JP2000111864A - 投射型表示装置及び投射型表示装置の調整方法 - Google Patents

投射型表示装置及び投射型表示装置の調整方法

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JP2000111864A
JP2000111864A JP10286166A JP28616698A JP2000111864A JP 2000111864 A JP2000111864 A JP 2000111864A JP 10286166 A JP10286166 A JP 10286166A JP 28616698 A JP28616698 A JP 28616698A JP 2000111864 A JP2000111864 A JP 2000111864A
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phase difference
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beam splitter
incident
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JP10286166A
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English (en)
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Tetsuyuki Miyawaki
徹行 宮脇
Hideki Yamamoto
英樹 山本
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、投射型表示装置に関し、例えば反
射型液晶パネルにより空間変調した映像光をスクリーン
上に投射するプロジェクタ装置に適用して、黒浮きによ
るコントラストの劣化を防止する。 【解決手段】 少なくとも偏光ビームスプリッタ11に
よる入射光の4分の1波長に相当する遅延量に色分解合
成手段21B、21Rによる遅延量を加算した遅延量を
打ち消すように常光線と異常光線との間に発生する遅延
量が設定された位相差板31B、31R、31Gを配置
するにつき、この位相差板31B、31R、31Gを回
動させて位相差を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、投射型表示装置及
び投射型表示装置の調整方法に関し、例えば反射型液晶
パネルにより空間変調した映像光をスクリーン上に投射
するプロジェクタ装置に適用することができる。本発明
は、位相差板を回動させて、反射型画像形成手段の入射
光及び出射光に与える位相差を調整することにより、簡
易かつ確実に黒浮きによるコントラストの劣化を防止す
ることができるようにする。
【0002】
【従来の技術】従来、投射型表示装置においては、反射
型液晶パネルを用いて空間変調した映像光を生成し、こ
の映像光をスクリーンに投射することにより、所望のカ
ラー画像を形成できるようになされたものが提案されて
いる。
【0003】このような投射型表示装置においては、光
源より得られる照明光を赤色、青色、緑色用の照明光に
分解して対応する反射型液晶パネルにそれぞれ供給する
と共に、各反射型液晶パネルより得られる赤色、青色、
緑色用の映像光を合成する手段として、ダイクロイック
ミラーを用いるものとダイクロイックプリズムとを用い
るものが提案されている。
【0004】このうちダイクロイックプリズムを使用し
た投射型表示装置においては、図14に示すように、例
えば放電ランプ3とリフレクター4により光源2が構成
され、この光源2より白色光による照明光を出射する。
投射型表示装置1は、フライアイレンズ5A及び5Bに
よりこの照明光の光量分布を均一化した後、続いて偏光
面変換素子6に入射する。ここで偏光面変換素子6は、
S偏光成分を主に選択的に透過すると共に、これと直交
するP偏光成分をS偏光成分に変換する光学素子であ
る。
【0005】これにより光源2は、放電ランプ3から種
々の偏光面により出射される照明光について、画像表示
に有効な偏光成分を増大させると共に、これと直交する
偏光成分を低減して照明光を出射し、その分照明光の利
用効率を向上し、表示画像のコントラストを向上する。
【0006】凸レンズ8は、偏光面変換素子6より出射
される照明光の光路上にて、この照明光を集光して出射
し、コールドミラー9は、この凸レンズ8より出射され
る照明光より赤外線領域を除く成分の光路を90度折り
曲げて出射する。凸レンズ10は、このコールドミラー
9で反射された照明光を集光して出射する。
【0007】偏光ビームスプリッタ11は、2つの直角
プリズムの斜面を貼り合わせて形成され、この貼り合わ
せ面に検光面11Aが形成される。偏光ビームスプリッ
タ11は、この検光面11Aにより凸レンズ10より出
射されるS偏光による照明光を選択的に反射して出射
し、このS偏光による照明光の光路を逆に辿って入射す
る合成映像光のうち、P偏光成分を選択的に透過すると
共に、S偏光成分を光源2に戻す。
【0008】ダイクロイックプリズム12は、所定形状
による3つのプリズムを貼り合わせて形成され、偏光ビ
ームスプリッタ11より出射される光路を各貼り合わせ
面が横切るように配置される。ダイクロイックプリズム
12は、この光路を横切る貼り合わせ面に所定膜厚によ
る誘電体膜の積層によるダイクロイック膜MB、MRが
形成され、偏光ビームスプリッタ11より出射される照
明光のうち青色、赤色の照明光を各ダイクロイック膜M
B、MRにおいて順次選択的に反射する。これによりダ
イクロイックプリズム12は、この偏光ビームスプリッ
タ11より出射される照明光を青色、赤色、緑色の照明
光に分解し、各プリズムの底面に配置された青色用、赤
色用、緑色用の反射型液晶パネル13B、13R、13
Gに供給する。
【0009】各反射型液晶パネル13B、13R、13
Gは、それぞれ対応する色信号により駆動され、各画素
毎に、S偏光による入射する照明光の偏光面を回転させ
て反射し、これにより各色信号に応じて偏光面が変化し
