JP2004107807A - 異色効果を有するスエード調人工皮革及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】▲1▼ 少なくとも表面繊維層としては極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維との混合体であって、カチオン可染性ポリエステル繊維中のスルホン酸金属塩基を有する化合物の共重合率が2〜4mol%、極細ポリエステル繊維の単繊維繊度(A) が0.33dtex以下の時、カチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維繊度(B) が次式 5≦B/A≦20(但し、B≦3.3dtex)を満たし、極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合重量比が70/30〜95/5である、(不織布シートを染色した)スエード調人工皮革。▲2▼ 極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維とを水分散による抄造法で単繊維状に均一に混合・分散させた後、高圧柱状流により水流交絡不織布を得る人工皮革の製法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極細ポリエステル繊維にカチオン可染性ポリエステル繊維を混合してなる新規な異色効果を有するスエード調人工皮革およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
極細繊維を主体とする不織布に各種の高分子化合物を付与、加工を施し人工皮革を得ることは一般に広く知られており、その用途やニーズは多様化してきている。その中にあってメランジ調と呼ばれる、異色効果を表現できるような人工皮革を有することは素材バリエーションを増やすことになり販売戦略上重要である。
【0003】
従来より同様な目的により努力し開示された技術がある。例えば特開昭57−66190号公報は0.5d以下の単繊維繊度からなるポリエステル系極細繊維とポリアミド又はセルロース系極細繊維との混在による異色性を追求した技術である。
しかし、この方法を実施例にならいトレースした場合、セルロース系繊維との混在であればセルロース系繊維の摩耗耐久性が低く異色模様の継続的維持に難がある。
メルトブローウェッブによるポリエステルとポリアミドとの積層体を水流交絡させて一体化する方法も記載されているが工程が複雑であり工業生産に耐えるものではないだけでなく両者の混在が不均一で商品価値の低いものである。
【0004】
また、特開2001−262476号公報は0.7dtex以下の極細ポリエステル繊維と0.7dtex以下の極細ポリアミド繊維を特定の分散染料と反応染料で染色する技術であるが、使用する原糸構成が細すぎて異色効果に限界があるだけでなくカード、クロスラッパーからなる基布構成であるため異種原糸の均一混合化が難しく異色部分が塊状で発現しやすくなるため商品価値は低いものである。
また、この方法のもうひとつの大きな問題点は染色の主流である液流染色機で染色した場合、ポリアミド極細繊維がピリングしてポリエステル極細繊維内に埋没するような状態になり表面を形成する極細繊維密度が低下するだけでなく、メランジ(異色)効果が非常に弱く、貧相な表面性となり高級スエード調表面にはならない。更に、染色堅牢度としても不満な状態で、特に要求される性能が厳しい椅子張りでは洗濯堅牢度や湿摩擦堅牢度が悪くポリアミド極細繊維を濃色に仕上げるような配色では実用としてとても通用するレベルではない。
【0005】
更に、特開2000−248471号公報では繊維直径の異なるアクリル及び共重合アクリル繊維を用いる技術が開示されているが、この方法では同色系濃淡効果によるメランジ効果しか実現できずカラーバリエーションが出せない。
また、この方法で濃淡差をはっきり出そうとすると、お互いの繊維直径比率をかなり大きくとる必要がある。結果として極細糸に極太糸を混ぜることになり表面粗硬感が強く優美なスエード調表面にはならない。
【0006】
発明者の研究によれば、極細糸0.11dtexに対して3.3dtex以上の繊度を有する糸を混ぜないと濃淡差は明確でなく、メランジ調を特徴とした商品としてはインパクトが弱い。当然ながら表面感は粗硬である。
特開2000−248471号公報には極細のアクリル繊維にポリエステルやポリオレフィン、セルロースなどを混ぜるという技術も併せて開示されている。いずれの組み合わせにおいても、椅子張りなどに要求されるマーチンデール摩耗特性などの耐久性能を有するものではなく主体となるアクリル繊維の染色律速になることが多く、実施例からみても杢調のもので、おのずとカラーバリエーションに限界がある。このように従来技術においては均一分散性に優れ、ピリングなどがなく優美なスエード調表面を有し、しかも耐摩耗性能の高い異色性を有した人工皮革で衣料はもとより椅子張り用途に使える素材を提供し得る技術は未だ実現していないのが現実である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭57−66190号公報
【特許文献2】
特開2000−248471号公報
【特許文献3】
