JP3641558B2 - クロスダイクロイックミラーおよびこれを用いた画像投影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色信号に対応した複数の画像表示素子を備え、各画像表示素子から出射される画像を合成し拡大投影する装置において、画像を合成するダイクロイックミラーと、このダイクロイックミラーを使用した画像投影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示パネルなどの表示素子を利用して、プレゼンテーション用の拡大画像投影装置や、背面投影型のテレビが製品化されている。
通常これらの装置でカラー表示を行う方式には、一枚の表示素子にすべての色信号成分の画像を表示させる1枚方式と、画像の色信号成分の数(一般に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色)だけ、複数の表示素子を用意し、それぞれの画像信号に対応する色の光を入射し、光学的に合成して投影する方式がある。本発明は後者に関する発明であり、まずこれに関する従来技術について説明する。
【0003】
複数の表示素子に表示された画像を光学的に画像を合成する方式には、ダイクロイックミラーを用いたミラー順次方式と、クロスダイクロイックプリズム方式とがある。また、通常クロスダイクロイックプリズムは、直角二等辺三角形を底面とする4個の三角柱のガラスブロックを組み合わせて構成されるが、液体(オプティカルマッチング液)を使うものも開示されている。
【0004】
まず、ミラー順次方式について説明する。
【0005】
図13は従来の代表的なミラー順次方式の画像投影装置である。131は白色光源であり、白色光源131から出た白色光は、ダイクロイックミラー132によって、例えば、青(B)とイエロー(赤+緑)の2色に分離される。以下、赤の光はR光、緑の光はG光、青の光はB光と呼ぶ。B光は、全反射ミラー137を経て青の色信号成分を表示する表示素子である透過型の液晶表示パネル136Bに入射される。一方、イエロー光はダイクロイックミラー133によって、さらにR光とG光に分離され、赤、緑の各色信号に応じた画像を表示する表示素子である液晶表示パネル136R、136Gに入射される。緑の色信号を表示する液晶表示パネル136Gを透過した光は、ダイクロイックミラー134で青の色信号を表示する液晶表示パネル136Bを透過した光と合成される。赤の色信号を表示する液晶表示パネル136Rを透過した光は、全反射ミラー138で反射し、ダイクロイックミラー135で合成され、この後投影レンズ139でスクリーン上に投影される。
【0006】
この光学系は、シンプルでコストパフォーマンスに優れているが、ダイクロイックミラーを色合成系に使用しているので、次のような理由から、各表示素子の画像を精度良く合成することが困難という欠点がある。
▲1▼ダイクロイックミラーを透過する光路と、反射する光路との間に、光路長の違いがおきる。
▲2▼各表示素子からの画像を合成するダイクロイックミラーが、光軸に対して斜めに配置されているので、種々の収差が生じる。
【0007】
上記▲1▼について説明する。通常ダイクロイックミラーはガラス基板の上に機能層としての誘電体多層膜が形成されており、ある特定波長域の光を選択的に透過または反射する。この機能を利用して光源の光を2色に分光、または、異なる波長域の色画像を合成させることができる。
【0008】
図12(a)はダイクロイックミラーの断面を示しており、121が誘電体多層膜である。この図では、ダイクロイックミラーの膜へ直接に入射した光と、裏面の基板側から入射した光が合成されるところを模式的に示してある。ダイクロイックミラーに入射する光線122は、誘電体多層膜121の表面で反射し基板を透過せずに進むが、光線123は基板を透過するので、透過光の光路長は基板の中を光が通過する分だけ長くなる。
【0009】
図13のミラー順次光学系において、ダイクロイックミラー134、135のの膜はそれぞれ投影レンズに近い側の面に形成されているとする。液晶表示パネル136R、136G、136Bからそれぞれ出射した光のうち、液晶表示パネル136Bからの光はダイクロイックミラーの基板を2回透過するが、液晶表示パネル136Gからの光は1回、液晶表示パネル136Rからの光は反射のみで透過していなく、それぞれの光路長が異なっており、投影レンズの結像特性(像倍率、収差)に影響を与える。
【0010】
このような問題に関して、特開平5−107501号公報では、図12(b)のように膜を中央に、両側に光学的に実質的に等しい厚さとなる基板を設置することで、透過光路と反射光路の光路差をなくすことを開示している。
【0011】
次に、上記▲2▼について説明する。これは投影系に斜めに平行平板を挿入すると種々の収差が生じるという問題であり、例えば、「光機器の光学I」早水良貞著:日本オプトメカトロニクス協会(1989):P426〜434に説明されている。
【0012】
このような問題に対して、実開平6−25831号公報では、ダイクロイックミラーと光軸に対して、対称的な角度でガラス等の補正板を入れることで、収差を補正することを開示している。
