JP2004114737A - 車両の空調用ダクト - Google Patents
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Abstract
【課題】インストルメントパネル内部に配設されたハーネスを収容するハーネス収容部をベントダクトに一体に形成する場合に、該ベントダクトの剛性を十分に確保する。
【解決手段】サイド用ベントダクト23の車体前側に車幅方向に延びる略円筒状のハーネス収容筒27を一体に形成する。サイド用ベントダクト23を、車幅方向に沿って開放する断面略半円形の上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とに分割する。両ハーフダクト31,33の開放縁部両側にそれぞれ前側フランジ37,55及び後側フランジ39,57を形成し、前側フランジ37,55の中途部に上側及び下側収容半体部37b,55bをそれぞれ形成する。前側フランジ37及び55、後側フランジ39及び57を一体に溶着して空調エア通路21及び閉断面状のハーネス収容筒27を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】サイド用ベントダクト23の車体前側に車幅方向に延びる略円筒状のハーネス収容筒27を一体に形成する。サイド用ベントダクト23を、車幅方向に沿って開放する断面略半円形の上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とに分割する。両ハーフダクト31,33の開放縁部両側にそれぞれ前側フランジ37,55及び後側フランジ39,57を形成し、前側フランジ37,55の中途部に上側及び下側収容半体部37b,55bをそれぞれ形成する。前側フランジ37及び55、後側フランジ39及び57を一体に溶着して空調エア通路21及び閉断面状のハーネス収容筒27を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のインストルメントパネル内部に配設された空調用ダクトに関し、特に、インストルメントパネル内部のハーネスを収容するハーネス収容部を設ける構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両のインストルメントパネル内部には、空調ユニットで生成した空調エアをインストルメントパネルの各ベンチレータに導く空調用ダクトや、各種電装部品に接続される電線を束ねてなるハーネス等が配設されており、該ハーネスを収容するハーネス収容部を前記空調用ダクトに一体に形成してハーネスをコンパクトに収容するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の空調用ダクトは、インストルメントパネルの車幅方向両端に亘って延びており、その空調用ダクトの下壁に、下側が開口して長手方向に延びる溝状のハーネス収容部が形成されている。該ハーネス収容部には、収容されたハーネスを上下で挟んで保持する複数の保持リブがハーネス収容部内へ突出するように空調用ダクトと一体に形成されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3235502号公報(第3頁、図2、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記特許文献1のものにおいては、ハーネス収容部が空調用ダクトの下側に開口しているため、ダクトの剛性を十分に確保できない。すなわち、例えば、インストルメントパネルを補強するためのインストルメントパネルメンバを省略して前記空調用ダクトをインストルメントパネルメンバとして利用するようにする場合には、インストルメントパネルの剛性が十分に得られない虞れがある。
【0005】
また、前記特許文献1のものでは、ハーネスを保持するための複数の保持リブを空調用ダクトと一体に形成するようにしているので、成形型の構造が複雑になる虞れがあるとともに、ハーネスを収容する際には、それら複数の保持リブが邪魔になって作業性が悪くなることが考えられる。
【0006】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インストルメントパネル内部の空調用ダクトにハーネス収容部を設ける場合に、空調用ダクトの剛性を一層向上させながら、成形型の複雑化を招くことなくハーネスを収容できるようにするとともに、そのハーネスの収容作業を容易にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明では、空調用ダクトを2つのハーフダクトからなるものとし、該2つハーフダクトに突設したフランジの共働により閉断面状のハーネス収容部を構成するようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、車両のインストルメントパネル内部で車幅方向に延び少なくとも車幅方向両端に空調エア吹出口が形成されたダクト本体と、該ダクト本体に並設されハーネスを収容するハーネス収容部とを備えてなる車両の空調用ダクトを対象とする。そして、前記ダクト本体は、車幅方向に沿って開放する断面略半円形の半割状第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとからなり、前記第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとの各々の開放縁部両側には、一対のフランジをそれぞれ外向きに突設し、前記第1ハーフダクトのフランジと第2ハーフダクトのフランジとを互いに重合させて一体に溶着することにより、第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとの内部に空調エア通路を形成するとともに、第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの一方の互いに対向するフランジの中途部に該フランジの共働により閉断面状のハーネス収容筒を前記ダクト本体の長手方向に沿って一体に形成する構成する。
【0009】
この構成によれば、第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの一方の互いに対向するフランジの中途部に両フランジの共働により閉断面状のハーネス収容筒が形成されるので、空調用ダクトは同方向に延びる中空部を2つ有することとなり、よって、空調用ダクトの剛性が一層向上され、該空調用ダクトをインストルメントパネルメンバとして適用する場合にもその剛性を十分に確保することができる。
