定剤が、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物、
    Figure 2004115610
    (式中、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す)、
    Figure 2004115610
    (式中、R〜Rは、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、p及びqは、それぞれ0〜4の整数を表す。)。
  12. (a)芳香族ポリカーボネート樹脂及び(b)共重合ポリエステル樹脂の合計量100重量部に対し、更に(e)フェノール系抗酸化剤0.01〜2重量部を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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