JP2004103674A - 半導体集積回路装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体集積回路装置の歩留まりを向上させる。
【解決手段】フォーカス、露光量、マスクパターン形状および露光装置機差(収差他)等のような転写されるパターンの寸法への影響要因を考慮して、ベストフォーカスシフト等、露光条件の応答のパターン依存性を評価する。続いて、パターン差、装置の機差を含む応答モデルを作成する。続いて、複数の応答モデルを用いた露光条件の推定の可否、性能を評価する。続いて、評価結果が良くない時は、条件出し時に制御を考慮した最適化(パターンの選択等)を行う。評価結果が良い時は、フィードバック制御にデバイス寸法検査データを使用する。続いて、複数の実デバイス寸法の検査から各々の応答モデルを用いた着工時の露光条件を推定する。その後、着工時の露光条件の変動(解析、予測して)を補正する。
【選択図】 図31
【解決手段】フォーカス、露光量、マスクパターン形状および露光装置機差(収差他)等のような転写されるパターンの寸法への影響要因を考慮して、ベストフォーカスシフト等、露光条件の応答のパターン依存性を評価する。続いて、パターン差、装置の機差を含む応答モデルを作成する。続いて、複数の応答モデルを用いた露光条件の推定の可否、性能を評価する。続いて、評価結果が良くない時は、条件出し時に制御を考慮した最適化(パターンの選択等)を行う。評価結果が良い時は、フィードバック制御にデバイス寸法検査データを使用する。続いて、複数の実デバイス寸法の検査から各々の応答モデルを用いた着工時の露光条件を推定する。その後、着工時の露光条件の変動(解析、予測して)を補正する。
【選択図】 図31
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置の製造技術に関し、特に、半導体集積回路装置の製造工程におけるフォトリソグラフィ(以下、単にリソグラフィという)技術に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSI(Large Scale Integrated circuit)等のような半導体集積回路装置の製造においては、微細パターンをウエハ上に形成する方法として、リソグラフィ技術が用いられている。このリソグラフィ技術では、如何にして効率良く短い時間で、しかも高い品質で半導体集積回路装置を製造するか、という課題がある。このリソグラフィ技術の品質では、露光装置でレチクルと称する集積回路のパターンの原版をウエハ上に転写する際のパターンの転写精度が重要で、パターンの寸法と位置とを正確に形成しなければならない。このパターン寸法の精度は、露光装置の露光条件、すなわち、露光量とフォーカス(焦点合わせ位置)を正確に調整しなければならない。これについては、例えば特開平11−288879号公報に記載がある。この公報には、露光装置で最適な露光条件、すなわち、露光量とフォーカスとを変化させて露光した条件出しウエハの寸法、パターンの写真を一覧可視化して良否判定することで最適な条件を求めることが記載されている。この作業は、SEM(Scanning Electron Microscope)で多くのパターンを測定して行うもので時間と工数を必要とするため、初期の設定を最適化する際に用いられるもので、長期に実際の生産するなかで発生する様々な変動要因に対し、その都度最適な調整を行うのに用いることは製造時間の増大や作業の繁雑さ等を招き不向きである。このような調整を如何にして効率良く短時間で行うかは困難な課題であって、露光量による寸法の変化のみに着目して変動補正し、フォーカスは別の装置管理のための特殊パターンを用いた計測で、常に正しく補正されていると仮定する方式が一般的に用いられている。他の方法として、先に説明した露光量とフォーカスとを変化させて最適条件を求める方法を効率化することが提案されている。例えば特開平11−297608号公報は、パターンの比較を行う欠陥検査で検査が可能なように条件変化列と正規露光列を一列おきに配置し比較検査を行うことで初期の条件出しにおいて、欠陥発生頻度から着工条件を決める方法である。また、例えば特開平11−219883号公報は、ショット毎の露光条件を露光装置から寸法測定制御装置に送信し、露光条件とショット位置との照合を自動化して作業を効率化している。また、例えば特開平6−302492号公報には、ポジ、ネガの楔パターンにより露光量とフォーカスとを分離して計測する技術が開示されている。また、例えば特開平8−264409号公報には、ポジ、ネガの楔パターンに段差を与えフォーカスの正負を判別する技術が開示されている。また、例えば特開平7−141005号公報には、ファジー推論のメンバーシップ関数で品質要因を表現し、検査データからメンバーシップ関数を調整することで最適化する技術が開示されている。さらに、例えば1993年12月7日のTexas Instruments Semiconductor Process and Design CenterのDuane S.Boning and P.K.Mozumderの論文、「DOE/Opt:A System for Design of Experiments,Response Surface Modeling,and Optimization using Process and Device Simulation」(以下、DOE/Optという)には、実験計画法および設計システムDOE/Optというシステムについて説明されている。このシステムは、実験計画法、RSMおよび最適化計算を組み合わせた汎用的なシステムで、統計工学分野の成果を半導体分野にシステムインテグレートして導入したもので、MMST(Methodology of Manufacturing Science and Technology)の成果の一つである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記リソグラフィ技術においては、以下の課題があることを本発明者は見出した。
【0004】
リソグラフィ工程の寸法に影響を与える要因は様々であるが、露光装置で補正できる主要因に露光量とフォーカスとがある。上記した技術では、露光量とフォーカスとをパターンの寸法から最適な条件に調整する場合、初期設定として露光量とフォーカスとを変化させて露光したウエハのパターン寸法を測定して定める、通称、露光条件出しと呼ばれる処理を行っている。このようにして以降は設定された条件に固定して、リソグラフィの処理を行う。上記した技術は、この後、リソグラフィ工程の寸法に影響を与える要因が変動して寸法の値が変化した時の補正を行う方法に関するものではないが、その変動を補正する場合には、(1)フォーカスを一定として露光量のみで寸法を制御するもの、(2)フォーカスの計測手段を別に設け異常を判定することを(1)に付け加えたもので対応している。上記技術では、フィードバック制御で補正するのは露光量のみで、フォーカスは別の手段で計測して安定化することを前提としている。しかし、フォーカスの変動は、不定期に起こる可能性があって、定期的な点検では抑えきれない場合がある。また、一般に製品着工の条件と、フォーカスのモニタリングとは別の手段であるため、製品の寸法誤差に応じてフォーカスを補正することが望ましい。例えばフォーカス原因の寸法ずれを、フォーカスも考慮して最適化された露光量を変化させることで補正しようとすると、デフォーカスの影響を悪化させて寸法バラツキが増加して歩留まりを低下させることになる。また、フォーカスが変化すると、寸法の露光量による変化の敏感度が変化してフィードバック制御の精度を劣化させることになる。このようにフォーカスの影響は、単に寸法を増減するのではなく、露光量の変化に対するパターン寸法の変化を敏感にし、寸法バラツキを大きくするため、極めて重要な要素であり、フォーカスを一定とみなすことは品質を劣化させるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、半導体集積回路装置の歩留まりを向上させることのできる技術を提供することにある。
【0006】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
すなわち、本発明は、装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群、前記装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2パラメータ群および前記装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、前記第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、前記装置の処理結果から前記第2のパラメータ群の値を推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る前記第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価とを行い、前記第2の評価関数によって、前記装置の処理条件として前記第2のパラメータ群の値を設定し、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて前記装置の処理条件最適化処理を行うことと、前記第1の評価関数から第2のパラメータ群の推定ができるように第2のパラメータ群の調整を行う工程を有する第1の方法と、前記第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、前記第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、前記第1のモデルを用いて、前記第1の評価関数を用いて、前記第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、前記第2のモデルを用いて第1のパラメータ群の一部または全ての値を推定して前記装置の補正を行う第2の方法とを有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明を詳細に説明する前に、本願における用語の意味を説明すると次の通りである。
