JP2004109429A - 光導波路デバイスの斜め溝形成方法及び治具 - Google Patents

光導波路デバイスの斜め溝形成方法及び治具 Download PDF

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Shigeyuki Yagi
八木 成行
Toshihiro Kuroda
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Abstract

【課題】光導波路デバイスに斜め溝を形成する方法であって、斜め溝の形成時にポリマー層の剥がれやシリコン基板にクラックを発生させない方法、及びこの方法に使用する基板固定用の治具を提供すること。
【解決手段】基板上にポリマー光導波路を設けた光導波路デバイスのコアを横切るように、ブレードによりダイシングして斜め溝を形成する方法において、砥粒層を片面のみに有する片面砥粒層ブレードを使用することを特徴とする方法;上記方法に使用するための治具であって、基板を吸着固定するための吸着面と、基板を吸着面に所定方向に向けて位置決めするための突起部と、該吸着面に設けられた、基板を真空吸着させるための排気用の溝及び孔とを有し、該吸着面が、水平面に対して所定の角度で傾斜し、該傾斜角が基板の法線に対する斜め溝の角度に等しいことを特徴とする治具。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に設けられたポリマー光導波路に斜め溝を形成する方法及びこの方法に使用する治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のパソコンやインターネットの普及に伴い、情報伝送需要が急激に増大している。このため、伝送速度の速い光伝送を、パソコン等の末端の情報処理装置まで普及させることが望まれている。これを実現するには、光インターコネクション用に、高性能な光導波路を、安価かつ大量に製造する必要がある。
【0003】
光導波路の材料としては、ガラスや半導体材料等の無機材料や、樹脂が知られている。樹脂によって光導波路を製造する場合には、成膜工程を、塗布と加熱により大気圧中で行うことができるため、装置及び工程が簡単であるという利点がある。光導波路を構成する樹脂としては、種々のものが知られているが、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れるポリイミドが特に期待されている。ポリイミドにより光導波路を形成した場合、長期信頼性が期待でき、半田付けにも耐えることができる。
【0004】
樹脂製の光導波路デバイスは、一般的には、基板上に、光ファイバ搭載用のV溝を設け、さらに樹脂製の下部クラッド、コア(光導波路)及び上部クラッドを含む光導波路積層体を積層することにより製造される。さらに、図3に示すように、光導波路積層体上に搭載される光学素子との間で光の入出射を可能とするため、基板表面に対してある一定の角度を持ち、コアを切断する斜め溝がダイシング技術等を用いて形成される。この斜め溝とコアとの2つの境界面のうち、基板表面と鋭角をなす境界面(谷側)が反射面とされ、この反射面が光を反射することによってコアと光導波路積層体上に搭載される光学素子との間で光の入出射が可能とされる。また、送信用のLD(Laser Diode)素子と受信用のPD(PhotoDiode)素子とが一つの光導波路デバイスの中に集積化され、送信と受信とが同時動作を行うデバイスでは、光導波路の中間に斜めの溝を形成し、この溝に、第1の波長(例えば、波長1.30μm)の光(送信光)を透過させるが、第2の波長(例えば、波長1.55μm)の光(受信光)を遮蔽するエッジフィルタを挿入し、送信光(LD光)が受信用のPD素子に回り込むのを防止している。
【0005】
従来、この斜め溝は、光導波路デバイスを水平に配置し、所定の角度に傾斜させたブレードを用いてダイシングすることにより形成されている。しかし、この方法を、特にシリコン基板上にポリマー光導波路を設けた光導波路デバイスに適用すると、図4に示すように、斜め溝の谷側においてポリマー層が剥がれ、シリコン基板にクラックが発生するという問題がある。
