JP2004111565A - 多層プリント基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる導体パターンフィルム21を含む樹脂フィルム23、21を複数枚積層し、加熱しつつ加圧することで、それら樹脂フィルム23、21を相互に接着して多層化成形されるものであって、複数枚積層された樹脂フィルム23、21が形成する基板領域には、積層方向に隣り合う樹脂フィルム23、21が密着して接合している層間接合部BJと、積層方向に隣り合う樹脂フィルム23、21がほとんど弱く接合している、あるいは全く接合していない層間非接合部BEを備え、層間非接合部BEは、外部から物理的応力が加わる部分に設けられている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板を製品に搭載する場合、プリント基板上に素子を実装した後、そのプリント基板を製品筐体などに、ねじ止め等の手段を用いて取付けていた。この場合、プリント基板を製品に取付ける際、または製品として完成した後に製品の取り扱い上の問題で外力が加わることで、プリント基板のそり等の変形が生じる場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のプリント基板では、上記変形により、プリント基板に実装された素子に応力が加わってしまうおそれがある。場合によっては、素子に加わる応力が大きいと、素子破壊、半田付け等の接合部分の剥離などが生じて、故障の原因となる可能性がある。
【0004】
これを避けるため、例えば、変形し易い部分には素子を実装しないなどという方法で対策を施していたが、実装効率が低下してしまうことになり、結果として、小型化を制約する要因や、コストアップの要因となっていた。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、高密度実装が図れるとともに、外部等から物理的な応力が加わっても信頼性確保が図れる構造を備えた多層プリント基板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも片面上に導体パターンが形成された導体パターンフィルム、およびその導体パターンフィルムを含む樹脂フィルムを複数枚積層し、加熱しつつ加圧することで、それら樹脂フィルムを相互に接着して多層化成形される多層プリント基板において、複数枚積層された樹脂フィルムが形成する基板領域には、積層方向に隣り合う樹脂フィルムが密着して接合している層間接合部と、積層方向に隣り合う樹脂フィルムがほとんど弱く接合している、あるいは全く接合していない層間非接合部を備え、層間非接合部は、外部から物理的応力が加わる部分に設けられている。
【0007】
積層された樹脂フィルムを相互に接着して多層化成形する多層プリント基板において、積層された樹脂フィルムの層間が密着して接合する層間接合部と、ほとんど弱く接合あるいは全く接合せず、密着した接合が得られない層間非接合部を形成することが可能である。それによって、層間非接合部は、層間接合部に比べて剛性が低下する反面、積層された樹脂フィルムが密着して接合していないため、外力が加わったとき、各樹脂フィルムはそれぞれ独立して外力による変形が生じることで、外力の影響を吸収することが可能である。つまり、層間非接合部のある基板領域部分のみで、外力の影響を吸収可能である。
【0008】
したがって、各樹脂フィルムが相互に影響し合う従来の全てが層間接合部からなる多層プリント基板に比べて、多層プリント基板の全面積が同一の場合において、素子を実装可能な層間接合部の面積すなわち素子実装面積の拡大が可能である。
【0009】
なお、積層された樹脂フィルムがほとんど弱い接合状態の場合においては、樹脂フィルム間の密着力が比較的弱いため、外力が加わったとき、樹脂フィルム間に剥離が生じて、非接合状態となることが可能である。
【0010】
本発明の請求項2によると、層間非接合部は、多層化成形時に、積層方向に隣り合う樹脂フィルム間に、離型材を介在させている。
【0011】
これにより、加圧しつつ加熱することで多層化成形する際に、例えばその加熱温度より高い融点を有する樹脂もしくは金属材料等からなる離型材を介在させることで、積層方向に隣り合う樹脂フィルムの接合を阻止することが可能である。したがって、離型材が配置された基板領域の部分のみに、層間非接合部を形成できるため、多層プリント基板の全基板領域のうち、限定された領域に、層間非接合部を形成することが容易となる。
【0012】
本発明の請求項3によると、層間非接合部には、層間接合部に積層される導体パターンのうちの少なくとも一つの導体パターンが延在しており、当該少なくとも一つの導体パターンに電気的に接続すべき素子が実装可能である。
【0013】
