JP2004109490A - 偏光ビームスプリッタおよびこれを用いた投写型画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】内部の介在層を所定の楔形状とすることにより、傾いた介在層に起因する非点収差を良好に補正し得る偏光ビームスプリッタを得るとともに、これを用いて、近年の画像表示素子の高解像度化に適応した投写型画像表示装置を得る。
【構成】照明光学系3からの照明光でLCOS4を照明し、LCOS4の画像情報を担持した投映光を投写レンズ5を介しスクリーン(不図示)上に拡大投映する装置である。LCOS4と投写レンズ5間に配されたPBS1は、2つの直角二等辺三角形プリズムが偏光分離膜と接着層とを併せた介在層2を介し貼合わされている。PBS1は、その内部の介在層2がLCOS4からの入射光に対し傾いて位置するように配置されているが、介在層2は、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、LCOS4からの光入射面に近い部分で厚く、LCOS4からの光入射面に遠い部分で薄くなるように、楔形状に形成されている。
【選択図】 図1
【構成】照明光学系3からの照明光でLCOS4を照明し、LCOS4の画像情報を担持した投映光を投写レンズ5を介しスクリーン(不図示)上に拡大投映する装置である。LCOS4と投写レンズ5間に配されたPBS1は、2つの直角二等辺三角形プリズムが偏光分離膜と接着層とを併せた介在層2を介し貼合わされている。PBS1は、その内部の介在層2がLCOS4からの入射光に対し傾いて位置するように配置されているが、介在層2は、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、LCOS4からの光入射面に近い部分で厚く、LCOS4からの光入射面に遠い部分で薄くなるように、楔形状に形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投写型画像表示装置に用いられる偏光ビームスプリッタに関し、特に、画像表示素子の高解像度化に対応した良好な光学性能を有する偏光ビームスプリッタおよびこれを用いた投写型画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、投写型画像表示装置の画像表示素子として、LCOS(エルコス:Liquid Crystal On Silicon)と総称される反射型画像表示素子が注目されている。その特徴を2点挙げるとすれば、透過型のそれに対して開口率が高く高輝度化に有利である点と、同等素子サイズで高解像度化が可能な点である。このLCOSは偏光方向を制御して素子のOnとOffを表現するため、通常、偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと称する)とともに用いられる。また、そのPBSは画像表示素子と投写レンズ間の光路中に配置されることが一般的である。
【0003】
投写型画像表示装置に用いられるPBSは、2個の直角二等辺三角形プリズムの斜辺に相当する面同士を接着したものが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。両面の少なくとも一方には偏光分離膜が形成され、PBSに入射した光の偏光方向に応じて、一方の偏光方向の光を透過させ他方の偏光方向の光を反射して、分離または/および合成を行なう。以下、この偏光分離膜と接着剤による接着層とを併せて介在層と称する。
【0004】
このようなPBSを備えた投写型画像表示装置の概略構成を図7に示す。照明光学系53から、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)照明光がPBS51に入射し(矢印L1)、入射光に対し45度の角度に配置された介在層52で一旦LCOS側に反射される(矢印L2)。LCOS54でP偏光とされた投映光はPBS51に再び入射し(矢印L3)、介在層52を透過し、投写レンズ55を介しスクリーン(不図示)に画像を投映する(矢印L4)。なお、このように3枚よりも少ない画像表示素子を用いた投写型画像表示装置においてカラー画像を得る場合には、照明光学系中に時分割色分解手段をもつ必要がある。
【0005】
図7では、PBS51は説明のため、その介在層52を拡大して描いている。ここで、製造誤差を無視すれば2つの二等辺三角形プリズムの斜辺に相当する面は、互いに平行に接着される。すなわち、介在層52の厚さはいずれの位置でも一定値Cとなる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−40367号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、LCOSを用いた投写型画像表示装置の場合、光学部品の複屈折による影響を極力排除することが投写画像のコントラストを高める為に重要である。また、波長範囲が広い領域で良好な偏光分離膜とするためには、PBS本体の屈折率が高い方が望ましい。これらの要求を満たすプリズム材質ガラスとして、現在は、屈折率が1.8よりも高いものが最も多く使用されている。
【0008】
一方、接着剤の屈折率は1.5程度のものが多用されている。したがって、PBSを構成するプリズムと介在層の接着剤部分とは、光学的に不連続となる。一般的に、光学的な不連続面が光路に直交せずある角度(図7の場合は45度であるがこの角度に限定されるものではない)をもって配置された場合には、非点収差が発生する。
【0009】
上述したとおり、LCOSの1つの特徴として「高解像化の有利性」がある。近年の技術進歩により、LCOSは10数ミクロンの画素ピッチとなっている。このLCOSの高解像化に伴い、投写型画像表示装置では、投写レンズ等のLCOS以降の光学系の結像性能も向上させる必要がある。PBSもその例外ではなく、従来のLCOSの解像度では問題とならなかった程度の上述のPBSでの非点収差も、LCOSが10数ミクロンの画素ピッチとなった結果、投写画像の解像力低下の要因となり無視できない状況になっている。高解像のLCOSに対応した、非点収差を良好に補正可能なPBSが要望されている。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、偏光ビームスプリッタ内部の傾いた介在層に起因する非点収差を良好に補正し得る偏光ビームスプリッタを提供するとともに、これを用いて、近年の技術動向に適応した、LCOS本来の高解像な投写画像を得ることのできる投写型画像表示装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る偏光ビームスプリッタは、2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなる偏光ビームスプリッタにおいて、
前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が入射光に対し傾いて配置され、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように該介在層が、前記プリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記2つのプリズムを構成する材料の屈折率Npと、前記接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
|Np−Nc|>0.2 ……(1)
【0013】
また、本発明に係る投写型画像表示装置は、光源と、照明光学系と、時分割色分解手段と、前記楔形状の介在層を有する偏光ビームスプリッタと、1枚または2枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、少なくとも1つの前記偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されたものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る投写型画像表示装置は、光源と、照明光学系と、色分解合成手段または色合成手段としてのフィリップスプリズムと、前記楔形状の介在層を有する偏光ビームスプリッタと、3枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、少なくとも1つの前記偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されたものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る投写型画像表示装置は、光源と、照明光学系と、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタを含む色分解合成手段と、3枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、前記色分解合成手段に含まれる少なくとも1つの偏光ビームスプリッタが、前記楔形状の介在層を有する偏光ビームスプリッタとされ、その偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されたものであることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る偏光ビームスプリッタは、2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなる偏光ビームスプリッタにおいて、
前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が入射光に対し傾いて配置され、前記2つのプリズムを構成する材料の屈折率Npと、前記接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満足することを特徴とするものである。
Nc≧1.75 ……(2)
Np≧1.85 ……(3)