また、従来の方法では、光導波路デバイスを水平に配置し、所定の角度に傾斜させたスピンドルに取り付けたブレードを用いてダイシングするため、専用に傾斜させたスピンドルを持つダイシング装置が必要になり、また、傾斜角度の変更には装置のスピンドルを取り外し、角度を変更して取付直し、さらに微調整を行う必要があるため、大きな手間がかかるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、光導波路デバイスに斜め溝を形成する方法であって、斜め溝の形成時にポリマー層の剥がれやシリコン基板にクラックを発生させない方法を提供することである。
本発明の他の目的は、光導波路デバイスに斜め溝を形成する方法であって、ダイシング装置の傾斜角度を変更する必要がなく、簡便に斜め溝を形成する方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記方法に使用する基板固定用の治具を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上にポリマー光導波路を設けた光導波路デバイスのコアを横切るように、ブレードによりダイシングして斜め溝を形成する方法において、砥粒層を片面のみに有する片面砥粒層ブレードを使用することを特徴とする方法を提供するものである。本発明において好ましくは、片面砥粒層ブレードの砥粒層が斜め溝の谷側になるようにブレードを配置してダイシングを行う。
本発明はまた、基板上にポリマー光導波路を設けた光導波路デバイスのコアを横切るように、ブレードによりダイシングして斜め溝を形成する方法に使用するための治具であって、基板を吸着固定するための吸着面と、基板を吸着面に所定方向に向けて位置決めするための突起部と、該吸着面に設けられた、基板を真空吸着させるための排気用の溝及び孔とを有し、該吸着面が、水平面に対して所定の角度で傾斜し、該傾斜角が基板の法線に対する斜め溝の角度に等しいことを特徴とする治具を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明を、以下、その一実施形態であるシリコン基板1上にポリマー光導波路を設けた光導波路デバイス100の製造方法を例として、図1及び図2を用いて説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
この光導波路デバイス100は、シリコン単結晶の基板1上に、光導波路積層体10が搭載された領域と、V溝21が配置された領域20と、発光素子または受光素子を搭載するための電極7が配置された領域30とを有している。
【0009】
光導波路積層体10の構造についてさらに説明する。基板1の上面には、基板1を保護し、屈折率を調整するための二酸化珪素層2が備えられ、光導波路積層体10は、二酸化珪素層2の上に形成されている。光導波路積層体10は、二酸化珪素層2の上に、順に積層された、有機ジルコニウム化合物層(図示されていない)と、フッ素を含まない樹脂層(図示されていない)と、下部クラッド3と、コア4と、コア4を埋め込む上部クラッド5と、保護層(図示されていない)とを含んでいる。下部クラッド3、コア4及び上部クラッド5は、いずれもフッ素を含むポリイミド樹脂により形成されている。なお、有機ジルコニウム化合物層及びフッ素を含まない樹脂層は、基板1と下部クラッド3との接着性を高めるために配置されている。
【0010】
下部クラッド3及び上部クラッド5は、いずれも、第1のポリイミド樹脂膜からなる。下部クラッド3の膜厚は、約6μm、上部クラッド5の膜厚は、コア4の直上で約10μm、他の部分で約15μmである。コア4は、第2のポリイミド樹脂膜からなり、その膜厚は約6.5μmである。保護層は、第3のポリイミド樹脂膜であり、その膜厚は、コア4から離れた端部で約5μmである。
【0011】
光導波路積層体10には、図1及び2に示すようにコア4を横切って斜め溝27が形成されている。この斜め溝27は、基板1の法線方向に対して、好ましくは5°〜50°の範囲の所望の角度αで傾斜している。この実施態様ではαは30°としてある。斜め溝27がコア4を横切る面、すなわち斜め溝27の切断面はコア4の伝搬光が散乱するのを防ぐために光学的に滑らかな面に形成されている。
【0012】
