JP2004115456A - 2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラン−3−カルボン酸類の2位リチオ化を含む2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類の製造方法に関する。本発明により得られる2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類は、医薬の合成中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
フラン−3−カルボン酸類の2位リチオ化方法としては、フラン−3−カルボン酸類をリチウムジイソプロピルアミドと反応させる方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸の製造方法として、2−トリメチルシリルフラン−3−カルボン酸をエステル化し、次いで2位のトリメチルシリル基をハロゲン化した後、加水分解する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−295939号公報(第53頁)
【非特許文献1】
ジェイ・シー・エス パーキンI(J.C.S. Perkin I)、1981年、第1125頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のフラン−3−カルボン酸類の2位リチオ化方法では、2位リチオ化の転化率は約85〜90%程度であり、2位リチオ化後にハロゲン化剤を反応させた場合、その生成物には2位がハロゲン化されていないものが多量に混入する。したがって、かかる方法では、高純度の2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類を得る場合には、精製操作が煩雑となり、収率の低下の原因になる。
【0006】
上記の2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸の製造方法は、原料である2−トリメチルシリルフラン−3−カルボン酸の調製が容易ではなく、工業的に有利な方法ではない。
【0007】
本発明の目的は、フラン−3−カルボン酸類の2位を効率よくリチオ化し得る方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、2位がリチオ化されたフラン−3−カルボン酸類を用いて効率よく工業的に有利に2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類を製造し得る方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)
【0010】
【化8】
【0011】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
で示されるフラン−3−カルボン酸類[以下、これをフラン−3−カルボン酸類(I)と称する]を、一般式(II)
【0012】
【化9】
【0013】
(式中、R3 、R4 、R5 およびR6 はそれぞれアルキル基またはシクロアルキル基を表すか、それらの2つが一緒になって式−(CR9 R10)b−Yd−(CR11R12)c−[式中、R9 、R10、R11およびR12はそれぞれ水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、Yは酸素原子または−NR13を表し、R13はアルキル基またはシクロアルキル基を表し、bおよびcはそれぞれ1〜4の整数を表し、その和が2〜7であり、dは0または1を表す。]で示される結合を表し、かつ他の2つがそれぞれアルキル基またはシクロアルキル基を表すか、一緒になって式−(CR9 R10)b−Yd−(CR11R12)c−[式中、R9 、R10、R11、R12、Y、b、cおよびdは前記定義のとおりである。]で示される結合を表し、R7 およびR8 はそれぞれアルキル基またはシクロアルキル基を表し、aは2〜10の整数を表す。)
で示される3級ジアミン類[以下、これを3級ジアミン類(II)と称する]の存在下に、一般式(III)
【0014】
【化10】
【0015】
(式中、R14はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。)
で示されるリチウム化合物[以下、これをリチウム化合物(III)と称する]と反応させ(リチオ化工程)、次いで、ハロゲン化剤と反応させる(ハロゲン化工程)ことを特徴とする一般式(IV)
【0016】
【化11】
【0017】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R1 およびR2 は前記定義のとおりである。)
で示される2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類[以下、これを2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類(IV)と称する]の製造方法である。
【0018】
また、本発明は、フラン−3−カルボン酸類(I)を3級ジアミン類(II)の存在下にリチウム化合物(III)と反応させることを特徴とするフラン−3−カルボン酸類(I)の2位リチオ化方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記一般式中、R1 およびR2 が表すアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基などが挙げられる。
【0020】
R1 およびR2 が表すシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。これらのシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリール基などが挙げられる。
【0021】
R1 およびR2 が表すアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリール基などが挙げられる。
【0022】
R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13およびR14が表すアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
【0023】
