JP2004106614A - 車両用空調機および空調機用パワーモジュール - Google Patents

車両用空調機および空調機用パワーモジュール Download PDF

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須永 英樹
Futoshi Araki
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田中 馨
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高橋 栄二
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Abstract

【課題】車両用空調機および空調機用パワーモジュールにおいて、空調機の性能低下を招くことなく、冷却効率を高める。
【解決手段】送風機25に対する通電制御用MOSトランジスタ12aを含む電気回路12が放熱性絶縁基板13上に形成され、かつ電気回路12が防水コーティング膜14によって覆われてなるパワーモジュール11の、少なくとも放熱性絶縁基板13および防水コーティング膜14の部分を、遠心スクロール部28を通過する空気Aに晒されるように配設する。
【選択図】      図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調機およびこの空調機に用いられるパワーモジュールに関し、詳細には、パワーモジュールの冷却の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両に取付けられる空調機は、送風機およびこの送風機から送出された空気を加圧する遠心スクロール部が設けられたインテークユニットと、送風機の動作を制御する制御装置とを有し、インテークユニットから送出された空気は、クーラユニットに組み込まれたエバポレータにより冷却され、ヒータユニットのヒートコアから送出された暖気と混合されて、所望とする温度に調整されたうえで、車内の各吹出し口から吹き出される。
【0003】
ここで、一般にオートエアコンと称される自動調整機能を有する空調機では、制御装置の、MOSトランジスタ(半導体素子の一例)が組み込まれたパワーモジュールによって、送風機の動作を自動制御している。
【0004】
このような自動制御としては、吹出し風量の制御や、車室温度の制御などがあり、制御中は制御動作のために、この半導体素子は発熱して高温となる。
【0005】
そして、この高温状態が長く続くと、半導体素子自体の動作が不安定となったり、隣接する他の部品への熱的影響を与えることがあり、半導体素子を冷却して所望とする性能を発揮させる必要がある。
【0006】
そこで、例えば特許文献1に示されているように、パワーモジュールにヒートシンクを取り付け、インテークユニットに接続されたクーラユニットの風路にこのヒートシンクを突出させ、風路を通過する空気流によってヒートシンクを冷却し、パワーモジュールを効果的に冷却することが行われている。
【0007】
一方、オートエアコン以外のマニュアルエアコンでは、各種の切換えや調整を手動で行うように構成されており、このような手動調整のために抵抗体ユニット(電気抵抗回路基板)が備えられている。
【0008】
このマニュアルエアコンで用いられる抵抗体ユニットは、オートエアコンで用いられるパワーモジュール程高温にならないため、ヒートシンクが取り付けられることはなく、ヒートシンクが取付けられたパワーモジュールよりも小さいサイズとなっている。
【0009】
そのため、例えば特許文献2に示された技術によれば、この抵抗体ユニットを、クーラユニットの風路に比較して流速が速く、冷却効率のよいインテークユニットの風路に配設し、良好に冷却する提案がなされている。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−27260号公報
【特許文献2】
実公平7−45921号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、オートエアコンのパワーモジュールについても、上記抵抗体ユニットと同様に、インテークユニットの風路にヒートシンクを突出させて、冷却効率を向上させることが考えられる。
【0012】
しかし、パワーモジュールに取り付けられるヒートシンクは、冷却のために表面積が大きくなるように形成されており、抵抗体ユニットに比べて、通過する空気流に対しては大きな抵抗となる。
【0013】
特に、従来からヒートシンクが設けられていたクーラユニットの風路に比べて風路断面積が小さいインテークユニットの風路においては、この抵抗の増大が、空調機としての性能低下に直結することになる。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、空調機の性能低下を招くことなく、冷却効率を高めることができる車両用空調機および空調機用パワーモジュールを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る車両用空調機は、送風機および該送風機から送出された空気を加圧する遠心スクロール部が設けられたインテークユニットと、前記送風機の動作を制御する制御装置とを有し、車両に取り付けられる車両用空調機において、前記制御装置は、前記送風機の通電制御用半導体素子を有する電気回路が放熱性絶縁基板上に形成され、かつ前記電気回路が防水コーティング膜によって覆われてなるパワーモジュールを備え、前記パワーモジュールの少なくとも前記放熱性絶縁基板および前記防水コーティング膜の部分が前記遠心スクロール部を通過する空気に晒されるように、前記パワーモジュールは前記遠心スクロール部の風路に配設されたことを特徴とする。
【0016】
ここで、半導体素子とは、代表的には例えばトランジスタなどである。
【0017】
また、放熱性絶縁基板とは、放熱性が良好で、かつ電気回路を形成するのに必要な絶縁性能を有する基板を意味する。以下の発明においても同様である。
【0018】
