JP2004112525A - 音響信号処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】音響信号処理装置の操作性を向上させる。
【解決手段】音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置において、フェーダ23やパン24等の操作子を、信号処理のパラメータを設定するための設定操作子とするかディスプレイ21に表示したポインタ30を2次元的に移動させるための移動操作子とするかを選択スイッチ27によって選択可能とする。この場合において、操作子を上記移動操作子とすることを選択した時点の操作子の各々の位置を記憶しておき、その後操作子を上記設定操作子とすることを選択した時点で操作子が記憶している位置から移動している場合に、移動している操作子をその記憶している位置に戻すようにする。
【選択図】 図2
【解決手段】音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置において、フェーダ23やパン24等の操作子を、信号処理のパラメータを設定するための設定操作子とするかディスプレイ21に表示したポインタ30を2次元的に移動させるための移動操作子とするかを選択スイッチ27によって選択可能とする。この場合において、操作子を上記移動操作子とすることを選択した時点の操作子の各々の位置を記憶しておき、その後操作子を上記設定操作子とすることを選択した時点で操作子が記憶している位置から移動している場合に、移動している操作子をその記憶している位置に戻すようにする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置に関し、特に、音響信号処理装置の操作性を高める技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置として、例えばオーディオミキサが知られている。
このようなオーディオミキサのコンソールとしては、例えば特公平7−101827号公報に記載のミキシングコンソールが知られている。このミキシングコンソールにおいては、左右方向に並べて設けたフェーダ操作子を、複数の入力チャンネルの音量レベル調整と1つの入力チャンネルの複数項目の調整に切り換えて用いるようにしているので、操作子数を削減し、装置の構成を簡素化、小型化できる。また、多くの操作子を操作者の近くに配置することができるので、操作がしやすくなる。さらに、フェーダ操作子の機能を切り換えた場合に切り換え直前のフェーダ操作子の機能あるいは操作位置を記憶しておくようにしているので、再度その機能が選択された場合には、フェーダ操作子を記憶している操作位置に戻すことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年オーディオミキサにおいてもデジタル化が進み、その制御や信号処理にコンピュータ(マイクロプロセッサ)を使用することが常識化してきている。そしてこれに伴い、ミキサ自体にコントロールディスプレイを設け、オペレータがそのディスプレイに表示されたGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を見ながら、マウスやトラックボール、ジョイスティック等によって各種設定を行うことが多くなっている。
しかし一方で、ミキシング処理パラメータの設定は、フェーダやパン等の操作子を多数並べて設け、これらの操作子によって行うことが一般的である。そこで、ミキシング処理パラメータの設定中にGUIを操作したい場合には、フェーダを操作している手を例えばマウスに持ち変えねばならないが、煩雑な操作中にこのような動作を行うことは面倒であり、ミキサの操作性を低下させる原因となっていた。特に、多チャンネルのミキシングが可能なコンソールの大きいミキサの場合にこの傾向が顕著であった。
【0004】
このような問題について、上記公報には、処理パラメータの設定操作について操作性を向上させることができることが記載されているが、GUIの操作性を向上させるための構成については何ら記載されていない。
この発明は、このような問題を解決し、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置において、操作性を向上させること、特に、操作子を用いたミキシング処理パラメータの設定とGUIの操作とを交互に行う場合の操作性を向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置において、表示手段と、その表示手段にポインタを表示させる手段と、複数の操作子と、上記操作子を上記信号処理のパラメータを設定するための設定操作子とするか上記表示手段に表示したポインタを2次元的に移動させるための移動操作子とするかを選択する選択手段とを設けたものである。
このような音響信号処理装置において、上記選択手段は、上記操作子を上記移動操作子とする旨の選択をする場合、その操作子の一部を上記ポインタを縦方向に移動させるための縦移動操作子とし、他の一部を上記ポインタを横方向に移動させるための横移動操作子とするようにするとよい。
さらに、上記複数の操作子が音量制御操作子と音像定位制御操作子を含み、上記選択手段が、上記音量制御操作子を上記縦移動操作子とし、上記音像定位制御操作子を上記横移動操作子とするようにするとよい。
【0006】
また、これらの音響信号処理装置において、任意の時点での上記複数の操作子の各々の位置を記憶する記憶手段と、上記選択手段が上記操作子を上記移動操作子とすることを選択した時点のその操作子の各々の位置を上記記憶手段に記憶させ、その後上記選択手段がその操作子を上記設定操作子とすることを選択した時点で上記操作子が上記記憶手段に記憶させた位置から移動している場合に、移動している操作子をその記憶させた位置に戻す復帰手段とを設けるとよい。
さらに、上記操作子の位置情報に基づいて上記ポインタの表示位置を設定するようにしたり、上記操作子の操作量と操作方向に対応する距離だけ上記ポインタの表示位置を移動させるようにしたりするとよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサについて、図1及び図2を用いて説明する。図1はそのデジタルミキサの概略構成を示すブロック図、図2はそのデジタルミキサのコンソールのうちこの発明に関連する部分の構成を模式的に示す図である。
