JP2004111103A - 薄膜el素子およびその製造方法 - Google Patents
薄膜el素子およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004111103A JP2004111103A JP2002268962A JP2002268962A JP2004111103A JP 2004111103 A JP2004111103 A JP 2004111103A JP 2002268962 A JP2002268962 A JP 2002268962A JP 2002268962 A JP2002268962 A JP 2002268962A JP 2004111103 A JP2004111103 A JP 2004111103A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- product
- forming
- film
- layer
- phosphor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
- Luminescent Compositions (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
【解決手段】基板2の表面に下部電極3を形成して第1生成物を生成し、前記第1生成物の前記下部電極3の表面に、下部絶縁層4を形成して第2生成物を生成し、前記第2生成物の前記下部絶縁層4の表面に下部ZnS層5を形成して第3生成物を生成する。前記第3生成物の前記下部ZnS層5の表面に、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とを交互に形成して多層膜6aを形成し、第4生成物を生成する。前記第4生成物の前記多層膜6aの表面に上部ZnS層7を形成して第5生成物を生成し、前記第5生成物の前記上部ZnS層7の表面に上部絶縁層8を形成して第6生成物を生成する。第6生成物に熱処理を行い、発光層9を形成し、第7生成物を生成する。前記第7生成物の前記上部絶縁性8の表面に上部電極10を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence;略称EL)素子の発光層に、BaAlxSyOz:RE(x、y、zは実数、REは希土類元素)蛍光体を含む薄膜EL素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜ELパネルは、ガラスおよびセラミックス板などから成る基板上に下部電極、下部絶縁層、発光層、上部絶縁層および上部電極を順次積層した構造を有し、上部電極と下部電極との間に交流電圧を印加することによって発光を得る。従来から実用化されている薄膜ELパネルは、発光層にZnS:Mn薄膜を用いた黄橙色モノクロームディスプレイであり、下部電極に透光性導電膜、上部電極に金属電極を用い、下部電極側から光を取り出す。
【0003】
近年の情報産業の発達によってカラーディスプレイの需要が高まっており、薄膜ELパネルのカラー化への応用が盛んに進められている。薄膜ELパネルをカラー化するため、薄膜EL素子とカラーフィルタとを対向させたフィルタ方式の薄膜ELパネルが開発されている。フィルタ方式とは、薄膜EL素子から出る単一色の光を複数色の有機物からなるカラーフィルタによって分光して、複数の発光色を得る手法である。
【0004】
薄膜ELパネルのカラー化の手法としては、フィルタ方式の他に、異なる発光色の発光層をそれぞれ並べて絵素を形成する並置方式、異なる発光色の薄膜EL素子を重ねて積層する積層方式、2枚の基板にそれぞれ異なる発光色の薄膜EL素子を形成して両者を重ね合わせる二重基板方式が主な方式として挙げられる。
【0005】
フィルタ方式は、薄膜EL素子に一種類の発光層を設ければよく、製造プロセスが簡略化され、製造原価を低くすることができるので、薄膜EL素子のカラー化の方式として他の方式よりも多く採用されている。このフィルタ方式は、幅の広い発光スペクトルを取り出すことができる単色の発光層を用いて、この発光層から取り出した発光スペクトルをカラーフィルタによって複数の発光色に分光するので、発光スペクトルの何割かがカラーフィルタによってカットされ、輝度が低いという問題がある。
【0006】
フルカラー表示には、赤色、緑色、青色の3原色が必要であるが、現状では青色の薄膜EL素子の発光輝度が赤色、緑色の薄膜EL素子の発光輝度に比べ劣っている。
【0007】
青色発光層としてSrS:Ceなどが検討されてきたが、輝度が高くても色純度が悪いためカラーフィルタを用いて色純度を良くすると輝度が低くなり、色純度そのものが良くても輝度が低いなど、これまでに輝度と色純度の両方を満たす発光層は得られていない。
【0008】
前記問題を解決するため、所望する発光色に近い発光スペクトルを呈する発光層材料を、所望の色に対応して複数パターニングすることによって、並置方式で形成した発光層を薄膜ELパネルに用いることが検討され、青色発光層として希土類添加アルカリ土類チオアルミネート(BaAl2S4:Eu)に酸素を構成元素に加えた従来の技術では、前述の並置方式で形成した発光層を薄膜ELパネルに用いている(たとえば特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−262140号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示される従来の技術では、前記発光層は多元化合物であり、構成元素の種類が多く、それぞれの蒸気圧が大きく異なるので、組成の制御が困難であり、化学量論的組成の整った薄膜の成膜は非常に困難である。特に前記発光層では膜中に多量の酸素が混入しやすく、また硫黄の量が不足しやすい。このため、酸素が構成元素に加わったBaAl2S4:Euが形成されるのは発光層中の非常に限られた部分である。前記発光層の粉末X線回折(X‐Ray Diffraction;略称XRD)データは主配向が弱く、化学量論比にばらつきがあり、前記発光層の結晶性が悪いことがわかった。