【0010】
1.ウエハとは、半導体集積回路の製造に用いるシリコン単結晶基板(半導体ウエハまたは半導体集積回路ウエハ;一般にほぼ平面円形状)、サファイア基板、ガラス基板その他の絶縁、反絶縁または半導体基板等並びにそれらの複合的基板を言う。
【0011】
2.デバイス面とは、ウエハの主面であってその面にフォトリソグラフィにより、複数のチップ領域に対応するデバイスパターンが形成される面を言う。
【0012】
3.マスク:パターン原画が描かれた基板の総称で、パターンの原寸法の数倍のパターンが形成されるレチクルを含む。可視、紫外光等を用いた露光装置に用いられる。マスクには、通常のマスク、位相シフトマスクおよびレジストマスクがある。
【0013】
4.露光量、フォーカスという用語は、以下に説明する慣用で用いられている。
【0014】
まず、一般に露光装置を用いたリソグラフィ工程では、レチクルと称する回路パターンの原版を照明して投影レンズでウエハに回路パターンを結像して、感光材料にパターン像を転写する。ここで、感光材料にパターン像を投影して転写する際に、光のエネルギーが感光材料に与えられるが、このエネルギーの量を加減すると転写されるパターンの寸法が変化する。このことを露光量による寸法の制御という。次に、ウエハに、レチクルのパターンを投影している状態では、レチクルの像が最も鮮鋭になる、レチクル面と平行な面があり、これを最良像面と呼ぶ。ここで、ウエハの表面をその最良像面に正確に合わせると、すなわち、正しく焦点合わせされるとウエハに最も鮮鋭なパターンが形成される。このような位置に焦点合わせされるようにウエハの位置が合わせられている状態をベストフォーカスと言う。このベストフォーカスとなるウエハの位置をレチクル面と垂直方向にずらすと、すなわち、ウエハの高さを変えると、ウエハ面と重なる空間像の鮮鋭度は低くなり、すなわち、コントラストが低下する。このため転写される像の寸法も変化する。このように最良像面とウエハの高さとの相対関係、あるいはベストフォーカスを基準とした相対距離が変化すると、パターンの寸法が変化する。このことをフォーカスによる寸法の制御という。フォーカスとは、上記の最良像面とウエハの高さとの相対関係が一定になるように設定する時の、その設定される量を一般に言う。フォーカスは、例えばパターン形状に応じて異なる、ということが言われる。これは、パターンの形状が異なると光学系に誤差が生じるためである。このように基本的には最良像面とウエハ面とを一致させるために設定される量をフォーカスと考えるが、この設定されるべき量が諸条件により異なることを、フォーカスが変化するなどと表現する。
【0015】
5.半導体の分野では紫外線は以下のように分類する。波長が400nm程度未満で、50nm程度以上を紫外線、300nm以上を近紫外線、300nm未満、200nm以上を遠紫外線、200nm未満を真空紫外線という。なお、本願の主な実施の形態は、250nm未満、200nm以上のKrFエキシマレーザによる遠紫外域でも可能であることは言うまでもない。また、100nm未満、50nm以上の紫外線の短波長端領域及び400nm程度から500nm程度の可視短波長短領域でも本発明の原理を適用することは同様に可能である。
【0016】
6.「遮光(遮光領域、遮光膜、遮光パターン等)」と言うときは、その領域に照射される露光光のうち、40%未満を透過させる光学特性を有することを示す。一般に数%から30%未満のものが使われる。特に従来のクロムマスクの代替として使用されるバイナリマスク(またはバイナリ遮光パターン)では、その遮光領域の透過率がほぼ0、すなわち、1%未満、望ましくは0.5%未満、更に実際的には0.1%未満である。一方、「透明(透明膜、透明領域)」と言うときは、その領域に照射される露光光のうち、60%以上を透過させる光学特性を有することを示す。透明領域の透過率は、ほぼ100%、すなわち、90%以上、望ましくは99%以上である。
【0017】
7.マスク遮光材料に関して「メタル」と言うときは、クロム、酸化クロム、その他の金属の同様な化合物を指し、広くは金属元素を含む単体、化合物、複合体等で遮光作用のあるものを含む。
【0018】
8.レジスト膜とは、一般に有機溶剤、ベース樹脂および感光剤を主成分とし、その他の成分も加わって構成されている。紫外線または電子線等のような露光光により感光剤は、光化学反応を起こし、その光化学反応による生成物が、あるいはその光化学反応による生成物が触媒となる反応により、ベース樹脂の現像液への溶解速度を大きく変化させ、露光および露光後に行われる現像処理によりパターンを形成するものを言う。露光部でのベース樹脂の現像液への溶解速度が小から大に変化するものをポジ型のレジストといい、露光部でのベース樹脂の現像液への溶解速度が大から小に変化するものをネガ型のレジストという。一般的なレジスト膜では、主成分中に無機材料は含まれないが、例外としてSiを含有するレジスト膜もこのレジスト膜に含まれるものとする。一般的なレジスト膜と感光性SOG(Spin On Glass)との違いは、感光性SOGでは、主成分中にSi−OやSi−N等が含まれ、この部分が無機材料である点である。感光性SOGの主骨格は、SiO2である。有機か無機かの違いは、終端部分にCH3等が結合しているか否で決まる。一般に有機で終端させた方が安定であり、広く使われているが、感光性SOGの主要部とは関係無く、有機または無機のいずれでも可能である。
【0019】
9.半導体集積回路装置というときは、シリコンウエハやサファイア基板等のような半導体または絶縁体基板上に作られるものだけでなく、特に、そうでない旨明示された場合を除き、TFT(Thin−Film−Transistor)およびSTN(Super−Twisted−Nematic)液晶等のようなガラス等のような他の絶縁基板上に作られるもの等も含むものとする。
【0020】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、本実施の形態では、電界効果トランジスタを代表するMIS・FET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、pチャネル型のMIS・FETをpMISと略し、nチャネル型のMIS・FETをnMISと略す。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明者の検討によれば、リソグラフィ工程においてフィードバック制御で補正するのは露光量のみで、フォーカスは別の手段で計測して安定化することを前提としている。しかし、フォーカスの変動は、不定期に起こる可能性があり、定期的な点検では抑えきれない場合がある。また、一般に製品着工の条件と、フォーカスのモニタリングとは別の手段であるため、製品の異常と関連がつかない場合もあるため、製品の寸法誤差に応じてフォーカスを補正することが望ましい。特に、フォーカスずれが原因である寸法ずれを露光量で補正することの問題を図1に示す。露光量は、フォーカスも考慮した最適化で設定された露光量から変化させると、デフォーカスの影響を劣化させて寸法バラツキが増加して歩留まりを低下させることになる。また、図2に示すように、フォーカスが変化すると、寸法の露光量による変化の敏感度が変化してフィードバック制御の精度も劣化させることになる。これまで製品の寸法から露光量とフォーカスとの両方を同時に制御する方式は提案されていない。これは、一般的な統計的手法である応答曲面法(RSM:Response Surface Method)と実験計画法とを駆使した高度なプロセス制御を行うシステムでも同じである。このシステムは、前記DOE/Optに見られるものである。本実施の形態でも、上記RSM手法を採用するので、前記DOE/Optとの違いを説明する。まず、前記DOE/Optの問題点について説明する。DOE/Optは、下記のサブシステムから構成される。
【0022】
(1)Block/RSM Manipulation:複数のRSMを集合として操作するメカニズム、(2)DOE:実験計画法の設計をサポート、(3)RSM:実験計画法に基づいた収集データからRSMを計算する、(4)Opt:RSMの出力の複数変数を用いた評価関数を定義し、入力変数の最適化演算を行う、(5)Analysis:その他の補助的な解析ルーチン一般、(6)Extension Language:1〜5の上位サブユニットで、プロセス制御などアプリケーションのロジックを記述したもので、言語は高水準言語であるTclを用い拡張性を考慮している、(7)User Interface:(2)の上位にあってGUIを記述する。
【0023】
上記によるアプリケーション例として、プロセス/デバイス最適化、シミュレータチューニング、プロセスコントロールレシピ生成、生産容易化設計が記載されている。この中で本実施の形態と関連のあるプロセスコントロールレシピ生成については以下の通りである。対象は窒化シリコン膜を成膜するためのCVD(Chemical Vapor Deposition)装置の反応条件の最適な初期設定と、その後に発生する変動に適用的に対応する制御である。このように、この例で明らかなように、この公知例では、入力条件を変化させて最適な入力条件の組合せを求める最適化処理のフェーズと、その際に求めたRSMを用いて出力を目標値に近づけるよう入力を変化させる操作を行う制御フェーズとを分離している。このため、制御フェーズにおいて、ターゲットと実際の出力との差のみからでは一意に変化方向の定まらないフォーカスのような物理量を操作することが困難となっている。この点についてまず、上記DOE/Optの文献で採り上げられているCVD装置の例を説明し、解決課題について説明する。
【0024】
CVD装置のモデル構築では、入力はガス流量(N2、SH4、NH3)、圧力、高周波(RF)出力、電極間隔が設定され、出力は目標変数としてデポレート、応力、屈折率が、制約条件として不均一性が指定されてデータ取得が行われ、各出力についてRSMが計算される。次に、各出力変数に対し目標関数が定義される。これは出力の目標値と、仮に設定される入力条件から求まる出力の予測値の差分の二乗を重み係数を付加して線形結合した関数である。予測は各出力のRSMを用いる。目標関数を最小とする入力条件の組み合わせが最適な初期設定としてレシピに設定される。この最適な設定近傍からのシフトはRSMの動作点近傍のグラディエントから調整できる。また、この傾斜に基づく制御では、例えば補正の応答を調べて傾斜を修正することなどが行われる。
