JP2004114348A - 記録体 - Google Patents
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Abstract
【課題】発色能力に優れ、かつ地肌部の摩擦汚染が改善された記録体の提供。
【解決手段】無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した記録体において、下記一般式(1)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有し、かつ前記電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されているか、または、多価イソシアネート化合物の重合体と複合微粒子化されていることを特徴とする記録体。
R1−CONH2 (1)
(式中、R1は炭素数11〜21のアルキル基を表す。)
【解決手段】無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した記録体において、下記一般式(1)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有し、かつ前記電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されているか、または、多価イソシアネート化合物の重合体と複合微粒子化されていることを特徴とする記録体。
R1−CONH2 (1)
(式中、R1は炭素数11〜21のアルキル基を表す。)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した記録体に関する。
【0002】
【従来技術】
ここでいう記録体とは、無色ないし淡色の電気供与性染料前駆体(以下、染料前駆体という)と電子受容性顕色剤(以下、顕色剤という)とを含有し、熱ヘッド・熱ペン・レーザー光等で加熱することや、予め染料前駆体を溶媒、ワックス等と共にマイクロカプセルに内包した後、記録体に圧力を加えマイクロカプセルを破壊することにより、染料前駆体と顕色剤とが相溶・反応し、発色記録画像が得られるものである。例としては、感熱記録体、感圧記録体、感圧感熱記録体、等が挙げられる。
感熱記録体は、一般に、支持体上に染料前駆体と顕色剤とを主成分とする感熱発色層を設けたものであり、加熱により染料前駆体と顕色剤とが相溶・反応し発色記録画像が得られる。このような感熱記録体は、記録装置がコンパクト・安価であり、かつ保守も容易であり、騒音の発生が少ないなどの利点があるため、計測用記録器・ファクシミリ・プリンター・レジスター出力ラベルなどの広範囲の分野に利用されている。感熱記録体において、染料前駆体を芯物質としてマイクロカプセル化する例としては、特開昭57−12695号公報、および特開昭59−214691号公報等に記載されている。また、特開平9−142025号、特開平9−263057号には、染料前駆体をポリウレアあるいはポリウレタンから選ばれる高分子物質と複合微粒子化することが記載されている。
感圧記録体は、染料前駆体を溶解した溶剤(油状物質)を内包するマイクロカプセルを主成分とするマイクロカプセル組成物を支持体の片面に塗布した上用紙と、支持体の片面に顕色剤を主成分とする顕色剤組成物を塗布し、かつもう一方の面にマイクロカプセル組成物を塗布した中用紙と、支持体の片面に顕色剤組成物を塗布した下用紙からなる。一般に上用紙−下用紙あるいは上用紙−中用紙−下用紙の順に、マイクロカプセル組成物塗布面と顕色剤組成物塗布面とが接するように組み合わせて使用され、筆圧、プリンター等の圧力によりマイクロカプセルが破壊され、染料前駆体を溶解した油が顕色剤層に転移し、顕色剤と反応することによって発色するようになっている。このように感圧記録紙においては、必要な時にカプセルを破壊しその機能を発現できるように設計されており、マイクロカプセルと顕色剤とを支持体の同一面側に有するセルフコンテインド紙も知られている。染料前駆体をマイクロカプセルに内包する技術は種々提案されており、例えば米国特許第2712507号、米国特許第2730456号、米国特許第3418250号等に開示されている。
さらに、感熱記録体、感圧記録体の他に、熱と圧力の両方を利用して記録ができる感熱感圧記録体も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、染料前駆体を含有するマイクロカプセルあるいは複合微粒子を使用した場合、特に感熱発色層上に保護層を設けない感熱記録体や感圧記録体は、不意の圧力やこすれなど摩擦によってマイクロカプセル等が潰れ、発色(地肌かぶり)が起こりやすいという欠点がある。そこで、本発明は十分な発色能力を有し、かつ耐摩擦汚染性に優れた記録体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した記録体において、下記一般式(1)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有し、かつ前記電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されているか、または、多価イソシアネート化合物の重合体と複合微粒子化されていることにより、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
R1−CONH2 (1)
(式中、R1は炭素数11〜21のアルキル基を表す。)
【0006】
染料前駆体を含有するマイクロカプセルあるいは複合微粒子を使用した記録体では、不必要な圧力または摩擦こすれによりマイクロカプセル等が破壊されてしまい、地発色が起こりやすいという問題を抱える。本発明では、飽和脂肪酸モノアミドを含有することにより、耐摩擦汚染性が向上し地肌かぶりが防止されると考えられる。
この理由は明らかではないが、次のように推察される。摩擦等による地肌かぶりは、例えばマイクロカプセルの場合、破壊により溶剤に溶解された染料前駆体が滲み出し、顕色剤と反応するために起こると思われる。そして、増感剤が存在する場合はさらに、発色反応がいっそう促進されて地色が悪化する。これに対し、本発明で用いられる増感剤の飽和脂肪酸モノアミドの場合は、脂肪族であるためか、染料前駆体を溶解している溶剤への溶解性が低いので、染料前駆体の滲み出しに基づく発色反応に容易には関与せず、その結果、地肌かぶりが防止できるものと考えられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の記録体を得るには、通常、感熱記録体の場合、染料前駆体を含有するマイクロカプセルまたは複合微粒子と顕色剤とをそれぞれバインダーとともに分散した分散液と、填料その他必要な添加剤を加えて混合し、感熱発色層塗液を調製し支持体上に塗布乾燥して感熱記録層を形成することにより製造することができる。感圧記録紙の場合も同様に、染料前駆体を内包するマイクロカプセルをバインダーとともに分散した分散液と、デンプン等の微粉末その他必要な添加剤を加えて混合し、マイクロカプセル塗液を調製し支持体上に塗布乾燥することにより製造することができる。