このデジタルミキサは、入力する音響信号に対して各種の信号処理を行って出力する装置であり、図1に示すように、CPU11,メモリ12,DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)13,コンソール20がシステムバス16によって接続されている。
【0008】
CPU11は、このデジタルミキサを統括制御する制御部であり、メモリ12に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、DSP13における波形処理動作の制御、コンソール20からの操作情報の取得やコンソール20における表示及び操作子の動作制御等の制御動作を行う。
メモリ12は、ROM,RAM,ハードディスク等によって構成され、CPU11が実行する制御プログラムや必要なデータ、あるいはユーザが作成した設定データ等を記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
【0009】
DSP13は、コンソール20の操作及びそれに応じたCPU11からの指示によって指定される各種パラメータに従って、入力部14から入力する音響信号である波形データに対してミキシング、イコライジング、エフェクト処理等の各種の信号処理を行って出力部15に出力するユニットである。そして、多チャンネルの波形データを同時に処理可能である。
入力部14からは例えば112チャンネルの波形データを入力可能であり、アナログデータを入力する場合にはA/Dコンバータによってデジタル信号に変換するものとする。なお、ここから入力する波形データは、ハードディスク等の記憶装置から読み出したデータでもよい。また、出力部15からは例えば48チャンネルの波形データを出力可能であり、アナログデータを出力する場合にはD/Aコンバータによってアナログ信号に変換して出力するものとする。
【0010】
コンソール20は、このデジタルミキサに対する操作を受け付けたり、各種メッセージ等を表示したりするためのユニットである。そして、ディスプレイ21と操作子22とに加え、左クリックスイッチ25,右クリックスイッチ26,選択スイッチ27を備えている。
ディスプレイ21は、液晶パネルを備えた表示手段であり、CPU11からの指示に従ってGUIを表示し、各種設定状態や動作状態の表示、設定指示の受け付け、メッセージの表示等を行う。そして、そのGUIを用いて何らかの設定指示を行う場合には、図2に示すようにディスプレイ21に表示されたポインタ30を適当な位置に移動させて設定対象や指示内容を選択することになる。このポインタ30を操作して2次元的に移動させるためのポインティングデバイスとしては、図示しないトラックボールを設けているが、マウス等も接続可能としている。また、このデジタルミキサでは、後述するように操作子22を構成するフェーダ23やパン24もポインティングデバイスとして用いることができる。
【0011】
操作子22は、このデジタルミキサに対する種々の設定指示や操作指示を受け付けるためのものであり、フェーダ23やパン24を初め、種々のスイッチやダイヤル、ボタン等によって構成されている。
フェーダ23は、入力チャンネル毎にその音量を設定するための音量制御操作子であり、図2に示すように縦方向にスライドするスライドスイッチを採用し、これを横方向に複数配列して設けている。また、フェーダ23はモータによる駆動装置を備えたいわゆるムービングフェーダであり、CPU11からの指示に従って自動動作を行い、つまみ23aを任意の位置に移動させることができる。この自動動作は、設定されている設定値とつまみ23aとの位置が対応していない場合にこれを対応させるために行うものであり、後述する場合のほか、メモリ12に記憶している設定データを読み出して処理に反映させる場合等にも行う。
パン24は、入力チャンネル毎にその左右のバランスを設定するパンニング調整を行うための音像定位制御操作子であり、図2に示すようにダイヤル式のスイッチを採用し、絶対位置に関係無く操作量と回転方向のみを検出するロータリーエンコーダを採用している。
【0012】
このように、これらの操作子22は、通常は信号処理のパラメータを設定するための設定操作子であるが、後述するように、ディスプレイ21に表示したポインタ30を2次元的に移動させるための移動操作子としても用いることができる。なお、図2にはフェーダ23とパン24を各3つしか示していないが、実際にはもっと多数のフェーダ23やパン24を設けることが多い。また、操作子22としてはフェーダ23やパン24以外にも種々の設定を行うための操作子を設けているが、その詳細についてはこの発明とは直接関係ないため、図示及び説明を省略する。
【0013】
また、コンソール20に設けた選択スイッチ27は、操作子22を設定操作子とするか移動操作子とするかを選択するためのスイッチである。操作子22は、このスイッチがオン状態である間は移動操作子として機能し、オフ状態である間は設定操作子として機能する。選択スイッチ27は基本的には押下されている状態がオンであり、されていない状態がオフであるが、後述するようにこれらは必ずしも対応しない場合もある。
同じくコンソール20に設けた左クリックスイッチ25と右クリックスイッチ26は、それぞれマウスの左クリック及び右クリックと同様な操作指示を行うことができるようにするためのスイッチである。
【0014】
これらの左クリックスイッチ25,右クリックスイッチ26,選択スイッチ27は、コンソールのユーザ側の端部に設けると、ユーザが遠くまで手を伸ばさなくても切り換え操作を行うことができるため好ましい。また、フェーダ23やパン24はいくつかのグループに分けて設けられることも多いが、その場合には、そのグループ毎に左クリックスイッチ25,右クリックスイッチ26,選択スイッチ27を設けるとよい。このようにすれば、どのフェーダ23やパン24を操作している場合でもすぐ近くに選択スイッチ27があるので、体を大きく動かさなくてもフェーダ23やパン24の機能を切り換えることができ、操作性を向上させることができる。
【0015】
次に、図3乃至図5を用いて、上述したデジタルミキサにおける操作子の操作に関する処理について説明する。図3乃至図5はその処理を示す一連のフローチャートである。
このデジタルミキサにおいて、CPU11は、所定のタイミング毎に図3乃至図5のフローチャートに示す処理を実行することにより、コンソール20からの操作指示を受け付けると共に、その内容を動作に反映させている。なお、この発明に関連する処理の内容を明確にするため、図3乃至図5においてはフェーダ23,パン24,選択スイッチ27に関連する処理のみを示しており、それ以外の部分については説明を省略する。
【0016】