【0025】
この技術の特徴は、このような最適化と制御の関係で、最適化、すなわち、最適な条件を初期設定する際には、入力変数との関係で応答を調べ、複数の入力について最適な状態を求めるが、制御に当たっては、まず、測定された出力から次の出力を予測し、その予測された出力の偏差を補正するために入力と出力との間の相関関係を用いるもので、そのために、リソグラフィの場合、単調な相関のある露光量と出力である寸法の関係のみ用い、フォーカスについては一定とみなすことになっている。しかし、先に説明したように、フォーカスの変化の影響は、寸法を単に増減するのではなく、露光量の変化に対する寸法の変化を敏感にしてバラツキを大きくするなど、極めて重要なため、このような仮定をすることは品質を劣化させるおそれがある。
【0026】
そこで、本実施の形態においては、例えば次のようにする。第1の手段は、装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群と、装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2のパラメータ群と、装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、装置の処理結果から第2のパラメータ群の値の推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価とを行い、第2の評価関数によって、装置の処理条件として第2のパラメータ群の値を設定し、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて装置の処理条件最適化処理を行うことと、第1の評価関数から第2のパラメータ群の推定ができるように第2のパラメータ群の調整を行う工程を有する第1の方法と、前記第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、第1のモデルを用いて、第1の評価関数を用いて、第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、第2のモデルを用いて第のパラメータ群の一部または全ての値を推定して装置の補正を行う第2の方法とを有するものである。
【0027】
また、第2の手段は、装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群と、装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2のパラメータ群と、装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、この第2のパラメータ群と第3のパラメータ群との応答を表す第1のモデルの組み合わせは、複数の異なる条件による複数の組み合わせであることを特徴とし、これら複数の組み合わせを用いて、装置の処理結果から第2のパラメータ群の値を推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価を行い、第2の評価関数によって、装置の処理条件として第2のパラメータ群の値の設定を行い、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて装置の処理条件最適化処理を行うことと、第1の評価関数から第2のパラメータ群の推定ができるように第2のパラメータ群の調整を行うことを特徴とする第1の方法と、第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、前記複数の組み合わせに対し、第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、第1のモデルを用いて、第1の評価関数により、第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、第2のモデルを用いて第1のパラメータ群の一部または全ての値を推定して装置の補正を行う第2の方法とを有するものである。
【0028】
また、第3の手段は、上記第1または第2の手段において、前記第1の方法で、既に推定用評価関数が調整済みの入力を用いることで、評価関数の調整を省略するものである。
【0029】
また、第4の手段は、上記第3の手段において、評価関数の調整の省略可能なように複数のパターンを組み合わせたパターンを用いるものである。
【0030】
また、第5の手段は、上記第4の手段において、予め用意されているパターンに対して実際の計測された出力ではなく、シミュレーションを用いるものである。
【0031】
さらに、第6の手段は、上記第2の手段において、第1のパラメータ群は露光量とフォーカスとの設定に係るパラメータ群であり、第2のパラメータ群は露光量とフォーカスとの実効的入力値であり、第3のパラメータ群は特定のパターンの単一の寸法であり、第1のモデルとは露光量とフォーカスとを変化させて露光した時の寸法の変化に関するモデルであり、複数の組み合わせとは、異なる形状や配置のパターン毎の組み合わせであるものであり、第2の方法による第2のパラメータ群の推定は、この複数のパターンに共通する第2のパラメータ群である露光量とフォーカスとを設定して、このパターン毎に各々の寸法についてこの露光量とフォーカスとから予測される寸法と実測値との一致度を評価する第1の評価関数を用い、複数の組み合わせに対し最も一致度の高い露光量とフォーカスとを実際の露光時の実効的入力値として推定するものである。
【0032】
図3および図4に一般的な方式に関する説明図を示す。図3は第1の方法である最適化フェーズの方法で、図4は第2の方法である制御実行フェーズの方法である。符号Cは制御で操作する入力値である。第1の方法の処理の流れは、設定入力、実効的入力、出力(出力の計測)、応答モデル(応答モデルの作成と評価)、最適化評価関数・実効的入力推定用評価関数、最適化実効的入力、最適化設定入力の順に、データの設定や計算が行われる。ここで本発明者が検討した技術と異なるのは、本実施の形態では、最適化評価関数の計算と同時に、実効的入力推定用評価関数の計算と評価を行い、推定可否または精度が不十分な場合に、入力の追加または変更が行われることを特徴としていることである。推定用評価関数の評価とは、例えば上記第2の手段で操作入力をx1,x2、異なる影響をもたらす入力xa,xbとし、複数の組み合わせとしてxaに関する応答モデルfa(x1,x2),xbに関してfb(x1,x2)とした時、xaに関する実際の出力をLa,xbに関してLbとして、V(x1、x2)=[La−fa(x1,x2)]**2+[Lb−fb(x1,x2)]**2という評価関数を調べることで、例えばx1=X1,x2=X2という仮の入力を設定した時の応答をLa=fa(X1,X2),Lb=fb(X1,X2)として上記評価関数を指定された範囲で、x1,x2を変化させて計算し、V(x1,x2)の最小値を与えるx1,x2の組み合わせを推定するのであるが、その最小値が確かといえるには与えられた範囲内に近い値の極小値がないことが必要である。このような応答が得られるように入力の組み合わせを追加(fc(x1,x2)を与えるxcなる入力を追加する)または変更(xbに代えてxcを評価する)を行うことである。このようにx1,x2の初期設定を最適化する際に、x1,x2を推定する評価関数を入力条件を設定する際に考慮することにより、第2の方法による制御実行時の実効的入力の推定の確かさが保証される。本実施の形態の主要な効果は、第2の方法で得られるが、第2の方法を有する実施の形態で明示的に第1の方法が存在する実施の形態もあり得る。例えば第1の方法での入力や評価関数は、予め上記の調整を行った固定的な組み合わせとして用意しておいて流用するものである。その一例を図5および図6に示す。図5は第1の方法である最適化フェーズの方法で、図6は第2の方法である制御実行フェーズの方法である。この実施の形態は、次に説明する寸法測定値から実効的露光量と実効的フォーカスとを推定するもので、予め異なる影響を与えるパターンを組み合わせておいて配置する。例えば孤立パターンと周期パターンとを組み合わせたTEG(Test Element Group)を用意しておくと多くの場合推定可能となる。この場合も原理的には図3および図4で説明した実施の形態と同じで、第1の方法は、流用可能な範囲で省略可能で、この場合は上記第3の手段の形態をとる。マスク上に配置される上記TEG領域の要部平面図の一例を図7に示す。このパターンでは、露光装置の光学系で投影される場合、孤立部1aと繰返し部1b、ヌキ部1cとノコシ部1dの条件の組み合わせで回折光の分布が異なるため、後に説明するように収差の影響が異なってフォーカスや露光量の影響が変化する組み合わせとなる。このようなTEGを用いて本実施の形態を実行する方法は、上記第4の手段に相当する。この場合、予め測定された収差に基づいてシミュレーションにより応答モデルが作成可能である。シミュレーションによる方法は、TEGだけでなく、ある限られた範囲では実際のデバイスパターンでも予測可能であり、本実施の形態はこのようにシミュレーションを用いて実行することができる。
【0033】