このように構成された本発明の請求項1に係る車両用空調機によれば、パワーモジュールが、クーラユニット内の風路よりも通過する空気流の流速が速い遠心スクロール部の風路に配設されて、このパワーモジュールの発熱体である通電制御用半導体素子が実装されている放熱性絶縁基板およびこの実装された通電制御用半導体素子表面を覆う防水コーティング膜の部分が、この遠心スクロール部を通過する速い速度の空気流に晒されているため、クーラユニット内の風路に配設されている場合よりも、効果的に冷却される。
【0019】
したがって、パワーモジュールの発熱によってその性能低下が従来よりも生じにくくなり、車両用空調機としての性能が向上する。
【0020】
しかも、このように放熱性絶縁基板および防水コーティング膜の部分を遠心スクロール部の風路に突出させても、この風路を通過する空気流に対する抵抗は、従来からこの遠心スクロール部の風路に設けられていた手動調整用の電気抵抗回路基板による抵抗と同程度であるため、この観点で空調機の性能低下を招くこともない。
【0021】
このように、パワーモジュールが、手動調整用の電気抵抗回路基板と同程度まで小さいサイズに構成することができるのは、通電制御用の半導体素子を実装した基板が、放熱性に優れた放熱性絶縁基板であるため、放熱のために従来のパワーモジュールに設けられていたヒートシンクを設ける必要がないからである。
【0022】
また、放熱性絶縁基板に形成された電気回路は防水コーティング膜によって覆われているため、遠心スクロール部の風路を通過する流速の速い空気流により冷却されて結露が生じても、結露は防水コーティング膜によって電気回路に直接触れることがなく、電気回路の短絡や腐食等の問題が生じることはない。
【0023】
さらに、上記ヒートシンクを備える必要がないため、部品点数を削減し、製造コストを低減することもできる。
【0024】
本発明の請求項2に係る車両用空調機は、請求項1に係る車両用空調機において、前記パワーモジュールを前記遠心スクロール部に着脱可能に配設するためのコネクタ部材が、該遠心スクロール部に設けられ、前記コネクタ部材は、前記送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板を、前記パワーモジュールに替えて着脱可能に配設しうるものであることを特徴とする。
【0025】
このように構成された請求項2に係る車両用空調機によれば、パワーモジュールは、遠心スクロール部に設けられたコネクタ部材を介して、この遠心スクロール部に着脱自在に設けられ、しかも、このコネクタ部材は、送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板も着脱可能であるため、コネクタ部材を、自動調整用のパワーモジュールと手動調整用の電気抵抗回路基板とに共用することができ、両者のうち一方を選択的に装着することにより、選択使用のための封止栓等を自動調整/手動調整に応じて脱着することなく遠心スクロール部を、オートエアコンとマニュアルエアコンとに兼用することができる。
【0026】
したがって、部品の共通化によって製造コストを一層低減することができる。しかも自動調整/手動調整に応じて、不要孔を封止栓等で塞ぎ、または塞がない、という組立て作業の相違もなくなるため、製造作業を効率化することもできる。
【0027】
本発明の請求項3に係る車両用空調機は、請求項2に係る車両用空調機において、前記通電制御用半導体素子は、全体として略矩形の樹脂封止体と、前記樹脂封止体の互いに平行な一対の縁部のうち一方の縁部から突出して前記電気回路に接続される接続ピンと、他方の縁部から露出して前記封止体の熱を放熱させる金属製の放熱促進部材とを備えるとともに、前記一方の縁部が前記コネクタ部材側に位置し、前記他方の縁部が前記コネクタ部材とは反対側に位置する向きで、前記放熱性絶縁基板上に配設されていることを特徴とする。
【0028】
このように構成された請求項3に係る車両用空調機によれば、発熱する通電制御用半導体素子は、装着されるコネクタ部材から遠い側の縁部に設けられた放熱促進部材から放熱するため、この放熱促進部材からの熱がコネクタ部材に対して影響を与えにくいものとなる。
【0029】
したがって、コネクタ部材に近い側の縁部に放熱促進部材を設けたものに比べて、コネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性が低くなる。
【0030】
本発明の請求項4に係る車両用空調機は、請求項2または3に係る車両用空調機において、前記放熱性絶縁基板は、前記コネクタ部材に装着される接続端子と前記通電制御用半導体素子との間に、前記送風機への通電を遮断するヒューズ素子を備えていることを特徴とする。
【0031】
このように構成された請求項4に係る車両用空調機によれば、送風機への通電によって通電制御用半導体素子が所定温度以上に発熱した場合には、この通電制御用半導体素子とコネクタ部材に直接接続される接続端子との間に配置されたヒューズ素子が、この熱によって溶断する等して、コネクタ部材に伝熱するのが防止される。
【0032】
したがって、コネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性を一層低く抑えることができる。
【0033】
本発明の請求項5に係る車両用空調機は、請求項1から4のうちいずれか1項に係る車両用空調機において、前記放熱性絶縁基板は、前記空気の通過方向に沿って延在するように配設されることを特徴とする。
【0034】
このように構成された請求項5に係る車両用空調機によれば、放熱性絶縁基板は、前記空気の通過方向に沿って延在するように配設されているため、この遠心スクロール部を通過する空気流の抵抗になりにくく、一方、通過する空気流は、放熱性絶縁基板および防水コーティング膜の表面に沿って通過するため、放熱性絶縁基板および防水コーティング膜は効率的に冷却される。
【0035】
本発明の請求項6に係る車両用空調機は、請求項1から5のうちいずれか1項に係る車両用空調機において、前記通電制御用半導体素子は、該放熱性絶縁基板の中央部に対して前記風路の風上側に偏って取り付けられていることを特徴とする。
【0036】
ここで、パワーモジュールの全体的な厚さは、放熱性絶縁基板上に設けられた通電制御用半導体素子の厚さに大きく依存する。
【0037】
したがって、この半導体素子が基板上の、空気流の下流側端部に設けられている場合は、この下流側端部を通過した直後部分で空気流は大きな乱流を発生し、この乱流によって、異音が発生したり、パワーモジュール通過後の空気流が適正に流れなくなることがある。
