JP2004114081A - フラックス這い上がり防止剤組成物 - Google Patents

フラックス這い上がり防止剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性に優れたフラックス這い上がり防止剤組成物を提供する。
【解決手段】含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂を含むことを特徴とするフラックス這い上がり防止剤組成物組成物である。含フッ素樹脂は、含フッ素環構造を有することにより、優れた耐熱性を備えるようになり、260℃〜290℃という鉛フリー半田を用いた場合のリフロー温度域においても分解しない。また、含フッ素環構造を有することにより非晶性となるので、透明性に優れ、フッ素系溶剤に可溶となる。このため、電子部品にフラックス這い上がり防止剤組成物組成物を塗布、乾燥するなどして、電子部品上にフラックス這い上がり防止剤の被膜を容易に形成できる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性を向上させた、フラックス這い上がり防止剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子部品などをプリント配線基板に半田付け実装する際には、予めフラックス処理をして半田の接着性を向上させることが行われている。このフラックスには酸性成分が含まれているため、腐食性がある。このため、半田付けされない部分については、フラックスが付着するのを防ぐためにフラックス這い上がり防止剤が予め塗布されている。
【0003】
従来このフラックス這い上がり防止剤としては、表面張力が低く撥油性を備えることから、ポリフルオロアルキル基を持つフッ素系化合物が使用されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年、電子部品の小型化、低コスト化の要求から、プリント配線基板へ電子部品を実装する場合、表面実装と呼ばれる手法が主流となっている。この表面実装においては、プリント配線基板上に形成された所定の電極パッドと電子部品との電気的な接続は、いわゆるリフロー半田付け処理により行われている。
【0005】
このリフロー半田付け処理は、プリント配線基板上に形成された電極パッド部にクリーム半田を印刷する半田印刷工程と、印刷された半田上に電極ピン又はバンプが位置するように電子部品をマウントするマウント工程と、印刷された半田を溶融、固着させて電子部品とプリント配線とを電気的接続させるリフロー工程とからなる。
【0006】
このリフロー工程においては、表面実装回路基板は約150℃で予備加熱された後、リフロー温度220℃〜290℃で加熱される。すると、半田が溶融し、部品とプリント配線とが接続される。その後、表面実装回路基板は冷却されて、溶融した半田が固化して部品とプリント配線とが固定され、かつ電気的に接続される。
【0007】
近年、環境汚染に対する関心の高まりから、鉛を含まない、鉛フリー半田が用いられる様になった。この鉛フリー半田を用いた場合、リフロー温度は260℃〜290℃と、比較的高温に設定される。
【0008】
【特許文献1】
特公昭63−62315号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のフラックス這い上がり防止剤は、鉛フリー半田を用いた場合のリフロー温度である260℃〜290℃で分解、液状化してしまうため、電子部品上に形成されたフラックス這い上がり防止剤の被膜が機能しなくなってしまうことがあった。この結果、フラックスが電子部品に這い上がるのを防止できない場合があるという問題点があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、耐熱性に優れたフラックス這い上がり防止剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、フラックス這い上がり防止剤組成物において、含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂を含むことを特徴とする。
【0011】
含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂は、理由は明らかではないが、優れた耐熱性を有しており、260℃〜290℃という鉛フリー半田を用いた場合のリフロー温度域においても分解しない。このため、従来のフラックス這い上がり防止剤と異なり、フラックス這い上がり防止剤の被膜が分解、液状化することがない。このように、含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂を含むことにより、リフロー工程においてフラックスが這い上がって電子部品を腐食することを防止可能なフラックス這い上がり防止剤組成物を得ることができる。
【0012】
含フッ素樹脂は、含フッ素環構造を有することにより非晶性となるので、透明性に優れ、フッ素系溶剤に可溶となる。このため、含フッ素樹脂をフッ素系溶剤に溶解させ、この溶液を電子部品に塗布、乾燥するなどして、電子部品上にフラックス這い上がり防止剤の被膜を容易に形成できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載のフラックス這い上がり防止剤組成物において、前記含フッ素樹脂が、繰り返し単位(a)−CFCF−と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(b)とを含むことを特徴とする。
【0014】
【化2】
Figure 2004114081
(式中、X及びXはそれぞれ独立に−F又は−CFであり、Yは−F、−ORfであり、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。)
【0015】
繰り返し単位(a)は、優れた耐熱性、耐薬品性を備えるポリテトラフルオロエチレンの繰り返し単位と同じものである。また、繰り返し単位(b)は含フッ素5員環構造を有している。このため、繰り返し単位(b)を含む含フッ素樹脂は非晶性となり、透明性に優れ、フッ素系溶剤に可溶となる。したがって、含フッ素樹脂が、繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)とを含むことにより、優れた耐熱性、耐薬品性を持ち、かつフッ素系溶剤に可溶なフラックス這い上がり防止剤組成物を得ることができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のフラックス這い上がり防止剤組成物において、前記フラックス這い上がり防止剤組成物が前記含フッ素樹脂と、フッ素系溶剤とを含み、かつ前記含フッ素樹脂の割合が、前記フラックス這い上がり防止剤組成物に対して0.002重量%以上4重量%以下であることを特徴とする。