【0010】
そして、ハーネスを収容する際には、ハーネス収容筒を形成する2つのフランジ間にハーネスを配置して両ハーフダクトを溶着するだけで該ハーネスが収容されるので、収容作業を容易に行うことができ、また、ハーネス収容筒内が閉断面状とされているので、前記従来例のような保持リブを形成することなくハーネスをハーネス収容筒内に収容した状態で保持でき、これにより、各ハーフダクトの成形型を比較的簡単な構造とすることができる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの長手方向中間部には、空調ユニットのケースの一部を構成するケース構成板をそれぞれ一体に形成する構成とする。
【0012】
この構成によれば、両ハーフダクトと空調ユニットのケース構成板とが一体に形成されるので、空調用ダクトの剛性をより一層高めることができるとともに、空調用ダクトと空調ユニットとの連結が不要で部品点数も低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る空調用ダクトとしてのベントダクト1を備える空調装置Sを示し、この空調装置Sは、車室の前端に配設されたインストルメントパネル内部に収容される。図示しないが、インストルメントパネルの車幅方向両端近傍には、空調エアを吹き出すサイドベンチレータがそれぞれ設けられ、その左右のサイドベンチレータの間の略中央部には、一対のセンタベンチレータが車幅方向に並んで設けられている。また、前記インストルメントパネルにはオーディオ機器等の各種電装部品が配設されていて、該各種電装部品に接続される電線を束ねたハーネスHがインストルメントパネル内部で車幅方向に延びるように配設され、後述するハーネス収容部に収容されている。
【0015】
前記空調装置Sは、空調エアを生成する空調ユニット3を備えており、該空調ユニット3からの空調エアは前記ベントダクト1により前記インストルメントパネルの前記各ベンチレータに導かれるようになっている。
【0016】
前記空調ユニット3は、インストルメントパネル内部の車幅方向略中央に配設されており、空調機器としての熱交換器やブロア(共に図示せず)を収容するケース5を備えている。該ケース5は、図3に示すように、車体前側の箱状部材7と、該箱状部材7の車体後側を覆うケース構成板9との組合わせ体により構成されており、互いに振動溶着により一体化されている。
【0017】
前記箱状部材7は、車幅方向に分割された左側分割材11と右側分割材13との組合わせ体により構成されており、これら両分割材11,13は樹脂材料の射出成形品とされている。左側分割材11及び右側分割材13は、対向側の全体が開口した大略箱状をなすように成形され、各々の開口端部同士を突き合わせて振動溶着により一体に接合されている。
【0018】
前記箱状部材7の下半部は、相対的に大きい矩形箱状に形成されて熱交換器収容部15を構成しているとともに、上半部は、有底円筒状に形成されてブロア収容部17を構成している。該ブロア収容部17の車体左側には、空調装置Sの組み立て時に前記ブロアを収容するための開口17aが形成されており、円盤状のキャップ19により閉塞されるようになっている。
【0019】
前記ブロア収容部17の下部は熱交換器収容部15と連通しており、前記ブロアにより空気取入口(図示せず)から取り入れられた空気が熱交換器収容部15に送風され、該熱交換器収容部15に収容された冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器を経て空調エアとなる。
【0020】
前記ケース構成板9は、前記箱状部材7の上端近傍から下端近傍に亘って延びており、上下方向略中央で上側板9aと下側板9bとに分割され、前記空調エアは、このケース構成板9と前記箱状部材7との間を上方へ流れるようになっている。そして、前記ベントダクト1は、詳細は後述するが、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とに分割され、上側ハーフダクト31が前記上側板9aの下部に、下側ハーフダクト33が前記下側板9bの上部にそれぞれ一体に形成されており、ベントダクト1の車幅方向中央部に前記ケース5内部の調和空気をベントダクト1内部に流入させる流入口(図示せず)が形成されている。このように、ベントダクト1とケース構成板9とを一体に形成しているので、ベントダクト1とケース構成板9とを連結するための部材やシール材が不要となり、部品点数を低減できる。
【0021】
前記ベントダクト1は、インストルメントパネルの左側サイドベンチレータから右側のサイドベンチレータに亘て延びるサイド用ベントダクト(ダクト本体)23と、該サイド用ベントダクト23の車幅方向略中央から分岐して車体後側へ延びる一対のセンタ用ベントダクト25,25と、前記センタ用ベントダクト25,25の車体前側に並設され、内部にハーネス収容部90を有する略円筒状のハーネス収容筒27とからなる。
【0022】
前記サイド用ベントダクト23は、全体的に略円形の閉断面を有するとともに略水平に直線状に延びていて、その両端側は車体後側に曲げられてそれぞれの端部開口(空調エア吹出口)23a,23aが前記サイドベンチレータに接続されている。一方、前記一対のセンタ用ベントダクト25,25は車幅方向に並んでおり、それらは車体後側へ行くほど車幅方向に離れるように形成されていて、その端部開口25a,25aがそれぞれ前記センタベンチレータに接続されている。このセンタ用ベントダクト25,25も略円形の閉断面を有している。また、前記ハーネス収容筒27は、サイド用ベントダクト23と一体に形成されるとともに、前記ハーネス収容部90の車幅方向(長手方向)両端が開放されていてハーネスHが車幅方向に貫通するようになっている。前記ハーネス収容部90径はサイド用ベントダクト23の空調エア通路21の径よりも小さく、かつ前記ハーネスHを収容した状態で該ハーネスHとの間に若干の隙間が形成されるように設定されている。
【0023】
そして、前記空調ユニット3で生成された空調エアは、前記ベントダクト1の流入口からサイド用ベントダクト23に流入した後、該サイド用ベントダクト23の車幅方向両側に流れて端部開口23a,23aからインストルメントパネルのサイドベンチレータを介してそれぞれ車室に供給される。さらに、サイド用ベントダクト23に流入した空調エアは、センタ用ベントダクト25,25を車体後側に流れて端部開口25a,25aからインストルメントパネルのセンタベンチレータを介して車室に供給される。