【0038】
しかし、上述したように構成された請求項6に係る車両用空調機によれば、通電制御用半導体素子が、放熱性絶縁基板の中央部に対して風路の風上側に偏って取り付けられているため、半導体素子を通過した直後部分で空気流は乱流を発生するが、半導体素子を通過した直後部分は放熱性絶縁基板上であるため、半導体素子を通過した後の段差(半導体素子の厚さ分の段差)は、半導体素子が基板上の下流側端部に設けられている場合の段差(半導体素子の厚さ、基板の厚さおよび防水コーティング膜の厚さの総和による段差)に比べて小さくなり、発生する乱流は小さく、したがって、異音の発生が抑制されるとともに、乱流は比較的収束しやすく、適正な空気流を得ることができる。
【0039】
本発明の請求項7に係る車両用空調機は、請求項1から6のうちいずれか1項に記載の車両用空調機において、前記放熱性絶縁基板は、熱伝導性に優れた基板層を絶縁層によって覆ったものであることを特徴とする。
【0040】
このように構成された請求項7に係る車両用空調機によれば、基板層が熱伝導性に優れたものであるため、放熱性に優れる。
【0041】
また、この基板層が絶縁層によって覆われているため、電気回路を形成するのに必要な絶縁性も適正に備えたものとすることができる。
【0042】
なお、このような放熱性絶縁基板としては、例えば金属板(基板層)にガラス層等(絶縁層)をコーティングした琺瑯などを適用することができる。
【0043】
本発明の請求項8に係る空調機用パワーモジュールは、送風機から送出された空気を加圧する遠心スクロール部が設けられたインテークユニットに配設され、前記送風機の動作を制御する空調機用パワーモジュールであって、前記送風機の通電制御用半導体素子を有する電気回路が放熱性絶縁基板上に形成され、かつ前記電気回路が防水コーティング膜によって覆われているとともに、前記放熱性絶縁基板および前記防水コーティング膜の部分が前記遠心スクロール部を通過する空気に晒されるように、前記遠心スクロール部の風路に配設されることを特徴とする。
【0044】
このように構成された本発明の請求項8に係る空調機用パワーモジュールによれば、クーラユニット内の風路よりも通過する空気流の流速が速い遠心スクロール部の風路に配設されて、発熱体である通電制御用半導体素子が実装されている放熱性絶縁基板およびこの実装された通電制御用半導体素子表面を覆う防水コーティング膜の部分が、この遠心スクロール部を通過する速い速度の空気流に晒されるため、クーラユニット内の風路に配設されるものよりも、効果的に冷却される。
【0045】
したがって、発熱によってその性能低下が従来よりも生じにくくなり、パワーモジュールとしての性能が向上する。
【0046】
しかも、このように放熱性絶縁基板および防水コーティング膜の部分を遠心スクロール部の風路に突出させても、この風路を通過する空気流に対する抵抗は、従来からこの遠心スクロール部の風路に設けられていた手動調整用の電気抵抗回路基板による抵抗と同程度であるため、この観点で、取付けられる車両用空調機等の性能低下を招くこともない。
【0047】
このように、パワーモジュールが、手動調整用の電気抵抗回路基板と同程度まで小さいサイズに構成することができるのは、通電制御用の半導体素子を実装した基板が、放熱性に優れた放熱性絶縁基板であるため、放熱のために従来のパワーモジュールに設けられていたヒートシンクを設ける必要がないからである。
【0048】
また、放熱性絶縁基板に形成された電気回路は防水コーティング膜によって覆われているため、遠心スクロール部の風路を通過する流速の速い空気流により冷却されて結露が生じても、結露は防水コーティング膜によって電気回路に直接触れることがなく、電気回路の短絡や腐食等の問題が生じることはない。
【0049】
さらに、上記ヒートシンクを備える必要がないため、部品点数を削減し、製造コストを低減することもできる。
【0050】
本発明の請求項9に係る空調機用パワーモジュールは、請求項8に係る空調機用パワーモジュールにおいて、前記送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板が着脱可能に配設される、前記遠心スクロール部に設けられコネクタ部材に対して、前記電気抵抗回路基板に替えて、着脱可能に配設されることを特徴とする。
【0051】
このように構成された請求項9に係る空調機用パワーモジュールによれば、遠心スクロール部に設けられたコネクタ部材を介して、この遠心スクロール部に着脱自在に設けられ、しかも、このコネクタ部材は、送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板も着脱可能であるため、コネクタ部材を、自動調整用のパワーモジュールと手動調整用の電気抵抗回路基板とに共用することができ、両者のうち一方を選択的に装着することにより、選択使用のための封止栓等を自動調整/手動調整に応じて脱着することなく遠心スクロール部を、オートエアコンとマニュアルエアコンとに兼用することができる。
【0052】
したがって、部品の共通化によって製造コストを一層低減することができる。しかも自動調整/手動調整に応じて、不要孔を封止栓等で塞ぎ、または塞がない、という組立て作業の相違もなくなるため、製造作業を効率化することもできる。
【0053】
本発明の請求項10に係る空調機用パワーモジュールは、請求項9に係る空調機用パワーモジュールにおいて、前記通電制御用半導体素子は、全体として略矩形の樹脂封止体と、前記樹脂封止体の互いに平行な一対の縁部のうち一方の縁部から突出して前記電気回路に接続される接続ピンと、他方の縁部から露出して前記封止体の熱を放熱させる金属製の放熱促進部材とを備えるとともに、前記一方の縁部が前記コネクタ部材側に位置し、前記他方の縁部が前記コネクタ部材とは反対側に位置する向きで、前記放熱性絶縁基板上に配設されていることを特徴とする。
【0054】
このように構成された請求項10に係る空調機用パワーモジュールによれば、発熱する通電制御用半導体素子は、装着されるコネクタ部材から遠い側の縁部に設けられた放熱体から放熱するため、この放熱体からの熱が、装着されるコネクタ部材に対して影響を与えにくいものとなる。
【0055】