|Np−Nc|<0.2 ……(4)
【0017】
また、この偏光ビームスプリッタにおいて、入射光に対し傾いて配置された前記介在層が、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、前記プリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることがより好ましい。
【0018】
本発明に係る投写型画像表示装置は、上記偏光ビームスプリッタを用いたことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の2つの実施形態に係る偏光ビームスプリッタ(PBS)について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るPBSを用いた投写型画像表示装置であって、後述する本発明の実施例1に係る投写型画像表示装置を示す図である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系3、内部に楔形状の介在層2を有するPBS1、LCOS4、および投写レンズ5を備えてなり、照明光学系3からの照明光でLCOS4を照明し、LCOS4の画像情報を担持した投映光を投写レンズ5を介しスクリーン(不図示)上に拡大投映するものである。
【0020】
また、図2は図1のPBS1部分を拡大して示す図である。このPBS1は、2つの直角二等辺三角形プリズム1a、1bで構成され、プリズム1a、1bの斜辺に相当する面同士が接着層を介して貼り合わされている。プリズム1a、1bの斜辺に相当する面には、少なくとも一方の面に偏光分離膜が形成され、PBS1に入射した光の偏光方向に応じて、一方の偏光方向の光を透過させ他方の偏光方向の光を反射して、色分離または/および合成を行なう。以下、この偏光分離膜と接着層とを併せて介在層2と称する。
【0021】
PBS1は、その内部の介在層2がLCOS4からの入射光に対し傾いて位置するように配置されている。プリズム1a、1bを構成する材料のガラスの屈折率と、接着層を形成する接着剤の屈折率とには差があるため、このように光学的な不連続面が光路に直交せずある角度をもって配置された場合には、一般に非点収差が発生する。しかし、本実施形態によれば、介在層2は、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、LCOS4からの光入射面に近い部分で厚く、LCOS4からの光入射面に遠い部分で薄くなるように、楔形状に形成されている。
【0022】
すなわち、図2に示すように、プリズム1a、1bの斜辺に相当する面は互いに角度δをなし、介在層2はLCOS4に近い部分の厚みをB、LCOS4に遠い部分の厚みをAとした場合にA<Bとなるような楔形状の断面とされている。この角度δは、入射光に対する介在層2の傾きや、介在層2の平均的厚さ(例えば光軸上での厚さ)に応じて適宜設定することができる。なお、図1、2、および以下に示す図4〜6においては、各PBSは説明のため、その介在層を拡大して描いている。
【0023】
従来、PBSを形成する直角二等辺三角形プリズムの斜辺は通常平行になるように接着されていたが、本実施形態によれば、これを意図的に平行にならないように接着するという比較的小さな設計変更により、非点収差を良好に補正し得るPBS1を得ることができる。また、このようなPBS1を用いた場合、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0024】
このような楔形状の介在層2による非点収差補正の作用は、PBS1を形成する2つのプリズム1a、1bの材質の屈折率Npと、介在層2の接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(1)を満足する場合に特に有効である。
|Np−Nc|>0.2 ……(1)
【0025】
すなわち、2つのプリズムと接着層とに所定の屈折率差が在り、介在層2が光学的不連続面である場合に、介在層2を楔形状とする効果が大きい。例えば、上述のとおり、一般に用いられるPBSのように、プリズム材質ガラスの屈折率が1.8より高く、接着剤の屈折率が1.5程度である場合には、本実施形態による楔形状の介在層2が有効である。
【0026】
本実施形態による非点収差補正効果を示す一例として、図3および図8にMTF値のグラフを示す。図3は、本実施形態に係るPBSによるものであり、介在層2が、LCOS4からの入射光に対し略45度傾いた楔形状とされた場合のMTF値を示す。プリズム1aの斜辺に相当する面が入射光に対し45度の傾きを有し、この面に対しプリズム1bの斜辺に相当する面は1.02分(=角度δ)程度傾いている。また、図8は、上述の、図7に示した従来のPBSによるものであり、PBS51を形成する2つのプリズム51a、51bの間隔は平行とされ、介在層52は入射光に対し45度傾いて均等な厚さとされている。その他の条件は同等とされている。図3および図8に、軸上T像面および軸上S像面の値を示す。
【0027】
図8によれば、入射光に対し45度傾いた介在層52の影響により、光軸中心より非点収差が発生していることが分かる。他方、本発明の実施形態による図3によれば、図8の場合に認められた非点収差がほぼ打ち消され、中心に対する非点収差が良好に補正されていることが明らかである。
【0028】
楔形状の介在層2の製法としては、偏光分離膜または/および接着層の厚さを調整することにより形成することができる。例えば、接着層の厚さを調整する一法として、プリズム接着面の外周部の一部に所定直径の、剛性を有するビーズを混練した接着剤を塗布し、この部分と略対称位置のプリズム接着面の外周部に、このビーズと同様の材料で形成されこのビーズよりも小さい直径のビーズを混練した接着剤を塗布して、2つのプリズムを貼り合わせた後、内周部の楔形状の空間にビーズを混練しない接着剤を注入するようにして形成してもよい。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態に係るPBSについて説明する。2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなるPBSにおいて、PBSを構成する2つのプリズムの材料のガラスと、接着層を形成する接着剤の屈折率との間の差が、例えば上記条件式(1)の範囲外となる程度に、比較的小さい場合もあり得る。理論上は、両屈折率が等しく光学的な不連続面が存在しなければ、前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が光路に直交せず入射光に対し傾いて配置されたとしても、それに起因する非点収差は発生しない。すなわち、本発明の第2の実施形態は、現在一般に使用されている屈折率1.8以上のガラスを接着する時の接着剤として、接着剤の屈折率が所定の要件を満足する場合に、上記非点収差の問題を解決し得る点に着目したものであって、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満足するPBSである。
【0030】
Nc≧1.75 ……(2)
Np≧1.85 ……(3)
|Np−Nc|<0.2 ……(4)
ここで、
Nc:接着剤の屈折率
Np:ガラスの屈折率
【0031】
上記条件式(2)〜(4)を満足する場合は、非点収差の発生量は極めて少なく、実用上ほとんど問題とならない程度であるので、接着層および偏光分離膜よりなる介在層を楔形状にする必要が無く、製作工程上コストダウンを図ることができる。また、このようなPBSを用いた場合、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0032】
本実施形態による非点収差補正効果を示す一例として、図9に本実施形態に係るPBSによるMTF値のグラフを示す。このPBSは、2つのプリズムの互いに対向する面が略平行とされ、介在層はLCOSからの入射光に対し略45度傾いた厚みの略均一な層として形成されている。また、接着剤の屈折率Ncは1.75で、これ以外の系構成は上記図3に示したものと同様である。なお、ガラスの屈折率Npは1.87とされている。図9に軸上T像面および軸上S像面の値を示す。図9によれば、本実施形態により、上述した図8の場合に認められた非点収差がほぼ打ち消され、中心に対する非点収差が実用上差し支えない程度に良好に補正されていることが明らかである。
【0033】
また、本実施形態において、入射光に対し傾いて配置された介在層が、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、PBSを形成するプリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されている場合には、非点収差をさらに良好に補正することが可能となる。その効果を示す一例として、図10にMTF値のグラフを示す。このPBSは、介在層がLCOSからの入射光に対し略45度傾いた楔形状とされ、一方のプリズムの斜辺に相当する面が入射光に対し45度の傾きを有し、この面に対し他方のプリズムの斜辺に相当する面は0.54分(=角度δ)程度傾いている。これ以外の系構成は上記図9に示したものと同様である。図10に、軸上T像面および軸上S像面の値を示す。図10によれば、楔形状の介在層とすることにより、上述した図9の場合に残存した非点収差がさらに改善され、中心に対する非点収差が良好に補正されていることが明らかである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明に係るPBSを用いた投写型画像表示装置の具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