本発明の記録体は、一般式(1)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有する。これはマイクロカプセルまたは複合微粒子中、あるいはマイクロカプセルまたは複合微粒子が含有される層中に分散してもよく、また両方に存在してもよい。一般式(1)中、R1は炭化水素基を表わしており、具体的には炭素数11〜21のアルキル基が挙げられる。飽和脂肪酸モノアミドの含有量は、顕色剤1部に対し0.1〜2部の割合で使用すると感度も良く好ましい。
飽和脂肪酸モノアミドは、粉砕機あるいは適当な乳化装置によって平均粒子径が1μm以下の粒子径になるまで微粒化して用いることが望ましい。より好ましくは0.5μm以下である。さらに、加熱溶融された状態の飽和脂肪酸モノアミドを温水又は熱水中で、アニオン性、ノニオン性などの乳化剤(界面活性剤)と共にホモミキサーなどを用いて乳化分散することにより得られる微粒化物を用いたものがより好ましい。このような飽和脂肪酸モノアミドは、中京油脂製の商品名G−270として入手可能である。なお、本発明において平均粒子径とは、50%体積平均粒子径をいう。
一般式(1)で表わされる化合物を具体的に例示すると以下に示す1−1〜1−4が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明では特に(1−3)で表されるステアリン酸アミドが最も好ましい。また、一般式(1)で表される化合物は、それぞれ単独あるいは任意の比率の混合体で用いることができるが、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、あるいはこれらの混合体の含有率が80%以上であることが望ましい。
【0008】
C11H23CONH2 (1−1)
C15H31CONH2 (1−2)
C17H35CONH2 (1−3)
C21H43CONH2 (1−4)
【0009】
本発明において用いられるマイクロカプセルを作製するには、従来の感熱あるいは感圧記録分野で公知の物質は全て使用可能であり、特に制限されるものではない。マイクロカプセルの膜材としてはユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等、若しくはこれらの樹脂の複合体が好ましい。マイクロカプセル化法としても、コアセルベーション法、界面重合法、in situ法等のよく知られている方法を任意に用いることができる。通常は、染料前駆体及びその助剤を疎水性の溶剤に溶解した後、水系中で乳化、エマルジョン化し前記の方法を用いてマイクロカプセル化する。
マイクロカプセルの作製に際して、染料前駆体等の内包物は疎水性の高沸点若しくは低沸点の溶剤に溶解することが一般的である。高沸点溶剤である疎水性物質の具体例としてはパラフィン油、綿実油、大豆油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油、魚油、豚脂油、カルナウバ蝋、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリブチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジブチルマレエート、O−ジクロロベンゼン、ジイソプロピルナフタレンのようなアルキル化ナフタレン、1−フェニルトリキシリルエタンのようなベンジルアルコール、1−(3,4−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、ポリ(1〜4)イソプロピルナフタレン等が挙げられ、低沸点溶剤の具体例としては酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン等が挙げられる。低沸点溶剤は高沸点溶剤に内包物を溶解しやすくするための助剤としても用いられる。
また、乳化の際に用いる好ましい保護コロイド剤、乳化剤として、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらは、単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0010】
本発明で用いられる複合微粒子は例えば、染料前駆体、多価イソシアネート化合物、および必要に応じてその他の成分を、低沸点水不溶性有機溶剤に溶解し、次いでこの溶液を保護コロイド物質を溶解含有している水分散性媒体中に乳化分散し、さらに必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加温することにより、これら高分子形成性材料を重合させることによって高分子化して製造することができる。
多価イソシアネート化合物とは、水と反応することによりポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレアを形成する化合物であり、多価イソシアネート化合物のみであってもよいし、又は多価イソシアネート化合物及びこれと反応するポリオールとの混合物、或いは多価イソシアネート化合物とポリオールの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体等の多量体であってもよい。例えば、キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
また、ポリオール化合物としては、脂肪族ポリオール、芳香族多価アルコールとアルキレンオキサイドとの縮合生成物、分子内にヒドロキシ基のあるアクリレート等が挙げられる。ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、エポキシ化合物のアミン付加物等が挙げられる。もちろん、これらポリオール化合物、ポリアミン化合物も、前記化合物に限定されるものではなく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0011】
次に、これらの材料を溶解する溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、塩化メチレン、塩化ブチル、塩化プロピル等が挙げられる。この溶媒は、染料前駆体、多価イソシアネート化合物を十分に溶解させるものが好ましい。
上記のマイクロカプセルあるいは複合微粒子の平均粒径(50%体積平均)は、0.1μm〜8.0μm、より好ましくは0.1μm〜5.0μm、より好ましくは0.5μm〜4.0μmとすることが望ましい。粒径が大きすぎると破壊されて地肌かぶりを生じやすくなり、小さすぎると発色濃度が不足する傾向がある。なお、本発明において粒径は、レーザー回析式粒径測定装置マスターサイザー(マルバルーン製)による値を示す。
本発明で用いられるマイクロカプセルまたは複合微粒子中には、n−ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール類、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、ベンゾオキサジノン系等の紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を含有することもできる。また、発色感度を高めるために、感熱記録体で知られているような増感剤を添加することもできる。
