JP2004113590A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】個装した製品状態において、前記ウイング状フラップWに形成されたズレ止め用粘着剤層10を覆うウイング用剥離材12が設けられ、前記ウイング状フラップWが透液性表面シート3側に前記ウイング用剥離材12と共に折り畳まれるとともに、前記ウイング用剥離材12がウイング状フラップWの折り線位置を越えて不透液性裏面シート2側の面まで延在し、かつ前記ウイング用剥離材12が不透液性裏面シート2側の面において個装材14と直接的に又は前記本体ズレ止め粘着剤層9,9を覆う本体用剥離材11を介して固着されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下着への固定に際し、下着のクロッチ部分に巻き付けるようにして使用されるウイング状フラップを備えた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Nとしては、例えば図10および図11に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート50と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート51との間に綿状パルプなどからなる吸収体52を介在させたものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品Nとしては、装着状態でのズレ止めを図るために、例えば非肌当接面側(外面)に1または複数条の粘着剤層53,53を形成し、かつナプキン本体の長手方向両側部に、外方に延在するウイング状フラップW、Wを一体的に形成するとともに、このウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート50側の面(外面)に粘着剤層54,54を設けるようにしたものが存在する。
【0004】
前記吸収性物品Nを下着30に固定する際には、図12に示されるように、吸収性物品Nを局所にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップW、Wを下着より取り出し、両ウイング状フラップW、Wを折返し線RL、RLで折返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら下着30の股間部外面に接着するようにする。
【0005】
一方、前記吸収性物品Nを個装するに際しては、前記ウイング状フラップW、Wを非使用面側(裏面側)に折り畳んだ状態(以下、便宜的に背折りということもある。)で個装袋に封入する第1の態様(例えば、特許文献1参照)、図13に示されるように、前記ウイング状フラップW、Wを使用面側に折り畳み(以下、便宜的に腹折りということもある。)、各粘着剤層54,54を覆うとともに、これら粘着剤層54,54間に跨る剥離紙56によって連結した状態で個装袋に封入する第2の態様(例えば、特許文献2参照)、更に図14に示されるように、ナプキンNの外形よりも大きいサイズの包装材57上に載せた後、包装材57の長辺側に位置する両側部分を長辺方向に沿って内側に折返し、次いでナプキンNの短辺側に位置する両側端部を順次、折り線▲1▼、▲2▼位置で短辺方向に沿ってナプキン共々内側に折り曲げた後、タックシール58等で固着して包装する第3の態様(例えば、特許文献3参照)等が存在する。
【0006】
【特許文献1】特開平9−94267号公報
【特許文献2】実用新案登録第2567607号公報
【特許文献3】特許第2789242号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1態様に係る個装形態の場合には、個装袋を開封し前記剥離紙を剥がし吸収性物品Nを下着に装着する際、ウイング状フラップW、Wに背側への折り癖が付いているため、手でいちいちウイング状フラップW、Wを拡げなければならないとともに、場合によってはウイング状フラップW、Wの粘着剤層54が本体バックシート50に接着してしまい、これを剥離した際、本体バックシート50の基材が伸びたり、破れたりしてナプキンが使用不能となることがあった。
【0008】
前記第2態様に係る個装形態の場合は、ウイング状フラップW、Wに使用面側への折り癖が付いているため、ウイング状フラップWに形成した粘着剤層54が本体の裏面に形成した粘着剤層53に接着することが無くなる。しかし、ウイング状フラップW、W間に跨設した前記剥離紙56を別途手で剥がし、かつ廃棄する必要があり、ワンステップ開封方式(1回の開封手間で自動的に剥離紙も取り除くことができるようにする方式)を実現できていない。
【0009】
また、剥離紙56を剥がしてもウイング状フラップW、Wは自動的に開くことはなく、折り癖によって表面側に折り畳まれたままであるため、装着時には使用者自らがウイング状フラップW、Wを手で拡げなければならず、着用に手間が掛かっていた。更に、ウイング状フラップWに形成される粘着剤層54,54はウイング連結用剥離紙56に塗布された粘着剤を転写させて形成するようにしているが、機械的誤差による接着位置の位相ズレを考慮しなければならず、ズレ止め粘着剤の塗布位置に制限が加わるなどの問題もある。
