JP2004105017A - ホイップ食品の連続式製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホイップ食品の連続式製造方法において、回転型撹拌機を停止状態から稼動状態に立ち上げる際に、安定した立ち上げが可能であり、規格外の製品の発生や吹き出しなどの現象を可及的に抑止することができるホイップ食品の連続式製造方法を提供すること。
【解決手段】ホイップ用の液相原料と気相原料とを所望の配合比で供給し、回転型攪拌機により連続的にホイップし、排出するホイップ食品の連続式製造方法において、前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品が新たに供給される液相原料及び気相原料によって置換された時点で所定の回転速度に到達するように回転型撹拌機の回転速度を上昇させることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】ホイップ用の液相原料と気相原料とを所望の配合比で供給し、回転型攪拌機により連続的にホイップし、排出するホイップ食品の連続式製造方法において、前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品が新たに供給される液相原料及び気相原料によって置換された時点で所定の回転速度に到達するように回転型撹拌機の回転速度を上昇させることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホイップ食品の連続的製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、回転型撹拌機の停止と稼動とを安定して行うことができるホイップ食品の連続的製造方法に関する。
【0002】
本発明においてホイップ食品とは、気相原料と液相原料との混合,攪拌により形成された微細気泡を含有する全ての食品を言う。かかる食品としては、ホイップドクリーム,ホイップドバター,ホイップドヨーグルト,ホイップドゼリーなどがある。
【0003】
【従来の技術】
ホイップドクリームは、デコレーションケーキ等の外観を装飾する材料として使用され、デコレーションは、多くはホイップドクリームを絞り袋等を用いて絞り出すことにより行われる。ホイップドクリームの良否は、絞り出し成型された直後の造花形状の明瞭性、及び成型された造花の形状保持性とを包含した造花性によって判定される。ホイップドクリームの硬さが硬すぎる場合には、形状保持性は良好であっても造花の肌が荒れた状態となり、軟らかすぎる場合には、所謂ダレの状態となり、形状の明瞭性,形状保持性が悪くなる。このように、ホイップドクリームは、その硬さを適正に維持する必要がある。
【0004】
従来、ホイップ食品、特にホイップドクリームの連続式製造技術としては、第1図に示された工程を含んでいた。第1図は、従来のホイップ食品の製造方法及び装置を示す工程図兼構成図である。
【0005】
第1図において、液相原料(例えばクリーム)は、液相原料タンク1から液相原料供給ライン2及び供給ポンプ3を介して供給され、除菌清浄化した気相原料(例えば圧縮空気)は気相供給ライン4から気相分散装置5を介して吹き込まれて液相原料と混合され、モータ6を有する回転型攪拌機7でホイップされ、吐出管8からホイップドクリームが送り出される。かかる装置においては、ホイップドクリームの硬さの制御は、モータ6の回転速度を調節することによって行われて来た。
【0006】
従来から、このようにホイップ食品を連続的に製造するに際して、その硬さを調節する技術、特に回転型攪拌機の回転速度を調整することにより、ホイップ食品の硬さを調節する技術としては、主として次の技術が知られていた。
(a)ホイップ用回転型攪拌機の出口でホイップドクリームの硬さを目視で確認し、その硬軟に応じて回転型攪拌機の回転速度を調節し、所望の硬さを得る技術。
【0007】
(b)回転型攪拌機の吐出配管内に、ホイップドクリームの流路抵抗を測定するストレーンゲージ(歪み性)を設け、歪みの度合いによって硬さを検出し、上記(a)と同様に、攪拌機の回転速度を調節し、それによって硬さを調節する技術(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特公昭62−60053号公報(第1頁)
【0009】
(c)回転型攪拌機の吐出配管内の圧力損失を測定することにより硬さを検出し、上記(a)と同様に、その(攪拌機の)回転速度を調節し、それによって硬さを調節する技術(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献2】
特公昭63−65286号公報(第1頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術においては、いずれも回転型攪拌機の回転速度の制御によって、硬さを調節するが、一般に、ホイップ食品を製造する工場においては、種々の事情により、回転型撹拌機の停止と稼動とが反復されることになる。
【0012】
停止していた回転型撹拌機が稼動する際には、回転型撹拌機が停止している状態から、所定の回転速度で稼動する状態まで一気に回転速度を上昇させることになる(以下、このように回転型撹拌機が停止している状態から所定の回転速度で稼動している状態まで移行させることを「立ち上げる」と記載することがある。)。回転型撹拌機をこのように急速に立ち上げた場合には、最初に回転型撹拌機から排出されるホイップ食品は、性状が安定したものとはならず、硬すぎるものと軟らかすぎるものとが交互に排出されるという現象が発生し、回転型撹拌機を立ち上げた後、ホイップ食品が所定の硬さのものに収束するまで相当な長時間をへてしまうことになる。
【0013】
このような場合、ホイップ食品には、大量に規格外の製品が発生してしまうことになり、特に、回転型撹拌機が、停止と稼動とを交互に行わなければならない場合には、規格外の製品の発生量も著しいものとなってしまう。
【0014】
前記(b)や(c)のような自動制御を行う技術においても、回転型撹拌機が停止状態から稼動状態に移行する際には、規格外製品の発生を完全に抑制することは困難である。
【0015】
また、立ち上げの際に、回転型撹拌機の回転速度を急速に上昇させていくと、回転型撹拌機からホイップ食品が一気に噴き出すという現象(以下、吹き出しと記載することがある。)が発生する場合があり、このような場合は、回転型撹拌機の周囲が汚れたり、清掃が面倒になるという別な問題が生じていた。
【0016】
本発明者等は、ホイップ食品の連続式製造方法において、上述の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、回転型攪拌機を停止した状態から所定の回転速度まで回転速度を上昇させる際のタイミングを適正化すれば、安定した立ち上げが可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明に到達した。
【0017】
本発明の目的は、ホイップ食品の連続式製造方法において、回転型撹拌機を停止状態から稼動状態に立ち上げる際に、安定した立ち上げが可能であり、規格外製品の発生や吹き出しなどの現象を可及的に抑止することができるホイップ食品の連続式製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明は、ホイップ用の液相原料と気相原料とを連続的に所望の配合比で供給し、回転型攪拌機により連続的にホイップし、連続的に排出するホイップ食品の連続式製造方法において、前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品が新たに供給される液相原料及び気相原料によって置換された時点で所定の回転速度に到達するように回転型撹拌機の回転速度を上昇させることを特徴とするホイップ食品の連続式製造方法、である。
【0019】
また、本発明は、前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に、回転型攪拌機の回転速度を次の式、
d=x/(A/Q)
〔ただし、上式において、dは回転速度の上昇速度(s−2)、xは所定の回転速度(s−1)、Aは回転型攪拌機の内容積(L)、Qは液相原料と気相原料との合計の体積流量(L/s)]
を満たす上昇速度で上昇させて所定の回転速度に到達させることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
回転型撹拌機が停止している間には、回転型撹拌機の内部にはホイップ食品が残留していることになるが、回転型撹拌機を立ち上げた際には、このようなホイップ食品を速やかに排出することが重要である。
【0021】
回転型撹拌機を立ち上げた際には、新たな液相原料及び気相原料が供給されることになるが、本発明においては、回転型撹拌機の回転速度を上昇させる際に、このような回転型撹拌機に新たに供給される液相原料及び気相原料によって、残留していたホイップ食品が置換されおわった時点で、回転型撹拌機の回転速度が所定の値になるように、回転速度を上昇させていくのである。
【0022】
このように徐々に回転速度を上昇させていくことによって、立ち上げの際に、ホイップ食品が硬いものと軟らかいものとが交互に排出されて不安定になる現象を抑制することができ、また、吹き出しも抑止することができる。
【0023】
回転速度を上昇させる際には、徐々に上昇させることが好ましく、回転速度と時間との関係が一次関数の形であることが望ましい。
【0024】
この関係を図2に示す。図2は、回転型撹拌機の回転速度を上昇させる様子を示すグラフである。図2において、横軸は時間(秒)であり、縦軸は、回転型撹拌機の回転速度(s−1)を示す。
【0025】
従来は、図2のaに示すように、回転型撹拌機を立ち上げる際には、停止状態から急速に回転速度を上昇させ、時間t0というわずかな時間で所定の回転速度xに到達させていた。
【0026】
これに対して、本発明では、図2のbに示すように、これをt1という長い時間をかけて上昇させていくのである。このt1は、回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品が新たに供給される液相原料及び気相原料で置換されるまでの時間である。
【0027】
即ち、液相原料と気相原料との合計の体積流量をQ(L/s)とし、回転型攪拌機の内容積をA(L)とすれば、t1の値は、
t1 = A/Q
となる。
【0028】
そして、図2のbの場合における、所定の回転速度x(s−1)に至るまでの、回転速度Xの上昇速度d(s−2)は、
d = x/t1
であるから、本発明の好ましい態様においては、
d = x/(A/Q)
となるのである。
【0029】
以上のように、本発明では、回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品を徐々に排出し、新たに供給される液相原料及び気相原料によって押し出すとともに、回転型撹拌機の内部において新たなホイップ食品と残留していたホイップ食品とをスムーズに置換することにより、回転型撹拌機の立ち上げを安定的に行うことができるのである。
【0030】
このような立ち上げ方法であれば、規格外製品の発生を抑制することができ、回転型撹拌機からの吹き出しも防止することができる。
【0031】
【実施例】
次に実施例を示して本発明を詳細に説明する。
実施例1
液相原料は下記に従って調整した。市販の硬化大豆油(上昇融点35℃)50部を65℃に加温し、これに市販の精製大豆レシチン0.3部及びモノグリセライド0.3部を加え、攪拌して溶解,分散させて油相を得た。一方、脱脂乳50部に市販のシュガーエステル0.4部を加え、攪拌して溶解,分散させて水相を得た。前記油相と水相とを混合して乳化し、70℃で15分間加熱殺菌し、次いで5MPa及び1MPaの圧力で2度均質化し、8℃に冷却し、前記液相原料タンク2に貯蔵し、同温度で一夜エージングし、ホイップ用合成クリーム1000kgを得た。
【0032】
前記図1の装置において、回転型撹拌機7のタイプとして、内容積2.17Lの大型タイプのものを使用し、下記の作動条件でホイップドクリームを製造した。
液相原料:上記合成クリーム(1000kg)
気相原料:除菌済み圧縮空気(0.5MPa)
液相原料流量:100L/h
気相原料流量:100L/h
回転型攪拌機の内部の容積:2.17L
回転型攪拌機の所定の回転速度:500s−1
【0033】
ホイップドクリームの製造中に、一旦、回転型撹拌機を停止した後、30分後に、再度、立ち上げたが、このときの回転型撹拌機の回転速度の上昇速度を、10s−2に設定した。
【0034】
吐出管8の出口より排出されるホイップドクリームの硬さを肉眼で観察したところ、硬くなったり軟らかくなったりする現象は発生せず、吹き出すこともなく、安定した立ち上がりであった。
【0035】
この条件で回転型撹拌機7の停止と稼動とを反復したが、同様に安定して立ち上げることができた。
【0036】
比較例1
前記実施例1と同一の装置でホイップドクリームを製造した。一旦、回転型撹拌機7を停止した後、30分後に、再度、立ち上げたが、このときの回転型撹拌機7の回転速度の上昇速度を、従来どおり100s−2に設定した。
【0037】
吐出管8の出口より排出されるホイップドクリームの硬さを肉眼で観察したところ、排出されるホイップドクリームは、硬くなったり軟らかくなったりを繰り返し、なかなか安定しなかった。
【0038】
この条件で回転型撹拌機7の停止と稼動とを反復したが、ときどき、排出口より突如としてホイップドクリームが吹き出す現象もみられた。
【0039】
実施例2
前記図1の装置と同様の装置において、回転型撹拌機7の内容積0.36Lの小型のタイプのものを使用し、下記の作動条件でホイップドクリームを製造した。
液相原料:上記合成クリーム(100kg)
気相原料:除菌済み圧縮空気(0.2MPa)
液相原料流量:40L/h
気相原料流量:40L/h
回転型攪拌機の内部の容積:0.36L
回転型攪拌機の所定の回転速度:500s−1
【0040】
ホイップドクリームの製造中に、一旦、回転型撹拌機を停止した後、30分後に、再度、立ち上げたが、このときの回転型撹拌機の回転速度の上昇速度を、33s−2に設定した。
【0041】
吐出管8の出口より排出されるホイップドクリームの硬さを肉眼で観察したところ、硬くなったり軟らかくなったりする現象は発生せず、吹き出すこともなく、安定した立ち上がりが可能であった。
【0042】
この条件で回転型撹拌機7の停止と稼動とを反復したが、同様に安定して立ち上げることができた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ホイップ食品の連続式製造方法において、回転型撹拌機を停止状態から稼動状態に立ち上げる際に、安定した立ち上げが可能であり、規格外の製品の発生や吹き出しなどの現象を可及的に抑止することができる。従って、工場の安定な稼動とともに、製品歩留の改善に貢献しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、従来のホイップ食品の製造方法及び装置を示す工程図兼構成図である。
【図2】図2は、回転型撹拌機の回転速度を上昇させる様子を示すグラフである。
【符号の説明】
1 液相原料タンク
2 液相原料供給ライン
3 供給ポンプ
4 気相原料供給ライン
5 気相分散装置
6 モータ
7 回転型攪拌機
8 吐出管
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホイップ食品の連続的製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、回転型撹拌機の停止と稼動とを安定して行うことができるホイップ食品の連続的製造方法に関する。
【0002】
本発明においてホイップ食品とは、気相原料と液相原料との混合,攪拌により形成された微細気泡を含有する全ての食品を言う。かかる食品としては、ホイップドクリーム,ホイップドバター,ホイップドヨーグルト,ホイップドゼリーなどがある。
【0003】
【従来の技術】
ホイップドクリームは、デコレーションケーキ等の外観を装飾する材料として使用され、デコレーションは、多くはホイップドクリームを絞り袋等を用いて絞り出すことにより行われる。ホイップドクリームの良否は、絞り出し成型された直後の造花形状の明瞭性、及び成型された造花の形状保持性とを包含した造花性によって判定される。ホイップドクリームの硬さが硬すぎる場合には、形状保持性は良好であっても造花の肌が荒れた状態となり、軟らかすぎる場合には、所謂ダレの状態となり、形状の明瞭性,形状保持性が悪くなる。このように、ホイップドクリームは、その硬さを適正に維持する必要がある。
【0004】
従来、ホイップ食品、特にホイップドクリームの連続式製造技術としては、第1図に示された工程を含んでいた。第1図は、従来のホイップ食品の製造方法及び装置を示す工程図兼構成図である。
【0005】
第1図において、液相原料(例えばクリーム)は、液相原料タンク1から液相原料供給ライン2及び供給ポンプ3を介して供給され、除菌清浄化した気相原料(例えば圧縮空気)は気相供給ライン4から気相分散装置5を介して吹き込まれて液相原料と混合され、モータ6を有する回転型攪拌機7でホイップされ、吐出管8からホイップドクリームが送り出される。かかる装置においては、ホイップドクリームの硬さの制御は、モータ6の回転速度を調節することによって行われて来た。
【0006】
従来から、このようにホイップ食品を連続的に製造するに際して、その硬さを調節する技術、特に回転型攪拌機の回転速度を調整することにより、ホイップ食品の硬さを調節する技術としては、主として次の技術が知られていた。
(a)ホイップ用回転型攪拌機の出口でホイップドクリームの硬さを目視で確認し、その硬軟に応じて回転型攪拌機の回転速度を調節し、所望の硬さを得る技術。
【0007】
(b)回転型攪拌機の吐出配管内に、ホイップドクリームの流路抵抗を測定するストレーンゲージ(歪み性)を設け、歪みの度合いによって硬さを検出し、上記(a)と同様に、攪拌機の回転速度を調節し、それによって硬さを調節する技術(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特公昭62−60053号公報(第1頁)
【0009】
(c)回転型攪拌機の吐出配管内の圧力損失を測定することにより硬さを検出し、上記(a)と同様に、その(攪拌機の)回転速度を調節し、それによって硬さを調節する技術(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献2】
特公昭63−65286号公報(第1頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術においては、いずれも回転型攪拌機の回転速度の制御によって、硬さを調節するが、一般に、ホイップ食品を製造する工場においては、種々の事情により、回転型撹拌機の停止と稼動とが反復されることになる。
【0012】
停止していた回転型撹拌機が稼動する際には、回転型撹拌機が停止している状態から、所定の回転速度で稼動する状態まで一気に回転速度を上昇させることになる(以下、このように回転型撹拌機が停止している状態から所定の回転速度で稼動している状態まで移行させることを「立ち上げる」と記載することがある。)。回転型撹拌機をこのように急速に立ち上げた場合には、最初に回転型撹拌機から排出されるホイップ食品は、性状が安定したものとはならず、硬すぎるものと軟らかすぎるものとが交互に排出されるという現象が発生し、回転型撹拌機を立ち上げた後、ホイップ食品が所定の硬さのものに収束するまで相当な長時間をへてしまうことになる。
【0013】
このような場合、ホイップ食品には、大量に規格外の製品が発生してしまうことになり、特に、回転型撹拌機が、停止と稼動とを交互に行わなければならない場合には、規格外の製品の発生量も著しいものとなってしまう。
【0014】
前記(b)や(c)のような自動制御を行う技術においても、回転型撹拌機が停止状態から稼動状態に移行する際には、規格外製品の発生を完全に抑制することは困難である。
【0015】
また、立ち上げの際に、回転型撹拌機の回転速度を急速に上昇させていくと、回転型撹拌機からホイップ食品が一気に噴き出すという現象(以下、吹き出しと記載することがある。)が発生する場合があり、このような場合は、回転型撹拌機の周囲が汚れたり、清掃が面倒になるという別な問題が生じていた。
【0016】
本発明者等は、ホイップ食品の連続式製造方法において、上述の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、回転型攪拌機を停止した状態から所定の回転速度まで回転速度を上昇させる際のタイミングを適正化すれば、安定した立ち上げが可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明に到達した。
【0017】
本発明の目的は、ホイップ食品の連続式製造方法において、回転型撹拌機を停止状態から稼動状態に立ち上げる際に、安定した立ち上げが可能であり、規格外製品の発生や吹き出しなどの現象を可及的に抑止することができるホイップ食品の連続式製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明は、ホイップ用の液相原料と気相原料とを連続的に所望の配合比で供給し、回転型攪拌機により連続的にホイップし、連続的に排出するホイップ食品の連続式製造方法において、前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品が新たに供給される液相原料及び気相原料によって置換された時点で所定の回転速度に到達するように回転型撹拌機の回転速度を上昇させることを特徴とするホイップ食品の連続式製造方法、である。
【0019】
また、本発明は、前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に、回転型攪拌機の回転速度を次の式、
d=x/(A/Q)
〔ただし、上式において、dは回転速度の上昇速度(s−2)、xは所定の回転速度(s−1)、Aは回転型攪拌機の内容積(L)、Qは液相原料と気相原料との合計の体積流量(L/s)]
を満たす上昇速度で上昇させて所定の回転速度に到達させることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
回転型撹拌機が停止している間には、回転型撹拌機の内部にはホイップ食品が残留していることになるが、回転型撹拌機を立ち上げた際には、このようなホイップ食品を速やかに排出することが重要である。
【0021】
回転型撹拌機を立ち上げた際には、新たな液相原料及び気相原料が供給されることになるが、本発明においては、回転型撹拌機の回転速度を上昇させる際に、このような回転型撹拌機に新たに供給される液相原料及び気相原料によって、残留していたホイップ食品が置換されおわった時点で、回転型撹拌機の回転速度が所定の値になるように、回転速度を上昇させていくのである。
【0022】
このように徐々に回転速度を上昇させていくことによって、立ち上げの際に、ホイップ食品が硬いものと軟らかいものとが交互に排出されて不安定になる現象を抑制することができ、また、吹き出しも抑止することができる。
【0023】
回転速度を上昇させる際には、徐々に上昇させることが好ましく、回転速度と時間との関係が一次関数の形であることが望ましい。
【0024】
この関係を図2に示す。図2は、回転型撹拌機の回転速度を上昇させる様子を示すグラフである。図2において、横軸は時間(秒)であり、縦軸は、回転型撹拌機の回転速度(s−1)を示す。
【0025】
従来は、図2のaに示すように、回転型撹拌機を立ち上げる際には、停止状態から急速に回転速度を上昇させ、時間t0というわずかな時間で所定の回転速度xに到達させていた。
【0026】
これに対して、本発明では、図2のbに示すように、これをt1という長い時間をかけて上昇させていくのである。このt1は、回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品が新たに供給される液相原料及び気相原料で置換されるまでの時間である。
【0027】
即ち、液相原料と気相原料との合計の体積流量をQ(L/s)とし、回転型攪拌機の内容積をA(L)とすれば、t1の値は、
t1 = A/Q
となる。
【0028】
そして、図2のbの場合における、所定の回転速度x(s−1)に至るまでの、回転速度Xの上昇速度d(s−2)は、
d = x/t1
であるから、本発明の好ましい態様においては、
d = x/(A/Q)
となるのである。
【0029】
以上のように、本発明では、回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品を徐々に排出し、新たに供給される液相原料及び気相原料によって押し出すとともに、回転型撹拌機の内部において新たなホイップ食品と残留していたホイップ食品とをスムーズに置換することにより、回転型撹拌機の立ち上げを安定的に行うことができるのである。
【0030】
このような立ち上げ方法であれば、規格外製品の発生を抑制することができ、回転型撹拌機からの吹き出しも防止することができる。
【0031】
【実施例】
次に実施例を示して本発明を詳細に説明する。
実施例1
液相原料は下記に従って調整した。市販の硬化大豆油(上昇融点35℃)50部を65℃に加温し、これに市販の精製大豆レシチン0.3部及びモノグリセライド0.3部を加え、攪拌して溶解,分散させて油相を得た。一方、脱脂乳50部に市販のシュガーエステル0.4部を加え、攪拌して溶解,分散させて水相を得た。前記油相と水相とを混合して乳化し、70℃で15分間加熱殺菌し、次いで5MPa及び1MPaの圧力で2度均質化し、8℃に冷却し、前記液相原料タンク2に貯蔵し、同温度で一夜エージングし、ホイップ用合成クリーム1000kgを得た。
【0032】
前記図1の装置において、回転型撹拌機7のタイプとして、内容積2.17Lの大型タイプのものを使用し、下記の作動条件でホイップドクリームを製造した。
液相原料:上記合成クリーム(1000kg)
気相原料:除菌済み圧縮空気(0.5MPa)
液相原料流量:100L/h
気相原料流量:100L/h
回転型攪拌機の内部の容積:2.17L
回転型攪拌機の所定の回転速度:500s−1
【0033】
ホイップドクリームの製造中に、一旦、回転型撹拌機を停止した後、30分後に、再度、立ち上げたが、このときの回転型撹拌機の回転速度の上昇速度を、10s−2に設定した。
【0034】
吐出管8の出口より排出されるホイップドクリームの硬さを肉眼で観察したところ、硬くなったり軟らかくなったりする現象は発生せず、吹き出すこともなく、安定した立ち上がりであった。
【0035】
この条件で回転型撹拌機7の停止と稼動とを反復したが、同様に安定して立ち上げることができた。
【0036】
比較例1
前記実施例1と同一の装置でホイップドクリームを製造した。一旦、回転型撹拌機7を停止した後、30分後に、再度、立ち上げたが、このときの回転型撹拌機7の回転速度の上昇速度を、従来どおり100s−2に設定した。
【0037】
吐出管8の出口より排出されるホイップドクリームの硬さを肉眼で観察したところ、排出されるホイップドクリームは、硬くなったり軟らかくなったりを繰り返し、なかなか安定しなかった。
【0038】
この条件で回転型撹拌機7の停止と稼動とを反復したが、ときどき、排出口より突如としてホイップドクリームが吹き出す現象もみられた。
【0039】
実施例2
前記図1の装置と同様の装置において、回転型撹拌機7の内容積0.36Lの小型のタイプのものを使用し、下記の作動条件でホイップドクリームを製造した。
液相原料:上記合成クリーム(100kg)
気相原料:除菌済み圧縮空気(0.2MPa)
液相原料流量:40L/h
気相原料流量:40L/h
回転型攪拌機の内部の容積:0.36L
回転型攪拌機の所定の回転速度:500s−1
【0040】
ホイップドクリームの製造中に、一旦、回転型撹拌機を停止した後、30分後に、再度、立ち上げたが、このときの回転型撹拌機の回転速度の上昇速度を、33s−2に設定した。
【0041】
吐出管8の出口より排出されるホイップドクリームの硬さを肉眼で観察したところ、硬くなったり軟らかくなったりする現象は発生せず、吹き出すこともなく、安定した立ち上がりが可能であった。
【0042】
この条件で回転型撹拌機7の停止と稼動とを反復したが、同様に安定して立ち上げることができた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ホイップ食品の連続式製造方法において、回転型撹拌機を停止状態から稼動状態に立ち上げる際に、安定した立ち上げが可能であり、規格外の製品の発生や吹き出しなどの現象を可及的に抑止することができる。従って、工場の安定な稼動とともに、製品歩留の改善に貢献しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、従来のホイップ食品の製造方法及び装置を示す工程図兼構成図である。
【図2】図2は、回転型撹拌機の回転速度を上昇させる様子を示すグラフである。
【符号の説明】
1 液相原料タンク
2 液相原料供給ライン
3 供給ポンプ
4 気相原料供給ライン
5 気相分散装置
6 モータ
7 回転型攪拌機
8 吐出管
Claims (2)
- ホイップ用の液相原料と気相原料とを連続的に所望の配合比で供給し、回転型攪拌機により連続的にホイップし、連続的に排出するホイップ食品の連続式製造方法において、前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に回転型撹拌機の内部に残留していたホイップ食品が新たに供給される液相原料及び気相原料によって置換された時点で所定の回転速度に到達するように回転型撹拌機の回転速度を上昇させることを特徴とするホイップ食品の連続式製造方法。
- 前記回転型攪拌機を停止状態から所定の回転速度の稼動状態にまで移行させる際に、回転型攪拌機の回転速度を次の式、
d=x/(A/Q)
〔ただし、上式において、dは回転速度の上昇速度(s−2)、xは所定の回転速度(s−1)、Aは回転型攪拌機の内容積(L)、Qは液相原料と気相原料との合計の体積流量(L/s)]
を満たす上昇速度で上昇させて所定の回転速度に到達させる請求項1に記載のホイップ食品の連続式製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268669A JP2004105017A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | ホイップ食品の連続式製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268669A JP2004105017A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | ホイップ食品の連続式製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004105017A true JP2004105017A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32266831
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002268669A Pending JP2004105017A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | ホイップ食品の連続式製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004105017A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20220052584A (ko) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | 김종훈 | 형상유지성이 향상된 크림폼 제조방법 및 이에 의해 제조되는 크림폼 |
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2002
- 2002-09-13 JP JP2002268669A patent/JP2004105017A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20220052584A (ko) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | 김종훈 | 형상유지성이 향상된 크림폼 제조방법 및 이에 의해 제조되는 크림폼 |
KR102638770B1 (ko) * | 2020-10-21 | 2024-02-20 | 김종훈 | 형상유지성이 향상된 크림폼 제조방법 및 이에 의해 제조되는 크림폼 |
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