本発明に用いられる染料前駆体としては、従来の感熱あるいは感圧記録分野で公知の無色または淡色のロイコ染料など全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な染料前駆体の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0012】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド
〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
【0013】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0014】
本発明の記録体に用いられる顕色剤としては、一般に感熱記録体、感圧記録体に用いられる酸性物質に代表され、特に制限されるものではない。例えば粘土物質、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩を用いることができる。
具体的には、酸性白土、活性白土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン等の粘土物質、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ジ−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ジ−〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ジ−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸クロロベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、ノボラックフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ノニルサリチル酸、3,5−ジドデシルサリチル酸、3−メチル−5−t−ドデシルサリチル酸、5−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−メチル−5−(α−メチルベンジル)サリチル酸等、及びこれらの亜鉛、ニッケル、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、特開平8−59603記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、国際公開WO97/16420記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明で使用するバインダーとしては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロース誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロール及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水または他の媒体中乳化またはペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
【0015】
本発明で使用することができる填料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体や、中空プラスチックピグメントなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。
このほかに、前記一般式(1)の化合物の作用を阻害しない範囲で公知の増感剤を用いることができる。また、保存安定剤、脂肪酸金属塩などの離型剤、ワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料などを使用することができる。
支持体としては、紙、再生紙、合成紙、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布、金属箔等が使用可能であり、また、これらを組み合わせた複合シートを使用してもよい。
さらに、耐擦過性を高める目的で、高分子物質等のオーバーコート層を感熱発色層上に設けることもできる。また、発色感度を高める目的で、有機填料または無機填料を含有するアンダーコート層を感熱発色層と支持体の間に設けることもできる。
これらの顕色剤、および必要に応じて添加する材料はボールミル、アトライター、サンドグラインダーなどの粉砕機或いは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布法としては、手塗り、サイズプレスコーター法、ロールコーター法、エアナイフコーター法、ブレンドコーター法、フローコーター法、カーテンコーター法、コンマダイレクト法、グラビアダイレクト法、グラビアリバース法、リバース・ロールコーター法等が挙げられる。また、噴霧、吹き付け又は浸漬後、乾燥してもよい。感熱発色層の塗布量は特に限定されるものではないが、一般に乾燥重量で1.5〜12g/m2程度の範囲で調整される。感圧記録体におけるマイクロカプセル層の塗布量は、1〜5g/m2程度の範囲で調整される。
本発明の記録体に用いられる染料前駆体を含有するマイクロカプセルあるいは複合微粒子、顕色剤、およびその他の各種成分の種類及び量は要求される性能等に従って適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常、顕色剤1部に対して填料0〜4部、バインダーは全固形分中5〜25%が適当である。顕色剤の使用量は、その種類に応じて選択されるが、染料前駆体に対し、50〜2000重量%、より好ましくは80〜1500重量%程度の範囲で使用するのが好ましい。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお実施例、比較例中、部および%はそれぞれ重量部、重量%を示す。
[実施例1]
<顕色剤分散液▲1▼の調製>
下記配合の感熱発色層用の顕色剤分散液(▲1▼液)を、サンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
▲1▼液(顕色剤分散液)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
10%ポリビニルアルコール 18.8部
水 11.2部
【0017】
<マイクロカプセル分散液Aの調製>
黒色染料前駆体として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>20部とカルナウバワックス(融点80〜86℃、野田ワックス製)2部とジイソプロピレンナフタレン(KMC113、呉羽化学製)1部とキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのモル比3:1付加物(タケネートD110N、三井武田ケミカル製)10部を塩化メチレン80部に40〜50℃で溶解し、ホモジナイザーで10000rpmに回転させたポリビニルアルコール(クラレ製PVA−217)の6%水溶液165部に、徐々に添加し乳化した。この分散液に水145部を加えた後55℃で2時間加温することで塩化メチレンを飛ばし、その後80℃で3時間攪拌を行ってイソシアネートを重合し、50%平均粒径3.0μmのマイクロカプセル分散液A(染料濃度6.0%)を調製した。