本実施の形態では、パターンの寸法誤差の要因と考えられてきた、露光装置の収差、デバイスの標高差、レジスト膜の感度や反射率の変動等のような条件によってベストフォーカスの位置が異なる現象に着目して制御することを検討した。デバイス領域内のパターンは、後述の様々な要因で最適なフォーカス位置が異なる。本実施の形態では、特定の露光装置で安定なベストフォーカス位置が、ランダムな現象ではなく、パターンの形状と配置に応じて異なることを利用している。ベストフォーカス位置については図8および図9に応答曲面のモデルを示す。このようにを図8および図9に示す。図8は単独のモデルを示している。また、図9は2つのパターンの応答モデルであって、ベストフォーカス位置が異なるパターンの応答モデルを示している。また、図10および図11は、本実施の形態の原理の特にフォーカスの変動の推定を示している。この場合、露光量はベスト露光量のままであって、フォーカスのみ変化した応答モデルを用い、実測された寸法から実効的フォーカス推定用評価関数を計算し、その最小値、すなわち、一致度の高いフォーカス条件が求まることを示したものである。次に、図12は、露光量、フォーカスとも変化する場合まで考慮した場合の評価関数を示す。先に一般的な方式説明で例示した評価関数が適用可能である。この評価関数は、後述する要因系の拡大に対応して関数としては色々な関数が考えられるが、ここで説明した差分の二乗和を用いる方法は、本実施の形態の基本を説明するのに十分考えられる。
【0034】
次に、露光量とフォーカスとの影響を変化させる要因について説明する。転写するパターンの形状と配置とによりベストフォーカスが変化するのは、まず、露光装置の光学系の収差の影響がパターンの形状と配置とにより変化するからである。図13は、球面収差により、孤立パターン(図13の右)と、繰返しパターン(図13の左)とでベストフォーカスが変化していることを示している。符号Mはマスクを、LEはレンズを、F1,F2はフォーカス位置をそれぞれ示している。図14は、互いに直交する方向のパターン間で非点収差によりベストフォーカスに差が生じていることを示している。符号F3,F4はフォーカス位置を示している。図15は、像面湾曲により異なる像高に配置されたパターンでベストフォーカスに差が生じていることを示している。符号F5,F6はフォーカス位置を示している。これらは典型例であるが、パターンの微細化とそれに応じた光学系の高開口数(NA:Numerical Aperture)化で、ランダムあるいは高次成分と呼ばれる成分の影響も顕著になっており、様々なパターン形状に応じてフォーカス差が発生するようになっている。図16は、デバイスパターン、すなわち、ウエハ表面の凹凸によるフォーカス差の一例を示している。このような影響が着工時のフォーカス合わせ精度というランダムな成分の中で比較的安定して発生している。このため、同じパターン形状など、同一条件の測定を複数点測定して平均化することで、パターン間の寸法差が求まり、そこから実効的フォーカスと実効的露光量との推定が可能となる。
【0035】
以上のリソグラフィ工程における寸法制御において、寸法測定結果から実効的露光量と実効的フォーカスとを推定して制御を行うことの新規性は明らかであると考えられるが、本実施の形態はリソグラフィ工程に限らず、一般的なプロセス制御についての原理的提案であり、この点について本実施の形態と本発明者が検討した技術(発明者検討技術ともいう)とを比較して説明する。
【0036】
システム原理の点で、本実施の形態と発明者検討技術との差異を明確にするために、しっかりとした自動システム化が行われて、構成的に類似しているように見える前記Bonningの文献にあるDOE/Optとの原理的および構成的な差異を明確にし、また、その適用範囲や他の性能の違いについて説明する。
【0037】
発明者検討技術で用いられる最適化処理は初期設定に用いられるもので、普遍的に用いられている方法で、本実施の形態との関連では、制御の前段階として当然使われるべきものである。本実施の形態は、制御フェーズについて主な特徴があり、これは上記文献のRSMの傾斜を用いたフィードバックを行う方式では、複雑な変動現象の集積であるLSI生産プロセスでは対応できないと考え、特に露光工程におけるフォーカスと露光量とによる寸法の制御では、2変数ではあるが、ある寸法値を与えるフォーカスと露光量の条件は複数ありうるために困難な課題となっており、これに着目して半導体プロセスの制御に適した新規な制御モデルを考案したものである。
【0038】
上記発明者検討技術を典型とする最近の半導体生産プロセスの制御との差異を明確にした本実施の形態の特徴を以下に述べる。まず、本発明者は、出力である検査データをRSMの傾斜を利用して入力値を操作する考え方の簡便な曖昧さに着目した。本発明者は、フィードバックによる安定化の効果は疑いないが、これはブラックボックス的な考え方であって、RSMを用いていてもそれは出力偏差と入力補正量の換算テーブルにすぎないのではと考えた。また、これまでの経験から適切さを欠いた入力値の補正がプロセスのマージンを低下させ歩留まり低下に到るのを如何に防止すべきかを検討した。
【0039】
まず、顕著なのは発明者検討技術における入力の意味についての曖昧さである。入力の値は機器の差や装置のソフトのしくみによって変化してしまう。これまでは、これが装置間で一定になるよう管理すべきとして制御システムの外に投げていたのが実状であろう。これはフォーカスは一定と考えられるよう別の手段で計測しようとしている現在の動向も含まれる。しかし、別の手段であれば、また、その間のキャリブレーションが発生し、徐々に安定な量としていけるとしても、今後いっそう厳しい精度が要求されたり、新しい方式の装置が導入されたりすると延々と別の手段に依存していくことになる。また、この曖昧さは、入力値の変動原因の性格が異なる場合や、影響の仕方、変動の原因など分析的な制御ルールが必要となる場合にも問題があると考えた。露光量に関しては、露光装置の露光量の一定化制御は相当程度安定であり、変動は主に下地の反射率やレジスト感度などは装置ではなくプロセス要因によることが多い。一方、フォーカスの変動は品種や工程が同一であれば、主に露光装置の変動が主である。付随して言えば、このために、フォーカスは装置自体で安定化すべきというパラダイムが強固であって、それは間違いなく正しいものの、本実施の形態の寸法データによりフォーカスを制御するシステムの発想の新規性につながっている。
【0040】
ここから本発明者は、入力の意味を装置に設定される値である入力設定値と、出力に影響を与える実効的入力値の2段階に分けて考え、モデルは出力と実効的入力値との関係を記述するものであって、制御にあっては、まず、出力から実効的入力値を推定し、次に実効的入力値を与える入力設定値を推定するという2段階の推定モデルを有するべきであると考えた。発明者検討技術との関係で言えば、最初の最適化フェーズにおいては短時間で制御された実験で行われるので、入力設定値と実行入力値とは一致しており、制御実行時の出力のシフトは実効的入力値と設定入力値とに乖離が生じ変動していると捉えることができる。この2段階の推定モデルによる制御は、単なる見方を変えただけではなく、強力な制御システムを構築する新規な能力を有することが後の実施の形態で示される。実効的入力値の変化とは、制御されていない処理条件や材料や装置の経時変化など多様な要因の中の特定要因の変化による処理プロセスそのものの出力への影響関係の変化であって入力という表現は適当でないかもしれないが、処理プロセスの入力は、ここで言う設定入力に限定されず、上記多様な要因を含むものである。これらは、例えば付加的なセンサによれば、制御できない場合も入力として見なしうるものとすることもできるものもある。このように本発明者は実効的入力値と設定入力値との関係は柔軟に考え、いわば、実効的入力値は、上記多様な影響因子そのものという範囲まで拡張した考え方を持っており、実施の形態も後に示される。このような考え方を有するものであるが、寸法制御において、この2段階をそれぞれ、露光量とフォーカスとして同じに設定することも、後述する新規な制御アルゴリズムにより、非常に有効である。
【0041】
次に、発明者検討技術の最適化と制御の関係との意味について考察した。この最適化方法は、特に複数の出力変数の間にトレードオフがある実際のプロセスでは必須の方式である。しかし、これは入力条件を変化させて出力を調べるという、いわゆる条件出しで使用されるもので、大域的な傾向を正確に把握した上で実行が可能であって、制御実行時に特定の出力の組み合わせが与えられた場合には、当初設定された入力値のRSMの傾斜を利用して制御性のある入力値を変化させて目標値に近づける操作をせざるを得ない。このため、その目標値に近づける経路は様々で、アドホックな制御モデルが試行されている。この中には、操作の結果に基づいてモデルの修正も行うアダプティブな方式も使われている。しかし、出力の変化が大きい場合は制御の信頼性に問題が生じるのは明らかであり、現実には制御可能限界を経験的に付加して運用して、不適切な制御による歩留まり低下の発生を防いでいる。本発明者は、このような技術的状況を検討して、発明者検討技術の問題点を次のように把握した。まず、発明者検討技術の最適化は、出力のトレードオフを解決するための目標関数の最適化であって、RSMで表現された大域的な傾向の中に現れる特徴は、統計的に平均化されるため、間接的に影響を与えるか、無視されていることである。また、制御においては、動作点近傍の傾向しか使われないことである。この2点は問題点というよりもプロセスの最適化制御の一般的な方法とも言えるが、本実施の形態の詳細な説明に従って比較した場合に、本発明者は制御対象の挙動の特徴を制御に用いることを阻む問題点として把握している。
【0042】
この最適化および制御の関係について、本発明者は先に述べた入力の2段階モデル、すなわち、設定入力および実効的入力に基づいて新規な提案を行っている。まず、最適化による初期設定のフェーズが存在するのは上記発明者検討技術と同じである。しかし、この最適化フェーズにおいては、制御時に用いるRSMあるいは出力パラメータよりも多くの出力を設定すべきであると考えられる。初期条件の設定時では、通常の検査に含まれない品質要因よりも多くの品質要因に対して評価を行うことは普通に行われている。また、RSMで表現できない、すなわち、定量化困難な品質要因についても考慮すべきである。例えば寸法制御においては、通常検査では行わないパターン角部の曲率などの測定を行ったり、レジスト表面の膜減りやスカムの発生限界のような点が考慮される。これらは柔軟な特徴を持つ本実施の形態の中で効果的にシステム化しうることが後に説明される。
【0043】