R14が表すアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0024】
R3 、R4 、R5 およびR6 の中の2つが一緒になって表す式−(CR9R10)b−Yd−(CR11R12)c−で示される結合としては、例えば、−CH2 CH2 −、−(CH2 )3 −、−(CH2 )4 −、−(CH2)5 −、−CH2 CH2 −O−CH2 CH2 −、−CH2 CH2 −N(CH3 )−CH2 CH2 −などが挙げられる。
【0025】
まず、フラン−3−カルボン酸類(I)のリチオ化工程について説明する。
【0026】
リチオ化反応は溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定されるものではなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、ベンゼンなどの炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジブチルエーテルなどのエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は、フラン−3−カルボン酸類(I)に対して0.5〜1000倍重量の範囲であるのが好ましい。
【0027】
リチウム化合物(III)の使用量は、フラン−3−カルボン酸類(I)に対して0.5〜5倍モルの範囲であるのが好ましく、1〜2倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0028】
3級ジアミン類(II)の使用量は、リチウム化合物(III)に対して0.5〜10倍モルの範囲であるのが好ましく、0.8〜2倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0029】
リチオ化反応温度は、−100〜0℃の範囲であるのが好ましく、−80〜−20℃の範囲であるのがより好ましい。
【0030】
リチオ化反応は、例えば、フラン−3−カルボン酸類(I)および3級ジアミン類(II)を必要に応じて溶媒に溶解または懸濁させた状態で、攪拌下に、リチウム化合物(III)の溶液を所定温度で滴下するか、リチウム化合物(III)および3級ジアミン類(II)を必要に応じて溶媒に溶解または懸濁させた状態で、攪拌下に、フラン−3−カルボン酸類(I)を必要に応じて溶媒に溶解させた状態で滴下して行うのが好ましい。
【0031】
かかるリチオ化反応により、一般式(V)
【0032】
【化12】
【0033】
(式中、R1 およびR2 は前記定義のとおりである。)
で示される2−リチオフラン−3−カルボン酸リチウム塩類が得られるものと推定される。
【0034】
このようにして得られた2−リチオフラン−3−カルボン酸リチウム塩類は、反応混合物より単離せずに、次のハロゲン化剤との反応に付すのが好適である。
【0035】
次に、ハロゲン化工程について説明する。
【0036】
ハロゲン化剤としては、ヘキサクロロエタン、N−クロロコハク酸イミド、トリクロロイソシアヌル酸、塩化チオニル、塩素、N−ブロモコハク酸イミド、5,5−ジメチル−1,3−ジブロモヒダントイン、臭化チオニル、臭素、ヨウ素、フッ素などが使用される。ハロゲン化剤の使用量は、フラン−3−カルボン酸類(I)に対して、0.5〜10倍モルの範囲であるのが好ましく、0.5〜3倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0037】
ハロゲン化反応温度は、−100〜50℃の範囲であるのが好ましく、−80〜20℃の範囲であるのがより好ましい。
【0038】
ハロゲン化剤は、その様態に応じてそのまままたは有機溶媒に希釈して溶液として用いられる。使用し得る有機溶媒としては、リチオ化工程で使用される溶媒に限られる。
【0039】
このようにして得られた2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類(IV)は、有機化合物の単離・精製において通常行われる方法により単離・精製することができる。例えば、反応混合物に水を添加し、分液漏斗を用いて有機層と水層に分離し、水層を塩酸、硫酸などにより酸性化した後、ジエチルエーテル、酢酸エチル、トルエンなどの溶媒で抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムなどで乾燥後、濃縮し、得られた粗生成物を、必要に応じて再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製する。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。
【0041】
実施例1
温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積50mlの3口フラスコに、フラン−3−カルボン酸1.12g(10mmol)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン1.395g(12mmol)およびテトラヒドロフラン10mlを加え、系内を窒素置換後、−60℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液13.75ml(22mmol)を、内温が−50℃以下に保たれるようにして滴下した。得られた反応液に、ヘキサクロロエタン2.60g(11mmol)をヘキサン10mlに溶解して得られた溶液を、内温が−50℃以下に保たれるようにして滴下した。反応液をさらに−50℃で1時間攪拌した後、2−プロパノール1mlを添加して、残存しているn−ブチルリチウムを分解した。反応液を室温まで昇温した後、該反応液に1N塩酸10mlを内温が30℃以下に保たれるようにして滴下した。有機層と水層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮することにより、淡黄色の固体を得た。この固体をトルエン10mlにより再結晶することにより、下記の物性を有する2−クロロフラン−3−カルボン酸1.255g(8.57mmol、単離収率85.7%)を得た。この固体を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2−クロロフラン−3−カルボン酸とフラン−3−カルボン酸の混合物であった(前者/後者=98.8/1.2)。
【0042】
1H−NMR(270MHz、CDCl3 、TMS、ppm)δ:7.46(d,1H,J=5.4Hz)、6.78(d,1H,J=5.4Hz)