層間非接合部は、積層された樹脂フィルムが相互に密着して接合しているわけではないので、外力が加わったとしても、層間非接合部の全ての樹脂フィルムに、実装された素子に損傷を生じさせるような応力が発生するわけではない。その結果として、従来の全て層間接合部からなる多層プリント基板に比べて、層間非接合部には、電気回路を形成するための半導体素子等の電気素子を実装することが可能である。よって、高密度実装化がさらに図れる波及効果が得られる。
【0014】
本発明の請求項4によると、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多層プリント基板は、多層化成形時に、その多層プリント基板の両面から加圧しつつ加熱することで、アンカー効果によって、樹脂フィルムの相互に接する表面同士の接合がなされたものであって、加圧しつつ加熱されるその両面のうち、層間非接合部の両面部分には、アンカー効果が得られる加圧力より比較的低い圧力が加えられている。
【0015】
熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムを加圧しつつ加熱することで多層化成形されるものであって、樹脂フィルムの表面同士を、例えば軟化する程度に加熱して、表面の凹凸状態に応じて、アンカー効果によるいわゆるアンカー接合を行なう多層プリント基板の場合において、アンカー効果が得られる加圧よりは低い加圧で成形してもよい。結果として、層間非接合部を得ることが可能である。
【0016】
本発明の請求項5によると、外部から物理的応力が加わる部分は、多層プリント基板が他の部材と取付けられる部位である。
【0017】
これにより、層間非接合部を配置する部位として、多層プリント基板多層プリント基板が他の部材と取付けられる部位、例えばねじ止めによって固定するための他の部材である金属ケースとねじとの間に挟まれた部位に設けることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多層プリント基板を、具体化した実施の形態を図に従って説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係わる多層プリント基板の製造方法を概略の製造工程で示す工程別断面図であって、図2(a)から図2(g)は製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。図3は、実施形態の多層プリント基板に係わる製造工程において、加熱・加圧工程後の多層プリント基板の状態を示す平面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の多層プリント基板1は、熱可塑性樹脂からなるフィルム23の少なくとも片面上に導体パターン22が形成された導体パターンフィルム21(図2参照)、およびその導体パターンフィルム21を含む樹脂フィルム23を複数枚積層し、加熱しつつ加圧することで、それら樹脂フィルム23を相互に接着して多層化成形されている。なお、多層プリント基板1を積層方向に複数の基板部分に分割されたものを予め加熱しつつ加圧して成形した後、基板部分を束ねて、熱プレス板等によって一括して加熱および加圧することで、多層化された多層プリント基板1を形成することが可能である。また、後述の多層プリント基板1の製造方法で説明するように、複数枚積層された樹脂フィルム23を、分割して成形することなく、熱プレス板等によって一括して加熱および加圧することで、多層化された多層プリント基板1を形成することも可能である。なお、多層プリント基板1の製造方法については後述する。
【0021】
なお、本実施形態では、熱プレス板等によって加熱および加圧することで、多層プリント基板が一括して多層化成形されるものとして、以下説明する。なお、この多層プリント基板1は、片面導体パターンフィルム21を含む樹脂フィルム23、21が複数枚(本実施形態の図2では7枚積層)積層されている。さらになお、多層プリント基板1において、積層される導体パターン22間は、電気回路を構成するため、必要に応じて、樹脂フィルム23に設けられたビアホール24中の一体化した導電性組成物51によって相互を電気的に接続されていてもよい。
【0022】
さらに、図1および図2に示すように、多層プリント基板1すなわち上記樹脂フィルム23、21が形成する基板領域には、積層方向に隣り合う樹脂フィルム23が密着して接合している層間接合部BJと、積層方向に隣り合う樹脂フィルム23がほとんど弱く接合している、あるいは全く接合していない層間非接合部BEを備えている。それによって、多層プリント基板1は、積層方向に隣り合う樹脂フィルム23が密着して接合している層間接合部BJと、ほとんど弱く接合あるいは全く接合せず、密着した接合が得られない層間非接合部BEを構成することが可能である。その結果として、層間非接合部BEは、層間接合部BJに比べて剛性が低下する反面、積層された樹脂フィルム23、21が密着していないため、外力が加わったとき、各樹脂フィルム23、21はそれぞれ独立して外力による変形が生じるので、外力の影響を吸収することが可能である。つまり、層間非接合部BEのある基板領域部分(図1の網掛け部分)のみで、外力の影響を吸収可能である。
