JP2004115582A - 難燃性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂を液状シリコーンで難燃化する際に、ポリアミド樹脂が本来有する機械的特性、耐薬品性、良成形性を損なうことなく、難燃性及び物性等は向上させる難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)ポリアミド樹脂80〜99.9重量%及び(b)25℃で液状であるシリコーン化合物0.1〜20重量%の各成分からなる、組成物を押出機を用いて混練する際に、溶融した(a)ポリアミド樹脂と(b)液状シリコーン化合物が、接触混練することを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。特に、電気・電子分野のコネクター、ブレーカー、マグネットスイッチ等の部品、自動車分野の電装部品等の部品材料に好適に用いられる難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。とりわけ、本発明は、ポリアミド樹脂が本来有する機械的特性を損なうことなく難燃性を向上させ、かつ塩素、臭素等のハロゲン系難燃剤、アンチモン系助難燃剤並びリン系難燃剤を含有しない難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアミド樹脂は、機械的性質、成形加工性、電気絶縁性等に優れることから、自動車部品、機械部品、電気・電子部品などの広範な分野で使用されている。しかしながら、ポリアミド樹脂は易燃性であり、安全性の問題から種々の難燃化技術が提案されてきた。そしてそれらは一般的に高い難燃化効果を持つ臭素化合物等のハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンをポリアミド樹脂に配合する方法が取られている。
【0003】
例えば、ポリアミド樹脂への塩素置換多環式化合物の添加(例えば、特許文献1参照。)や臭素系難燃剤、例えば、デカブロモジフェニルエーテルの添加(例えば、特許文献2参照。)、臭素化ポリスチレンの添加(例えば、特許文献3及び特許文献4参照。)、臭素化ポリフェニレンエーテルの添加(例えば、特許文献5参照。)、臭素化架橋芳香族重合体の添加(例えば、特許文献6参照。)、臭素化スチレン−無水マレイン酸重合体の添加(例えば、特許文献7参照。)等が知られている。特にこれらハロゲン系難燃剤をガラス繊維等で強化したポリアミド樹脂に配合した組成物は高度の難燃性と高い剛性から、 電気・電子部品用途、特にプリント積層板に搭載されたり、接続されたりするコネクター用途に多用されてきた。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は難燃性を向上させる一方、射出成形などの加熱加工時に、腐食性のハロゲン化水素を発生し、金型等を腐食する問題があった。
【0004】
このことから、ハロゲンフリーのリン系難燃剤が注目され、数多く検討がなされてきた。例えば、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、あるいはポリリン酸メラミンをガラス繊維強化ポリアミド樹脂に使用するハロゲンフリーの難燃技術(例えば、特許文献8参照。)、無機質強化ポリアミド樹脂にポリリン酸メラミンを加え、チャー化触媒及び/又はチャー形成剤を併用する難燃技術(例えば、特許文献9参照。)が提案され、成形品において難燃規格UL94V−0規格を満足することが知られている。しかし、これらの技術では、電気・電子部品のコネクター用途で特に要求される薄肉成形品でのUL94V−0規格を満足するためには、リン酸メラミン系難燃剤を多く用いる必要があり、この為、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の機械的特性が大きく低下する。さらには成形加工時の離型性にも劣り、必ずしも電気・電子部品用の成形材料として満足されるものではなかった。
【0005】
また、薄肉成形品での難燃規格UL94V−0を達成する技術として、イントメッセント型難燃剤である硫酸メラミンをガラス繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂に適用した技術(例えば、特許文献10参照。)も開示されているが、この技術においてもポリアミド樹脂成分量に対して難燃剤を多く配合する必要があり、上記と同様の問題があった。さらには、薄肉成形品での難燃規格UL94V−0を達成しつつ、高い耐トラッキング性を付与する技術として、無機質強化ポリアミド樹脂にリン酸メラミン複合難燃剤に加え、アルカリ土類金属塩を配合する技術(例えば、特許文献11参照。)も提案されているが、この技術で得られた成形品は非常に脆い問題があった。更には成形加工性においても満足出来なく、また成形品を例えば60℃、95%RH等の高温高湿の環境下で長時間放置時、成形品表面にポリアミドオリゴマーや難燃剤が析出する、いわゆるブリードアウト現象が生じるなどの問題があり満足出来るものではなかった。
【0006】
これらに対して、シリコーン化合物は耐熱性が高く、加熱加工時に、腐食性のガス等の発生は無く、これを難燃剤として利用しようとする試みがポリカーボネート樹脂などの系で数多くなされ、樹脂成分にシリコーン化合物を添加することにより、ハロゲン化合物やリン化合物を使用せずに難燃性を付与できることが知られている。
一般的にシリコーン(オルガノポリシロキサン)化合物の構造は、以下に示す4つのシロキサン単位(M単位、D単位、T単位、Q単位)の少なくともいずれかが重合してなるポリマーである。
【0007】
1)M単位(一官能性)
【化5】
Figure 2004115582
【0008】
2)D単位(二官能性)
【化6】
Figure 2004115582
【0009】
3)T単位(三官能性)
【化7】
Figure 2004115582
【0010】
4)Q単位(四官能基)
【化8】
Figure 2004115582
【0011】
この内、特にT単位及び/又はQ単位を含有すると分岐状構造となる。