図3のフローチャートに示す処理では、まずステップS1で各操作子、すなわちフェーダ23,パン24,選択スイッチ27等における操作イベントを検出する。複数の操作子が同時に操作されることも考えられるが、それらは全て並列して検出するものとする。そして、ステップS2でレジスタj,kに1を設定する。
次のステップS3では、j番目(最初は1番目)のフェーダに手動操作があったか否か判断する。この判断は、例えばフェーダに備えたタッチセンサを用いて行うことができる。そして、手動操作があればステップS4に進み、そのフェーダのモータが駆動中であれば、すなわちCPU11の指示によってつまみ23aの位置を移動させる自動動作を行っていれば、それを停止する。このようにすることにより、手動操作をモータの駆動によって妨害してしまうことがなくなり、またモータの破損も防止できる。駆動中でなければステップS4では特に何も行わない。
【0017】
次に、ステップS5に進み、選択スイッチ27がオフ状態か否か判断する。そしてオフ状態であれば、フェーダ23は設定操作子として機能させるので、ステップS6に進み、j番目のフェーダの位置情報に基づいてDSP13のパラメータを設定する。すなわち、j番目のフェーダのつまみの移動可能範囲中における相対位置を検知し、そのフェーダに対応するDSP13のパラメータを、その相対位置に対応する値に設定する。そして、ステップS7でその位置情報を、メモリ12に設けたj番目のフェーダに対応する位置レジスタに記憶させる。
その後、ステップS9に進んでjが最終値か否か、つまり、全てのフェーダについて処理が終了したか否か判断し、終了していれば図4のステップS11に進むが、終了していなければステップS10に進んでjを1増加させて更新し、ステップS3に戻って処理を繰り返す。
【0018】
また、ステップS5で選択スイッチ27がオン状態であれば、フェーダ23は移動操作子として機能させるので、ステップS8に進み、j番目のフェーダの位置情報に基づいてポインタ30の縦方向の表示位置を変更する。すなわち、j番目のフェーダのつまみの移動可能範囲中における相対位置を検知し、ディスプレイ21中におけるポインタ30の縦方向の表示位置を、図2に矢印aで示すように、その相対位置に対応する位置に変更する。また、どのフェーダを操作した場合でも同じようにその相対位置に対応する位置にポインタ30の表示位置を変更する。このとき、横方向の位置は変化させず、フェーダ23はポインタ30を縦方向に移動させるための縦移動操作子とする。
【0019】
この場合において、同じフェーダを連続的に動かした場合にはポインタ30は連続的に移動する。しかし、ポインタ30の表示位置は、必ずしも連続的に変化するとは限らない。例えば、ポインタ30がディスプレイ21の上方に表示されている時につまみが下側に位置しているフェーダが操作された場合にも、やはりポインタ30はつまみの相対位置に対応する位置に変更する。従ってこの場合、ポインタ30は一度不連続的に下側に移動し、その後フェーダの操作に従って上下に移動することになる。
【0020】
このようにしたことにより、ディスプレイ21中におけるポインタ30の初期位置と各フェーダのつまみの初期位置とが対応していない場合でも、不都合なくポインタ30を移動させることができる。また、つまみの初期位置がフェーダ毎に上下に幅広く分散している場合には、ポインタ30の目標とする相対位置から近い位置にあるフェーダを選んで操作すれば、ポインタ30を目標位置まで移動させるための操作量が小さくてすむので、高い操作性を得ることができる。
ステップS8の処理が終了するとステップS9に進んで以後の処理を行う。従って、移動操作子として機能させている間は、フェーダ23の位置情報は位置レジスタには記憶させない。
【0021】
次に、図4のステップS11以降の処理について説明すると、ステップS11では、選択スイッチ27が押下されるイベントがあったか否か判断する。
あれば、ステップS12に進んで自動動作中のフェーダ23があるか否か判断する。これがなければステップS13に進んで選択スイッチ27をオン状態に設定し、以後はフェーダ23及びパン24を移動操作子として機能させるようにする。その後、図5のステップS17に進む。ステップS12で自動動作中のものがあれば、ステップS14に進んで全てのフェーダについて自動動作が終了した時点で選択スイッチ27をオン状態にしてフェーダ23及びパン24を移動操作子として機能させるようにする動作を予約してステップS17に進む。すなわち、選択スイッチ27がオンにされても、処理上は直ちにオン状態とせず、自動動作が終了するまではフェーダ23は設定操作子として機能させるようにする。
【0022】
このようにするのは、自動動作が終了した時点での各フェーダ23の位置情報を位置レジスタに記憶し、選択スイッチ27をオフ状態に戻した時に各フェーダ23をその位置に戻すことができるようにするためである。
これらのステップS13及びS14の処理においては、CPU11が選択手段として機能する。なお、上述したように、フェーダ23及びパン24を移動操作子として機能させている間はフェーダ23についての位置レジスタの内容は更新しないので、以後再度設定操作子として機能させるまで、メモリ12には移動操作子とすることを選択した時点での各フェーダ23の位置が記憶されていることになる。そして、ステップS13あるいはS14の処理が終了すると、図5のステップS17に進んで以後の処理を行う。
【0023】
一方、ステップS11で押下イベントがなければ、ステップS15に進んで選択スイッチ27が押下解除されるイベントがあったか否か判断する。あれば、ステップS16に進んで位置レジスタに記憶している位置と現在の位置とが異なる全てのフェーダについて、位置レジスタに記憶している位置までの自動動作を指示すると共に選択スイッチ27をオフ状態にし、フェーダ23及びパン24を設定操作子として機能させるようにする。このようにすることにより、フェーダ23を再度設定操作子として用いる場合に、その時点での設定内容と対応した位置、すなわち移動操作子とした時点での位置につまみ23aを戻すことができる。
【0024】
なお、自動動作の指示は、対象のフェーダと目標位置を定めて行うものとし、目標位置に達するまでは、そのフェーダについては、図3のステップS6やS7で説明したようなDSP13のパラメータの設定や位置情報の記憶は行わないものとする。また、パン24については、前述したように相対的な操作量を検知するのみであって絶対的な位置は存在しないので、特に元の位置に戻す必要はない。
