JP2004115314A - スピネルマンガンの合成方法 - Google Patents

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田中 泰光
Fumiyoshi Saito
齋藤 文良
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Abstract

【課題】均一組成で微粒子のスピネル結晶構造を有する化合物を高収率かつ低コストで合成する。
【解決手段】マンガン化合物とリチウム化合物とを原料とし、乾式でメカノケミカル反応を行うことにより、反応前駆体を形成し、次いで焼成してLi1+xMn2−x(0≦x≦0.33)で表されるスピネル型結晶構造を含む複合化合物を得る。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピネルマンガンの合成方法に係るものであり、特に正極活物質としてリチウムマンガン系水酸化物を用いた非水電解液リチウムイオン二次電池の正極活物質に用いられるスピネルマンガンの合成方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
リチウムを吸収放出可能な活物質を負極とする非水電解質電池は、高電圧、高エネルギー密度が期待されることから、これまでにも多くの研究が行なわれている。
【0003】
リチウム二次電池の正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、V、MnO、TiS、MoS等の遷移金属の酸化物、およびカルコゲン化合物が提案されている。これらは層状、またはトンネル状構造を有し、リチウムイオンが出入りできる構造をもっている。
【0004】
ところで近年において正極活物質としてはスピネルマンガン系材料が、原材料が豊富であり、安全面からも好ましいため、LiCoOに代わるものとして注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来においては、結晶径が微細で、均一組成を有するスピネルマンガン化合物を簡易な工程で合成することは困難であると考えられていた。例えば、LiMn12を合成するためには、原料を200℃、500℃で段階的に加熱し、さらに700℃で3日間、酸素雰囲気中で焼成するという工程を必要とする例も提案されていた。このように乾式法により合成を行うためには、数日間焼成処理を行ったり酸素雰囲気中で焼成処理を行ったり、また、焼成温度を段階的に昇温するなどの複雑な工程を必要とし、コスト高を招来していた。
【0006】
一方、エタノールやアセトンを用いる湿式法によってスピネルマンガン化合物を合成する方法も提案されているが(特開2000−243399号)、この方法はフロン等の有機溶剤を用いるので、溶媒の除去等の工程が必要となり工程が複雑化するという問題を有している。
【0007】
Li−Mn−Oの3成分系を有する化合物を製造するためには、(1)出発原料、(2)LiとMnの混合比、(3)焼成加熱温度、(4)加熱雰囲気等の条件を適宜変更させて任意の組み合わせとすることが必要となる。
そこで本発明方法においては、上記製造条件について検討し、均一組成で微粒子のスピネル結晶構造を有するスピネルマンガンを高収率かつ低コストで合成する方法を提供することとした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のスピネルマンガンの合成方法は、マンガン化合物とリチウム化合物とを原料とし、乾式でメカノケミカル反応を行うことにより反応前駆体を形成し、次いで焼成処理して、目的とするLi1+xMn2−x(0≦x≦0.33)で表されるスピネル型結晶構造を含む複合化合物を得るものとする。
【0009】
本発明方法によれば、均一組成で微粒子のスピネル結晶構造を有する化合物を高収率かつ低コストで合成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のスピネルマンガンの合成方法について、具体的な実施形態を挙げて説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0011】
本発明のスピネルマンガンの合成方法は、先ず、原料となるマンガン化合物とリチウム化合物とを用意する。これらを空気雰囲気(除湿条件下)すなわち乾式でメカノケミカル処理を行い反応前駆体を形成させる。次に前工程において得られた反応前駆体を焼成処理し、最終的にLi1+xMn2−x(0≦x≦0.33)で表されるスピネル型結晶構造を含む複合化合物を得るものである。
【0012】
原料物質となるマンガン化合物としては、MnO、Mn、β−MnO、MnCO、γ−MnO、Mn等が挙げられる。
また、リチウム化合物としては、LiO、LiCHCOO、LiCO、LiOH・HO等が挙げられる。
これらのうち、特に炭酸塩であるMnCOとLiCOとの組み合わせや、酸化物であるγ−MnO、Mn、LiOの組み合わせが好適な例として挙げられる。
【0013】
