JP2004114613A - 吐出ヘッドの清掃用ワイパー及び液吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液吐出装置としてのキャリッジ4aに備えられた吐出ヘッド2における、インクを吐出する吐出口22が設けられた吐出面2に付着したインクを除去する清掃用ワイパー66において、その清掃用ワイパー66をインクとの接触角(後退接触角)が50.5度以上となるように構成した。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去する吐出ヘッドの清掃用ワイパーおよび液吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、液吐出装置を備えるインクジェットプリンタにおける吐出ヘッド2には、インクを滴として吐出する複数の吐出口22が、吐出ヘッド2における吐出面2aに設けられている。この吐出ヘッド2においては、通常、所定数の画像を記録する毎にメンテナンスを行っている。具体的には、インクの粘度の増大若しくはインクの固着による目詰まり又は吐出口22に通じる流路内に発生した気泡若しくはゴミ等による目詰まりをなくすため、図7(a)に示されるように、吐出ヘッド2の吐出面2aを吸引キャップ61Aで密閉するように覆い、その後、この吸引キャップ61Aを介して吸引ポンプ64Aで吸引して上記目詰まりをなくしている。
【0003】
そして、上記の吸引終了後、吸引キャップ61Aを吐出ヘッド2の吐出面2aから離脱する。この場合、図7(b)に示すように、気泡を含むインクが吐出面2aに付着しやすく、インクが吐出面2aに残留してしまう。インクが吐出面2aに残留したままであると、記録媒体に対して明瞭な画像の記録が行えない。そのため、吸引キャップ61Aの離脱後においては、図8に示すように、適度な弾性を有するワイパー部材63Aで吐出面2aを擦り、吐出面2aに残留したインクを除去するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3232135号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように、吐出面2aに残留したインクを除去するために、ワイパー部材63Aで吐出面2aを擦る場合、ワイパー部材63Aに対するインクの濡れ性がよく、接触角が小さいと、図8に示すように、吐出面2aとワイパー部材63Aとの僅かな隙間からインクが漏れることがある。つまり、吐出面2aには除去しきれなかったインクが残留してしまうことになる。
【0006】
本発明の課題は、吐出面に残留したインクをより確実に除去することができる清掃用ワイパー及び液吐出装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、
吐出液を吐出する吐出口が設けられた吐出面を有する吐出ヘッドの前記吐出面と接触して、前記吐出面に付着した前記吐出液を除去する吐出ヘッドの清掃用ワイパーにおいて、
前記吐出液との接触角が50.5度以上であることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去する吐出ヘッドの清掃用ワイパーと吐出液との接触角が50.5度以上であるので、清掃用ワイパーにより除去される吐出液は、清掃用ワイパーの表面において液面を広げることなく好適に清掃用ワイパーにより吐出ヘッドの吐出面から除去される。よって、吐出ヘッドの吐出面に吐出液を残留することなく、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の吐出ヘッドの清掃用ワイパーにおいて、
前記接触角は、前記清掃用ワイパーと前記吐出液との後退接触角であることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去する吐出ヘッドの清掃用ワイパーと吐出液との後退接触角が50.5度以上であるので、清掃用ワイパーにより除去される吐出液は、清掃動作中の清掃用ワイパーが移動する際の後方に液面を広げることなく好適に清掃用ワイパーにより吐出ヘッドの吐出面から除去される。よって、吐出ヘッドの吐出面に吐出液を残留することなく、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の吐出ヘッドの清掃用ワイパーを備える液吐出装置であって、
前記清掃用ワイパーにおける前記吐出面と接触する接触部の表面粗さ値を測定する粗さ値測定手段と、