【0017】
含フッ素樹脂組成物に対する含フッ素樹脂の割合が0.002重量%未満であると、樹脂成分が少なすぎるために被膜が十分に形成されない。このため、フラックスの這い上がりを十分に防止することができない。4重量%を超えると、電子部品上に形成された被膜が厚くなりすぎるため、半田が付きにくくなる。したがって、フラックス這い上がり防止剤組成物に対する含フッ素樹脂の割合は、0.002重量%以上4重量%以下が好ましい。特に、0.1重量%以上0.5重量%以下が好ましい。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフラックス這い上がり防止剤組成物において、前記含フッ素樹脂と、前記フッ素系溶剤と、極性を有する官能基を備え、かつ前記フッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物とを含むことを特徴とする。
【0019】
極性を有する官能基を備え、かつ前記フッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物を用いることにより、電子部品上に形成した被膜に、極性を有する官能基を良好に分散させることができるから、電子部品と被膜との密着性を向上させることができる。この結果、鉛フリー半田を用いた場合のリフロー温度域においても、被膜が電子部品から剥離したり流出したりすることを防止することができる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項4に記載のフラックス這い上がり防止剤組成物において、含フッ素化合物が炭素数4〜21のポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基を含む化合物であることを特徴とする。
【0021】
含フッ素化合物は、炭素数4〜21のポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基を含むことにより、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基を含むフッ素系溶剤との溶解性が向上する。ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基を含むフッ素系溶剤は従来からフラックス這い上がり防止剤に用いられてきたものである。したがって、請求項5の発明によれば、従来から用いられてきたのと同じフッ素系溶剤を使用することができるので、電子部品とフラックス這い上がり防止剤組成物との密着性を向上させながら、コストの高騰を防止することができる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5に記載のフラックス這い上がり防止剤組成物において、官能基が水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、リン酸基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【0023】
水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、リン酸基、アルコキシシリル基は強い極性を有しているので、これらからなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を含むことにより、電子部品とフラックス這い上がり防止剤との密着性を効果的に向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂としては、繰り返し単位(a)−CFCF−と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)とを含むものを用いることができる。
【0025】
【化3】
Figure 2004114081
(式中、X及びXはそれぞれ独立に−F又は−CFであり、Yは−F、−ORfであり、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。)
【0026】
上記一般式(2)で表される繰り返し単位のうち、下記式(3)、(4)で表されるものが好ましい。
【0027】
【化4】
Figure 2004114081
【0028】
【化5】
Figure 2004114081
【0029】
本発明に用いられる含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂の分子量は、5,000以上1,000,000以下が好ましい。5,000未満であると、被膜形成能力が劣るため、均一な被膜が得られないから好ましくない。1,000,000を超えると、フッ素系溶剤への溶解性が低下し、薄膜コーティングが困難となるから好ましくない。
【0030】
本発明に用いられる含フッ素樹脂は、対応する単量体を、有機溶媒中もしくは水中の懸濁重合法、又は水性乳化重合法にて、適当なラジカル重合開始剤の存在下、公知の方法に従って製造することができる。
【0031】
単量体としては、繰り返し単位(a)に対応するテトラフルオロエチレン、及び繰り返し単位(b)に対応する一般式(5)で表される化合物を用いることができる。
【0032】
【化6】
Figure 2004114081
(式中、X及びXはそれぞれ独立に−F又は−CFであり、Yは−F、−ORfであり、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。)
【0033】
有機溶媒としては、CCl、CClF、CClFCClF、CClFCClFなどのクロロフルオロカーボンや、フルオロポリエーテルなどを用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、ビストリクロロアセチル過酸化物、ビスジクロロフルオロアセチル過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどを用いることができる。
【0034】