【0011】
これらの原因により、前記発光層は発光効率が約0.1lm/W前後と低いという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、発光効率が高く、高輝度で色純度が優れた青色発光薄膜EL素子およびその製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板の表面に、下部電極を形成して第1生成物を生成する工程と、
第1生成物の下部電極の表面に、下部絶縁層を形成して第2生成物を生成する工程と、
第2生成物の下部絶縁層の表面に、下部結合層を形成して第3生成物を生成する工程と、
第3生成物の下部結合層の表面に、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とが交互に積層された多層膜を形成して第4生成物を生成する工程と、
第4生成物の多層膜の表面に、上部結合層を形成して第5生成物を生成する工程と、
第5生成物の上部結合層の表面に上部絶縁層を形成して第6生成物を生成する工程と、
第6生成物を熱処理して、BaAlxSyOz:RE(x,y,zは実数、REは希土類元素)から成る蛍光体を含む発光層を形成して第7生成物を生成する工程と、
第7生成物の上部絶縁層の表面に、上部電極を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜EL素子の製造方法である。
【0014】
本発明に従えば、基板の表面に下部電極を形成して第1生成物を生成し、前記第1生成物の前記下部電極の表面に、下部絶縁層を形成して第2生成物を生成し、前記第2生成物の前記下部絶縁層の表面に下部結合層を形成して第3生成物を生成する。
【0015】
次に、前記第3生成物の前記下部結合層の表面に、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とを交互に形成し、それぞれの膜中に酸素を含んだ多層膜を形成し、第4生成物を生成する。
【0016】
次に、前記第4生成物の前記多層膜の表面に上部結合層を形成して第5生成物を生成し、前記第5生成物の前記上部結合層の表面に上部絶縁層を形成して第6生成物を生成する。
【0017】
次に、第6生成物に熱処理を行い、前記下部結合層、前記多層膜および前記上部結合層を結晶化させる。このとき前記多層膜に含まれた酸素が結晶の構成元素となることによって、前記多層膜がBaAlxSyOz:RE(x、y、zは実数、REは希土類元素)から成る蛍光体と成り、前記下部結合層、前記蛍光体および前記上部結合層から成る発光層を形成し、第7生成物を生成する。
【0018】
次に、前記第7生成物の前記上部絶縁性の表面に上部電極を形成することによって、薄膜EL素子が形成される。
【0019】
このような薄膜EL素子の製造方法において、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とを交互に積層し、多層膜を形成するので、多層膜のそれぞれの薄膜中に予め定める割合で酸素を含ませることができる。これによって蛍光体の組成比を容易に制御することができる。また、形成し初める時点から酸素を薄膜中に含ませながら多層膜を形成するので、多層膜全体にほぼ一定な割合で酸素を含ませることができる。これによって蛍光体全体の組成比を容易に制御することができる。
【0020】
したがって、結晶欠陥および不純物の少ない蛍光体を得ることができるので、発光に寄与しない不要なエネルギー準位の発生が少ない蛍光体を得ることができ、発光効率の高い薄膜EL素子を形成することができる。
【0021】
また、蛍光体中の酸素量を容易に制御できるので、格子欠陥および不純物の少ない高品質な蛍光体を容易に再現することができる。
【0022】
さらに、蛍光体の前駆体である多層膜は、スパッタ法によって形成するので、電子ビームなどを用いた蒸着法に比べ、膜厚分布が良く、材料の無駄が少ないので、材料コストを低くすることができる。したがって高品質な蛍光体を低コストで形成することができる。
【0023】
また本発明は、前記多層膜は、酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中でスパッタ法によって形成されることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中で多層膜を形成するので、酸素が適量含まれ、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる多層膜を形成することができる。
【0025】
酸素濃度が1mol%未満の雰囲気中で多層膜を形成すると、多層膜に酸素がほとんど含まれないので、結晶中に酸素がほとんど含まれず、発光に寄与するエネルギー準位の形成された部分の少ない蛍光体と成る。また、20mol%を超える酸素濃度の雰囲気ガス中で多層膜を形成すると、多層膜に多量の酸素が含まれるので、結晶中に多量の酸素が含まれ、結晶性が乱れた蛍光体と成り、発光に寄与しないエネルギー準位の発生が多い蛍光体と成る。
【0026】
したがって酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中で多層膜を形成することによって、多層膜に酸素を適量含ませることができるので、酸素が適量含まれ、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる。