前記粗さ値測定手段により測定された前記接触部の表面粗さ値が、予め設定された判定用表面粗さ値より大きいか否かの判断を行う判断手段と、
前記判断手段により、前記接触部の表面粗さ値が判定用表面粗さ値より大きいと判断された場合に、所定の出力形式による警告を行う警告手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、粗さ値測定手段により測定された清掃用ワイパーの接触部の表面粗さ値が、予め設定された判定用表面粗さ値より大きいと判断手段により判断された際に、警告手段が所定の出力形式により警告を行うので、接触部の表面粗さ値が、判定用表面粗さ値より大きくなったことを速やかに警告することができる。
つまり、接触部の表面粗さ値が、閾値として予め設定された判定用表面粗さ値より大きくなったという、清掃用ワイパーの劣化を速やかに警告することができ、その警告されたことに基づき適切な対処を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の液吐出装置をインクジェットプリンタに適用した実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のインクジェットプリンタ1の要部を示す斜視図である。図2は、同インクジェットプリンタ1の一部省略正面図である。
【0014】
図1、図2に示されるように、インクジェットプリンタ1は、記録媒体99に吐出液としてのインクを吐出する四つの吐出ヘッド2,2,・・・と、各吐出ヘッド2にインクを供給する四つのサブタンク3,3,・・・と、吐出ヘッド2・・・とサブタンク3・・・とを有し、主走査方向Aに沿って移動可能な液吐出装置であるキャリッジ4aと、各吐出ヘッド2のメンテナンスを行うメンテナンスユニット6と、各色のインクを貯留する四つのメインタンク8,8,・・・と、各メインタンク8に接続され、各メインタンク8からインクを各サブタンク3へ供給する四つの加圧ポンプ9,9,・・・と、各メインタンク8から各サブタンク3へとインクを送液するインク供給部材10と、記録媒体99の非記録面を保持するプラテン11と、上記部材を含むインクジェットプリンタ1の各部材の動作を制御する制御部5等を備えている。なお、制御部5とインクジェットプリンタ1の各部材とは、図示しないバスなどを介し接続されている。
【0015】
四つの吐出ヘッド2,2,・・・は、前記した四つのサブタンク3,3,・・・に対して一つずつ接続されている。これら四つの吐出ヘッド2,2,・・・は、サブタンク3とともに、後述するキャリッジ4aに搭載されてキャリッジ4aの移動に追従する。そして、各吐出ヘッド2は、キャリッジ4aの移動中において当該吐出ヘッド2に接続されたサブタンク3から供給されたインクを滴状にし、記録媒体99の記録面に吐出する。
なお、各吐出ヘッド2の下面側には、後述する図3に示される複数の吐出口22・・・が設けられた吐出面2aが形成されており、この吐出口22・・・からインクを記録媒体99に吐出する。
【0016】
キャリッジ機構部4は、前述した四つの吐出ヘッド2,2,・・・及び四つのサブタンク3,3,・・・を搭載したキャリッジ4aと、主走査方向Aに沿って延在してキャリッジ4aの主走査方向Aへの移動をガイドするガイド部材4bと、キャリッジ4aを支持した状態でキャリッジ4aを移動させる搬送ベルト(図示省略)と、キャリッジ4aの移動の駆動源となる搬送モータ(図示省略)等を備えている。このキャリッジ機構部4において、図示しない搬送モータが駆動されると図示しない搬送ベルトが作動し、キャリッジ4aは、ガイド部材4bにガイドされた状態で主走査方向Aに沿って移動するようになっている。なお、図示しない搬送モータの回転方向に従ってキャリッジ4aの移動方向は変更され、キャリッジ4aは、ガイド部材4bに沿って主走査方向Aに往復移動する。
【0017】
メンテナンスユニット6は、図1、図2に示すように、キャリッジ4aの移動端に設けられた部材であって、各吐出ヘッド2の下面を覆って各吐出口22(図3参照)に残留しているインクを吸引する二つの吸引キャップ61,61と、各吐出ヘッド2から空吐出されたインク滴を回収する回収手段62と、各吐出ヘッド2の下面に残るインクを除去する清掃用ワイパー66を有するワイパー部材63と、清掃用ワイパー66の表面の粗さ状態を測定する粗さ値測定手段としての粗さ値測定部68と、メンテナンスユニット6自体を矢印C方向に沿って上下に昇降させる昇降手段(図示省略)と、メンテナンスユニット6自体を矢印D方向(主走査方向Aと同じ方向)に沿って移動させる移動手段(図示省略)等を備えている。
