JP2005134814A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 表示画像の明るさ、コントラスト比及び黒の均一性を十分に確保しつつ、低コストで、大量生産が可能な画像表示装置を提供する。
【解決手段】 色分解合成手段となる偏光ビームスプリッタ5,9と反射型空間光変調素子7,11,13との間に、波長板6,10,12を備える。波長板6,10,12は、ガラス基板に有機材料からなる位相差材を貼り合わせて構成され、位相差材が反射型空間光変調素子7,11,13側となっている。
【選択図】 図1
【解決手段】 色分解合成手段となる偏光ビームスプリッタ5,9と反射型空間光変調素子7,11,13との間に、波長板6,10,12を備える。波長板6,10,12は、ガラス基板に有機材料からなる位相差材を貼り合わせて構成され、位相差材が反射型空間光変調素子7,11,13側となっている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、反射型の液晶ライトバルブなどの反射型空間光変調素子を用いて変調した画像を結像させて画像表示を行う画像表示装置に関する。
従来、反射型空間光変調素子を用いた画像表示装置は、高解像度及び高コントラスト比の画像表示ができることから、種々の構成の装置が開発され、また、商品化されている。
このような画像表示装置の多くは、反射型空間光変調素子を3枚備えて構成されるいわゆる「3板式カラープロジェクタ」である。この「3板式カラープロジェクタ」は、メタルハライドランプ等の強力な光源から得られる白色光を3原色に分解し、このように色分解された各色光を各色に対応する液晶パネル等の反射型空間光変調素子に導き、各反射型空間光変調素子を各色に対応する映像信号で駆動することにより変調し、さらに、各色の変調光を合成して投写することにより、画像表示を行うように構成されている。
図8は、従来の画像表示装置の光学系の構成を示す斜視図である。
このような従来の画像表示装置の光学系として、例えば、特許文献1に記載されたものは、図8に示すように、上下2層構造となされて構成されている。この光学系においては、上層部分には、光源101が設けられている。この光源101から発せられた白色光束は、コリメータレンズ102を経て略々平行光束となされ、インテグレータ103、コールドミラー104、赤外線カットフィルタ105を経て、3色分解クロスダイクロイックプリズム106に入射される。この3色分解クロスダイクロイックプリズム106において、白色光束は3原色(RGB)に分解される。分解されたR(赤)光、G(緑)光及びB(青)光は、この3色分解クロスダイクロイックプリズム106から3方向に出射され、それぞれに対応する偏光ビームスプリッタ107r,107g,107bに入射される。これら偏光ビームスプリッタ107r,107g,107bに入射された各色光束は、この偏光ビームスプリッタ107r,107g,107bの偏光反射面に対するS偏光成分のみがこの偏光反射面により反射され、下方に向けて、互いに平行な方向となされて出射される。
偏光ビームスプリッタ107r,107g,107bからの出射光束は、それぞれ凸レンズ108r,108g,108b及び偏光子109r,109g,109bを介して、下層部分の偏光ビームスプリッタ110r,110g,110bに入射される。これら偏光ビームスプリッタ110r,110g,110bに入射された光束は、各偏光ビームスプリッタ110r,110g,110bの偏光反射面により反射され、これら偏光ビームスプリッタ110r,110g,110bに対応して設置された各色用の反射型空間光変調素子111r,111g,111bに入射される。
これら反射型空間光変調素子111r,111g,111bに入射された光束は、これら反射型空間光変調素子111r,111g,111bに供給されている各色に対応した画像信号に応じて偏光変調されて反射される。反射型空間光変調素子111r,111g,111bにおいて偏光変調された反射光は、各偏光ビームスプリッタ110r,110g,110bを透過して、これら偏光ビームスプリッタ110r,110g,110bに囲まれて配置された3色合成クロスダイクロイックプリズム112に入射される。この3色合成クロスダイクロイックプリズム112に入射された各色光は、合成されて、投射レンズ113に入射される。投射レンズ113は、入射光を図示しないスクリーン上に投射して結像させ、画像表示を行う。