てなる映像光を出射する。
【0010】ダイクロイックプリズム12は、照明光の
場合とは逆に、このようにして各反射型液晶パネル13
B、13R、13Gより得られる青色、赤色、緑色の映
像光を合成して合成映像光を生成し、この合成映像光を
偏光ビームスプリッタ11に射出する。これにより合成
映像光は、各色信号に応じたP偏光及びS偏光の合成光
により照明光の光路を逆に辿って偏光ビームスプリッタ
11に出射され、このうちP偏光成分だけが偏光ビーム
スプリッタ11を透過して投射レンズ14に出射される
ことになる。
【0011】投射レンズ14は、このようにして偏光ビ
ームスプリッタ11を透過する合成映像光をスクリーン
15に投射し、これにより反射型液晶パネル13B、1
3R、13Gで生成された映像をスクリーンに拡大投影
してなるカラー画像を表示する。
【0012】これに対してダイクロイックミラーを用い
た投射型表示装置においては、ダイクロイックプリズム
12に代えて、偏光ビームスプリッタより入射する照明
光をダイクロイックミラーにより赤色、青色、緑色の照
明光に分解して各反射型液晶パネルに出射すると共に、
各反射型液晶パネルより出射される映像光を合成して投
射レンズに出射するようになされている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところがこの種の投射
型表示装置においては、本来黒く表示される部分にも光
が照射されていわゆる黒浮きが発生し、この黒浮きによ
り投影画像のコントラストが低下する問題点があった。
【0014】すなわち投射型表示装置1においては、本
来黒く表示される部分においては、各反射型液晶パネル
において対応する照明光が何ら偏光面が回転することな
く反射される。その結果、投射型表示装置1において
は、偏光ビームスプリッタ11によって対応する映像光
が光源2側に戻され、これによりスクリーン15上では
対応する部分が黒く表示されるはずである。しかしなが
ら投射型表示装置1においては、本来S偏光により偏光
ビームスプリッタ11で検光されるはずのこの種の映像
光がS偏光とP偏光の合成光により検光され、これによ
りこの種の黒浮きが発生する。
【0015】すなわちこのように偏光ビームスプリッタ
11、ダイクロイックプリズム12等を配置した光学系
においては、偏光ビームスプリッタ11の入射面及び出
射面、検光面、ダイクロイック膜等の境界面を基準にし
て、各境界面と平行なP偏光とこのP偏光成分に垂直な
S偏光とに対して光の振動方向に位相差が与えられる。
これによりこの種の投射型表示装置においては、光学系
全体として見たとき偏光ビームスプリッタ11により当
初分離されたP偏光成分の方向が各境界面で変化するこ
とになる。さらにこのように各境界面で発生する位相差
は、境界面への入射波長と入射角で変化する。これらに
より投射型表示装置1においては、光学系を伝搬する照
明光、映像光において偏光状態が変化し、これにより本
来S偏光により黒く表示される部分に光が混入して黒浮
きが発生する。
【0016】図15は、この偏光状態の変化の説明に供
する原理図であり、図14について上述した構成に対応
して、凸レンズ10より入射する照明光が偏光ビームス
プリッタ11で反射した後、ダイクロイック膜MB、M
Rを順次透過して反射型液晶パネル13Gに入射し、こ
こで無変調により反射する場合である。なお以下におい
ては、各符号に符号Bを付加してベクトルである旨記述
する。
【0017】この場合に、入射する照明光の方向を示す
単位ベクトルを方向余弦BC0とし、偏光ビームスプリ
ッタ11の検光面11A、ダイクロイック膜MB、ダイ
クロイック膜MRである各境界面における照明光の方向
を示す方向余弦をそれぞれBC1、BC2、BC3とす
る。また反射型液晶パネル13Gで反射した後、対応す
る境界面における映像光の方向を示す方向余弦をそれぞ
れBC4、BC5、BC6とする。またこれらの方向余
弦に対応して境界面の配置を示す単位ベクトルを法線ベ
クトルとし、符号BD1、BD2、BD3、BD4、B
D5、BD6により示す。
【0018】各境界面である入射面に垂直なS偏光成分
BESnは、方向余弦と法線ベクトルとの外積により進
行方向が規定され、次式により表される。
【0019】
【数1】
【0020】また各境界面である入射面に平行なP偏光
成分の方向余弦は、このS偏光成分BESnの進行方向
に直交し、次式のベクトル積により表される。
【0021】
【数2】
【0022】このとき、方向余弦は、BC2=BC3≠
BCl、BC4=BC5≠BC6となり、偏光ビームス
プリッタ11における屈折により、方向余弦BCl、B
C6のみ異なることになる。なお法線ベクトルは、BD
1≒BD2、内積BD2・BD3≒0、BD5≒BD
6、内積BD4・BD5≒0である。
【0023】これら(1)式、(2)式と方向余弦BC
n及び法線ベクトルBDnとの関係から、次式の関係式
を得ることができる。なお直交するP偏光成分BEPn
も同様の関係となる。
【0024】
【数3】
【0025】これにより反射型液晶パネル側より見た絶
対座標系x−yにより各境界面の前後における偏光状態
を示すと、図16に示すように、偏光ビームスプリッタ
11の検光面11Aの反射側においては(符号Aにより
示す)、偏光ビームスプリッタ11に方向余弦BC0に
よる照明光が入射し、この検光面11Aで決まるP偏光
成分及びS偏光成分の方向に従って、S偏光成分のみが
選択的に反射されることにより、直線偏光となる。
【0026】これに対して符号Bにより示すダイクロイ
ック膜MBの境界面前においては、P偏光成分及びS偏
光成分の方向が偏光ビームスプリッタ11における反射
時とで僅かに異なることになり(ダイクロイック膜にお
けるP偏光成分及びS偏光成分を破線の矩形により示
す)、これにより照明光は、このダイクロイック膜MB
においてP偏光成分及びS偏光成分に分解されて位相差
が与えられることになる(BES1≒BES2)。
【0027】その結果符号Cにより示すダイクロイック
膜MBの境界面後において、照明光は楕円偏光となる。
【0028】さらに符号Dに示すダイクロイック膜MR
の境界面前において、P偏光成分及びS偏光成分の方向
が大きく異なることになり、照明光は、このダイクロイ