この斜め溝27には、コア4を伝搬する光の一部を上向きに反射させる反射フィルム等所望の光学素子を挿入することができる。例えば、反射フィルムとして、波長を選択して一部波長の光を反射し、残りを透過するダイクロイックミラーフィルムや、特定の偏光を反射し、残りを透過する偏光ミラーフィルム等のフィルム状光学素子を挿入することができる。なお、斜め溝27の間隙の幅tは、挿入する光学素子の厚さに対して広過ぎると光のロスが生じるため、挿入する光学素子の厚さに合わせた大きさにすることが望ましい。一般に斜め溝の幅tは15〜50μm、通常は20μm程度であり、基板1内に侵入した斜め溝の深さは40〜250μm、通常は100μm程度である。
光導波路積層体10の上面には電極107が配置されている。電極107は、例えば、斜め溝27とコア4との境界面又は斜め溝27に挿入された反射部材により、上方に向けて反射された光を受光する受光素子を搭載するために使用できる。
【0013】
基板1上の領域20に配置されたV溝21は、光ファイバを搭載するためのものである。V溝21は、予め定められた径の光ファイバを搭載した場合、コア4とアライメン卜した状態となるよう、その深さ及び幅が設計されている。従って、例えば、電極7上に発光素子を搭載した場合には、発光素子から発せられた光は、コア4に入射して、これを伝搬し、コア4から出射され、V溝21に搭載された光ファイバに高効率で入射する。また、電極107上に受光素子を搭載した場合には、光ファイバを伝搬してきた光が、光ファイバから出射されると高効率でコア4に入射して、これを伝搬し、斜め溝27とコア4との境界面又は斜め溝27に挿入された反射部材により、上方に向けて反射され、受光素子で受光される。
【0014】
V溝21は、シリコン単結晶の基板1を異方性エッチングすることにより形成された深さ約100μmの溝であり、断面はV字型である。V溝21が配置された領域20と光導波路積層体10との境界には、図1及び図2に示すように光導波路積層体10の端面を切断する際に形成された切り込み25が存在している。同様に、電極7の領域30と光導波路積層体10との境界にも切り込み26が存在している。
【0015】
次に、本発明の光導波路デバイスの製造方法について、図1及び2を用いて説明する。
基板上に光ファイバ搭載用のV溝を形成する工程
ここでは、基板1として直径約12.7cmのシリコンウエハを用意し、この基板1の上に図1の構造を縦横に多数配列して形成し、後の工程でダイシングにより切り離して、個々の光導波路デバイス100に分離する。これにより、多数の図1の光導波路デバイス100を量産することができる。よって、成膜やパターニング等は、ウエハ状の基板1全体で一度に行う。
まず、ウエハ状の基板1の上面全体に、二酸化珪素層を熱酸化法や気相堆積法等により形成した後、フォトリソグラフィとシリコン単結晶の異方性を利用したウエットエッチングにより、V溝21を配列して形成する。
【0016】
このウエハ状の基板1の上に金属膜を成膜してパターニングすることにより、図1の電極7を形成する。これにより、ウエハ状の基板1には、V溝21と電極7とが多数配列されて形成される。
次に、ウエハ状の基板1の全体に有機ジルコニウム化合物層を形成する。まず、有機ジルコニウム化合物溶液を基板1全体に、5〜15分子層である50〜150Å厚となるようにスピンコートした後、得られた塗膜を160°Cで5分程度加熱して乾燥させ、有機ジルコニウム化合物層を形成する。有機ジルコニウム化合物溶液としては、例えば、トリブトキシアセチルアセトネートジルコニウムをブタノールに溶解して、1重量%溶液に調製したものを用いる。
【0017】
次に、有機ジルコニウム化合物層の上に、フッ素を含まない樹脂層形成用組成物をスピンコートで塗布し、得られた塗膜を加熱して溶媒を蒸発させ、さらに加熱して硬化させることにより、フッ素を含まない樹脂層を形成する。フッ素を含まない樹脂層の厚さは、0.23μmとなるようにスピンコートの条件を制御する。