この画像表示装置において、各反射型光変調素子111r,111g,111bと各偏光ビームスプリッタ110r,110g,110bとの間には、それぞれ波長板114が配置されている。これら波長板114は、透過光についての位相特性を補正することによって、偏光ビームスプリッタの偏光反射面(ビームスプリッタ膜)に斜め光成分が入射した場合に生ずる直線偏光からのずれを補正し、透過光をこの偏光反射面に対する直線偏光とするためのものである。また、これら波長板114は、液晶のプレチルトの補正も同時に行っている。
なお、前述のような構成の画像表示装置における波長板114の必要性及び補正効果については、特許文献2にも記載されている。
また、特許文献3にも、前述のような構成の画像表示装置において、波長板を組込むことが記載されている。
特開平10−197949号公報
特表平9−508709号公報
特開平11−305674号公報
ところで、近年においては、画像表示装置について、表示画像の高輝度化及び高コントラスト化に関する要求は極めて高いものとなっている。
ここで、画像表示を行うための投射レンズからの投射光をより強くするために光源を強力なものにしたとすると、この光源の発する熱量が大きくなり、この画像表示装置を構成する各光学素子において熱応力によって局所的に複屈折量が変化する現象が生じて、黒表示時に部分的に黒が浮いてくる(十分に黒くならない)などの表示ムラが生ずる虞がある。また、この場合には、白表示時には、部分的に色ムラが生ずる虞もあり、表示画像の品位の著しい劣化が招来されることとなる。
また、波長板においても同様の問題が生じるため、この波長板をなす材料として、熱応力に強い材料である水晶などの無機材料を使用する必要があった。
ところが、水晶からなる波長板は、視野角が狭く、斜め入射光についての位相差特性が垂直入射光に対して大きく異なり、透過光の偏光方向の十分な補正を行うことができない。したがって、水晶からなる波長板を用いても、表示画像のコントラスト比を十分に高めることはできない。また、水晶からなる波長板は、入射光線と出射光線との屈折率差が大きいため、1枚で1/4波長板として構成するには極めて薄い部材に研磨する必要があるため、製造が極めて困難であった。
そこで、高次波長板を2枚貼り合わせて、合成した位相差が1/4波長となるような構成の波長板が用いられている。しかし、このような波長板も、結晶材料を高精度に切り出し、研磨して貼り合わせるという工程を経て製造される必要があるため、大量生産には適しておらず、低コスト化も困難であるという問題がある。
このように、波長板の製造が困難であることにより、結果として、画像表示装置の製造が困難化されることとなる。
一方、有機材料からなる位相差フィルムをガラス基板により挟んで構成した波長板は、比較的容易に製造できるが、熱応力によってガラス基板の複屈折が発生し易く、これを画像表示装置に用いても、表示画像における黒ムラやコントラスト低下が招来されるという問題があった。
本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、表示画像の明るさ、コントラスト比及び黒の均一性を十分に確保しつつ、低コストで、大量生産が可能となされた画像表示装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明に係る画像表示装置は、白色光源とこの白色光源から発せられた光を3原色に分解して3原色の光をそれぞれ変調する反射型空間光変調素子に入射させこれら反射型空間光変調素子で変調されて反射された3原色の光を合成する分解合成手段とこの分解合成手段を経た光を投射する投射手段とを有する画像表示装置において、色分解合成手段と反射型空間光変調素子との間に、色分解合成手段から反射型空間光変調素子に入射される光の偏光方向を調整するための波長板を備え、この波長板は、ガラス基板と、このガラス基板上に貼り合わされた位相差材とを有して構成され、位相差材がガラス基板の反射型空間光変調素子側の面に貼り合わされている。
この画像表示装置においては、波長板の位相差材がガラス基板の反射型空間光変調素子側の面に貼り合わされていることにより、例えば、この位相差材を有機材料からなるものとしても、光源より発せられる光束を高出力化した場合に、黒ムラや色ムラを生ずることなく、高いコントラスト比の表示画像を実現することができる。