例えば、非ハロゲンかつ非リン系であるシリコーン化合物によって難燃化が行われているものとして、ポリカーボネート樹脂に特定構造を持つシリコーン化合物、アルカリ(土類)金属塩を添加する技術(例えば、特許文献12参照。)、含芳香族の非シリコーン樹脂に特定の構造を持つシリコーン化合物を添加する技術(例えば、特許文献13参照。)、芳香族ポリカーボネート樹脂に特定の構造を持つシリコーン化合物を添加する技術(例えば、特許文献14参照。)、含芳香族合成樹脂に特定の構造を持つシリコーン化合物を添加する技術(例えば、特許文献15及び特許文献16参照。)、ポリカーボネート樹脂を除く含芳香族合成樹脂またはポリオレフィン系樹脂に特定の構造を持つシリコーン化合物を添加する技術(例えば、特許文献17参照。)、ポリカーボネート樹脂に特定構造を持つシリコーン化合物、硫黄化合物の金属塩を添加する技術(例えば、特許文献18参照。)、ポリカーボネート樹脂に特定の構造を持つシリコーン化合物、アルカリ金属塩を添加する技術(例えば、特許文献19参照。)などが開示されているが、これらの技術は主にポリカーボネート樹脂などで行われたものでポリアミド樹脂や他樹脂に適用しても充分な難燃性を発現しない場合がある。
【0012】
また、これらの技術ではガラス繊維などの強化材を添加した場合、燃焼時にドリップが発生し、充分な難燃性を発現しない場合があった。又、ポリカーボネートでは、成形性や耐薬品性に劣り有機溶媒等に接触する恐れのある用途には使用できない場合があった。
更に、シリコーン化合物は、押出機などで樹脂と溶融混練するときの操作性が悪く、固体状のシリコーンレジン等は、トップフィード、サイドフィードのどちらでも、押出機シリンダーに添加する際に、加熱したシリンダーの熱によって、シリンダー内に入る前に、シリコーン化合物の一部が軟化又は溶融してしまい、非常に高い粘性を持ち、ホッパー内などに付着し、場合によっては、投入口を塞いでしまい、安定して組成物を供給できなくなる。また、液状のシリコーン化合物の場合でも、樹脂と液状シリコーンをスーパーミキサーやタンブラーミキサー等の公知の混合機(ブレンダー)を用いて、ペレットとブレンドしたものを押出機等で溶融混練する際には、ポリアミドなど極性の高いポリマーとは相溶性が低いことと、未溶融ポリマーと液状シリコーン化合物との粘度の差が大きいことなどのために、シリコーンの添加効率は低くなってしまい、場合によっては、押出機シリンダーからシリコーン化合物が漏れ出てくることもあった。
【0013】
【特許文献1】
特開昭48−29846号公報
【特許文献2】
特開昭47−7134号公報
【特許文献3】
特開昭51−47044号公報
【特許文献4】
特開平4−175371号公報
【特許文献5】
特開昭54−116054号公報
【特許文献6】
特開昭63−317552号公報
【特許文献7】
特開平3−168246号公報
【特許文献8】
特表平10−505875号公報
【特許文献9】
世界公開第98/45364号パンフレット
【特許文献10】
特開2000−119512号公報
【特許文献11】
世界公開00/09606号パンフレット
【特許文献12】
特開平8−176425号公報
【特許文献13】
特開平10−139964号公報
【特許文献14】
特開平11−140294号公報
【特許文献15】
特開平11−222559号公報
【特許文献16】
特開2000−212460号公報
【特許文献17】
特開2000−327851号公報
【特許文献18】
特開平11−217494号公報
【特許文献19】
特開2000−302961号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ハロゲン系並びにリン系難燃剤を含有しない液状シリコーンで難燃化する際に、シリコーンのロスを減少させ、且つ、ポリアミド樹脂が本来有する機械的特性、耐薬品性、良成形性を損なうことなく、難燃性を向上させ、更に、強化材などの成分が添加されても、難燃性等は低下させずに、物性等は向上させる難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂、液状シリコーン化合物を接触混練した際に、前記目的を達成しうることを見いだし、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)ポリアミド樹脂80〜99.9重量%及び(b)25℃で液状であるシリコーン化合物0.1〜20重量%の各成分からなる、組成物を押出機を用いて混練する際に、溶融した(a)ポリアミド樹脂と(b)液状シリコーン化合物が、接触混練することを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物である。
【0016】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の(a)ポリアミド樹脂としては、例えば、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物などが挙げられ、具体的にはポリ(メタキシリレンアジパミド)(以下MXD6ナイロンと略す)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)(以下6Tナイロンと略す)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)(以下6Iナイロンと略す)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(以下9Tナイロンと略す)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)(以下4Iナイロンと略す)等の脂肪族−芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド、及びこれらの共重合体や混合物を挙げることができる。本発明に好ましいポリアミドとしては、難燃性の点から芳香族ポリアミド成分を含むポリアミドが挙げられる。芳香族を含むポリアミドとしては芳香族二酸であるイソフタル酸やテレフタル酸成分を含むものより重合されたポリアミドが高い難燃性を発現するので特に好ましい。