上記原料を処理する工程について説明する。
原料となるマンガン化合物とリチウム化合物とを、所定の混合粉砕装置に投入してメカノケミカル処理を行う。
ここでメカノケミカル処理とは、一般的に原料物質に対して機械的エネルギー、例えばせん断、圧縮、衝撃、粉砕、曲げ延伸等を施し、処理物質表面に物理化学的変化を生じせしめて、その周囲に存在する気体、液体、固体との化学的変化を誘起促進するなどして、処理物質の化学的状態に影響をおよぼす処理をいう。
【0014】
本発明方法においては、上記メカノケミカル処理を乾式で行うこととし、特に空気雰囲気下で除湿した環境下で行うことが望ましい。
具体的には、目的とするスピネルマンガン化合物のMnとLiの化学量論比(例えばLiMn12を得ようとする場合には、Li:Mn=4:5)に基いて原料のマンガン化合物とリチウム化合物とを計量、採取する。これらを所定の混合粉砕装置等に入れ、粉砕を行ってメカノケミカル反応を起こさせる。このとき、衝突エネルギーEwを、0.1J/s・g以上、好ましくは1J/s・g以上とすることにより、目的とするスピネルマンガン化合物の均一性の向上を図ることができる。メカノケミカル処理時間は、装置や運転条件によって異なるが、目的とするスピネルマンガン前駆体が充分に生成されるまで行えばよい。
【0015】
メカノケミカル処理に用いる混合粉砕装置としては、例えば遊星ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル等、その他自転や公転可能なリングや円盤状の形状を有するメディアを備えた装置を単体でまたは任意に組み合わせて適用することができるが、これらに限定されるものではない。なお、メディアの形状としては特に球形が望ましく、操作性と磨耗による影響を考慮してボールの径は1mm以上とすることが好ましい。また、ボールの占める体積は容器(装置)の20%〜40%程度とすることが好適であり、メカノケミカル処理を施す試料の重量は、ボールの20%〜40%が好適である。
【0016】
メディアの材質は処理試料である上記マンガン化合物およびリチウム化合物の硬度以上の硬度を有するものであることが必要である。また生成される反応前駆体と化学反応を起こさない材質であれば、特に限定されるものではないが、金属不純物の混入が無いものであり、例えば高純度アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素等のセラミックス等、硬質クロムメッキされたSUS製の材料等が好適な例として挙げられる。
【0017】
次に、上述したメカノケミカル処理により形成された反応前駆体の焼成処理を行う。
この焼成処理は、加熱温度を400℃〜700℃とし、特に約600℃程度(550℃〜650℃)とすることが好適である。加熱処理時間は1時間以上とし、特に6〜12時間で実施することが望ましい。
【0018】
上記焼成処理により、目的とするLi1+xMn2−x(0≦x≦0.33)で表されるスピネル型結晶構造を含む複合化合物を得られる。
例えばLiMn12やLiMnはリチウムイオン二次電池の正極活物質として利用が可能であり、これらは化学的に安定であるため、合成条件に選定に裕度が得られ、かつ活物質材としての耐久性に優れているという利点を有している。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照して説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0020】
〔サンプル1〕
リチウム化合物として炭酸リチウム(LiCO)、マンガン化合物として炭酸マンガン(MnCO)を用意し、Li:Mnのモル比で4:5の割合で、トータル4gとなるように秤量してこれらを混合した。
この混合物と、直径15mmのジルコニア製ボールを7個、45cmのジルコニア製ポットに投入し、メカノケミカル処理60分間行い反応前駆体を得た。反応後試料を取り出し坩堝内に入れ、電気炉内において空気雰囲気中で、600℃、1時間の焼成処理を行い、最終生成物であるLiMn12で示されるスピネルマンガンを生成した。
【0021】
〔サンプル2〕〜〔サンプル28〕
リチウム化合物およびマンガン化合物の材料、メカノケミカル処理時間、焼成処理温度、焼成処理時間を変化させて、それぞれ最終生成物を合成した。
【0022】
〔サンプル29〕
目的とする最終生成物をLiMnとし、これに応じてリチウム化合物およびマンガン化合物の材料、混合比率、メカノケミカル処理時間、焼成処理温度、焼成処理時間を変化させて合成工程を行った。
【0023】
〔サンプル30〕
目的とする最終生成物をLiMnとし、これに応じてリチウム化合物およびマンガン化合物の材料、混合比率、メカノケミカル処理時間、焼成処理温度、焼成処理時間を変化させて合成工程を行った。
【0024】
〔サンプル31〕
目的とする最終生成物をLiMnOとし、これに応じてリチウム化合物およびマンガン化合物の材料、混合比率、メカノケミカル処理時間、焼成処理温度、焼成処理時間を変化させて合成工程を行った。
【0025】