【0027】
また本発明は、前記発光層を形成するための熱処理は、酸素濃度が0mol%以上1mol%以下の雰囲気ガス中で行うことを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、酸素濃度が0mol%以上1mol以下の雰囲気ガス中で発光層を形成するので、蛍光体領域にアルミナ(Al2O3)などの発光に寄与しない不要な膜が形成されることを防止できる。
【0029】
1mol%超えた酸素濃度の雰囲気ガス中で熱処理を行い、発光層を形成すると、蛍光体領域に酸素が多量に含まれるので、アルミナ(Al2O3)などの発光に寄与しない不要な膜が部分的に形成される。この不要な膜によって輝度が低下し、部分的に輝度が低い薄膜EL素子が形成される。
【0030】
したがって、酸素濃度が0mol%以上1mol以下の雰囲気ガス中で発光層を形成することによって、蛍光体領域にアルミナ(Al2O3)などの発光に寄与しない不要な膜が形成されることを防止できるので、全体の輝度が一様な高輝度の薄膜EL素子を形成することができる。
【0031】
また本発明は、前記発光層を形成するための熱処理の雰囲気ガス中に、硫化水素を用いることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、発光層を形成するための熱処理の雰囲気ガス中に、硫化水素を用いるので、蛍光体の結晶中から硫黄(S)元素が抜けることを防ぎ、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる。
【0033】
硫化水素を用いない雰囲気中で発光層を形成すると、蛍光体の構成元素の硫黄(S)元素の蒸気圧が他の構成元素に比べて低いので、蛍光体の結晶中から抜け、これによって結晶欠陥が増加し、発光に寄与する電荷が減少する。
【0034】
したがって、雰囲気ガス中に硫化水素を用いることによって、蛍光体の結晶中から硫黄(S)元素が抜けることを防ぎ、結晶性が良好な蛍光体を得ることができるので、高輝度の薄膜EL素子を形成することができる。
【0035】
また本発明は、硫化水素を真空雰囲気に1sccm以上10sccm以下の流量で流し、硫化水素を雰囲気ガスとして用いることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、硫化水素を1sccm以上10sccm以下の流量で真空に流した雰囲気中で発光層を形成するので、結晶欠陥の少ない蛍光体を得ることができる。
【0037】
硫化水素を1sccm未満の流量で流した雰囲気中では、蛍光体の結晶中から硫黄(S)元素が抜け、結晶欠陥が増加する。また、硫化水素10sccmを超える流量で流した雰囲気中では、硫化水素の腐食作用および還元作用によって結晶欠陥が増加する。
【0038】
したがって、硫化水素を1sccm以上10sccm以下の流量で真空に流した雰囲気中で発光層を形成することによって、結晶欠陥の増加を防ぐことができるので、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる。
【0039】
また本発明は、前述のいずれか1つに記載の製造方法によって形成されることを特徴とする薄膜EL素子である。
【0040】
本発明に従えば、前述の製造方法によって製造され、前記下部電極、前記下部絶縁層、前記発光層、上部絶縁層および上部電極を有しているので、高い発光効率で色純度が優れた高輝度の青色発光を得ることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の薄膜EL素子1の製造方法を説明するためのフローチャートであり、図2は薄膜EL素子1の構成を示す断面図である。
【0042】
本実施の形態の薄膜EL素子1の製造方法は、基板2の表面に、下部電極3を形成して第1生成物を生成する工程と、第1生成物の下部電極3の表面に、下部絶縁層4を形成して第2生成物を生成する工程と、第2生成物の下部絶縁層4の表面に、下部結合層である下部ZnS層5を形成して第3生成物を生成する工程と、第3生成物の下部ZnS層5の表面に、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とが交互に積層された多層膜6aを形成して第4生成物を生成する工程と、第4生成物の多層膜6aの表面に、上部結合層である上部ZnS層7を形成して第5生成物を生成する工程と、第5生成物の上部ZnS層7の表面に上部絶縁層8を形成して第6生成物を生成する工程と、第6生成物を熱処理して、BaAlxSyOz:Eu(x,y,zは実数、Euは希土類元素)から成る蛍光体6bを含む発光層9を形成して第7生成物を生成する工程と、第7生成物の上部絶縁層8の表面に、上部電極10を形成する工程とを含む。
【0043】
まず、ステップs1で、たとえばコーニングジャパン株式会社製の1737ガラスから成る板厚1.1mmの基板2を準備する。
【0044】
次に、ステップs2で、スパッタ法、電子ビーム蒸着法またはスプレー法などによって前記基板2の表面に、錫添加酸化インジウム(Indium Tin Oxide;略称ITO)から成る透明導電膜をたとえば50nm以上500nm以下の膜厚に成膜する。その後、フォトエッチングプロセスによって前記透明導電膜をストライブ状に加工し、透光性の下部電極3を形成し、第1生成物を生成する。
【0045】
次に、ステップs3で、スパッタ法などによって前記第1生成物の前記下部電極3の表面に、膜厚がたとえば5nm以上100nm以下のSiO2膜と膜厚がたとえば50nm以上400nm以下のSi3N4膜とを順次積層して、前記SiO2膜と前記Si3N4膜との複合膜から成り、膜厚がたとえば200nm以上500nm以下の透光性の下部絶縁層4を形成し、第2生成物を生成する。