【0017】
例えば6Tナイロン、6Iナイロン、9Tナイロン、4Iナイロン、及びこれらの共重合体や混合物が挙げられる。更に好ましくは、6/6T共重合ナイロン、66/6I共重合ナイロン、66/6T共重合ナイロン、6I/6T共重合ナイロン、66/6I/6T三元共重合ナイロンが高い難燃性と成形性を併せて満足するので好ましい。具体的には、(1)ポリアミド66単位70〜95重量%及びポリアミド6I単位5〜30重量%からなる共重合体;(2)ポリアミド66単位60〜89重量%、ポリアミド6I単位5〜30重量%及びポリヘキサメチレン以外の脂肪族ポリアミド単位1〜10重量%からなる3元共重合体;(3)ポリアミド66成分70〜95重量%及びポリアミド6I成分5〜30重量%を含有する混合ポリアミド;(4)ポリアミド66成分60〜89重量%、ポリアミド6I成分5〜30重量%及びポリヘキサメチレン以外の脂肪族ポリアミド成分1〜10重量%を含有する混合ポリアミドが挙げられ、これらの芳香族成分含有ポリアミドは上記特性に更に優れた耐熱性、電気特性も付与できるので更に好ましい。
【0018】
更に、芳香族を含むポリアミドとしてはジアミンであるキシリレンジアミン成分(メタキシリレンジアミンやパラキシリレンジアミンが挙げられる)を含むものより重合されたポリアミドが不燃層生成量が大きく、高い難燃性を発現するので特に好ましい。この様なものとして、具体的にはMXD6ナイロンが挙げられ、強化材及び有機アルカリ(土類)金属と組み合わせて用いた際に優れた難燃性を発現し、併せて優れた成形品外観を有するので好ましい。
本発明で用いられる(b)シリコーン化合物(以下、液状シリコーンと称することもある)の構造は、以下に示す4つのシロキサン単位(M単位、D単位、T単位、Q単位)の少なくともいずれかが重合してなるポリマーである。
【0019】
1)M単位(一官能性)
【化9】
Figure 2004115582
【0020】
2)D単位(二官能性)
【化10】
Figure 2004115582
【0021】
3)T単位(三官能性)
【化11】
Figure 2004115582
【0022】
4)Q単位(四官能性)
【化12】
Figure 2004115582
【0023】
この内、特にT単位及び/又はQ単位を含有すると分岐状構造となる。
そして、本発明の(b)シリコーン化合物の構造は特に規定が無く、分岐状でも直鎖状でも良いが分岐構造率が高いと固体状になってしまうので好ましくない。
固体状のシリコーンレジンは、押出などのコンパウンドの工程において、高温になると一部又は全部が溶融し、粘度が非常に高いためホッパー下部などに付着し、いわゆるブロッキングを起こし、ホッパー口を塞いでしまったり、非常に操作性が悪くなるので、液状のシリコーンが操作性の面で好ましい。
液状シリコーン化合物の粘度は、25℃で10〜1000mm/s(cSt)が、上記の点から好ましい。
【0024】
この様な液状シリコーンとしては、例えば以下のものが挙げられる。直鎖状のオルガノポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ビニルメチルオルガノポリシロキサン、ビニルフェニルメチルポリシロキサン等が挙げられ、分岐状のオルガノポリシロキサンとしてはメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、ビニルメチルオルガノポリシロキサン、ビニルフェニルメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0025】
更にを変性したオルガノポリシロキサンとして、アミノ変性オルガノポリシロキサン、エポキシ変性オルガノポリシロキサン、カルボキシル変性オルガノポリシロキサン、カルビノール変性オルガノポリシロキサン、メタクリル変性オルガノポリシロキサン、メルカプト変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、メチルスチリル変性オルガノポリシロキサン、高級アルキル変性オルガノポリシロキサン、高級アルキル脂肪酸エステル変性オルガノポリシロキサン、アルキルアラルキル変性オルガノポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、アルコール変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、シラノール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、これらの有機置換基の導入位置はオルガノポリシロキサンの主鎖末端や側鎖が挙げられ、導入率は一部又は全部でも良い。
【0026】
これらの液状シリコーンの有機置換基の内にビニル基を含有するものが好ましい。また、ビニル基が直接ケイ素原子に結合した液状シリコーン化合物が高い難燃性を発現するので特に好ましく、末端基(トリメチルシリル基やアルコキシ基等)を除くケイ素原子に結合している全有機置換基の内、ビニル基率がモル比で2%以上である液状シリコーンが一層高い難燃性を発現するので、更に好ましい。理由は明らかではないが、燃焼時に反応性の高いビニル基を含有する液状シリコーンが反応し、不燃層を形成し易くしたり、反応性の高いビニル基とシリコーン及び/又は樹脂と架橋反応によって溶融粘度を大きくしドリップを抑制したり、若しくは、この両者の相乗効果によって、優れた難燃効果や燃焼時のドリップ抑制効果を発揮すると思われる。
本発明で記載した接触混練とは、溶融させた樹脂と液状シリコーン化合物を両者の粘度差を小さくしてから直接混練する方法であり、本発明の工程では、両者の粘度差が大きい状態である溶融前の樹脂と液状シリコーン化合物は、混練前に一切接触しないことを意味する。
【0027】