図1は、本実施例に係る投写型画像表示装置を示す図である。また、図2は図1のPBS1部分を拡大して示す図である。この装置は、光源(不図示)、時分割色分解手段を含んだ照明光学系3、内部に楔形状の介在層2を有する本発明に係るPBS1、画像表示素子としてのLCOS4、および投写レンズ5を備えてなる。介在層2は入射光に対し略45度の角度に配置され、楔形の形状は、LCOS4からの光入射面に近い部分で厚く、LCOS4からの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、このPBS1は、PBS1を形成する2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層2の接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、上記条件式(1)を満足する。
【0035】
光源(不図示)からの照明光は、照明光学系3を介し、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)状態でPBS1に入射し(矢印L1)、介在層2の偏光分離膜の作用によりLCOS側に反射される。LCOS4は、素子がONの状態でS偏光をP偏光に変換して反射させるので、P偏光とされた投映光はPBS1に再び入射し、介在層2を透過し、投写レンズ5を介しスクリーン(不図示)にフルカラー画像を拡大投映する。
【0036】
本実施例によれば、介在層2がLCOS4からの入射光に対し傾いて位置するようにPBSが配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層2とされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0037】
なお、本実施例の装置において、カラー画像を得るための時分割色分解手段としては例えば、カラーホイールやカラースイッチ(米国カラーリンク社の登録商標)を用いることができる。
【0038】
また、本実施例の装置にさらに画像表示素子を1枚加え、PBS1を透過した照明光をこの画像表示素子に照射させ、この画像表示素子により反射された投映光が介在層2で反射されて、他方の画像表示素子からの投映光と合成されるように構成してもよい。このような構成によれば、照明光の利用効率を向上させることができる。
【0039】
<実施例2>
図4は、本実施例に係る投写型画像表示装置を示す図である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系(不図示)、色分解合成手段としてのフィリップスプリズム16、内部に楔形状の介在層12を有する本発明に係るPBS11、画像表示素子としてのLCOS14a、14b、14cおよび投写レンズ15を備えてなる。
【0040】
PBS11は、図2に示されたPBS1と略同様とされているので詳しい説明は省略する。介在層12は照明光学系からの入射光に対し略45度の角度に配置されている。また、楔形の形状は、LCOS14a、14b、14cからの光入射面に近い部分で厚く、LCOS14a、14b、14cからの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、このPBS11は、PBS11を形成する2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層12の接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、上記条件式(1)を満足する。
【0041】
ここで、フィリップスプリズム16は、第1〜第3のプリズム16a、16b、16cから構成されている。第1のプリズム16aの第1の色光射出面と対向する位置には、第1の色光用LCOS14aが、第2のプリズム16bの第2の色光射出面と対向する位置には、第2の色光用LCOS14bが、第3のプリズム16cの第3の色光射出面と対向する位置には、第3の色光用LCOS14cが、それぞれ配置されている。上記第1〜第3の色光は青色、赤色、緑色の3原色光を任意の順に対応させることができる。本実施例では、緑色光成分に対する非点収差の影響を重視する観点から、第1の色光を緑色、第2の色光を青色、第3の色光を赤色としている。
【0042】
また、第1のプリズム16aの、第2のプリズム16bとの境界に位置する反射プリズム面17aには、第1の色光を含む波長域の光のみを反射し、第2および第3の色光を含む波長域の光は透過するダイクロイック膜が形成されている。さらに、第2のプリズム16bの、第3のプリズム16cとの境界に位置する反射プリズム面17bには、第2のプリズム16bに入射してきた光のうち、第2の色光を含む波長域の光は反射して、波長域外の光は透過する分光特性を持つダイクロイック膜が形成されている。
【0043】
光源(不図示)からの照明光は、照明光学系(不図示)を介し、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)状態で照明光としてPBS11に入射し(矢印L)、介在層12の偏光分離膜の作用によりフィリップスプリズム側に反射される。照明光は、フィリップスプリズム16の第1のプリズム16aに入射して、反射プリズム面17aにおいて、第1の色光のみが反射され、第2および第3の色光は透過する。反射プリズム面17aにおいて反射された第1の色光は、入射プリズム面において全反射された後、第1の色光射出面から射出され、第1の色光用LCOS14aを照明する。
【0044】
一方、反射プリズム面17aを透過した第2および第3の色光は、反射プリズム面17bにおいて、第2の色光が反射され、第3の色光は透過される。反射された第2の色光は、第2のプリズム16bの全反射プリズム面において全反射されて第2の色光射出面から射出され、第2の色光用LCOS14bを照明する。また、透過した第3の色光は、第3のプリズム16cを透過して第3の色光射出面から射出され、第3の色光用LCOS14cを照明する。
【0045】
第1〜第3の色光用LCOS14a、14b、14cにおいて、各々、各色光に対応する画像情報を担持した投映光が反射され、上記色分解過程を逆行して合成され、再びPBS11に入射する。このとき、各LCOS14a、14b、14cは、素子がONの状態でS偏光をP偏光に変換して反射させるので、P偏光とされた投映光はPBS11において介在層12を透過し、投写レンズ15を介しスクリーン(不図示)にフルカラー画像を拡大投映する。
【0046】
本実施例によれば、介在層12がフィリップスプリズム16からの入射光、すなわち、LCOS14a、14b、14cからの入射光に対し傾いて位置するようにPBS11が配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層12とされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0047】
<実施例3>
図5は、本実施例に係る投写型画像表示装置である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系(不図示)、色合成手段としてのフィリップスプリズム26、内部に楔形状の介在層22a、22b、22cを有する本発明に係る第1〜第3のPBS21a、21b、21c、画像表示素子としてのLCOS24a、24b、24cおよび投写レンズ25を備えてなる。
【0048】
PBS21a、21b、21cは、図2に示されたPBS1と略同様とされているので詳しい説明は省略する。各介在層22a、22b、22cは照明光学系からの入射光に対し各々略45度の角度に配置されている。また、楔形の形状は、LCOS24a、24b、24cからの光入射面に近い部分で厚く、LCOS24a、24b、24cからの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、各PBS21a、21b、21cは、これらのPBS21a、21b、21cを形成する各々2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層22a、22b、22cの接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、各々上記条件式(1)を満足する。
【0049】
ここで、フィリップスプリズム26は、上記実施例2のフィリップスプリズム16と略同様の構成であるので説明は省略する。ただし、本実施例においては、フィリップスプリズム26は色合成手段としてのみ機能する。
【0050】
本実施例では、第1〜第3の色光用LCOS24a、24b、24cと、各々に対応するフィリップスプリズム26の第1〜第3のプリズム26a、26b、26cとの間に、第1〜第3の色光用のPBS21a、21b、21cが各々配されている。光源(不図示)からの照明光は、照明光学系(不図示)を介し、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)状態で照明光として第1〜第3の色光用の各PBS21a、21b、21cに入射し(矢印La、Lb、Lc)、介在層22a、22b、22cの偏光分離膜の作用により対応するLCOS側に反射され、第1〜第3の色光用LCOS24a、24b、24cを照明する。
【0051】
第1〜第3の色光用LCOS24a、24b、24cにおいて、各々、各色光に対応する画像情報を担持した投映光が反射され、再び各PBS21a、21b、21cに入射する。このとき、各LCOS24a、24b、24cは、素子がONの状態でS偏光をP偏光に変換して反射させるので、P偏光とされた投映光は各PBS21a、21b、21cにおいて介在層22a、22b、22cを透過し、フィリップスプリズム26の第1〜第3のプリズム26a、26b、26cに入射する。
【0052】
フィリップスプリズム26においては、上記実施例2のフィリップスプリズム16において色分解過程を逆行して合成されたと略同様に、各色光に対応する画像情報を担持した投映光が合成される。そしてこの合成された投映光が、投写レンズ25を介しスクリーン(不図示)にフルカラー画像を拡大投映する。
【0053】