本発明に用いられるフッ素系溶剤としては、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナンなどのパーフルオロカーボン類、一般式CF[(OCF(CF)CF(OCF]OCF(但し、0≦p≦14、0≦q≦14)で表されるパーフルオロポリエーテル類、一般式HCF[OCF(CF)CF(OCF]OCFH(但し、0≦r≦14、0≦s≦14)で表されるハイドロフルオロポリエーテル類、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテルなどのハイドロフルオロエーテル類、2,3−ジハイドロパーフルオロペンタンなどのハイドロフルオロカーボン類、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンなどのハイドロクロロフルオロカーボン類などを用いることができる。上記フッ素系溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
本発明において、極性を有する官能基を備え、かつフッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物としては、炭素数4〜21のポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基を含む化合物を用いることができる。また、極性を有する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、リン酸基、アルコキシシリル基などを用いることができる。
【0036】
上記含フッ素化合物としては、一般式C2n+1RX(但し、4≦n≦21、Rはアルキル基、Xは極性を有する官能基を示す。)で表される化合物が挙げられる。このうち、C13COOH、C15COOH、C17COOH、C19COOH、C1021COOH、C1123COOH、C1225COOH、C1327COOH、C1429COOH、C1531COOH、C1633COOH、C1735COOH、C1837COOH、C1939COOH、C2041COOH、C2143COOHなどのパーフルオロアルキルエチルカルボン酸類、C13Si(OCH、C15Si(OCH、C17Si(OCH、C19Si(OCH、C1021Si(OCH、C1123Si(OCH、C1225Si(OCH、C1327Si(OCH、C1429Si(OCH、C1531Si(OCH、C1633Si(OCH、C1735Si(OCH、C1837Si(OCH、C1939Si(OCH、C2041Si(OCH、C2143Si(OCHなどのパーフルオロアルキルエチルトリメトキシシラン類が好ましい。
【0037】
また、上記含フッ素化合物としては、炭素数4〜21のポリフルオリアルキル基又はポリフルオロエーテル基を有する不飽和化合物と、極性を有する官能基を備えた不飽和化合物との共重合物を用いることもできる。共重合比は、極性を有する官能基を備えた不飽和化合物が、共重合物全体に対して50重量%以下であることが好ましい。50重量%を超えると、フッ素系溶剤に対する共重合物の溶解性が低下するので好ましくない。特に、10重量%以下が好ましい。
【0038】
上記共重合物としては、一般式C2m+1SON(CH)COCOCH=CH(但し、4≦m≦21)と、HOCOCOCH=CHとの共重合物を挙げることができる。また、(CF12OCOC(CH)=CHと、(OH)SiCOCOCH=CHとの共重合物も挙げることができる。
【0039】
本発明に用いられる共重合物は、対応する単量体を適当な有機溶媒に溶解させ、重合開始剤(使用する有機溶媒に可溶な過酸化物、アゾ化合物など)、又は電離性放射線の作用などにより、溶液重合することによって得ることができる。溶液重合に好適な溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、メチルクロロホルムなどを用いることができる。
【0040】
上記した、極性を有する官能基を備え、かつフッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
本発明に係るフラックス這い上がり防止剤組成物は、含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂を、フッ素系溶剤に溶解させることにより得ることができる。
また、含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂と、極性を有する官能基を備え、かつ前記フッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物とをフッ素系溶剤に溶解させてもよい。含フッ素樹脂と、含フッ素化合物とをそれぞれ異なったフッ素系溶剤に溶解させて、含フッ素樹脂溶液及び含フッ素化合物溶液を調製した後、両者を混合してもよい。
【0042】
本発明に係るフラックス這い上がり防止剤組成物に、電子部品を浸漬した後、これを乾燥することにより、フラックス這い上がり防止剤の被膜を電子部品上に形成させることができる。また、刷毛で塗布したり、スプレーで散布するなどして、部分的に被膜を形成することもできる。
【0043】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂として、繰り返し単位−CFCF−と、下式(6)に示す繰り返し単位とを含む、アウジモント株式会社製 ALGOFLON AD60(商品名) 0.5gを、アウジモント株式会社製 GALDEN SV−90(商品名)(沸点90℃)99.5gに溶解させ、フラックス這い上がり防止剤組成物を調製した。
【0044】
【化7】
Figure 2004114081
【0045】
このようにして作製したフラックス這い上がり防止剤組成物に、チップ抵抗を浸漬した後、これを乾燥させて、チップ抵抗表面に被膜を形成した。
【0046】
<実施例2ないし5、及び比較例1、2>
ALGOFLON AD60(商品名)と、GALDEN SV−90(商品名)(沸点90℃)とを、表1に示した割合で混合した以外は、実施例1と同様にして、チップ抵抗表面に被膜を形成した。
【0047】
<比較例3>
17SON(CH)COCOCH=CHの単独重合体0.5gを、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン99.5gに溶解させた。この溶液にチップ抵抗を浸漬した後、これを乾燥させて、チップ抵抗表面に被膜を形成した。
【0048】
<評価>
上記のチップ抵抗をサーフェスマウンタにてプリント配線基板にマウントした後、リフロー温度240℃〜280℃でリフロー半田付けを行い、フラックスがチップ抵抗上に這い上がったか否かを観察した。結果を表1にまとめて示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004114081