【0023】
したがって、各樹脂フィルム23、21が相互に影響し合う従来の全てが層間接合部BJからなる多層プリント基板に比べて、多層プリント基板の全面積が同一である場合において、素子を実装可能な層間接合部の面積すなわち素子実装面積の拡大が可能である。
【0024】
なお、積層された樹脂フィルムがほとんど弱い接合状態の場合においては、樹脂フィルム23、21間の密着力が比較的弱いため、外力が加わると、樹脂フィルム23、21間に剥離が生じて、非接合状態となることが可能である。
【0025】
さらに、本実施形態では、層間非接合部は、外部から物理的応力が加わる部分に設けられている。これにより、外部の物理的応力の影響を層間非接合部で効果的に吸収することができ、その物理的応力による層間接合部BJへの影響を緩和することが可能である。詳しくは、図1に示すように、多層プリント基板1において、層間接合部BJには、電気回路を構成する半導体素子等の実装素子70が実装されている。また、層間接合部BJは、多層プリント基板1の四隅に配置されている。その層間接合部BJには、図1に示すように、多層プリント基板1を収容する筐体である金属ケース(図示せず)に多層プリント基板を固定するために、多層プリント基板1と金属ケースを結合する結合手段、例えばねじ止めによるねじ80のための取付け穴29が設けられている。ねじ80と金属ケースとの間に挟まれた層間非接合部BEには、ねじ止めによる外力が加わる。このとき、層間非接合部BEの樹脂フィルム23、21は、相互に影響し合わず、独立して外力に応じて変形することで、外力の影響を吸収することができる。その結果、層間接合部BJに実装されている実装されている実装素子70へその外力による応力が加わらないようにすることが可能である。
【0026】
次に、本発明の多層プリント基板1の製造方法、特に複数枚積層された樹脂フィルム23、21間が接合していない状態となる層間非接合部BEの製造方法について、以下図2に従って説明する。なお、図2では、製品としての多層プリント基板1に対して、その製品を製造する製造工程中のワークを区別して、製造中は多様な形態を有する多層基板100として説明する。
【0027】
図2(a)において、21は樹脂フィルム23の片面に貼着された導体箔(本例では厚さ18μmの銅箔)をエッチングによりパターン形成した導体パターン22を有する片面導体パターンフィルムである。本実施例では、樹脂フィルム23としてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる厚さ25〜75μmの熱可塑性樹脂フィルムを用いている。
【0028】
図2(a)に示すように、導体パターン22の形成が完了すると、次に、図2(b)に示すように、片面導体パターンフィルム21の導体パターン22が形成された面と対向する面に保護フィルム81を、ラミネータ等を用いて貼着する。この保護フィルム81は、樹脂層と、この樹脂層の貼着面側にコーティングされた粘着剤層とからなる。粘着剤層を形成する粘着剤は、アクリレート樹脂を主成分とする所謂紫外線硬化型の粘着剤であり、紫外線が照射されると架橋反応が進行し、粘着力が低下する特性を有するものである。
【0029】
図2(b)に示すように、保護フィルム81の貼着が完了すると、次に、図2(c)に示すように、保護フィルム81側から炭酸ガスレーザを照射して、樹脂フィルム23に導体パターン22を底面とする有底ビアホールであるビアホール24を形成する。導体パターン22のビアホール24の底面となる部位は、導体パターン22の層間接続時に電極となる部位である。なお、ビアホールの形成は、炭酸ガスレーザの出力と照射時間等を調整することで、導体パターン22に穴を開けないようにしている。このとき、図5(b)に示すように、保護フィルム81にも、ビアホール24と略同径の開口81aが形成される。
【0030】
ビアホール24の形成には、炭酸ガスレーザ以外にエキシマレーザ等が使用可能である。レーザ以外のドリル加工等のビアホール形成方法も可能であるが、レーザビームで穴あけ加工すると、微細な径で穴開けができ、導体パターン22にダメージを与えることが少ないため好ましい。
【0031】
図2(c)に示すように、ビアホール24の形成が完了すると、次に、図2(d)に示すように、ビアホール24内に層間接続材料である導電ペースト50を充填する。導電ペースト50は、平均粒径5μm、比表面積0.5m2/gの錫粒子300gと、平均粒径1μm、比表面積1.2m2/gの銀粒子300gとに、有機溶剤であるテルピネオール60gを加え、これをミキサーによって混練し、ペースト化したものである。
【0032】