このステップS16の処理ではCPU11が選択手段及び復帰手段として機能し、ステップS16の処理が終了すると、図5のステップS17に進んで以降の処理を行う。ステップS15で押下解除イベントがなければ、そのまま図5のステップS17に進む。
【0025】
図5のステップS17では、k番目(最初は1番目)のパン24に操作があったか否か判断する。操作があれば、ステップS18に進み、選択スイッチ27がオフ状態か否か判断する。そしてオフ状態であれば、パン24は設定操作子として機能させるので、ステップS19に進み、k番目のパン24の操作量に基づいてDSP13のパラメータを設定する。すなわち、検知したパン24の操作量と回転方向(操作方向)に基づいて、パン24に対応するDSP13のパラメータを、その操作量と回転方向に対応する値だけ変更した値に設定する。なお、パン24はロータリーエンコーダであって現在の位置という概念は存在しないので、フェーダ23のような位置レジスタは設けていない。
【0026】
ステップS19の処理の後は、ステップS21に進んでkが最終値か否か、つまり、全てのパンについて処理が終了したか否か判断し、終了していればこのフローチャートの処理を終了するが、終了していなければステップS22に進んでkを1増加させて更新し、ステップS17に戻って処理を繰り返す。
【0027】
また、ステップS18で選択スイッチ27がオン状態であれば、パン24は移動操作子として機能させるので、ステップS20に進み、k番目のパンの操作量に基づいてポインタ30の横方向の表示位置を変更する。すなわち、検知したパン24の操作量と回転方向(操作方向)に基づいて、ディスプレイ21中におけるポインタ30の横方向の表示位置を、図2に矢印bで示すように、その操作量と回転方向に対応する距離だけ移動させる。また、どのパン24を操作した場合でも同じようにポインタ30の表示位置を移動させる。このとき、縦方向の位置は変化させず、パン24はポインタ30を横方向に移動させるための横移動操作子とする。この場合において、どのパン24を操作したかに関わらず、ポインタ30は連続的に移動することになる。
ステップS20の処理が終了するとステップS21に進んで以後の処理を行う。
なお、以上の処理において、図3のステップS3乃至S10のフェーダ23に関する処理と、図4に示した選択スイッチ27に関する処理と、図5に示したパン24に関する処理は、必ずしもこの順番で行う必要はなく、任意の順番で行ってよい。
【0028】
以上のような処理を行うことにより、操作子22のうちフェーダ23とパン24を、設定操作子と移動操作子として適宜切り換えて使用することができるので、操作子22を使用したDSP13のパラメータ等の設定中にGUIに対して操作を行う必要が生じた場合でも、マウスやトラックボールまで手を伸ばさずに操作を行うことができ、特にミキシング処理パラメータの設定とGUIの操作を交互に行う場合においてデジタルミキサの操作性を向上させることができる。
【0029】
この場合において、縦方向にスライドさせる操作子であるフェーダ23でポインタ30を縦方向に移動させ、横方向に回転する操作子であるパン24でポインタ30を横方向に移動させるようにすると、操作子の操作方向とポインタ30の移動方向が一致してユーザが必要な操作やその結果をイメージしやすくなり、高い操作性を得ることができる。しかし、隣接する2つのフェーダを縦移動操作子と横移動操作子として機能させたり、逆に隣接する2つのパンを縦移動操作子と横移動操作子として機能させたりするようにすることも可能である。さらに、フェーダやパン以外の操作子を移動操作子として機能させるようにしてもよい。
【0030】
また、ポインタ30の縦方向の表示位置について、フェーダ23のつまみ23aの相対位置に対応する位置とする例について説明したが、パン24の場合と同様に、フェーダ23の操作量と操作方向を検知し、ポインタ30の縦方向の表示位置を、その操作量と操作方向に対応する値だけ移動させるようにしてもよい。
また、上述した例においては、クリック操作を行うために左クリックスイッチ25と右クリックスイッチ26とを設ける例について説明したが、操作子22を移動操作子として機能させる場合に、操作子22中のいずれかの操作子をクリック操作を行うための操作子として機能させるようにしてもよい。
さらに、この発明は、上述したようなデジタルミキサに限らず、レコーダや編集装置も含め、種々の音響信号処理装置に適用できることは言うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の音響信号処理装置によれば、音響信号処理装置の操作性を改善し、特に、操作子を用いたミキシング処理パラメータの設定とGUIの操作とを交互に行う場合において高い操作性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサの概略構成を示すブロック図である。
【図2】そのデジタルミキサのコンソールのうちこの発明に関連する部分の構成を模式的に示す図である。
【図3】そのデジタルミキサにおける操作子の操作に関する処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の続きの処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の続きの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11…CPU、12…メモリ、13…DSP、14…入力部、15…出力部、16…システムバス、20…コンソール、21…ディスプレイ、22…操作子、23…フェーダ、23a…つまみ、24…パン、25…左クリックスイッチ、26…右クリックスイッチ、27…選択スイッチ
【発明の属する技術分野】
この発明は、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置に関し、特に、音響信号処理装置の操作性を高める技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置として、例えばオーディオミキサが知られている。