ック膜MRにおいて、P偏光成分及びS偏光成分に分解
されて位相差が与えられることになる(BES2≠BE
S3)。
【0029】その結果、符号Eにより示すダイクロイッ
ク膜MRの境界面後において、照明光は、短径が大きく
膨らんだ楕円偏光となる可能性があり、反射型液晶パネ
ル13Gで何ら偏光されることなく反射されると、符号
Fによりダイクロイック膜MRの境界面前を示すよう
に、反射光は楕円偏光となる。
【0030】このようにして楕円偏光として反射型液晶
パネルより出射される映像光は、照明光の場合と同様
に、ダイクロイック膜MR、MBにより順次対応するP
偏光成分及びS偏光成分に分解されて位相差が与えられ
(符号F〜I)、符号Jにより示すように、偏光ビーム
スプリッタ11の検光面11Aに入射する際には、破線
の矩形形状により検光面11AにおけるP偏光及びS偏
光の向きを示すように、検光面11Aに対して、S偏光
成分が発生していることとなる。この場合、P偏光成分
BEPnの量が多い程、投射レンズ14へ漏れ出す光量
が増大し、黒浮きの状態が形成される。
【0031】この問題を解決する1つの方法として、特
願平4−323360号(特開平6−175123号)
においては、偏光ビームスプリッタ11の検光面11A
に対してダイクロイック膜を逆方向に傾けて配置すると
共に、ダイクロイック膜を構成する誘電体多層膜の設計
により、偏光状態の変化を低減する方法が提案されてい
る。しかしながら、境界面であるダイクロイック膜でP
偏光成分及びS偏光成分に与えられる位相差は、入射波
長と入射角で変化することにより、この方法において
は、特定波長、特定入射角については、偏光状態の変化
を充分に満足できる状態を形成できるものの、この特定
波長、特定入射角と異なる入射波長、入射角について
は、満足する状態を得ることが困難で、結局、実用上未
だ不十分な問題がある。
【0032】また特願平8−180268号(特開平1
0−26756号)においては、図17に示すように、
検光面11A、ダイクロイック膜MB、MRを平行に配
置すると共に、1/4波長板λ/4を反射型液晶パネル
13Gの前面に配置することにより、黒浮きを低減する
方法が提案されている。
【0033】すなわちこの場合、方向余弦は、偏光ビー
ムスプリッタ11の屈折により、方向余弦BCl及びB
C6のみ異なることとなり、BC2=BC3≠BC1、
BC4=BC5≠BC6となる。また法線ベクトルは、
BD1≒BD2≒BD3、BD4≒BD5≒BD6とな
る。
【0034】この場合、(1)、(2)式及び方向余弦
BCn及び法線ベクトルBDnとの関係より、次式の関
係式が得られる。なお直交するP偏光成分BEPnも同
様の関係となる。
【0035】
【数4】
【0036】この方法を適用した場合の偏光状態を図1
6との対比により図18により示すように、この方法に
よれば、検光面11A、ダイクロイック膜MB、MRの
配置により、検光面11Aの直前(符号A)、ダイクロ
イック膜MBの直前(符号B)、ダイクロイック膜MR
の直前(符号D)において、P偏光成分及びS偏光成分
とをほぼ一致させることができ(BES1≒BES2≒
BES3)、偏光状態の変化を低減することが可能とな
る。
【0037】またY軸にその遅相軸を一致させた4分の
1波長板λ/4を配置することにより、4分の1波長板
λ/4より出射される映像光(符号F)を4分の1波長
板λ/4に入射する照明光(符号E)のY軸対称とする
ことができる。従って映像光におけるダイクロイック膜
MRの直前(符号F)、ダイクロイック膜MBの直前
(符号H)、検光面11Aの直前(符号J)とでP偏光
成分及びS偏光成分とをほぼ一致させることができ、検
光面11Aに入射するP成分(BEP6)を低減するこ
とができる。
【0038】しかしながら、4分の1波長板λ/4の入
射角と波長への依存性について考察すると、異常光屈折
率Ne、常光屈折率No、厚みDとおいた場合、4分の
1波長板λ/4においては、次式により示す遅延量(リ
タデーション)σだけ振動面に位相差を与えることにな
る。ただし、△N=Ne−No、λ=入射波長、θ=入
射角である。
【0039】
【数5】
【0040】4分の1波長板λ/4は、入射角θ=0
で、かつ特定の波長λ0に対して、△ND=λ0/4と
なる位相差板であり、照明光の光路上においては、P偏
光及びS偏光に与える位相差が入射波長と入射角に応じ
て変化する。
【0041】この点図18について説明した例において
は、ダイクロイック膜MB、MRが光の振動面に与える
位相差も入射波長と入射角により変化し、これらにより
1/4位相板λ/4によっては、P偏光成分及びS成分
成分の方向が僅かでも異なると、照明光の入射角と波長
によっては直線偏光による検光面11Aの出射光が楕円
偏光に変化し、結局、映像光が検光面11Aに入射する
段階で、検光面11AにおけるP偏光成分(BEP6)
を充分に低減できなくなる。
【0042】また検光面11A、ダイクロイック膜M
B、MRを平行に配置するとしても、実際上、偏光ビー
ムスプリッタ11に対して入出射する照明光において
は、広がりを有する光であり、偏光ビームスプリッタ1
1の屈折率により方向余弦が変化し、ダイクロイック膜
MB、MRに対する照明光の入射角が大きくなる。
【0043】これによりダイクロイック膜MBに入射す
る照明光においては(図18において符号Bに対応す
る)、楕円偏光となり、また1/4位相板λ/4を往復
する際に、上述の(5)式により90度以上の位相差が
与えられることになる。これらにより照明光において
は、ダイクロイック膜MRより反射型液晶パネル13G
に向かって出射される場合(図18において符号Eに対
応する)と、無偏光により反射型液晶パネル13Gで反
射してダイクロイック膜MRに入射する場合(図18に
おいて符号Fに対応する)とでY軸対称では無い状態が
形成される。
【0044】この場合映像光においては、ダイクロイッ
ク膜MR、MBを繰り返し透過し、偏光ビームスプリッ
タ11の検光面11Aに入射する際に、偏光ビームスプ
リッタ11のP偏光成分(BEP6)を最小とすること
が困難になり、この楕円偏光のP偏光成分が投射レンズ
14に出射されることになる。