なお、〔サンプル6〕〜〔サンプル14〕及び〔サンプル19〕〜〔サンプル31〕のリチウム化合物LiOH・nHOのnは好ましくは1とする。
下記表1に、上記〔サンプル1〕〜〔サンプル31〕の使用原料、メカノケミカル処理時間、焼成時間、焼成温度をそれぞれ示し、これらについて、最終生成物のスピネルマンガンの生成状態について評価した結果を示した。
下記表1においてスピネルマンガンの生成状態の評価は相対評価であるものとし、◎を大変良い、○を良い、△を劣る、×を生成できず、とした。
【0026】
【表1】
Figure 2004115314
【0027】
上記表1に示すように、マンガン化合物とリチウム化合物とをLi:Mnの原子比率を4:5として混合し、これらを原料として乾式でメカノケミカル反応を行い、その後、焼成処理をしたサンプルについては、LiMn12で表されるスピネル型結晶構造を含む複合化合物を実用上良好な状態で合成できた。以下具体的に説明する。
【0028】
〔サンプル1〜5〕においては、原料として炭酸マンガンおよび炭酸リチウムを用い、60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で1〜24時間焼成処理を行いLiMn12を合成した。
【0029】
図1に、MnCOとLiCOとを混合し60分間メカノケミカル処理を行い、その後600℃で12時間焼成処理を行い、スピネルマンガンを作製したものをCu−Kα線のX線回折(以下、単にX−RDとする)により分析した結果を示す。判定にはピーク強度の高い方から第3番目までのデータを、標準データのJCPDS(Joint Committee on Diffraction Standards)のピークデータと比較することとした。
図1によれば2θ=18.6°に第1ピーク、44.2°に第2ピーク、36.3°に第3ピークが確認され、極めて良好な状態でLiMn12が得られることが確認された。
【0030】
図2に、MnCOとLiCOとを原料として60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で焼成処理を1、3、6、12、24時間行いスピネルマンガンを作製したものを、それぞれCu−Kα線のX線回折(X−RD)により分析した結果を示す。図2に示すようにいずれの焼成時間であっても高収率でLiMn12が得られた。
【0031】
すなわち、図1および図2に示す分析結果により、原料として炭酸マンガンと炭酸利リチウムとを組み合わせて用いたことにより、いずれの焼成時間のサンプルにおいても、極めて良好な状態で目的とするLiMn12が高収率で合成できたことがわかった。すなわち焼成時間を1時間程度の短時間としても、目的とするLiMn12が高収率で得られ、スピネルマンガン化合物合成のコストの低減下を図ることができた。
【0032】
上記表1中の〔サンプル6〜10〕においては、原料として水酸化リチウム水和物とγ−二酸化マンガンを用い、60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で1〜24時間焼成処理を行いLiMn12を合成した。
【0033】
図3に、LiOH・nHOとγ−MnOとを原料として60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で焼成処理を1、3、6、12、24時間行い、スピネルマンガンを合成したものを、それぞれCu−Kα線のX線回折により分析した結果を示す。
図3に示すように、焼成処理時間を6時間以上とした場合には、極めて良好な状態でLiMn12が得られることが確認された。一方、焼成処理時間を1、3時間とした場合には、第2ピークと第3ピークとの明確な強度差が確認できず、上記の場合に比較してやや劣った結果となった。
すなわち、原料としてLiOH・nHOとγ−MnOとを組み合わせて用いる場合には、焼成処理時間を6〜12時間とすることが望ましい。
【0034】
上記表1中の〔サンプル11〜14〕においては、原料のリチウム化合物を水酸化リチウム水和物とし、マンガン化合物を表1中に示したものにし、それぞれ60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で1時間焼成処理を行い、スピネルマンガンを合成した。
【0035】
図4に、原料のリチウム化合物をLiOH・HOとし、マンガン化合物をMnCO、MnO、Mn、β−MnOとして、それぞれ60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で焼成処理を1時間行い、スピネルマンガンを作製したもののCu−Kα線のX線回折分析結果を示す。
【0036】
図4に示すように、MnCOを使用したものが特に鮮鋭なピークパターンが得られ、次にMnが良い結果が得られた。
一方、β−MnOを用いた場合は、第2ピークと第3ピークとの明確な強度差が確認できず、MnOを用いた場合には、これらのピークの強度差が逆転してしまい、いずれも上記の場合に比較してやや劣った結果となった。