【0046】
次に、ステップs4で、前記基板2を加熱し、200℃以上300℃以下に保持した状態で、添加物を含まないZnSターゲットをスパッタ源として、スパッタ法によって前記第2生成物の前記下部絶縁層4の表面に、膜厚がたとえば100nm以上300nm以下の下部ZnS層5を形成し、第3生成物を生成する。その後、前記第3生成物に、真空雰囲気中で400℃の熱処理を1時間行う。
【0047】
次に、ステップs5で、BaAl2S2O2を母材材料とし、前記母材材料にEuが発光中心材料として添加された蛍光体6bを形成するために、熱処理後の前記第3生成物の下部ZnS層5の表面に、前記蛍光体6bの前駆体である多層膜6aを形成する。
【0048】
前記多層膜6a形成のために、前記母材材料に対して、5mol%のEuSを添加したBaSターゲットとAl2S3ターゲットとを形成する。
【0049】
この前記BaSターゲットと前記Al2S3ターゲットとを交互にスパッタ源として用いて、前記基板2を加熱し、250℃に保持して、酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中で、スパッタ法によって前記第3生成物の下部ZnS層5の表面に、BaS薄膜とAl2S3薄膜とをそれぞれたとえば20nmの膜厚で交互に積層し、たとえば10層から成る厚さ200nmの多層膜6bを形成し、第4生成物を生成する。
【0050】
次に、ステップs6で、前記基板2を加熱し、200℃以上300℃以下に保持した状態で、添加物を含まないZnSターゲットをスパッタ源として、スパッタ法によって前記第4生成物の前記多層膜6aの表面に、膜厚がたとえば100nm以上300nm以下の上部ZnS層7を形成し、第5生成物を生成する。
【0051】
次に、ステップs7で、スパッタ法などによって、前記第5生成物の前記上部ZnS層7の表面に、膜厚がたとえば50nm以上400nm以下のSi3N4膜と膜厚がたとえば5nm以上100nm以下のSiO2膜とを順次積層して、Si3N4膜とSiO2膜との複合膜から成り、膜厚がたとえば200nm以上500nm以下の透光性の上部絶縁層8を形成し、第6生成物を生成する。
【0052】
次に、ステップs8で、前記第6生成物に、酸素濃度が0.1mol%以上1mol%以下のアルゴン雰囲気中で700℃以上1000℃以下の熱処理をたとえば10分間行う。この前記熱処理によって前記下部ZnS層5、前記多層膜6aおよび前記上部ZnS層7が結晶化され、発光層9が形成される。このとき、前記多層膜6bがBaAlxSyOz:Eu(x、y、zは実数)から成る蛍光体6bと成り、第7生成物を生成する。
【0053】
次に、ステップs9で、スパッタ法、電子ビーム蒸着法またはスプレー法などによって前記第7生成物の前記上部絶縁層8の表面に、膜厚がたとえば50nm以上400nm以下のAl膜と膜厚がたとえば100nm以上400nm以下のNi膜とを順次積層し、前記Al膜と前記Ni膜とから成り、膜厚がたとえば100nm以上800nm以下の複合膜を形成する。その後、フォトエッチングプロセスによって前記複合膜を前記下部電極3と直行するようにストライプ状に加工し、上部電極10を形成する。次に、ステップs10で、薄膜EL素子1が形成される。
【0054】
図3は多層膜6a形成時の雰囲気ガス中の酸素濃度と薄膜EL素子1の発光輝度との関係を説明するための実験1から得た測定結果を示す図であり、図4は図3に示す測定結果をグラフ化した図である。図4に示すグラフの縦軸は、輝度をカンデラ毎平方メートル(cd/m2)で示し、横軸は、酸素濃度をモルパーセント(mol%)で示す。
【0055】
実験1では、真空中にアルゴンを20.0sccmの流量で流し、圧力を0.5Paとすることによって生成した酸素濃度0mol%の雰囲気ガス、真空中にアルゴンを19.8sccmおよび酸素を0.2sccmの流量で流し、圧力を0.5Paとすることによって生成した酸素濃度1mol%の雰囲気ガス、真空中にアルゴンを19.0sccmおよび酸素を1.0sccmの流量で流し、圧力を0.5Paとすることによって生成した酸素濃度5mol%の雰囲気ガス、真空中にアルゴンを18.0sccmおよび酸素を2.0sccmの流量で流し、圧力を0.5Paとすることによって生成した酸素濃度10mol%の雰囲気ガス、真空中にアルゴンを16.0sccmおよび酸素を4.0sccmの流量で流して圧力を0.5Paとすることによって生成した酸素濃度20mol%の雰囲気ガスおよび真空中にアルゴンを14.0sccm、酸素を6.0sccmの流量で流し、圧力を0.5Paとすることによって生成した酸素濃度30mol%の雰囲気ガス中で、それぞれ多層膜6aを形成した。その後、発光層6b形成時の熱処理を酸素濃度1mol%の雰囲気ガス中で行い、形成した薄膜EL素子1の発光輝度をそれぞれ測定した。また、発光輝度は、薄膜EL素子1に、駆動周波数100Hzの交流パルス電圧を、1cd/m2の発光輝度が得られた発光開始電圧に50V加えて印加したときに測定した。
【0056】
実験1によって得た図3および図4に示す測定結果から、多層膜6a形成時の雰囲気ガス中の酸素濃度が1mol%以上20mol%以下では薄膜EL素子1の発光輝度は大きく向上することが分かる。特に、酸素濃度10mol%では78cd/m2の高輝度が得えられた。
【0057】
次に、実験2として、発光層9形成時の雰囲気ガス中の酸素濃度と発光層9中の各構成元素の濃度との関係を説明するための実験を行った。
【0058】
図5は酸素濃度1mol%の雰囲気ガス中で熱処理を行って形成した発光層9中の各構成元素の濃度を示す図であり、図5(a)は、上部ZnS層7中および蛍光体6b中の各構成元素の濃度を示し、図5(b)は、蛍光体6bの組成比を示す。図6は酸素濃度5mol%の雰囲気ガス中で熱処理を行って形成された発光層9中の各構成元素の濃度を示す図であり、図6(a)は、上部ZnS層7中および蛍光体6b中の各構成元素の濃度を示し、図6(b)は、蛍光体6bの組成比を示す。