【0045】これらによりこの第2の方法によっても、
充分に黒浮きを低減して表示画像のコントラストを増大
することが困難な問題があった。
【0046】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、簡易かつ確実に黒浮きによるコントラストの低下を
改善することができる投射型表示装置及び投射型表示装
置の調整方法を提案しようとするものである。
【0047】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、反射型画像形成手段に入射光及び
映像光を複屈折する位相差板を配置し、この位相差板を
光軸に略垂直な面内にて回動して入射光及び映像光に与
える位相差を調整する。
【0048】反射型画像形成手段に入射光及び映像光を
複屈折する位相差板を配置すれば、この位相差板におい
て入射光、映像光に与えられる位相差により、黒浮きの
発生原因である偏光成分を低減することができる。この
とき位相差板を光軸に略垂直な面内にて回動して入射光
及び映像光に与える位相差を調整すれば、反射型画像形
成手段等が傾いて配置された場合等にあっても、この傾
きによる黒浮きの発生原因である偏光成分の増大を防止
することができる。従ってその分簡易な組み立て精度に
よっても、確実に黒浮きによるコントラストの低下を防
止することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しながら本
発明の実施の形態を詳述する。
【0050】(1)黒浮きの補正原理 図2は、本発明の実施の形態に係る投射型表示装置につ
いて、黒浮きの低減効果の確認に供した光学系の構成を
示す略線図である。この光学系20においては、ダイク
ロイックミラー21B、21Rにより照明光を色分解
し、また各色の映像光を合成する。なおこの光学系20
において、図14について上述した投射型表示装置1と
同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説
明は省略する。
【0051】すなわちこの光学系20においては、偏光
ビームスプリッタ11に続いてダイクロイックミラー2
1Bが配置される。ここでダイクロイックミラー21B
は、投射レンズ14より延長する光軸と法線方向との成
す角が30度の角度を形成するように、かつ偏光ビーム
スプリッタ11の検光面に対してダイクロイック膜がほ
ぼ同じ方向を向くように配置され、この配置において偏
光ビームスプリッタ11より入射する照明光より青色の
照明光を所望の特性により選択的に反射し、また残る照
明光を選択的に透過できるようになされている。
【0052】これによりダイクロイックミラー21B
は、偏光ビームスプリッタ11より入射する照明光より
青色の照明光を分離して反射型液晶パネル13Bに向け
て出射し、またこの反射型液晶パネル13Bより到来す
る青色の映像光を偏光ビームスプリッタ11に向けて出
射する。さらにダイクロイックミラー21Bは、残る照
明光を続くダイクロイックミラー21Rに出射し、これ
とは逆に、ダイクロイックミラー21Rより入射する赤
色及び緑色の映像光を偏光ビームスプリッタ11に出射
する。
【0053】続くダイクロイックミラー21Rは、投射
レンズ14より延長する光軸と法線方向との成す角が4
0度の角度を形成するように、またこのとき偏光ビーム
スプリッタ11の検光面11Aに対してダイクロイック
膜がほぼ同じ向きになるように配置され、この配置にお
いてダイクロイックミラー21Bより入射する照明光よ
り赤色の照明光を所望の特性により選択的に反射し、ま
た残る照明光を選択的に透過できるようになされてい
る。
【0054】これによりダイクロイックミラー21R
は、ダイクロイックミラー21Bより入射する照明光よ
り赤色の照明光を分離して反射型液晶パネル13Rに向
けて出射し、またこの反射型液晶パネル13Rより到来
する赤色の映像光をダイクロイックミラー21Bに向け
て出射する。さらにダイクロイックミラー21Rは、残
る緑色の照明光を続く反射型液晶パネル13Gに出射
し、これとは逆に反射型液晶パネル13Gより入射する
緑色の映像光をダイクロイックミラー21Bに出射す
る。
【0055】光学系20においては、このようにして各
ダイクロイックミラー21B、21Rより反射型液晶パ
ネル13B、13R、13Gに入射する各照明光の光路
上に位相差板22B、22R、22Gが配置され、各位
相差板22B、22R、22Gにより各照明光及び映像
光に所定の位相差が与えられる。
【0056】ここで各位相差板22B、22R、22G
は、照明光及び映像光の光軸を垂直に横切るように対応
する反射型液晶パネル13B、13R、13Gに近接し
て配置され、この光学系において、入射面に垂直な透過
光に対して常光線と異常光線との間にそれぞれ165
〔nm〕、190〔nm〕、180〔nm〕の遅延量を
与えることができるように、その板厚Dが設定されるよ
うになされている。なお位相差板22B、22R、22
Gは、屈折率No=1.4、Ne=1.40234の1
軸性結晶であり、遅延量=△NDで表される。
【0057】これにより各位相差板22B、22R、2
2Gは、対応する照明光及び映像光について、偏光ビー
ムスプリッタ11による入射光の4分の1波長に相当す
る遅延量に、対応するダイクロイック膜による遅延量を
加算した総合の遅延量を打ち消すように、入射光に対し
て常光線と異常光線との間の遅延量が設定されるように
なされている。
【0058】なおここで例えば緑色を例に取って説明す
ると、4分の1波長板においては、(5)式より、△N
Dは、130〔nm〕〜145〔nm〕であり、この光
学系20においては、ダイクロイックミラー21B、2
1Rによる照明光及び映像光の偏光状態の変化を考慮し
て、その分位相差板によりより多くの遅延量を与えるこ
とになる。
【0059】すなわちこれらダイクロイックミラー21
B、21Rにおいては、透過光、反射光に与える位相差
が入射光波長及び入射角により変化する。このため光学
系20においては、位相差板22R、22B、22Gに
おける遅延量を種々に変化させた種々の波長、種々の入
射角による光線追跡に基づいて、黒浮きを最も低減させ