次に、ウエハ状の基板1の上面のうち、完成後の光導波路デバイスで光導波路積層体10が配置されていない領域20,30となる部分について、フッ素を含まない樹脂層と、有機ジルコニウム化合物層を除去する。ウエハ状の基板1には光導波路デバイスを縦横に配列して製造しているため、ウエハ状の基板1の上面のうち、領域20及び領域30は、光導波路積層体10の両脇の帯状の部分である。この帯状の部分からフッ素を含まない樹脂層と有機ジルコニウム化合物層とを除去しておくことにより、下部クラッド3がこの帯状部分では基板1から剥がれやすくなるため、後述の工程で、基板1の領域20,30の部分から光導波路積層体10を帯状に剥がして除去することが可能になる。
【0018】
基板1上の領域20,30からフッ素を含まない樹脂層と有機ジルコニウム化合物層とを除去する方法について、具体的に説明する。
まず、ウエハ状の基板1の全面にレジスト液をスピンコートし、100℃で乾燥することによりレジスト膜を形成する。この後、水銀ランプでフォトマスクの像を露光する。フォトマスクは、光導波路積層体10を形成すべき部分にのみレジスト膜が残るように形成されている。その後、レジスト膜を現像する。これによりレジスト膜のみならず、フッ素を含まない樹脂層もウエットエッチングされ、両者をほぼ除去することができる。
【0019】
この方法は、レジスト膜の露光及び現像を繰り返すという簡単な工程で、フッ素を含まない樹脂層をV溝21から完全に除去できるという利点がある。この後、フッ酸を用いたウエットエッチングまたは反応性イオンエッチングにより、有機ジルコニウム化合物層を除去する。有機ジルコニウム化合物層は、膜厚が非常に薄いため、V溝21の内部の層もウエットエッチングまたは反応性イオンエッチングにより除去することができる。 最後に、 レジスト膜を除去する。
【0020】
基板上に下部クラッド3を形成する工程
次に、ウエハ状の基板1の上面全体に前述の第1のポリイミド樹脂膜形成用組成物(すなわち、下部クラッド3形成用組成物)をスピンコートして材料溶液膜を形成する。その後、乾燥器で100℃で30分、次いで、200℃で30分加熱することにより溶媒を蒸発させ、続けて370℃で60分加熱することにより硬化させ、厚さ6μmの下部クラッド3を形成する。
【0021】
下部クラッド3上にコア4を形成する工程
この下部クラッド3の上に、コア用の前述の第2のポリイミド樹脂膜形成用組成物をスピンコートして材料溶液膜を形成する。その後、乾燥器で100℃で30分間、次いで、200℃で30分間加熱することにより溶媒を蒸発させ、続いて350℃で60分間加熱することにより硬化を行い、コア4となる厚さ6.5μmの第2のポリイミド樹脂膜を形成する。
【0022】
次に、第2のポリイミド樹脂膜(即ち、コア4となる層)上に、シリコン含有レジスト層(通常は膜厚約1μm程度)を設け、該レジスト層を所望のコア4のパターンを有するフォトマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成する。露光は紫外線を用いて通常は30秒〜120秒程度行えばよい。現像は、アルカリ性現像液をスプレーし、室温(約23℃)で約90秒程度で充分に行われる。
該レジストパターンをエッチングマスクとして、コア4となる樹脂層をエッチングして、所望のコア4を形成する。エッチングは、レジストパターンをエッチングマスクとして、酸素イオンを用いた反応性イオンエッチング(O−RIE)により行う。
【0023】
上部クラッド5及び保護層を形成する工程
次に、コア4及び下部クラッド3を覆うように、第1のポリイミド樹脂膜形成用組成物をスピンコートする。得られた材料溶液膜を、乾燥器で100℃で30分間、次いで、200℃で30分間加熱して材料溶液膜中の溶媒を蒸発させ、350℃で60分間加熱することにより第1のポリイミド樹脂膜の上部クラツド5を形成する。さらに、上部クラッド5の上面に、フッ素を含まないポリイミド樹脂膜形成用組成物をスピンコートし、乾燥器で100℃で30分間、200℃で30分間加熱して溶媒を蒸発させ、次いで、350℃で60分間加熱して、上面がほぼ平坦でコア4から離れた端部の部分の厚さが約5μmのフッ素を含まないポリイミド樹脂膜の保護層を得る。
【0024】