すなわち、原料のマンガン化合物としてはMnCOが特に優れており、次にMnが良いことがわかった。
【0037】
上記表1中の〔サンプル15、16〕においては、原料のリチウム化合物を酢酸リチウム(LiCHCOO)、酸化リチウム(LiO)とし、マンガン化合物を二酸化マンガン(γ−MnO)とし、それぞれ60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で12時間焼成処理を行い、スピネルマンガンを合成した。
【0038】
図5に、原料のリチウム化合物を、LiCHCOO、LiO、LiOH・nHOとし、マンガン化合物をγ−MnOとして、それぞれ60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で焼成処理を12時間行い、スピネルマンガンを作製したもののCu−Kα線のX線回折分析結果を示す。
【0039】
図5に示すように、LiO、LiOH・nHOを使用したものが特に鮮鋭なピークパターンが得られた。一方、LiCHCOOを用いた場合は、第2ピークと第3ピークとのピークの強度差が逆転してしまい、上記の場合に比較してやや劣った結果となった。
上記結果から、リチウム化合物として酸化リチウムを使用したものが特に良好な結果が得られ、酢酸リチウムを使用した場合はやや劣った結果となることがわかった。
【0040】
上記表1中の〔サンプル17、18〕においては、原料のリチウム化合物を酢酸リチウム(LiCHCOO)、酸化リチウム(LiO)とし、マンガン化合物を二酸化マンガン(γ−MnO)とし、それぞれ60分間メカノケミカル処理を行い、400℃で12時間焼成処理を行い、スピネルマンガンを合成した。
これらによれば、いずれも焼成温度が低いために充分に結晶を成長させることができず、特に酸化リチウムを使用したものは目的とするスピネルマンガンを合成できなかった。
【0041】
上記表1中の〔サンプル19〜24〕においては、原料として水酸化リチウム水和物とγ−二酸化マンガンを用い、60分間メカノケミカル処理を行い、焼成温度を室温〜800℃として12時間焼成処理を行った。
【0042】
図6に、原料としてLiOH・nHOとγ−MnOとを用い、60分間メカノケミカル処理を行い、焼成温度を室温、400℃、500℃、600℃、700℃および800℃として12時間焼成処理を行い、スピネルマンガンを作製したものの、それぞれのCu−Kα線のX線回折分析結果を示す。
【0043】
図6に示すように、焼成温度を600℃としたものは、LiMn12の鮮鋭なピークパターンが得られ、高収率で目的物が合成できた。
焼成温度を500℃としたものは、ピークパターンがやや不鮮明になり、400℃としたものはさらに不鮮明となった。
焼成温度を室温としたものは、ピークパターンが全く確認できなかった。
また、焼成温度を700℃、800℃としたものは、LiMn12以外のピークパターンが確認され、不純物が形成されていることがわかった。
【0044】
上述したように、上記〔サンプル19〜24〕の評価は、図6に示す分析結果により裏づけられ、焼成温度を600℃とした〔サンプル22〕は良好な収率でLiMn12が合成された。しかしながら、焼成温度を500℃以下とした〔サンプル20、21〕はやや劣った結果となり、室温とした〔サンプル19〕は目的とするスピネルマンガンを合成できなかった。また、焼成温度を700℃以上とした〔サンプル23、24〕においても目的とするスピネルマンガンを合成できなかった。
すなわち空気雰囲気下において本発明方法に係る合成工程を行う場合には、焼成温度は550℃〜650℃とすることが好適であることが分かった。
【0045】
上記表1中の〔サンプル25〜28〕においては、原料として水酸化リチウム水和物とγ−二酸化マンガンを用い、0分〜120分メカノケミカル処理を行い、焼成温度を600℃として12時間焼成処理を行った。
【0046】
図7に、原料としてLiOH・nHOとγ−MnOとを用い、メカノケミカル処理時間を0、15、60、および120分とし、600℃で12時間焼成処理を行ったものの、それぞれのCu−Kα線のX線回折分析結果を示す。
【0047】
図7に示すように、メカノケミカル処理を60分以上行ったものは、LiMn12の鮮鋭なピークパターンが得られた。また、メカノケミカル処理を15分行ったものについても良好なピークパターンが得られた。
しかしながら、メカノケミカル処理を行わなかったものは、副生成物や不純物が合成されてしまい、LiMn12のピークパターンが確認できなかった。
【0048】
上述したように上記〔サンプル25〜28〕の評価は、図7に示す分析結果により裏づけられる。メカノケミカル処理時間を60分以上とした〔サンプル27、28〕は極めて良好な収率でLiMn12が合成された。また、メカノケミカル処理時間を15分とした〔サンプル26〕については、上記例よりは劣るものの、良好な収率でLiMn12を合成することができた。
しかしながら、メカノケミカル処理時間を0分すなわち粉砕工程を行わなかった〔サンプル25〕は目的とするスピネルマンガンを合成できなかった。
【0049】