したがって、コネクタ部材に近い側の縁部に放熱体を設けたものに比べて、コネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性が低くなる。
【0056】
本発明の請求項11に係る空調機用パワーモジュールは、請求項9または10に係る空調機用パワーモジュールにおいて、前記放熱性絶縁基板は、前記コネクタ部材に装着される接続端子と前記通電制御用半導体素子との間に、前記送風機への通電を遮断するヒューズ素子を備えていることを特徴とする。
【0057】
このように構成された請求項11に係る空調機用パワーモジュールによれば、送風機への通電によって通電制御用半導体素子が所定温度以上に発熱した場合には、この通電制御用半導体素子とコネクタ部材に直接接続される接続端子との間に配置されたヒューズ素子が、この熱によって溶断する等して、コネクタ部材に伝熱するのが防止される。
【0058】
したがって、このパワーモジュールが装着されるコネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性を一層低く抑えることができる。
【0059】
本発明の請求項12に係る空調機用パワーモジュールは、請求項8から11のうちいずれか1項に係る空調機用パワーモジュールにおいて、前記放熱性絶縁基板は、熱伝導性に優れた基板層を絶縁層によって覆ったものであることを特徴とする。
【0060】
このように構成された請求項12に係る空調機用パワーモジュールによれば、基板層が熱伝導性に優れたものであるため、放熱性に優れる。
【0061】
また、この基板層が絶縁層によって覆われているため、電気回路を形成するのに必要な絶縁性も適正に備えたものとすることができる。
【0062】
なお、このような放熱性絶縁基板としては、例えば金属板(基板層)にガラス層等(絶縁層)をコーティングした琺瑯などを適用することができる。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空調機および空調機用パワーモジュールの具体的な実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0064】
図1は、本発明の一実施形態に係るオートエアコン(車両用空調機)の概略構成図である。図示のオートエアコン100は、一般の車両用空調機と同様、外気または内気を選択的に取り入れるインテークユニット20と、インテークユニット20によって取り入れられた外気または内気等の空気Aを冷却するクーラーユニット30と、取入れ空気Aを温調するヒータユニット40と、これらの動作を制御する制御装置10と、温調された調和空気Aを車室内の各吹出口まで導く通風ダクト50とを備えた構成である。
【0065】
インテークユニット20には、外気を取り入れる外気取入口21と内気を取り入れる内気取入口22とが開設されており、これら各取入口21,22の接続部には、外気または内気を選択的にインテークユニット20内に取り入れるインテークドア23が回動自在に設けられている。
【0066】
このインテークドア23は、制御装置10によって駆動制御され、図示しないインテークドアアクチュエータによってリンクを介して回動される。
【0067】
また、インテークユニット20は、ファンモータ25bとこのファンモータ25bによって所定の速度で回転するファン25aとからなる送風機25、およびこの送風機25から送風された空気Aを加圧する遠心スクロール部28を備えている。
【0068】
制御装置10は、送風機25への通電を自動制御するためのパワーモジュール11を備えており、このパワーモジュール11は、図2に示すように、遠心スクロール部28の、空気Aが通過する風路28a上に、コネクタ部材29を介して着脱可能に装着されている。
【0069】
パワーモジュール11は、本発明に係るパワーモジュールの一実施形態でもあり、詳しくは図3,4に示すように、制御用MOSトランジスタ12aを有する電気回路12が放熱性絶縁基板13上に形成され、かつ電気回路12および放熱性絶縁基板13は、防水コーティング膜14によって覆われた構成となっている。
【0070】
放熱性絶縁基板13は放熱性に優れた基板であり、具体的には、熱伝導に優れた基板層(金属板)13aを絶縁層(ガラス等)13bで覆った、例えばいわゆる琺瑯引きの基板である。
【0071】
そして、パワーモジュール11に形成された接続端子12p,12q,12r,12sが、上記コネクタ部材29に接続されることによって、パワーモジュール11はコネクタ部材29に装着される。
【0072】
コネクタ部材29は、ハウジング部が樹脂製、コンタクト部が導電性の金属によって形成されており、パワーモジュール11の放熱性絶縁基板13が、遠心スクロール部28の中心部から吹き出される空気Aの送出方向に沿って装着されるように、遠心スクロール部28の風路28aに設けられている。
【0073】
したがって、このパワーモジュール11の放熱性絶縁基板13および防水コーティング膜14は、遠心スクロール部28の風路28aを通過する空気Aに晒される。
【0074】
また、放熱性絶縁基板13上に形成された電気回路12は、具体的には図4の破線範囲で示す回路を形成している。
【0075】
通電制御用の半導体素子であるMOSトランジスタ12aは、図3(a)に示すように、全体として略矩形形状の樹脂封止体である本体の図示下端縁すなわち接続端子12p〜12sに近い側の端縁から、電気回路12に接続される接続ピン12cが突出し、本体の図示上端縁すなわち接続端子12p〜12sに近い側の端縁には、本体の熱を外部に拡散させるための金属製の放熱促進部材12bが配設されている。
【0076】
MOSトランジスタ12aは、図3に示すように、コネクタ部材29に装着された状態において、放熱性絶縁基板13の中央部に対して遠心スクロール部28から送出される空気Aの風上側に偏って、放熱性絶縁基板13上に配置されている。
【0077】
さらに放熱性絶縁基板13の電気回路12には、接続端子12p〜12sとMOSトランジスタ12aとの間に、送風機への通電を遮断するヒューズ素子12dが設けられている。
【0078】
次に、本実施形態に係るオートエアコン100およびパワーモジュール11の作用について説明する。
【0079】