【0024】
前記ベントダクト1は、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とに分割され、これら上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33は、全体として車幅方向に沿って開放する断面略半円形に形成されており、両ハーフダクト31,33の車幅方向略中央には、前記各センタ用ベントダクト25の上側半体部28と下側半体部29とがそれぞれ形成されている。
【0025】
図1に示すように、前記上側ハーフダクト31の開放縁部両側(車体前縁部側及び後縁部側)には、外向きに突設され車幅方向に延びる前側フランジ37及び後側フランジ39が一体に形成されている。前側フランジ37は、サイド用ベントダクト23の分割面である略水平面に沿って延びる略平坦な基端側フランジ部37aと、該基端側フランジ部37aの車体前縁に連続し前記ハーネス収容筒37の上半部を構成する断面略半円形の上側収容半体部37bと、該上側収容半体部37bの車体前縁に連続し前記基端側フランジ部37aと同様に分割面に沿って延びる先端側フランジ部37cとからなる。一方、後側フランジ39は、突出長さが比較的短くされるとともに、前側フランジ37の基端側フランジ部37a及び先端側フランジ部37cと同様に分割面に沿って略平坦に延びている。
【0026】
前記下側ハーフダクト33は、前記上側ハーフダクト31と略同様に構成されており、開放縁部両側に前側フランジ55及び後側フランジ57が突設され、前側フランジ55は、分割面に沿って延びる基端側フランジ部55aと、ハーネス収容筒27の下半部を構成する断面略半円形の下側収容半体部55bと、前記基端側フランジ部55aと同様に延びる先端側フランジ部55cとからなり、また、後側フランジ57は分割面に沿って延びている。
【0027】
前記上側ハーフダクト31の後側フランジ39の下面には、下方へ突出する3つの突条部39aが長手方向に沿って、かつ後側フランジ39の幅方向に互いに離れて略平行に延びている。前記上側ハーフダクト31の基端側フランジ部37aにも同様な3つの突条部37dが形成されており、また、先端側フランジ部37cには前記各突条部37d,39aと同形状の2つの突条部37eが形成されている。
【0028】
一方、下側ハーフダクト33の基端側フランジ部55a、先端側フランジ部55c及び後側フランジ57の上面は略平坦面とされており、これら上面に前記上側ハーフダクト31の対応するフランジ部37a,37cの各突条部37d,37e及び後側フランジ39の各突条部39aの先端が溶着されるようになっている。この溶着の際には、ハーネスHを前記下側収容半体部55bのハーネス収容部90に収めた後、下側ハーフダクト33に上側ハーフダクト31を重合させ、図示しない振動溶着機により前記各突条部37d,37e及び39aをフランジ部37a,37c及び後側フランジ39の各上面に圧接して上側ハーフダクト31または下側ハーフダクト33を振動させることで、基端側フランジ部37a及び55a、先端側フランジ部37c及び55c、後側フランジ39及び57が互いに一体に溶着する。
【0029】
これにより、サイド用ベントダクト23の空調エア通路21を流れる空調エアが、前側フランジ37,55間及び後側フランジ39,57間から外方へ洩れることを防止でき、また、互いに対向する前側フランジ37,55の中途部に該前側フランジ37,55の共働により閉断面状のハーネス収容筒27が形成されるので、インストルメントパネルにハーネスHを収容保持する部分を別途設けることなく、ハーネスHをサイド用ベントダクト23にコンパクトに収容することができる。
【0030】
尚、前記各突条部を、下側ハーフダクト33の基端側フランジ部55a,先端側フランジ部55c及び後側フランジ57に形成し、上側ハーフダクト31の基端側フランジ部37a,先端側フランジ部37c及び後側フランジ39の下面を略平坦に形成するようにしてもよい。さらに、この実施形態では、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とを振動溶着するようにしているが、他の溶着方法を用いてもよい。
【0031】
また、前記上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33には、補強リブ61が車幅方向に多数並設されている。各補強リブ61は、後側フランジ39の上面とサイド用ベントダクト23の外周面の車体後部とに連なるように突設された後側リブ61aと、基端側フランジ部37aの上面、サイド用ベントダクト23の外周面の車体前部及び上側収容半体部37bの外周面の車体後部に連なるように突設された中間リブ61bと、先端側フランジ部37cの上面と上側収容半体部37bの外周面の車体前部とに連なるように突設された前側リブ61cとからなる。また、前記下側ハーフダクト33にも、上側ハーフダクト31と同様の補強リブ71が設けられており、後側リブ71a、中間リブ71b及び前側リブ71cからなる。尚、この実施形態では、補強リブ61,71を構成する各リブを、それぞれ、車体前後方向に延びる同一直線上に位置するように形成しているが、各リブを互いに車幅方向にずらして形成するようにしてもよい。
【0032】
前記下側ハーフダクト33の車幅方向両端には、図2に示すように、車体外方へ延びる一対のフランジ81,81が一体に形成されている。該各フランジ81には2つの取付孔81a,81aが形成されており、この取付孔81a,81aにボルト(図示せず)を挿通して車体のサイドパネル部材に締結することによりベントダクト1が車体に固定される。
【0033】
したがって、この実施形態に係るベントダクト1によると、上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33を互いに一体に溶着することにより、両ハーフダクト31,33の前側フランジ37,55の中途部に車幅方向に延びる閉断面状のハーネス収容部90を有するハーネス収容筒27が形成されるので、ベントダクト1は同方向に延びる中空部を2つ、即ち、空調エア通路21及びハーネス収容部90を有することとなり、よって、ベントダクト1の剛性を十分に確保することができる。これにより、ベントダクト1をインストルメントパネルメンバとして適用する場合にもその剛性を十分に確保することができる。