【0010】
前記第3態様に係る個装形態の場合は、ナプキンの外形以上の包装材を用意し包装材ごとウイングを折り畳むものであるため、必要以上に大きなサイズの包装材を必要とし経済的かつ環境的に好ましくない。
【0011】
そこで本発明の第1の課題は、ウイング状フラップを備える吸収性物品において、開封時にウイング状フラップが本体裏面に形成された粘着剤層に接着することがないようにするとともに、ワンステップ開封方式を実現し、かつ包装材を剥がす際にウイング状フラップが自動的に展開されるようにして着用手間を軽減することにある。
【0012】
次いで、第2の課題は、製造工程において、安定的にウイング状フラップが腹折りされた状態を保ち、ライン搬送時におけるウイング状フラップのバタツキを無くし、操業を安定化することにある。
【0013】
更に第3の課題は、ウイング用ズレ止め粘着剤の塗布位置に関する制限を緩和し、操業性を向上させることにある。
【0014】
第4の課題は、吸収性物品の個装状態をコンパクト化することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記第1課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
前記本体部分の不透液性裏面シート側の面に本体ズレ止め粘着剤層が形成されるとともに、前記ウイング状フラップの不透液性裏面シート側の面にウイングズレ止め粘着剤層が形成され、
個装した製品状態において、前記ウイング状フラップに形成されたズレ止め用粘着剤層を覆うウイング用剥離材が設けられ、前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれるとともに、前記ウイング用剥離材がウイング状フラップの折り線位置を越えて不透液性裏面シート側の面まで延在し、かつ前記ウイング用剥離材が不透液性裏面シート側の面において個装材と直接的に又は前記本体ズレ止め粘着剤層を覆う本体用剥離材を介して固着されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0016】
上記請求項1記載の本発明においては、前記ウイング用剥離材がウイング状フラップの折り線位置を越えて不透液性裏面シート側の面まで延在し、かつ前記ウイング用剥離材が不透液性裏面シート側の面において、個装材と、個装材の内面に剥離処理されている場合は直接的に、又は前記本体ズレ止め粘着剤層を覆う本体用剥離材が設けられている場合にはこの本体用剥離材を介して固着されているため、個装材を剥がすと、ウイング状フラップがウイング用剥離材によって裏面シート側に引っ張られ、腹折りされたウイング状フラップが自動的に展開されるようになる。また、前記ウイング状フラップは展開するけれども、使用面側へある程度の折り癖が付いているため、ウイング状フラップが本体裏面に形成されたズレ止め粘着剤層に接着することを防止できる。また、個装材を剥離すると、ウイング用剥離材、またはウイング用剥離材と共に本体用剥離材が剥離されるため、完全なワンステップ開封方式を実現することができるようになる。
【0017】
前記第2課題を解決するために請求項2に係る本発明として、前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれた状態が、前記ウイング用剥離材及び/又はウイング状フラップの折り癖により保持されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0018】
前記第2課題を解決するために請求項3に係る本発明として、前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれた状態が、ホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段によって仮着保持されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0019】
前記第2課題を解決するために請求項4記載の本発明として、前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれた状態時において、前記ウイング状フラップの先端部同士に重なりをもたせている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0020】
前記第2課題を解決するために請求項5記載の本発明として、前記重なり部分でウイング状フラップ同士が仮止めされている請求項4記載の吸収性物品が提供される。
【0021】
上記請求項2〜5記載の本発明においては、ウイング状フラップが腹折りされた状態を安定的に保つことができるようになるため、製造工程において、ライン搬送時におけるウイング状フラップのバタツキを無くし、操業を安定化できるようになる。