【0050】
<結果>
含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂の濃度が0.1重量%から0.5重量%である実施例1ないし5では、フラックス這い上がりが見られず、また、半田付け不良も見られなかった。これに対し、主鎖に含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂の濃度が0.001重量%である比較例1では、フラックスの這い上がりが発生した。また、主鎖に含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂の濃度が4.1重量%である比較例2では、フラックスの這い上がりは見られなかったが、半田付け不良が発生した。
【0051】
含フッ素環構造を有しない含フッ素樹脂を用いた比較例3では、フラックスの這い上がりが見られた。これは、260℃から290℃という温度でリフロー半田付けが行われたことにより、チップ抵抗に形成された被膜が分解、液状化したためと考えられる。
【0052】
<実施例6>
含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂として、ALGOFLON AD60(商品名) 0.5gを、GALDEN SV−90(商品名)(沸点90℃)99.5gに溶解させ、含フッ素樹脂溶液を調製した。
【0053】
1225Si(OCH0.5gを、上記の含フッ素樹脂溶液に加えることにより、フラックス這い上がり防止剤組成物を調製した。
【0054】
このようにして作製したフラックス這い上がり防止剤組成物に、チップ抵抗を浸漬した後、これを乾燥させて、チップ抵抗表面に被膜を形成した。
【0055】
<実施例7>
ALGOFLON AD60(商品名) 0.5gを、GALDEN SV−90(商品名)(沸点90℃)99.5gに溶解させ、含フッ素樹脂溶液を調製した。
【0056】
1021OCOCH=CH98gと、HOOCCH=CH2gと共重合させることにより、極性を有する官能基を備え、フッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物を得た。この含フッ素化合物0.5gを、スリーエム社製 ノベック HFE−7100(商品名) 99.5gに溶解させ、含フッ素化合物溶液を調製した。
【0057】
上記のように調製した、含フッ素樹脂溶液50重量部と、含フッ素化合物溶液50重量部とを混合し、フラックス這い上がり防止剤組成物を調製した。このフラックス這い上がり防止剤組成物を用いて、実施例6と同様にして、チップ抵抗表面に被膜を形成した。
【0058】
<実施例8>
1021SON(CH)COCOCH=CH90gと、HOCOCOCH=CH10gとを共重合させることにより、極性を有する官能基を備え、フッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物を得た。実施例7における、C1021OCOCH=CHとHOOCCH=CHとの共重合物に代えて、この含フッ素化合物を用いた以外は、実施例7と同様にして含フッ素樹脂組成物の薄膜を得た。
【0059】
<実施例9>
(CF12OCOC(CH)=CH90gと、(OH)SiCOCOCH=CH10gとを共重合させることにより、極性を有する官能基を備え、フッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物を得た。実施例7における、C1021OCOCH=CHとHOOCCH=CHとの共重合物に代えて、この含フッ素化合物を用いた以外は、実施例7と同様にして含フッ素樹脂組成物の薄膜を得た。
【0060】
<評価>
上記のチップ抵抗をサーフェスマウンタにてプリント配線基板にマウントした後、リフロー温度240℃〜280℃でリフロー半田付けを行い、フラックスがチップ抵抗上に這い上がったか否かを観察した。結果を表2にまとめて示す。
【0061】
【表2】
Figure 2004114081
【0062】
【発明の効果】
本発明のフラックス這い上がり防止剤組成物によれば、耐熱性に優れたフラックス這い上がり防止剤組成物を得ることができる。
【0063】
このような本発明のフラックス這い上がり防止剤組成物は耐熱性に優れるので、Pbフリー半田を用いた場合のリフロー半田付けなど高温での半田付けを行う際に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 含フッ素環構造を有する含フッ素樹脂を含むことを特徴とするフラックス這い上がり防止剤組成物。
  2. 前記含フッ素樹脂が、繰り返し単位(a)−CFCF−と、下記一般式で表される繰り返し単位(b)とを含むことを特徴とする請求項1記載のフラックス這い上がり防止剤組成物。
    Figure 2004114081
    (式中、X及びXはそれぞれ独立に−F又は−CFであり、Yは−F、−ORfであり、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。)
  3. 請求項1又は請求項2に記載のフラックス這い上がり防止剤組成物において、前記フラックス這い上がり防止剤組成物が前記含フッ素樹脂と、フッ素系溶剤とを含み、
    かつ前記含フッ素樹脂の割合が、前記フラックス這い上がり防止剤組成物に対して0.002重量%以上4重量%以下であることを特徴とするフラックス這い上がり防止剤組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフラックス這い上がり防止剤組成物において、前記含フッ素樹脂と、前記フッ素系溶剤と、極性を有する官能基を備え、かつ前記フッ素系溶剤に可溶な含フッ素化合物とを含むことを特徴とするフラックス這い上がり防止剤組成物。
  5. 前記含フッ素化合物が炭素数4〜21のポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基を含む化合物であることを特徴とする請求項4に記載のフラックス這い上がり防止剤組成物。
  6. 前記官能基が水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、リン酸基、アルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のフラックス這い上がり防止剤組成物。
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