【0059】
図7は図5(a)に示される測定結果をグラフ化した図であり、図8は、図6(a)に示される測定結果をグラフ化した図である。図7および図8に示すそれぞれのグラフの縦軸は、測定領域での各構成元素の濃度をアトムパーセント(at%)で示し、横軸は、スパッタ時間を秒(sec)で示す。
【0060】
実験2では、雰囲気ガス中の酸素濃度10mol%で多層膜6aを形成し、その後、上部ZnS層7を形成した段階で、酸素濃度1mol%のアルゴン雰囲気ガス中および酸素濃度5mol%のアルゴン雰囲気ガス中でそれぞれ発光層9を形成して、それぞれ発光体9中の各構成元素の濃度を測定した。各構成元素の濃度の測定方法として、上部ZnS層7の表面から基板2に向けて膜厚方向にアルゴンイオンビームを用いたスパッタエッチングを行い、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy;略称XPS)によって測定を行った。
【0061】
図5(a)および図6(a)には、スパッタエッチングを行ったスパッタ時間およびそれぞれのスパッタ時間における測定領域の各構成元素の濃度を測定した結果を示している。スパッタ時間0〜500secにおける測定結果は、ZnS層7中の各構成元素の濃度を示し、スパッタ時間500〜3000secにおける測定結果は、蛍光体6b中の各構成元素の濃度を示している。スパッタ時間500〜1000secにおける測定結果は、ZnS層7と蛍光体6bの過渡的な領域を示す。
【0062】
図5(b)には、図5(a)に示されるスパッタ時間1000〜3000secまでの測定結果を用いて各構成元素の濃度平均とBa元素の濃度平均を1としたときの組成比とを示している。図6(b)には、図6(a)に示されるスパッタ時間1000〜3000secまでの測定結果を用いて各構成元素の濃度平均とBa元素の濃度平均を1としたときの組成比とを示している。
【0063】
実験2によって得た図5に示す測定結果から、酸素濃度1mol%の雰囲気ガス中で形成された蛍光体6bは、全体的にほぼ一定の酸素濃度であり、BaAl2S2O2の化学量論比に近い組成比であることが分かる。また、図6に示す実験結果から、酸素濃度5mol%の雰囲気ガス中で形成された蛍光体6bには、スパッタ時間500〜1000secにおける発光層9領域で発光に寄与しないアルミナ(Al2O3)が形成されていることが分かる。
【0064】
前述のような本実施の形態の薄膜EL素子の製造方法によれば、基板2の表面に下部電極3を形成して第1生成物を生成し、前記第1生成物の前記下部電極3の表面に下部絶縁層4を形成して第2生成物を生成し、前記第2生成物の前記下部絶縁層4の表面に下部ZnS層5を形成して、第3生成物を生成する。
【0065】
次に、前記第3生成物の下部ZnS層5の表面に、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とを交互に形成し、それぞれの膜中に酸素を含んだ多層膜6aを形成し、第4生成物を生成する。
【0066】
次に、前記第4生成物の前記多層膜6aの表面に上部ZnS層7を形成して第5生成物を成生し、前記第5生成物の前記上部ZnS層7の表面に上部絶縁層8を形成して、第6生成物を生成する。
【0067】
次に、第6生成物に熱処理を行い、前記下部ZnS層5、前記多層膜6aおよび前記上部ZnS層7を結晶化させる。このとき多層膜6aに含まれた酸素が結晶の構成元素となることによって、前記多層膜6aがBaAlxSyOz:RE(x、y、zは実数、REは希土類元素)から成る蛍光体6bと成り、前記下部ZnS層5、前記蛍光体6bおよび前記上部ZnS層7から成る発光層9を形成し、第7生成物を生成する。
【0068】
次に、前記第7生成物の前記上部絶縁性8の表面に上部電極10を形成することによって、前記基板2の表面に薄膜EL素子1が形成される。
【0069】
このような薄膜EL素子1の製造方法において、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とを交互に積層し、多層膜6aを形成するので、多層膜6aのそれぞれの薄膜中に予め定める割合で酸素を含ませることができる。これによって蛍光体6bの組成比を容易に制御することができる。また、形成し初める時点から酸素を薄膜中に含ませながら多層膜6aを形成するので、全体的にほぼ一定な割合で酸素を含んだ多層膜6aを形成することができる。これによって蛍光体6b全体の組成比を容易に制御することができる。
【0070】
したがって、結晶欠陥および不純物の少ない蛍光体6bを得ることができるので、発光に寄与しない不要なエネルギー準位の発生が少ない蛍光体6bを得ることができ、発光効率の高い薄膜EL素子1を形成することができる。
【0071】
また、蛍光体中の酸素量を容易に制御できるので、格子欠陥および不純物の少ない高品質な蛍光体を容易に再現することができる。
【0072】
さらに、蛍光体の前駆体である多層膜は、スパッタ法によって形成するので、電子ビームなどを用いた蒸着法に比べ、膜厚分布が良く、材料の無駄が少ないので、材料コストを低くすることができる。したがって高品質な蛍光体を低コストで形成することができる。
【0073】
また、酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中で多層膜6aを形成するので、酸素が適量含まれ、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる多層膜6aを形成することができる。
【0074】
酸素濃度が1mol%未満の雰囲気中で多層膜6aを形成すると、多層膜6aに酸素がほとんど含まれないので、結晶中に酸素がほとんど含まれず、発光に寄与するエネルギー準位の形成された部分の少ない蛍光体6bと成る。また、20mol%を超える酸素濃度の雰囲気ガス中で多層膜6aを形成すると、多層膜6aに多量の酸素が含まれるので、結晶中に多量の酸素が含まれ、結晶性が乱れた蛍光体6bと成り、発光に寄与しないエネルギー準位の発生が多い蛍光体6bと成る。
【0075】
したがって酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中で多層膜6aを形成することによって、多層膜6aに酸素を適量含ませることができるので、酸素が適量含まれ、結晶性が良好な蛍光体6bを得ることができる。
【0076】
さらに、酸素濃度が0mol%以上1mol以下の雰囲気ガス中で発光層9を形成するので、蛍光体6b領域にアルミナ(Al2O3)などの発光に寄与しない不要な膜が形成されることを防止できる。
【0077】
1mol%超えた酸素濃度の雰囲気ガス中で熱処理を行い、発光層9を形成すると、蛍光体6b領域に酸素が多量に含まれるので、アルミナ(Al2O3)などの発光に寄与しない不要な膜が部分的に形成される。この不要な膜によって輝度が低下し、部分的に輝度が低い薄膜EL素子1が形成される。
【0078】
したがって、酸素濃度が0mol%を超えて1mol以下の雰囲気ガス中で発光層9を形成することによって、蛍光体6b領域にアルミナ(Al2O3)などの発光に寄与しない不要な膜が形成されることを防止できるので、全体の輝度が一様な高輝度の薄膜EL素子1を形成することができる。
【0079】
本発明の実施の他の形態では、前述の実施の形態において、真空中に硫化水素を1sccm以上10sccm以下の流量で流し、圧力を0.5Paとした雰囲気ガス中で第6生成物に700℃以上1000℃以下の熱処理をたとえば10分間行う。その他の製造方法は前述の実施の形態と同様である。
【0080】
図9は発光層9形成時に流す硫化水素の流量と薄膜EL素子1の発光輝度との関係を説明するための実験3から得た測定結果を示す図であり、図10は図9に示す測定結果をグラフ化した図である。
【0081】
実験3では、硫化水素を1sccm、2sccm、3sccm、5sccm、7sccm、10sccmおよび15sccmの流量でそれぞれ真空中に流し、圧力を0.5Paとすることによって生成した雰囲気ガス中および真空雰囲気中で、それぞれ発光層9形成時の熱処理を行い、形成した薄膜EL素子1の発光輝度をそれぞれ測定した。また、発光輝度は、薄膜EL素子1に、駆動周波数100Hzの交流パルス電圧を、1cd/m2の発光輝度が得られた発光開始電圧に50V加えて印加したときに測定した。実験3で多層膜6aは、酸素濃度10mol%の雰囲気ガス中で形成した。
【0082】
実験3によって得た図9および図10に示す測定結果から、硫化水素を1sccm以上10sccm以下の流量で流し、熱処理を行った薄膜EL素子1は、硫化水素を用いない雰囲気ガス中で熱処理を行った薄膜EL素子1に比べて発光輝度が向上していることが分かる。特に、硫化水素の流量が5sccmで95cd/m2の最高輝度が得られ、発光効率は0.5lm/Wとなった。
【0083】
図11は酸素濃度10mol%の雰囲気ガス中で多層膜6aを形成し、硫化水素を10sccmの流量で流した雰囲気ガス中で発光層9を形成した薄膜EL素子1の発光スペクトルを示す図であり、図12は図11に示す発光スペクトルをグラフ化して示した図である。図12に示すグラフの縦軸は、薄膜EL素子1の発光強度を任意単位(arb.)で示し、横軸は、光の波長をナノメートル(nm)で示す。
【0084】
図11および図12に示すように、蛍光体6b中のEu2+の5d殻から4f殻への遷移によって青色発光と成る470nmにピーク波長を有する発光が得られた。
【0085】
前述のような本実施の形態の薄膜EL素子1の製造方法によれば、発光層9を形成するための熱処理の雰囲気ガス中に、硫化水素を用いるので、蛍光体6bの結晶中から硫黄(S)元素が抜けることを防ぎ、結晶性が良好な蛍光体6bを得ることができる。
【0086】
硫化水素を用いない雰囲気中で発光層9を形成すると、蛍光体6bの構成元素の硫黄(S)元素の蒸気圧が他の構成元素に比べて低いので、蛍光体6bの結晶中から抜け、これによって結晶欠陥が増加し、発光に寄与する電荷が減少する。
【0087】
したがって、雰囲気ガス中に硫化水素を用いることによって、蛍光体6bの結晶中から硫黄(S)元素が抜けることを防ぎ、結晶性が良好な蛍光体6bを得ることができるので、高輝度の薄膜EL素子1を形成することができる。
【0088】
また、硫化水素を1sccm以上10sccm以下の流量で真空に流した雰囲気中で発光層9を形成するので、結晶欠陥の少ない蛍光体6bを得ることができる。
【0089】
硫化水素を1sccm未満の流量で流した雰囲気中では、蛍光体6bの結晶中から硫黄(S)元素が抜け、蛍光体6bの結晶欠陥が増加する。また、硫化水素10sccmを超える流量で流した雰囲気中では、硫化水素の腐食作用および還元作用によって蛍光体6bの結晶欠陥が増加する。
【0090】
したがって、硫化水素を1sccm以上10sccm以下の流量で真空に流した雰囲気中で発光層9を形成することによって、結晶欠陥の増加を防ぐことができるので、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる。
【0091】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とを交互に積層し、多層膜を形成するので、多層膜のそれぞれの薄膜中に予め定める割合で酸素を含ふくませることができる。これによって蛍光体の組成比を容易に制御することができる。また、形成し初める時点から酸素を薄膜中に含ませながら多層膜を形成するので、多層膜全体にほぼ一定な割合で酸素を含んだ多層膜を形成することができる。これによって蛍光体全体の組成比を容易に制御することができる。
【0092】
したがって、結晶欠陥および不純物の少ない蛍光体を得ることができるので、発光に寄与しない不要なエネルギー準位の発生が少ない蛍光体を得ることができ、発光効率の高い薄膜EL素子を形成することができる。
【0093】
また、蛍光体中の酸素量を容易に制御できるので、格子欠陥および不純物の少ない高品質な蛍光体を容易に再現することができる。
【0094】
さらに、蛍光体の前駆体である多層膜は、スパッタ法によって形成するので、電子ビームなどを用いた蒸着法に比べ、膜厚分布が良く、材料の無駄が少ないので、材料コストを低くすることができる。したがって高品質な蛍光体を低コストで形成することができる。
【0095】
また本発明によれば、酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中で多層膜を形成することによって、多層膜に酸素を適量含ませることができるので、酸素が適量含まれ、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる。
【0096】
さらに本発明によれば、酸素濃度が0mol%以上1mol以下の雰囲気ガス中で発光層を形成することによって、蛍光体領域にアルミナ(Al2O3)などの発光に寄与しない不要な膜が形成されることを防止できるので、全体の輝度が一様な高輝度の薄膜EL素子を形成することができる。
【0097】
さらに本発明によれば、雰囲気ガス中に硫化水素を用いることによって、蛍光体の結晶中から硫黄(S)元素が抜けることを防ぎ、結晶性が良好な蛍光体を得ることができるので、高輝度の薄膜EL素子を形成することができる。
【0098】
さらに本発明によれば、硫化水素を1sccm以上10sccm以下の流量で真空に流した雰囲気中で発光層を形成することによって、結晶欠陥の増加を防ぐことができるので、結晶性が良好な蛍光体を得ることができる。
【0099】
さらに本発明によれば、前記下部電極、前記下部絶縁層、前記発光層、上部絶縁層および上部電極を有しているので、高い発光効率で色純度が優れた高輝度の青色発光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の薄膜EL素子1の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】薄膜EL素子1の構成を示す断面図である。
【図3】多層膜6a形成時の雰囲気ガス中の酸素濃度と薄膜EL素子1の発光輝度との関係を説明するための実験1から得た測定結果を示す図である。
【図4】図3に示す測定結果をグラフ化した図である。
【図5】酸素濃度1mol%の雰囲気ガス中で熱処理を行って形成された発光層9中の各構成元素の濃度を示す図であり、図5(a)は上部ZnS層7中および蛍光体6b中の各構成元素の濃度を示し、図5(b)は蛍光体6bの組成比を示す。
【図6】酸素濃度5mol%の雰囲気ガス中で熱処理を行って形成された発光層9中の各構成元素の濃度を示す図であり、図6(a)は、上部ZnS層7中および蛍光体6b中の各構成元素の濃度を示し、図6(b)は、蛍光体6bの組成比を示す。
【図7】図5(a)に示される測定結果をグラフ化した図である。
【図8】図6(a)に示される測定結果をグラフ化した図である。
【図9】発光層9形成時に流す硫化水素の流量と薄膜EL素子1の発光輝度との関係を説明するための実験3から得た測定結果を示す図である。
【図10】図9に示す測定結果をグラフ化した図である。
【図11】酸素濃度10mol%の雰囲気ガス中で多層膜6aを形成し、硫化水素を10sccmの流量で流した雰囲気ガス中で発光層9を形成した薄膜EL素子1の発光スペクトルを示す図である。
【図12】図11に示す発光スペクトルをグラフ化して示した図である。
【符号の説明】
1 薄膜EL素子
2 基板
3 下部電極
4 下部絶縁層
5 下部ZnS層
6a 多層膜
6b 蛍光体
7 上部ZnS層
8 上部絶縁層
9 発光層
10 上部電極
Claims (6)
- 基板の表面に、下部電極を形成して第1生成物を生成する工程と、
第1生成物の下部電極の表面に、下部絶縁層を形成して第2生成物を生成する工程と、
第2生成物の下部絶縁層の表面に、下部結合層を形成して第3生成物を生成する工程と、
第3生成物の下部結合層の表面に、酸素を含む雰囲気ガス中でスパッタ法によってBaS薄膜とAl2S3薄膜とが交互に積層された多層膜を形成して第4生成物を生成する工程と、
第4生成物の多層膜の表面に、上部結合層を形成して第5生成物を生成する工程と、
第5生成物の上部結合層の表面に上部絶縁層を形成して第6生成物を生成する工程と、
第6生成物を熱処理して、BaAlxSyOz:RE(x,y,zは実数、REは希土類元素)から成る蛍光体を含む発光層を形成して第7生成物を生成する工程と、
第7生成物の上部絶縁層の表面に、上部電極を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜EL素子の製造方法。 - 前記多層膜は、酸素濃度が1mol%以上20mol%以下の雰囲気ガス中でスパッタ法によって形成されることを特徴とする請求項1記載の薄膜EL素子の製造方法。
- 前記発光層を形成するための熱処理は、酸素濃度が0mol%以上1mol%以下の雰囲気ガス中で行うことを特徴とする請求項1または2記載の薄膜EL素子の製造方法。
- 前記発光層を形成するための熱処理の雰囲気ガス中に、硫化水素を用いることを特徴とする請求項1または2記載の薄膜EL素子の製造方法。