【0022】
前記第3の課題を解決するために請求項6記載の本発明として、前記ウイング用剥離材にズレ止め用粘着剤を塗布した後、これをウイング状フラップに接着することにより、ズレ止め用粘着剤を転写すると同時にウイング用剥離材を設け、その後に前記ウイング状フラップをウイング用剥離材と共に透液性表面シート側に折り畳むようにした請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0023】
上記請求項6記載の本発明においては、ウイング状フラップにズレ止め用粘着剤を塗布(転写)した後に、製品形状にカットし、ウイング状フラップを折り畳むようにしたので、ズレ止め粘着剤の塗布位置に関する制限が緩和され、例えばウイング状フラップの外縁までズレ止め用粘着剤を塗布できるようになり、自由度が大幅に向上する。
【0024】
前記第4の課題を解決するために請求項7記載の本発明として、前記ウイング状フラップは、吸収体側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップとともに、透液性表面シート側に折り畳まれている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0025】
前記第4の課題を解決するために請求項8記載の本発明として、前記ウイング状フラップは、吸収体側縁の内側位置を折れ線として、側部外周フラップ及び吸収体側縁部分とともに、透液性表面シート側に折り畳まれている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0026】
上記請求項7,8記載の本発明においては、ウイング状フラップの折り畳み位置に関し、従来のようにウイング状フラップの基端部を折返し位置とするのではなく、吸収性物品の側部外周フラップ、この側部外周フラップ及び吸収体側部とともに、透液性表面シート側に折り畳むようにしている。その結果、ウイング状フラップを折り畳んだ状態では吸収性物品の幅を小さくすることができ、個装寸法をコンパクト化できるようになる。
【0027】
請求項9記載の本発明として、前記折り畳まれた側部外周フラップは、個装のために吸収性物品を折り畳んだ折り線領域を含んで、透液性表面シート側の面に仮着保持されている請求項7,8いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0028】
請求項10記載の本発明として、前記仮着保持手段がホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段である請求項9記載の吸収性物品が提供される。
【0029】
上記請求項9,10記載の発明のように、吸収性物品を折り畳んだ折り線領域を含んで仮着することにより、該折り線位置においてフラップ部分がたくれるのを防止しながら綺麗に折り畳みできるようになる。すなわち、例えばウイング状フラップを側部外周フラップとともに、透液性表面シート側に折り畳んだ後、個装のため短辺方向に沿って吸収性物品を折り畳むと、折り線位置において前記側部外周フラップ部分がたくれるように突出し、綺麗に折り畳むことができない。従って、側部外周フラップの折り線領域を含むように表面シート側に仮着することにより、綺麗に折り畳みできるようになる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図、図2はその裏面図、図3の図1のIII−III線矢視図である。
【0031】
前記生理用ナプキン1は、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って形成されたサイド不織布6,6とから構成されている。前記吸収体4の周囲において、その上下端縁部では、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布6とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。本明細書では、この両側縁部のフラップ部分を「側部外周フラップFS」という。
【0032】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0033】
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。一方、前記透液性表面シート3の上面には、排血対応部位を跨ぐ両側部にそれぞれ、略長手方向に沿うサイドエンボス7,7が形成されているとともに、前後部にそれぞれ弧状エンボス8,8が形成されている。
【0034】
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
【0035】