<感熱記録体の製造>
下記の割合で上記分散液を混合、撹拌し、感熱発色層塗液を調製した。
▲1▼液(顕色剤分散液) 12.0部
マイクロカプセル分散液A 40.0部
飽和脂肪酸モノアミドエマルジョン 1.33部
(ステアリン酸アミド68%、パルミチン酸アミド28%;22%分散液;平均粒径0.5μm;商品名G−270、中京油脂製)
酸化ケイ素顔料(25%分散液;ミズカシルP−527、水澤化学製)40部
10%ポリビニルアルコール 21.6部
調整した感熱発色層塗布液を50g/m2の基紙の片面に塗布量2.5g/m2で塗布した後、乾燥を行い感熱記録体を得た。
【0018】
[実施例2]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但し、マイクロカプセル中の黒色染料前駆体として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>20部の代わりに、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ETAC>20部を用いた。
[実施例3]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但しマイクロカプセルの50%平均粒径を1.5μmとした。
[実施例4]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但しマイクロカプセル分散液A40.0部の代わりに下記処方の複合微粒子分散液B40.0部を用いた。
<複合微粒子Bの合成>
黒色染料前駆体として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>20部を塩化メチレン40部に40〜50℃で溶解し、この溶液にキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのモル比3:1付加物(三井武田ケミカル製タケネートD110N)10部を添加して均一に混合した。次にこの混合液を、ホモジナイザーで10000rpmに高速回転させたポリビニルアルコール(クラレ製PVA−217C)の5%水溶液250部に、徐々に添加し乳化した。水63gを加えた後、この分散液を55℃で2時間加温することで塩化メチレンを飛ばし、その後80℃で3時間攪拌を行ってイソシアネートを重合し、平均粒径0.5μmの複合微粒子Bの分散液(染料濃度5.8%)を調製した。
【0019】
[実施例5]
<顕色剤塗液▲2▼の調製>
下記配合の顕色剤塗液(▲2▼液)をホモジナイザーにて分散、調製した。
▲2▼液(顕色剤塗液)
3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛 5.0部
飽和脂肪酸モノアミドエマルジョン 12.0部
(ステアリン酸アミド68%、パルミチン酸アミド28%;22%分散液;平均粒径0.5μm;商品名G−270、中京油脂製)
炭酸カルシウム 70.0部
酸化マグネシウム 1.0部
カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス 20.0部
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 1.0部
水 300.0部
<マイクロカプセル塗液▲3▼の調製>
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<S−205>5部をハイゾールSAS−296:日本石油化学社製95部に溶解した溶液をスチレン−無水マレイン酸共重合体5%水溶液100部に撹拌下で徐々に加え、ホモミキサーで撹拌し乳化液を得た。メラミン6部、37%ホルムアルデヒド水溶液12部、水35部を加熱溶解して得たメラミン−ホルムアルデヒド縮合物水溶液を前記乳化液に加え、70℃、2時間撹拌して得られたマイクロカプセル分散液Cを得た。
この分散液100重量部に小麦粉澱粉45部、スチレンブタジエン共重合ラテックス35部、ポリビニルアルコール1.5部を加え、酢酸でpH6に調整しマイクロカプセル塗液(▲3▼液)を得た。
<自己発色性感圧記録体の製造>
上記▲2▼液1.0部と▲3▼液1.0部を混合したものを50g/m2の基紙上に厚さ30μmで塗布し、乾燥して自己発色性感圧記録体を得た。
【0020】
[比較例1]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但し、飽和脂肪酸モノアミドエマルジョンの代わりに、下記配合の感熱発色層用の増感剤分散液(▲4▼液)を、サンドグラインダーで50%平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行ったものを1.33部用いた。
▲4▼液(増感剤分散液)
ジ−p−メチルベンジルオキサラート 6.0部
(HS3520、大日本インキ化学工業製)
10%ポリビニルアルコール 18.8部
水 2.47部
[比較例2]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但し、感熱発色層塗液は下記の配合で調製した。
▲1▼液(顕色剤分散液) 12.0部
マイクロカプセル分散液A 40.0部
酸化ケイ素顔料(25%分散液;ミズカシルP−527、水澤化学製)40部
10%ポリビニルアルコール 21.6部
[比較例3]
実施例5と同様にして自己発色性感圧記録体を得た。但し、飽和脂肪酸モノアミドエマルジョンは添加しなかった。
【0021】
[評価方法]
上記のようにして得られた感熱記録体および感圧記録体の試験を次のように行い、結果を表1に示した。
・発色性
作成した感熱記録体について、MARKPOINT社製感熱プリンター(ROHM社製サーマルヘッド、KM2004−A3を装着)を用い、印加エネルギー0.219mj/dotで印字した。感圧記録体については、カレンダーで100kg/cm2の圧力をかけて発色させた。それぞれ、得られた発色画像および地色部をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター(A))を用いて測定した。なお、感圧記録体は発色30分後に測定した。
・耐摩擦汚染性
作成した感熱記録体、感圧記録体それぞれについて、5×20cmに裁断したものの発色面同士を重ね合わせ、その上から40g/cm2の荷重をかけ、その状態で下側の記録体を長辺方向に20cm/sec.の速さで移動させた。30分間放置後、上側にあった記録体の発色層面の発色状況を観察し、次のように評価した。
○発色が殆どない
△薄い発色が認められる
×濃い発色が認められる
【0022】
【表1】