このようなオーディオミキサのコンソールとしては、例えば特公平7−101827号公報に記載のミキシングコンソールが知られている。このミキシングコンソールにおいては、左右方向に並べて設けたフェーダ操作子を、複数の入力チャンネルの音量レベル調整と1つの入力チャンネルの複数項目の調整に切り換えて用いるようにしているので、操作子数を削減し、装置の構成を簡素化、小型化できる。また、多くの操作子を操作者の近くに配置することができるので、操作がしやすくなる。さらに、フェーダ操作子の機能を切り換えた場合に切り換え直前のフェーダ操作子の機能あるいは操作位置を記憶しておくようにしているので、再度その機能が選択された場合には、フェーダ操作子を記憶している操作位置に戻すことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年オーディオミキサにおいてもデジタル化が進み、その制御や信号処理にコンピュータ(マイクロプロセッサ)を使用することが常識化してきている。そしてこれに伴い、ミキサ自体にコントロールディスプレイを設け、オペレータがそのディスプレイに表示されたGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を見ながら、マウスやトラックボール、ジョイスティック等によって各種設定を行うことが多くなっている。
しかし一方で、ミキシング処理パラメータの設定は、フェーダやパン等の操作子を多数並べて設け、これらの操作子によって行うことが一般的である。そこで、ミキシング処理パラメータの設定中にGUIを操作したい場合には、フェーダを操作している手を例えばマウスに持ち変えねばならないが、煩雑な操作中にこのような動作を行うことは面倒であり、ミキサの操作性を低下させる原因となっていた。特に、多チャンネルのミキシングが可能なコンソールの大きいミキサの場合にこの傾向が顕著であった。
【0004】
このような問題について、上記公報には、処理パラメータの設定操作について操作性を向上させることができることが記載されているが、GUIの操作性を向上させるための構成については何ら記載されていない。
この発明は、このような問題を解決し、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置において、操作性を向上させること、特に、操作子を用いたミキシング処理パラメータの設定とGUIの操作とを交互に行う場合の操作性を向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置において、表示手段と、その表示手段にポインタを表示させる手段と、複数の操作子と、上記操作子を上記信号処理のパラメータを設定するための設定操作子とするか上記表示手段に表示したポインタを2次元的に移動させるための移動操作子とするかを選択する選択手段とを設けたものである。
このような音響信号処理装置において、上記選択手段は、上記操作子を上記移動操作子とする旨の選択をする場合、その操作子の一部を上記ポインタを縦方向に移動させるための縦移動操作子とし、他の一部を上記ポインタを横方向に移動させるための横移動操作子とするようにするとよい。
さらに、上記複数の操作子が音量制御操作子と音像定位制御操作子を含み、上記選択手段が、上記音量制御操作子を上記縦移動操作子とし、上記音像定位制御操作子を上記横移動操作子とするようにするとよい。
【0006】
また、これらの音響信号処理装置において、任意の時点での上記複数の操作子の各々の位置を記憶する記憶手段と、上記選択手段が上記操作子を上記移動操作子とすることを選択した時点のその操作子の各々の位置を上記記憶手段に記憶させ、その後上記選択手段がその操作子を上記設定操作子とすることを選択した時点で上記操作子が上記記憶手段に記憶させた位置から移動している場合に、移動している操作子をその記憶させた位置に戻す復帰手段とを設けるとよい。
さらに、上記操作子の位置情報に基づいて上記ポインタの表示位置を設定するようにしたり、上記操作子の操作量と操作方向に対応する距離だけ上記ポインタの表示位置を移動させるようにしたりするとよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサについて、図1及び図2を用いて説明する。図1はそのデジタルミキサの概略構成を示すブロック図、図2はそのデジタルミキサのコンソールのうちこの発明に関連する部分の構成を模式的に示す図である。
このデジタルミキサは、入力する音響信号に対して各種の信号処理を行って出力する装置であり、図1に示すように、CPU11,メモリ12,DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)13,コンソール20がシステムバス16によって接続されている。
【0008】
CPU11は、このデジタルミキサを統括制御する制御部であり、メモリ12に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、DSP13における波形処理動作の制御、コンソール20からの操作情報の取得やコンソール20における表示及び操作子の動作制御等の制御動作を行う。
メモリ12は、ROM,RAM,ハードディスク等によって構成され、CPU11が実行する制御プログラムや必要なデータ、あるいはユーザが作成した設定データ等を記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
【0009】
DSP13は、コンソール20の操作及びそれに応じたCPU11からの指示によって指定される各種パラメータに従って、入力部14から入力する音響信号である波形データに対してミキシング、イコライジング、エフェクト処理等の各種の信号処理を行って出力部15に出力するユニットである。そして、多チャンネルの波形データを同時に処理可能である。
入力部14からは例えば112チャンネルの波形データを入力可能であり、アナログデータを入力する場合にはA/Dコンバータによってデジタル信号に変換するものとする。なお、ここから入力する波形データは、ハードディスク等の記憶装置から読み出したデータでもよい。また、出力部15からは例えば48チャンネルの波形データを出力可能であり、アナログデータを出力する場合にはD/Aコンバータによってアナログ信号に変換して出力するものとする。
【0010】
コンソール20は、このデジタルミキサに対する操作を受け付けたり、各種メッセージ等を表示したりするためのユニットである。そして、ディスプレイ21と操作子22とに加え、左クリックスイッチ25,右クリックスイッチ26,選択スイッチ27を備えている。
ディスプレイ21は、液晶パネルを備えた表示手段であり、CPU11からの指示に従ってGUIを表示し、各種設定状態や動作状態の表示、設定指示の受け付け、メッセージの表示等を行う。そして、そのGUIを用いて何らかの設定指示を行う場合には、図2に示すようにディスプレイ21に表示されたポインタ30を適当な位置に移動させて設定対象や指示内容を選択することになる。このポインタ30を操作して2次元的に移動させるためのポインティングデバイスとしては、図示しないトラックボールを設けているが、マウス等も接続可能としている。また、このデジタルミキサでは、後述するように操作子22を構成するフェーダ23やパン24もポインティングデバイスとして用いることができる。