一方、本生理用ナプキン1の表面がわ両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイド不織布6,6が設けられ、このサイド不織布6,6の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とによりウイング状フラップW、Wが形成されている。
【0036】
前記サイド不織布6としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、Wにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにすることが望ましい。
【0037】
図2に示されるように、前記透液性表面シート3と不透液性裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の非肌当接面には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の、図示例では4条の本体ズレ止め粘着剤層9,9…が形成されているとともに、これら本体ズレ止め粘着剤層9,9…が本体用剥離材11によって覆われている。また、前記ウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート2側の面には、ウイングズレ止め粘着剤層10、10が形成されるとともに、これらウイングズレ止め粘着剤層10、10が幅方向に横断する1枚のウイング用剥離材12によって覆われている。また、前記本体用剥離材11とウイング用剥離材12とは、鎖線13によって囲まれた領域にてホットメルト接着剤等により堅固に固着され一体化されている。なお、本例ではウイングズレ止め粘着剤層10,10を覆う剥離材12として1枚の剥離材を用いたが、左右に分離していてもよい。
【0038】
前記ズレ止め粘着剤層9,10を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
【0039】
前記剥離材11,12としては、ズレ止め粘着剤層9,10に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。この場合、少なくともウイング用剥離材12については、個装状態から開封し個装材を剥離した際に、円滑にウイングフラップW、Wを展開できるように可撓性に富むプラスチックシートを用いるのがよい。なお、特別に離型処理をしなくても、実質的に粘着力の低下を招かないものであれば、フィルムそのものであっても、不織布そのものであっても良い。
【0040】
前述した生理用ナプキン1を個装するには、図4に示されるように、一方のウイング状フラップWを吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSを含め、ウイング用剥離材12と共に透液性表面シート3側に折り畳んだ後、他方のウイング状フラップWを吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSを含め、ウイング用剥離材12と共に透液性表面シート3側に折り畳み、前記ウイング用剥離材12がウイング状フラップW、Wの折り線位置を越えて不透液性裏面シート2側の面まで延在させるようにする。
【0041】
この場合、前記ウイング状フラップW、Wを透液性表面シート3側に単に折り畳んだだけでは、形状が安定せず前記ウイング状フラップW、Wが浮き上がったり、バタツキが生じ、ライン搬送時に位置ズレや絡みなどの原因となることがある。そこで、操業を安定化するために、前記ウイング状フラップWが透液性表面シート3側に前記ウイング用剥離材12と共に折り畳まれた状態を保持するようにする。具体的にその第1手段としては、前記ウイング用剥離材12として、ある程度のコシを有する紙材料を使用し、その折り癖により折り畳み状態を保持するか、及び/又はウイング状フラップの折り癖を利用して折り畳み状態を保持する。また、第2手段としては、ホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段によって仮着保持することができる。前記第1手段と第2手段とを比較すると、第1手段は他の材料を使用することなく簡易に行える利点はあるものの、ウイング状フラップWを表面シート3面に密着させて折り畳むことは困難であることが多い。これに対して第2手段の場合は、ウイング状フラップWを浮き上がらせることなく、表面シート3に密着させながら折り畳み状態を保持することができるとともに、接着力および接着範囲を任意に設定できる点で望ましい。また、本発明では個装材から剥がした際に、自動的にウイング状フラップWを展開させることを目的の一つとしているため、前記第1手段を採用しウイング用剥離材12としてコシのある紙類を使用するよりは、円滑にウイング状フラップWを展開できるように、可撓性に富むプラスチックシートを使用する方が望ましいため、第2手段の採用が推奨される。
【0042】