ることのできる遅延量を各位相板22R、22B、22
Gに設定した。
【0060】ここで緑色の照明光及び映像光について考
察する。なお偏光ビームスプリッタ11の検光面11A
が投射レンズ14の光軸に対して45度だけ傾くように
偏光ビームスプリッタ11を配置し、このとき偏光ビー
ムスプリッタ11を屈折率1.511の硝材により形成
する。
【0061】この場合、実用的な範囲で、偏光ビームス
プリッタ11より出射される照明光は、光軸に対してテ
レセントリックな最大8度の光束群であり、ここでは始
めに、この角度8度の光束群について、ダイクロイック
ミラー21B及び21Rの透過位相特性を測定した。な
おここで偏光ビームスプリッタ11においては、S偏光
及びP偏光の透過率TS及びTPをそれぞれ値0及び値
1として理想化して検討した。またダイクロイックミラ
ー21B及び21Rにおいては、ダイクロイック膜の基
板屈折率を値1.0として理想化した。
【0062】図3は、緑色波長帯域におけるダイクロイ
ックミラー21B及び21Rの透過位相特性を示す特性
曲線図であり、上述した光束群によりそれぞれダイクロ
イックミラー21B及び21Rに対する入射角の最大値
及び最小値の光束について、P偏光とS偏光との位相差
を各波長で示すものである。
【0063】続いてこのようにして得られる透過位相特
性において、所定ピッチにより波長をサンプリングし、
各サンプリング波長毎に、位相差板22Gで与える位相
差を種々に変化させて、偏光ビームスプリッタ11より
ダイクロイックミラー21B、21R、位相差板22
G、反射型液晶パネル13G、位相差板22G、ダイク
ロイックミラー21R、21B、偏光ビームスプリッタ
11を順次辿る光線追跡を実行し、偏光ビームスプリッ
タ11を透過する光量を計算した。なおここで、反射型
液晶パネル13Gにおいては、黒の部分に対応して入射
光を鏡面反射するものとし、これにより黒レベルに対応
した光線追跡を実行した。
【0064】図4は、入射波長を10〔nm〕ピッチに
よりサンプリングして光軸に対して4度の角度により入
射する照明光の光線追跡結果である。この場合、偏光ビ
ームスプリッタ11を透過する光量においては、位相差
板22Gで与える遅延量に応じて各波長で正弦波状に変
化し、さらにこの変化の位相が各波長で異なることが判
る。また図5は、同様にして光軸に対して8度の角度に
より入射する照明光の光線追跡結果である。
【0065】この光学系20では、このようにして角
度、波長をパラメータにしてマトリックス状に得られる
位相差板22Gにおける遅延量を横軸にした光線追跡結
果より、位相差板の各遅延量毎に偏光ビームスプリッタ
11を透過する光量を加算し、その総合の光量におい
て、最も透過光量が小さくなる遅延量を位相差板22G
の遅延量に設定した。なおこの光量の加算において、人
間の視感度特性により光量を補正した。
【0066】図4及び図5において、符号ADにより示
す光量は、各入射角度におけるこの総合の光量を示し、
この例では入射各8度の場合と、入射各4度の場合とで
総合の透過光量が最も小さくなる遅延量がほぼ一致する
ことが判る。なお図4及び図5において、参考のため4
分の1波長板による遅延量を破線により示す。これによ
り入射角4度及び8度の照明光に対して、この光学系に
おいては、4分の1波長板を介挿する場合に比して黒レ
ベルをほぼ1/2の輝度レベルに低減できることが判
る。
【0067】この光学系20においては、このようにし
て緑色について位相差板22Gの遅延量を設定したと同
様にして青色及び赤色について位相差板22B及び22
Rの遅延量を設定する。
【0068】(2)実施の形態の構成 図1は、本発明の第1の実施の形態に係る投射型表示装
置を示す略線図である。この投射型表示装置30は、上
述した補正原理によるシュミレーションに従って、この
投射型表示装置30における光学系に対応した遅延量に
よる位相差板31B、31R、31Gが各反射型液晶パ
ネル13B、13R、13Gに配置される。なおこの投
射型表示装置30において、図14について上述した投
射型表示装置1と同一の構成は、対応する符号を付して
示し、重複した説明は省略する。
【0069】この投射型表示装置30においては、補正
原理の説明に供した光学系20と同様に、光源2より出
射した照明光をコールドミラー9で折り曲げ、凸レンズ
10を介して偏光ビームスプリッタ11に入射する。
【0070】ここで投射型表示装置30においては、凸
レンズ10及び偏光ビームスプリッタ11間に、偏光分
離素子32が配置される。ここで偏光分離素子32は、
光学異方性を有する所定膜厚のフィルムを積層して形成
され、S偏光成分を選択的に透過すると共に、これと直
交するP偏光成分を選択的に反射する。これにより投射
型表示装置30においては、照明光の利用効率を向上す
ると共に、偏光ビームスプリッタ11より反射型液晶パ
ネル13B、13R、13Gに漏れ出すP偏光成分を低
減してコントラストを向上するようになされている。
【0071】また投射型表示装置30においては、偏光
ビームスプリッタ11及び投射レンズ14間に偏光分離
素子33が配置される。ここで偏光分離素子33は、光
学異方性を有する所定膜厚のフィルムを積層して形成さ
れ、P偏光成分を選択的に透過すると共に、これと直交
するS偏光成分を選択的に反射する。これにより投射型
表示装置30においては、偏光ビームスプリッタ11よ
り漏れ出すS偏光成分を低減してコントラストを向上す
るようになされている。
【0072】ダイクロイックミラー21B及び21R
は、偏光ビームスプリッタ11より出射される照明光の
光路上において、それぞれ青色及び赤色の照明光を選択
的に反射することにより、青色、赤色及び緑色の反射型
液晶パネル13B、13R及び13Gに青色、赤色及び
緑色の照明光を供給する。またこれら反射型液晶パネル
13B、13R、13Gより出射される青色、赤色及び
緑色の映像光を合成して偏光ビームスプリッタ11に出
射する。
【0073】これらダイクロイックミラー21B及び2
1Rは、入射する照明光の光軸と、反射する照明光の光
軸との成す角度が90度より小さな角度θ1及び及びθ
2になるように、入射光の光軸に対して45度の角度よ
り傾いて配置される。すなわちダイクロイックミラー2