【0034】
また、ハーネスHを収容する際には、該ハーネスHを下側収容半体部55bに収めて、下側ハーフダクト33に上側ハーフダクト31を重合させ一体に溶着するだけでよいので、ハーネスHの収容作業を容易に行うことができる。尚、ハーネスHの収容は、前記方法とは逆に、上側収容半体部37bにハーネスHを収めて、上側ハーフダクト31に下側ハーフダクト33を上から重合させ両者を一体に溶着することも可能である。さらに、この際、ハーネス収容筒27は閉断面状とされているので、従来の保持リブを設けることなく、ハーネスHをハーネス収容筒27内に収容した状態で保持することができ、これにより、上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33の成形型を比較的簡単な構造とすることができる。
【0035】
尚、前記実施形態では、サイド用ベントダクト23の車体前側にハーネス収容筒27を設けるようにしているが、これに限らず、サイド用ベントダクト23の車体後側にハーネス収容筒を設けるようにしてもよい。
【0036】
また、この実施形態では、上側収容半体部37bと下側収容半体部55bとの断面形状を互いに同じにしているが、これに限らず、例えば、一方の断面形状を相対的に小さくしてもよい。さらに、ハーネス収容筒27の形状は略円筒に限られるものではなく、例えば、矩形断面を有する筒状に形成するようにしてもよい。
【0037】
(変形例)
前記実施形態では、ベントダクト1を、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33との分割面がハーネス収容部90の上下方向略中心部に位置するように構成しているが、これに限らず、図4に示す変形例のように、ハーネス収容部90全体が分割面よりも上方に位置するように構成してもよい。
【0038】
すなわち、上側ハーフダクト31の前側フランジ91の基端側フランジ部91aには、下側に開放した略逆U字状断面を有する凹条部91bが形成されており、該凹条部91bの車体前縁に先端側フランジ部91cが連続している。
【0039】
一方、下側ハーフダクト33の前側フランジ93は、前記上側ハーフダクト31の前側フランジ91の車体前端に対応する位置まで分割面に沿って延びている。
【0040】
そして、ハーネスHをハーネス収容筒27内部のハーネス収容部90に収容し、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とを結合するには、ハーネスHを上側ハーフダクト31のハーネス収容部90内に収めて、該上側ハーフダクト31に下側ハーフダクト33を上から重合させた後、下側ハーフダクト33の長手方向に振動させることにより、上側ハーフダクト31の基端側フランジ部91aの各突条部91d及び先端側フランジ部91cの各突条部91eを、下側ハーフダクト33の前側フランジ93に、また、上側ハーフダクト31の後側フランジ39の各突条部39aを下側ハーフダクト33の後側フランジ57にそれぞれ溶着する。これにより、凹条部91bと前側フランジ93とにより閉断面状のハーネス収容部90が形成されて、ハーネスHが収容保持される。よって、ハーネスHの収容作業を容易に行うことができるとともに、各ハーフダクト31,33の成形型を比較的簡単な構造としつつ、ハーネスHを収容保持することができる。
【0041】
また、この変形例によれば、前記実施形態と同様に、ベントダクト1は同方向に延びる閉断面状のサイド用ベントダクト23とハーネス収容筒27とを有することとなり、よって、ベントダクト1の剛性を十分に確保することができる。
【0042】
さらに、この変形例のベントダクト1では、ハーネス収容部90が分割面よりも下方に位置していないので、下側ハーフダクト33の前側フランジ93の下方にハーネス収容部90を形成するためのスペースが確保できない場合でも、ベントダクト1にハーネス収容筒27を一体に形成することができる。
【0043】
尚、この変形例では、上側ハーフダクト31の前側フランジ91に凹条部91bを形成するようにしているが、これに限らず、下側ハーフダクト33の前側フランジ93に上側に開放する凹条部を形成し、上側ハーフダクト31の平板状の前側フランジ91によりその凹条部の開口を閉塞するようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る車両の空調用ダクトによると、ダクト本体を第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとからなるものとし、第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとに一対のフランジをそれぞれ外向きに突設し、第1ハーフダクトのフランジと第2ハーフダクトのフランジとを互いに重合させて一体に溶着することにより、両ハーフダクトとの内部に空調エア通路を形成するとともに、該両ハーフダクトの一方の互いに対向するフランジの中途部に該フランジの共働により閉断面状のハーネス収容筒を形成したので、空調用ダクトは同方向に延びる中空部を2つ有することとなり、よって、空調用ダクトをインストルメントパネルメンバとして適用する場合にもその剛性を十分に確保することができる。そして、ハーネスの収容は、ハーネス収容筒内にハーネスを配置して両ハーフダクトを溶着するだけでよいので、収容作業を容易に行うことができ、また、ハーネス収容筒が閉断面状とされているので、各ハーフダクトの成形型を比較的簡単な構造としながらハーネスを保持できる。
【0045】
請求項2記載の発明によると、両ハーフダクトと空調ユニットのケース構成板とが一体に形成されるので、空調用ダクトの剛性をより一層高めることができるとともに、部品点数も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のA−A線における断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るベントダクトを備える空調装置を車体後側から見た斜視図である。
【図3】空調装置の分解斜視図である。
【図4】変形例に係る図1相当図である。
【符号の説明】
1 ベントダクト(空調用ダクト)
3 空調ユニット
5 ケース
9 ケース構成板
21 空調エア通路
23 サイド用ベントダクト(ダクト本体)