【0018】
二つの吸引キャップ61,61には吸引ポンプ64が接続されている。吸引ポンプ64は、二つの吸引キャップ61,61が各吐出ヘッド2からのインクを吸引するための吸引力を発生するものである。また、吸引ポンプ64には吐出ヘッド2から吸引したインクを貯留するための貯留タンク65が接続されている。つまり、二つの吸引キャップ61,61上に配置された吐出ヘッド2の吐出面2aを吸引キャップ61が密封した状態で吸引ポンプ64を作動させることにより、吐出ヘッド2の各吐出口22に残留したインクを吸引し、吸引したインクを貯留タンク65に貯留できるようになっている。
【0019】
ワイパー部材63は、主走査方向Aと略垂直な面を有するように立設された板状の弾性体である清掃用ワイパー66と、清掃用ワイパー66を支持する支持部67とにより構成されている。この清掃用ワイパー66における主走査方向Aと略垂直な面の一方は、後述するように各吐出ヘッド2の吐出面2aを擦り、吐出面2aに残留、付着するインクを除去するための接触部としての接触面66aであり、この接触面66aの幅方向(主走査方向と垂直方向)の長さは、各吐出ヘッド2の吐出面2aの主走査方向Aと垂直な方向の幅の長さと同じか又はそれよりも長い。
そして、清掃用ワイパー66の接触面66aによって、吐出ヘッド2の吐出面2aに付着したインクを除去するようになっている。
【0020】
ここで、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66は、その清掃用ワイパー66に付着するインクの接触角が50.5度以上、好ましくは後退接触角が50.5度以上である条件を満たすものである。
また、接触角とは、固体表面に形成された液滴において、以下のYoungの式(1)が成立する際の角度θ(θ;接触角)のことである。
γSV=γSL+γLVcosθ・・・・・(1)
γSV;固体の表面張力
γSL;固体−液体間の表面張力
γLV;液体の表面張力
また、固体表面に液滴が形成された状態で、その固体表面を徐々に傾斜させていく過程において、その液滴が固体表面を、その傾斜下方に移動し始める際の、液滴後方(上方)の接触角を後退接触角、液滴前方(下方)の接触角を前進接触角という。
【0021】
その清掃用ワイパー66に付着するインクの接触角が50.5度以上、好ましくは後退接触角が50.5度以上である条件を満たすような、清掃用ワイパー66を構成する弾性体としては、例えば、撥インク性(撥水性)が高いシリコーン(Silicone)ゴムなどが好適である。例えば、入間川ゴム株式会社製シリコーンゴムIS−825に対するエプソン社製MC−2000専用インクMC1BK01の後退接触角は57.0度であり、前述の清掃用ワイパー66(弾性体)に付着するインクの接触角(後退接触角)が50.5度以上である条件を満たす。
このインクが付着した吐出ヘッド2の吐出面2aを、この後退接触角が57.0度であるシリコーンゴムで構成された清掃用ワイパー66が清掃動作として90mm/secの速度で擦った場合、図3に示されるように、吐出面2aから清掃用ワイパー66の接触面66a側に付着したインクは、その接触面66a上に広がらず、接触面66a上に隆起した状態を形成する。それにより、吐出面2aと清掃用ワイパー66との僅かな隙間からそのインクは漏れることなく、好適にインクを吐出面2aから除去することができる。この清掃動作後、吐出面2aの状態を確認したところ、その吐出面2aに付着するインクを視認することはできなかった。
同様に、後退接触角が50.5度である清掃用ワイパー66による清掃動作後、吐出面2aの状態を確認したところ、その吐出面2aに付着するインクを視認することはできなかった。
【0022】
一方、後退接触角が50.5度以下である、48.9度の清掃用ワイパー66が清掃動作として90mm/secの速度で、このインクが付着した吐出ヘッド2の吐出面2aを擦った清掃動作後、吐出面2aの状態を確認したところ、その吐出面2aに僅かに付着するインクを視認することができた。同様に、後退接触角が24.7度である清掃用ワイパー66による清掃動作後、吐出面2aの状態を確認したところ、その吐出面2aに付着するインクを視認することができた。つまり、後退接触角が50.5度以下である清掃用ワイパー66による清掃動作では、吐出ヘッド2の吐出面2aからインクを除去しきれないことがある。
【0023】