このように、比較的柔軟な選択基準に基づいて、出力パラメータおよび実効的入力パラメータの選別を進めるが、その際に、本実施の形態の特徴として、設定入力パラメータの影響を変化させる入力を実効的入力に加えること、あるいは、設定入力の影響が異なる出力のRSMを加えることである。これは上記発明者検討技術の最適化で、トレードオフを考慮した最適化を行うことが目的なのではなく、設定入力を補正する量を計算するために用いる実効的入力値を推定するために用いる。後述するが、CD(Critical Dimension)制御において、フォーカスの影響は、特定のパターンの寸法に対しては、ベストフォーカスの正負の両側で同一、すなわち、対称であって、例えば+0.1μmのデフォーカスにより、寸法が150nmから140nmに変化したとしても正負どちらかは判別できない。これは前記したフォーカス制御の問題そのものであるが、これに対し、別のパターンで同じデフォーカスでは145nmとなり、反対方向のデフォーカスでは変化しないという特性を持つパターンを選択するのである。これは、ベストフォーカスの位置が相対的に異なるパターンが存在するためである。このようなことが現実に起こりうることは、良く知られている。例えば光学系の収差によるもので、像面湾曲により、露光領域の位置によりベストフォーカス位置が変化する。また、球面収差はパターンの疎密差によりベストフォーカスが変化する。非点収差はパターンの方向により変化する等、単なる誤差要因と考えられていた上記特徴を実効的入力として、あるいはRSMの複数化として加えるのである。このような傾向は、最新の低収差の露光装置においても、その性能限界までに微細化したデバイスに適用されるため、常に顕現する現象である。また、ラフな工程では、レジスト膜厚が大きくデフォーカスの影響は非対称となるので、このような追加なしでも可能な場合もあるが、付加的に高密度の縞パターンを追加すれば良い。光学系収差以外にもデバイスパターンの下地の標高差によっても発生する。このように複数のパターンの寸法に対して露光量とフォーカスとを変化させた応答を測定してRSMを作成する。この他の品質因子も考慮して、この複数のパターン寸法のRSM上の動作点、すなわち、露光量とフォーカスとの初期設定が決定され、設定入力とされる。制御実行時において、寸法検査装置から収集した複数のパターンの寸法データを用い、これらが共通の露光量とフォーカスとで、かつ、それぞれのその露光量とフォーカスとでのRSM上値との一致度が良い露光量とフォーカスとを実効的入力値として求める。この実効的入力値と初期設定された動作点の露光量とフォーカスとを実効的入力値として求める。この実効的入力値と初期設定された動作点の露光量とフォーカスとの差が変動の結果生じたものである。このようして求まった実効的入力値は、SPC(Statistical Process Control:統計的品質制御)などの時系列処理を行ってフィルタリングや予測を行い、補正量を計算して設定入力値に変換される。
【0044】
以上、本実施の形態と上記発明者検討技術との技術的差は明らかである。前記した光学系の収差による寸法の変化は現実に寸法制御上発生している問題である。また、発明者検討技術で使用するRSMの傾斜も装置によって異なる。特にフォーカス設定によって大きく変化することから微細化に対応していくためには、本実施の形態のように現実に存在する誤差要因により入力に対する応答が異なる対象の複数のRSMを作成することは有効であると考えられる。
【0045】
次に、本実施の形態をさらに詳細に説明する。本発明者は、本実施の形態による寸法制御システムを開発する中で、時系列処理を行うフィードバック制御の適正な補正量を推定するAPC(Advanced Process Control)システムの性能を大きく向上させることを見出した。図17は本発明者が検討したAPCシステムの説明図であり、図18は本実施の形態のAPCシステムの説明図である。図17の技術では時系列解析の入力は寸法測定値であるのに対して、図18の本実施の形態では時系列解析処理の前に実効的入力の推定を行って入力する点が異なる。すなわち、本実施の形態では、初期設定の後に、設定露光量および設定フォーカスを制御対象に入力すると工程の変化があれば測定される寸法は変化し、その寸法変化から実効的入力を推定(実効的露光量および実効的フォーカスの推定)し、次に、時系列解析(実効的露光量および実効的フォーカスの変動予測)および補正値変換を行うという順に処理が進められる。寸法制御精度を大幅に改善できる理由を以下に説明する。まず、最適補正量を推定する精度を向上させる効果を説明するにあたり、簡単のために、設定入力値を一定として説明する。実効的入力として求まる露光量(Eact)とフォーカス(Fact)とが当初初期設定された際に最適化された露光量(Eopt)とフォーカス(Fopt)のそれぞれの差が、変動している露光量(ΔEact)とフォーカス(ΔFact)である。この変動量は、寸法測定しているパターンに対する依存性は寸法測定値そのものに比べ小さくなる。通常の寸法データを基に露光量で補正を行う方式では、この依存性はノイズとなるため、統計的な制御を行う際には同一品種ごとの層別を行って傾向を推定することを行っている。従って、品種が増えてくるに従い大量のデータを必要とすることになり、制御は短期的な変動に応答することができなくなっている。本実施の形態によれば、実効的フォーカスの変動は、ほぼ装置がフォーカスの原点としている条件の変動に対応し、実効的露光量は下地の反射率などの前処理の変動、塗布装置の状態の変化、レジスト材料の変化の要因系が考えられるが、これらの要因の変動パターンは個別に特定することが容易である。例えば下地の変動は前処理装置の層別で検知でき、塗布装置の状態は塗布装置のレシピの層別で検知でき、レジスト材料は当然レジスト系で層別できる。露光装置の露光量制御は、上記の要因系を考慮せずに、センサの感度やオフセットの変化に集約して、(品種や工程により変化する)実効的露光量と変動量との相関を求めることで検知できる。これらの要因系は短期間であれば同時に発生することは考え難く、このような明快な変動パターン識別による推定アルゴリズムの実装が容易になる。まず品種と工程で寸法測定データを分類することが必要な図17の発明者検討技術では、十分なデータ数をうるためには、データ収集期間が長期化してこのような変動原因を推定することが難度が高いことは明らかである。もちろん本実施の形態による実効的入力の変動パターンに品種・工程に依存するものもありうる。レチクルに依存する場合がそうで、例えば露光量やフォーカスの制御のキャリブレーションに用いるマークの異常が考えられるが、これもレチクルID(Identification Number)による分類で容易にその依存性が検出できる。レチクルの変動は考えられ難い要因であるが、露光装置の短波長化による部材の劣化による透過率の変化は無視できない要因になる可能性がある。このように、図17の発明者検討技術のようにあらかじめ品種と工程で分類してしまい、利用できるデータ数を少なくしてしまうことなく、実効的露光量の変動パターンを分類して推定できるため、制御精度を向上させることができる。
【0046】
次に、実際に連続的にフィードバック制御を行って、設定入力を変化させている場合に、上記の変動パターンの識別を行って最適な補正量を求めるためには、本実施の形態では、上記変動量、すなわち、ΔEact、ΔFactにそのウエハを着工した時の設定入力を加えるだけで良い。これは既に同一の単位に変換されているからである。これは、例えば合わせ精度のフィードバックで計測した誤差と補正量とを加えて、変動の評価・予測を行うのと同じである。しかし、寸法変動の予測値とターゲット値の差分を予め設定された変換係数を用いて露光量の変化量を求める図17の発明者検討技術では、露光量の設定入力の推移で変動を管理するか、設定入力で補正した結果残る寸法誤差の推移で変動を管理するかを別々に行っていて、それらの変化の関係を管理していない。これを統合して管理するには、本実施の形態の実効的入力値と同様に寸法誤差を変換して求めることが必要であるが、フォーカス変動という外乱要因がもともと考慮されていないため、敢えてそこまでやっていないといえる。また、露光量と寸法の変換係数に基づく算出は、寸法誤差が小さい、すなわち、プロセスが安定している時のみ有効な方法であることも理由と考える。本発明者がこの変動の予測精度を重視するのは、制御精度が向上するという理由だけではなく、APCの将来方向にとっても重要だからである。現在導入が進んでいるAPCはフィードバック制御だけでなく、フィードフォワード制御を含むもので、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程において研磨前の膜厚を測定して、その膜厚の変化分に応じて、研磨時間を調整して研磨結果である残膜厚を一定化しようというものである。寸法制御においても同様な考え方は過去多く試みられている。レジストのABCパターメータと呼ばれる感度に関連した計測や、レジスト膜厚、下地反射率、デバイスの標高差など多岐に渡って、かつ、評価される結果がそれらと異なる寸法という点が、前後の膜厚差を研磨時間で調整するため、その変化の割合(単位時間の研磨量)を用いて補正するというCMPと異なり、複雑な変換関係を扱わねばならないことが寸法制御でフィードフォワードの導入での課題である。もちろん単純に考えて、反射率の変化と寸法の応答の実験に基づいてオープンループ的に補正をかける方法もそれなりの効果は見込めるが、CMPで示したRun to Run Controlのように、補正誤差を補正量の変換ルールにフィードバックをかける仕組みが無ければ、高精度化は期待できず、また、他の要因による誤差によって変換ルールを補正することができなければ安定した制御は期待できない。本実施の形態は、反射率による実効的露光量の変化とその補正精度を検証する手段を有しているため、図19の実施の形態に示すように、今後のフィードフォワード制御を含むリソグラフィ工程のAPCの実現に有効である。すなわち、図19に示す実施の形態では、前工程からのフィードフォワード情報として、例えば対象ウエハの反射率等を、SEMでの寸法検査時の実効的入力推定(実効的露光量および実効的フォーカスの推定)時に用いることで、その実効的入力に対する影響を考慮して実効的入力推定を行うことができ、また、次に着工する時には、例えば前工程からのフィードフォワード情報として次の対象ウエハの反射率等を露光装置着工時の補正値変換時に伝え、その影響を補正することができる。
【0047】