次に、下部クラッド3から保護層までの各層は、これらが不要な領域20及び30にも配置されているため、これを剥がして除去する。すなわち、領域20と光導波路積層体10との境界、及び、光導波路積層体10と領域30との境界にそれぞれダイシングにより切り込み25、26を入れ、下部クラッド3から保護層9までの各層を切断する。このとき、ダイシングによる切り込みの深さは、光導波路積層体10は切断されるが、基板1は切り離されない深さにする。先の工程で、領域20及び領域30の基板1の上面からは、有機ジルコニウム化合物層とフッ素を含まない樹脂層が除去されているため、領域20及び領域30では下部クラッド3と基板1との密着力は小さい。したがって、領域20及び領域30の上に搭載されている下部クラッド3から保護層までの各層は、切り込み25、26を入れたことにより、ウエハ状の基板1から帯状に容易に剥がすことができる。これにより、ウエハ状の基板1において、領域20及び領域30では基板上面(二酸化珪素層)が露出される。
【0025】
斜め溝27を形成する工程
領域20及び領域30の上に搭載されている下部クラッド3から保護層までの各層を、ウエハ状の基板1から帯状に剥がす前、又は剥がした後に、領域20及び領域30の境界で基板をダイシングブレードにより切断し、複数の光導波路デバイス100が連結された短冊状の光導波路デバイス集合体を形成する。これを以下に説明する治具上に固定し、ダイシングブレードにより斜め溝27を形成する。
【0026】
治具200
斜め溝27の形成には、図5に示す治具200を用いるのが便利である。この治具200は、基板1を吸着固定するための吸着面201と、基板1を吸着面201に所定方向に向けて位置決めするための突起部202と、該吸着面201に設けられた、基板1を真空吸着させるための排気用の溝203及び孔204とを有し、該吸着面201が、水平面に対して所定の角度αで傾斜し、該傾斜角が基板の法線に対する斜め溝27の角度に等しいことを特徴としている。
排気用の溝203の幅、深さ、数、配置は、基板1が吸着固定されるようなものであれば特に制限はなく、溝の幅は0.2〜1.0mm、例えば、0.4mm、深さは0.2〜1.0mm、例えば、0.5mm程度、隣接する溝203の間隔は3〜10mm、例えば7mm程度が適当である。溝の配置は直線状、環状等特に制限されないが、形成が容易であることから、直線状の溝を縦横に形成するのが好ましい。
排気用の孔204の形状、数、配置も、基板1が吸着固定されるようなものであれば特に制限はなく、0.5〜1.0mmφ、例えば、0.8mmφ程度のものを3〜10個程度設ければ良い。
治具200は真空吸着によりテーブル(図示されていない)に固定して使用するので、孔204はテーブルに設けられた真空吸引用の孔の位置に合わせて形成しておくのが好ましい。
【0027】
短冊状に切断した光導波路デバイスを、複数個、例えば、3〜7個程度、治具200の吸着面201上に並べ、真空吸引して吸着面201に固定し、ダイシングブレードにより斜め溝27を形成する。第1番目の短冊に斜め溝27を形成した後、第2番目、第3番目の短冊に斜め溝27を順次形成して行く。
本発明は、斜め溝27の形成の際に、砥粒層を片面のみに有する片面砥粒層ブレードを使用することを特徴とする。この際、片面砥粒層ブレードの砥粒層が斜め溝の谷側になるようにブレードを配置してダイシングを行うことが好ましい。
片面砥粒層ブレードの砥粒の粒度は、JIS規格相当品で好ましくは3000〜8000番、さらに好ましくは4000〜7000番が望ましい。砥粒の粒度が1000番未満のブレードでは粗過ぎて斜め溝27の研削面が粗い面となり、コア4の伝搬光を散乱する。一方、砥粒の粒度が8000番を超えると、細か過ぎて、ダイシングブレードが目詰まりし易く、光導波路積層体10が基板1から剥がれるおそれがある。
砥粒としてはダイヤモンド、炭化ケイ素、アルミナ等が挙げられ、入手容易性の見地からダイヤモンドであることが好ましい。
【0028】
ダイシングブレードの刃厚は15〜30μm、例えば、20μm程度が適当である。ブレードの回転数は、直径2インチのブレードの場合20000〜40000rpm程度が適当である。ブレードの刃の先出し量は0.6mm以下が好ましい。0.6mmを越えるとダイシングの際に刃が波打って安定なダイシングができなくなる傾向がある。
ダイシングブレードの送り速度は1.0mm/s〜5.0mmが望ましい。この範囲の送り速度は、半導体素子製造時のダイシングブレードの送り速度の約1/10である。このようにゆっくりした送り速度でダイシングブレードを、ポリイミド樹脂製の光導波路積層体10に切り込むことにより、切削面を研磨面と同程度に光学的に滑らかな面に形成することができる。