清掃用ワイパー66に対するインクの接触角(後退接触角)が50.5度以下というような、清掃用ワイパー66に対するインクの濡れ性がよい場合では、図8のように吐出ヘッド2の吐出面2aの清掃動作として、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66が吐出ヘッド2の吐出面2aに付着するインクを除去するように擦った際に、接触面66a側に付着したインクが、清掃用ワイパー66が移動する方向の後方側に広がりやすいため、吐出面2aと清掃用ワイパー66との僅かな隙間からインクが漏れることがある。つまり、吐出面2aに残留、付着するインクを除去しきれないこととなってしまう。
このように、清掃用ワイパー66を構成する弾性体としては、その弾性体に付着するインクの接触角(後退接触角)が50.5度以上であると、好適に吐出ヘッド2の吐出面2aに付着したインクの除去を行うことができるので、インクとの接触角(後退接触角)が50.5度以上であることが、清掃用ワイパー66を構成する弾性体としての条件となる。
【0024】
粗さ値測定部68は、清掃用ワイパー66の接触面66aの表面粗さを測定する測定部であり、例えば、LED等により構成される発光素子68aと、その発光素子68aが出力した発光光に基づく清掃用ワイパー66の接触面66aからの反射光(受光光)を受光する受光素子68b等により構成されている。
この粗さ値測定部68は、発光素子68aから所定の光量の発光光を出力し、その発光光に基づく清掃用ワイパー66の接触面66aからの反射光を受光素子68bが受光する。例えば、接触面66aの表面が滑らかな状態であると反射光に基づく受光光の光量は比較的多く、逆に、接触面66aの表面に傷などの凹凸がある粗い状態であると、その表面において反射光が散乱することとなり、受光素子68bが受光する反射光に基づく受光光の光量は少なくなる。このような受光光の光量と接触面66aの表面粗さとの関係を示すデータが、後述する制御部5のROM(図示省略)に記憶、格納されている。
【0025】
ここで、清掃用ワイパー66の接触面66aにおける、表面粗さと後退接触角との相関関係について説明する。
図4(a)に示される、シリコーンゴム製の清掃用ワイパー66の接触面66aに対するインクの後退接触角と、その接触面66aの粗さを示す表面粗さ値(Ra)との相関のように、接触面66aの表面粗さ値(Ra)が増大することに従い、後退接触角は小さくなる。また、図4(b)に示される、清掃用ワイパー66の接触面66aに対するインクの後退接触角と、その清掃用ワイパー66(ワイパー部材63)が動作した清掃回数との相関のように、清掃回数が増えることに従い、後退接触角は小さくなる。
つまり、清掃用ワイパー66の接触面66aが、吐出ヘッド2の吐出面2aに付着するインクを除去する清掃動作を繰り返し行うことにより、接触面66aが吐出面2aとの摩擦によって傷つき、磨耗すること等により表面粗さ(表面粗さ値Ra)が増大し、接触面66aに対するインクの後退接触角が小さくなる傾向がある。
【0026】
このような構成のメンテナンスユニット6は、上記二つの吸引キャップ61,61、回収手段62及びワイパー部材63(清掃用ワイパー66)等によって、各吐出ヘッド2の各吐出口22における気泡の発生及び目詰まり等を防止し、更に吐出面2aに付着する残留インク等を除去する。すなわち、このメンテナンスユニット6により、吐出ヘッド2(吐出口22)からのインクの吐出状態を良好な状態に維持することができ、記録媒体99に明瞭な画像を記録することができる。
【0027】
制御部5は、図示しないが、各種演算処理を行うCPUと、制御・判断等各種処理用の各種プログラムや、各種画像記録動作条件、各種メンテナンス動作処理条件のデータ等、特に、粗さ値測定部68が測定した清掃用ワイパー66の接触面66aからの反射光(受光光)の光量に対応した接触面66aの表面粗さ値(Ra)データや、清掃用ワイパー66の接触面66aが好適に吐出ヘッド2の吐出面2aの清掃を行うことができる基準となる予め設定された判定用表面粗さ値データ等が記憶、格納されたROMと、各種処理におけるワークメモリとして使用されるRAMとで概略構成されている。
なお、好適に吐出ヘッド2の吐出面2aの清掃を行うことができる基準となる判定用表面粗さ値とは、例えば、清掃用ワイパー66の接触面66aに対するインクの接触角(後退接触角)が50.5度となる際の、表面粗さ値である。
【0028】
この制御部5は、粗さ値測定部68が測定した、発光素子68aが出力した発光光に基づく、清掃用ワイパー66の接触面66aからの反射光(受光光)の光量に基づき、接触面66aの表面粗さ値(Ra)を算出する制御を行う。