導電ペースト50は、スクリーン印刷機により、保護フィルム81の開口81a側から片面導体パターンフィルム21のビアホール24内に印刷充填される。ビアホール24内への導電ペースト50の充填は、本実施形態ではスクリーン印刷機を用いたが、確実に充填ができるのであれば、ディスペンサ等を用いる他の方法も可能である。
【0033】
ビアホール24内への導電ペースト50の充填が完了すると、図2(e)に示すように、保護フィルム81を剥がず。本実施例では、紫外線ランプ(図示せず)によって保護フィルム81側から紫外線を照射する。これにより、保護フィルム81の粘着剤層が硬化され、粘着剤層の粘着力が低下する。保護フィルム81への紫外線照射が完了すると、片面導体パターンフィルム21から保護フィルム81を剥離除去する。
【0034】
次に、図2(f)に示すように、片面導体パターンフィルム21を複数枚(本実施形態では7枚)積層する。このとき、例えば下方側の2枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を下側として、上方側の5枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を上側として積層する。
【0035】
すなわち、下側の1枚目の層と上側の5枚目の層からなる2枚の片面導体パターンフィルム21は、導体パターン22が形成されていない面同士を向かい合わせて積層する。また、残りの5枚の片面導体パターンフィルム21は、導体パターン22が形成された面と導体パターン22が形成されていない面とが向かい合うように積層する。
【0036】
また、複数枚の片面導体パターンフィルム21が積層される際、層間非接合部BEの形成予定領域に沿って、樹脂フィルム23、21間には、その形成予定領域の大きさに対応した離型シートが配置される(図2(f)および図3参照)。
【0037】
この離型シート45は、樹脂フィルム23を構成する熱可塑性樹脂が加熱・加圧された場合であっても、軟化した熱可塑性樹脂との接着性に乏しい性質を持つ材料から構成される。例えば、離型シート45は、ポリイミド、テフロン(登録商標)等の樹脂フィルムや、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔から構成することができる。
【0038】
図2(f)に示すように片面導体パターンフィルム21,21a,21bを積層したら、この積層体の上下両面から真空加熱プレス機の加熱プレス板により加熱しながら加圧する。本実施例では、250〜350℃の温度に加熱しつつ、1〜10MPaの圧力で10〜20分間加圧した。これにより、図2(g)に示すように、各片面導体パターンフィルム21,21a,21bが相互に接着される。すなわち、各片面導体パターンフィルム21,21a,21bの樹脂フィルム23が熱融着して一体化される。さらに、加熱及び加圧により、ビアホール24内の導電ペースト50が焼結して一体化した導電性組成物51となり、隣接する導体パターン22間を層間接続した多層基板100が得られる。
【0039】
ここで、導体パターン22の層間接続のメカニズムを簡単に説明する。ビアホール24内に充填された導電ペースト50は、錫粒子と銀粒子とが混合された状態にある。そして、このペースト50が250〜350℃に加熱されると、錫粒子の融点は232℃であり、銀粒子の融点は961℃であるため、錫粒子は融解し、銀粒子の外周を覆うように付着する。さらに加熱が継続すると、融解した錫は、銀粒子の表面から拡散を始め、錫と銀との合金(融点480℃)を形成する。このとき、導電ペースト50には1〜10MPaの圧力が加えられているため、錫と銀との合金形成に伴い、ビアホール24内には、焼結により一体化した合金からなる導電性組成物51が形成される。
【0040】
ビアホール24内で導電性組成物51が形成されているとき、この導電性組成物51は加圧されているため、導体パターン22のビアホール24の底部を構成している導体パターン22に圧接される。これにより、導電性組成物51中の錫成分と、導体パターン22を構成する銅箔の銅成分とが相互に固相拡散し、導電性組成物51と導体パターン22との界面に固相拡散層を形成して電気的に接続する。
【0041】
このようにして多層基板100が形成されると、次に多層基板100から製品として使用する製品領域を切り出す切り出し工程が行なわれる。この切り出し加工について図3を用いて説明する。
【0042】
図3は、複数枚の片面導体パターンフィルム21,21a,21bを、加熱しつつ加圧することで多層化形成した多層基板100の平面図である。図3において、一点鎖線60で囲まれる領域が製品領域であり、多層基板100の複数箇所(図3では2箇所)に製品領域60が設けられる。この製品領域60の切り出しは、例えばドリルルーターを多層基板100の表面から積層方向に挿入し、製品領域60の外縁に沿ってドリルルーターを移動することにより行なわれる。あるいは、打ち抜き加工等によって、製品領域60を多層基板100から切り出すこともできる。このとき、切り出す前に、離型シート45を、図3の上下方向に多層基板100から抜き出す。