本実施例によれば、介在層22a、22b、22cがLCOS24a、24b、24cからの入射光に対し傾いて位置するように各PBS21a、21b、21cが配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層22a、22b、22cとされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0054】
なお、上記実施例2と本実施例とは、フィリップスプリズムを用いた構成として共通するが、上記実施例2は使用するPBSが1つで装置の軽量化、低コスト化に有利であり、本実施例は各PBSが実施例2に比べLCOSに近接して配置されるので、偏光がガラス内を透過する光路長(ガラスパス)が短く複屈折が起こりにくく、画質的に優位にある。
【0055】
<実施例4>
本実施例に係る投写型画像表示装置は、光源、照明光学系、内部に楔形状の介在層を有する少なくとも1つの本発明に係る偏光ビームスプリッタを含む色分解合成手段、画像表示素子および投写レンズを備えてなるものである。この色分解合成手段としては、例えば、カラークワッド(米国カラーリンク社の登録商標)を用いることができる。
【0056】
図6は、このカラークワッドを用いた投写型画像表示装置の概略構成を示す図である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系33、カラークワッド38、画像表示素子としてのLCOS34a、34b、34cおよび投写レンズ35を備えてなり、光源(不図示)からの照明光は、照明光学系33を介しカラークワッド38に入射し、カラークワッド38において、色分解後にLCOS34a、34b、34cにより各色光成分に対応した画像情報を担持した投映光とされ、さらに色合成されて出射され、投写レンズ35を介しスクリーン(不図示)に拡大されたフルカラー画像を投映する。カラークワッド38は、内部に楔形状の介在層32c、32dを有する本発明に係るPBS31c、31dを含むものである。
【0057】
PBS31c、31dは、図2に示されたPBS1と略同様とされているので詳しい説明は省略する。各介在層32c、32dはLCOS34a、34b、34cからの入射光に対し各々略45度の角度に配置されている。また、楔形の形状は、LCOS34a、34b、34cからの光入射面に近い部分で厚く、LCOS34a、34b、34cからの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、各PBS31c、31dは、これらのPBS31c、31dを形成する各々2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層32c、32dの接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、各々上記条件式(1)を満足する。
【0058】
ここで、カラークワッド38は、図6に示されるとおり、内部の偏光分離膜がX字型になるように配列された第1〜第4PBS31a、31b、31c、31d、3色光成分に対応する第1〜第3LCOS34a、34b、34c、第1〜第4特定波長偏光変換素子36a、36b、36c、36d、および第1〜第2偏光板37a、37bを備えてなる。上記第1〜第3LCOS34a、34b、34cは、青色、赤色、緑色の3原色光を任意の順に対応させることができる。本実施例では、緑色光成分に対する非点収差の影響を重視する観点から、第1の色光を緑色、第2の色光を青色、第3の色光を赤色としている。
【0059】
偏光板37aは照明光の偏光方向をS偏光に揃え、偏光板37bは投映光の偏光方向をP偏光に揃えるために配され、投写画像のコントラスト向上を図る。また、特定波長偏光変換素子36a、36b、36c、36dは、所定の色光を所定角度だけ回転させS偏光をP偏光に変換する素子である。特定波長偏光変換素子36a、36dは、第1の色光をS偏光からP偏光に変換し、特定波長偏光変換素子36b、36cは、第3の色光をS偏光からP偏光に変換する。
【0060】
これらの作用により、第1の色光はPBS31a、31bを透過して第1の色光を光変調させるLCOS34aを照射し、第2の色光はPBS31a、31cの各々の内部で反射されて第2の色光を光変調させるLCOS34bを照射し、第3の色光はPBS31a内部で反射され、PBS31cを透過して第3の色光を光変調させるLCOS34cを照射する。そして、第1の色光は第1のLCOS34aのONに対応する投映光がS偏光に変換されて反射され、PBS31b、31dの内部で反射され、第2の色光は第2のLCOS34bのONに対応する投映光がP偏光に変換されて反射され、PBS31c、31dを透過し、第3の色光は第3のLCOS34cのONに対応する投映光がS偏光に変換されて反射され、PBS31c内部で反射され、PBS31dを透過して、3色光成分が合成されてカラークワッド38から射出される。
【0061】
図6に示す装置によれば、介在層32c、32dが、LCOS34a、34b、34cからの入射光に対し傾いて位置するようにPBS31c、31dが配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層32c、32dとされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0062】
また、図6に示す装置によれば、カラークワッド38を構成する4つのPBSのうち、PBS31c、31dが、内部に本発明に係る楔形状の介在層32c、32dを有している。PBSにおいて、偏光分離膜と接着層からなる介在層が入射光に対し傾いて位置する場合に非点収差が発生することは前述したとおりであるが、照明光に関してはこのような非点収差が発生しても実用上問題とはならない。そのため、各LCOS34a、34b、34cより後段の、画像情報を担持したいずれかの投映光の光路にかかる介在層32c、32dが所定の楔形状とされていれば、実用上十分な光学性能を得ることができる。厳密には、偏光分離膜がPBS31c、31dを構成する2つのプリズムのいずれの面に形成されているかにより、いずれのLCOSからの投映光に非点収差の影響が現れる虞があるかは異なるが、これら2つのPBS31c、31dの介在層32c、32dを所定の楔形状としていれば必要十分である。
【0063】
なお、本実施例において、色分解合成手段の例として、カラークワッドを用いたが、本実施例の色分解合成手段としては、4個のPBSで構成されるカラークワッドに限られず、少なくとも1つの本発明に係るPBSを備えた色分解合成手段とされていればよい。また、本実施例の色分解合成手段としては、4つのPBSに分割されていないような、例えば、これらのPBSが一体化されたプリズムで、内部に偏光分離作用を有する部材を含むような色分解合成手段であってもよい。
【0064】
本発明に係る偏光ビームスプリッタおよびこれを用いた投写型画像表示装置としては、上記各実施例のものに対し種々の態様の変更が可能である。例えば、上記偏光分離面においては、P偏光を透過光、S偏光を反射光とするようにして偏光分離を行なっているが、S偏光を透過光、P偏光を反射光とするようにして偏光分離を行なう偏光分離面を用いるような構成とされていてもよい。また、本発明に係る投写型画像表示装置においては、本発明に係る偏光ビームスプリッタの個数を限定するものではない。
【0065】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る偏光ビームスプリッタおよびこれを用いた投写型画像表示装置によれば、PBS内部の介在層が所定の楔形状とされていることにより、傾いた介在層に起因する非点収差を良好に補正し得る偏光ビームスプリッタを得ることができ、これを用いて、近年の技術動向に適応した、LCOS本来の高解像な投写画像を得ることのできる投写型画像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図2】図1の装置のPBS部分の拡大図
【図3】本発明の第1の実施形態に係るPBSの非点収差補正作用を示すMTF図
【図4】本発明の実施例2に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図5】本発明の実施例3に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図6】本発明の実施例4に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図7】従来例に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図8】従来例に係るPBSの非点収差発生を示すMTF図
【図9】本発明の第2の実施形態に係るPBSの非点収差補正作用を示すMTF図
【図10】本発明の第2の実施形態に係るPBSに楔形状の介在層を形成した場合の非点収差補正作用を示すMTF図
【符号の説明】
1、11、21a〜c、31a〜d、51 偏光ビームスプリッタ
1a、1b、16a〜c、26a〜c プリズム
2、12、22a〜c、32a〜d、52 介在層
3、33、53 照明光学系
4、14a〜c、24a〜c、34a〜d、54 LCOS
5、15、25、35、55 投映光学系
16、26 フィリップスプリズム
17a、17b 反射プリズム面
36a〜d 特定波長偏光変換素子
37a、37b 偏光板
38 カラークワッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、投写型画像表示装置に用いられる偏光ビームスプリッタに関し、特に、画像表示素子の高解像度化に対応した良好な光学性能を有する偏光ビームスプリッタおよびこれを用いた投写型画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、投写型画像表示装置の画像表示素子として、LCOS(エルコス:Liquid Crystal On Silicon)と総称される反射型画像表示素子が注目されている。その特徴を2点挙げるとすれば、透過型のそれに対して開口率が高く高輝度化に有利である点と、同等素子サイズで高解像度化が可能な点である。このLCOSは偏光方向を制御して素子のOnとOffを表現するため、通常、偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと称する)とともに用いられる。また、そのPBSは画像表示素子と投写レンズ間の光路中に配置されることが一般的である。
【0003】
投写型画像表示装置に用いられるPBSは、2個の直角二等辺三角形プリズムの斜辺に相当する面同士を接着したものが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。両面の少なくとも一方には偏光分離膜が形成され、PBSに入射した光の偏光方向に応じて、一方の偏光方向の光を透過させ他方の偏光方向の光を反射して、分離または/および合成を行なう。以下、この偏光分離膜と接着剤による接着層とを併せて介在層と称する。
【0004】
このようなPBSを備えた投写型画像表示装置の概略構成を図7に示す。照明光学系53から、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)照明光がPBS51に入射し(矢印L1)、入射光に対し45度の角度に配置された介在層52で一旦LCOS側に反射される(矢印L2)。LCOS54でP偏光とされた投映光はPBS51に再び入射し(矢印L3)、介在層52を透過し、投写レンズ55を介しスクリーン(不図示)に画像を投映する(矢印L4)。なお、このように3枚よりも少ない画像表示素子を用いた投写型画像表示装置においてカラー画像を得る場合には、照明光学系中に時分割色分解手段をもつ必要がある。
【0005】
図7では、PBS51は説明のため、その介在層52を拡大して描いている。ここで、製造誤差を無視すれば2つの二等辺三角形プリズムの斜辺に相当する面は、互いに平行に接着される。すなわち、介在層52の厚さはいずれの位置でも一定値Cとなる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−40367号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、LCOSを用いた投写型画像表示装置の場合、光学部品の複屈折による影響を極力排除することが投写画像のコントラストを高める為に重要である。また、波長範囲が広い領域で良好な偏光分離膜とするためには、PBS本体の屈折率が高い方が望ましい。これらの要求を満たすプリズム材質ガラスとして、現在は、屈折率が1.8よりも高いものが最も多く使用されている。
【0008】
一方、接着剤の屈折率は1.5程度のものが多用されている。したがって、PBSを構成するプリズムと介在層の接着剤部分とは、光学的に不連続となる。一般的に、光学的な不連続面が光路に直交せずある角度(図7の場合は45度であるがこの角度に限定されるものではない)をもって配置された場合には、非点収差が発生する。
【0009】
上述したとおり、LCOSの1つの特徴として「高解像化の有利性」がある。近年の技術進歩により、LCOSは10数ミクロンの画素ピッチとなっている。このLCOSの高解像化に伴い、投写型画像表示装置では、投写レンズ等のLCOS以降の光学系の結像性能も向上させる必要がある。PBSもその例外ではなく、従来のLCOSの解像度では問題とならなかった程度の上述のPBSでの非点収差も、LCOSが10数ミクロンの画素ピッチとなった結果、投写画像の解像力低下の要因となり無視できない状況になっている。高解像のLCOSに対応した、非点収差を良好に補正可能なPBSが要望されている。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、偏光ビームスプリッタ内部の傾いた介在層に起因する非点収差を良好に補正し得る偏光ビームスプリッタを提供するとともに、これを用いて、近年の技術動向に適応した、LCOS本来の高解像な投写画像を得ることのできる投写型画像表示装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る偏光ビームスプリッタは、2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなる偏光ビームスプリッタにおいて、
前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が入射光に対し傾いて配置され、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように該介在層が、前記プリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記2つのプリズムを構成する材料の屈折率Npと、前記接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
|Np−Nc|>0.2 ……(1)
【0013】
また、本発明に係る投写型画像表示装置は、光源と、照明光学系と、時分割色分解手段と、前記楔形状の介在層を有する偏光ビームスプリッタと、1枚または2枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、少なくとも1つの前記偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されたものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る投写型画像表示装置は、光源と、照明光学系と、色分解合成手段または色合成手段としてのフィリップスプリズムと、前記楔形状の介在層を有する偏光ビームスプリッタと、3枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、少なくとも1つの前記偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されたものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る投写型画像表示装置は、光源と、照明光学系と、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタを含む色分解合成手段と、3枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、前記色分解合成手段に含まれる少なくとも1つの偏光ビームスプリッタが、前記楔形状の介在層を有する偏光ビームスプリッタとされ、その偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されたものであることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る偏光ビームスプリッタは、2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなる偏光ビームスプリッタにおいて、
前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が入射光に対し傾いて配置され、前記2つのプリズムを構成する材料の屈折率Npと、前記接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満足することを特徴とするものである。
Nc≧1.75 ……(2)
Np≧1.85 ……(3)
|Np−Nc|<0.2 ……(4)
【0017】
また、この偏光ビームスプリッタにおいて、入射光に対し傾いて配置された前記介在層が、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、前記プリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることがより好ましい。
【0018】
本発明に係る投写型画像表示装置は、上記偏光ビームスプリッタを用いたことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の2つの実施形態に係る偏光ビームスプリッタ(PBS)について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るPBSを用いた投写型画像表示装置であって、後述する本発明の実施例1に係る投写型画像表示装置を示す図である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系3、内部に楔形状の介在層2を有するPBS1、LCOS4、および投写レンズ5を備えてなり、照明光学系3からの照明光でLCOS4を照明し、LCOS4の画像情報を担持した投映光を投写レンズ5を介しスクリーン(不図示)上に拡大投映するものである。
【0020】
また、図2は図1のPBS1部分を拡大して示す図である。このPBS1は、2つの直角二等辺三角形プリズム1a、1bで構成され、プリズム1a、1bの斜辺に相当する面同士が接着層を介して貼り合わされている。プリズム1a、1bの斜辺に相当する面には、少なくとも一方の面に偏光分離膜が形成され、PBS1に入射した光の偏光方向に応じて、一方の偏光方向の光を透過させ他方の偏光方向の光を反射して、色分離または/および合成を行なう。以下、この偏光分離膜と接着層とを併せて介在層2と称する。
【0021】
PBS1は、その内部の介在層2がLCOS4からの入射光に対し傾いて位置するように配置されている。プリズム1a、1bを構成する材料のガラスの屈折率と、接着層を形成する接着剤の屈折率とには差があるため、このように光学的な不連続面が光路に直交せずある角度をもって配置された場合には、一般に非点収差が発生する。しかし、本実施形態によれば、介在層2は、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、LCOS4からの光入射面に近い部分で厚く、LCOS4からの光入射面に遠い部分で薄くなるように、楔形状に形成されている。
【0022】
すなわち、図2に示すように、プリズム1a、1bの斜辺に相当する面は互いに角度δをなし、介在層2はLCOS4に近い部分の厚みをB、LCOS4に遠い部分の厚みをAとした場合にA<Bとなるような楔形状の断面とされている。この角度δは、入射光に対する介在層2の傾きや、介在層2の平均的厚さ(例えば光軸上での厚さ)に応じて適宜設定することができる。なお、図1、2、および以下に示す図4〜6においては、各PBSは説明のため、その介在層を拡大して描いている。
【0023】
従来、PBSを形成する直角二等辺三角形プリズムの斜辺は通常平行になるように接着されていたが、本実施形態によれば、これを意図的に平行にならないように接着するという比較的小さな設計変更により、非点収差を良好に補正し得るPBS1を得ることができる。また、このようなPBS1を用いた場合、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0024】
このような楔形状の介在層2による非点収差補正の作用は、PBS1を形成する2つのプリズム1a、1bの材質の屈折率Npと、介在層2の接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(1)を満足する場合に特に有効である。
|Np−Nc|>0.2 ……(1)
【0025】
すなわち、2つのプリズムと接着層とに所定の屈折率差が在り、介在層2が光学的不連続面である場合に、介在層2を楔形状とする効果が大きい。例えば、上述のとおり、一般に用いられるPBSのように、プリズム材質ガラスの屈折率が1.8より高く、接着剤の屈折率が1.5程度である場合には、本実施形態による楔形状の介在層2が有効である。
【0026】
本実施形態による非点収差補正効果を示す一例として、図3および図8にMTF値のグラフを示す。図3は、本実施形態に係るPBSによるものであり、介在層2が、LCOS4からの入射光に対し略45度傾いた楔形状とされた場合のMTF値を示す。プリズム1aの斜辺に相当する面が入射光に対し45度の傾きを有し、この面に対しプリズム1bの斜辺に相当する面は1.02分(=角度δ)程度傾いている。また、図8は、上述の、図7に示した従来のPBSによるものであり、PBS51を形成する2つのプリズム51a、51bの間隔は平行とされ、介在層52は入射光に対し45度傾いて均等な厚さとされている。その他の条件は同等とされている。図3および図8に、軸上T像面および軸上S像面の値を示す。
【0027】
図8によれば、入射光に対し45度傾いた介在層52の影響により、光軸中心より非点収差が発生していることが分かる。他方、本発明の実施形態による図3によれば、図8の場合に認められた非点収差がほぼ打ち消され、中心に対する非点収差が良好に補正されていることが明らかである。
【0028】
楔形状の介在層2の製法としては、偏光分離膜または/および接着層の厚さを調整することにより形成することができる。例えば、接着層の厚さを調整する一法として、プリズム接着面の外周部の一部に所定直径の、剛性を有するビーズを混練した接着剤を塗布し、この部分と略対称位置のプリズム接着面の外周部に、このビーズと同様の材料で形成されこのビーズよりも小さい直径のビーズを混練した接着剤を塗布して、2つのプリズムを貼り合わせた後、内周部の楔形状の空間にビーズを混練しない接着剤を注入するようにして形成してもよい。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態に係るPBSについて説明する。2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなるPBSにおいて、PBSを構成する2つのプリズムの材料のガラスと、接着層を形成する接着剤の屈折率との間の差が、例えば上記条件式(1)の範囲外となる程度に、比較的小さい場合もあり得る。理論上は、両屈折率が等しく光学的な不連続面が存在しなければ、前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が光路に直交せず入射光に対し傾いて配置されたとしても、それに起因する非点収差は発生しない。すなわち、本発明の第2の実施形態は、現在一般に使用されている屈折率1.8以上のガラスを接着する時の接着剤として、接着剤の屈折率が所定の要件を満足する場合に、上記非点収差の問題を解決し得る点に着目したものであって、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満足するPBSである。
【0030】
Nc≧1.75 ……(2)
Np≧1.85 ……(3)
|Np−Nc|<0.2 ……(4)
ここで、
Nc:接着剤の屈折率
Np:ガラスの屈折率
【0031】
上記条件式(2)〜(4)を満足する場合は、非点収差の発生量は極めて少なく、実用上ほとんど問題とならない程度であるので、接着層および偏光分離膜よりなる介在層を楔形状にする必要が無く、製作工程上コストダウンを図ることができる。また、このようなPBSを用いた場合、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0032】
本実施形態による非点収差補正効果を示す一例として、図9に本実施形態に係るPBSによるMTF値のグラフを示す。このPBSは、2つのプリズムの互いに対向する面が略平行とされ、介在層はLCOSからの入射光に対し略45度傾いた厚みの略均一な層として形成されている。また、接着剤の屈折率Ncは1.75で、これ以外の系構成は上記図3に示したものと同様である。なお、ガラスの屈折率Npは1.87とされている。図9に軸上T像面および軸上S像面の値を示す。図9によれば、本実施形態により、上述した図8の場合に認められた非点収差がほぼ打ち消され、中心に対する非点収差が実用上差し支えない程度に良好に補正されていることが明らかである。
【0033】
また、本実施形態において、入射光に対し傾いて配置された介在層が、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、PBSを形成するプリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されている場合には、非点収差をさらに良好に補正することが可能となる。その効果を示す一例として、図10にMTF値のグラフを示す。このPBSは、介在層がLCOSからの入射光に対し略45度傾いた楔形状とされ、一方のプリズムの斜辺に相当する面が入射光に対し45度の傾きを有し、この面に対し他方のプリズムの斜辺に相当する面は0.54分(=角度δ)程度傾いている。これ以外の系構成は上記図9に示したものと同様である。図10に、軸上T像面および軸上S像面の値を示す。図10によれば、楔形状の介在層とすることにより、上述した図9の場合に残存した非点収差がさらに改善され、中心に対する非点収差が良好に補正されていることが明らかである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明に係るPBSを用いた投写型画像表示装置の具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
図1は、本実施例に係る投写型画像表示装置を示す図である。また、図2は図1のPBS1部分を拡大して示す図である。この装置は、光源(不図示)、時分割色分解手段を含んだ照明光学系3、内部に楔形状の介在層2を有する本発明に係るPBS1、画像表示素子としてのLCOS4、および投写レンズ5を備えてなる。介在層2は入射光に対し略45度の角度に配置され、楔形の形状は、LCOS4からの光入射面に近い部分で厚く、LCOS4からの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、このPBS1は、PBS1を形成する2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層2の接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、上記条件式(1)を満足する。
【0035】
光源(不図示)からの照明光は、照明光学系3を介し、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)状態でPBS1に入射し(矢印L1)、介在層2の偏光分離膜の作用によりLCOS側に反射される。LCOS4は、素子がONの状態でS偏光をP偏光に変換して反射させるので、P偏光とされた投映光はPBS1に再び入射し、介在層2を透過し、投写レンズ5を介しスクリーン(不図示)にフルカラー画像を拡大投映する。
【0036】
本実施例によれば、介在層2がLCOS4からの入射光に対し傾いて位置するようにPBSが配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層2とされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0037】
なお、本実施例の装置において、カラー画像を得るための時分割色分解手段としては例えば、カラーホイールやカラースイッチ(米国カラーリンク社の登録商標)を用いることができる。
【0038】
また、本実施例の装置にさらに画像表示素子を1枚加え、PBS1を透過した照明光をこの画像表示素子に照射させ、この画像表示素子により反射された投映光が介在層2で反射されて、他方の画像表示素子からの投映光と合成されるように構成してもよい。このような構成によれば、照明光の利用効率を向上させることができる。
【0039】
<実施例2>
図4は、本実施例に係る投写型画像表示装置を示す図である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系(不図示)、色分解合成手段としてのフィリップスプリズム16、内部に楔形状の介在層12を有する本発明に係るPBS11、画像表示素子としてのLCOS14a、14b、14cおよび投写レンズ15を備えてなる。
【0040】