本発明に係る画像表示装置においては、位相差材は、ポリオレフィン系樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明に係る画像表示装置においては、波長板は、透過光における入射光線と出射光線とについて、略々1/4波長の位相差を生じさせることが好ましい。
そして、本発明に係る画像表示装置は、反射型空間光変調素子の入射面と、波長板の位相差材が貼り合わせられた面との間は、周囲が封止され密封されていることが好ましい。
この画像表示装置においては、反射型空間光変調素子の入射面と波長板の位相差材が貼り合わせられた面との間への塵挨の侵入を防止することができる。
本発明に係る画像表示装置においては、波長板の位相差材がガラス基板の反射型空間光変調素子側の面に貼り合わされているので、この位相差材を有機材料からなるものとしても、光源より発せられる光束を高出力化した場合において、黒ムラや色ムラを生ずることなく、引締った均一な黒画面及び明るい均一な白画面を実現することができ、また、ガラス基板の複屈折による表示画像の品位劣化を防止し、高いコントラスト比の表示画像を実現することができる。
すなわち、本発明は、表示画像の明るさ、コントラスト比及び黒の均一性を十分に確保しつつ、低コストで、大量生産が可能となされた画像表示装置を提供することができるものである。
以下、本発明に係る画像表示装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本実施の形態における画像表示装置の構成を示す側面図である。
図1は、本実施の形態における画像表示装置の構成を示す側面図である。
この画像表示装置においては、図1に示すように、可視光帯域の光を含んで発光する光源1から発せられた光束は、照明光学系2によって、照度を均一化され、第1の波長選択性波長板3を経て、第1の偏光ビームスプリッタ4に入射される。第1の波長選択性波長板3においては、G(緑色)光が第1の偏光ビームスプリッタ4の偏光反射面4aに対するP偏光となされ、R(赤色)光及びG(青色)光が第1の偏光ビームスプリッタ4の偏光反射面4aに対するS偏光となされる。第1の偏光ビームスプリッタ4の偏光反射面4aにおいては、G光が透過し、R光及びB光が反射される。
第1の偏光ビームスプリッタ4を透過したG光は、第2の偏光ビームスプリッタ5も透過して、波長板6を透過して、G用反射型空間光変調素子7に入射する。
一方、第1の偏光ビームスプリッタ4において反射されたR光及びG光は、第2の波長選択性波長板8を経て、第3の偏光ビームスプリッタ9に入射される。第2の波長選択性波長板8においては、R光が第3の偏光ビームスプリッタ9の偏光反射面9aに対するP偏光となされ、B光が第3の偏光ビームスプリッタ9の偏光反射面9aに対するS偏光となされる。第3の偏光ビームスプリッタ9の偏光反射面9aにおいては、R光が透過し、B光が反射される。
第3の偏光ビームスプリッタ9を透過したR光は、波長板10を透過して、R用反射型空間光変調素子11に入射する。また、第3の偏光ビームスプリッタ9において反射されたB光は、波長板12を透過して、B用反射型空間光変調素子13に入射する。
G用、R用及びB用反射型空間光変調素子7,11,13においては、入射された光束は、これら反射型空間光変調素子7,11,13に供給されている各色に対応した画像信号に応じて偏光変調されて反射される。
G用反射型空間光変調素子7において偏光変調された反射光は、第2の偏光ビームスプリッタ5の偏光反射面5aにおいて反射され、第4の偏光ビームスプリッタ14に入射する。R用反射型空間光変調素子11において偏光変調された反射光は、第3の偏光ビームスプリッタ9の偏光反射面9aにおいて反射され、第3の波長選択性波長板15を透過して、第4の偏光ビームスプリッタ14に入射する。また、B用反射型空間光変調素子13において偏光変調された反射光は、第3の偏光ビームスプリッタ9の偏光反射面9aを透過し、第3の波長選択性波長板15を透過して、第4の偏光ビームスプリッタ14に入射する。
第3の波長選択性波長板15においては、透過するR光及びB光のうち、R光のみについて、偏光方向を90°回転させる。
第4の偏光ビームスプリッタ14においては、偏光反射面14aに対して、G光がS偏光となっており、R光及びB光がP偏光となっている。したがって、この第4の偏光ビームスプリッタ14においては、G光が偏光反射面14aにより反射され、R光及びB光が偏光反射面14aを透過することにより、これらG光、R光及びB光が合成される。