また、制御部5は、判断手段として、その算出された表面粗さ値と、制御部5のROMに記憶された判定用表面粗さ値との比較を行い、算出された表面粗さ値が、判定用表面粗さ値より大きいか否かの判断を行う制御を行う。
また、制御部5は、警告手段として、判断手段が、算出された表面粗さ値の方が、判定用表面粗さ値より大きいと判断した際、清掃用ワイパー66の接触面66aにおけるインクの接触角が所定値以下であることを警告する制御を行う。なお、この警告は所定の出力形式として、図示しない表示部における警告表示や、図示しないアラーム部における警告音の発信や、図示しない点灯部における警告点灯などにより行われる。
【0029】
このようなインクジェットプリンタ1において、所定数の画像の記録を行う毎に、各吐出ヘッド2は、メンテナンスユニット6によりメンテナンスされる。具体的には、所定数の画像の記録が終了すると、キャリッジ4aは、記録領域Iから非記録領域II(図2参照)に移動して停止する。なお、この場合、ワイパー部材63(清掃用ワイパー66)や粗さ値測定部68は、下降した状態で各吐出ヘッド2の移動を妨げない位置に位置している。
【0030】
そして、まず、メンテナンスユニット6の二つの吸引キャップ61,61が四つの吐出ヘッド2,2,…のうちの端の二つの吐出ヘッド2,2に対向するように、移動手段(図示省略)によってメンテナンスユニット6が矢印D方向に沿って移動する。この位置で、昇降手段(図示省略)によってメンテナンスユニット6が矢印C方向に沿って上昇する。こうして、二つの吸引キャップ61,61が二つの吐出ヘッド2,2の吐出面2aを覆い、その後、これら二つの吐出ヘッド2,2から同時にインクの吸引を行う。インクの吸引が終了すると、同様に、残り二つの吐出ヘッド2,2のインクの吸引を行う。
【0031】
次いで、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66が吐出ヘッド2(キャリッジ4a)と対向する位置よりもややずれた位置に位置するように、移動手段(図示省略)によりメンテナンスユニット6が矢印D方向に移動する。メンテナンスユニット6が所望の位置に達すると、昇降手段(図示省略)によりメンテナンスユニット6が矢印C方向に沿って上昇する。このとき、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66の上端部が、各吐出ヘッド2の吐出面2aよりも高い位置に突出する。
【0032】
そして、図5に示される状態において、移動手段(図示省略)によってメンテナンスユニット6が矢印D方向に沿って、図中左方へ移動し、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66の先端部が各吐出ヘッド2の吐出面2aに当接する。さらに、メンテナンスユニット6が移動することに伴い、図5に示すように、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66が、弾性変形するとともに、清掃用ワイパー66の接触面66aが各吐出ヘッド2の吐出面2aを擦るように移動する。これにより、各吐出ヘッド2の吐出面2aに付着したインクは清掃用ワイパー66により除去される。
なお、この際、第2の移動手段としてキャリッジ機構部4のキャリッジ4aが矢印A方向に沿って、図中右方へ移動することにより、清掃用ワイパー66の接触面66aが各吐出ヘッド2の吐出面2aを擦るようにしてもよい。
【0033】
この際、清掃用ワイパー66に対するインクの接触角(後退接触角)は50.5度以上であるので、図3に示すように、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66が吐出ヘッド2の吐出面2aに残留するインクを除去するように擦った際に、吐出面2aと清掃用ワイパー66との僅かな隙間からそのインクは漏れることなく、吐出面2aに付着したインクを良好に除去することができる。
【0034】
次いで、図6に示すように、清掃用ワイパー66の接触面66a表面の凹凸、粗さの状態を、粗さ値測定部68により測定する。
まず、粗さ値測定部68は、発光素子68aから発光光を出力し、清掃用ワイパー66の接触面66aに照射する。次いで粗さ値測定部68は、その発光光が接触面66aにより反射された反射光のうち受光素子68bが受光した受光光の光量に基づくデータ信号を制御部5に出力する。