【0011】
操作子22は、このデジタルミキサに対する種々の設定指示や操作指示を受け付けるためのものであり、フェーダ23やパン24を初め、種々のスイッチやダイヤル、ボタン等によって構成されている。
フェーダ23は、入力チャンネル毎にその音量を設定するための音量制御操作子であり、図2に示すように縦方向にスライドするスライドスイッチを採用し、これを横方向に複数配列して設けている。また、フェーダ23はモータによる駆動装置を備えたいわゆるムービングフェーダであり、CPU11からの指示に従って自動動作を行い、つまみ23aを任意の位置に移動させることができる。この自動動作は、設定されている設定値とつまみ23aとの位置が対応していない場合にこれを対応させるために行うものであり、後述する場合のほか、メモリ12に記憶している設定データを読み出して処理に反映させる場合等にも行う。
パン24は、入力チャンネル毎にその左右のバランスを設定するパンニング調整を行うための音像定位制御操作子であり、図2に示すようにダイヤル式のスイッチを採用し、絶対位置に関係無く操作量と回転方向のみを検出するロータリーエンコーダを採用している。
【0012】
このように、これらの操作子22は、通常は信号処理のパラメータを設定するための設定操作子であるが、後述するように、ディスプレイ21に表示したポインタ30を2次元的に移動させるための移動操作子としても用いることができる。なお、図2にはフェーダ23とパン24を各3つしか示していないが、実際にはもっと多数のフェーダ23やパン24を設けることが多い。また、操作子22としてはフェーダ23やパン24以外にも種々の設定を行うための操作子を設けているが、その詳細についてはこの発明とは直接関係ないため、図示及び説明を省略する。
【0013】
また、コンソール20に設けた選択スイッチ27は、操作子22を設定操作子とするか移動操作子とするかを選択するためのスイッチである。操作子22は、このスイッチがオン状態である間は移動操作子として機能し、オフ状態である間は設定操作子として機能する。選択スイッチ27は基本的には押下されている状態がオンであり、されていない状態がオフであるが、後述するようにこれらは必ずしも対応しない場合もある。
同じくコンソール20に設けた左クリックスイッチ25と右クリックスイッチ26は、それぞれマウスの左クリック及び右クリックと同様な操作指示を行うことができるようにするためのスイッチである。
【0014】
これらの左クリックスイッチ25,右クリックスイッチ26,選択スイッチ27は、コンソールのユーザ側の端部に設けると、ユーザが遠くまで手を伸ばさなくても切り換え操作を行うことができるため好ましい。また、フェーダ23やパン24はいくつかのグループに分けて設けられることも多いが、その場合には、そのグループ毎に左クリックスイッチ25,右クリックスイッチ26,選択スイッチ27を設けるとよい。このようにすれば、どのフェーダ23やパン24を操作している場合でもすぐ近くに選択スイッチ27があるので、体を大きく動かさなくてもフェーダ23やパン24の機能を切り換えることができ、操作性を向上させることができる。
【0015】
次に、図3乃至図5を用いて、上述したデジタルミキサにおける操作子の操作に関する処理について説明する。図3乃至図5はその処理を示す一連のフローチャートである。
このデジタルミキサにおいて、CPU11は、所定のタイミング毎に図3乃至図5のフローチャートに示す処理を実行することにより、コンソール20からの操作指示を受け付けると共に、その内容を動作に反映させている。なお、この発明に関連する処理の内容を明確にするため、図3乃至図5においてはフェーダ23,パン24,選択スイッチ27に関連する処理のみを示しており、それ以外の部分については説明を省略する。
【0016】
図3のフローチャートに示す処理では、まずステップS1で各操作子、すなわちフェーダ23,パン24,選択スイッチ27等における操作イベントを検出する。複数の操作子が同時に操作されることも考えられるが、それらは全て並列して検出するものとする。そして、ステップS2でレジスタj,kに1を設定する。
次のステップS3では、j番目(最初は1番目)のフェーダに手動操作があったか否か判断する。この判断は、例えばフェーダに備えたタッチセンサを用いて行うことができる。そして、手動操作があればステップS4に進み、そのフェーダのモータが駆動中であれば、すなわちCPU11の指示によってつまみ23aの位置を移動させる自動動作を行っていれば、それを停止する。このようにすることにより、手動操作をモータの駆動によって妨害してしまうことがなくなり、またモータの破損も防止できる。駆動中でなければステップS4では特に何も行わない。
【0017】
次に、ステップS5に進み、選択スイッチ27がオフ状態か否か判断する。そしてオフ状態であれば、フェーダ23は設定操作子として機能させるので、ステップS6に進み、j番目のフェーダの位置情報に基づいてDSP13のパラメータを設定する。すなわち、j番目のフェーダのつまみの移動可能範囲中における相対位置を検知し、そのフェーダに対応するDSP13のパラメータを、その相対位置に対応する値に設定する。そして、ステップS7でその位置情報を、メモリ12に設けたj番目のフェーダに対応する位置レジスタに記憶させる。
その後、ステップS9に進んでjが最終値か否か、つまり、全てのフェーダについて処理が終了したか否か判断し、終了していれば図4のステップS11に進むが、終了していなければステップS10に進んでjを1増加させて更新し、ステップS3に戻って処理を繰り返す。
【0018】
また、ステップS5で選択スイッチ27がオン状態であれば、フェーダ23は移動操作子として機能させるので、ステップS8に進み、j番目のフェーダの位置情報に基づいてポインタ30の縦方向の表示位置を変更する。すなわち、j番目のフェーダのつまみの移動可能範囲中における相対位置を検知し、ディスプレイ21中におけるポインタ30の縦方向の表示位置を、図2に矢印aで示すように、その相対位置に対応する位置に変更する。また、どのフェーダを操作した場合でも同じようにその相対位置に対応する位置にポインタ30の表示位置を変更する。このとき、横方向の位置は変化させず、フェーダ23はポインタ30を縦方向に移動させるための縦移動操作子とする。
【0019】