このように合成されたG光、R光及びB光は、第4の波長選択性波長板16を経て、投射レンズ17に入射される。第4の波長選択性波長板16においては、透過するG光、R光及びB光のうち、G光のみについて、偏光方向を90°回転させる。この第4の波長選択性波長板16を透過した光束においては、G光、R光及びB光の偏光方向が全て揃った状態となっている。
そして、投射レンズ17は、入射光を図示しないスクリーン上に投射して結像させ、画像表示を行う。
この画像表示装置において、G用、R用及びB用反射型空間光変調素子7,11,13と第2及び第3の偏光ビームスプリッタ5,9との間に配置されている波長板6,10,12は、それぞれの透過光の波長を基準とした1/4波長板となっている。これら波長板6,10,12は、透過光についての位相特性を補正することによって、各偏光ビームスプリッタの偏光反射面に斜め光成分が入射した場合に生ずる直線偏光からのずれを補正し、透過光をこの偏光反射面に対する直線偏光とし、また、反射型空間光変調素子をなす液晶のプレチルトの補正も同時に行っている。
図2は、この画像表示装置における波長板及び反射型空間光変調素子の構成を示す断面図である。
この実施の形態においては、これら波長板6,10,12は、図2に示すように、ガラス基板18と、このガラス基板18に貼り合わせられた位相差材19とから構成されている。位相差材19は、遅相軸方向の光束に対して1/4波長の位相差を有している。この位相差材19は、ガラス基板18の、対応する反射型空間光変調素子に対向する側の面に貼り合わせられている。
すなわち、偏光ビームスプリッタ5,9を経て波長板6,10,12及び反射型空間光変調素子7,11,13側に出射された光束は、波長板6,10,12のガラス基板18側より入射し、次に、位相差材19を透過して、反射型空間光変調素子7,11,13のカウンターガラス20に入射して透過し、液晶層21を透過し、画素IC基板22のアルミ電極面により反射される。この反射光は、液晶層21及びカウンターガラス20を透過して、反射型空間光変調素子7,11,13より出射される。そして、この反射光は、位相差材19、ガラス基板18を透過して、偏光ビームスプリッタ5,9に再入射する。この偏光ビームスプリッタ5,9においては、液晶層21において偏光変調された成分は、偏光反射膜5a,9aを経て、この偏光ビームスプリッタ5,9に対する光源からの入射光とは別の光路に出射される。液晶層21において偏光変調されなかった成分は、この偏光ビームスプリッタ5,9において、偏光反射膜5a,9aを経て、この偏光ビームスプリッタ5,9に対する光源からの入射光と同じ光路に戻る。
なお、反射型空間光変調素子7,11,13は、ヒートシンク23上に設置されており、これら反射型空間光変調素子7,11,13、ヒートシンク23及び波長板6,10,12は、パッケージ24内に収納されている。このパッケージ24は、前端側の開口部が波長板6,10,12によって閉蓋されており、後端側がヒートシンク23によって閉蓋されているので、このパッケージ24内は、密閉された状態となっている。
波長板6,10,12のガラス基板19をなす材料としては、白板ガラスなどを用いることができる。白板ガラスは光弾性定数が大きく、熱応力によって複屈折性を持つことがある。したがって、白板ガラスに直線偏光が入射すると、僅かに位相がずらされて楕円偏光となる。この波長板6,10,12においては、位相差材19がガラス基板18の反射型空間光変調素子7,11,13側にあるので、白板ガラスの透過光が楕円偏光となる場合において、位相差材19を2回透過した光束は逆回りの楕円となっており、これが再びガラス基板18を透過することにより、波長板6,10,12に入射する前の直線偏光へと戻ることになる。
ガラス基板18に貼り合わせる位相差材をなす材料としては、薄く研磨した水晶が考えられる。薄く研磨した水晶は強い耐光性が期待できるが、水晶を高精度に研磨することは困難であり、低コスト化は困難である。そこで、位相差材をなす材料としては、有機材料フィルムを延伸させて位相差を生じるようにした材料を用いる。このような有機材料からなる位相差材は、工業的に大量生産することが可能であり、低価格化することができる。
位相差材をなす有機材料としては、種々のものが挙げられる。まず、ポリカーボネイト(Polycarbonate)(PC)の延伸フィルムが挙げられる。ところが、ポリカーボネイトには、以下のような問題がある。