まず、車室内の図示しない操作パネルに対して、運転者等の乗員が、オートエアコンをONに操作するとともに、内気循環/外気導入の切換えおよび車室内の所望温度をセットすると、制御装置10は、セットされた内気循環/外気導入の切換えに応じてインテークドアアクチュエータを作動させ、外気取入口21または内気取入口22を塞ぐようにインテークドア23を回動させる。
【0080】
また、制御装置10はパワーモジュール11によって、図示しない車室内の温度センサにより検出された車室内の温度とセットされた所望温度との温度差に応じて、送風機25への通電を制御する。
【0081】
通電が制御された送風機25のファンモータ25bは、その制御された通電に応じた回転速度で回転駆動され、このファンモータ25bに接続されたファン25aが回転して、塞がれていない方の空気取入口21または22から空気Aを吸引し、遠心スクロール部28の中心から風路28aに沿って、この空気Aを送出する。
【0082】
インテークユニット20から送出された空気Aは、遠心スクロール部28の風路28aよりも通風断面積が大きい風路のクーラユニット30に送られる。
【0083】
ここで、クーラユニット30のエバポレータ32は、制御装置10によって、前述した温度差に応じて駆動されている。
【0084】
そして、クーラユニット30に送られた空気Aは、脱臭フィルタ31を通過した後にエバポレータ32を通過し、このエバポレータ32により熱交換されて冷却される。
【0085】
冷却された空気Aは、車室内の各吹出口に通じる通風ダクト50に送出されるが、前述した温度差に応じて、制御装置10によって駆動されるヒータユニット40を通過して温度調整され(図示実線で表す空気A)、あるいはヒータユニット40を通過せずに(図示破線で示す空気A)、通風ダクト50に沿ってそのまま送風される。
【0086】
そして、通風ダクト50内を進んだ温調空気Aは、各ベンチレータや吹出口から車室内に吹き出され、車室内の空調が行われる。
【0087】
ここで、送風機25への通電制御を行うパワーモジュール11のMOSトランジスタ12aは、制御のために高温となる。
【0088】
そこで、パワーモジュール11を冷却することが必要であり、本実施形態のパワーモジュール11は、遠心スクロール部28の風路28a上に配設され、図2に示すように、この風路28aを通過する空気Aに晒されて冷却される。
【0089】
従来、パワーモジュールには冷却のためにパワーモジュール本体よりも大きなヒートシンクが装着されていたが、このように大きなヒートシンクが装着されたパワーモジュールは空気Aの流れを可能な限り妨げないように、通風断面積が大きなクーラユニット30の風路上に配設された。
【0090】
しかし、クーラユニット30の風路は、遠心スクロール部28の風路28aよりも通風断面積が大きく、したがって遠心スクロール部28の風路28aよりも空気Aの流速は遅くなり、空冷の効果としては、遠心スクロール部28の風路28aよりも不利であった。
【0091】
一方、ヒートシンクが装着されたパワーモジュールは、占有空間が大きくなるため、通過する空気Aに対する通風抵抗が大きくなり、通風断面積が小さい遠心スクロール部28の風路28aに配置するのは困難であった。
【0092】
しかし、本実施形態のオートエアコン100におけるパワーモジュール11は、MOSトランジスタ12aを含む電気回路12が、放熱性に優れた放熱性絶縁基板13上に形成されているため、MOSトランジスタ12aの発熱はこの放熱性絶縁基板13によって熱伝導性よく放熱され、ヒートシンクを装着しなくても従来のパワーモジュールと同等に冷却される。
【0093】
この結果、占有空間が大きいヒートシンクが不要となり、パワーモジュール11全体が小型薄型化され、クーラユニット20の風路よりも通風断面積が小さい遠心スクロール部28の風路28a上に配しても、通過する空気Aに対する通風抵抗を小さく抑えることができるとともに、空気Aの流速は、クーラユニット20の風路における流速より大きいため、冷却効率を向上させることができる。
【0094】
特に、パワーモジュール11は、放熱性絶縁基板13が遠心スクロール部28の中心部から吹き出される空気Aの送出方向に沿って配設されているため、空気Aの通気抵抗は最小限に抑えられるとともに、放熱性絶縁基板13の面に沿って空気Aが流れるため、放熱性絶縁基板13を万遍なく冷却することができる。
【0095】
したがって、パワーモジュール11の発熱によってその性能低下が従来よりも生じにくくなり、オートエアコン100としての性能を向上させることができる。
【0096】
また、放熱性絶縁基板13上に形成された電気回路12は防水コーティング膜14によって覆われているため、遠心スクロール部28の風路28aを通過する流速の速い空気Aにより冷却されて結露が生じても、結露は防水コーティング膜14によって電気回路12に直接触れることがなく、電気回路12の短絡や腐食等の問題が生じることはない。
【0097】
さらに、従来用いていたヒートシンクを備える必要がないため、部品点数を削減し、製造コストを低減するとともに重量を軽減することもできる。
【0098】
また、パワーモジュール11は、遠心スクロール部28に設けられたコネクタ部材29を介して、この遠心スクロール部28に着脱自在に設けられているため、このコネクタ部材29を、送風機25の動作を手動で制御するためのマニュアルエアコン用電気抵抗回路基板(図示せず)をも着脱可能に構成することによって、コネクタ部材29を、オートエアコン用パワーモジュール11とマニュアルエアコン用電気抵抗回路基板とに共用することができ、両者のうち一方を選択的に装着することにより、選択使用のための封止栓等を自動調整/手動調整に応じて脱着することなく遠心スクロール部28を、オートエアコンとマニュアルエアコンとに兼用することができる。
【0099】
したがって、部品の共通化によって製造コストを一層低減することができる。しかもオートエアコン/マニュアルエアコンに応じて、不要孔を封止栓等で塞ぎ、または塞がない、という組立て作業の相違もなくなるため、製造作業を効率化することもできる。
【0100】
また、発熱するMOSトランジスタ12aは、装着されるコネクタ部材29から遠い側の縁部に設けられた放熱促進部材12bから放熱するため、この放熱促進部材12bからの熱がコネクタ部材29に対して熱的影響を与えにくいものとなる。