具体的には、押出機で樹脂を溶融させ、粘度の低下した樹脂が存在する押出機シリンダー部分に、液添ポンプ等を用いて、直接液状シリコーン化合物をシリンダー系中に送り込み、ここで初めて(溶融して粘度の低下した)樹脂と液状シリコーン化合物が接触して、押出機のスクリューによって混練する方法等がある。又この時に、強化材や他の添加剤などはこの液状シリコーン添加工程と同一工程に添加しても、別工程で添加しても良い。この際、液状シリコーン化合物を送り込む方法としては、液添ポンプを用いる方法が好ましく、その液添ポンプは、ギアポンプやフランジ式ポンプ等があり、ギアポンプが好ましい。さらに、シリコーンを送り込むのに、液添ポンプに使用するシリコーンを貯めておくタンク、そのタンクとポンプ間の配管、ポンプと押出機シリンダー間の配管等シリコーンの流路となる部分をヒーター等で加温、加熱し液状シリコーンの粘度を少し小さくしてから使用すると、液添ポンプにかかる負荷が小さくなり、操作性などの面において好ましい。
【0028】
本発明において、(c)強化材を用いると、難燃性や引張強さ、曲げ強さや耐熱性等の物性、そして成形性などに優れるので好ましい。理由は明らかではないが、燃焼時に生成するチャーを強化材が強化するために難燃性が向上すると考えられ、また強化材が入ることによって、ペレットの表面に凹凸ができ、摩擦係数が大きくなるので、ペレットが滑りにくくなり、成形性が向上する。
本発明に好ましく用いられる(c)強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウオラストナイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン等の繊維状、粒状、板状、あるいは針状の無機質強化材が挙げられる。これらの強化材は二種以上組み合わせて用いてもよい。特にガラス繊維等の繊維状強化剤がドリップ抑制効果が高く、好ましく使用される。
【0029】
また、ガラス繊維は長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は表面処理した物を用いるのが好ましい。とりわけ、ガラス繊維を用いると、物性、難燃性に特に優れるため特に好ましい。そのなかでもガラス繊維の平均繊維径が5〜30μmが好ましい。また、ガラス繊維の表面処理をしたものが優れた物性を付与するので一層好ましい。
本発明において、(d)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩を用いると、難燃性に更なる向上が見られるので、好ましい。理由は分かっていないが、燃焼時にチャー形成反応を触媒し、チャー生成量を増やしたり、難燃剤の分散を小さくし、難燃剤の効率を向上させるため等の理由が考えられる。
【0030】
本発明において好ましく用いられる(d)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩としては、その様な金属化合物としては、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、2,6−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、o−ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム、m−ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロエタンスルホン酸カリウム、パーフルオロプロパンスルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロペンタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム等の有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩等の有機スルホイミドのアルカリ(土類)金属塩、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、酒石酸カリウム等のカルボン酸アルカリ(土類)金属塩、硝酸カリウム等などを挙げることができる。
【0031】
特に、p−トルエンスルホン酸ナトリウムやパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等の有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩が難燃性に優れるので好ましい。
本発明の好ましい態様として、成分(a)、(b)、(c)及び(d)からなる難燃性ポリアミド樹脂組成物において、主体となる(a)ポリアミド樹脂と(b)液状シリコーン化合物の割合は、成形加工性、機械的物性の観点から(a)ポリアミド樹脂と(b)液状シリコーンの合計の80重量%以上であり、難燃性、剛性の観点から99.9重量%以下である。
【0032】
(b)シリコーン化合物の割合は、燃焼時のドリップ発生を抑制する効果から0.1重量%以上であり、混練のしやすさ、混練時分解ガスが発生したり、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着するなどの問題から20重量%以下である。
(c)強化材の割合は、機械的強度・剛性から(a)ポリアミド樹脂と(b)液状シリコーン化合物の合計100重量部に対して、5重量部以上であり、押出時や射出成形時の成形加工性の著しい低下を防止するのみならず、物性改良効果の観点から150重量部以下である。
(d)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩の割合は、上記(a)、(b)及び(c)からなる組成100重量部に対して、難燃性の観点から0.01重量部以上であり、射出成形時の熱安定性から10重量部以下である。
【0033】
本発明の強化された難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定的でなく、ポリアミド樹脂、液状シリコーン化合物、強化材を常用の単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法等であればよい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば、他の液状シリコーン化合物、固状シリコーン化合物、シリカ、フュームドシリカ、シリカゲル等のケイ素系、臭素化ポリスチレンやポリジブロモスチレン等のハロゲン系、三酸化アンチモン等のアンチモン系、メラミンやメラミンシアヌレート等の窒素系、赤リンやポリリン酸メラミン等のリン系、炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムなどの金属系、ホウ酸亜鉛化合物、低融点ガラス、膨張性黒鉛等の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン等のフィブリル化剤、ポリビニルアルコール等のチャー形成剤、顔料、染料等の着色剤や、熱可塑性樹脂の一般的な熱安定剤である銅系熱安定剤(例えばヨウ化銅、酢酸銅等とヨウ化カリウム、臭化カルウムとの併用)、ヒンダードフェノール系酸化劣化防止剤に代表される有機系耐熱剤、耐候性改良剤、核剤、可塑剤、帯電防止剤等の添加剤等を添加することが出来る。
本発明の組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など公知の方法によってコネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等の電気、電子、自動車用途の各種成形品に成形される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。
[原材料]
(a)ポリアミド樹脂
(a−1):ポリアミドMXD6  三菱エンプラ(株)製  商品名 レニー6002
(a−2):製造例1のポリアミド66/6I  (共重合成分のモル比 66:6I=85:15)
(a−3):66ナイロン  旭化成(株)製  商品名 LEONA1300
【0035】
(b)液状シリコーン化合物
(b−1):ビニル基含有液状シリコーン化合物 信越化学工業(株)製  商品名 X−40−9243
この液状シリコーン化合物を重クロロホルムに溶解させ、29Si−NMR及びH−NMR測定し、シリコーン化合物の構造解析を行い、ビニル基の有無を確認した。また、この測定で得られた積分比よりこのシリコーン化合物は末端基(トリメチルシリル基やアルコキシ基等)を除くケイ素上の全有機置換基の内、ビニル基率はモル比で10%であった。
(b−2):製造例2のビニル基含有液状シリコーン化合物
b−1と同様に測定を行い、ビニル基率はモル比で8%であった。
【0036】
(c)強化材
(c−1):ガラス繊維 日本電気硝子(株)製 商品名 ECT03T275H/PL(平均繊維径10μm)
(d)金属塩化合物
(d−1):p−トルエンスルホン酸ナトリウム 和光純薬製
【0037】
製造例1
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩2.00kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.35kg、アジピン酸0.1kg、および純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込み良く撹拌した。充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧はゲージ圧で1.76MPaになるが、1.76MPa以上の圧にならないよう水を反応系外に除去しながら加熱を続けた。更に2時間後内温が260℃に到達した時点で加熱を止め、オートクレーブのバルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポリマーを取りだし粉砕した。得られた粉砕ポリマーを、10Lのエバポレーターに入れ窒素気流下、200℃で10時間固相重合した。固相重合によって得られたポリアミドは、融点245℃、硫酸相対粘度2.38であった。
【0038】
製造例2
トリクロロフェニルシラン42.3g、ジクロロメチルビニルシラン42.3g、ジクロロメチルフェニルシラン38.2g、ジクロロジメチルシラン167.8gの混合液を水450.8g、トルエン143gの混合液中にゆっくり滴下し加水分解した後、80℃で1時間熟成した。そして、過剰量のクロロトリメチルシランを反応液に滴下し、さらに80℃で1時間熟成した。分液ロートで水相を捨て、有機(トルエン)相を中性になるまで10%硫酸ナトリウム水溶液で数回抽出した。
その後、蒸留装置に有機相を移して、ある程度溶媒のトルエンを除去し、最後にエバポレーターを用いて溶媒を完全に減圧留去し、ビニル基含有液状シリコーン約180gを得た。
【0039】
[測定方法]
(1)液状シリコーン化合物の添加効率(表中ではシリコーン添加効率)
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物を混練し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この際、押出機のシリンダーから液状シリコーンが漏れてくるかどうかを目視で確認した。次に得られたポリアミド樹脂組成物ペレットをケイ素元素分析でポリアミド樹脂組成物中のケイ素濃度を測定する。また、同様に液状シリコーン化合物のケイ素濃度も測定し、この両者の値より、実際に樹脂中に含まれる液状シリコーン化合物濃度を算出した。
この様にして得られた、樹脂中に含まれる液状シリコーン化合物濃度と混練した際の添加量を比べ、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。
【0040】
(2)難燃性
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法を用いて1サンプル当たりそれぞれ10本づつ測定を行った。V−1で有るもの(◎)及びV−1ではないがドリップしなかったもの(○)を合格とし、ドリップが発生したもの(△、×)は不合格にした。なお試験片は厚みが1/8inchとし射出成形機を用いて成形して得た。
【0041】
(3)成形性
射出成形機を用いて、それぞれのサンプルの短冊試験片(3.2×13.0×130mm)を成形した際に、ペレットホッパーから成形機スクリューへの樹脂の供給効率を評価した。全く問題なくペレットがスクリュー部へ供給されるものを合格(◎)、合格よりも多少供給に問題(具体的には、ペレットがスクリューに食い込みにくい等)があり、可塑化時間が長くなるが、射出サイクルには問題ないものをやや合格(○)、供給に問題があり、全サンプル中半分以下のサンプルで射出サイクルが遅れてしまうものをやや不合格(△)、供給にかなり問題があり、全サンプル中半分以上のサンプルで射出サイクルが遅れてしまうものを不合格(不合格)とした。
【0042】
以下に示す実施例、比較例、製造例において、樹脂組成物を得る際、シリコーン濃度をケイ素元素分析で解析するために、2ステップで混練を行った。まずステップ1では、ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物のみの混練を行い、ペレットを得た。このペレットをケイ素元素分析で分析して、実際に樹脂中に含まれる液状シリコーン化合物濃度を算出した。次のステップ2では、ステップ1で作成したペレットと、強化材などのポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物以外の成分を混練し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。しかし、これは実験の一例を示したものであり、本発明の内容を限定するものではなく、例えば1ステップでポリアミド樹脂、液状シリコーン化合物、強化材や金属塩化合物等の他の難燃助剤や添加剤などを加える方法等も当然本発明に含まれる。
まず、ステップ1に対応する実施例1〜6、比較例1〜3、製造例3を以下に示す。
【0043】
【実施例1】
ポリアミド樹脂a−1が97.5重量%、液状シリコーン化合物b−1が2.5重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
シリンダーの中央付近(トップフィード用ホッパーから10ブロック中6ブロック目)に液添装置を取り付けた2軸押出機(W&P社製ZSK25)を用いてシリンダー設定温度240℃、スクリュー回転300rpm、吐出量10kg/hrの条件下で、ポリアミド樹脂a−1を添加量9.75kg/hrでトップフィードし、液状シリコーン化合物b−1は液添装置を用いて添加量0.25kg/hrでシリンダー系中に直接添加し、両者を混練し、ストランド状に取り出し、冷却後カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
得られたペレットを元素分析にかけ、ポリアミド樹脂組成物中のケイ素濃度を求め、その値と液状シリコーン化合物のケイ素濃度よりシリコーン含量を算出した。添加量と実際の含量より、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0044】
【実施例2】
ポリアミド樹脂a−1が95.0重量%、液状シリコーン化合物b−1が5.0重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
ポリアミド樹脂a−1の添加量が9.5kg/hr、液状シリコーン化合物b−1の添加量が0.5kg/hrにした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
【実施例3】
ポリアミド樹脂a−1が90.0重量%、液状シリコーン化合物b−1が10.0重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
ポリアミド樹脂a−1の添加量が9.0kg/hr、液状シリコーン化合物b−1の添加量が1.0kg/hrにした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0046】
【実施例4】
ポリアミド樹脂a−1が85.0重量%、液状シリコーン化合物b−1が15.0重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
ポリアミド樹脂a−1の添加量が8.5kg/hr、液状シリコーン化合物b−1の添加量が1.5kg/hrにした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0047】
【実施例5】
ポリアミド樹脂a−1が90.0重量%、液状シリコーン化合物b−2が10.0重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
ポリアミド樹脂a−1の添加量が9.0kg/hr、液状シリコーン化合物b−2の添加量が1.0kg/hrにした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0048】
【実施例6】
ポリアミド樹脂a−2が90.0重量%、液状シリコーン化合物b−1が10.0重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
ポリアミド樹脂a−2の添加量が9.0kg/hr、液状シリコーン化合物b−1の添加量が1.0kg/hrにした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0049】
【実施例7】
ポリアミド樹脂a−3が90.0重量%、液状シリコーン化合物b−1が10.0重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
ポリアミド樹脂a−3の添加量が9.0kg/hr、液状シリコーン化合物b−1の添加量が1.0kg/hrにした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0050】
【比較例1】
ポリアミド樹脂a−1が97.5重量%、液状シリコーン化合物b−1が2.5重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
2軸押出機(W&P社製ZSK25)を用いてシリンダー設定温度240℃、スクリュー回転300rpm、吐出量10kg/hrの条件下で、ポリアミド樹脂a−1と液状シリコーン化合物b−1を上記比率になるようにブレンドし、このブレンド物をトップフィードし、両者を混練し、ストランド状に取り出し、冷却後カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