【0029】
光導波路デバイス100を形成する工程
次に、この短冊状の基板1をさらにダイシングにより、個々の光導波路デバイス100に切り出し、光導波路デバイス100を完成させる。
この実施態様の光導波路積層体のコア4は直線形状であるが、光導波路積層体10のコア4の形状は、光導波路デバイスとして必要とされる機能に合わせて直線形状に限らずy分岐やx型等の所望の形状にすることができる。また、コアの形状に合わせて、V溝21や、電極7、電極107を複数個備える構成にすることも可能である。
【0030】
また、こうして製造される光導波路デバイス100は、下部クラッド3から上部クラッド5まで全ての層をポリイミド樹脂で形成しているため、Tgが高く、耐熱性に優れている。よって、本実施の形態の光導波路デバイス100は、高温になっても伝搬特性を維持できる。また、ポリイミド樹脂は、半田付け等の高温工程にも耐えることができるため、光導波路デバイスの上にさらに別の光導波路デバイスや電気回路素子や発光素子を半田付けすることも可能である。
【0031】
本発明の光導波路デバイス100を用いて、光通信装置を製造することにより、光ファイバとコア4とのアライメントが容易で、結合効率の高い高性能な光通信装置を安価に製造することができる。
なお、本発明において光導波路デバイスとは、基板として、ガラス、石英等の無機材料、シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウム、チタン等の半導体や、金属材料、ポリイミド、ポリアミド等の高分子材料、またはこれらの材料を複合化した材料を用いて、これら基板の上に、光導波路を設けたもの、及びさらに、光合波器、光分波路、光減衰器、光回折器、光増幅器、光干渉器、光フィルタ、光スイッチ、波長変換器、発光素子、受光素子あるいはこれらが複合化されたものなどを形成したものを指す。上記の基板上には、発光ダイオード、フォトダイオード等の半導体装置や金属膜を形成することもあり、更に基板の保護や屈折率調整などのために、基板上に、上述のとおり二酸化珪素被膜を形成したり、あるいは、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化タンタルなどの被膜を形成してもよい。
【0032】
【実施例】
以下実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。
直径約12.7cm厚さ約1mmのシリコンウエハ上に多数のポリイミド光導波路(厚さ20〜30μm)を形成した。まずシリコンウエハ上に、有機ジルコニウム化合物層(膜厚約100オングストローム)を設け、次に、フッ素を含まない第1のポリイミド樹脂層(膜厚約0.23μm)を設けた。さらに第2のポリイミド樹脂膜からなる下部クラッド(膜厚約6μm)、第3のポリイミド樹脂膜からなるコア(膜厚約6.5μm)、及び第2のポリイミド樹脂膜からなる上部クラッド(膜厚は、コアの直上で約10μm、他の部分で約15μm)、第4のポリイミド樹脂膜からなる保護層(膜厚は、コアから離れた端部で約5μm)を設けた。
【0033】
これを領域20と領域30の境界でダイシングにより切断して短冊状の光導波路デバイス集合体(光導波路デバイス100が複数個連結されているもの)を得た。これを、治具200の吸着面201(水平面に対する傾斜角30度)上に載置し、真空吸引して吸着面201に固定した。表1に示すダイシングブレード(刃の厚さ20μm、刃の先出し量0.55mm)を用いて、コア4を横切る斜め溝27(深さ0.23mm、基板1の法線に対する角度30度)を形成した。次にこれをダイシングにより切断して個々の光導波路デバイス100を作製した。
各種のブレードを用いて形成した光導波路デバイスの斜め溝周辺のポリマー層の剥がれ及びシリコン基板中のクラック8の有無を調べた。光導波路の上面から5〜10倍の顕微鏡で観察し、ポリマー層の剥がれ及びシリコン基板中のクラックに基づく変色部分の長さが20μm以上あるものを不良品とした。直径12.7cmのウエハを5枚処理したときの不良品の光導波路デバイスの総数に対する割合を不良率とした。両面砥粒層ブレードを使用すると当初は不良品の割合が低いが、ウエハ処理枚数が多くなるに従って不良品の割合が高くなる。これに対して、片面砥粒層ブレードを使用すると当初の不良品の割合は両面砥粒層ブレードを使用した場合よりやや高いが、ウエハ処理枚数が多くなっても不良品の割合が高くならない。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 2004109429