このようなフィードフォワード制御で考慮される要因のように、本実施の形態は直接操作可能な入力のみでなく、品質に影響を与える様々な要因について考慮されている。図20は、プロセス制御に影響を与える様々な誤差要因について、適切な計測により制御できるように考慮に入れることで高精度化が可能な要因の分類を示している。ここでは、その要因として前工程の処理による影響、材料による影響、着工時の環境要因、補正のない装置固有誤差、連続運転時の劣化など着工条件依存で発生する誤差や変動、補正可能な実効的入力等が例示されている。補正可能な実効的入力以外の要因は、誤差要因であって、応答モデルを用いた影響の推定あるいは実効的入力の推定の補正を行う方法がない場合、精度を劣化させる。しかし、図20で出力の項目に示したように、これらの要因は計測可能なものが多く、実験的あるいはシミュレーションによって応答モデルは構築可能である。この要因系の拡張について、実施の形態として寸法制御における、同期精度およびマスク寸法精度について説明する。
【0048】
要因系の拡張の実施の形態である寸法制御における同期精度の考慮について図21で説明する。同期精度というのは、レチクルとウエハとを対向方向に走査して同一パターンが走査されながら露光されている間、光学系の共役位置に正確に維持されるようにして露光するスキャナという方式で、速度むらにより共役位置からのずれが発生すると転写された像にシフトまたはぼけが生じる効果を言う。同期精度で生じるぼけは露光期間中に位置関係がばらつくために生じる効果で、デフォーカスに類似しており、正確に制御する必要がある。もし、同期精度のバラツキ成分が変化する場合、すなわち、バラツキの標準偏差の大きさが変化する場合、実効的フォーカスの推定精度に影響する。しかし、同期精度はレーザ干渉計で正確に測定でき、装置から測定値を収集することが可能な量であるため、本実施の形態によれば考慮することは容易である。簡単のため、前記TEGを用いる方法で説明すると、応答モデルとして、露光量とフォーカスの設定を変化させて各組み合わせごとに同期精度を変化してTEGパターン転写を行う。同期精度のバラツキを変化させるには、レチクルの平均速度とウエハの平均速度とを少しずらして設定すると露光期間中に一様な相対速度でずれが発生して露光できるので、容易に応答モデルを作成できる。正規分布のようなバラツキと一様なバラツキの影響の関係が問題になるか確認する必要がある場合は、例えばウエハ全面に多数の露光を行って、その露光の際の同期精度を計測して、入力値として評価すれば良い。このような応答モデルを用い、実際の制御時に計測点の同期精度を露光装置から収集したデータにより求め、その同期精度で固定して、残りの実効的フォーカスと実効的露光量とを変化させて前記実効的入力推定用の評価関数を求めることで、正確な実効的フォーカスと実効的露光量を求めることができ、精度の良い制御が行われる。
【0049】
同様に実効的露光量に関連する拡張的な誤差要因にマスク寸法誤差が考えられる。マスク(レチクル)寸法誤差の影響を考慮する実施の形態として、先と同様にTEGを用い、多品種に共通してこのTEGに関する応答モデルを共有する場合を図22により説明する。レチクル上のTEGのパターン寸法は、品種が変わって、すなわち、レチクルが変わると、レチクル描画時の寸法誤差により変化する。応答モデルを多品種で共用している場合に、この誤差により、品種をまたがった連続的なフィードバック制御が困難になり、レチクルごとに条件出しが必要になって不便である。したがって、予め収差が一定と考えられる比較的狭い領域に、パターン寸法を変化させたTEGを有するテストレチクルを用いて、レチクル寸法と露光量およびフォーカスの応答モデルを作成するのである。この複数のTEGの組み合わせのセットはレチクル上に多数配置することができ、これらのモデルを予め作成しておくと、製品毎にTEGの配置された座標から近似的に一致する配置のTEGについての応答モデルを選択することができ、多品種にまたがってレチクル寸法誤差を含む応答モデルを用意することができる。制御実行時には、選択された応答モデルを用い、マスク寸法についてはマスク制作時に計測された寸法値に固定し、実効的露光量と実効的フォーカスとを変化させて計算した推定用評価関数から実効的露光量と実効的フォーカスとを求めるのである。
【0050】
本実施の形態では、発明者検討技術に比べて多くの応答モデルが必要になる。特に、前記したように、寸法制御に用いる場合は、寸法測定用SEMで測定するため、多数の応答モデルを作成することは困難と考えられてきた。前記したように、既に応答が分かっているTEGを用いれば簡略可能であるが、TEGを用いると実際のデバイスパターンの検査にTEGの検査が加わるというデメリットが生じる。しかし、本発明者は、多数の測定であってもSEMの測定を自動化することが可能であることから本実施の形態の応答モデルの作成が障害にはならないことを確認している。一般に多品種製品でも、品種間で共通のレイアウト(セルと呼ばれる)が使われることが多い。この共通のレイアウトを用いる場合、SEMの自動測定条件については画像を流用し、座標のみ与えれば自動測定が可能な装置が入手できるようになっている。座標あるいは画像もパターンレイアウト設計の工程で情報として抽出することが可能で、このようにしてSEMの自動測定を行う場合の情報の流れを図23に示す。図23は、設計から導出されるパターンに関する情報(DAデータ)と、ウエハ上にどのように条件を変化させて転写されているかという、いわば、実験計画に関する情報をもとに自動測定が可能であることを説明している。図24は、より高度な自動化の一例で、レシピビルダの入力段階で、パターンの配置情報と前記露光装置の光学系の収差データとから測定すべきパターンの選択を行って測定スケジュールを行うもので、例えば球面収差の大きい領域で、孤立パターンと繰り返しパターンとを選択するというように容易に実現できる。
【0051】
また、SEM検査の検査作業量を減らすためには、SEM検査を検査結果に応じて検査を追加することが有効である。寸法をフィードバック制御で補正する場合に推定精度が必要となるのは、寸法のずれが発生している場合であることに着目すると、例えば寸法のずれが微小な場合は、動作点近傍での傾向に従うため、補正誤差が生じる可能性は小さい。大きなずれが発生した場合、ランダムな誤差が加わる可能性もあって正確な推定が必要とされる。このように大きなずれを検出した場合に適応して測定を増加することはシステム的に容易である。このように図25(最適化フェーズ)および図26(制御実行フェーズ)に基づく実施の形態のように、計測した測定点の寸法誤差に応じて寸法測定の測定点増加と露光量とフォーカス推定のRSM数増加とを行うことで、寸法安定時のレスポンスを改善することができる。すなわち、ずれが小さいときは最小限の測定を行い、ずれが大きい時は推定精度を上げるために、予め応答モデルが用意された測定点を追加するという方法を行うことで、生産効率を落とすことなく本実施の形態を実施できる。
【0052】
図25および図26に基づく実施の形態で説明したように、計測した測定点の寸法誤差に応じて寸法測定の測定点増加と露光量とフォーカス推定のRSM数増加とを行うことにより、寸法安定時のレスポンスを改善することができるが、本来、不安定な時こそ本実施の形態は有効なので本発明者はこの課題についても解決策を得ている。図27、図28および図29は、その説明図である。図27はシステムの一例の説明図を示し、図28および図29はこのシステムを用いた処理の流れの説明図を示している。図27のシステムは、モデラ、APC、インラインコントローラ、測長SEMおよび露光装置を有している。微細化したLSIプロセスの寸法測定は測長SEMにより行われているが、この装置はオフライン装置であるため、普通着工から時間をおいて検査される。そのため、寸法測定のAPCでは、測長SEMの測定が終わった直後にそのデータを収集し、データベースに格納されて補正すべき露光量が計算される。そして、その補正は、さらに時間をおいて次のロットの到着時か、または前のロットの再生処理時に反映されることになる。このようにパラメータ演算と補正とのタイムラグがあることが、本実施の形態の可能性として、多くの計算を要する処理を可能としている。図28および図29の処理の流れに沿って説明すると、測長SEMの計測が終了すると、MESまたはAPCシステム測定データおよび着工装置や着工条件などの付帯データを収集して、RSM演算部にデータを送信する。RSM演算部の露光量およびフォーカスの補正量の計算が終了すると、その補正量はAPCシステムに送られて時系列処理や統計的プロセスコントロールの処理が行われる。ここで異常検知が行われて例えばフィードバック制御の続行は、リスクの増大が予測された場合、アラームなどにより装置のフォーカス合わせ機構などの状態やウエハ上の原因探索が行われて、トラブルシューティングやそれに応じたメンテナンスが行われる。例えばメンテナンスが行われた場合は工程状態が変化したとしてAPCシステムの今後の時系列処理では、メンテナンス以前のデータは計算のスコープから外される。このように、本実施の形態では、推定演算が制御の実行と時間的に分離されているために、計算量の増大は問題にならず、また、異常検出やメンテナンスなどに必要なデータを提供できる。また、これらを次のウエハが露光装置で着工されるまでにデータの整理がついて、再開することができるので、フィードバック制御で問題となるその信頼性を確保することができる。
【0053】
露光処理では、上記の方法によりデータ補正を行った露光装置により露光処理を施す。まず、マスクおよびウエハを露光装置にセッティングする。ウエハの主面には既にフォトレジスト膜が塗布されており、ウエハは、そのフォトレジスト膜の塗布面を上(露光装置の投影レンズ側)に向けて載置する。露光装置の露光条件は上記のようにデータ補正が行われている。続いて、縮小投影露光処理を施すことにより、マスクのパターンをウエハのフォトレジスト膜に転写する。続いて現像等の通常のリソグラフィ工程を経て、ウエハの主面上にレジストパターンを形成した後、例えばレジストパターンをエッチングマスクとしたエッチング処理やレジストパターンをイオン注入マスクとしたイオン注入処理等、目的とするプロセスを施し、半導体集積回路装置を製造する。図30は、本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法で製造された半導体集積回路装置の要部断面図の一例を示している。
【0054】
上記ウエハから切り出された半導体チップを構成する半導体基板(以下、単に基板という)8Sは、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型のシリコン(Si)単結晶からなり、その主面(デバイス面)には溝型の分離部9が選択的に形成されている。この溝型の分離部9は、基板8Sの主面に形成された溝内に、例えば酸化シリコン膜が埋め込まれることで形成されている。ここには、溝形の分離部(SGI(Shallow Groove Isolation)またはSTI(Shallow TrenchIsolation))が例示されているが、例えばLOCOS(Local Oxidization ofSilicon)法等によって酸化シリコン(SiO2等)膜からなる分離部を形成しても良い。また、基板8Sには、その主面から基板8Sの所定の深さに渡ってp型ウエルPWLおよびn型ウエルNWLが選択的に形成されている。p型ウエルPWLには、例えばホウ素が導入され、n型ウエルNWLには、例えばリンが導入されている。そして、このp型ウエルPWLおよびn型ウエルNWLの領域において上記分離部9に囲まれた活性領域には、nMISQnおよびpMISQpが形成されている。このnMISQnおよびpMISQpによりCMIS回路が形成されている。
【0055】
nMISQnおよびpMISQpのゲート絶縁膜10は、例えば厚さ6nm程度の酸化シリコン膜からなる。ここでいうゲート絶縁膜10の膜厚とは、二酸化シリコン換算膜厚であり、実際の膜厚と一致しない場合もある。ゲート絶縁膜10は、酸化シリコン膜に代えて酸窒化シリコン膜で構成しても良い。すなわち、ゲート絶縁膜10と基板8Sとの界面に窒素を偏析させる構造としても良い。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減したりする効果が高いので、ゲート絶縁膜10のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通し難いので、酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極材料中の不純物が基板8S側に拡散することに起因する、しきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するには、例えば基板8SをNO、NO2またはNH3といった含窒素ガス雰囲気中で熱処理すれば良い。
【0056】
nMISQnおよびpMISQpのゲート電極11は、例えば低抵抗多結晶シリコン膜上に、例えば窒化タングステン(WN)膜等のようなバリアメタル膜を介してタングステン(W)膜等のようなメタル膜を積層した構造を有する、いわゆるポリメタルゲート構造とされている。ただし、ゲート電極構造は、これに限定されるものではなく、例えば低抵抗多結晶シリコン膜の単体膜構造としても良し、例えば低抵抗多結晶シリコン膜上に、例えばチタンシリサイド(TiSix)膜またはコバルトシリサイド(CoSix)膜を積層した構造を有する、いわゆるポリサイド構造としても良い。このようなゲート電極11の側面には、例えば酸化シリコン膜からなるサイドウォール12が形成されている。また、ゲート電極11の上面には、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン(Si3N4等)膜等からなるキャップ膜13が形成されている。nMISQnおよびpMISQpのチャネルは、ゲート電極11の直下の基板8S部分に形成される。
【0057】
nMISQnのソースおよびドレイン用の半導体領域14は、n−型の半導体領域14aおよびn+型の半導体領域14bを有する、いわゆるLDD(LightlyDoped Drain)構造とされている。n−型の半導体領域14aおよびn+型の半導体領域14bには、共に、例えばリン(P)またはヒ素(As)が導入されているが、n−型の方がn+型よりも不純物濃度が低くされている。一方、pMISQpのソースおよびドレイン用の半導体領域15は、p−型の半導体領域15aおよびp+型の半導体領域15bを有する、いわゆるLDD構造とされている。p−型の半導体領域15aおよびp+型の半導体領域15bには、共に、例えばホウ素が導入されているが、p−型の方がp+型よりも不純物濃度が低くされている。
【0058】
このような基板8S上には、例えば3層の多層配線層が形成されている。多層配線層は、基板8S上に層間絶縁膜と配線層とが交互に積み重なって形成されている。第1〜第3の各配線層には、それぞれ第1〜第3層配線16L1〜16L3が形成されている。第1〜第3層配線16L1〜16L3は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム−シリコン−銅合金を主配線材料として形成されている。最下層の第1層配線16L1と基板1Sまたはゲート電極11とは、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールCNTを通じて電気的に接続されている。また、第1〜第3層配線16L1〜16L3間は、層間絶縁膜に形成されたスルーホールTHを通じて電気的に接続されている。最上の第3層配線16L3は、その表面の大半が表面保護膜17によって覆われているが、その表面保護膜17の一部が開口されて第3層配線16L3の一部が露出されている。この第3層配線16L3が表面保護膜17から露出される部分は、ボンディングワイヤまたはバンプ電極が接合される外部端子領域18である。なお、表面保護膜17は、基板8S側から順に保護膜17a〜17cが積層されてなる。最下層の護膜17aは例えば酸化シリコン膜等からなり、その上の保護膜17bは例えば窒化シリコン膜等からなり、最上層の保護膜17cは例えばポリイミド樹脂等からなる。
【0059】
以上のような本実施の形態の概要を図31に示す。本実施の形態は、リソグラフィにおける寸法制御に関する技術を主としている。その新しい考え方を実現するシステム構成は、他のプロセスおよび他の装置や工程・装置をまたがった制御を実現できるように工夫されたものである。寸法制御の目的は、微細化製品で安定した高精度の寸法制御を実現するものである。すなわち、フォーカス、露光量、マスクパターン形状および露光装置の機差(収差、他)等のような転写されるパターンの寸法への影響要因を考慮して、ベストフォーカスシフト等、露光条件の応答のパターン依存性を評価する。続いて、パターン差、装置の機差を含む応答モデルを作成する。続いて、複数の応答モデルを用いた露光条件の推定の可否、性能を評価する。続いて、評価結果が良くないときは、条件出し時に制御を考慮した最適化(パターンの選択等)を行う。評価結果が良いときは、フィードバック制御にデバイス寸法検査データを使用する。続いて、複数の実デバイス寸法の検査から各々の応答モデルを用いた着工時の露光条件を推定する。その後、着工時の露光条件の変動(解析、予測して)を補正する。
【0060】
本実施の形態では、第1に、寸法データの変動そのものからフォーカスと露光量との変動を推定してフィードバック制御する。発明者検討技術では、フォーカスを製品寸法から推定するのではなく、フォーカスは別に講じた管理方法で安定化し、露光量を調節して寸法を制御するものであるため、装置変動時に両者の整合性が確保されず、露光マージンやフォーカスマージンを劣化させるため、微細かで突発的な不良を発生させる恐れが強い。
【0061】
本実施の形態では、第2に、寸法変動のパターン依存性、装置精度依存性を補正原理に織り込み、上記誤差要因に対する制御精度を保証する。発明者検討技術では、上記誤差要因は制御モデルの誤差として、管理限界の設定や感度係数の微調という別カテゴリーの変数の調整を経験的に行う作業で補正していたが、これらの誤差が増大すると制御精度や品質の確保が保証されない。本実施の形態では、これらの静的な誤差が大きい程、制御精度が向上することができるように補正原理に織り込まれている。
【0062】
本実施の形態では、第3に、作業量の多い初期条件出しで、製品の寸法のフィードバック制御実行のモデルの作成と調整とができる一貫した枠組みを提供できる。発明者検討技術では、初期条件出しで、プロセスウィンドウの確認と確保を行い、定めた動作点を中心に寸法と制御量との相関を局所的に求めるものである。条件だし時点で制御精度を考慮して評価点の選択を行うしかけが無かったため、実質上条件出しの結果と制御モデルは無関係で精度が保証されるものではない。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば前記実施の形態においては、SEMを用いた寸法測定データを用いる場合について説明したが、その測定できるパターン形状は制限があるが、光を用いた寸法測定でも効果がある。図32は、その場合に用いるパターンの平面図の一例で、異なる周期のパターンP1,P2を対向させているもので、この寸法の相対的な変化量を測定して、露光量とフォーカスとに関連した量を計測することができる。単一の周期パターンを用いて光を用いた寸法測定を行った場合、フォーカスと露光量を同時に推定できないが、異なる周期のパターンP1,P2を用いること、及び縦方向と横方向を用いること、SEMを用いた寸法測定データで説明した原理を用いることで実効的フォーカスと実効的露光量とを推定することが可能である。
【0065】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるCMIS回路を有する半導体装置に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、例えばSRAM(Static Random Access Memory)またはフラッシュメモリ(EEPROM;Electric Erasable Programmable Read Only Memory)等のようなメモリ回路を有する半導体集積回路装置、マイクロプロセッサ等のような論理回路を有する半導体集積回路装置あるいは上記メモリ回路と論理回路とを同一半導体基板に設けている混載型の半導体集積回路装置等、種々の半導体集積回路装置の製造方法に適用できる。