表1に示されるように、本発明で使用する飽和脂肪酸モノアミドは公知の増感剤であるジ−p−メチルベンジルオキサラートと同程度の増感効果を有する(比較例1)と共に、増感剤を添加しない場合(比較例2、3)と同様に耐摩擦汚染性に対しても良好な結果を示した。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、高い記録濃度を有するとともに、耐摩擦汚染性の良好な記録体が得られ極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した記録体に関する。
【0002】
【従来技術】
ここでいう記録体とは、無色ないし淡色の電気供与性染料前駆体(以下、染料前駆体という)と電子受容性顕色剤(以下、顕色剤という)とを含有し、熱ヘッド・熱ペン・レーザー光等で加熱することや、予め染料前駆体を溶媒、ワックス等と共にマイクロカプセルに内包した後、記録体に圧力を加えマイクロカプセルを破壊することにより、染料前駆体と顕色剤とが相溶・反応し、発色記録画像が得られるものである。例としては、感熱記録体、感圧記録体、感圧感熱記録体、等が挙げられる。
感熱記録体は、一般に、支持体上に染料前駆体と顕色剤とを主成分とする感熱発色層を設けたものであり、加熱により染料前駆体と顕色剤とが相溶・反応し発色記録画像が得られる。このような感熱記録体は、記録装置がコンパクト・安価であり、かつ保守も容易であり、騒音の発生が少ないなどの利点があるため、計測用記録器・ファクシミリ・プリンター・レジスター出力ラベルなどの広範囲の分野に利用されている。感熱記録体において、染料前駆体を芯物質としてマイクロカプセル化する例としては、特開昭57−12695号公報、および特開昭59−214691号公報等に記載されている。また、特開平9−142025号、特開平9−263057号には、染料前駆体をポリウレアあるいはポリウレタンから選ばれる高分子物質と複合微粒子化することが記載されている。
感圧記録体は、染料前駆体を溶解した溶剤(油状物質)を内包するマイクロカプセルを主成分とするマイクロカプセル組成物を支持体の片面に塗布した上用紙と、支持体の片面に顕色剤を主成分とする顕色剤組成物を塗布し、かつもう一方の面にマイクロカプセル組成物を塗布した中用紙と、支持体の片面に顕色剤組成物を塗布した下用紙からなる。一般に上用紙−下用紙あるいは上用紙−中用紙−下用紙の順に、マイクロカプセル組成物塗布面と顕色剤組成物塗布面とが接するように組み合わせて使用され、筆圧、プリンター等の圧力によりマイクロカプセルが破壊され、染料前駆体を溶解した油が顕色剤層に転移し、顕色剤と反応することによって発色するようになっている。このように感圧記録紙においては、必要な時にカプセルを破壊しその機能を発現できるように設計されており、マイクロカプセルと顕色剤とを支持体の同一面側に有するセルフコンテインド紙も知られている。染料前駆体をマイクロカプセルに内包する技術は種々提案されており、例えば米国特許第2712507号、米国特許第2730456号、米国特許第3418250号等に開示されている。
さらに、感熱記録体、感圧記録体の他に、熱と圧力の両方を利用して記録ができる感熱感圧記録体も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、染料前駆体を含有するマイクロカプセルあるいは複合微粒子を使用した場合、特に感熱発色層上に保護層を設けない感熱記録体や感圧記録体は、不意の圧力やこすれなど摩擦によってマイクロカプセル等が潰れ、発色(地肌かぶり)が起こりやすいという欠点がある。そこで、本発明は十分な発色能力を有し、かつ耐摩擦汚染性に優れた記録体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した記録体において、下記一般式(1)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有し、かつ前記電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されているか、または、多価イソシアネート化合物の重合体と複合微粒子化されていることにより、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
R1−CONH2 (1)
(式中、R1は炭素数11〜21のアルキル基を表す。)
【0006】
染料前駆体を含有するマイクロカプセルあるいは複合微粒子を使用した記録体では、不必要な圧力または摩擦こすれによりマイクロカプセル等が破壊されてしまい、地発色が起こりやすいという問題を抱える。本発明では、飽和脂肪酸モノアミドを含有することにより、耐摩擦汚染性が向上し地肌かぶりが防止されると考えられる。
この理由は明らかではないが、次のように推察される。摩擦等による地肌かぶりは、例えばマイクロカプセルの場合、破壊により溶剤に溶解された染料前駆体が滲み出し、顕色剤と反応するために起こると思われる。そして、増感剤が存在する場合はさらに、発色反応がいっそう促進されて地色が悪化する。これに対し、本発明で用いられる増感剤の飽和脂肪酸モノアミドの場合は、脂肪族であるためか、染料前駆体を溶解している溶剤への溶解性が低いので、染料前駆体の滲み出しに基づく発色反応に容易には関与せず、その結果、地肌かぶりが防止できるものと考えられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の記録体を得るには、通常、感熱記録体の場合、染料前駆体を含有するマイクロカプセルまたは複合微粒子と顕色剤とをそれぞれバインダーとともに分散した分散液と、填料その他必要な添加剤を加えて混合し、感熱発色層塗液を調製し支持体上に塗布乾燥して感熱記録層を形成することにより製造することができる。感圧記録紙の場合も同様に、染料前駆体を内包するマイクロカプセルをバインダーとともに分散した分散液と、デンプン等の微粉末その他必要な添加剤を加えて混合し、マイクロカプセル塗液を調製し支持体上に塗布乾燥することにより製造することができる。
本発明の記録体は、一般式(1)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有する。これはマイクロカプセルまたは複合微粒子中、あるいはマイクロカプセルまたは複合微粒子が含有される層中に分散してもよく、また両方に存在してもよい。一般式(1)中、R1は炭化水素基を表わしており、具体的には炭素数11〜21のアルキル基が挙げられる。飽和脂肪酸モノアミドの含有量は、顕色剤1部に対し0.1〜2部の割合で使用すると感度も良く好ましい。
飽和脂肪酸モノアミドは、粉砕機あるいは適当な乳化装置によって平均粒子径が1μm以下の粒子径になるまで微粒化して用いることが望ましい。より好ましくは0.5μm以下である。さらに、加熱溶融された状態の飽和脂肪酸モノアミドを温水又は熱水中で、アニオン性、ノニオン性などの乳化剤(界面活性剤)と共にホモミキサーなどを用いて乳化分散することにより得られる微粒化物を用いたものがより好ましい。このような飽和脂肪酸モノアミドは、中京油脂製の商品名G−270として入手可能である。なお、本発明において平均粒子径とは、50%体積平均粒子径をいう。