ブレード1:両面砥粒層ブレード(ディスコ社製、NBC−ZB202J(#4500)
ブレード2:片面砥粒層ブレード(ディスコ社製、NBC−Z203J(#4000)
ブレード3:片面砥粒層ブレード(ディスコ社製、NBC−Z226J(#7000)
【0035】
表1に示すように、従来の方法に従って、両面砥粒層ブレードを使用した実験1では、不良率が7%と高いのに対して、片面砥粒層ブレードを使用した実験2〜4では不良率が5%以下に低下する。砥粒層が谷側に位置するように配置した実験3及び4では不良率がさらに低下し、粒度7000番の砥粒を用いたブレード3を使用すると、不良率は1%まで低下した。
【0036】
【発明の効果】
本発明の光導波路デバイスの製造方法では、片面砥粒層ブレードを用いて斜め溝27を形成することにより、両面砥粒層ブレードを用いる従来の方法と比較して不良率を大幅に低下させることができる。
片面砥粒層ブレードは基材にダイヤモンド等の砥粒を電着したものであり、両面砥粒層ブレードは片面砥粒層ブレードの基材をエッチングにより除去したものであるから、片面砥粒層ブレードの方が安価である。従って本発明は安価なブレードを用いて不良率を低くすることができる方法である。
また本発明の治具を用いると、治具の吸着面上に、短冊状に切断した光導波路デバイスを複数本並べてダイシングにより斜め溝を形成することができるため、製造工程を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の模式化した光導波路デバイス100を示す斜視図である。
【図2】図1の光導波路デバイスのA−A´断面図である。
【図3】従来の、斜め溝を有する光導波路デバイスの断面図である。
【図4】従来の、斜め溝を有する光導波路デバイスにおける境界面の剥離状態を示す断面図である。
【図5】(a)は本発明の一実施の形態の模式化した治具200の平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1:シリコン基板、2:二酸化珪素層、3:下部クラッド、4:コア、5:上部クラッド、7及び107:電極、8:クラック、10:光導波路積層体、20:光ファイバ搭載領域、21:V溝、25及び26:切り込み、27:斜め溝、30:電極搭載領域、200:治具、201:吸着面、202:突起部、203:排気用の溝、204:排気用の孔。

Claims (6)

  1. 基板上にポリマー光導波路を設けた光導波路デバイスのコアを横切るように、ブレードによりダイシングして斜め溝を形成する方法において、砥粒層を片面のみに有する片面砥粒層ブレードを使用することを特徴とする方法。
  2. 片面砥粒層ブレードの砥粒層が斜め溝の谷側になるようにブレードを配置してダイシングを行う請求項1記載の方法。
  3. 片面砥粒層ブレードの砥粒の粒度が#7000である請求項1又は2記載の方法。
  4. 基板がシリコンであり、ポリマーがポリイミドである請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 基板の法線に対する斜め溝の角度が30度である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 基板上にポリマー光導波路を設けた光導波路デバイスのコアを横切るように、ブレードによりダイシングして斜め溝を形成する方法に使用するための治具であって、基板を吸着固定するための吸着面と、基板を吸着面に所定方向に向けて位置決めするための突起部と、該吸着面に設けられた、基板を真空吸着させるための排気用の溝及び孔とを有し、該吸着面が、水平面に対して所定の角度で傾斜し、該傾斜角が基板の法線に対する斜め溝の角度に等しいことを特徴とする治具。
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