すなわち、ポリカーボネイトにおいては、リターデーション値が1枚のプレート内においても不均一であるという材料自体の問題がある。また、ポリカーボネイトの膨張係数がガラス基板の膨張係数と異なるために、ポリカーボネイトの薄膜をガラス基板に貼り合わせた場合には、温度上昇とともに、このポリカーボネイトの薄膜及びガラス基板に応力がかかって歪み、光学特性が劣化する虞がある。
また、ポリカーボネイトの屈折率は1.58程度であり、ガラス基板をなす白板ガラスの屈折率は1.52程度であり、これらポリカーボネイト及びガラス基板を接着させる接着剤の屈折率は1.5程度である。このように、積層される3つの材料間にそれぞれ屈折率差があると、界面において透過光が反射されてしまうことにより透過率が低下することになるばかりか、界面における反射光が反射型空間光変調素子を経て投影され、表示画像におけるゴーストとなり、画像品位を低下させる虞がある。
さらに、ポリカーボネイトは、表面を高精度の平滑面とすることが困難であり、透過光の波面収差を小さく抑えることが困難で、このような波面収差による解像度の劣化を抑えることが困難である。ポリカーボネイトのフィルムを両側よりガラス基板で挟みむとともに、ポリカーボネイトとガラス基板との間を接着剤で充填することにより、ポリカーボネイトの表面における波面収差の発生を抑えることができるが、前述したように、ポリカーボネイトと接着剤との屈折率差が大きいため、通常の研磨ガラス並に波面収差を抑えることは困難であった。
位相差材をなす材料としては、ポリカーボネイトの他に、ポリビニルアルコール、マイラー、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセテート(トリブチルアセテート)及びポリメチルメタクリレート等が考えられる。しかし、これら材料は、熱変形温度が、ポリカーボネイトの熱変形温度(120°C乃至140°C)よりも低いか、または、同等であり、本発明に係る画像表示装置における波長板に要求される耐熱性を十分に満足させる材料とはいえない。
そこで、本発明においては、波長板の位相差材をなす有機材料としては、ポリオレフィン樹脂を延伸した材料を用いることとしている。ポリオレフィンとしては、例えば、日本ゼオン社製の「ゼオネックス(ZEONEX)」(商標名)や、三井化学社製の「APO(商標名)」、JSR社製の「アートン(ARTON)」(商標名)などを挙げることができる。特に、JSR社製の「アートン」は、エステル基を有しているため、界面と、光学膜、反射膜等や接着剤等との密着性が優れている。
この「アートン」を位相差材に用いることにより、以下のような効果を得ることができる。すなわち、「アートン」は、熱変形温度(Tg)が150°C乃至170°C程度と高いので、高出力光を照射することが可能であり、光源の高出力化が可能となる。また、「アートン」は、光透過率が、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)(PMMA)やポリカーボネイトよりも高い。さらに、「アートン」は、屈折率が1.51と白板ガラスの屈折率(1.52)に非常に近く、複屈折も非常に小さい。そして、引張強度は、ポリメチルメタクリレートやポリカーボネイトと同等以上である。さらに、表面粗度は、ポリカーボネイト等に比べて小さくでき、平滑面を形成することが容易である。
「アートン」を用いて位相差板を作製するには、加熱しながら延伸処理をすることにより、容易に、任意の位相差板を作製することができる。このように作製した位相差材においては、全面に渡って位相差のムラが少ない。
そして、各位相板は、透過光となる各色の略々中心波長について、入射光線と出射光線とで1/4波長の位相差を生じさせるように設計する。すなわち、R光用の波長板は、R光の中心波長620nmについて、1/4波長である約155nmの位相差を生じさせる。G光用の波長板は、G光の中心波長550nmについて、1/4波長である約138nmの位相差を生じさせる。B光用の波長板は、B光の中心波長460nmについて、1/4波長である約115nmの位相差を生じさせる。
なお、各波長帯域の全波長域に渡って理想的に1/4波長の位相差を生じさせるのは困難であり、また、中心波長の定義も設計の考え方で変わることとなるので、現実的には、前述の位相差に近いバランスの取れた位相差を選んで設計することになる。したがって、各波長帯域においては、1/4波長以下の位相差になる波長帯域もあれば、1/4波長以上の位相差となる波長帯域もあることとなる。