【0101】
したがって、コネクタ部材29に近い側の縁部に放熱促進部材12bを設けたものに比べて、コネクタ部材29(特にコネクタ部材29の樹脂製ハウジング)の耐熱性を高める必要性が低くなり、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0102】
また、送風機25への通電によってMOSトランジスタ12aが所定温度以上に発熱した場合には、このMOSトランジスタ12aと接続端子12p〜12sとの間に配置されたヒューズ素子12dが、この熱によって溶断して通電を遮断することにより、コネクタ部材29に過度の熱が伝熱するのを防止することができる。
【0103】
したがって、この点からもコネクタ部材29の耐熱性を高める必要性を低く抑えることができる。
【0104】
また、MOSトランジスタ12aが、放熱性絶縁基板13の中央部に対して風路28aの風上側に偏って取り付けられているため、MOSトランジスタ12aを通過した直後部分で空気Aは乱流A1を発生するが、MOSトランジスタ12aを通過した直後部分は放熱性絶縁基板13上であるため、MOSトランジスタ12aを通過した後の段差(MOSトランジスタ12aの厚さ分に想到する段差)は、MOSトランジスタ12aが基板13上の下流側端部に設けられている場合の段差(MOSトランジスタ12aの厚さ、基板13の厚さおよび防水コーティング膜14の厚さの総和による段差)に比べて小さくなり、発生する乱流A1は小さく、したがって、乱流A1によって生じる異音の発生が抑制される。
【0105】
さらに、基板13の風下側端部の段差(基板13の厚さおよび防水コーティング膜14の厚さの和による段差)も小さく抑制することができるため、この風下側端部の段差において発生する乱流A2も小さく抑制することができ、乱流A2によって生じる異音の発生が抑制される。
【0106】
また、小さい段差で生じた乱流A1,A2はいずれも比較的収束しやすく、空気Aの風下側で適正な空気流を得ることができる。
【0107】
なお、上述した実施形態のオートエアコン100およびパワーモジュール11において、放熱性絶縁基板13の基板層13aを接地してもよく、この場合、基板層13aの帯電を防止することができる。
【0108】
具体的には、図5に示すように、接地される接続端子12q(図4において、ターミナル2)が電気的に接触するコネクタ部材29のコンタクト部29aと基板層13aとを電気的に接触させるべく、接続端子12qの絶縁層13bの一部を除去(図5(c))すればよい。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る車両用空調機によれば、パワーモジュールが、クーラユニット内の風路よりも通過する空気流の流速が速い遠心スクロール部の風路に配設されて、このパワーモジュールの発熱体である通電制御用半導体素子が実装されている放熱性絶縁基板およびこの実装された通電制御用半導体素子表面を覆う防水コーティング膜の部分が、この遠心スクロール部を通過する速い速度の空気流に晒されているため、クーラユニット内の風路に配設されている場合よりも、効果的に冷却される。
【0110】
したがって、パワーモジュールの発熱によってその性能低下が従来よりも生じにくくなり、車両用空調機としての性能が向上する。
【0111】
しかも、このように放熱性絶縁基板および防水コーティング膜の部分を遠心スクロール部の風路に突出させても、この風路を通過する空気流に対する抵抗は、従来からこの遠心スクロール部の風路に設けられていた手動調整用の電気抵抗回路基板による抵抗と同程度であるため、この観点で空調機の性能低下を招くこともない。
【0112】
このように、パワーモジュールが、手動調整用の電気抵抗回路基板と同程度まで小さいサイズに構成することができるのは、通電制御用の半導体素子を実装した基板が、放熱性に優れた放熱性絶縁基板であるため、放熱のために従来のパワーモジュールに設けられていたヒートシンクを設ける必要がないからである。
【0113】
また、放熱性絶縁基板に形成された電気回路は防水コーティング膜によって覆われているため、遠心スクロール部の風路を通過する流速の速い空気流により冷却されて結露が生じても、結露は防水コーティング膜によって電気回路に直接触れることがなく、電気回路の短絡や腐食等の問題が生じることはない。
【0114】
さらに、上記ヒートシンクを備える必要がないため、部品点数を削減し、製造コストを低減するとともに重量を軽減することもできる。
【0115】
また、本発明の請求項2に係る車両用空調機によれば、請求項1に係る車両用空調機の作用、効果に加えて、パワーモジュールは、遠心スクロール部に設けられたコネクタ部材を介して、この遠心スクロール部に着脱自在に設けられ、しかも、このコネクタ部材は、送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板も着脱可能であるため、コネクタ部材を、自動調整用のパワーモジュールと手動調整用の電気抵抗回路基板とに共用することができ、両者のうち一方を選択的に装着することにより、選択使用のための封止栓等を自動調整/手動調整に応じて脱着することなく遠心スクロール部を、オートエアコンとマニュアルエアコンとに兼用することができる。
【0116】
したがって、部品の共通化によって製造コストを一層低減することができる。しかも自動調整/手動調整に応じて、不要孔を封止栓等で塞ぎ、または塞がない、という組立て作業の相違もなくなるため、製造作業を効率化することもできる。
【0117】
また、本発明の請求項3に係る車両用空調機によれば、請求項2に係る車両用空調機の作用、効果に加えて、発熱する通電制御用半導体素子は、装着されるコネクタ部材から遠い側の縁部に設けられた放熱促進部材から放熱するため、この放熱促進部材からの熱がコネクタ部材に対して影響を与えにくいものとなる。
【0118】
したがって、コネクタ部材に近い側の縁部に放熱体を設けたものに比べて、コネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性が低くなる。
【0119】