PBS11は、図2に示されたPBS1と略同様とされているので詳しい説明は省略する。介在層12は照明光学系からの入射光に対し略45度の角度に配置されている。また、楔形の形状は、LCOS14a、14b、14cからの光入射面に近い部分で厚く、LCOS14a、14b、14cからの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、このPBS11は、PBS11を形成する2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層12の接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、上記条件式(1)を満足する。
【0041】
ここで、フィリップスプリズム16は、第1〜第3のプリズム16a、16b、16cから構成されている。第1のプリズム16aの第1の色光射出面と対向する位置には、第1の色光用LCOS14aが、第2のプリズム16bの第2の色光射出面と対向する位置には、第2の色光用LCOS14bが、第3のプリズム16cの第3の色光射出面と対向する位置には、第3の色光用LCOS14cが、それぞれ配置されている。上記第1〜第3の色光は青色、赤色、緑色の3原色光を任意の順に対応させることができる。本実施例では、緑色光成分に対する非点収差の影響を重視する観点から、第1の色光を緑色、第2の色光を青色、第3の色光を赤色としている。
【0042】
また、第1のプリズム16aの、第2のプリズム16bとの境界に位置する反射プリズム面17aには、第1の色光を含む波長域の光のみを反射し、第2および第3の色光を含む波長域の光は透過するダイクロイック膜が形成されている。さらに、第2のプリズム16bの、第3のプリズム16cとの境界に位置する反射プリズム面17bには、第2のプリズム16bに入射してきた光のうち、第2の色光を含む波長域の光は反射して、波長域外の光は透過する分光特性を持つダイクロイック膜が形成されている。
【0043】
光源(不図示)からの照明光は、照明光学系(不図示)を介し、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)状態で照明光としてPBS11に入射し(矢印L)、介在層12の偏光分離膜の作用によりフィリップスプリズム側に反射される。照明光は、フィリップスプリズム16の第1のプリズム16aに入射して、反射プリズム面17aにおいて、第1の色光のみが反射され、第2および第3の色光は透過する。反射プリズム面17aにおいて反射された第1の色光は、入射プリズム面において全反射された後、第1の色光射出面から射出され、第1の色光用LCOS14aを照明する。
【0044】
一方、反射プリズム面17aを透過した第2および第3の色光は、反射プリズム面17bにおいて、第2の色光が反射され、第3の色光は透過される。反射された第2の色光は、第2のプリズム16bの全反射プリズム面において全反射されて第2の色光射出面から射出され、第2の色光用LCOS14bを照明する。また、透過した第3の色光は、第3のプリズム16cを透過して第3の色光射出面から射出され、第3の色光用LCOS14cを照明する。
【0045】
第1〜第3の色光用LCOS14a、14b、14cにおいて、各々、各色光に対応する画像情報を担持した投映光が反射され、上記色分解過程を逆行して合成され、再びPBS11に入射する。このとき、各LCOS14a、14b、14cは、素子がONの状態でS偏光をP偏光に変換して反射させるので、P偏光とされた投映光はPBS11において介在層12を透過し、投写レンズ15を介しスクリーン(不図示)にフルカラー画像を拡大投映する。
【0046】
本実施例によれば、介在層12がフィリップスプリズム16からの入射光、すなわち、LCOS14a、14b、14cからの入射光に対し傾いて位置するようにPBS11が配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層12とされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0047】
<実施例3>
図5は、本実施例に係る投写型画像表示装置である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系(不図示)、色合成手段としてのフィリップスプリズム26、内部に楔形状の介在層22a、22b、22cを有する本発明に係る第1〜第3のPBS21a、21b、21c、画像表示素子としてのLCOS24a、24b、24cおよび投写レンズ25を備えてなる。
【0048】
PBS21a、21b、21cは、図2に示されたPBS1と略同様とされているので詳しい説明は省略する。各介在層22a、22b、22cは照明光学系からの入射光に対し各々略45度の角度に配置されている。また、楔形の形状は、LCOS24a、24b、24cからの光入射面に近い部分で厚く、LCOS24a、24b、24cからの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、各PBS21a、21b、21cは、これらのPBS21a、21b、21cを形成する各々2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層22a、22b、22cの接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、各々上記条件式(1)を満足する。
【0049】
ここで、フィリップスプリズム26は、上記実施例2のフィリップスプリズム16と略同様の構成であるので説明は省略する。ただし、本実施例においては、フィリップスプリズム26は色合成手段としてのみ機能する。
【0050】
本実施例では、第1〜第3の色光用LCOS24a、24b、24cと、各々に対応するフィリップスプリズム26の第1〜第3のプリズム26a、26b、26cとの間に、第1〜第3の色光用のPBS21a、21b、21cが各々配されている。光源(不図示)からの照明光は、照明光学系(不図示)を介し、偏光方向の揃えられた(この場合S偏光)状態で照明光として第1〜第3の色光用の各PBS21a、21b、21cに入射し(矢印La、Lb、Lc)、介在層22a、22b、22cの偏光分離膜の作用により対応するLCOS側に反射され、第1〜第3の色光用LCOS24a、24b、24cを照明する。
【0051】
第1〜第3の色光用LCOS24a、24b、24cにおいて、各々、各色光に対応する画像情報を担持した投映光が反射され、再び各PBS21a、21b、21cに入射する。このとき、各LCOS24a、24b、24cは、素子がONの状態でS偏光をP偏光に変換して反射させるので、P偏光とされた投映光は各PBS21a、21b、21cにおいて介在層22a、22b、22cを透過し、フィリップスプリズム26の第1〜第3のプリズム26a、26b、26cに入射する。
【0052】
フィリップスプリズム26においては、上記実施例2のフィリップスプリズム16において色分解過程を逆行して合成されたと略同様に、各色光に対応する画像情報を担持した投映光が合成される。そしてこの合成された投映光が、投写レンズ25を介しスクリーン(不図示)にフルカラー画像を拡大投映する。
【0053】
本実施例によれば、介在層22a、22b、22cがLCOS24a、24b、24cからの入射光に対し傾いて位置するように各PBS21a、21b、21cが配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層22a、22b、22cとされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0054】
なお、上記実施例2と本実施例とは、フィリップスプリズムを用いた構成として共通するが、上記実施例2は使用するPBSが1つで装置の軽量化、低コスト化に有利であり、本実施例は各PBSが実施例2に比べLCOSに近接して配置されるので、偏光がガラス内を透過する光路長(ガラスパス)が短く複屈折が起こりにくく、画質的に優位にある。
【0055】
<実施例4>
本実施例に係る投写型画像表示装置は、光源、照明光学系、内部に楔形状の介在層を有する少なくとも1つの本発明に係る偏光ビームスプリッタを含む色分解合成手段、画像表示素子および投写レンズを備えてなるものである。この色分解合成手段としては、例えば、カラークワッド(米国カラーリンク社の登録商標)を用いることができる。
【0056】
図6は、このカラークワッドを用いた投写型画像表示装置の概略構成を示す図である。この装置は、光源(不図示)、照明光学系33、カラークワッド38、画像表示素子としてのLCOS34a、34b、34cおよび投写レンズ35を備えてなり、光源(不図示)からの照明光は、照明光学系33を介しカラークワッド38に入射し、カラークワッド38において、色分解後にLCOS34a、34b、34cにより各色光成分に対応した画像情報を担持した投映光とされ、さらに色合成されて出射され、投写レンズ35を介しスクリーン(不図示)に拡大されたフルカラー画像を投映する。カラークワッド38は、内部に楔形状の介在層32c、32dを有する本発明に係るPBS31c、31dを含むものである。
【0057】
PBS31c、31dは、図2に示されたPBS1と略同様とされているので詳しい説明は省略する。各介在層32c、32dはLCOS34a、34b、34cからの入射光に対し各々略45度の角度に配置されている。また、楔形の形状は、LCOS34a、34b、34cからの光入射面に近い部分で厚く、LCOS34a、34b、34cからの光入射面に遠い部分で薄くなるように形成されている。また、各PBS31c、31dは、これらのPBS31c、31dを形成する各々2つのプリズムの材質の屈折率Npと、介在層32c、32dの接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、各々上記条件式(1)を満足する。
【0058】