また、特開平5−313119号公報では、ダイクロイックミラーの基板を楔状にして、収差を補正する方法が開示されている。
【0013】
次にダイクロイックプリズム方式について説明する。
【0014】
図14は、従来のダイクロイックプリズム方式の画像投影装置である。クロスダイクロイックプリズム140によって、各表示素子である液晶表示パネルから出射した光を合成している。144は白色光源であり、白色光源144から出た白色光は、ダイクロイックミラー142によって、例えば、青とイエロー(赤+緑)の2色に分離される。B光は、全反射ミラー147を経て、青の色信号成分を表示する液晶表示パネル141Bに入射される。一方、イエロー光は、ダイクロイックミラー143によって、さらにR光とG光に分離され、赤、緑の各色信号に基づく画像を表示する液晶表示パネル141R、141Gに入射される。
【0015】
各液晶表示パネルに入射した光は、各画像に対応した信号に応じて変調をうけ、ダイクロイックプリズム140に入射する。合成された後、投影レンズ145でスクリーン上に投影される。
【0016】
上記では、透過型の液晶表示パネルを用いたが、この方式では反射型表示素子を使用することもできる。反射型表示素子には、液晶を使った液晶表示素子や、液晶を使わない例えばデジタルミラーデバイス(DMD)のような表示素子がある。液晶を使用した液晶表示素子には、液晶の複屈折性を利用したモードや、ポリマー分散方式のような複屈折を用いないモードのものがある。
【0017】
反射型表示素子を使用したクロスプリズム方式の画像投影装置の従来例を、図15に示す。ここでは、反射型液晶表示素子として、複屈折モードを利用した反射型液晶表示パネルを用いた。さらに、1個の偏光分離素子151とクロスダイクロプリズム150を用いた。
【0018】
この従来例について説明する。白色光源153からの光を偏光分離素子151によって、S偏光はクロスダイクロイックプリズム150の方に反射される。クロスダイクロイックプリズムで、赤、緑、青の各光に色分離されたS偏光は、反射型液晶表示パネル152R、152G、152Bに入り、ここで各色信号成分に対応して変調され、P偏光となって出射される。変調されない光はS偏光のまま出射される。出射された光は、クロスダイクロイックプリズム150で合成され、再び偏光分離素子151に入り、P偏光は投影レンズ154へ、S偏光は白色光源153側へ反射される。
【0019】
この方式の主構成部品は、偏光分離素子151とクロスダイクロイックプリズム150であり、小型でコンパクトな装置となるが、クロスダイクロイックプリズム150は、S偏光の色分離とP偏光の色合成(あるいはその逆)を行うので、両者の分光特性の差が小さいことが必要条件である。
【0020】
最後に、プリズム部がオプティカルマッチング液で構成されている例として、特開平5−241018号公報、特開平5―341254号公報が挙げられる。これらはダイクロイックミラーをX字のようにクロスさせ、オプティカルマッチング液の屈折率を基板の屈折率に実質的に等しい値に調整している。なお、これらダイクロイックミラーは、特開平5−107501号公報に開示されているような構造ではなく、基板の片面にのみ誘電体多層膜が形成されているものである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ミラー順次方式における特開平5−107501号公報に開示の手段によって光路長を同じにしても、光路中に斜めに平行平板を置くことと変わりはないので、種々の収差はなおも残存する。
【0022】
また、実開平6−25831号公報のように、ダイクロイックミラーと対称的な角度で補正ガラスを入れ収差を補正する方法においては、表示素子と投影レンズとの間に新たにダイクロイックミラーと同等の基板を挿入することになるので、表示素子と投影レンズとの距離を長くせざるを得ず、バックフォーカスの長い投影レンズが必要となる。
【0023】
投影画像の明るさは、投影レンズのF値に依存するので、F値を一定に保ったまま、バックフォーカスを長くすると、投影レンズの口径を大きくせざるを得ず高価になる。
【0024】
楔形状のガラス板を基板としたダイクロイックミラーを用いて収差を補正する方法では、楔形のガラス自体が高価であるので、ダイクロイックミラーも高価にならざるを得ない。
【0025】
このようにミラー順次方式は、構造がシンプルで高額な部品を使用しなくて良いため、コストパフォーマンスの良い方式ではあるが、上記のような課題がある。
【0026】
一方、クロスダイクロイックプリズム方式は、図13と図14を比較してわかるように、ミラー順次方式より投影レンズから表示素子までの距離を短くできるので、F値の小さな投影レンズが使用できる。したがって、スクリーンに投影される画像が明るくなるという特徴を持っている。
【0027】
しかしながら、ダイクロイックプリズムの価格は概ねその体積に比例するので、大きなプリズムになるほど高価になる。したがって、コストの面から小型の表示素子にしか用いることができず、表示素子のサイズが制限される。
【0028】
さらに、図15に示したように、反射型表示素子を用いる場合、S偏光の分離とP偏光の合成(あるいはその逆)を1つのダイクロイックプリズムで行うときには、スペクトル特性の偏光依存性が問題となる。