図示の例では、側部外周フラップFSを含め、前記ウイング状フラップW、Wを透液性表面シート3側に前記ウイング用剥離材12と共に折り畳むようにしたため、前記ウイング状フラップW、Wの先端部同士が重なるようになっている。従って、この重なり部分についても、前記ホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段によって仮着保持するのが望ましい。なお、前記ウイング状フラップW、Wの重なり代Sは、より操業を安定化するために、ウイング状フラップWの突出長Lの約1/4以上とするのが望ましい。
【0043】
さらに、前記ホットメルト等による仮着保持は、後述するように、個装のために、短辺方向に沿ってナプキン1を折り畳む場合の折り線領域(図6の▲1▼、▲2▼線近傍領域)を少なくとも含んで仮着保持するのが望ましく、より好ましくは側部外周フラップFSの折返し面を含め、折り畳み面の全面を仮着保持するのが望ましい。
【0044】
前記ウイング状フラップW、Wをウイング用剥離材12と共に、表面側に夫々折り畳んだならば、個装シート14により生理用ナプキン1を個装する。
【0045】
個装方法は、図6に示されるように、幅寸法がナプキン1の展開幅(ウイング状フラップW、Wの先端間距離)よりも幅狭で、ウイング状フラップW、Wの折り畳み状態よりも幅広とされる所定長さの個装シート14を用い、少なくとも個装シート14の一方側短辺14bがナプキン1の前後端部の一方より外側に位置させるように個装シート14上にナプキン1を配置するとともに、前記個装シート14と、本体用剥離材11及び/又はウイング用剥離材12とをホットメルト接着剤等により堅固に固着する。
【0046】
その後、折り線▲1▼位置にてナプキン後端部側を折り畳んだならば、折り線▲2▼位置にてナプキン前端部側を折り畳み、図7に示されるように、個装シート14の開口した側縁部分14aをエンボス圧着、加熱融着、接着剤等、適宜の封鎖手段の単独または組み合わせによって封鎖するようにする。また、個装シート14の前後方向端縁14bは、接着剤により接合した後、好ましくはタブテープ15により封止する。
【0047】
かかる個装吸収性物品の場合は、図8に示されるように、個装袋からナプキン1を取り出し個装シート14を剥がすと、ウイング状フラップW、Wがウイング用剥離材12によって裏面シート側に引っ張られ、腹折りされたウイング状フラップW、Wが自動的に展開されるようになる。また、前記ウイング状フラップW、Wは展開するけれども、使用面側へある程度の折り癖が付いているため、ウイング状フラップW、Wが本体裏面に形成されたズレ止め粘着剤層9,9…に接着することも無くなる。個装シート14を剥がすと、ウイング用剥離材12と共に本体用剥離材11が剥離されるため、完全なワンステップ開封方式が実現可能となる。
【0048】
ところで、本発明は上記形態例以外に種々の変更が可能である。以下、順に列挙すると、
(1)上記例では、本体ズレ止め粘着剤層9,9を覆う本体用剥離材11を設けるようにしたが、前記個装シート14の内面側において少なくとも前記本体ズレ止め粘着剤層9,9の対応部分に離型処理を施すことによって前記本体用剥離材11を省略することが可能である。この場合には、使用資材の低減により操業効率が増すとともに、ゴミの低減化にも資することになる。
【0049】
(2)上記例では、ウイング状フラップW、Wは、吸収体4側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップFSとともに、透液性表面シート3側に折り畳むようにしたが、吸収体側縁の内側位置を折れ線として、側部外周フラップFS及び吸収体4の側縁部分とともに、透液性表面シート3側に折り畳むようにしてもよい。この場合には、更なるコンパクト化が図れるようになる。
【0050】
(3)上記例では、ウイング状フラップW、Wを表面シート3側に折り畳む際、側部外周フラップFSを含んで折り畳むようにしたが、図9に示されるように、ウイング状フラップW、W部分のみを表面シート3側に折り畳むようにしてもよい。
【0051】
(4)上記例ではウイング状フラップW、Wが形成された生理用ナプキン1を例に採り詳述したが、本発明は後部側にヒップホールド用フラップが形成された夜用生理用ナプキンに対しても同様に適用することが可能である。
【0052】
(5)上記例では、サイド不織布6と不透液性裏面シート2とによりウイング状フラップW、Wを形成するようにしたが、サイド不織布6単独でウイング状フラップWを形成してもよいし、不透液性裏面シート2単独でウイング状フラップWを形成してもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上詳説のとおり、請求項1に係る本発明によれば、ウイング状フラップを備える吸収性物品において、開封時にウイング状フラップが本体裏面に形成された粘着剤層に接着することがないとともに、ワンステップ開封方式を実現でき、かつ包装材を剥がす際にウイング状フラップが自動的に展開されるようになるため着用手間を軽減できるようになる。
【0054】
請求項2〜5に係る本発明によれば、製造工程において、安定的にウイング状フラップが腹折りされた状態を保ち、ライン搬送時におけるウイング状フラップのバタツキを無くし、操業を安定化することができる。