ここで、カラークワッド38は、図6に示されるとおり、内部の偏光分離膜がX字型になるように配列された第1〜第4PBS31a、31b、31c、31d、3色光成分に対応する第1〜第3LCOS34a、34b、34c、第1〜第4特定波長偏光変換素子36a、36b、36c、36d、および第1〜第2偏光板37a、37bを備えてなる。上記第1〜第3LCOS34a、34b、34cは、青色、赤色、緑色の3原色光を任意の順に対応させることができる。本実施例では、緑色光成分に対する非点収差の影響を重視する観点から、第1の色光を緑色、第2の色光を青色、第3の色光を赤色としている。
【0059】
偏光板37aは照明光の偏光方向をS偏光に揃え、偏光板37bは投映光の偏光方向をP偏光に揃えるために配され、投写画像のコントラスト向上を図る。また、特定波長偏光変換素子36a、36b、36c、36dは、所定の色光を所定角度だけ回転させS偏光をP偏光に変換する素子である。特定波長偏光変換素子36a、36dは、第1の色光をS偏光からP偏光に変換し、特定波長偏光変換素子36b、36cは、第3の色光をS偏光からP偏光に変換する。
【0060】
これらの作用により、第1の色光はPBS31a、31bを透過して第1の色光を光変調させるLCOS34aを照射し、第2の色光はPBS31a、31cの各々の内部で反射されて第2の色光を光変調させるLCOS34bを照射し、第3の色光はPBS31a内部で反射され、PBS31cを透過して第3の色光を光変調させるLCOS34cを照射する。そして、第1の色光は第1のLCOS34aのONに対応する投映光がS偏光に変換されて反射され、PBS31b、31dの内部で反射され、第2の色光は第2のLCOS34bのONに対応する投映光がP偏光に変換されて反射され、PBS31c、31dを透過し、第3の色光は第3のLCOS34cのONに対応する投映光がS偏光に変換されて反射され、PBS31c内部で反射され、PBS31dを透過して、3色光成分が合成されてカラークワッド38から射出される。
【0061】
図6に示す装置によれば、介在層32c、32dが、LCOS34a、34b、34cからの入射光に対し傾いて位置するようにPBS31c、31dが配置されているにも拘わらず、所定の楔形状の介在層32c、32dとされていることにより、非点収差を良好に補正することができる。したがって、投写型画像表示装置としても良好な光学性能を得ることができる。
【0062】
また、図6に示す装置によれば、カラークワッド38を構成する4つのPBSのうち、PBS31c、31dが、内部に本発明に係る楔形状の介在層32c、32dを有している。PBSにおいて、偏光分離膜と接着層からなる介在層が入射光に対し傾いて位置する場合に非点収差が発生することは前述したとおりであるが、照明光に関してはこのような非点収差が発生しても実用上問題とはならない。そのため、各LCOS34a、34b、34cより後段の、画像情報を担持したいずれかの投映光の光路にかかる介在層32c、32dが所定の楔形状とされていれば、実用上十分な光学性能を得ることができる。厳密には、偏光分離膜がPBS31c、31dを構成する2つのプリズムのいずれの面に形成されているかにより、いずれのLCOSからの投映光に非点収差の影響が現れる虞があるかは異なるが、これら2つのPBS31c、31dの介在層32c、32dを所定の楔形状としていれば必要十分である。
【0063】
なお、本実施例において、色分解合成手段の例として、カラークワッドを用いたが、本実施例の色分解合成手段としては、4個のPBSで構成されるカラークワッドに限られず、少なくとも1つの本発明に係るPBSを備えた色分解合成手段とされていればよい。また、本実施例の色分解合成手段としては、4つのPBSに分割されていないような、例えば、これらのPBSが一体化されたプリズムで、内部に偏光分離作用を有する部材を含むような色分解合成手段であってもよい。
【0064】
本発明に係る偏光ビームスプリッタおよびこれを用いた投写型画像表示装置としては、上記各実施例のものに対し種々の態様の変更が可能である。例えば、上記偏光分離面においては、P偏光を透過光、S偏光を反射光とするようにして偏光分離を行なっているが、S偏光を透過光、P偏光を反射光とするようにして偏光分離を行なう偏光分離面を用いるような構成とされていてもよい。また、本発明に係る投写型画像表示装置においては、本発明に係る偏光ビームスプリッタの個数を限定するものではない。
【0065】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る偏光ビームスプリッタおよびこれを用いた投写型画像表示装置によれば、PBS内部の介在層が所定の楔形状とされていることにより、傾いた介在層に起因する非点収差を良好に補正し得る偏光ビームスプリッタを得ることができ、これを用いて、近年の技術動向に適応した、LCOS本来の高解像な投写画像を得ることのできる投写型画像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図2】図1の装置のPBS部分の拡大図
【図3】本発明の第1の実施形態に係るPBSの非点収差補正作用を示すMTF図
【図4】本発明の実施例2に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図5】本発明の実施例3に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図6】本発明の実施例4に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図7】従来例に係る投写型画像表示装置の概略構成図
【図8】従来例に係るPBSの非点収差発生を示すMTF図
【図9】本発明の第2の実施形態に係るPBSの非点収差補正作用を示すMTF図
【図10】本発明の第2の実施形態に係るPBSに楔形状の介在層を形成した場合の非点収差補正作用を示すMTF図
【符号の説明】
1、11、21a〜c、31a〜d、51 偏光ビームスプリッタ
1a、1b、16a〜c、26a〜c プリズム
2、12、22a〜c、32a〜d、52 介在層
3、33、53 照明光学系
4、14a〜c、24a〜c、34a〜d、54 LCOS
5、15、25、35、55 投映光学系
16、26 フィリップスプリズム
17a、17b 反射プリズム面
36a〜d 特定波長偏光変換素子
37a、37b 偏光板
38 カラークワッド
Claims (8)
- 2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなる偏光ビームスプリッタにおいて、
前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が入射光に対し傾いて配置され、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように該介在層が、前記プリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることを特徴とする偏光ビームスプリッタ。 - 前記2つのプリズムを構成する材料の屈折率Npと、前記接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載の偏光ビームスプリッタ。
|Np−Nc|>0.2 ……(1) - 光源と、照明光学系と、時分割色分解手段と、請求項1または2記載の偏光ビームスプリッタと、1枚または2枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、少なくとも1つの前記偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることを特徴とする投写型画像表示装置。
- 光源と、照明光学系と、色分解合成手段または色合成手段としてのフィリップスプリズムと、請求項1または2記載の偏光ビームスプリッタと、3枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、少なくとも1つの前記偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることを特徴とする投写型画像表示装置。
- 光源と、照明光学系と、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタを含む色分解合成手段と、3枚の画像表示素子と、投写レンズとを備えた投写型画像表示装置において、前記色分解合成手段に含まれる少なくとも1つの偏光ビームスプリッタが、請求項1または2記載の偏光ビームスプリッタとされ、その偏光ビームスプリッタの前記介在層が、前記画像表示素子からの光入射面に近い部分で厚く、前記画像表示素子からの光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることを特徴とする投写型画像表示装置。
- 2つのプリズムを接着層を介して貼り合わせ、この接着層を挟む該2つのプリズムの互いに対向する面の少なくとも一方に偏光分離膜を形成してなる偏光ビームスプリッタにおいて、
前記接着層および前記偏光分離膜よりなる介在層が入射光に対し傾いて配置され、前記2つのプリズムを構成する材料の屈折率Npと、前記接着層を形成する接着剤の屈折率Ncとが、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満足することを特徴とする偏光ビームスプリッタ。
Nc≧1.75 ……(2)
Np≧1.85 ……(3)
|Np−Nc|<0.2 ……(4) - 入射光に対し傾いて配置された前記介在層が、この傾きにより生じる非点収差を打ち消すように、前記プリズムの光入射面に近い部分で厚く、光入射面に遠い部分で薄くなるように楔形状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の偏光ビームスプリッタ。
- 請求項1、2、6、7のうちいずれか1項記載の偏光ビームスプリッタを用いたことを特徴とする投写型画像表示装置。
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