【0043】
比較例1
温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積50mlの3口フラスコに、ジイソプロピルアミン2.23g(22mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、系内を窒素置換後、−20℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液13.75ml(22mmol)を、内温が−10℃以下に保たれるようにして滴下し、リチウムジイソプロピルアミドを調製した。
【0044】
温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積50mlの3口フラスコに、フラン−3−カルボン酸1.12g(10mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、系内を窒素置換後−78℃に冷却した。この溶液に、先に調製したリチウムジイソプロピルアミドを内温が−70℃以下に保たれるようにして滴下し、滴下終了後、−70℃でさらに30分間攪拌した。得られた反応液に、ヘキサクロロエタン2.60g(11mmol)をヘキサン10mlに溶解して得られた溶液を、内温が−70℃以下に保たれるようにして滴下した。反応液をさらに−78℃で1時間攪拌した後、2−プロパノール1mlを添加して、残存しているリチウムジイソプロピルアミドを分解した。反応液を室温まで昇温した後、該反応液に1N塩酸10mlを内温が30℃以下に保たれるようにして滴下した。有機層と水層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮することにより、淡黄色の固体を得た。この固体を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2−クロロフラン−3−カルボン酸とフラン−3−カルボン酸の混合物であった(前者/後者=87.9/12.1)。
【0045】
実施例2
実施例1において、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン1.395g(12mmol)の代りに[2.2.2]ジアザビシクロオクタン1.345g(12mmol)を用いた以外は同様にして反応および操作を行った。得られた結晶をHPLCにより分析した結果、2−クロロフラン−3−カルボン酸とフラン−3−カルボン酸の混合物であった(前者/後者=98.9/1.1)。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、フラン−3−カルボン酸類(I)の2位を効率よくリチオ化することができ、効率よく工業的に有利に2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類(IV)を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラン−3−カルボン酸類の2位リチオ化を含む2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類の製造方法に関する。本発明により得られる2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類は、医薬の合成中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
フラン−3−カルボン酸類の2位リチオ化方法としては、フラン−3−カルボン酸類をリチウムジイソプロピルアミドと反応させる方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸の製造方法として、2−トリメチルシリルフラン−3−カルボン酸をエステル化し、次いで2位のトリメチルシリル基をハロゲン化した後、加水分解する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−295939号公報(第53頁)
【非特許文献1】
ジェイ・シー・エス パーキンI(J.C.S. Perkin I)、1981年、第1125頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のフラン−3−カルボン酸類の2位リチオ化方法では、2位リチオ化の転化率は約85〜90%程度であり、2位リチオ化後にハロゲン化剤を反応させた場合、その生成物には2位がハロゲン化されていないものが多量に混入する。したがって、かかる方法では、高純度の2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類を得る場合には、精製操作が煩雑となり、収率の低下の原因になる。
【0006】
上記の2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸の製造方法は、原料である2−トリメチルシリルフラン−3−カルボン酸の調製が容易ではなく、工業的に有利な方法ではない。
【0007】
本発明の目的は、フラン−3−カルボン酸類の2位を効率よくリチオ化し得る方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、2位がリチオ化されたフラン−3−カルボン酸類を用いて効率よく工業的に有利に2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類を製造し得る方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)
【0010】
【化8】
【0011】
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
で示されるフラン−3−カルボン酸類[以下、これをフラン−3−カルボン酸類(I)と称する]を、一般式(II)
【0012】
【化9】
【0013】
(式中、R3 、R4 、R5 およびR6 はそれぞれアルキル基またはシクロアルキル基を表すか、それらの2つが一緒になって式−(CR9 R10)b−Yd−(CR11R12)c−[式中、R9 、R10、R11およびR12はそれぞれ水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、Yは酸素原子または−NR13を表し、R13はアルキル基またはシクロアルキル基を表し、bおよびcはそれぞれ1〜4の整数を表し、その和が2〜7であり、dは0または1を表す。]で示される結合を表し、かつ他の2つがそれぞれアルキル基またはシクロアルキル基を表すか、一緒になって式−(CR9 R10)b−Yd−(CR11R12)c−[式中、R9 、R10、R11、R12、Y、b、cおよびdは前記定義のとおりである。]で示される結合を表し、R7 およびR8 はそれぞれアルキル基またはシクロアルキル基を表し、aは2〜10の整数を表す。)