制御部5は、粗さ値測定部68からの受光光の光量に関するデータ信号に基づき、接触面66aの表面粗さ値(Ra)を算出するとともに、判断手段として、その算出された表面粗さ値と、制御部5のROMに予め記憶された判定用表面粗さ値との比較を行う。制御部5が、算出された表面粗さ値の方が、判定用表面粗さ値より小さいと判断した場合、清掃用ワイパー66の接触面66aの状態は良好であるとし、そのままインクジェットプリンタ1の記録動作等が継続される。一方、制御部5が、算出された表面粗さ値の方が、判定用表面粗さ値より大きいと判断した場合、警告手段として清掃用ワイパー66の接触面66aにおけるインクの接触角が所定値以下であることを所定の出力形式により警告する。その後、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66の交換等が行われ、警告状態の解除が行われるまで、その警告を継続しつつ、インクジェットプリンタ1の記録動作等が続けられる。
なお、ワイパー部材63による吐出ヘッド2の吐出面2aの清掃が終了すると、昇降手段(図示省略)によりメンテナンスユニット6が矢印C方向に沿って下降する。
【0035】
その後、メンテナンスユニット6の回収手段62が順次、各吐出ヘッド2の直下に位置するように、移動手段(図示省略)によってメンテナンスユニット6が矢印D方向に沿って移動するとともに、昇降手段(図示省略)によりメンテナンスユニット6が矢印C方向に沿って上昇し、回収手段62に対向する吐出ヘッド2から回収手段62に向かってインクを空吐出する。
【0036】
そして、全ての吐出ヘッド2,2,…からの空吐出が終了すると、メンテナンスユニット6による各吐出ヘッド2のメンテナンスが終了する。各吐出ヘッド2のメンテナンスが終了すると、キャリッジ4aが非記録領域IIから記録領域I内に移動して、上記した記録動作が再開されるようになっている。
【0037】
このように、インクジェットプリンタ1のキャリッジ4aに備えられた吐出ヘッド2の吐出面2aに付着したインクを除去するワイバー部材63の清掃用ワイパー66と、そのインクとの接触角(後退接触角)が50.5度以上であると、吐出面2aにインクを残留することなく、好適にインクを除去することができる。それに伴い、吐出ヘッド2におけるインク吐出が良好に行われることとなり、キャリッジ4aやインクジェットプリンタ1の各動作が良好に行われるようになる。
【0038】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。例えば、本実施形態では、メンテナンス時において、メンテナンスユニット6全体を移動させる構成であるが、ワイパー部材63が単体で移動する構成であってもよい。
【0039】
また、吐出ヘッド2の吐出面2aをワイパー部材63の清掃ワイパー66により清掃する際、吐出ヘッド2とワイパー部材63とが、一方が他方に対し相対的に近づくように移動すればよいので、吐出ヘッド2の移動を行うキャリッジ機構部4のキャリッジ4aと、ワイパー部材63(メンテナンスユニット6)の移動を行う移動手段(図示省略)との、どちらか一方が移動すればよく、また、その両方が同時に移動する構成であってもよい。また、その移動方向は、キャリッジ4aの移動方向である主走査方向Aに限らず、主走査方向Aと垂直な方向への移動を行い吐出面2aの清掃を行う構成であってもよい。
【0040】
また、警告手段が、清掃用ワイパー66の接触面66aにおけるインクの接触角が所定値以下であることを所定の出力形式により警告した際、ワイパー部材63の清掃用ワイパー66の交換等が行われ、警告状態の解除が行われるまで、インクジェットプリンタ1の記録動作等が続けられるとしたが、所定の警告後、インクジェットプリンタ1の記録動作を一時停止してもよい。
【0041】
また、ワイパー部材63の清掃ワイパー66による各吐出ヘッド2の吐出面2aの清掃は、回収手段62にインクの空吐出する前に行う構成を例示しているが、インクの空吐出後に、ワイパー部材63による各吐出ヘッド2の吐出面2aの清掃を行う構成としてもよい。
【0042】
また、吐出ヘッド2、サブタンク3、メインタンク8及び加圧ポンプ9等の数も任意である。
また、メンテナンスユニット6のワイパー部材63の数も任意であり、吐出ヘッド2毎にワイパー部材63を備える構成であってもよい。勿論、吸引キャップ61の数、回収手段62の数も任意である。
【0043】
また、以上の実施の形態においては、液吐出装置を、インクを吐出するインクジェットプリンタに適用した例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、吐出液を吐出し、画像や画像形状パターンを記録、形成する装置であれば、本発明を適用することは任意である。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0044】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去する吐出ヘッドの清掃用ワイパーと吐出液との接触角が50.5度以上であるので、清掃用ワイパーにより除去される吐出液は、清掃用ワイパーの表面において液面を広げることなく好適に清掃用ワイパーにより吐出ヘッドの吐出面から除去される。よって、吐出ヘッドの吐出面に吐出液を残留することなく、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去することができる。
【0045】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去する吐出ヘッドの清掃用ワイパーと吐出液との後退接触角が50.5度以上であるので、清掃用ワイパーにより除去される吐出液は、清掃動作中の清掃用ワイパーが移動する際の後方に液面を広げることなく好適に清掃用ワイパーにより吐出ヘッドの吐出面から除去される。よって、吐出ヘッドの吐出面に吐出液を残留することなく、吐出ヘッドの吐出面に付着した吐出液を除去することができる。
【0046】
請求項3記載の発明によれば、粗さ値測定手段により測定された清掃用ワイパーの接触部の表面粗さ値が、予め設定された判定用表面粗さ値より大きいと判断手段により判断された際に、警告手段が所定の出力形式により警告を行うので、接触部の表面粗さ値が、判定用表面粗さ値より大きくなったことを速やかに警告することができる。
つまり、接触部の表面粗さ値が、閾値として予め設定された判定用表面粗さ値より大きくなったという、清掃用ワイパーの劣化を速やかに警告することができ、その警告されたことに基づき適切な対処を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンタの要部を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用したインクジェットプリンタの要部を示す一部省略正面図である。
【図3】本発明を適用したインクジェットプリンタにおける吐出ヘッドの吐出面を清掃するワイパー部を示す一部断面側面図である。
【図4】ワイパー部の接触面における表面粗さ値と後退接触角の相関を示すグラフ(a)と、清掃回数と後退接触角の相関を示すグラフ(b)である。
【図5】ワイパー部が吐出ヘッドの吐出面を清掃する状態を示す側面図である。
【図6】粗さ測定部がワイパー部の接触面を測定する状態を示す側面図である。
【図7】記録ヘッドの吐出面を吸引キャップによりメンテナンスを行う状態を示す一部断面側面図である。
【図8】従来のインクジェットプリンタにおける吐出ヘッドの吐出面を清掃するワイパー部を示す一部断面側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 吐出ヘッド
2a 吐出面
22 吐出口
3 サブタンク
4 キャリッジ機構部
4a キャリッジ(液吐出装置)
5 制御部(粗さ値測定手段、判断手段、警告手段)
6 メンテナンス部
63 ワイパー部材
66 清掃用ワイパー
66a 接触面(接触部)
68 粗さ測定部(粗さ値測定手段)
68a 発光素子
68b 受光素子
8 メインタンク
9 加圧ポンプ
10 インク供給部材
99 記録媒体
Claims (3)
- 吐出液を吐出する吐出口が設けられた吐出面を有する吐出ヘッドの前記吐出面と接触して、前記吐出面に付着した前記吐出液を除去する吐出ヘッドの清掃用ワイパーにおいて、
前記吐出液との接触角が50.5度以上であることを特徴とする吐出ヘッドの清掃用ワイパー。 - 請求項1に記載の吐出ヘッドの清掃用ワイパーにおいて、
前記接触角は、前記清掃用ワイパーと前記吐出液との後退接触角であることを特徴とする吐出ヘッドの清掃用ワイパー。 - 請求項1又は2に記載の吐出ヘッドの清掃用ワイパーを備える液吐出装置であって、
前記清掃用ワイパーにおける前記吐出面と接触する接触部の表面粗さ値を測定する粗さ値測定手段と、
前記粗さ値測定手段により測定された前記接触部の表面粗さ値が、予め設定された判定用表面粗さ値より大きいか否かの判断を行う判断手段と、
前記判断手段により、前記接触部の表面粗さ値が判定用表面粗さ値より大きいと判断された場合に、所定の出力形式による警告を行う警告手段と、
を備えたことを特徴とする液吐出装置。
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