一般式(1)で表わされる化合物を具体的に例示すると以下に示す1−1〜1−4が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明では特に(1−3)で表されるステアリン酸アミドが最も好ましい。また、一般式(1)で表される化合物は、それぞれ単独あるいは任意の比率の混合体で用いることができるが、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、あるいはこれらの混合体の含有率が80%以上であることが望ましい。
【0008】
C11H23CONH2 (1−1)
C15H31CONH2 (1−2)
C17H35CONH2 (1−3)
C21H43CONH2 (1−4)
【0009】
本発明において用いられるマイクロカプセルを作製するには、従来の感熱あるいは感圧記録分野で公知の物質は全て使用可能であり、特に制限されるものではない。マイクロカプセルの膜材としてはユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等、若しくはこれらの樹脂の複合体が好ましい。マイクロカプセル化法としても、コアセルベーション法、界面重合法、in situ法等のよく知られている方法を任意に用いることができる。通常は、染料前駆体及びその助剤を疎水性の溶剤に溶解した後、水系中で乳化、エマルジョン化し前記の方法を用いてマイクロカプセル化する。
マイクロカプセルの作製に際して、染料前駆体等の内包物は疎水性の高沸点若しくは低沸点の溶剤に溶解することが一般的である。高沸点溶剤である疎水性物質の具体例としてはパラフィン油、綿実油、大豆油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油、魚油、豚脂油、カルナウバ蝋、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリブチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジブチルマレエート、O−ジクロロベンゼン、ジイソプロピルナフタレンのようなアルキル化ナフタレン、1−フェニルトリキシリルエタンのようなベンジルアルコール、1−(3,4−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、ポリ(1〜4)イソプロピルナフタレン等が挙げられ、低沸点溶剤の具体例としては酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン等が挙げられる。低沸点溶剤は高沸点溶剤に内包物を溶解しやすくするための助剤としても用いられる。
また、乳化の際に用いる好ましい保護コロイド剤、乳化剤として、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらは、単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0010】
本発明で用いられる複合微粒子は例えば、染料前駆体、多価イソシアネート化合物、および必要に応じてその他の成分を、低沸点水不溶性有機溶剤に溶解し、次いでこの溶液を保護コロイド物質を溶解含有している水分散性媒体中に乳化分散し、さらに必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加温することにより、これら高分子形成性材料を重合させることによって高分子化して製造することができる。
多価イソシアネート化合物とは、水と反応することによりポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレアを形成する化合物であり、多価イソシアネート化合物のみであってもよいし、又は多価イソシアネート化合物及びこれと反応するポリオールとの混合物、或いは多価イソシアネート化合物とポリオールの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体等の多量体であってもよい。例えば、キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
また、ポリオール化合物としては、脂肪族ポリオール、芳香族多価アルコールとアルキレンオキサイドとの縮合生成物、分子内にヒドロキシ基のあるアクリレート等が挙げられる。ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、エポキシ化合物のアミン付加物等が挙げられる。もちろん、これらポリオール化合物、ポリアミン化合物も、前記化合物に限定されるものではなく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0011】
次に、これらの材料を溶解する溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、塩化メチレン、塩化ブチル、塩化プロピル等が挙げられる。この溶媒は、染料前駆体、多価イソシアネート化合物を十分に溶解させるものが好ましい。
上記のマイクロカプセルあるいは複合微粒子の平均粒径(50%体積平均)は、0.1μm〜8.0μm、より好ましくは0.1μm〜5.0μm、より好ましくは0.5μm〜4.0μmとすることが望ましい。粒径が大きすぎると破壊されて地肌かぶりを生じやすくなり、小さすぎると発色濃度が不足する傾向がある。なお、本発明において粒径は、レーザー回析式粒径測定装置マスターサイザー(マルバルーン製)による値を示す。
本発明で用いられるマイクロカプセルまたは複合微粒子中には、n−ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール類、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、ベンゾオキサジノン系等の紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を含有することもできる。また、発色感度を高めるために、感熱記録体で知られているような増感剤を添加することもできる。
本発明に用いられる染料前駆体としては、従来の感熱あるいは感圧記録分野で公知の無色または淡色のロイコ染料など全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な染料前駆体の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0012】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド
〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
【0013】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0014】
本発明の記録体に用いられる顕色剤としては、一般に感熱記録体、感圧記録体に用いられる酸性物質に代表され、特に制限されるものではない。例えば粘土物質、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩を用いることができる。