また、本発明の請求項4に係る車両用空調機によれば、請求項2または3に係る車両用空調機の作用、効果に加えて、送風機への通電によって通電制御用半導体素子が所定温度以上に発熱した場合には、この通電制御用半導体素子とコネクタ部材に直接接続される接続端子との間に配置されたヒューズ素子が、この熱によって溶断する等して、コネクタ部材に伝熱するのが防止される。
【0120】
したがって、コネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性を一層低く抑えることができる。
【0121】
また、本発明の請求項5に係る車両用空調機によれば、請求項1から4のうちいずれか1項に係る車両用空調機の作用、効果に加えて、放熱性絶縁基板は、前記空気の通過方向に沿って延在するように配設されているため、この遠心スクロール部を通過する空気流の抵抗になりにくく、一方、通過する空気流は、放熱性絶縁基板および防水コーティング膜の表面に沿って通過するため、放熱性絶縁基板および防水コーティング膜は効率的に冷却される。
【0122】
また、本発明の請求項6に係る車両用空調機によれば、請求項1から5のうちいずれか1項に係る車両用空調機の作用、効果に加えて、通電制御用半導体素子が、放熱性絶縁基板の中央部に対して風路の風上側に偏って取り付けられているため、半導体素子を通過した直後部分で空気流は乱流を発生するが、半導体素子を通過した直後部分は放熱性絶縁基板上であるため、半導体素子を通過した後の段差(半導体素子の厚さ分の段差)は、半導体素子が基板上の下流側端部に設けられている場合の段差(半導体素子の厚さ、基板の厚さおよび防水コーティング膜の厚さの総和による段差)に比べて小さくなり、発生する乱流は小さく、したがって、異音の発生が抑制されるとともに、乱流は比較的収束しやすく、適正な空気流を得ることができる。
【0123】
また、本発明の請求項7に係る車両用空調機によれば、請求項1から6のうちいずれか1項に係る車両用空調機の作用、効果に加えて、基板層が熱伝導性に優れたものであるため、放熱性に優れる。
【0124】
また、この基板層が絶縁層によって覆われているため、電気回路を形成するのに必要な絶縁性も適正に備えたものとすることができる。
【0125】
また、本発明の請求項8に係る空調機用パワーモジュールによれば、クーラユニット内の風路よりも通過する空気流の流速が速い遠心スクロール部の風路に配設されて、発熱体である通電制御用半導体素子が実装されている放熱性絶縁基板およびこの実装された通電制御用半導体素子表面を覆う防水コーティング膜の部分が、この遠心スクロール部を通過する速い速度の空気流に晒されるため、クーラユニット内の風路に配設されるものよりも、効果的に冷却される。
【0126】
したがって、発熱によってその性能低下が従来よりも生じにくくなり、パワーモジュールとしての性能が向上する。
【0127】
しかも、このように放熱性絶縁基板および防水コーティング膜の部分を遠心スクロール部の風路に突出させても、この風路を通過する空気流に対する抵抗は、従来からこの遠心スクロール部の風路に設けられていた手動調整用の電気抵抗回路基板による抵抗と同程度であるため、この観点で、取付けられる車両用空調機等の性能低下を招くこともない。
【0128】
このように、パワーモジュールが、手動調整用の電気抵抗回路基板と同程度まで小さいサイズに構成することができるのは、通電制御用の半導体素子を実装した基板が、放熱性に優れた放熱性絶縁基板であるため、放熱のために従来のパワーモジュールに設けられていたヒートシンクを設ける必要がないからである。
【0129】
また、放熱性絶縁基板に形成された電気回路は防水コーティング膜によって覆われているため、遠心スクロール部の風路を通過する流速の速い空気流により冷却されて結露が生じても、結露は防水コーティング膜によって電気回路に直接触れることがなく、電気回路の短絡や腐食等の問題が生じることはない。
【0130】
さらに、上記ヒートシンクを備える必要がないため、部品点数を削減し、製造コストを低減することもできる。
【0131】
また、本発明の請求項9に係る空調機用パワーモジュールによれば、請求項8に係る空調起用パワーモジュールの作用、効果に加えて、遠心スクロール部に設けられたコネクタ部材を介して、この遠心スクロール部に着脱自在に設けられ、しかも、このコネクタ部材は、送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板も着脱可能であるため、コネクタ部材を、自動調整用のパワーモジュールと手動調整用の電気抵抗回路基板とに共用することができ、両者のうち一方を選択的に装着することにより、選択使用のための封止栓等を自動調整/手動調整に応じて脱着することなく遠心スクロール部を、オートエアコンとマニュアルエアコンとに兼用することができる。
【0132】
したがって、部品の共通化によって製造コストを一層低減することができる。しかも自動調整/手動調整に応じて、不要孔を封止栓等で塞ぎ、または塞がない、という組立て作業の相違もなくなるため、製造作業を効率化することもできる。
【0133】
また、本発明の請求項10に係る空調機用パワーモジュールによれば、請求項9に係る空調機用パワーモジュールの作用、効果に加えて、発熱する通電制御用半導体素子は、装着されるコネクタ部材から遠い側の縁部に設けられた放熱体から放熱するため、この放熱体からの熱が、装着されるコネクタ部材に対して影響を与えにくいものとなる。
【0134】
したがって、コネクタ部材に近い側の縁部に放熱体を設けたものに比べて、コネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性が低くなる。
【0135】
また、本発明の請求項11に係る空調機用パワーモジュールによれば、請求項9または10に係る空調機用パワーモジュールの作用、効果に加えて、送風機への通電によって通電制御用半導体素子が所定温度以上に発熱した場合には、この通電制御用半導体素子とコネクタ部材に直接接続される接続端子との間に配置されたヒューズ素子が、この熱によって溶断する等して、コネクタ部材に伝熱するのが防止される。
【0136】
したがって、このパワーモジュールが装着されるコネクタ部材(特にコネクタ部材のハウジング)の耐熱性を高める必要性を一層低く抑えることができる。
【0137】
また、本発明の請求項12に係る空調機用パワーモジュールによれば、請求項8から11のうちいずれか1項に係る空調機用パワーモジュールの作用、効果に加えて、基板層が熱伝導性に優れたものであるため、放熱性に優れる。