1B及び21Rにおいては、斜めからの入射するS偏光
成分とP偏光成分とで選択的に透過、反射するカットオ
フの波長が相違し、入射光の入射角が小さくなると、こ
の相違が小さくなる特徴がある。これにより投射型表示
装置30において、この波長の相違による光の損失を低
減して、効率良く照明光を利用できるようになされてい
る。
【0074】位相差板31B、31R、31Gは、各反
射型液晶パネル13B、13R、13Gに配置されて、
各反射型液晶パネル13B、13R、13Gの照明光及
び映像光に位相差を与え、これにより偏光ビームスプリ
ッタ11より投射レンズ14側に漏れ出す無変調による
映像光成分を低減する。
【0075】さらに位相差板31B、31R、31G
は、矢印Aにより示すように、照明光の光軸を中心にし
て所定角度範囲で回動できるように、所定のガイド機構
を介してこの光路上に配置される。なおここでこのガイ
ド機構は、位相差板31B、31R、31Gの外周を保
持する例えば円弧形状の溝等により構成される。位相差
板31B、31R、31Gは、このガイド機構を利用し
た治具による微調整により、光軸を垂直に横切る面内に
おいて所定範囲で回動され、黒浮きが最も改善される回
動位置で例えば接着剤により以後回動しないように固定
される。
【0076】(3)実施の形態の動作 以上の構成において、光源2より出射された照明光は
(図1)、コールドミラー9で赤外線を除く成分が光路
を90度折り曲げられ、偏光分離素子32に入射し、こ
こでS偏光成分が選択的に偏光ビームスプリッタ11に
出射される。この偏光ビームスプリッタ11において、
照明光は、S偏光成分が選択的に反射されて第1のダイ
クロイックミラー21Bに向けて出射され、この第1の
ダイクロイックミラー21Bにより青色の照明光が選択
的に反射されて青色用の反射型液晶パネル13Bに向け
て出射され、残る緑色、赤色の照明光が第1のダイクロ
イックミラー21Bを透過して続く第2のダイクロイッ
クミラー21Rに入射する。
【0077】この第2のダイクロイックミラー21Rに
入射した照明光は、赤色の照明光と緑色の照明光に分解
され、それぞれ第2のダイクロイックミラー21Rによ
る反射及び透過により赤色の照明光と緑色の照明光とが
赤色の反射型液晶パネル13Rと緑色の反射型液晶パネ
ル13Gとに出射される。これらにより青色、赤色及び
緑色の反射型液晶パネル13B、13R、13Gにそれ
ぞれ対応する波長の照明光が供給され、各反射型液晶パ
ネル13B、13R、13Gにおいて対応する色信号に
より偏光面が回転し、P偏光及びS偏光による青色、赤
色、緑色の映像光が生成される。
【0078】このようなP偏光及びS偏光による青色、
赤色、緑色の映像光は、各反射型液晶パネル13B、1
3R、13Gに入射した照明光の光路を逆に辿り、第1
及び第2のダイクロイックミラー21B及び21Rによ
り合成され、その結果得られる合成映像光のうち、P偏
光成分が偏光ビームスプリッタ11を透過して投射レン
ズ14によりスクリーン15に投射される。これにより
各反射型液晶パネル13B、13R、13Gで作成され
た青色、赤色、緑色の映像がスクリーン15に拡大投影
され、カラーによる表示画像が形成される。
【0079】このようにしてスクリーン15に投射され
る映像光においては、本来反射型液晶パネル13B、1
3R、13Gにおいて偏光されないで単に反射された無
変調の成分が混入し、これによりスクリーン15に投射
された表示画像において、黒浮きによるコントラストの
低下が観察される。
【0080】これは最終的に偏光ビームスプリッタ11
に入射する映像光が楕円偏光により入射するためであ
り、この楕円偏光は、偏光ビームスプリッタ11におい
て、斜めに傾いた検光面11Aにより照明光が検光され
てS偏光成分が生成されることにより、反射型液晶パネ
ル13B、13R、13Gより見た振動面間にほぼ各色
の4分の1波長に対応する位相差が与えられ、さらにこ
のS偏光成分がダイクロイックミラー21B、21Rに
おける位相特性により同様の位相差が与えられることに
より発生する。
【0081】ここでこのような位相差にあっては、透過
光の波長、入射角に依存して変化し(図2〜図4)、こ
れにより単に反射型液晶表示パネルの前面に4分の1波
長板を配置しただけの構成によっては、充分に黒浮きを
防止することが困難になる。
【0082】ところがこの実施の形態においては、各反
射型液晶パネル13B、13R、13Gの入射面に、位
相差板31B、31R、31Gが配置され、各位相差板
31B、31R、31Gにおける常光線と異常光線との
間の遅延量の設定により、偏光ビームスプリッタ11に
よる入射光の4分の1波長に相当する遅延量に、色分解
合成手段であるダイクロイックミラー21B、21Rに
よる遅延量を加算した遅延量が打ち消され、これにより
黒レベルの部分で偏光ビームスプリッタ11より投射レ
ンズ14に漏れ出す無変調の映像光を極めて小さくする
ことが可能となる。従ってその分黒浮きによるコントラ
ストの低下を防止することができる。
【0083】すなわちこの実施の形態では、この位相差
板31B、31R、31Gおける遅延量を種々に変化さ
せて、偏光ビームスプリッタ11より入射する照明光に
ついて、各波長、各入射角毎の光線追跡により黒レベル
の場合に偏光ビームスプリッタ11を透過して出射され
る光量が計算され、このようにして計算された光量の加
算結果である総合の光量より、この総合の光量が最も小
さくなる遅延量がそれぞれ位相差板31B、31R、3
1Gに設定される。
【0084】さらにこのとき人間の視感度特性により各
光量を補正して総合の光量が計算される。これにより黒
浮きが最も知覚困難に、位相差板31B、31R、31
Gの遅延量が設定される。
【0085】すなわち図17及び図18との対比により
図6及び図7に緑色の偏光状態の変化を示すように、映
像光においては、偏光ビームスプリッタ11の検光面1
1Aにおいて、楕円偏光の長軸の向きがP成分の向きと
一致するように、位相差板31Gにより位相差が与えら
れ、これにより黒レベルの部分で偏光ビームスプリッタ
11より投射レンズ14に漏れ出す映像光の光量を極め
て小さくすることができ、その分黒浮きによるコントラ