【0055】
請求項6に係る本発明によれば、ウイング用ズレ止め粘着剤の塗布位置に関する制限を緩和し、操業性を向上させることができる。
【0056】
請求項7,8に係る本発明によれば、吸収性物品の個装状態をコンパクト化することができる。
【0057】
請求項9,10に係る本発明によれば、個装するために折り畳んだ際、折り線位置において前記側部外周フラップ部分がたくれるのを防止し、綺麗に折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。
【図2】その裏面図である。
【図3】図1のIII−III線矢視図である。
【図4】ウイング状フラップの折り畳み要領を示す平面図である。
【図5】その横断面図(図4のV−V線矢視図)である。
【図6】個装要領を示す斜視図である。
【図7】個装状態を示す斜視図である。
【図8】開封要領を示す斜視図である。
【図9】ウイング状フラップW、Wの他の折り畳み要領を示す展開図である。
【図10】従来の生理用ナプキンNの展開図である。
【図11】その横断面図である。
【図12】その装着状態図である。
【図13】従来のウイング状フラップW、Wの折り畳み要領を示す平面図である。
【図14】従来の個装要領を示す手順図である。
【符号の説明】
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…サイド不織布、9…本体ズレ止め粘着剤層、10…ウイングズレ止め粘着剤層、11…本体用剥離材、12…ウイング用剥離材、14…個装シート、W…ウイング状フラップ、FS…側部外周フラップ
Claims (10)
- 透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
前記本体部分の不透液性裏面シート側の面に本体ズレ止め粘着剤層が形成されるとともに、前記ウイング状フラップの不透液性裏面シート側の面にウイングズレ止め粘着剤層が形成され、
個装した製品状態において、前記ウイング状フラップに形成されたズレ止め用粘着剤層を覆うウイング用剥離材が設けられ、前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれるとともに、前記ウイング用剥離材がウイング状フラップの折り線位置を越えて不透液性裏面シート側の面まで延在し、かつ前記ウイング用剥離材が不透液性裏面シート側の面において個装材と直接的に又は前記本体ズレ止め粘着剤層を覆う本体用剥離材を介して固着されていることを特徴とする吸収性物品。 - 前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれた状態が、前記ウイング用剥離材及び/又はウイング状フラップの折り癖により保持されている請求項1記載の吸収性物品。
- 前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれた状態が、ホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段によって仮着保持されている請求項1記載の吸収性物品。
- 前記ウイング状フラップが透液性表面シート側に前記ウイング用剥離材と共に折り畳まれた状態時において、前記ウイング状フラップの先端部同士に重なりをもたせている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記重なり部分でウイング状フラップ同士が仮止めされている請求項4記載の吸収性物品。
- 前記ウイング用剥離材にズレ止め用粘着剤を塗布した後、これをウイング状フラップに接着することにより、ズレ止め用粘着剤を転写すると同時にウイング用剥離材を設け、その後に前記ウイング状フラップをウイング用剥離材と共に透液性表面シート側に折り畳むようにした請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記ウイング状フラップは、吸収体側縁の外側近傍位置を折れ線として、側部外周フラップとともに、透液性表面シート側に折り畳まれている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記ウイング状フラップは、吸収体側縁の内側位置を折れ線として、側部外周フラップ及び吸収体側縁部分とともに、透液性表面シート側に折り畳まれている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記折り畳まれた側部外周フラップは、個装のために吸収性物品を折り畳んだ折り線領域を含んで、透液性表面シート側の面に仮着保持されている請求項7,8いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記仮着保持手段がホットメルト、ヒートシール、超音波シールの内のいずれかの接合手段である請求項9記載の吸収性物品。
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