また、波長板は、両面に反射防止膜を施すことにより、空気界面での反射ロスを減らすとともに、スクリーンに向けての不要反射光を減らすようにしている。
図3は、この画像表示装置において表示される黒表示画面を示す正面図である。
この画像表示装置において表示される黒表示は、図3に示すように、均一な黒表示であり、表示画面の隅々に渡って、コントラスト比の高い画像の表示が可能となっている。
〔比較例〕
図4は、本発明に係る画像表示装置に対する比較例における要部の構成を示す断面図である。
図4は、本発明に係る画像表示装置に対する比較例における要部の構成を示す断面図である。
比較例として、図4に示すように、前述の実施の形態と異なり、波長板6,10,12における位相差材19をガラス基板18の偏光ビームスプリッタ5,9側に設けた画像表示装置を作製した。
図5は、比較例の画像表示装置において表示される黒表示画面を示す正面図である。
この画像表示装置において表示される黒表示は、図5に示すように、表示画像の各隅部の黒が浮き上がったよう(十分に黒くない状態)となっており、黒画面が不均一となって、表示画像の品位が著しく劣化している。これは、波長板6,10,12に対する往路の光束において、先に位相差材19に入射するために、ガラス基板18で生ずる複屈折分が、復路の光束でさらに同一方向に位相ずれし、これが補正されないためである。また、ガラス基板18において生ずる複屈折は、熱応力が隅部において不均一に発生するために、隅部において顕著に表れているものと推測される。
〔実施の形態における効果〕
これに対して、前述した本発明に係る画像表示装置においては、波長板6,10,12において、ガラス基板18上に貼り合わせられた有機材料からなる位相差材19は、ガラス基板18の反射型空間光変調素子7,11,13側に配置されるので、高出力の光源を用いても黒ムラや白ムラを発生させることなく、また、ガラス基板18における複屈折による表示画像の品位劣化を防止し、引締った均一な黒画面表示及び明るい均一な白画面表示を実現し、高コントラスト比の画像表示を行うことができる。
これに対して、前述した本発明に係る画像表示装置においては、波長板6,10,12において、ガラス基板18上に貼り合わせられた有機材料からなる位相差材19は、ガラス基板18の反射型空間光変調素子7,11,13側に配置されるので、高出力の光源を用いても黒ムラや白ムラを発生させることなく、また、ガラス基板18における複屈折による表示画像の品位劣化を防止し、引締った均一な黒画面表示及び明るい均一な白画面表示を実現し、高コントラスト比の画像表示を行うことができる。
なお、この画像表示装置の波長板6,10,12においては、ガラス基板18の片面に貼り付けられた位相差材19が外方に露出していると、キズやゴミ等の異物(塵挨)付着に弱くなるという問題がある。
図6は、波長板の位相差材に塵挨が付着した場合に表示される黒表示画面を示す正面図である。
すなわち、波長板6,10,12の位相差材19に塵挨が付着すると、図6に示すように、表示画像においては、不均一な影ができ、表示画像の品位が著しく劣化するという問題がある。
前述の実施の形態における画像表示装置においては、図2に示すように、波長板6,10,12は、位相差材19を反射型空間光変調素子7,11,13側に向けて配置されており、周囲がパッケージ24により密封されているので、位相差材19に塵挨が付着することが防止され、均一な表示画像を得ることができるようになっている。このパッケージ24内に波長板6,10,12及び反射型空間光変調素子7,11,13等を収納する工程をクリーン環境下で行うことにより、位相差材19に塵挨が付着したり誤って位相差材19に傷を付けてしまうことを防止することができる。
〔第2の実施の形態〕
図7は、本発明に係る画像表示装置の第2の実施の形態における構成を示す側面図である。
図7は、本発明に係る画像表示装置の第2の実施の形態における構成を示す側面図である。
本発明に係る画像表示装置は、図7に示すように、光源1から入射される照明光を色分解するための構成として、前述の実施の形態における第1の波長選択性波長板3及び第1の偏光ビームスプリッタ4に代えて、ダイクロイックミラー25を用いて構成してもよい。