ストの低下を防止することが可能となる。
【0086】ところがこのようにしても、図8において
矢印Bにより示すように、反射型液晶パネル13G等が
傾いて配置された場合には、黒浮きを充分に低減できな
くなる。
【0087】すなわち図7との対比により図9に示すよ
うに、反射型液晶パネル13Gが傾いた場合において
は、その分符号D、E、Fにおいて、映像光に対する各
境界面が変化することにより、偏光ビームスプリッタ1
1において、投射レンズ14に漏れ込む成分が増大する
ことになる。
【0088】ところがこの実施の形態においては、反射
型液晶パネル13G等が傾いた分、対応する位相差板3
1B、31R、31Gを回動させて、変化した各入射面
に映像光の偏光方向を変化させ、最終的に偏光ビームス
プリッタ11において、偏光方向と検光面とを一致させ
ることにより、傾きにより劣化する黒浮きを防止するこ
とができる。
【0089】すなわち図8及び図9との対比により図1
0及び図11に示すように、例えば反射型液晶パネル1
3Gが、YZ面で、反時計回りにθ度傾いたとする。こ
の場合には位相差板31GをXY面で、反時計回りに、
θ/2度傾けることにより、偏光ビームスプリッタ11
の透過光成分(P偏光成分)の発生を抑圧することがで
きる。
【0090】これにより光学系全体の組み立て精度を低
減しても、充分に黒浮きによるコントラストの低下を防
止することができる。
【0091】図12は、実際のコントラストを示した特
性曲線図であり、符号Eにより示す理想の配置状態に比
して、反射型液晶パネル13Gを微小角度傾けると(符
号Fにより示す)、極端にコントラストが低下する。と
ころが、位相差板31Gを回転させると(符号Gにより
示す)、コントラストをほぼ理想状態に近い状態に改善
できることが判った。
【0092】(4)実施の形態の効果 以上の構成によれば、位相差板31B、31R、31G
により、偏光ビームスプリッタ11による入射光の4分
の1波長に相当する遅延量に、色分解合成手段であるダ
イクロイックミラー21B、21Rによる遅延量を加算
した遅延量を打ち消して黒浮きを低減するにつき、この
位相差板31B、31R、31Gを回動させて照明光及
び映像光に与える位相差を調整することにより、反射型
液晶パネル13B、13R、13G等が傾いた場合で
も、この位相差板31B、31R、31Gの回動により
確実に黒浮きを低減することができる。従ってその分、
組み立て精度を簡略化でき、簡易かつ確実に黒浮きによ
るコントラストの劣化を防止することができる。
【0093】またこのような調整によれば、照明光側の
入射面の変化についても偏光状態の劣化を補正できるこ
とにより、光源側についても、組み立て精度を低減して
黒浮きを低減することができる。これらにより投射型表
示装置30全体として光学系の構成を簡略化することが
できる。またその分、組み立てに要する時間を短縮し、
組み立てに要する治工具も簡略化することができる。
【0094】さらにこのようにして調整した後、回動し
ないように固定したことにより、このように位相差板3
1B、31R、31Gを回動可能として調整する場合で
も、経時変化等による黒レベルの増大を防止することが
できる。
【0095】(5)他の実施の形態 なお上述の実施の形態においては、各反射型液晶パネル
にそれぞれ位相差板を配置する場合について述べたが、
本発明はこれに限らず、実用上充分な範囲においては、
何れかの反射型液晶パネルについては、位相差板の配置
を省略してもよい。
【0096】また上述の実施の形態においては、S偏光
による照明光を反射型液晶パネルにより偏光して映像光
を生成する場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、図1との対比により図13に示すように、P偏光に
よる照明光を反射型液晶パネルにより偏光して映像光を
生成する場合にも広く適用することができる。
【0097】また上述の実施の形態においては、照明光
を分解し、また映像光を合成する色分解合成手段として
ダイクロイックミラーを用いる場合について述べたが、
本発明はこれに限らず、図14について上述したダイク
ロイックプリズムを使用する場合にも広く適用すること
ができる。
【0098】また上述の実施の形態においては、偏光ビ
ームスプリッタより反射型液晶パネル間においては、単
に色分解合成手段だけを配置する場合について述べた
が、本発明はこれに限らず、例えば非点収差補正用のレ
ンズ等を介挿する場合にも広く適用することができる。
【0099】また上述の実施の形態においては、位相差
板22B、22R、22Gにより常光線と異常光線との
間にそれぞれ165〔nm〕、190〔nm〕、180
〔nm〕の遅延量を与える場合について述べたが、本発
明はこれに限らず、このように偏光ビームスプリッタか
ら反射型液晶パネルまでの間で与えられる位相差は光学
系の特性により種々に変化することにより、光学系の特
性に応じて適宜これらの遅延量を最適な値に設定して上
述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。因み
に、光学系、さらには照明光のスペクトラム分布にもよ
るが、この種の投射型表示装置においては、青色、赤色
及び緑色の波長帯域において、対応する位相差板により
それぞれ55〔nm〕〜235〔nm〕、75〔nm〕
〜310〔nm〕、65〔nm〕〜275〔nm〕の範
囲で、適宜、遅延量を選定して上述の実施の形態と同様
の効果を得ることができる。
【0100】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、少なくと
も偏光ビームスプリッタによる入射光の4分の1波長に
相当する遅延量に色分解合成手段による遅延量を加算し
た遅延量を打ち消すように常光線と異常光線との間に発
生する遅延量が設定された位相差板を配置するにつき、
この位相差板の位相差を調整することにより、簡易かつ
確実に黒浮きによるコントラストの劣化を防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る投射型表示装置を示
す略線図である。
【図2】図1の投射型表示装置について、黒浮きの低減