この場合において、同じフェーダを連続的に動かした場合にはポインタ30は連続的に移動する。しかし、ポインタ30の表示位置は、必ずしも連続的に変化するとは限らない。例えば、ポインタ30がディスプレイ21の上方に表示されている時につまみが下側に位置しているフェーダが操作された場合にも、やはりポインタ30はつまみの相対位置に対応する位置に変更する。従ってこの場合、ポインタ30は一度不連続的に下側に移動し、その後フェーダの操作に従って上下に移動することになる。
【0020】
このようにしたことにより、ディスプレイ21中におけるポインタ30の初期位置と各フェーダのつまみの初期位置とが対応していない場合でも、不都合なくポインタ30を移動させることができる。また、つまみの初期位置がフェーダ毎に上下に幅広く分散している場合には、ポインタ30の目標とする相対位置から近い位置にあるフェーダを選んで操作すれば、ポインタ30を目標位置まで移動させるための操作量が小さくてすむので、高い操作性を得ることができる。
ステップS8の処理が終了するとステップS9に進んで以後の処理を行う。従って、移動操作子として機能させている間は、フェーダ23の位置情報は位置レジスタには記憶させない。
【0021】
次に、図4のステップS11以降の処理について説明すると、ステップS11では、選択スイッチ27が押下されるイベントがあったか否か判断する。
あれば、ステップS12に進んで自動動作中のフェーダ23があるか否か判断する。これがなければステップS13に進んで選択スイッチ27をオン状態に設定し、以後はフェーダ23及びパン24を移動操作子として機能させるようにする。その後、図5のステップS17に進む。ステップS12で自動動作中のものがあれば、ステップS14に進んで全てのフェーダについて自動動作が終了した時点で選択スイッチ27をオン状態にしてフェーダ23及びパン24を移動操作子として機能させるようにする動作を予約してステップS17に進む。すなわち、選択スイッチ27がオンにされても、処理上は直ちにオン状態とせず、自動動作が終了するまではフェーダ23は設定操作子として機能させるようにする。
【0022】
このようにするのは、自動動作が終了した時点での各フェーダ23の位置情報を位置レジスタに記憶し、選択スイッチ27をオフ状態に戻した時に各フェーダ23をその位置に戻すことができるようにするためである。
これらのステップS13及びS14の処理においては、CPU11が選択手段として機能する。なお、上述したように、フェーダ23及びパン24を移動操作子として機能させている間はフェーダ23についての位置レジスタの内容は更新しないので、以後再度設定操作子として機能させるまで、メモリ12には移動操作子とすることを選択した時点での各フェーダ23の位置が記憶されていることになる。そして、ステップS13あるいはS14の処理が終了すると、図5のステップS17に進んで以後の処理を行う。
【0023】
一方、ステップS11で押下イベントがなければ、ステップS15に進んで選択スイッチ27が押下解除されるイベントがあったか否か判断する。あれば、ステップS16に進んで位置レジスタに記憶している位置と現在の位置とが異なる全てのフェーダについて、位置レジスタに記憶している位置までの自動動作を指示すると共に選択スイッチ27をオフ状態にし、フェーダ23及びパン24を設定操作子として機能させるようにする。このようにすることにより、フェーダ23を再度設定操作子として用いる場合に、その時点での設定内容と対応した位置、すなわち移動操作子とした時点での位置につまみ23aを戻すことができる。
【0024】
なお、自動動作の指示は、対象のフェーダと目標位置を定めて行うものとし、目標位置に達するまでは、そのフェーダについては、図3のステップS6やS7で説明したようなDSP13のパラメータの設定や位置情報の記憶は行わないものとする。また、パン24については、前述したように相対的な操作量を検知するのみであって絶対的な位置は存在しないので、特に元の位置に戻す必要はない。
このステップS16の処理ではCPU11が選択手段及び復帰手段として機能し、ステップS16の処理が終了すると、図5のステップS17に進んで以降の処理を行う。ステップS15で押下解除イベントがなければ、そのまま図5のステップS17に進む。
【0025】
図5のステップS17では、k番目(最初は1番目)のパン24に操作があったか否か判断する。操作があれば、ステップS18に進み、選択スイッチ27がオフ状態か否か判断する。そしてオフ状態であれば、パン24は設定操作子として機能させるので、ステップS19に進み、k番目のパン24の操作量に基づいてDSP13のパラメータを設定する。すなわち、検知したパン24の操作量と回転方向(操作方向)に基づいて、パン24に対応するDSP13のパラメータを、その操作量と回転方向に対応する値だけ変更した値に設定する。なお、パン24はロータリーエンコーダであって現在の位置という概念は存在しないので、フェーダ23のような位置レジスタは設けていない。
【0026】
ステップS19の処理の後は、ステップS21に進んでkが最終値か否か、つまり、全てのパンについて処理が終了したか否か判断し、終了していればこのフローチャートの処理を終了するが、終了していなければステップS22に進んでkを1増加させて更新し、ステップS17に戻って処理を繰り返す。
【0027】
また、ステップS18で選択スイッチ27がオン状態であれば、パン24は移動操作子として機能させるので、ステップS20に進み、k番目のパンの操作量に基づいてポインタ30の横方向の表示位置を変更する。すなわち、検知したパン24の操作量と回転方向(操作方向)に基づいて、ディスプレイ21中におけるポインタ30の横方向の表示位置を、図2に矢印bで示すように、その操作量と回転方向に対応する距離だけ移動させる。また、どのパン24を操作した場合でも同じようにポインタ30の表示位置を移動させる。このとき、縦方向の位置は変化させず、パン24はポインタ30を横方向に移動させるための横移動操作子とする。この場合において、どのパン24を操作したかに関わらず、ポインタ30は連続的に移動することになる。
ステップS20の処理が終了するとステップS21に進んで以後の処理を行う。
なお、以上の処理において、図3のステップS3乃至S10のフェーダ23に関する処理と、図4に示した選択スイッチ27に関する処理と、図5に示したパン24に関する処理は、必ずしもこの順番で行う必要はなく、任意の順番で行ってよい。
【0028】