【0043】
なお、層間非接合部BEの形成予定領域である離型シート45が樹脂フィルム間に挟み込まれた部分は、離型シート45を残したままでも、樹脂フィルム23、21間を非接合にすることが可能である。つまり、層間非接合部BEには、製品としての多層プリント基板1の状態でも、離型シート45があってもよい。
【0044】
なお、製造工程中において、多層基板100から離型シート45を抜き出す場合には、離型シート45を抜き出さない場合に比べて、離型シート45の厚さ分だけ樹脂フィルム23、21間に隙間を生じる。このため、層間非接合部BEの樹脂フィルム23、21は、それぞれ独立して変形可能な変形量が隙間分だけ拡大可能である。結果として、外力が層間非接合部BEに加わったとき、外力による層間接合部BJへの影響を防止することが可能である。なお、本実施形態では、製造工程中に多層基板100に挟み込まれる離型シート45は、製品としての多層プリント基板1の状態では、抜き取れてないものとして、以下説明する。
【0045】
以上説明した製造方法によれば、多層基板100を、加圧しつつ加熱することで多層化成形する際に、離型シート45を介在させることで、積層方向に隣り合う樹脂フィルム23、21の接合を阻止することが可能である。したがって、離型シート45が配置された領域部分に、層間非接合部BEを形成できるため、多層プリント基板1の全基板領域のうち、限定された領域に、層間非接合部を形成することが容易となる(図1参照)。
【0046】
また、上記本実施例において、銅箔をエッチング処理することにより導体パターンを形成するものであったが、絶縁基材への導電ペーストパターン印刷等により導体パターンを形成するものであってもよい。また、導電ペーストをパターン印刷することにより導体パターンを形成する場合には、ビアホール内への導電ペースト充填を同時に行なうものであってもよい。
【0047】
また、上記本実施例において、絶縁基材である樹脂フィルムとしてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる樹脂フィルムを用いたが、これに限らず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂に非導電性フィラを充填したフィルムであってもよいし、他の材質の熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。加熱プレスにより接着が可能であり、後工程である半田付け工程等で必要な耐熱性を有する熱可塑性樹脂フィルムであれば好適に用いることができる。
【0048】
また、上記本実施例において、層間接続材料として、銀合金の金属粒子を含有する導電ペーストを用いたが、他の金属粒子を含有する導電ペーストであってもよいし、半田ボール等の金属ボールを用いてもよい。
【0049】
さらに、上記本実施例では、片面導体パターンフィルム21から多層基板を形成する実施例について説明したが、両面導体パターンフィルムを用いて多層基板を構成しても良い。例えば、複数の両面導体パターンフィルムを用意し、それらを、層間接続材料がビアホールに充填されたフィルムを介して積層しても良いし、1枚の両面導体パターンフィルムの両面にそれぞれ片面導体パターンフィルムを積層しても良い。
【0050】
また、上記本実施形態において、複数枚積層された樹脂フィルム23、21を加熱しつつ加圧することで多層化成形したが、熱プレス板によって多層基板100の両面から加圧しつつ加熱する際、樹脂フィルム23、21の表面同士が、軟化する程度に加熱され、所定の加圧力によって表面の凹凸状態に応じて密着して接合するものであればいずれの製造方法であってもよい。表面の凹凸状態に応じて密着して接合するいわゆるアンカー効果によって接合するもの(以下、アンカー接合と呼ぶ)であれば、多層プリント基板1の絶縁基材を構成する樹脂フィルム23、21の形状が不安定になくことなく、導体パターン22と樹脂フィルム23の位置関係が所望の位置関係に安定した状態で形成することができる。
【0051】
なお、上記の両面をアンカー接合する多層プリント基板1において、層間非接合部BEの両面部分については、アンカー効果が得られる加圧力より比較的低い圧力で加圧される製造方法であってよい。その結果、層間非接合部BEの樹脂フィルム部分は、樹脂フィルム23、21の表面同士の密着状態が不十分となり、結果として、ほとんど弱く接合している状態となっているので、僅かな外力が加わる等することで非接合状態となる。
【0052】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0053】