23a 端部開口(空調エア吹出口)
27 ハーネス収容筒
31 上側ハーフダクト(第1ハーフダクト)
33 下側ハーフダクト(第2ハーフダクト)
37,55 前側フランジ
39,57 後側フランジ
H ハーネス
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のインストルメントパネル内部に配設された空調用ダクトに関し、特に、インストルメントパネル内部のハーネスを収容するハーネス収容部を設ける構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両のインストルメントパネル内部には、空調ユニットで生成した空調エアをインストルメントパネルの各ベンチレータに導く空調用ダクトや、各種電装部品に接続される電線を束ねてなるハーネス等が配設されており、該ハーネスを収容するハーネス収容部を前記空調用ダクトに一体に形成してハーネスをコンパクトに収容するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の空調用ダクトは、インストルメントパネルの車幅方向両端に亘って延びており、その空調用ダクトの下壁に、下側が開口して長手方向に延びる溝状のハーネス収容部が形成されている。該ハーネス収容部には、収容されたハーネスを上下で挟んで保持する複数の保持リブがハーネス収容部内へ突出するように空調用ダクトと一体に形成されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3235502号公報(第3頁、図2、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記特許文献1のものにおいては、ハーネス収容部が空調用ダクトの下側に開口しているため、ダクトの剛性を十分に確保できない。すなわち、例えば、インストルメントパネルを補強するためのインストルメントパネルメンバを省略して前記空調用ダクトをインストルメントパネルメンバとして利用するようにする場合には、インストルメントパネルの剛性が十分に得られない虞れがある。
【0005】
また、前記特許文献1のものでは、ハーネスを保持するための複数の保持リブを空調用ダクトと一体に形成するようにしているので、成形型の構造が複雑になる虞れがあるとともに、ハーネスを収容する際には、それら複数の保持リブが邪魔になって作業性が悪くなることが考えられる。
【0006】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インストルメントパネル内部の空調用ダクトにハーネス収容部を設ける場合に、空調用ダクトの剛性を一層向上させながら、成形型の複雑化を招くことなくハーネスを収容できるようにするとともに、そのハーネスの収容作業を容易にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明では、空調用ダクトを2つのハーフダクトからなるものとし、該2つハーフダクトに突設したフランジの共働により閉断面状のハーネス収容部を構成するようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、車両のインストルメントパネル内部で車幅方向に延び少なくとも車幅方向両端に空調エア吹出口が形成されたダクト本体と、該ダクト本体に並設されハーネスを収容するハーネス収容部とを備えてなる車両の空調用ダクトを対象とする。そして、前記ダクト本体は、車幅方向に沿って開放する断面略半円形の半割状第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとからなり、前記第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとの各々の開放縁部両側には、一対のフランジをそれぞれ外向きに突設し、前記第1ハーフダクトのフランジと第2ハーフダクトのフランジとを互いに重合させて一体に溶着することにより、第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとの内部に空調エア通路を形成するとともに、第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの一方の互いに対向するフランジの中途部に該フランジの共働により閉断面状のハーネス収容筒を前記ダクト本体の長手方向に沿って一体に形成する構成する。
【0009】
この構成によれば、第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの一方の互いに対向するフランジの中途部に両フランジの共働により閉断面状のハーネス収容筒が形成されるので、空調用ダクトは同方向に延びる中空部を2つ有することとなり、よって、空調用ダクトの剛性が一層向上され、該空調用ダクトをインストルメントパネルメンバとして適用する場合にもその剛性を十分に確保することができる。
【0010】
そして、ハーネスを収容する際には、ハーネス収容筒を形成する2つのフランジ間にハーネスを配置して両ハーフダクトを溶着するだけで該ハーネスが収容されるので、収容作業を容易に行うことができ、また、ハーネス収容筒内が閉断面状とされているので、前記従来例のような保持リブを形成することなくハーネスをハーネス収容筒内に収容した状態で保持でき、これにより、各ハーフダクトの成形型を比較的簡単な構造とすることができる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの長手方向中間部には、空調ユニットのケースの一部を構成するケース構成板をそれぞれ一体に形成する構成とする。
【0012】
この構成によれば、両ハーフダクトと空調ユニットのケース構成板とが一体に形成されるので、空調用ダクトの剛性をより一層高めることができるとともに、空調用ダクトと空調ユニットとの連結が不要で部品点数も低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る空調用ダクトとしてのベントダクト1を備える空調装置Sを示し、この空調装置Sは、車室の前端に配設されたインストルメントパネル内部に収容される。図示しないが、インストルメントパネルの車幅方向両端近傍には、空調エアを吹き出すサイドベンチレータがそれぞれ設けられ、その左右のサイドベンチレータの間の略中央部には、一対のセンタベンチレータが車幅方向に並んで設けられている。また、前記インストルメントパネルにはオーディオ機器等の各種電装部品が配設されていて、該各種電装部品に接続される電線を束ねたハーネスHがインストルメントパネル内部で車幅方向に延びるように配設され、後述するハーネス収容部に収容されている。
【0015】
前記空調装置Sは、空調エアを生成する空調ユニット3を備えており、該空調ユニット3からの空調エアは前記ベントダクト1により前記インストルメントパネルの前記各ベンチレータに導かれるようになっている。
【0016】
前記空調ユニット3は、インストルメントパネル内部の車幅方向略中央に配設されており、空調機器としての熱交換器やブロア(共に図示せず)を収容するケース5を備えている。該ケース5は、図3に示すように、車体前側の箱状部材7と、該箱状部材7の車体後側を覆うケース構成板9との組合わせ体により構成されており、互いに振動溶着により一体化されている。
【0017】
前記箱状部材7は、車幅方向に分割された左側分割材11と右側分割材13との組合わせ体により構成されており、これら両分割材11,13は樹脂材料の射出成形品とされている。左側分割材11及び右側分割材13は、対向側の全体が開口した大略箱状をなすように成形され、各々の開口端部同士を突き合わせて振動溶着により一体に接合されている。
【0018】
前記箱状部材7の下半部は、相対的に大きい矩形箱状に形成されて熱交換器収容部15を構成しているとともに、上半部は、有底円筒状に形成されてブロア収容部17を構成している。該ブロア収容部17の車体左側には、空調装置Sの組み立て時に前記ブロアを収容するための開口17aが形成されており、円盤状のキャップ19により閉塞されるようになっている。
【0019】
前記ブロア収容部17の下部は熱交換器収容部15と連通しており、前記ブロアにより空気取入口(図示せず)から取り入れられた空気が熱交換器収容部15に送風され、該熱交換器収容部15に収容された冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器を経て空調エアとなる。
【0020】
前記ケース構成板9は、前記箱状部材7の上端近傍から下端近傍に亘って延びており、上下方向略中央で上側板9aと下側板9bとに分割され、前記空調エアは、このケース構成板9と前記箱状部材7との間を上方へ流れるようになっている。そして、前記ベントダクト1は、詳細は後述するが、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とに分割され、上側ハーフダクト31が前記上側板9aの下部に、下側ハーフダクト33が前記下側板9bの上部にそれぞれ一体に形成されており、ベントダクト1の車幅方向中央部に前記ケース5内部の調和空気をベントダクト1内部に流入させる流入口(図示せず)が形成されている。このように、ベントダクト1とケース構成板9とを一体に形成しているので、ベントダクト1とケース構成板9とを連結するための部材やシール材が不要となり、部品点数を低減できる。
【0021】
前記ベントダクト1は、インストルメントパネルの左側サイドベンチレータから右側のサイドベンチレータに亘て延びるサイド用ベントダクト(ダクト本体)23と、該サイド用ベントダクト23の車幅方向略中央から分岐して車体後側へ延びる一対のセンタ用ベントダクト25,25と、前記センタ用ベントダクト25,25の車体前側に並設され、内部にハーネス収容部90を有する略円筒状のハーネス収容筒27とからなる。
【0022】
前記サイド用ベントダクト23は、全体的に略円形の閉断面を有するとともに略水平に直線状に延びていて、その両端側は車体後側に曲げられてそれぞれの端部開口(空調エア吹出口)23a,23aが前記サイドベンチレータに接続されている。一方、前記一対のセンタ用ベントダクト25,25は車幅方向に並んでおり、それらは車体後側へ行くほど車幅方向に離れるように形成されていて、その端部開口25a,25aがそれぞれ前記センタベンチレータに接続されている。このセンタ用ベントダクト25,25も略円形の閉断面を有している。また、前記ハーネス収容筒27は、サイド用ベントダクト23と一体に形成されるとともに、前記ハーネス収容部90の車幅方向(長手方向)両端が開放されていてハーネスHが車幅方向に貫通するようになっている。前記ハーネス収容部90径はサイド用ベントダクト23の空調エア通路21の径よりも小さく、かつ前記ハーネスHを収容した状態で該ハーネスHとの間に若干の隙間が形成されるように設定されている。
【0023】
そして、前記空調ユニット3で生成された空調エアは、前記ベントダクト1の流入口からサイド用ベントダクト23に流入した後、該サイド用ベントダクト23の車幅方向両側に流れて端部開口23a,23aからインストルメントパネルのサイドベンチレータを介してそれぞれ車室に供給される。さらに、サイド用ベントダクト23に流入した空調エアは、センタ用ベントダクト25,25を車体後側に流れて端部開口25a,25aからインストルメントパネルのセンタベンチレータを介して車室に供給される。
【0024】
前記ベントダクト1は、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とに分割され、これら上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33は、全体として車幅方向に沿って開放する断面略半円形に形成されており、両ハーフダクト31,33の車幅方向略中央には、前記各センタ用ベントダクト25の上側半体部28と下側半体部29とがそれぞれ形成されている。
【0025】
図1に示すように、前記上側ハーフダクト31の開放縁部両側(車体前縁部側及び後縁部側)には、外向きに突設され車幅方向に延びる前側フランジ37及び後側フランジ39が一体に形成されている。前側フランジ37は、サイド用ベントダクト23の分割面である略水平面に沿って延びる略平坦な基端側フランジ部37aと、該基端側フランジ部37aの車体前縁に連続し前記ハーネス収容筒37の上半部を構成する断面略半円形の上側収容半体部37bと、該上側収容半体部37bの車体前縁に連続し前記基端側フランジ部37aと同様に分割面に沿って延びる先端側フランジ部37cとからなる。一方、後側フランジ39は、突出長さが比較的短くされるとともに、前側フランジ37の基端側フランジ部37a及び先端側フランジ部37cと同様に分割面に沿って略平坦に延びている。
【0026】
前記下側ハーフダクト33は、前記上側ハーフダクト31と略同様に構成されており、開放縁部両側に前側フランジ55及び後側フランジ57が突設され、前側フランジ55は、分割面に沿って延びる基端側フランジ部55aと、ハーネス収容筒27の下半部を構成する断面略半円形の下側収容半体部55bと、前記基端側フランジ部55aと同様に延びる先端側フランジ部55cとからなり、また、後側フランジ57は分割面に沿って延びている。
【0027】
前記上側ハーフダクト31の後側フランジ39の下面には、下方へ突出する3つの突条部39aが長手方向に沿って、かつ後側フランジ39の幅方向に互いに離れて略平行に延びている。前記上側ハーフダクト31の基端側フランジ部37aにも同様な3つの突条部37dが形成されており、また、先端側フランジ部37cには前記各突条部37d,39aと同形状の2つの突条部37eが形成されている。
【0028】
一方、下側ハーフダクト33の基端側フランジ部55a、先端側フランジ部55c及び後側フランジ57の上面は略平坦面とされており、これら上面に前記上側ハーフダクト31の対応するフランジ部37a,37cの各突条部37d,37e及び後側フランジ39の各突条部39aの先端が溶着されるようになっている。この溶着の際には、ハーネスHを前記下側収容半体部55bのハーネス収容部90に収めた後、下側ハーフダクト33に上側ハーフダクト31を重合させ、図示しない振動溶着機により前記各突条部37d,37e及び39aをフランジ部37a,37c及び後側フランジ39の各上面に圧接して上側ハーフダクト31または下側ハーフダクト33を振動させることで、基端側フランジ部37a及び55a、先端側フランジ部37c及び55c、後側フランジ39及び57が互いに一体に溶着する。
【0029】
これにより、サイド用ベントダクト23の空調エア通路21を流れる空調エアが、前側フランジ37,55間及び後側フランジ39,57間から外方へ洩れることを防止でき、また、互いに対向する前側フランジ37,55の中途部に該前側フランジ37,55の共働により閉断面状のハーネス収容筒27が形成されるので、インストルメントパネルにハーネスHを収容保持する部分を別途設けることなく、ハーネスHをサイド用ベントダクト23にコンパクトに収容することができる。
【0030】
尚、前記各突条部を、下側ハーフダクト33の基端側フランジ部55a,先端側フランジ部55c及び後側フランジ57に形成し、上側ハーフダクト31の基端側フランジ部37a,先端側フランジ部37c及び後側フランジ39の下面を略平坦に形成するようにしてもよい。さらに、この実施形態では、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とを振動溶着するようにしているが、他の溶着方法を用いてもよい。
【0031】
また、前記上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33には、補強リブ61が車幅方向に多数並設されている。各補強リブ61は、後側フランジ39の上面とサイド用ベントダクト23の外周面の車体後部とに連なるように突設された後側リブ61aと、基端側フランジ部37aの上面、サイド用ベントダクト23の外周面の車体前部及び上側収容半体部37bの外周面の車体後部に連なるように突設された中間リブ61bと、先端側フランジ部37cの上面と上側収容半体部37bの外周面の車体前部とに連なるように突設された前側リブ61cとからなる。また、前記下側ハーフダクト33にも、上側ハーフダクト31と同様の補強リブ71が設けられており、後側リブ71a、中間リブ71b及び前側リブ71cからなる。尚、この実施形態では、補強リブ61,71を構成する各リブを、それぞれ、車体前後方向に延びる同一直線上に位置するように形成しているが、各リブを互いに車幅方向にずらして形成するようにしてもよい。
【0032】
前記下側ハーフダクト33の車幅方向両端には、図2に示すように、車体外方へ延びる一対のフランジ81,81が一体に形成されている。該各フランジ81には2つの取付孔81a,81aが形成されており、この取付孔81a,81aにボルト(図示せず)を挿通して車体のサイドパネル部材に締結することによりベントダクト1が車体に固定される。
【0033】
したがって、この実施形態に係るベントダクト1によると、上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33を互いに一体に溶着することにより、両ハーフダクト31,33の前側フランジ37,55の中途部に車幅方向に延びる閉断面状のハーネス収容部90を有するハーネス収容筒27が形成されるので、ベントダクト1は同方向に延びる中空部を2つ、即ち、空調エア通路21及びハーネス収容部90を有することとなり、よって、ベントダクト1の剛性を十分に確保することができる。これにより、ベントダクト1をインストルメントパネルメンバとして適用する場合にもその剛性を十分に確保することができる。
【0034】
また、ハーネスHを収容する際には、該ハーネスHを下側収容半体部55bに収めて、下側ハーフダクト33に上側ハーフダクト31を重合させ一体に溶着するだけでよいので、ハーネスHの収容作業を容易に行うことができる。尚、ハーネスHの収容は、前記方法とは逆に、上側収容半体部37bにハーネスHを収めて、上側ハーフダクト31に下側ハーフダクト33を上から重合させ両者を一体に溶着することも可能である。さらに、この際、ハーネス収容筒27は閉断面状とされているので、従来の保持リブを設けることなく、ハーネスHをハーネス収容筒27内に収容した状態で保持することができ、これにより、上側ハーフダクト31及び下側ハーフダクト33の成形型を比較的簡単な構造とすることができる。
【0035】
尚、前記実施形態では、サイド用ベントダクト23の車体前側にハーネス収容筒27を設けるようにしているが、これに限らず、サイド用ベントダクト23の車体後側にハーネス収容筒を設けるようにしてもよい。
【0036】
また、この実施形態では、上側収容半体部37bと下側収容半体部55bとの断面形状を互いに同じにしているが、これに限らず、例えば、一方の断面形状を相対的に小さくしてもよい。さらに、ハーネス収容筒27の形状は略円筒に限られるものではなく、例えば、矩形断面を有する筒状に形成するようにしてもよい。
【0037】
(変形例)