以上のような処理を行うことにより、操作子22のうちフェーダ23とパン24を、設定操作子と移動操作子として適宜切り換えて使用することができるので、操作子22を使用したDSP13のパラメータ等の設定中にGUIに対して操作を行う必要が生じた場合でも、マウスやトラックボールまで手を伸ばさずに操作を行うことができ、特にミキシング処理パラメータの設定とGUIの操作を交互に行う場合においてデジタルミキサの操作性を向上させることができる。
【0029】
この場合において、縦方向にスライドさせる操作子であるフェーダ23でポインタ30を縦方向に移動させ、横方向に回転する操作子であるパン24でポインタ30を横方向に移動させるようにすると、操作子の操作方向とポインタ30の移動方向が一致してユーザが必要な操作やその結果をイメージしやすくなり、高い操作性を得ることができる。しかし、隣接する2つのフェーダを縦移動操作子と横移動操作子として機能させたり、逆に隣接する2つのパンを縦移動操作子と横移動操作子として機能させたりするようにすることも可能である。さらに、フェーダやパン以外の操作子を移動操作子として機能させるようにしてもよい。
【0030】
また、ポインタ30の縦方向の表示位置について、フェーダ23のつまみ23aの相対位置に対応する位置とする例について説明したが、パン24の場合と同様に、フェーダ23の操作量と操作方向を検知し、ポインタ30の縦方向の表示位置を、その操作量と操作方向に対応する値だけ移動させるようにしてもよい。
また、上述した例においては、クリック操作を行うために左クリックスイッチ25と右クリックスイッチ26とを設ける例について説明したが、操作子22を移動操作子として機能させる場合に、操作子22中のいずれかの操作子をクリック操作を行うための操作子として機能させるようにしてもよい。
さらに、この発明は、上述したようなデジタルミキサに限らず、レコーダや編集装置も含め、種々の音響信号処理装置に適用できることは言うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の音響信号処理装置によれば、音響信号処理装置の操作性を改善し、特に、操作子を用いたミキシング処理パラメータの設定とGUIの操作とを交互に行う場合において高い操作性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の音響信号処理装置の実施形態であるデジタルミキサの概略構成を示すブロック図である。
【図2】そのデジタルミキサのコンソールのうちこの発明に関連する部分の構成を模式的に示す図である。
【図3】そのデジタルミキサにおける操作子の操作に関する処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の続きの処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の続きの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11…CPU、12…メモリ、13…DSP、14…入力部、15…出力部、16…システムバス、20…コンソール、21…ディスプレイ、22…操作子、23…フェーダ、23a…つまみ、24…パン、25…左クリックスイッチ、26…右クリックスイッチ、27…選択スイッチ
Claims (4)
- 音響信号に対して信号処理を施して出力する音響信号処理装置であって、
表示手段と、
該表示手段にポインタを表示させる手段と、
複数の操作子と、
前記操作子を前記信号処理のパラメータを設定するための設定操作子とするか前記表示手段に表示したポインタを2次元的に移動させるための移動操作子とするかを選択する選択手段とを設けたことを特徴とする音響信号処理装置。 - 請求項1記載の音響信号処理装置であって、
前記選択手段は、前記操作子を前記移動操作子とする旨の選択をする場合、該操作子の一部を前記ポインタを縦方向に移動させるための縦移動操作子とし、他の一部を前記ポインタを横方向に移動させるための横移動操作子とすることを特徴とする音響信号処理装置。 - 請求項2記載の音響信号処理装置であって、
前記複数の操作子は音量制御操作子と音像定位制御操作子を含み、
前記選択手段は、前記音量制御操作子を前記縦移動操作子とし、前記音像定位制御操作子を前記横移動操作子とすることを特徴とする音響信号処理装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一項記載の音響信号処理装置であって、
任意の時点での前記複数の操作子の各々の位置を記憶する記憶手段と、
前記選択手段が前記操作子を前記移動操作子とすることを選択した時点の該操作子の各々の位置を前記記憶手段に記憶させ、その後前記選択手段が該操作子を前記設定操作子とすることを選択した時点で前記操作子が前記記憶手段に記憶させた位置から移動している場合に、移動している操作子を該記憶させた位置に戻す復帰手段とを設けたことを特徴とする音響信号処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002273983A JP2004112525A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 音響信号処理装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004112525A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7684573B2 (en) | 2004-05-07 | 2010-03-23 | Yamaha Corporation | Signal level adjustment apparatus and control method for the adjustment apparatus |
JP2013062653A (ja) * | 2011-09-13 | 2013-04-04 | Sony Corp | 情報処理装置およびコンピュータプログラム |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002273983A patent/JP2004112525A/ja active Pending
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A521 | Written amendment |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20060801 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |