JP2004106097A - 工作機械における工具台の自動後退装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スペースを取らない簡単な構成で工具台の自動後退を可能とする。
【解決手段】砥石台3をネジ送りするナット5の周囲にピストン部15を、砥石台3の装着部10にシリンダ室11を夫々形成し、ポンプ25から第1、第2油室16,17に供給される作動油によって、砥石台3をナット5に対して前後移動可能とする一方、シリンダ室11への油圧供給路21,22に、通電状態でポンプ25を砥石台3の前進側に切替可能な電磁弁23を設け、電磁弁23とポンプ25との間に、電磁弁23の通電状態で蓄圧されるアキュムレータ27を配して、電磁弁23の非通電状態では、アキュムレータ27からの油圧を第2油室17に供給し、砥石台3を後退させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】砥石台3をネジ送りするナット5の周囲にピストン部15を、砥石台3の装着部10にシリンダ室11を夫々形成し、ポンプ25から第1、第2油室16,17に供給される作動油によって、砥石台3をナット5に対して前後移動可能とする一方、シリンダ室11への油圧供給路21,22に、通電状態でポンプ25を砥石台3の前進側に切替可能な電磁弁23を設け、電磁弁23とポンプ25との間に、電磁弁23の通電状態で蓄圧されるアキュムレータ27を配して、電磁弁23の非通電状態では、アキュムレータ27からの油圧を第2油室17に供給し、砥石台3を後退させるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工具台をネジ送り制御によって前後移動させるNC研削盤等の工作機械において、停電等による不慮の電源OFF時に工具台を自動的に後退させる工具台の自動後退装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばNC研削盤においては、工具台としての砥石台に、ボールネジ機構のナットを装着し、ナットに螺合するネジ軸をモータによって回転駆動させて、砥石台をネジ軸に沿ってネジ送り制御し、砥石台に設けた砥石の回転によってワークの研削加工を行う。
この場合、停電や異常停止等によって電源がOFFすると、砥石台はその位置で停止し、砥石は惰性回転した後停止する。よって、砥石がワークに食い込み、砥石やワークを損傷させるおそれがある。
そこで、ネジ軸と直交状に噛合する軸体を設け、その軸体を動作させる油圧シリンダ等のアクチュエータを電磁弁の切替動作で制御し、停電や異常停止の際には、電磁弁の切替によって軸体をネジ軸の後退方向へ回転させて、砥石台を自動的に後退させる技術が採用されている(例えば特許文献1,2等)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3206065号公報
【特許文献2】
登録実用新案第2521603号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、新たに軸体を設けると、その分部品点数が多くなって組付けの手間やコストが掛かる。特に、軸体はネジ軸に対して直交状に設けられているため、軸体やアクチュエータを設けるためのスペースが余分に必要となり、全体の大型化や複雑化に繋がる。
【0005】
そこで、請求項1及び2に記載の発明は、スペースを取らない簡単な構成で、停電や異常停止による電源OFF時の工具台の自動的な後退を可能とする工作機械における工具台の自動後退装置を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の第1発明は、ナットの周囲にピストン部を、工具台におけるナットの装着部に、ピストン部が摺動可能なシリンダ室を夫々形成し、工具台をナットに対して前後移動可能に設けて、工具台の前進及び後退を駆動源からシリンダ室に供給される作動流体によって可能とする一方、シリンダ室への作動流体の供給路に、通電状態で駆動源を工具台の前進側に、非通電状態で駆動源を工具台の後退側に夫々切替可能な電磁弁を設け、駆動源側の供給路で電磁弁と駆動源との間に、電磁弁の通電状態で蓄圧されるアキュムレータを配して、電磁弁の非通電状態では、アキュムレータからの流体圧をシリンダ室に供給し、工具台をナットに対して後退させるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の第2発明は、ナットの周囲にピストン部を、工具台におけるナットの装着部に、ピストン部が摺動可能なシリンダ室を夫々形成し、工具台をナットに対して前後移動可能に設けて、工具台の前進を駆動源からシリンダ室に供給される作動流体によって可能とする一方、シリンダ室への作動流体の供給路に、通電状態で駆動源を工具台の前進側に接続し、非通電状態で当該接続を遮断する電磁弁を設け、工具台とナットとの間に、作動流体の流体圧よりも弱い力で工具台をナットに対して後退させる付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
《形態1》
図1は、工作機械の一例であるNC研削盤の全体説明図で、NC研削盤1は、図示しないベッド上に倒コ字状の支持台2を設置し、その支持台2の間に、工具台としての砥石台3が前後(図1の左右方向、左側が前)へ移動可能に載置されている。この砥石台3の下方には、ボールネジ機構4のナット5が装着され、ナット5に螺合するネジ軸6は、支持台2の後板7に連結されて、後板7に設けたモータ8によるネジ軸6の回転駆動で、ナット5が軸方向の前後へネジ送り制御されるようになっている。9は砥石台3の前端に設けられた円盤状の砥石である。
【0009】
ここでは、砥石台3におけるナット5の装着部10に、自動後退装置が設けられる。まず、装着部10の後方は、ナット5の外径よりも大径のシリンダ室11に形成されており、そのシリンダ室11の開口側は、ナット5に貫通されるスリーブ12によって閉塞されている。このスリーブ12は、前端に周設したフランジ13が、装着部10の後面に複数のボルト14で固着されるものである。また、スリーブ12の前方でナット5の周囲には、スリーブ12と同径のピストン部15が形成されて、シリンダ室11内を、前側の第1油室16と後側の第2油室17とに区画している。
【0010】
また、ナット5の周囲でピストン部15の前後には、ピストン部15より小径で、ナット5より大径のリング状のストッパ18,19が夫々形成されて、スリーブ12の前面に後側のストッパ19が当接する状態で、前側のストッパ18とシリンダ室11の前面との間に隙間Aが生じるようになっている。すなわち、ナット5に対して砥石台3が隙間A分だけ前後方向へ移動可能としたものである。20,20・・は夫々シール部材である。
【0011】
一方、第1油室16と第2油室17とには、一対の油圧供給路21,22が夫々接続されている。これらの油圧供給路21,22は、夫々砥石台3の外部でシングルソレノイドタイプの電磁弁23を介してタンク24に導かれている。すなわち、NC研削盤1の電源ON状態では、電磁弁23も通電して図1の位置にあり、駆動源となるポンプ25を油圧供給路21及び第1油室16側に切り替え、NC研削盤1の電源OFF状態では、電磁弁23はバネ26によって、油圧供給路21を直接タンク24に導く位置となり、ポンプ25を油圧供給路22及び第2油室17側に切り替えるものである。そして、電磁弁23とポンプ25との間には、アキュムレータ27が設けられている。
【0012】
以上の如く構成されたNC研削盤1においては、通常の研削加工時には、電磁弁23の通電による図1の切替位置により、タンク24の作動油はポンプ25から油圧供給路21を介して第1油室16に供給される。よって、砥石台3側では、ピストン部15の前面とシリンダ室11の前面とが受圧面となり、ストッパ19がスリーブ12に当接する位置まで前進、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分前進した状態で固定される。このときアキュムレータ27に蓄圧がなされる。
よって、この状態のままモータ8が駆動してネジ軸6が回転すると、ナット5と共に砥石台3も一体にネジ送り制御され、砥石9の前後位置が制御されることになる。
【0013】
そして、停電や異常停止が発生した場合、NC研削盤1の電源がOFFしてポンプ25が停止状態となり、電磁弁23への通電も停止する。すると、バネ26の付勢によって電磁弁23は逆方向へ切り替えられる。よって、今度はアキュムレータ27からの油圧で、作動油が油圧供給路22を介して第2油室17へ供給されると共に、第1油室16内の作動油は、油圧供給路21からタンク24内へ戻される。このため、砥石台3側では、ピストン部15の後面とスリーブ12の前面とが受圧面となり、ストッパ18がシリンダ室11の前面に当接する位置まで後退、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分後退して停止する。従って、砥石9も隙間Aに対応する距離Bだけ後退し、ワークWから離反するため、砥石9が惰性回転しても、砥石9やワークWが不良になるおそれは生じない。
【0014】
このように上記形態1のNC研削盤1によれば、ナット5の装着部10に自動後退装置を略内設しているから、スペースを取らない簡単な構成で停電や異常停止時の自動後退が可能となる。よって、自動後退に係るコストは少なくて済み、装置が大型化することもない。
なお、ピストン部やシリンダ室の形状は、上記形態1の形状に限らず、装着部10の前側や中央でシリンダ室を形成したり、ナット側へ一体的に設けた別体のシリンダ部を工具台に連結したり等、第1発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
【0015】
《形態2》
次に、第2発明に対応する実施の形態を説明する。なお、形態1と同じ構成部は同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図2はNC研削盤1aの全体説明図で、砥石台3の装着部10において、形態1の第2油室に相当する箇所は、同じ形状であるが、油圧供給路が接続されず、シールもされない空間30となって、油圧供給路21のみが電磁弁23に接続されている。よって、NC研削盤1aの電源ON状態での電磁弁23の図2の切替位置では、ポンプ25が油圧供給路21及び第1油室16側に接続され、NC研削盤1aの電源OFF状態での電磁弁23の切替位置では、ポンプ25側への接続を遮断して油圧供給路21を直接タンク24へ導くようになっている。
【0016】
一方、砥石台3の装着部10の前方では、ナット5に付勢手段としての皿バネ31,31が外装されると共に、装着部10の前面に皿バネ31の受部32が凹設され、ナット5の前方には、ネジ部33が形成されて、そのネジ部33に螺合される小ナット34が、皿バネ31の前端に当接して、皿バネ31,31の付勢力を小ナット34を介してナット5に伝達可能としている。よって、砥石台3には、ナット5に対して後方への付勢力が働くことになるが、この付勢力は、ネジ部33に対する小ナット34のねじ込み位置によって、ポンプ25から第1油室16に供給される油圧よりも弱い力となるように調整されている。
【0017】
よって、このように構成されたNC研削盤1aにおいては、通常の研削加工時には、電磁弁23の通電による図2の切替位置により、タンク24の作動油はポンプ25から油圧供給路21を介して第1油室16に供給される。よって、砥石台3側では、ピストン部15の前面とシリンダ室11の前面とが受圧面となり、皿バネ31,31の付勢に抗して、ストッパ19がスリーブ12に当接する位置まで前進、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分前進した状態で固定される。
よって、この状態のままモータ8が駆動してネジ軸6が回転すると、ナット5と共に砥石台3も一体にネジ送り制御されて、砥石9の前後位置が制御されることになる。
【0018】
そして、停電や異常停止が発生した場合、NC研削盤1aの電源がOFFしてポンプ25が停止状態となり、電磁弁23への通電も停止する。すると、バネ26の付勢によって電磁弁23は逆方向へ切り替えられる。よって、今度は皿バネ31,31の付勢力で砥石台3は、ストッパ18がシリンダ室11の前面に当接する位置まで後退、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分後退して停止すると共に、第1油室16内の作動油は、油圧供給路21からタンク24内へ戻される。従って、砥石9も隙間Aに対応する距離Bだけ後退し、ワークWから離反するため、砥石9が惰性回転しても砥石9やワークWが不良になるおそれは生じない。
【0019】
このように上記形態2のNC研削盤1aにおいても、ナット5の装着部10に自動後退装置を略内設しているから、スペースを取らない簡単な構成で停電や異常停止時の自動後退が可能となる。よって、自動後退に係るコストは少なくて済み、装置が大型化することもない。特に、形態1のNC研削盤に比べて、油圧供給路が省略でき、シール部材も少なくなるので、構造がより簡略化されるという利点がある。
なお、形態2においても、形態1と同様にピストン部やシリンダ室の形状変更は可能であるし、付勢手段も、皿バネに変えてコイルバネや板バネ等を用いたりしても差し支えない。
【0020】
【発明の効果】
請求項1及び2に記載の発明によれば、スペースを取らない簡単な構成で停電や異常停止時の自動後退が可能となる。よって、自動後退に係るコストは少なくて済み、装置が大型化するようなこともない。特に、請求項2の第2発明においては、流体の供給路が省略でき、シール部材も少なくなるので、第1発明に比べて構造がより簡略化されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】形態1のNC研削盤の全体説明図である。
【図2】形態2のNC研削盤の全体説明図である。
【符号の説明】
1,1a・・NC研削盤、2・・支持台、3・・砥石台、4・・ボールネジ機構、5・・ナット、6・・ネジ軸、8・・モータ、10・・装着部、11・・シリンダ室、15・・ピストン部、16・・第1油室、17・・第2油室、18,19・・ストッパ、21,22・・油圧供給路、23・・電磁弁、24・・タンク、31・・皿バネ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、工具台をネジ送り制御によって前後移動させるNC研削盤等の工作機械において、停電等による不慮の電源OFF時に工具台を自動的に後退させる工具台の自動後退装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばNC研削盤においては、工具台としての砥石台に、ボールネジ機構のナットを装着し、ナットに螺合するネジ軸をモータによって回転駆動させて、砥石台をネジ軸に沿ってネジ送り制御し、砥石台に設けた砥石の回転によってワークの研削加工を行う。
この場合、停電や異常停止等によって電源がOFFすると、砥石台はその位置で停止し、砥石は惰性回転した後停止する。よって、砥石がワークに食い込み、砥石やワークを損傷させるおそれがある。
そこで、ネジ軸と直交状に噛合する軸体を設け、その軸体を動作させる油圧シリンダ等のアクチュエータを電磁弁の切替動作で制御し、停電や異常停止の際には、電磁弁の切替によって軸体をネジ軸の後退方向へ回転させて、砥石台を自動的に後退させる技術が採用されている(例えば特許文献1,2等)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3206065号公報
【特許文献2】
登録実用新案第2521603号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、新たに軸体を設けると、その分部品点数が多くなって組付けの手間やコストが掛かる。特に、軸体はネジ軸に対して直交状に設けられているため、軸体やアクチュエータを設けるためのスペースが余分に必要となり、全体の大型化や複雑化に繋がる。
【0005】
そこで、請求項1及び2に記載の発明は、スペースを取らない簡単な構成で、停電や異常停止による電源OFF時の工具台の自動的な後退を可能とする工作機械における工具台の自動後退装置を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の第1発明は、ナットの周囲にピストン部を、工具台におけるナットの装着部に、ピストン部が摺動可能なシリンダ室を夫々形成し、工具台をナットに対して前後移動可能に設けて、工具台の前進及び後退を駆動源からシリンダ室に供給される作動流体によって可能とする一方、シリンダ室への作動流体の供給路に、通電状態で駆動源を工具台の前進側に、非通電状態で駆動源を工具台の後退側に夫々切替可能な電磁弁を設け、駆動源側の供給路で電磁弁と駆動源との間に、電磁弁の通電状態で蓄圧されるアキュムレータを配して、電磁弁の非通電状態では、アキュムレータからの流体圧をシリンダ室に供給し、工具台をナットに対して後退させるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の第2発明は、ナットの周囲にピストン部を、工具台におけるナットの装着部に、ピストン部が摺動可能なシリンダ室を夫々形成し、工具台をナットに対して前後移動可能に設けて、工具台の前進を駆動源からシリンダ室に供給される作動流体によって可能とする一方、シリンダ室への作動流体の供給路に、通電状態で駆動源を工具台の前進側に接続し、非通電状態で当該接続を遮断する電磁弁を設け、工具台とナットとの間に、作動流体の流体圧よりも弱い力で工具台をナットに対して後退させる付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
《形態1》
図1は、工作機械の一例であるNC研削盤の全体説明図で、NC研削盤1は、図示しないベッド上に倒コ字状の支持台2を設置し、その支持台2の間に、工具台としての砥石台3が前後(図1の左右方向、左側が前)へ移動可能に載置されている。この砥石台3の下方には、ボールネジ機構4のナット5が装着され、ナット5に螺合するネジ軸6は、支持台2の後板7に連結されて、後板7に設けたモータ8によるネジ軸6の回転駆動で、ナット5が軸方向の前後へネジ送り制御されるようになっている。9は砥石台3の前端に設けられた円盤状の砥石である。
【0009】
ここでは、砥石台3におけるナット5の装着部10に、自動後退装置が設けられる。まず、装着部10の後方は、ナット5の外径よりも大径のシリンダ室11に形成されており、そのシリンダ室11の開口側は、ナット5に貫通されるスリーブ12によって閉塞されている。このスリーブ12は、前端に周設したフランジ13が、装着部10の後面に複数のボルト14で固着されるものである。また、スリーブ12の前方でナット5の周囲には、スリーブ12と同径のピストン部15が形成されて、シリンダ室11内を、前側の第1油室16と後側の第2油室17とに区画している。
【0010】
また、ナット5の周囲でピストン部15の前後には、ピストン部15より小径で、ナット5より大径のリング状のストッパ18,19が夫々形成されて、スリーブ12の前面に後側のストッパ19が当接する状態で、前側のストッパ18とシリンダ室11の前面との間に隙間Aが生じるようになっている。すなわち、ナット5に対して砥石台3が隙間A分だけ前後方向へ移動可能としたものである。20,20・・は夫々シール部材である。
【0011】
一方、第1油室16と第2油室17とには、一対の油圧供給路21,22が夫々接続されている。これらの油圧供給路21,22は、夫々砥石台3の外部でシングルソレノイドタイプの電磁弁23を介してタンク24に導かれている。すなわち、NC研削盤1の電源ON状態では、電磁弁23も通電して図1の位置にあり、駆動源となるポンプ25を油圧供給路21及び第1油室16側に切り替え、NC研削盤1の電源OFF状態では、電磁弁23はバネ26によって、油圧供給路21を直接タンク24に導く位置となり、ポンプ25を油圧供給路22及び第2油室17側に切り替えるものである。そして、電磁弁23とポンプ25との間には、アキュムレータ27が設けられている。
【0012】
以上の如く構成されたNC研削盤1においては、通常の研削加工時には、電磁弁23の通電による図1の切替位置により、タンク24の作動油はポンプ25から油圧供給路21を介して第1油室16に供給される。よって、砥石台3側では、ピストン部15の前面とシリンダ室11の前面とが受圧面となり、ストッパ19がスリーブ12に当接する位置まで前進、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分前進した状態で固定される。このときアキュムレータ27に蓄圧がなされる。
よって、この状態のままモータ8が駆動してネジ軸6が回転すると、ナット5と共に砥石台3も一体にネジ送り制御され、砥石9の前後位置が制御されることになる。
【0013】
そして、停電や異常停止が発生した場合、NC研削盤1の電源がOFFしてポンプ25が停止状態となり、電磁弁23への通電も停止する。すると、バネ26の付勢によって電磁弁23は逆方向へ切り替えられる。よって、今度はアキュムレータ27からの油圧で、作動油が油圧供給路22を介して第2油室17へ供給されると共に、第1油室16内の作動油は、油圧供給路21からタンク24内へ戻される。このため、砥石台3側では、ピストン部15の後面とスリーブ12の前面とが受圧面となり、ストッパ18がシリンダ室11の前面に当接する位置まで後退、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分後退して停止する。従って、砥石9も隙間Aに対応する距離Bだけ後退し、ワークWから離反するため、砥石9が惰性回転しても、砥石9やワークWが不良になるおそれは生じない。
【0014】
このように上記形態1のNC研削盤1によれば、ナット5の装着部10に自動後退装置を略内設しているから、スペースを取らない簡単な構成で停電や異常停止時の自動後退が可能となる。よって、自動後退に係るコストは少なくて済み、装置が大型化することもない。
なお、ピストン部やシリンダ室の形状は、上記形態1の形状に限らず、装着部10の前側や中央でシリンダ室を形成したり、ナット側へ一体的に設けた別体のシリンダ部を工具台に連結したり等、第1発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
【0015】
《形態2》
次に、第2発明に対応する実施の形態を説明する。なお、形態1と同じ構成部は同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図2はNC研削盤1aの全体説明図で、砥石台3の装着部10において、形態1の第2油室に相当する箇所は、同じ形状であるが、油圧供給路が接続されず、シールもされない空間30となって、油圧供給路21のみが電磁弁23に接続されている。よって、NC研削盤1aの電源ON状態での電磁弁23の図2の切替位置では、ポンプ25が油圧供給路21及び第1油室16側に接続され、NC研削盤1aの電源OFF状態での電磁弁23の切替位置では、ポンプ25側への接続を遮断して油圧供給路21を直接タンク24へ導くようになっている。
【0016】
一方、砥石台3の装着部10の前方では、ナット5に付勢手段としての皿バネ31,31が外装されると共に、装着部10の前面に皿バネ31の受部32が凹設され、ナット5の前方には、ネジ部33が形成されて、そのネジ部33に螺合される小ナット34が、皿バネ31の前端に当接して、皿バネ31,31の付勢力を小ナット34を介してナット5に伝達可能としている。よって、砥石台3には、ナット5に対して後方への付勢力が働くことになるが、この付勢力は、ネジ部33に対する小ナット34のねじ込み位置によって、ポンプ25から第1油室16に供給される油圧よりも弱い力となるように調整されている。
【0017】
よって、このように構成されたNC研削盤1aにおいては、通常の研削加工時には、電磁弁23の通電による図2の切替位置により、タンク24の作動油はポンプ25から油圧供給路21を介して第1油室16に供給される。よって、砥石台3側では、ピストン部15の前面とシリンダ室11の前面とが受圧面となり、皿バネ31,31の付勢に抗して、ストッパ19がスリーブ12に当接する位置まで前進、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分前進した状態で固定される。
よって、この状態のままモータ8が駆動してネジ軸6が回転すると、ナット5と共に砥石台3も一体にネジ送り制御されて、砥石9の前後位置が制御されることになる。
【0018】
そして、停電や異常停止が発生した場合、NC研削盤1aの電源がOFFしてポンプ25が停止状態となり、電磁弁23への通電も停止する。すると、バネ26の付勢によって電磁弁23は逆方向へ切り替えられる。よって、今度は皿バネ31,31の付勢力で砥石台3は、ストッパ18がシリンダ室11の前面に当接する位置まで後退、すなわちナット5に対して砥石台3が隙間A分後退して停止すると共に、第1油室16内の作動油は、油圧供給路21からタンク24内へ戻される。従って、砥石9も隙間Aに対応する距離Bだけ後退し、ワークWから離反するため、砥石9が惰性回転しても砥石9やワークWが不良になるおそれは生じない。
【0019】
このように上記形態2のNC研削盤1aにおいても、ナット5の装着部10に自動後退装置を略内設しているから、スペースを取らない簡単な構成で停電や異常停止時の自動後退が可能となる。よって、自動後退に係るコストは少なくて済み、装置が大型化することもない。特に、形態1のNC研削盤に比べて、油圧供給路が省略でき、シール部材も少なくなるので、構造がより簡略化されるという利点がある。
なお、形態2においても、形態1と同様にピストン部やシリンダ室の形状変更は可能であるし、付勢手段も、皿バネに変えてコイルバネや板バネ等を用いたりしても差し支えない。
【0020】
【発明の効果】
請求項1及び2に記載の発明によれば、スペースを取らない簡単な構成で停電や異常停止時の自動後退が可能となる。よって、自動後退に係るコストは少なくて済み、装置が大型化するようなこともない。特に、請求項2の第2発明においては、流体の供給路が省略でき、シール部材も少なくなるので、第1発明に比べて構造がより簡略化されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】形態1のNC研削盤の全体説明図である。
【図2】形態2のNC研削盤の全体説明図である。
【符号の説明】
1,1a・・NC研削盤、2・・支持台、3・・砥石台、4・・ボールネジ機構、5・・ナット、6・・ネジ軸、8・・モータ、10・・装着部、11・・シリンダ室、15・・ピストン部、16・・第1油室、17・・第2油室、18,19・・ストッパ、21,22・・油圧供給路、23・・電磁弁、24・・タンク、31・・皿バネ。
Claims (2)
- 工具台にボールネジ機構のナットを装着し、前記ナットに螺合するネジ軸を回転駆動させて前記工具台を前記ネジ軸に沿ってネジ送り制御する工作機械において、
前記ナットの周囲にピストン部を、前記工具台における前記ナットの装着部に、前記ピストン部が摺動可能なシリンダ室を夫々形成し、前記工具台を前記ナットに対して前後移動可能に設けて、前記工具台の前進及び後退を駆動源から前記シリンダ室に供給される作動流体によって可能とする一方、前記シリンダ室への作動流体の供給路に、通電状態で前記駆動源を前記工具台の前進側に、非通電状態で前記駆動源を前記工具台の後退側に夫々切替可能な電磁弁を設け、前記駆動源側の供給路で前記電磁弁と駆動源との間に、前記電磁弁の通電状態で蓄圧されるアキュムレータを配して、前記電磁弁の非通電状態では、前記アキュムレータからの流体圧を前記シリンダ室に供給し、前記工具台を前記ナットに対して後退させるようにしたことを特徴とする工作機械における工具台の自動後退装置。 - 工具台にボールネジ機構のナットを装着し、前記ナットに螺合するネジ軸を回転駆動させて前記工具台を前記ネジ軸に沿ってネジ送り制御する工作機械において、
前記ナットの周囲にピストン部を、前記工具台における前記ナットの装着部に、前記ピストン部が摺動可能なシリンダ室を夫々形成し、前記工具台を前記ナットに対して前後移動可能に設けて、前記工具台の前進を駆動源から前記シリンダ室に供給される作動流体によって可能とする一方、前記シリンダ室への作動流体の供給路に、通電状態で駆動源を前記工具台の前進側に接続し、非通電状態で当該接続を遮断する電磁弁を設け、前記工具台とナットとの間に、前記作動流体の流体圧よりも弱い力で前記工具台を前記ナットに対して後退させる付勢手段を設けたことを特徴とする工作機械における工具台の自動後退装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002270797A JP2004106097A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | 工作機械における工具台の自動後退装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002270797A JP2004106097A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | 工作機械における工具台の自動後退装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004106097A true JP2004106097A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32268300
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002270797A Pending JP2004106097A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | 工作機械における工具台の自動後退装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004106097A (ja) |
-
2002
- 2002-09-17 JP JP2002270797A patent/JP2004106097A/ja active Pending
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