特開2001−262476号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面繊維層に極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維を用いることにより従来技術の問題を解決して、異色系、同色系を問わず新規で優美なメランジ調表面品位と優れた堅牢度、耐摩耗性を有するスエード調人工皮革およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の従来技術の問題を解決するため鋭意検討した結果、表面繊維層に極細ポリエステル繊維と特定割合でスルホン酸金属塩基を共重合したカチオン可染性ポリエステル繊維を用い、抄造法により単繊維の均一混合、分散させた不織布とすることにより、上記のように優れたスエード調人工皮革が得られるることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は少なくとも表面繊維層としては極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維状均一混合体であって、該極細ポリエステル繊維の単繊維繊度(A) が0.33dtex以下の時、カチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維繊度(B) が下式(I)を満たし、より好ましくは下式(2) を満たし、且つカチオン可染性ポリエステル繊維中のスルホン酸金属塩基を有する化合物の共重合率が2〜4mol%であり、該極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合重量比(極細ポリエステル繊維/カチオン可染性ポリエステル繊維)が70/30〜95/5であり、抄造法によって単繊維の均一混合と分散をさせることを特徴とするものである。
5≦B/A≦20 (但し、B≦3.3dtex)・・・(I)
7≦B/A≦17 (但し、B≦3.3dtex)・・・(2)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の人工皮革を構成する極細ポリエステル繊維としては、代表的にはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、極細繊維としては溶融紡糸法により直接紡糸されたものが使用出来るし、共重合ポリエステルとポリエステルの海島繊維等の複合糸から共重合ポリエステルを抽出して極細ポリエステルを取り出す方法も有効である。
本発明においては、単繊維繊度0.33dtex以下の極細繊維が使用される。
該単繊維繊度が0.33dtexを超える場合は、混合するカチオン可染性ポリエステル繊維との繊度差が小さくなるため、メランジの発現、特に同色系でのメランジが発現し難く、更に滑らかな表面タッチが得られない。
【0011】
本発明の人工皮革を構成するもう一つの繊維であるカチオン可染性ポリエステル繊維は、スルホン酸金属塩基を有する化合物、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸などをポリエステルに共重合させカチオン染料により染色可能としたものであればその他の成分や構造は特に限定されるものではない。
カチオン可染性ポリエステル繊維中に存在するスルホン酸金属塩基を有する化合物の共重合率は一般的には0.5〜5mol%程度であるが、混合する極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の発色の強弱バランスから2〜4mol%、好ましくは2.5〜4.0mol%にすることでメランジの強弱バランスが最適となることを見出した。
また、カチオン可染性ポリエステルを得る手段も前記の極細ポリエステル繊維と同様の方法によって得られたものが使用できる。
【0012】
本発明に使用されるカチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維繊度(B) は、極細ポリエステル繊維の単繊維繊度(A) が0.33dtex以下のときに下式(I)を満たし、より好ましくは下式(2) を満たす範囲であれば特に限定されないが、下式(I)においてB/Aが5未満になると極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維繊度差が小さくなることから明瞭なメランジ調が得られない。
逆にB/Aが20を超える場合で、カチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維繊度(B) が3.3dtexを超える場合は、ベースの極細ポリエステル繊維との繊度差が大きくなりすぎザラツキ感がでるため優美な表面品位と滑らかな表面タッチが得られ難い。
5≦B/A≦20 (但し、B≦3.3dtex)・・・(I)
7≦B/A≦17 (但し、B≦3.3dtex)・・・(2)
【0013】
本発明において、極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維ともに、繊維長は10mm以下が好ましく、均一混合の点から更に5mm以下が好ましい。
繊維長が10mmを超えて長いと、繊維の分散が悪く、塊状になりやすく、均一な異色効果を得られない。
【0014】
また、本発明においては、明瞭なメランジ調を得るという点から極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合重量比(極細ポリエステル繊維/カチオン可染性ポリエステル繊維)が70/30〜95/5であることが好ましく、より好ましくは80/20〜90/10である。
カチオン可染性ポリエステル繊維の混率が30wt%を超えるとカチオン可染性ポリエステル繊維の表面カバー率が大きくなりカチオン可染性ポリエステル繊維の色が強く出すぎるため明瞭なメランジ調にならず、逆に5wt%未満ではカチオン可染性ポリエステル繊維の色が弱くなるため明瞭なメランジ調にならない。
【0015】
また、本発明の不織布、即ち不織シート状物中に少量の温水可溶性単繊維(例えば水溶性ビニロン)を混合することは本発明の目的を阻害しない範囲で可能である。
本発明の不織シート状物は、表面繊維層として極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合繊維層を有すれば、前記表面繊維層につながる層としてはどのような構成シート状物を用いてもよい。
例えば表面繊維層と同一構成の繊維層で不織シート状物を構成してもよく、また、表面繊維層につながる層として、表面繊維層で片面、または両面全体が覆われ且つ三次元交絡している編織物からなる層を配置してもよい。
不織シート状物の強度、寸法安定性の点から編織物層が不織シート状物に存在する方がより好ましい。
【0016】
本発明の不織シート状物は、一般的には上記各種繊維からカード、クロスレイヤー、ランダムウェッバー等の乾式法、及び水中に各繊維を分散させての抄造法等により不織ウェブを製造し、ニードルパンチ、水流交絡処理等により交絡一体化する方法が知られているが、極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維状均一混合体を得るには、水分散からなる抄造法が最も好ましく、カード、クロスレイヤー、ランダムウェッバー法では繊維が束状化し単繊維としての分散が難しく均一分散性に限界がある。
【0017】
本発明においては、前記の方法で得られた不織シート状物に高分子化合物が付与される。
この場合の高分子化合物としてはポリウレタン樹脂、各種合成ゴム、天然ゴム等が挙げられるが、人工皮革として柔軟で且つ弾力性のある風合、及び耐久性や寸法安定性等の物性を得るためにはポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂としてはポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系などがあり、更には、溶剤系、水系が存在するがいずれの樹脂を使用しても差し支えないが、好ましくは水系ポリウレタンである。また、必要に応じて酸化防止剤等の安定剤や各種添加剤を添加することは何ら支障はない。
【0018】
かくして得られた不織シート状物は染色を行う。
本発明で用いる染色機は、起毛をつけ、深みのある風合いを出すために液流染色機が適している。
本発明において、染色に用いられる染料として極細ポリエステル繊維は分散染料を、カチオン可染性ポリエステル繊維はカチオン染料を用いるが、分散染料、カチオン染料共に堅牢度を満たす染料であれば特に限定されず、目的とする色に応じて適宜選択すればよい。
染色方法については染色加工業者によく知られた通常のポリエステル繊維を染色する方法で実施することが出来、何らの制限も受けず、分散染料とカチオン染料を同時に染色浴中へ投入することが出来る。
【0019】
このようにして染色された不織シート状物は化学的還元剤の存在下で還元洗浄される。
使用される還元剤としてはハイドロサルファイトナトリウム、二酸化チオ尿素、硫化ソーダ、ハイドロサルファイトカルシウムなどがあるが、これら各種還元剤は使用した染料によって適宜選択すればよく、単独または組み合わせて使用することも出来る。
また、必要に応じて酸、アルカリ、界面活性剤を併用することが出来る。得られた製品は洗濯、耐光、湿摩擦堅牢度において何ら制約を受けるものではなく要求の厳しい椅子張り素材として十分適用するものである。
【0020】
本発明のスエード調人工皮革によれば、同色系濃淡メランジはもとより2種の色相からなる異色メランジ、更に、カチオン染料のみによる染色で杢調メランジを適宜提供することが出来る。
商品性の高いメランジとしては、ベースとなる極細ポリエステル繊維の発色が明度(L*)で45以上の淡色になるように分散染料の濃度を調整した方が良い。それによってカチオン可染性ポリエステル繊維の発色が活かしやすくなり同色系濃淡、異色系ともにメランジ効果が明瞭になるしカラーバリエーションが豊富になる。
ベース色の明度(L*)が45未満の中濃色でも本発明のメランジ効果は可能であるが一般的に配色は限られてくる。
【0021】
ベース色の明度(L*)の測定方法は、本発明の人工皮革原反を目的の淡色系カラーとなるように分散染料だけで染色した後、測色機(ミノルタ社製分光測色計「CM−3500d」)で測色を実施して評価した。
なお、一度測色を行い明度(L*)を評価したカラーについては、そのカラーの領域は使用可能であることを確認出来ているので染色のたびに明度(L*)を評価する必要はない。
【0022】
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
なお、染色された不織シート状物の堅牢度としては下記の3項目を評価し、異色性の評価は目視により3段階(○:明瞭な異色性あり、△:異色性はあるが明瞭ではない、×:異色性なし)で評価した。
ピリングについての評価は目視判定、表面タッチの評価については手触りで評価した。
1.洗濯堅牢度:JIS L 0844
2.耐光堅牢度:JIS L 0842
3.湿摩擦堅牢度:JIS L 0849
【0023】
【実施例1】
極細ポリエステル繊維として、直接紡糸法によって単繊維繊度0.17dtexの繊維を製造し、長さ5mmに切断したものを使用した。
カチオン可染性ポリエステル繊維として5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合率が2.2mol%で、単繊維繊度2.2dtex、カット長5mmのものを使い、前述の極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合重量比(極細ポリエステル繊維/カチオン可染性ポリエステル繊維)が85/15となるように水中に分散させ、表層用と裏層用の抄造用スラリーを作った。表層目付110g/m2、裏層目付60g/m2とし、その中間に165dtex/48fのポリエステル繊維からなるガーゼ状の織物を封入し、三層積層構造の不織布シートを連続抄造で製造した。次いで高速水流の噴射により三次元交絡不織布を得た。
高速水流には孔径0.1mmの直進流噴射ノズルを用いて、表層から4.0MPa、裏層から3.0MPaの圧力で噴射処理し、ピンテンターで乾燥後、目付250g/m2、厚さ0.95mmのシート状物を製造した。
【0024】
このシート状物の表層を#400のエメリペーパーを用い、ペーパー速度1000m/分でバフィングした。これに、ポリウレタン含浸液としてポリエーテル系水系ポリウレタンエマルジョン(日華化学社製「エバファノールAP−12」)が9重量%、感熱剤として硫酸ナトリウム(Na2So4)が3重量%となる
ように調合した含浸液を、前記不織布シートに含浸後ピックアップ率120%になるようにマングルで絞り付着率を合わせた。その後連続的にピンテンター乾燥機で130℃、3分間で加熱乾燥し人工皮革原反とした。
この人工皮革原反を1300リットルの浴で浴比1:16になるように設定したサーキュラー液流染色機を用いて130℃、20分の染色を実施した。このとき、極細ポリエステル繊維はベージュ色になるように分散染料を0.16%omf投入し、カチオン可染性ポリエステル繊維はこげ茶色になるようにカチオン染料を1.4%omf投入した。
その後、二酸化チオ尿素、苛性ソーダを各3g/リットルで80℃、15分間の還元洗浄を行い、酸中和、水洗、乾燥を実施して仕上げた。染色後の人工皮革について堅牢度および異色性、ピリングを評価し、その結果を表1に示した。
【0025】
【実施例2】
実施例1において極細ポリエステル繊維はグレー色になるように分散染料を0.75%omf投入し、カチオン可染性ポリエステル繊維は黒色になるようにカチオン染料を1.0%omf投入した他は実施例1と同様に作成された人工皮革について堅牢度および異色性、ピリングを評価し、その結果を表1に示した。
【0026】
【比較例1】
実施例1においてカチオン可染性ポリエステル繊維をポリアミド繊維(ナイロン66、単繊維繊度2.2dtex、カット長5mm)に変えて、ポリアミド繊維の染料を酸性染料とした他は実施例1と同様に作成された人工皮革について堅牢度および異色性、ピリングを評価し、その結果を表1に示した。
【比較例2】
実施例2においてカチオン可染性ポリエステル繊維をポリアミド繊維(ナイロン66、単繊維繊度2.2dtex、カット長5mm)に変えて、ポリアミド繊維の染料を酸性染料とした他は実施例2と同様に作成された人工皮革について堅牢度および異色性、ピリングを評価し、その結果を表1に示した。
表1に示した様に、実施例1,2では、優れた異色性を有し、堅牢度やピリング性も良好であった。
【0027】
【実施例3〜5、比較例3、4】
実施例1においてカチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維繊度を0.6dtex(比較例3)、1.2dtex(実施例3)、2.2dtex(実施例4)、2.8dtex(実施例5)、3.5dtex(比較例4)と変化させた他は実施例1と同様に作成された人工皮革について異色性および表面タッチを評価し、その結果を表2に示した。
表2に示すように、B/Aが7〜17の範囲では、異色性、表面タッチ性ともに、良好であった。
【0028】
【実施例6〜9、比較例5】
実施例1において極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合重量比(極細ポリエステル繊維/カチオン可染性ポリエステル繊維)を60/40(比較例5)、70/30(実施例6)、80/20(実施例7)、90/10(実施例8)、95/5(実施例9)と変化させた他は実施例1と同様に作成された人工皮革について異色性を評価し、その結果を表3に示した。
表3に示した様に、混合重量比(極細ポリエステル繊維/カチオン可染性ポリエステル繊維)が70/30〜95/5の範囲では、良好な異色性を示した。
【0029】
【実施例10〜12、比較例6,7】