第2の実施形態では、層間非接合部BEの配置位置として、第1の実施形態の多層プリント基板1の四隅に代えて、図4に示すように、多層プリント基板1の中間部に配置してもよい。図4は、実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。
【0054】
図4に示すように、層間非接合部BE(図4の網掛け部分)は、多層プリント基板1の中間部に配置され、二つの層間接合部BJの間に挟まれて配置されている。これにより、図4に示す層間非接合部BEが延在する方向つまり層間非接合部BE上の仮想の曲げ線に沿って、図4に示す矢印方向に多層プリント基板1を屈曲させることが可能である。このとき、屈曲させるため、多層プリント基板1に外力を加えても、外力によって応力集中が加わり易い曲げ線の近傍は、層間非接合部BEの樹脂フィルム23、21がほとんど弱い接合状態もしくは全く接合していない状態にあるので、外力の影響を緩和することが可能である。
【0055】
なお、本実施形態では、二つの層間接合部BJのうち、一方の層間接合部BJ2に実装する実装素子として、表示器90を配置する構成とする。これにより、多層プリント基板1を搭載し、多層プリント基板1を収容する筐体ごとを折りたたむ電子機器の製品、例えば携帯電話に好適的である。
【0056】
以上説明した実施形態において、層間非接合部BEは、積層された樹脂フィルム23、21が相互に密着しているわけではないので、外力が加わったとしても、全て層間接合部BJからなる従来の多層プリント基板のように実装された実装素子に損傷を生じさせるような応力が、層間非接合部BEの全ての樹脂フィルム部分に発生するわけではない。その結果、従来の全て層間接合部BJからなる多層プリント基板に比べて、電気回路を形成するための実装面積の拡大、つまり高密度実装化がさらに図れる波及効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係わる多層プリント基板の製造方法を概略の製造工程で示す工程別断面図であって、図2(a)から図2(g)は製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態の多層プリント基板に係わる製造工程において、加熱・加圧工程後の多層プリント基板の状態を示す平面図である。
【図4】第2の実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 多層プリント基板
BJ 層間接合部
BE 層間非接合部
21、21a、21b 片面導体パターンフィルム
22 導体パターン
23 フィルム(樹脂フィルム)
24 ビアホール
45 離型シート(離型材)
51 導電性組成物(層間組成物)
60 製品領域
70 素子
100 (製造工程中の)多層基板
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも片面上に導体パターンが形成された導体パターンフィルム、および前記導体パターンフィルムを含む樹脂フィルムを複数枚積層し、加熱しつつ加圧することで、前記樹脂フィルムを相互に接着して多層化成形される多層プリント基板において、
前記複数枚積層された樹脂フィルムが形成する基板領域には、積層方向に隣り合う前記樹脂フィルムが密着して接合している層間接合部と、積層方向に隣り合う前記樹脂フィルムがほとんど弱く接合している、あるいは全く接合していない層間非接合部を備え、
前記層間非接合部は、外部から物理的応力が加わる部分に設けられていることを特徴とする多層プリント基板。 - 前記層間非接合部は、多層化成形時に、積層方向に隣り合う前記樹脂フィルム間に、離型材を介在させていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント基板。
- 前記層間非接合部には、前記層間接合部に積層される前記導体パターンのうちの少なくとも一つの導体パターンが延在しており、当該少なくとも一つの導体パターンに電気的に接続すべき素子が実装可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層プリント基板。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多層プリント基板は、多層化成形時に、前記多層プリント基板の両面から加圧しつつ加熱することで、アンカー効果によって、前記樹脂フィルムの相互に接する表面同士の接合がなされたものであって、
前記加圧しつつ加熱される前記両面のうち、前記層間非接合部の両面部分には、アンカー効果が得られる加圧力より比較的低い圧力が加えられていることを特徴とする多層プリント基板。 - 前記外部から物理的応力が加わる部分は、前記多層プリント基板が他の部材と取付けられる部位であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多層プリント基板。
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