【0029】
このことを以下に説明する。一般に光線が光学的界面に入射した場合、入射光の偏光方向(P偏光、S偏光)、入射角度によって反射率が変化するが、入射角度が大きくなる、つまり入射角が面法線から遠ざかるほど、偏光依存性は大きくなる。(例えば、「光学」村田和美著:サイエンス社:P20〜35にに説明されている。)。
【0030】
クロスダイクロイックプリズムにおける膜への入射角度は45°なので、偏光方向によって反射率の差が大きくなり、P偏光とS偏光では色分離、合成を行う機能層での反射スペクトルの差が無視できなくなる。したがって、反射型表示素子で変調されても、偏光方向によるスペクトル差から、変調され再びダイクロイックプリズムに戻ってきた光のうちの一部は、機能層で反射されず透過して、他の表示素子に入りゴーストや色クロストークを引き起こし、画像品位を劣化させる。
【0031】
また、図15のような光学系において、表示素子が複屈折を利用した反射型液晶表示パネルの場合、偏光が1つのダイクロイックプリズム150を通るときの別な課題として、クロスダイクロイックプリズム150内の歪みによる複屈折の問題がある。
【0032】
クロスダイクロイックプリズム150内の複屈折は、クロスダイクロイックプリズム150を透過する光の偏光方向を変化させる。図15の光学系は、クロスダイクロイックプリズム150を通過した後の偏光分離素子151で、投影レンズ154へ向かう光と白色光源153に戻す光とを分離する。よって、クロスダイクロイックプリズム150の複屈折による偏光状態の変化が、コントラストの低下として画質に反映されることになる。特に、表示素子のサイズが大きい場合には、クロスダイクロイックプリズム150内部の光路長が長いため、複屈折の影響が大きくなり、画像品位に大きな影響を与える。
【0033】
最後にオプティカルマッチング液を用いる方法については、大型の表示素子に用いることができ、同サイズのクロスダイクロイックプリズムと比べ安価である。しかし、オプティカルマッチング液の安全性、液漏れ、昇温による液体の対流で投影画像が揺らぐことも懸念され、これを防止するための新たな対策が必要となる。
【0034】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のクロスダイクロイックミラーは、互いに異なる分光特性を有するダイクロイックミラーがX字状に組み合わされているクロスダイクロイックミラーにおいて、ダイクロイック特性を示す機能層が、X字状に交差した状態で、光学的に厚みの等しい基板に挟まれていることを特徴とする。
【0035】
請求項2記載のクロスダイクロイックミラーは、前記クロスダイクロイックミラーは、第1の基板上に形成された機能層に、第2の基板と等しい屈折率の接着層を介して、第2の基板と接着されていることを特徴とする。
【0036】
請求項3記載の画像投影装置は、光源と、前記光源からの光を異なる波長領域の光に分離する分離手段と、前記分離手段から分離された各々の光を受け、画像信号に応じて入射光を変調する複数の表示素子と、前記複数の表示素子から出射され、画像を合成する合成手段と、前記合成手段で合成された画像を投影する投影手段とからなる画像投影装置において、前記合成手段は、画像の合成を行う機能層が光学的に厚みの等しい基板に挟まれているクロスダイクロイックミラーであり、前記機能層は、X字状に交差していることを特徴とする。
【0037】
請求項4記載の画像投影装置は、画像信号に応じて入射光を変調する前記複数の表示素子は、反射型表示素子であり、前記複数の表示素子から出射され、画像を合成する前記合成手段は、前記光源からの光を異なる波長領域の光に分離する前記分離手段を兼ねていることを特徴とする。
【0038】
請求項5記載の画像投影装置は、画像信号に応じて入射光を変調する前記複数の表示素子は、一枚の偏光板を表示素子の前面に備えた反射型表示素子であり、前記表示素子への入射光の光路と、前記表示素子からの反射光の光路とが、前記複数の表示素子に対する角度によって、分離されていることを特徴とする。
【0039】
請求項6記載の画像投影装置は、画像信号に応じて入射光を変調する前記複数の表示素子は、入射光の偏光方向を変調する反射型表示素子であり、前記光源から前記表示素子に入射する光と、前記表示素子からの反射光とをそれぞれの偏光方向に応じて分離する偏光分離手段が、色分離および画像合成を兼ねるクロスダイクロイックミラーと、前記光源との間に配置されていることを特徴とする。
【0040】
上記構成による作用を以下に説明する。
【0041】
請求項1記載のクロスダイクロイックミラーによれば、次の作用がある。
▲1▼光学素子を透過、もしくは光学素子で反射される光の光路長が等しくなり、収差が打消される。
▲2▼平面素子の組み合わせによって構成されるので、同サイズのプリズムよりも安価に作ることができる。
【0042】
請求項2記載のクロスダイクロイックミラーによれば、次の作用がある。
▲3▼接着界面において画像品位を劣化させる不要な反射を防止できる。
【0043】
請求項3記載の画像投影装置によれば、次の作用がある。
▲4▼本発明のクロスダイクロイックミラーは、収差が打消される構造となっている。そしてクロス構造であるため、クロスダイクロイックプリズムと同等な大きさにできるので、バックフォーカスの短い、コンパクトな光学系とすることができる。このため、投影レンズを大きく高価にすることなく、口径を広げることができるので、明るい投影画像が得られる。
▲5▼クロスダイクロイックプリズムを用いた光学系より、軽量な画像投影装置が得られる。
▲6▼高価な光学部品を使用することがないため、画像投影装置のコストダウンが図れる。
【0044】
請求項4記載の画像投影装置によれば、コンパクトで安価な画像投影装置を実現できる。
【0045】
請求項5記載の画像投影装置によれば、小型で安価な画像投影装置を実現することができる。
【0046】
請求項6記載の画像投影装置によれば、偏光分離光学素子と本発明のクロスダイクロイックミラーを主要な光学素子とするコンパクトで安価な画像投影装置を実現することができる。
さらに、本発明のクロスダイクロイックミラーを、色分離と合成の両方の機能を兼て用いることができる。
また、本発明ではダイクロイックプリズムをしないので、ダイクロイックプリズムの内部歪による複屈折の課題は生じない。
【0047】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明のダイクロイックミラー1の実施形態であり、クロスダイクロイックミラー1を上部から見た断面を示している。10は誘電体多層膜であり、ダイクロイックミラー11、12とも同材料の基板13、14に挟まれた構造となっている。
【0048】
基板13、14に用いられる材料として、ガラスでは例えばソーダガラスや、光学素子に良く用いられるBK−7、また液晶表示パネルの基板に良く使用されているホウケイ酸系ガラスでコーニング社の#7059、#1737基板があげられる。また、透明プラスチック基板を用いることもでき、日本合成ゴム(株)のアートン、日本ゼオン(株)のゼオネックス等の複屈折が少ない透明プラスチック基板が使用できる。この場合、基板材料にプラスチックを使用すると、ガラスよりより一層の軽量化が実現できる。
【0049】
接着に用いる材料としては、例えば日本合成ゴム(株)の紫外線硬化樹脂KZ、Zシリーズ、日本化薬(株)のSHDシリーズから屈折率を適宜選んで用いることができる。なおこれら材料に限定されるものではない。
【0050】
さらに、クロスダイクロイックミラーの外表面に反射防止層をつけ、反射光による迷光によって二重像を防止しても良い。
【0051】
また、ダイクロイックミラーの材料に多層光学フィルムを使用することもできる。これは、フィルム状なので、ガラスもしくはプラスチック基板上に貼り合せ、この上からUV硬化樹脂で別の基板を貼り合せて使用する。ここで、このフィルムのベースフィルムの屈折率と基板の屈折率とを一致させるとなお良い。
【0052】
次に、ダイクロイックミラーの動作を説明をする。まず、手段の欄で説明した作用▲1▼について説明する。図1はクロス状に配置したダイクロイックミラーを示している。ここで、G光が左方向から入射し透過、B光が上方から、R光が下方からそれぞれ入射しいずれも右方向に反射させられるとする。つまり、ダイクロイックミラー11はB光反射、ダイクロイックミラー12はR光反射とする。
【0053】
まず、透過するG光15においては、このクロスダイクロイックミラーをダイクロイックミラー11と12がクロス状に配置したと考えると、ミラーの位置関係は、互いに面対称の関係に配置された平行平板をクロス点でつなぎ合せたと見ることができる。したがって、光軸に対して対称的な角度でガラス等の補正板を入れることと同様であるから、透過するG光の収差は打ち消される。
【0054】
次に、図1の上方または下方からクロスダイクロイックミラーに入射するB光16、R光(下方からの光は16と同じ)について考えると、ダイクロイックミラーは誘電体多層膜10を中央に両側に同厚の基板13、14を配置しているので、反射光の光路長は透過光のそれとまったく同じである。
【0055】
図12(b)は、光学的に実質的に等しい厚さの基板で挟まれている誘電体多層膜に入射した透過光と反射光を示している。光線125は誘電体多層膜124で反射するとき、誘電体多層膜までの距離127を通り、反射した後も実質的に等しい厚さの距離129を通る。透過光126は誘電体多層膜までの距離128と誘電体多層膜透過後の距離129を通る。ここで、距離127と128は同じであるから、透過光と反射光のいずれもミラー1枚分を透過することと同等で、光路長は変わらない。
【0056】
以上の説明と同様に、図1の上方あるいは下方から入射し図の右方向に反射されるB光16、R光についても、G光15が各誘電体多層膜10で光路が単に折り返されたと考えることができ、透過するG光で述べたように、ダイクロイックミラー11と12とが互いに収差を打消す関係となっていることがわかる。
【0057】
ここで、誘電体多層膜を挟み込んだダイクロイックミラーの構造は、従来例の特開平5−107501号公報と同じになるが、その開示例にはクロス構造にすることについては言及していない。
【0058】
手段の欄で説明した作用▲2▼について説明する。本構造では、高価なプリズムに変えてダイクロイックミラーを使うので、安価に作ることができる。プリズムの価格は、光学部品の体積に比例して価格が決まるといって良い。したがって、プリズムを使用しなくて良い本構造ではプリズムを用いる場合より安価であるばかりか、大型になっても価格がプリズムのように上がらないので、有効である。
【0059】
手段の欄で説明した作用▲3▼について説明する。接着層の屈折率と基板の屈折率が異なると、接着界面において反射が生じ、所望の光学特性が得られないことになるので、接着層の屈折率と基板の屈折率を合わせることで不要な反射を防止することができる。
【0060】
図2は、ダイクロイクミラーをクロス状に貼り合わせる製造法を示している。片面に誘電体多層膜を形成したダイクロイックミラーの膜側に、基板と同等の屈折率を持った紫外線硬化樹脂でダイクロイックミラーと同材料、同厚の基板をまず貼り合せる。ダイクロイックミラーの誘電体多層膜を挟み込んだ基板20、21を作った後、図2のように、2本の隙間を空けて置かれた当て板22を用意し、この上に一方のダイクロイックミラー20を2分割して乗せる。ここで当て板22は、分割された2枚のダイクロイックミラー20の平面出しを行うために用意したものである。当て板22の上に乗せられたダイクロイックミラー20は、ちょうど他方のダイクロイックミラー21の厚さ分だけ隙間を空けて配置されており、他方のダイクロイックミラー21をこの隙間に挿入して接着する。このようにして、クロスダイクロイックミラーを作ることができる。
【0061】
また、別な方法としては、図3に示すように、ダイクロイックミラーを挿入できる溝の入ったブロック30を用意し、図2と同様に分割された2枚のダイクロイックミラー20を他方のダイクロイックミラー21が入る程度の隙間を空けてブロック30上に配置し、他方のダイクロイックミラー21を挿入し接着しても良い。この場合は、クロスに配置されたミラーの両端に天板または底板となる補強板(図示せず)を接着してもよい。この補強板で強度の向上を図ることもできる。
【0062】
(実施形態2)
図4は、本発明の別のダイクロイックミラー40の実施形態であり、クロスダイクロイックミラー40を上部から見た断面を示している。ここでは、大きく4ブロック41、42、43、44からなっており、各ブロックは、片側に誘電体多層膜が形成された4枚のダイクロイックミラー411、421、431、441と、各ダイクロイックミラーと同厚同材料の基板412、422、432、442が、基板と同じ屈折率の樹脂で貼り合わされている。各ダイクロイックミラーの誘電体多層膜は、クロス点で一点に接触している。
【0063】
クロスダイクロイックミラー40の組み立て方法の一例について説明する。図5は、図4を部品に展開した図である。ダイクロイックミラー411、421、431、441はクロス点で一点に接触するように互いに貼り合わされ、各ダイクロイックミラーの基板と同厚同材料の基板412、422、432、442がその誘電体多層膜側に貼り合わされている。
【0064】
図6、図7はこのダイクロイックミラーの製造法の一例を示している。図6では、ダイクロイックミラー411と443との貼り合わせ角度を決める当て板60を介して接着しているところを示している。この後当て板60を外し、誘電体多層膜413面に基板412を、誘電体多層膜443面に基板442を接着する。ダイクロイックミラー421と431についても同様に行い、最後に、これらを貼り合せて、クロスダイクロイックミラー40を構成する。
【0065】
また、図7に示すように、当て板60を使う前に、先に基板412を接着し、ブロック41を形成してもよい。なお、ここで用いた接着剤の屈折率は基板と同じに調整されていることは言うまでもない。
【0066】
(実施形態3)
次に、本発明のクロスダイクロイックミラーを画像投影装置に用いた実施形態を説明する。
図8は、透過型の液晶表示素子を3枚使った画像投影装置の光学系を示している。80は本発明のクロスダイクロイックミラー、81R、81G、81Bはそれぞれ赤、緑、青の信号表示用の液晶表示パネル、82、83は色分離用のダイクロイックミラーである。84a、84b、84cは完全反射ミラーである。色分離用のダイクロイックミラー82によって、白色光源85からの白色光はG光、R光とB光に分離され、色分離用のダイクロイックミラー83でG光とR光が分離される。ここで、ダイクロイックミラー82、83は色分離のみに使用されるので、誘電体多層膜を挟み込んだ構造にする必要はない。
【0067】
この図8のように、色合成にクロスダイクロイックミラー80を使用することによって、ミラー順次光学系と比較して各表示素子を投影レンズ86に近づけることができる。
【0068】
但し、実施形態3の構成では、種々の収差のうち非点収差は残存するので、非点収差を低減するために、必要に応じてさらにシリンドリカルレンズ等の非点収差補正手段を講じてよい。(以下に記載される実施形態についても同様であることは言うまでもない。)
投影レンズの口径が同じで投影レンズと表示素子との距離が長い程、レンズの集光角は狭くなり、投影画像は暗くなるといって良い。本発明のクロスダイクロイックミラー80によって、投影レンズ86を表示素子に近づけることができるので、明るい投影像が得られる。(上記シリンドリカルレンズ等の補正手段は、表示素子と投影レンズ間の距離を大きく離すほどのスペースを取るものではないのでこの効果を損なうものではない。)
また、クロスダイクロイックミラーを用いているため、クロスダイクロイックプリズムより安価、軽量にできるばかりか、表示素子サイズに制限がかかることはない。
【0069】
また、クロスダイクロイックミラーをオプティカルマッチング液に浸した液浸クロスダイクロイックミラーで懸念された、液体の管理の問題や、液体の対流による画像の揺らぎの問題も生じない。
【0070】
(実施形態4)
本発明のクロスダイクロイックミラーを、反射型表示素子を用いた画像投影装置に適用する。反射型表示素子を使用した画像投影装置は、透過型表示素子を用いたものより、高精細で明るい画像投影装置が作れることや、発光強度の大きいランプを使った非常に強い光で投影する場合に適しているという特徴をもっている。このことは液晶表示パネルを例にとって説明すると、透過型液晶表示パネルは、高精細となるに従い、ゲート、ソースの配線部分やTFTの領域によって、一つの画素に占める光の透過領域が相対的に減少し開口率が下がる。つまり、光利用効率が下がり表示が暗くなる。
【0071】
一方、反射型液晶表示パネルの場合は、反射電極の下部にTFT、配線領域を作ることができるので、高精細になっても一つの画素に占める反射領域の割合を高いまま維持できるので、光利用効率を高くできる。その上、反射型液晶表示パネルでは、パネル背面にヒートシンクを設け、発光強度の大きいランプを使った時に生じる熱の問題に対処できるからである。
【0072】
本発明のクロスダイクロイックミラーは、本出願人による特願平9−180486号に開示されている光学系に適用することができ、実施形態3と同様の効果がある。
【0073】
図9にこの光学系を示す。90は本発明のクロスダイクロイックミラー、91R、91G、91Bはそれぞれ赤、緑、青の信号表示用の反射型液晶表示パネルである。92は色分離用のクロスダイクロイックミラーで、この場合は誘電体多層膜を基板で挟む必要はない。
【0074】
白色光源93から出射した光は、色分離のクロスダイクロイックミラー92の手前で偏光変換素子(図示せず)によって、S偏光のみにそろえてある。クロスダイクロイックミラー92とダイクロイックミラー96で、赤、緑、青に色分離された光は、偏光選択反射板95によって反射型液晶表示パネルの方へ反射される。偏光選択反射板95は3M社の光学フィルムを用いることができる。偏光選択反射板95はS偏光を反射し、P偏光を透過するので、プリズムを使った偏光分離素子(PBS)と同等の機能を持っているが、フィルムで構成されているため、ガラスプリズム製のPBSより安価であり、サイズの制限が厳しくない点で本発明のクロスダイクロイックミラーと同じメリットがある。
【0075】
94、97は偏光板であり、画像のコントラスト向上のために配置されている。
【0076】
91G、91R、91Bは複屈折モードをもった反射型液晶表示パネルである。この動作を説明すると、OFF状態では液晶が垂直配向をしており、ON状態のとき液晶の複屈折性で、液晶層を往復する間に1/2λの位相差が生じるように設定されている。この反射型液晶表示パネルに直線偏光(S偏光)が入射すると、OFF状態のときは、光の進行方向と液晶層の屈折率楕円体の主軸が一致しているので、直線偏光は偏波面が回転せず、反射電極で反射した後、再び液晶層を通って反射型液晶表示パネルから出射する。このときの入射した直線偏光の方向は保存される。一方、ON状態では光の進行方向に対して液晶層は複屈折性を示し、液晶層を一回通過する間に1/4λの位相差を生じる。光は反射電極で反射し液晶層を2回通過するので、1/2λの位相差を受ける。つまり、入射した直線偏光は反射板までに円偏光となり、反射板で反射し逆方向の回転の円偏光となる。そして、反射型液晶表示パネルから出射する時には、入射したときとはちょうど偏光方向が90°回転した状態となる。
【0077】
反射型液晶表示パネルの前にある偏光選択反射板でS偏光がパネルの方向に反射されると、OFF状態では偏光方向が回転せずに出射するので、S偏光の状態で出射し再び偏光選択反射板で反射されて、光源側にもどる。つまり、この時の表示は黒となる。ON状態では、偏光方向が90°回転するので、P偏光として反射型液晶表示パネルから出射する。偏光選択反射板はP偏光を透過させるので、光はクロスダイクロイクミラー方向に進み、ここで各色毎の画像が合成されて投影レンズ98に入る。したがって、この場合は白を表示することになる。
【0078】
ここで、偏光選択反射板の消光比が不十分な場合には、P偏光とS偏光とが混ざりコントラストを下げるので、出射側の偏光板94でこれをカットしてコントラストを向上させている。
【0079】
(実施形態5)
次に、反射型液晶表示パネルを用いた画像投影装置において、本発明のクロスダイクロイックミラー100を、色分離、合成の両方を兼ねた光学素子として使用する実施形態を示す。これは、本出願人による特願平9−353859号に開示されている光学系に適用することで得られる。
【0080】
図10は、この実施形態を示す図である。この光学系の構造上の特徴は、投影レンズ102の瞳位置から照明光を入れていることである。
【0081】
投影レンズ102の瞳位置は2分割されており、一方に反射板104が配置されている。白色光源101からの光はこの瞳位置におかれた反射板104へ入射され、入射した光は瞳位置の反射板104で反射型表示パネルの方向に反射される。反射された光はクロスダイクロイックミラー100で分光され、各反射型液晶表示パネル105R、105G、105Bに入射する。各反射型液晶表示パネルに入射した光は色信号に応じて変調を受けパネルから出射し、再びクロスダイクロイックミラー100で合成される。その後、2分割された投影レンズ102の瞳位置の、もう一方の領域を通ってスクリーンへ到達する。
【0082】
反射型液晶表示パネル105R、105G、105Bは、実施形態4で使用したものと同様の複屈折モードの反射型液晶表示パネルを用いた。ここで106は偏光板である。本発明のクロスダイクロイックミラー100は、入射光の分光と反射型液晶表示パネルからの出射光を合成する手段として使用している。
【0083】
この光学系では、偏光分離素子(PBS)を設置する必要がない。これは反射型液晶表示パネルへの入射光と反射型液晶表示パネルからの反射光とを分離するため、投影レンズ102の瞳位置を分割し、一方を照明光の入射側とし、反射型液晶表示パネルで反射させた後、他方を画像の出射側として使用しているからである。その代わりに、偏光板106で反射型液晶表示パネルに入る偏光方向を規定し、また出射光の不要な偏光方向の光をカットしている。また、この方式では、反射型液晶表示パネルで変調を受け、偏光方向が変ると偏光板でカットされるので、反射型液晶表示パネルがOFFのときは白表示(ノーマリーホワイト)であり、実施形態4とは逆になる。
【0084】
また、実施形態5において、図10の反射型表示パネル105R、105G、105Bと偏光板106との間に、広帯域の1/4λ波長板(図示せず)を、この進相軸または遅相軸が偏光板の透過軸に対して45°傾くように配置してもよい。この構成によれば、実施形態4と同様、反射型液晶表示パネルがOFF状態で黒表示(ノーマリーブラック)となる。これは、偏光板を通った直線偏光は1/4λ板を通ると円偏光となるが、反射型液晶表示パネルがOFFでは液晶層で変調を受けないので、反射電極で反射され、再び1/4λ板を通ると入射時の偏光方向から90°偏光方向が回転することになる。この光は偏光板で遮られるから、この場合は黒表示となる。反射型液晶表示パネルがONの状態では、液晶層を一回通ると1/4λ、往復で1/2λの位相差を受けるから、1/4λ板と液晶層による変調とで、反射されて偏光板に戻ってきたときには、偏光板の透過軸と同方向の直線偏光となる。したがって、この時は、白表示となる。
【0085】
また、この構成では、コントラストを下げる原因の一つである反射型液晶表示パネルの表面での表面反射も偏光方向が90°回転して偏光板に遮られるので、ノーマリホワイトの場合よりもコントラストの向上が期待できる。
【0086】
この方式は光学系がシンプルで、非常にコンパクトになる。従来まではクロスダイクロイックミラーの位置にクロスダイクロイックプリズムを用いており、この光学部品が高価であったが、本発明のクロスダイクロイックミラーに換えることで、軽量化とコストダウンを図ることができる。
【0087】
(実施形態6)
図11は、反射型液晶表示パネルを使用した別の実施形態である。112は偏光選択反射板であり、実施形態4において、反射型液晶表示パネルの前に設置された光学素子と同じものである。
【0088】
本発明のクロスダイクロイックミラーについて説明する。図12(b)に示すように、クロスダイクロイックミラーは、誘電体多層膜が基板に挟まれた構造であるため、クロスダイクロイックミラーに入射した光はまず基板に斜めに入射してから誘電体多層膜に入射する。このため、基板入射面での屈折により、誘電体多層膜に対する入射角は垂直に近くなる。今基板の屈折率がn=1.5とし、基板への入射角が45°とすると、誘電体多層膜へ入射する角度は概ね28°となり、図15のクロスダイクロイックプリズム150における入射角度と比較すると、分光特性の偏光依存性が小さくなる。
【0089】
白色光源113から出射した光は、偏光選択反射板112の手前で偏光変換素子(図示せず)によってS偏光のみにそろえてある。偏光選択反射板112によって、白色光源113からのS偏光は、本発明のクロスダイクロイックミラー110の方向へ反射される。
【0090】
クロスダイクロイックミラー110は入射したS偏光を、赤、緑、青に色分離して各反射型液晶表示パネルへ入射する。反射型液晶表示パネルは、実施形態4で説明したものと同様の複屈折モードを利用した表示素子である。各反射型液晶表示パネルに入射したS偏光は、色信号成分の信号に応じて反射型液晶表示パネルで変調され、画像信号に合わせて変調された光であるから、S偏光とP偏光の両方を含んでいる。
【0091】
各反射型液晶表示パネルからの光はクロスダイクロイックミラー110に再び入り合成される。ここで、本発明のクロスダイクロイックミラー110は、偏光方向によってスペクトル差がないので、一部光が他の反射型液晶表示パネルに入ることなく、クロスダイクロイックミラー110で合成されて、偏光選択反射板112に戻る。偏光選択反射板112は、P偏光は透過するがS偏光は光源へ戻すので、合成された光のうちP偏光のみ投影レンズを通って投影されることになる。
【0092】
以上の理由から、画像投影装置において、S偏光の分離とP偏光の合成(あるいはその逆)を1つのダイクロイックプリズムで行っていた代わりに、本発明のクロスダイクロイックミラーを、色分離と合成の両方の機能を兼て用いることができる。
【0093】
また、S偏光の分離とP偏光の合成(あるいはその逆)を1つのダイクロイックプリズムで行う場合、プリズムの内部歪による複屈折の課題については、本発明ではプリズムを使用することがないため、このような問題は生じない。
【0094】
実施形態6の光学系は、主要部品が、偏光選択反射板112と本発明のクロスダイクロイックミラー110のみであるため、大変シンプルでコンパクトな構成となる。しかもいずれの光学素子もプリズムを使用していないため、安価に作ることができる。
【0095】
【発明の効果】
本発明のクロスダイクロイックミラーは、ダイクロイック特性を示す機能層を光学的に実質的に等しい厚さで挟んだ構造とし、クロス状に配置することによって、その機能層で反射する光と透過する光との光路長が等しくすることができるとともに、収差を打消すことができる。
【0096】
このクロスダイクロイックミラーを画像投影装置に用いることによって、明るい投影画像が得られる、さらに小型で、安価な画像投影装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のクロスダイクロイックミラー1の構成を示す図である。
【図2】クロスダイクロイックミラー1の製造方法を説明する図である。
【図3】クロスダイクロイックミラー1の別の製造方法を説明する図である。
【図4】実施形態2のクロスダイクロイックミラー40の構成を示す図である。
【図5】クロスダイクロイックミラー40の展開図である。
【図6】クロスダイクロイックミラー40の製造方法を説明する図である。
【図7】クロスダイクロイックミラー40の別の製造方法を説明する図である。
【図8】透過型表示素子を使った画像投影装置に、本発明のクロスダイクロイックミラー80を適用した実施形態を説明する図である。
【図9】反射型表示素子を使った画像投影装置に、本発明のクロスダイクロイックミラー90を適用した実施形態を説明する図である。
【図10】反射型表示素子を使った画像投影装置に、本発明のクロスダイクロイックミラー100を適用した実施形態を説明する図である。
【図11】反射型表示素子を使った画像投影装置に、本発明のクロスダイクロイックミラー110を適用した実施形態を説明する図である。
【図12】(a)は、従来のダイクロイックミラーの機能を説明する図である。(b)は、本発明のダイクロイックミラーの機能を説明する図である。
【図13】透過型表示素子を使った画像投影装置の従来例を説明する図である。
【図14】透過型表示素子を使った画像投影装置の従来例を説明する図である。
【図15】反射型表示素子を使った画像投影装置の一実施形態を説明する図である。
Claims (6)
- 互いに異なる分光特性を有するダイクロイックミラーがX字状に組み合わされているクロスダイクロイックミラーにおいて、
ダイクロイック特性を示す機能層が、X字状に交差した状態で、光学的に厚みの等しい基板に挟まれていることを特徴とするクロスダイクロイックミラー。 - 前記クロスダイクロイックミラーは、第1の基板上に形成された機能層に、第2の基板と等しい屈折率の接着層を介して、第2の基板と接着されていることを特徴とする請求項1記載のクロスダイクロイックミラー。
- 光源と、前記光源からの光を異なる波長領域の光に分離する分離手段と、前記分離手段から分離された各々の光を受け、画像信号に応じて入射光を変調する複数の表示素子と、前記複数の表示素子から出射され、画像を合成する合成手段と、前記合成手段で合成された画像を投影する投影手段とからなる画像投影装置において、
前記合成手段は、画像の合成を行う機能層が光学的に厚みの等しい基板に挟まれているクロスダイクロイックミラーであり、
前記機能層は、X字状に交差していることを特徴とする画像投影装置。 - 画像信号に応じて入射光を変調する前記複数の表示素子は、反射型表示素子であり、
前記複数の表示素子から出射され、画像を合成する前記合成手段は、前記光源からの光を異なる波長領域の光に分離する前記分離手段を兼ねていることを特徴とする請求項3記載の画像投影装置。 - 画像信号に応じて入射光を変調する前記複数の表示素子は、一枚の偏光板を表示素子の前面に備えた反射型表示素子であり、
前記表示素子への入射光の光路と、前記表示素子からの反射光の光路とが、前記複数の表示素子に対する角度によって、分離されていることを特徴とする請求項4記載の画像投影装置。 - 画像信号に応じて入射光を変調する前記複数の表示素子は、入射光の偏光方向を変調する反射型表示素子であり、
前記光源から前記表示素子に入射する光と、前記表示素子からの反射光とをそれぞれの偏光方向に応じて分離する偏光分離手段が、色分離および画像合成を兼ねるクロスダイクロイックミラーと、前記光源との間に配置されていることを特徴とする請求項4記載の画像投影装置。
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