得られたペレットを元素分析にかけ、ポリアミド樹脂組成物中のケイ素濃度を求め、その値と液状シリコーン化合物のケイ素濃度よりシリコーン含量を算出した。添加量と実際の含量より、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0051】
【比較例2】
ポリアミド樹脂a−1が95.0重量%、液状シリコーン化合物b−1が5.0重量%にした以外は比較例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0052】
【比較例3】
ポリアミド樹脂a−1が90.0重量%、液状シリコーン化合物b−1が10.0重量%にした以外は比較例1と同様にしてペレットを得て、液状シリコーン化合物の添加効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0053】
【製造例3】
ポリアミド樹脂a−1が99.95重量%、液状シリコーン化合物b−1が0.05重量%からなるポリアミド樹脂組成物を得た。
シリンダーの中央付近(トップフィード用ホッパーから10ブロック中6ブロック目)に液添装置を取り付けた2軸押出機(W&P社製ZSK25)を用いてシリンダー設定温度240℃、スクリュー回転300rpm、吐出量10kg/hrの条件下で、ポリアミド樹脂a−1を添加量99.95kg/hrでトップフィードし、液状シリコーン化合物b−1は液添装置を用いて添加量0.05kg/hrでシリンダー系中に直接添加し、両者を混練し、ストランド状に取り出し、冷却後カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
次に、ステップ2に対応する実施例8〜15、比較例4〜9を以下に示す。
【0054】
【実施例8】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなる実施例1のポリアミド樹脂組成物が100重量部、強化材c−1が25.0重量部(実施例1のポリアミド樹脂組成物100重量部に対して)、金属塩化合物d−1が0.1重量部(実施例1のポリアミド樹脂組成物と強化材の合計100重量部に対して)を2軸押出機(東芝機械製TEM35)を用いてシリンダー設定温度240℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/hrの条件下で、実施例1のポリアミド樹脂組成物及び金属塩d−1をトップフィードし、ガラス繊維c−1はサイドフィードして混練し、ストランド状に取り出し、冷却後カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
得られたペレットを前記した測定方法にて難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0055】
【実施例9】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を実施例2のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0056】
【実施例10】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を実施例3のポリアミド樹脂組成物を用いたこと及び金属塩化合物を添加しなかったこと以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0057】
【実施例11】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を実施例3のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0058】
【実施例12】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を実施例4のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0059】
【実施例13】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を実施例5のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0060】
【実施例14】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を実施例6のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0061】
【実施例15】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を実施例7のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表2に示す。
【0062】
【比較例4】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を比較例1のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表3に示す。
【0063】
【比較例5】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を比較例2のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表3に示す。
【0064】
【比較例6】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を比較例3のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表3に示す。
【0065】
【比較例7】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を比較例3のポリアミド樹脂組成物を用いたこと及び金属塩化合物を添加しなかったこと以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表3に示す。