具体的には、酸性白土、活性白土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン等の粘土物質、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ジ−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ジ−〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ジ−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸クロロベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、ノボラックフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ノニルサリチル酸、3,5−ジドデシルサリチル酸、3−メチル−5−t−ドデシルサリチル酸、5−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−メチル−5−(α−メチルベンジル)サリチル酸等、及びこれらの亜鉛、ニッケル、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、特開平8−59603記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、国際公開WO97/16420記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明で使用するバインダーとしては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロース誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロール及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水または他の媒体中乳化またはペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
【0015】
本発明で使用することができる填料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体や、中空プラスチックピグメントなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。
このほかに、前記一般式(1)の化合物の作用を阻害しない範囲で公知の増感剤を用いることができる。また、保存安定剤、脂肪酸金属塩などの離型剤、ワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料などを使用することができる。
支持体としては、紙、再生紙、合成紙、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布、金属箔等が使用可能であり、また、これらを組み合わせた複合シートを使用してもよい。
さらに、耐擦過性を高める目的で、高分子物質等のオーバーコート層を感熱発色層上に設けることもできる。また、発色感度を高める目的で、有機填料または無機填料を含有するアンダーコート層を感熱発色層と支持体の間に設けることもできる。
これらの顕色剤、および必要に応じて添加する材料はボールミル、アトライター、サンドグラインダーなどの粉砕機或いは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布法としては、手塗り、サイズプレスコーター法、ロールコーター法、エアナイフコーター法、ブレンドコーター法、フローコーター法、カーテンコーター法、コンマダイレクト法、グラビアダイレクト法、グラビアリバース法、リバース・ロールコーター法等が挙げられる。また、噴霧、吹き付け又は浸漬後、乾燥してもよい。感熱発色層の塗布量は特に限定されるものではないが、一般に乾燥重量で1.5〜12g/m2程度の範囲で調整される。感圧記録体におけるマイクロカプセル層の塗布量は、1〜5g/m2程度の範囲で調整される。
本発明の記録体に用いられる染料前駆体を含有するマイクロカプセルあるいは複合微粒子、顕色剤、およびその他の各種成分の種類及び量は要求される性能等に従って適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常、顕色剤1部に対して填料0〜4部、バインダーは全固形分中5〜25%が適当である。顕色剤の使用量は、その種類に応じて選択されるが、染料前駆体に対し、50〜2000重量%、より好ましくは80〜1500重量%程度の範囲で使用するのが好ましい。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお実施例、比較例中、部および%はそれぞれ重量部、重量%を示す。
[実施例1]
<顕色剤分散液▲1▼の調製>
下記配合の感熱発色層用の顕色剤分散液(▲1▼液)を、サンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
▲1▼液(顕色剤分散液)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
10%ポリビニルアルコール 18.8部
水 11.2部
【0017】
<マイクロカプセル分散液Aの調製>
黒色染料前駆体として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>20部とカルナウバワックス(融点80〜86℃、野田ワックス製)2部とジイソプロピレンナフタレン(KMC113、呉羽化学製)1部とキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのモル比3:1付加物(タケネートD110N、三井武田ケミカル製)10部を塩化メチレン80部に40〜50℃で溶解し、ホモジナイザーで10000rpmに回転させたポリビニルアルコール(クラレ製PVA−217)の6%水溶液165部に、徐々に添加し乳化した。この分散液に水145部を加えた後55℃で2時間加温することで塩化メチレンを飛ばし、その後80℃で3時間攪拌を行ってイソシアネートを重合し、50%平均粒径3.0μmのマイクロカプセル分散液A(染料濃度6.0%)を調製した。
<感熱記録体の製造>
下記の割合で上記分散液を混合、撹拌し、感熱発色層塗液を調製した。
▲1▼液(顕色剤分散液) 12.0部
マイクロカプセル分散液A 40.0部
飽和脂肪酸モノアミドエマルジョン 1.33部
(ステアリン酸アミド68%、パルミチン酸アミド28%;22%分散液;平均粒径0.5μm;商品名G−270、中京油脂製)
酸化ケイ素顔料(25%分散液;ミズカシルP−527、水澤化学製)40部
10%ポリビニルアルコール 21.6部
調整した感熱発色層塗布液を50g/m2の基紙の片面に塗布量2.5g/m2で塗布した後、乾燥を行い感熱記録体を得た。
【0018】