前記実施形態では、ベントダクト1を、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33との分割面がハーネス収容部90の上下方向略中心部に位置するように構成しているが、これに限らず、図4に示す変形例のように、ハーネス収容部90全体が分割面よりも上方に位置するように構成してもよい。
【0038】
すなわち、上側ハーフダクト31の前側フランジ91の基端側フランジ部91aには、下側に開放した略逆U字状断面を有する凹条部91bが形成されており、該凹条部91bの車体前縁に先端側フランジ部91cが連続している。
【0039】
一方、下側ハーフダクト33の前側フランジ93は、前記上側ハーフダクト31の前側フランジ91の車体前端に対応する位置まで分割面に沿って延びている。
【0040】
そして、ハーネスHをハーネス収容筒27内部のハーネス収容部90に収容し、上側ハーフダクト31と下側ハーフダクト33とを結合するには、ハーネスHを上側ハーフダクト31のハーネス収容部90内に収めて、該上側ハーフダクト31に下側ハーフダクト33を上から重合させた後、下側ハーフダクト33の長手方向に振動させることにより、上側ハーフダクト31の基端側フランジ部91aの各突条部91d及び先端側フランジ部91cの各突条部91eを、下側ハーフダクト33の前側フランジ93に、また、上側ハーフダクト31の後側フランジ39の各突条部39aを下側ハーフダクト33の後側フランジ57にそれぞれ溶着する。これにより、凹条部91bと前側フランジ93とにより閉断面状のハーネス収容部90が形成されて、ハーネスHが収容保持される。よって、ハーネスHの収容作業を容易に行うことができるとともに、各ハーフダクト31,33の成形型を比較的簡単な構造としつつ、ハーネスHを収容保持することができる。
【0041】
また、この変形例によれば、前記実施形態と同様に、ベントダクト1は同方向に延びる閉断面状のサイド用ベントダクト23とハーネス収容筒27とを有することとなり、よって、ベントダクト1の剛性を十分に確保することができる。
【0042】
さらに、この変形例のベントダクト1では、ハーネス収容部90が分割面よりも下方に位置していないので、下側ハーフダクト33の前側フランジ93の下方にハーネス収容部90を形成するためのスペースが確保できない場合でも、ベントダクト1にハーネス収容筒27を一体に形成することができる。
【0043】
尚、この変形例では、上側ハーフダクト31の前側フランジ91に凹条部91bを形成するようにしているが、これに限らず、下側ハーフダクト33の前側フランジ93に上側に開放する凹条部を形成し、上側ハーフダクト31の平板状の前側フランジ91によりその凹条部の開口を閉塞するようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る車両の空調用ダクトによると、ダクト本体を第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとからなるものとし、第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとに一対のフランジをそれぞれ外向きに突設し、第1ハーフダクトのフランジと第2ハーフダクトのフランジとを互いに重合させて一体に溶着することにより、両ハーフダクトとの内部に空調エア通路を形成するとともに、該両ハーフダクトの一方の互いに対向するフランジの中途部に該フランジの共働により閉断面状のハーネス収容筒を形成したので、空調用ダクトは同方向に延びる中空部を2つ有することとなり、よって、空調用ダクトをインストルメントパネルメンバとして適用する場合にもその剛性を十分に確保することができる。そして、ハーネスの収容は、ハーネス収容筒内にハーネスを配置して両ハーフダクトを溶着するだけでよいので、収容作業を容易に行うことができ、また、ハーネス収容筒が閉断面状とされているので、各ハーフダクトの成形型を比較的簡単な構造としながらハーネスを保持できる。
【0045】
請求項2記載の発明によると、両ハーフダクトと空調ユニットのケース構成板とが一体に形成されるので、空調用ダクトの剛性をより一層高めることができるとともに、部品点数も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のA−A線における断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るベントダクトを備える空調装置を車体後側から見た斜視図である。
【図3】空調装置の分解斜視図である。
【図4】変形例に係る図1相当図である。
【符号の説明】
1 ベントダクト(空調用ダクト)
3 空調ユニット
5 ケース
9 ケース構成板
21 空調エア通路
23 サイド用ベントダクト(ダクト本体)
23a 端部開口(空調エア吹出口)
27 ハーネス収容筒
31 上側ハーフダクト(第1ハーフダクト)
33 下側ハーフダクト(第2ハーフダクト)
37,55 前側フランジ
39,57 後側フランジ
H ハーネス
Claims (2)
- 車両のインストルメントパネル内部で車幅方向に延び少なくとも車幅方向両端に空調エア吹出口が形成されたダクト本体と、該ダクト本体に並設されハーネスを収容するハーネス収容部とを備えてなる車両の空調用ダクトであって、
前記ダクト本体は、車幅方向に沿って開放する断面略半円形の半割状第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとからなり、
前記第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとの各々の開放縁部両側には、一対のフランジがそれぞれ外向きに突設され、前記第1ハーフダクトのフランジと第2ハーフダクトのフランジとを互いに重合させて一体に溶着することにより、第1ハーフダクトと第2ハーフダクトとの内部に空調エア通路が形成されるとともに、第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの一方の互いに対向するフランジの中途部に該フランジの共働により閉断面状のハーネス収容筒が前記ダクト本体の長手方向に沿って一体に形成されていることを特徴とする車両の空調用ダクト。 - 請求項1において、
第1ハーフダクト及び第2ハーフダクトの長手方向中間部には、空調ユニットのケースの一部を構成するケース構成板がそれぞれ一体に形成されていることを特徴とする車両の空調用ダクト。
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