図8に、LiOH・nHOとγ−MnOとを、0、15、60、および120分メカノケミカル処理したものの、それぞれのCu−Kα線のX線回折分析結果を示す。
これによれば、メカノケミカル処理を15分以上行ったものについては、原料のLiOH・nHOおよびγ−MnOのいずれのピークも検出されなかった。
上述したように、メカノケミカル処理を行うことによって原料のマンガン化合物とリチウム化合物とが分解され、この工程によってLiMn12合成可能な反応前駆体が得られることがわかった。
【0050】
〔サンプル29〕においては、合成目的物をLiMnとして、これに応じてMnとLiの混合比率を分子量論的に1:2とし、60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で12時間焼成処理を行い、最終生成物を得た。
生成物のCu−Kα線のX線回折分析結果を図9に示す。判定にはピーク強度の高い方から第3番目までのデータを、標準データのJCPDS(Joint Committee on Diffraction Standards)のピークデータと比較した。
図9によれば2θ=約18.4°に第1ピーク、約36°に第2ピーク、約43.7°に第3ピークが確認され、良好な状態でLiMnが得られたことがわかった。
【0051】
〔サンプル30〕においては、合成目的物をLiMnとして、これに応じてMnとLiの混合比率を分子量論的に2:3とし、60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で12時間焼成処理を行った。
生成物をCu−Kα線のX線回折分析したところ、目的とするLiMnは合成されず、LiMn12やその他の不純物のピークが確認された。
【0052】
〔サンプル31〕においては、合成目的物をLiMnOとして、これに応じてマンガンとリチウムとの混合比率を分子量論的に1:1とし、60分間メカノケミカル処理を行い、600℃で12時間焼成処理を行った。
生成物をCu−Kα線のX線回折分析したところ、目的とするLiMnOは合成されず、LiMn12やその他の不純物のピークが確認された。
【0053】
〔サンプル30、31〕の結果から、LiMn12は高安定性のスピネルマンガンであり、リチウム電池に使用する場合にも極めて取扱いに優れ、劣化率を低減化できることがわかった。
【0054】
【発明の効果】
本発明方法によれば、スピネルマンガン化合物の合成工程を、特に乾式で行うこととしたことにより、従来の湿式法よりも操作が容易化でき、製造設備を簡易化できることから合成コストの低減化が図られた。
また、合成されるスピネルマンガン化合物を、リチウムイオン電池正極活物質として応用することにより、リチウムイオン電池の低コスト化やさらなる普及に寄与することができた。
【0055】
本発明方法によれば、スピネルマンガン化合物の合成工程を、空気雰囲気下で行うこととしたことより、焼成工程を比較的低温で、かつ短時間で行うことが可能となり、工業的に使用エネルギーと操作時間の消費を低減化させることができ、目的とするスピネルマンガン化合物を容易かつ低コストで合成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピネルマンガンのX線回折パターンを示す。
【図2】焼成時間を変化させた場合のそれぞれのX線回折パターンを示す。
【図3】焼成時間を変化させた場合の、それぞれのX線回折パターンを示す。
【図4】マンガン化合物を変化させた場合の、それぞれのX線回折パターンを示す。
【図5】リチウム化合物を変化させた場合の、それぞれのX線回折パターンを示す。
【図6】焼成温度を変化させた場合の、それぞれのX線回折パターンを示す。
【図7】メカノケミカル処理時間を変化させた場合の、それぞれのX線回折パターンを示す。
【図8】原料をメカノケミカル処理した後のX線回折パターンを示す。
【図9】LiMnを合成したときのX線回折パターンを示す。

Claims (4)

  1. マンガン化合物とリチウム化合物とを原料とし、
    乾式でメカノケミカル反応を行うことにより反応前駆体を形成し、
    次いで焼成して、Li1+xMn2−x(0≦x≦0.33)で表されるスピネル型結晶構造を含む複合化合物を得ることを特徴とするスピネルマンガンの合成方法。
  2. 上記マンガン化合物が炭酸マンガンまたはγ−二酸化マンガンであり、上記リチウム化合物が炭酸リチウムまたは水酸化リチウム水和物であることを特徴とする請求項1に記載のスピネルマンガンの合成方法。
  3. 上記マンガン化合物が炭酸マンガンであり、
    上記リチウム化合物が炭酸リチウムであることを特徴とする請求項1に記載のスピネルマンガンの合成方法。
  4. 上記焼成の加熱温度は550℃〜650℃であり、焼成時間は1〜12時間であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のスピネルマンガンの合成方法。
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