この画像表示装置においては、ダイクロイックミラー25において、光源からの光束が、G光と、R光及びB光とが分離される点を除いては、前述した第1の実施の形態と同様の構成である。
なお、本発明は、前述の実施の形態において示した色分解合成光学系を用いた画像表示装置のみならず、図8により示した従来の色分解合成光学系を用いた画像表示装置や、その他の色分解合成光学系を用いた種々の画像表示装置に対しても適用することができる。また、本発明は、3板構成(反射型空間光変調素子を3枚用いる構成)のみならず、2板構成や単板構成の画像表示装置としても構成することができる。
さらに、本発明に係る画像表示装置は、前述したようなスクリーン上に表示画像を結像させるいわゆるフロントプロジェクタのみならず、スクリーンの背面より表示画像を結像させるいわゆるリアプロジェクションテレビとしても構成することができる他、反射型空間光変調素子を用いた画像出力装置としてのプリンタや、反射型空間光変調素子を用いた画像入力装置としてのカメラやスキャナなどにも応用できるものである。
1 光源
4,5,9,14 偏光ビームスプリッタ
6,10,12 波長板
7,11,13 反射型空間光変調素子
17 投射レンズ
18 ガラス基板
19 位相差材
4,5,9,14 偏光ビームスプリッタ
6,10,12 波長板
7,11,13 反射型空間光変調素子
17 投射レンズ
18 ガラス基板
19 位相差材
Claims (4)
- 白色光源と、この白色光源から発せられた光を3原色に分解して3原色の光をそれぞれ変調する反射型空間光変調素子に入射させこれら反射型空間光変調素子で変調されて反射された3原色の光を合成する分解合成手段と、この分解合成手段を経た光を投射する投射手段とを有する画像表示装置において、
前記色分解合成手段と前記反射型空間光変調素子との間に、該色分解合成手段から該反射型空間光変調素子に入射される光の偏光方向を調整するための波長板を備え、
前記波長板は、ガラス基板と、このガラス基板上に貼り合わされた位相差材とを有して構成され、前記位相差材が、前記ガラス基板の前記反射型空間光変調素子側の面に貼り合わされていることを特徴とする画像表示装置。 - 前記位相差材は、ポリオレフィン系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記波長板は、入射光線と出射光線とについて、略々1/4波長の位相差を生じさせることを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の画像表示装置。
- 前記反射型空間光変調素子の入射面と、前記波長板の位相差材が貼り合わせられた面との間は、周囲が封止され密封されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の画像表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003373305A JP2005134814A (ja) | 2003-10-31 | 2003-10-31 | 画像表示装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007011301A (ja) * | 2005-06-01 | 2007-01-18 | Canon Inc | 光変調素子ユニット、投射光学ユニットおよび画像投射装置 |
JP2009518685A (ja) * | 2005-12-08 | 2009-05-07 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 複屈折補償液晶ディスプレイ及びそれを使用する投影システム |
-
2003
- 2003-10-31 JP JP2003373305A patent/JP2005134814A/ja active Pending
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US7961269B2 (en) | 2005-06-01 | 2011-06-14 | Canon Kabushiki Kaisha | Optical modulation element unit, projection optical unit, and image projection apparatus |
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