で示される3級ジアミン類[以下、これを3級ジアミン類(II)と称する]の存在下に、一般式(III)
【0014】
【化10】
【0015】
(式中、R14はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。)
で示されるリチウム化合物[以下、これをリチウム化合物(III)と称する]と反応させ(リチオ化工程)、次いで、ハロゲン化剤と反応させる(ハロゲン化工程)ことを特徴とする一般式(IV)
【0016】
【化11】
【0017】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R1 およびR2 は前記定義のとおりである。)
で示される2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類[以下、これを2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類(IV)と称する]の製造方法である。
【0018】
また、本発明は、フラン−3−カルボン酸類(I)を3級ジアミン類(II)の存在下にリチウム化合物(III)と反応させることを特徴とするフラン−3−カルボン酸類(I)の2位リチオ化方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記一般式中、R1 およびR2 が表すアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基などが挙げられる。
【0020】
R1 およびR2 が表すシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。これらのシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリール基などが挙げられる。
【0021】
R1 およびR2 が表すアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリール基などが挙げられる。
【0022】
R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13およびR14が表すアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
【0023】
R14が表すアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0024】
R3 、R4 、R5 およびR6 の中の2つが一緒になって表す式−(CR9R10)b−Yd−(CR11R12)c−で示される結合としては、例えば、−CH2 CH2 −、−(CH2 )3 −、−(CH2 )4 −、−(CH2)5 −、−CH2 CH2 −O−CH2 CH2 −、−CH2 CH2 −N(CH3 )−CH2 CH2 −などが挙げられる。
【0025】
まず、フラン−3−カルボン酸類(I)のリチオ化工程について説明する。
【0026】
リチオ化反応は溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に限定されるものではなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、ベンゼンなどの炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジブチルエーテルなどのエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は、フラン−3−カルボン酸類(I)に対して0.5〜1000倍重量の範囲であるのが好ましい。
【0027】
リチウム化合物(III)の使用量は、フラン−3−カルボン酸類(I)に対して0.5〜5倍モルの範囲であるのが好ましく、1〜2倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0028】
3級ジアミン類(II)の使用量は、リチウム化合物(III)に対して0.5〜10倍モルの範囲であるのが好ましく、0.8〜2倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0029】
リチオ化反応温度は、−100〜0℃の範囲であるのが好ましく、−80〜−20℃の範囲であるのがより好ましい。
【0030】
リチオ化反応は、例えば、フラン−3−カルボン酸類(I)および3級ジアミン類(II)を必要に応じて溶媒に溶解または懸濁させた状態で、攪拌下に、リチウム化合物(III)の溶液を所定温度で滴下するか、リチウム化合物(III)および3級ジアミン類(II)を必要に応じて溶媒に溶解または懸濁させた状態で、攪拌下に、フラン−3−カルボン酸類(I)を必要に応じて溶媒に溶解させた状態で滴下して行うのが好ましい。
【0031】
かかるリチオ化反応により、一般式(V)
【0032】
【化12】
【0033】
(式中、R1 およびR2 は前記定義のとおりである。)
で示される2−リチオフラン−3−カルボン酸リチウム塩類が得られるものと推定される。
【0034】
このようにして得られた2−リチオフラン−3−カルボン酸リチウム塩類は、反応混合物より単離せずに、次のハロゲン化剤との反応に付すのが好適である。
【0035】
次に、ハロゲン化工程について説明する。
【0036】
ハロゲン化剤としては、ヘキサクロロエタン、N−クロロコハク酸イミド、トリクロロイソシアヌル酸、塩化チオニル、塩素、N−ブロモコハク酸イミド、5,5−ジメチル−1,3−ジブロモヒダントイン、臭化チオニル、臭素、ヨウ素、フッ素などが使用される。ハロゲン化剤の使用量は、フラン−3−カルボン酸類(I)に対して、0.5〜10倍モルの範囲であるのが好ましく、0.5〜3倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0037】
ハロゲン化反応温度は、−100〜50℃の範囲であるのが好ましく、−80〜20℃の範囲であるのがより好ましい。
【0038】
ハロゲン化剤は、その様態に応じてそのまままたは有機溶媒に希釈して溶液として用いられる。使用し得る有機溶媒としては、リチオ化工程で使用される溶媒に限られる。
【0039】
このようにして得られた2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類(IV)は、有機化合物の単離・精製において通常行われる方法により単離・精製することができる。例えば、反応混合物に水を添加し、分液漏斗を用いて有機層と水層に分離し、水層を塩酸、硫酸などにより酸性化した後、ジエチルエーテル、酢酸エチル、トルエンなどの溶媒で抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムなどで乾燥後、濃縮し、得られた粗生成物を、必要に応じて再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製する。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。
【0041】
実施例1
温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積50mlの3口フラスコに、フラン−3−カルボン酸1.12g(10mmol)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン1.395g(12mmol)およびテトラヒドロフラン10mlを加え、系内を窒素置換後、−60℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液13.75ml(22mmol)を、内温が−50℃以下に保たれるようにして滴下した。得られた反応液に、ヘキサクロロエタン2.60g(11mmol)をヘキサン10mlに溶解して得られた溶液を、内温が−50℃以下に保たれるようにして滴下した。反応液をさらに−50℃で1時間攪拌した後、2−プロパノール1mlを添加して、残存しているn−ブチルリチウムを分解した。反応液を室温まで昇温した後、該反応液に1N塩酸10mlを内温が30℃以下に保たれるようにして滴下した。有機層と水層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮することにより、淡黄色の固体を得た。この固体をトルエン10mlにより再結晶することにより、下記の物性を有する2−クロロフラン−3−カルボン酸1.255g(8.57mmol、単離収率85.7%)を得た。この固体を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2−クロロフラン−3−カルボン酸とフラン−3−カルボン酸の混合物であった(前者/後者=98.8/1.2)。
【0042】
1H−NMR(270MHz、CDCl3 、TMS、ppm)δ:7.46(d,1H,J=5.4Hz)、6.78(d,1H,J=5.4Hz)
【0043】
比較例1
温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積50mlの3口フラスコに、ジイソプロピルアミン2.23g(22mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、系内を窒素置換後、−20℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液13.75ml(22mmol)を、内温が−10℃以下に保たれるようにして滴下し、リチウムジイソプロピルアミドを調製した。
【0044】
温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積50mlの3口フラスコに、フラン−3−カルボン酸1.12g(10mmol)とテトラヒドロフラン10mlを加え、系内を窒素置換後−78℃に冷却した。この溶液に、先に調製したリチウムジイソプロピルアミドを内温が−70℃以下に保たれるようにして滴下し、滴下終了後、−70℃でさらに30分間攪拌した。得られた反応液に、ヘキサクロロエタン2.60g(11mmol)をヘキサン10mlに溶解して得られた溶液を、内温が−70℃以下に保たれるようにして滴下した。反応液をさらに−78℃で1時間攪拌した後、2−プロパノール1mlを添加して、残存しているリチウムジイソプロピルアミドを分解した。反応液を室温まで昇温した後、該反応液に1N塩酸10mlを内温が30℃以下に保たれるようにして滴下した。有機層と水層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮することにより、淡黄色の固体を得た。この固体を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、2−クロロフラン−3−カルボン酸とフラン−3−カルボン酸の混合物であった(前者/後者=87.9/12.1)。
【0045】
実施例2
実施例1において、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン1.395g(12mmol)の代りに[2.2.2]ジアザビシクロオクタン1.345g(12mmol)を用いた以外は同様にして反応および操作を行った。得られた結晶をHPLCにより分析した結果、2−クロロフラン−3−カルボン酸とフラン−3−カルボン酸の混合物であった(前者/後者=98.9/1.1)。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、フラン−3−カルボン酸類(I)の2位を効率よくリチオ化することができ、効率よく工業的に有利に2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類(IV)を製造することができる。
Claims (2)
- 一般式(I)
で示されるフラン−3−カルボン酸類を、一般式(II)
で示される3級ジアミン類の存在下に、一般式(III)
で示されるリチウム化合物と反応させ、次いで、ハロゲン化剤と反応させることを特徴とする一般式(IV)
で示される2−ハロゲノフラン−3−カルボン酸類の製造方法。 - 一般式(I)
で示されるフラン−3−カルボン酸類を、一般式(II)
で示される3級ジアミン類の存在下に、一般式(III)
で示されるリチウム化合物と反応させることを特徴とする上記一般式(I)で示されるフラン−3−カルボン酸類の2位リチオ化方法。
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