実施例1において混合するカチオン可染性ポリエステル繊維の5―ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合率を1.5mol%(比較例6)、2.0mol%(実施例10)、3.0mol%(実施例11)、4.0mol%(実施例12)、5.0mol%(比較例7)と変化させた他は実施例1と同様に作成された人工皮革について異色性を評価し、その結果を表4に示した。
表4に示した様に、カチオン可染性ポリエステル繊維の5―ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合率が、2〜4mol%の範囲では、明瞭なメランジ調が得られた。
【0030】
【実施例13】
極細ポリエステル繊維として直接紡糸法によって単繊維繊度0.17dtexの繊維を製造し、長さ5mmに切断したものを使用した。カチオン可染性ポリエステル繊維として5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合率が2.2mol%で単繊維繊度2.2dtex、カット長5mmのものを使い、前述の極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合重量比(極細ポリエステル繊維/カチオン可染性ポリエステル繊維)が85/15となるように水中に分散させ、表層用と裏層用の抄造用スラリーを作った。
表層目付110g/m2、裏層目付60g/m2とし、その中間に165dtex/48fのポリエステル繊維からなるガーゼ状の織物を封入し、三層積層構造の不織布シートを連続抄造で製造した。次いで高速水流の噴射により三次元交絡不織布を得た。
高速水流には孔径0.1mmの直進流噴射ノズルを用いて、表層から4.0MPa、裏層から3.0MPaの圧力で噴射処理し、ピンテンターで乾燥後、目付250g/m2、厚さ0.95mmのシート状物を製造した。
【0031】
このシート状物の表層を#400のエメリペーパーを用い、ペーパー速度1000m/分でバフィングした。これに、PVA含浸液としてポリビニルアルコール(日本合成化学社製「GL−05」)が6重量%となるように調合した液を、前記不織布シートに含浸後、PVA付着率が10wt%になるようにピックアップ率を合わせ130℃、3分間で加熱乾燥した。
この基布にポリウレタン含浸液としてポリエーテル系溶剤系ポリウレタン(大日本インキ化学社製「クリスボン」)が15重量%となるように調整した含浸液を含浸させた後、水中凝固させて人工皮革原反とした。
この人工皮革原反を実施例1と同様に染色して得られた人工皮革について異色性を評価した。その結果、水系ポリウレタンを使用した時と同様、優美なメランジ調人工皮革が得られた。
【0032】
【実施例14】
実施例2において投入する染料をカチオン染料1.0%omfのみとして極細ポリエステル繊維は未染、カチオン可染性ポリエステル繊維を黒色とした他は実施例2と同様に作成された人工皮革について異色性を評価した。その結果、優美な杢調の表面を有した人工皮革が得られた。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
これらの結果から、極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合体では単繊維繊度の比率と混合重量比を最適な条件にすることで、異色系、同色系いずれの場合でも優れたメランジ調を有し、また、カチオン可染性ポリエステル繊維だけを濃色に染めることで杢調の表面性を有すことも出来、且つ堅牢度も優れているスエード調人工皮革を得られることが判った。
【0038】
【発明の効果】
本発明のように、表面繊維層を構成する繊維として極細ポリエステル繊維に特定の繊度のカチオン可染性ポリエステル繊維を水中分散させ抄造、柱状流法によりスエード調人工皮革とすることで、異色部分が塊状で発現せず均一で優美な起毛を有し且つ堅牢度が良好な異色効果のメランジタイプの人工皮革を提供できる。
Claims (3)
- 少なくとも表面繊維層としては極細ポリエステル繊維とカチオン可染性ポリエステル繊維の混合体であって、該極細ポリエステル繊維の単繊維繊度(A) が0.33dtex以下の時、混合するカチオン可染性ポリエステル繊維の単繊維繊度(B) が下式を満たし、該極細ポリエステル繊維と該カチオン可染性ポリエステル繊維の混合重量比(極細ポリエステル繊維/カチオン可染性ポリエステル繊維)が70/30〜95/5であり、且つ該カチオン可染性ポリエステル繊維中のスルホン酸金属塩基を有する化合物の共重合率が2〜4mol%であることを特徴とする異色効果を有するスエード調人工皮革。
5≦B/A≦20 (但し、B≦3.3dtex)・・・(I) - 前記極細ポリエステル繊維が淡色系であり、前記カチオン可染性ポリエステル繊維が濃染系であり、各々の繊維が均一に分散していることを特徴とする請求項1記載の異色効果を有するスエード調人工皮革。
- 繊維長が10mm以下の前記極細ポリエステル繊維と繊維長が10mm以下の前記カチオン可染性ポリエステル繊維を抄造法を用いて均一に混合および分散させた後、高圧柱状流により水流交絡不織布を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の異色効果を有するスエード調人工皮革の製造方法。
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