- 硫化水素を真空雰囲気に1sccm以上10sccm以下の流量で流し、硫化水素を雰囲気ガスとして用いることを特徴とする請求項4記載の薄膜EL素子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載の製造方法によって形成されることを特徴とする薄膜EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268962A JP2004111103A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 薄膜el素子およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268962A JP2004111103A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 薄膜el素子およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004111103A true JP2004111103A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32267035
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002268962A Pending JP2004111103A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 薄膜el素子およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004111103A (ja) |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002268962A patent/JP2004111103A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4308648B2 (ja) | チオアルミン酸塩蛍光体膜の単独ソーススパッタリング | |
JPH07122364A (ja) | 蛍光体薄膜とその製造方法および薄膜elパネル | |
TW528791B (en) | Phosphor multilayer and EL panel | |
JPWO2003080765A1 (ja) | 蛍光体薄膜およびその製造方法ならびにelパネル | |
JP4047095B2 (ja) | 無機電界発光素子およびその製造方法 | |
JP2004111103A (ja) | 薄膜el素子およびその製造方法 | |
JP2006351357A (ja) | 赤色el素子 | |
JP3574829B2 (ja) | 無機エレクトロルミネッセンス材料およびそれを用いた無機エレクトロルミネッセンス素子ならびに画像表示装置 | |
JP4077131B2 (ja) | フルカラー薄膜elディスプレイパネル | |
JP3987263B2 (ja) | アルミネート青色発光蛍光体材料とそれを用いて構成した青色発光薄膜エレクトロルミネッセンス素子 | |
JPH03194895A (ja) | マルチカラーelディスプレイ | |
JPH08162273A (ja) | 薄膜el素子 | |
JP4330475B2 (ja) | エレクトロルミネッセンス蛍光体の製造方法 | |
JP3976892B2 (ja) | 薄膜el素子 | |
JP4125108B2 (ja) | 薄膜エレクトロルミネッセント素子 | |
JP3569625B2 (ja) | 薄膜el素子の製造方法 | |
JPH0395893A (ja) | 蛍光体薄膜の製造方法および薄膜el素子 | |
JP4928329B2 (ja) | 薄膜型無機el素子 | |
JPH04366593A (ja) | 薄膜el素子とその製造方法 | |
JP2003031369A (ja) | 蛍光体薄膜、薄膜エレクトロルミネッセンス素子および蛍光体薄膜形成方法 | |
JP2002173307A (ja) | H2sクラッキングセル、それを用いた硫化物の製造方法、無機el素子の製造方法および無機el素子 | |
JPH01241793A (ja) | 薄膜el素子 | |
JPH07282978A (ja) | 薄膜el素子 | |
JP2007211086A (ja) | 無機el結晶化発光膜、それを備えた無機エレクトロルミネッセンス素子、及びその製造方法 | |
JP2009256573A (ja) | 衝突励起型el用蛍光体、衝突励起型el用蛍光体薄膜の製造方法、薄膜el素子、薄膜elディスプレイ及び薄膜elランプ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050525 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071106 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071204 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080204 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080513 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080714 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081007 |