効果の確認に供した光学系の構成を示す略線図である。
【図3】図2の光学系におけるダイクロイック膜の透過
位相特性を示す特性曲線図である。
【図4】図2の光学系における入射角4度の照明光に対
する黒レベルを示す特性曲線図である。
【図5】図2の光学系における入射角8度の照明光に対
する黒レベルを示す特性曲線図である。
【図6】図1の投射型表示装置において、反射型液晶パ
ネルが正しく配置された場合の照明光及び映像光の光路
を示す略線図である。
【図7】図6の光路における偏光状態を示す略線図であ
る。
【図8】図1の投射型表示装置において、反射型液晶パ
ネルが傾いて配置された場合の照明光及び映像光の光路
を示す略線図である。
【図9】図8の光路における偏光状態を示す略線図であ
る。
【図10】図8の光路において位相差板により補正した
状態を示す略線図である。
【図11】図10の光路における偏光状態を示す略線図
である。
【図12】図1の投射型表示装置におけるコントラスト
の説明に供する特性曲線図である。
【図13】他の実施の形態に係る投射型表示装置を示す
略線図である。
【図14】従来の投射型表示装置を示す略線図である。
【図15】図14の投射型表示装置における光路の説明
に供する略線図である。
【図16】図15の光路における偏光状態を示す特性曲
線図である。
【図17】図14の投射型表示装置に4分の1波長板を
介挿した場合における光路の説明に供する略線図であ
る。
【図18】図17の光路における偏光状態を示す特性曲
線図である。
【符号の説明】
1、30、40……投射型表示装置、2……光源、11
……偏光ビームスプリッタ、11A……検光面、13
B、13G、13R……反射型液晶パネル、21B、2
1R……ダイクロイックミラー、22B、22G、22
R、31B、31G、31R……位相差板
フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA05 BA06 BA07 BA42 BB03 BB05 BC22 2H088 EA15 EA16 HA13 HA16 HA17 HA20 HA24 MA02 2H091 FA05X FA05Z FA10X FA10Z FA11X FA11Z FA29Z LA17 MA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ入射光を空間変調すると共に反射
    して、前記入射光の偏光面に対して偏光面を回転させて
    なる映像光を出射する複数の反射型画像形成手段と、 照明光を前記反射型画像形成手段に対応する波長により
    分解して、前記各反射型画像形成手段に出力すると共
    に、前記各反射型画像形成手段より得られる映像光を合
    成して合成映像光を出射する色分解合成手段と、前記合
    成映像光を所定の投射対象に投射する投射光学系と、 所定の光源より出射される照明光より所定の偏光面成分
    を前記色分解合成手段に向けて出射すると共に、前記色
    分解合成手段より得られる前記合成映像光を前記投射光
    学系に出射する偏光ビームスプリッタとを少なくとも備
    え、 前記反射型画像形成手段は、 前記入射光及び映像光を複屈折する位相差板が配置さ
    れ、 前記位相差板は、 光軸に略垂直な面内にて回動されて、前記入射光及び映
    像光に与える位相差が調整されたことを特徴とする投射
    型表示装置。
  2. 【請求項2】前記投射型表示装置は、 前記光軸に略垂直な面内にて前記位相差板を回動可能に
    保持する保持機構を有し、 前記位相差板は、 前記保持機構による回動の後、回動困難に保持されたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
  3. 【請求項3】前記位相差板は、 少なくとも前記偏光ビームスプリッタによる前記入射光
    の4分の1波長に相当する遅延量に前記色分解合成手段
    による遅延量を加算した遅延量を打ち消すように、常光
    線と異常光線との間に発生する遅延量が設定されたこと
    を特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
  4. 【請求項4】投射型表示装置の調整方法において、 前記投射型表示装置は、 それぞれ入射光を空間変調すると共に反射して、前記入
    射光の偏光面に対して偏光面を回転させてなる映像光を
    出射する複数の反射型画像形成手段と、 照明光を前記反射型画像形成手段に対応する波長により
    分解して、前記各反射型画像形成手段に出力すると共
    に、前記各反射型画像形成手段より得られる映像光を合
    成して合成映像光を出射する色分解合成手段と、 前記合成映像光を所定の投射対象に投射する投射光学系
    と、 所定の光源より出射される照明光より所定の偏光面成分
    を前記色分解合成手段に向けて出射すると共に、前記色
    分解合成手段より得られる前記合成映像光を前記投射光
    学系に出射する偏光ビームスプリッタとを少なくとも備
    え、 前記反射型画像形成手段は、 前記入射光及び映像光を複屈折する位相差板が配置さ
    れ、 前記投射型表示装置の調整方法は、 光軸に略垂直な面内にて前記位相差板を回動させて、前
    記入射光及び映像光に与える位相差を調整することを特
    徴とする投射型表示装置の調整方法。
  5. 【請求項5】前記位相差板の回動の後、前記位相差板を
    回動困難に固定することを特徴とする請求項4に記載の
    投射型表示装置の調整方法。
  6. 【請求項6】前記位相差板は、 少なくとも、前記偏光ビームスプリッタによる前記入射
    光の4分の1波長に相当する遅延量に前記色分解合成手
    段による遅延量を加算した遅延量を打ち消すように、常
    光線と異常光線との間に発生する遅延量が設定されたこ
    とを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置の調整
    方法。
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