【0066】
【比較例8】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物をポリアミド樹脂a−1を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表3に示す。
【0067】
【比較例9】
ポリアミド樹脂と液状シリコーン化合物からなるポリアミド樹脂組成物を製造例3のポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様にしてペレットを得て、難燃性と成形性を調べた。その結果を表3に示す。
表1〜3の実施例1〜15と比較例1〜9から分かる様に、ポリアミド樹脂、液状シリコーン化合物を接触混練した時のみ、シリコーンの添加効率、難燃性、成形性を全て向上させることができる。
【0068】
【表1】
Figure 2004115582
【0069】
【表2】
Figure 2004115582
【0070】
【表3】
Figure 2004115582
【0071】
【発明の効果】
本発明の組成物は、ポリアミド樹脂が本来有する機械的特性、耐薬品性、良成形性を損なうことなく難燃性とシリコーンの添加効率を向上させ、かつ塩素、臭素等のハロゲン系難燃剤並びにリン系難燃剤を含有しない難燃性ポリアミド樹脂材料であり、家電部品、電子部品、自動車部品等の用途に用いることが出来る。

Claims (9)

  1. (a)ポリアミド樹脂80〜99.9重量%及び(b)25℃で液状であるシリコーン化合物0.1〜20重量%からなる組成物を押出機を用いて混練する際に、溶融した(a)ポリアミド樹脂と(b)液状シリコーン化合物が接触混練することを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  2. (b)液状シリコーン化合物が、下記のシロキサン単位を有する群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
    1)M単位(一官能性)
    Figure 2004115582
    2)D単位(二官能性)
    Figure 2004115582
    3)T単位(三官能性)
    Figure 2004115582
    4)Q単位(四官能性)
    Figure 2004115582
    (但し、Rは、それぞれ同一又は異なる置換基で、アルキル基、アリール基、ビニル基、アリル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メチルエステル基およびエチルエステル基から選択される。)
  3. (a)ポリアミド樹脂が、
    (1)ポリ(メタキシリレンアジパミド)である重合体;
    (2)ポリ(カプラミド)単位及びポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)単位からなる共重合体;
    (3)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位及びポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位からなる共重合体;
    (4)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位及びポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)単位からなる共重合体;
    (5)ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位及びポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)単位からなる共重合体;
    (6)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位及びポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)単位からなる3元共重合体;
    (7)ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)である重合体
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体又は共重合体である請求項1〜2に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  4. (b)シリコーン化合物が、ケイ素原子に結合しているビニル基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  5. (b)シリコーン化合物が、ケイ素原子に結合している全有機置換基の内、ビニル基率がモル比で2%以上となることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  6. (a)ポリアミド樹脂及び(b)液状シリコーンからなる樹脂組成物100重量部に、更に(c)強化材5〜150重量部を含む請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  7. (c)強化材が、ガラス繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  8. (a)ポリアミド樹脂と(b)液状シリコーン又は(a)ポリアミド樹脂、(b)液状シリコーン及び(c)強化材からなる樹脂組成物100重量部に対して、更に(d)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩から選ばれた少なくとも1種の金属塩化合物0.01〜10重量部を配合してなる請求項1〜6いずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
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