【0138】
また、この基板層が絶縁層によって覆われているため、電気回路を形成するのに必要な絶縁性も適正に備えたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るオートエアコンの概略構成を示す図である。
【図2】遠心スクロール部の風路に設けられたパワーモジュールを示す斜視図である。
【図3】パワーモジュールの詳細を示す側面図(部分破断図)である。
【図4】パワーモジュールの電気回路の一例を示す電気回路図である。
【図5】パワーモジュールの基板層を接地する構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 制御装置
11 パワーモジュール
12 電気回路
12a MOSトランジスタ(通電制御用半導体素子)
12b 放熱促進部材
12c 接続ピン
12d ヒューズ素子
12p〜12s 接続端子
13 放熱性絶縁基板
13a 基板層
13b 絶縁層
14 防水コーティング膜
20 インテークユニット
21 外気取入口
22 内気取入口
23 インテークドア
25 送風機
25a ファン
25b ファンモータ
28 遠心スクロール部
28a 風路
29 コネクタ部材
30 クーラユニット
31 脱臭フィルタ
32 エバポレータ
40 ヒータユニット置
50 通風ダクト
100 オートエアコン(車両用空調機)
A 空気

Claims (12)

  1. 送風機および該送風機から送出された空気を加圧する遠心スクロール部が設けられたインテークユニットと、前記送風機の動作を制御する制御装置とを有し、車両に取り付けられる車両用空調機において、
    前記制御装置は、前記送風機の通電制御用半導体素子を有する電気回路が放熱性絶縁基板上に形成され、かつ前記電気回路が防水コーティング膜によって覆われてなるパワーモジュールを備え、
    前記パワーモジュールの少なくとも前記放熱性絶縁基板および前記防水コーティング膜の部分が前記遠心スクロール部を通過する空気に晒されるように、前記パワーモジュールは前記遠心スクロール部の風路に配設されたことを特徴とする車両用空調機。
  2. 前記パワーモジュールを前記遠心スクロール部に着脱可能に配設するためのコネクタ部材が、該遠心スクロール部に設けられ、
    前記コネクタ部材は、前記送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板を、前記パワーモジュールに替えて着脱可能に配設しうるものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調機。
  3. 前記通電制御用半導体素子は、全体として略矩形の樹脂封止体と、前記樹脂封止体の互いに平行な一対の縁部のうち一方の縁部から突出して前記電気回路に接続される接続ピンと、他方の縁部から露出して前記封止体の熱を放熱させる金属製の放熱促進部材とを備えるとともに、前記一方の縁部が前記コネクタ部材側に位置し、前記他方の縁部が前記コネクタ部材とは反対側に位置する向きで、前記放熱性絶縁基板上に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調機。
  4. 前記放熱性絶縁基板は、前記コネクタ部材に装着される接続端子と前記通電制御用半導体素子との間に、前記送風機への通電を遮断するヒューズ素子を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調機。
  5. 前記放熱性絶縁基板は、前記空気の通過方向に沿って延在するように配設されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の車両用空調機。
  6. 前記通電制御用半導体素子は、該放熱性絶縁基板の中央部に対して前記風路の風上側に偏って取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の車両用空調機。
  7. 前記放熱性絶縁基板は、熱伝導性に優れた基板層を絶縁層によって覆ったものであることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載の車両用空調機。
  8. 送風機から送出された空気を加圧する遠心スクロール部が設けられたインテークユニットに配設され、前記送風機の動作を制御する空調機用パワーモジュールであって、
    前記送風機の通電制御用半導体素子を有する電気回路が放熱性絶縁基板上に形成され、かつ前記電気回路が防水コーティング膜によって覆われているとともに、前記放熱性絶縁基板および前記防水コーティング膜の部分が前記遠心スクロール部を通過する空気に晒されるように、前記遠心スクロール部の風路に配設されることを特徴とする空調機用パワーモジュール。
  9. 前記送風機の動作を手動で制御するための電気抵抗回路基板が着脱可能に配設される、前記遠心スクロール部に設けられコネクタ部材に対して、前記電気抵抗回路基板に替えて、着脱可能に配設されることを特徴とする請求項8に記載の空調機用パワーモジュール。
  10. 前記通電制御用半導体素子は、全体として略矩形の樹脂封止体と、前記樹脂封止体の互いに平行な一対の縁部のうち一方の縁部から突出して前記電気回路に接続される接続ピンと、他方の縁部から露出して前記封止体の熱を放熱させる金属製の放熱促進部材とを備えるとともに、前記一方の縁部が前記コネクタ部材側に位置し、前記他方の縁部が前記コネクタ部材とは反対側に位置する向きで、前記放熱性絶縁基板上に配設されていることを特徴とする請求項9に記載の空調機用パワーモジュール。
  11. 前記放熱性絶縁基板は、前記コネクタ部材に装着される接続端子と前記通電制御用半導体素子との間に、前記送風機への通電を遮断するヒューズ素子を備えていることを特徴とする請求項9または10に記載の空調機用パワーモジュール。
  12. 前記放熱性絶縁基板は、熱伝導性に優れた基板層を絶縁層によって覆ったものであることを特徴とする請求項8から11のうちいずれか1項に記載の空調機用パワーモジュール。
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