[実施例2]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但し、マイクロカプセル中の黒色染料前駆体として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>20部の代わりに、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ETAC>20部を用いた。
[実施例3]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但しマイクロカプセルの50%平均粒径を1.5μmとした。
[実施例4]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但しマイクロカプセル分散液A40.0部の代わりに下記処方の複合微粒子分散液B40.0部を用いた。
<複合微粒子Bの合成>
黒色染料前駆体として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>20部を塩化メチレン40部に40〜50℃で溶解し、この溶液にキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのモル比3:1付加物(三井武田ケミカル製タケネートD110N)10部を添加して均一に混合した。次にこの混合液を、ホモジナイザーで10000rpmに高速回転させたポリビニルアルコール(クラレ製PVA−217C)の5%水溶液250部に、徐々に添加し乳化した。水63gを加えた後、この分散液を55℃で2時間加温することで塩化メチレンを飛ばし、その後80℃で3時間攪拌を行ってイソシアネートを重合し、平均粒径0.5μmの複合微粒子Bの分散液(染料濃度5.8%)を調製した。
【0019】
[実施例5]
<顕色剤塗液▲2▼の調製>
下記配合の顕色剤塗液(▲2▼液)をホモジナイザーにて分散、調製した。
▲2▼液(顕色剤塗液)
3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛 5.0部
飽和脂肪酸モノアミドエマルジョン 12.0部
(ステアリン酸アミド68%、パルミチン酸アミド28%;22%分散液;平均粒径0.5μm;商品名G−270、中京油脂製)
炭酸カルシウム 70.0部
酸化マグネシウム 1.0部
カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス 20.0部
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 1.0部
水 300.0部
<マイクロカプセル塗液▲3▼の調製>
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<S−205>5部をハイゾールSAS−296:日本石油化学社製95部に溶解した溶液をスチレン−無水マレイン酸共重合体5%水溶液100部に撹拌下で徐々に加え、ホモミキサーで撹拌し乳化液を得た。メラミン6部、37%ホルムアルデヒド水溶液12部、水35部を加熱溶解して得たメラミン−ホルムアルデヒド縮合物水溶液を前記乳化液に加え、70℃、2時間撹拌して得られたマイクロカプセル分散液Cを得た。
この分散液100重量部に小麦粉澱粉45部、スチレンブタジエン共重合ラテックス35部、ポリビニルアルコール1.5部を加え、酢酸でpH6に調整しマイクロカプセル塗液(▲3▼液)を得た。
<自己発色性感圧記録体の製造>
上記▲2▼液1.0部と▲3▼液1.0部を混合したものを50g/m2の基紙上に厚さ30μmで塗布し、乾燥して自己発色性感圧記録体を得た。
【0020】
[比較例1]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但し、飽和脂肪酸モノアミドエマルジョンの代わりに、下記配合の感熱発色層用の増感剤分散液(▲4▼液)を、サンドグラインダーで50%平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行ったものを1.33部用いた。
▲4▼液(増感剤分散液)
ジ−p−メチルベンジルオキサラート 6.0部
(HS3520、大日本インキ化学工業製)
10%ポリビニルアルコール 18.8部
水 2.47部
[比較例2]
実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。但し、感熱発色層塗液は下記の配合で調製した。
▲1▼液(顕色剤分散液) 12.0部
マイクロカプセル分散液A 40.0部
酸化ケイ素顔料(25%分散液;ミズカシルP−527、水澤化学製)40部
10%ポリビニルアルコール 21.6部
[比較例3]
実施例5と同様にして自己発色性感圧記録体を得た。但し、飽和脂肪酸モノアミドエマルジョンは添加しなかった。
【0021】
[評価方法]
上記のようにして得られた感熱記録体および感圧記録体の試験を次のように行い、結果を表1に示した。
・発色性
作成した感熱記録体について、MARKPOINT社製感熱プリンター(ROHM社製サーマルヘッド、KM2004−A3を装着)を用い、印加エネルギー0.219mj/dotで印字した。感圧記録体については、カレンダーで100kg/cm2の圧力をかけて発色させた。それぞれ、得られた発色画像および地色部をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター(A))を用いて測定した。なお、感圧記録体は発色30分後に測定した。
・耐摩擦汚染性
作成した感熱記録体、感圧記録体それぞれについて、5×20cmに裁断したものの発色面同士を重ね合わせ、その上から40g/cm2の荷重をかけ、その状態で下側の記録体を長辺方向に20cm/sec.の速さで移動させた。30分間放置後、上側にあった記録体の発色層面の発色状況を観察し、次のように評価した。
○発色が殆どない
△薄い発色が認められる
×濃い発色が認められる
【0022】
【表1】
表1に示されるように、本発明で使用する飽和脂肪酸モノアミドは公知の増感剤であるジ−p−メチルベンジルオキサラートと同程度の増感効果を有する(比較例1)と共に、増感剤を添加しない場合(比較例2、3)と同様に耐摩擦汚染性に対しても良好な結果を示した。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、高い記録濃度を有するとともに、耐摩擦汚染性の良好な記録体が得られ極めて有用である。
Claims (2)
- 無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した記録体において、下記一般式(1)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有し、かつ前記電子供与性染料前駆体がマイクロカプセルに内包されているか、または、多価イソシアネート化合物の重合体と複合微粒子化されていることを特徴とする記録体。
R1−CONH2 (1)
(式中、R1は炭素数11〜21のアルキル基を表す。) - 前記マイクロカプセルまたは前記複合微粒子の平均粒径が0.1〜8.0μmであることを特徴とする請求項1記載の記録体。
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