【0066】
【発明の効果】
本願によって開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0067】
すなわち、本発明によれば、前記第1の方法と第2の方法とを有することにより、露光処理等のような所望の処理プロセスによって形成されるパターンの寸法精度を向上させることができるので、半導体集積回路装置の歩留まりを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォーカスずれが原因の寸法ずれを露光量で補正することの問題を説明するグラフ図である。
【図2】フォーカスの変化により寸法の露光量による変化の敏感度が変化することを示すグラフ図である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第1の方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第2の方法の説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第1の方法の説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第2の方法の説明図である。
【図7】本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法で用いるマスクのTEG領域の要部平面図である。
【図8】ベストフォーカス位置における応答曲面の説明図である。
【図9】ベストフォーカス位置における応答曲面の説明図である。
【図10】フォーカス変動の推定の説明図である。
【図11】フォーカス変動の推定の説明図である。
【図12】露光量およびフォーカスの両方ともが変化する場合まで考慮した場合の評価関数を示す説明図である。
【図13】孤立パターンと繰返しパターンとで球面収差によりベストフォーカスが変化していることを示す説明図である。
【図14】互いに直交する方向のパターン間で非点収差によりベストフォーカスに差が生じていることを示す説明図である。
【図15】像面湾曲により異なる像高に配置されたパターンでベストフォーカスに差が生じていることを示す説明図である。
【図16】ウエハ表面の凹凸によるフォーカス差の一例を示す説明図である。
【図17】本発明者が検討したAPCシステムの説明図である。
【図18】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法に用いるAPCシステムの説明図である。
【図19】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の説明図である。
【図20】露光工程において高精度化が可能な要因の分類の説明図である。
【図21】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の寸法制御における同期精度の考慮についての説明図である。
【図22】図21の変形例の半導体集積回路装置の製造方法であって多品種に共通してTEGに関する応答モデルを共有する場合の説明図である。
【図23】SEMの自動測定を行う場合の情報の流れの説明図である。
【図24】図24のSEMの自動測定を高度化した場合の情報の流れの説明図である。
【図25】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第1の方法の説明図である。
【図26】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第2の方法の説明図である。
【図27】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法で用いるシステムの説明図である。
【図28】図27のシステムを用いた処理の流れの説明図である。
【図29】図27のシステムを用いた処理の流れの説明図である。
【図30】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法で製造された半導体集積回路装置の一例の要部断面図である。
【図31】本発明の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の概要の説明図である。
【図32】本発明の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法において光を用いた寸法測定で用いる異なる周期のパターンの一例の平面図である。
【符号の説明】
1a 孤立部
1b 繰返し部
1c ヌキ部
1d ノコシ部
8S 半導体基板
9 分離部
10 ゲート絶縁膜
11 ゲート電極
12 サイドウォール
13 キャップ膜
14 半導体領域
14a n−型の半導体領域
14b n+型の半導体領域
15 半導体領域
15a p−型の半導体領域
15b p+型の半導体領域
16L1 第1層配線
16L2 第2層配線
16L3 第3層配線
17 表面保護膜
17a〜17c 保護膜
18 外部端子領域
M マスク
LE レンズ
F1〜F6 フォーカス位置
Qp pチャネル型のMIS・FET
Qn nチャネル型のMIS・FET
P1,P2 パターン
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置の製造技術に関し、特に、半導体集積回路装置の製造工程におけるフォトリソグラフィ(以下、単にリソグラフィという)技術に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSI(Large Scale Integrated circuit)等のような半導体集積回路装置の製造においては、微細パターンをウエハ上に形成する方法として、リソグラフィ技術が用いられている。このリソグラフィ技術では、如何にして効率良く短い時間で、しかも高い品質で半導体集積回路装置を製造するか、という課題がある。このリソグラフィ技術の品質では、露光装置でレチクルと称する集積回路のパターンの原版をウエハ上に転写する際のパターンの転写精度が重要で、パターンの寸法と位置とを正確に形成しなければならない。このパターン寸法の精度は、露光装置の露光条件、すなわち、露光量とフォーカス(焦点合わせ位置)を正確に調整しなければならない。これについては、例えば特開平11−288879号公報に記載がある。この公報には、露光装置で最適な露光条件、すなわち、露光量とフォーカスとを変化させて露光した条件出しウエハの寸法、パターンの写真を一覧可視化して良否判定することで最適な条件を求めることが記載されている。この作業は、SEM(Scanning Electron Microscope)で多くのパターンを測定して行うもので時間と工数を必要とするため、初期の設定を最適化する際に用いられるもので、長期に実際の生産するなかで発生する様々な変動要因に対し、その都度最適な調整を行うのに用いることは製造時間の増大や作業の繁雑さ等を招き不向きである。このような調整を如何にして効率良く短時間で行うかは困難な課題であって、露光量による寸法の変化のみに着目して変動補正し、フォーカスは別の装置管理のための特殊パターンを用いた計測で、常に正しく補正されていると仮定する方式が一般的に用いられている。他の方法として、先に説明した露光量とフォーカスとを変化させて最適条件を求める方法を効率化することが提案されている。例えば特開平11−297608号公報は、パターンの比較を行う欠陥検査で検査が可能なように条件変化列と正規露光列を一列おきに配置し比較検査を行うことで初期の条件出しにおいて、欠陥発生頻度から着工条件を決める方法である。また、例えば特開平11−219883号公報は、ショット毎の露光条件を露光装置から寸法測定制御装置に送信し、露光条件とショット位置との照合を自動化して作業を効率化している。また、例えば特開平6−302492号公報には、ポジ、ネガの楔パターンにより露光量とフォーカスとを分離して計測する技術が開示されている。また、例えば特開平8−264409号公報には、ポジ、ネガの楔パターンに段差を与えフォーカスの正負を判別する技術が開示されている。また、例えば特開平7−141005号公報には、ファジー推論のメンバーシップ関数で品質要因を表現し、検査データからメンバーシップ関数を調整することで最適化する技術が開示されている。さらに、例えば1993年12月7日のTexas Instruments Semiconductor Process and Design CenterのDuane S.Boning and P.K.Mozumderの論文、「DOE/Opt:A System for Design of Experiments,Response Surface Modeling,and Optimization using Process and Device Simulation」(以下、DOE/Optという)には、実験計画法および設計システムDOE/Optというシステムについて説明されている。このシステムは、実験計画法、RSMおよび最適化計算を組み合わせた汎用的なシステムで、統計工学分野の成果を半導体分野にシステムインテグレートして導入したもので、MMST(Methodology of Manufacturing Science and Technology)の成果の一つである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記リソグラフィ技術においては、以下の課題があることを本発明者は見出した。
【0004】
リソグラフィ工程の寸法に影響を与える要因は様々であるが、露光装置で補正できる主要因に露光量とフォーカスとがある。上記した技術では、露光量とフォーカスとをパターンの寸法から最適な条件に調整する場合、初期設定として露光量とフォーカスとを変化させて露光したウエハのパターン寸法を測定して定める、通称、露光条件出しと呼ばれる処理を行っている。このようにして以降は設定された条件に固定して、リソグラフィの処理を行う。上記した技術は、この後、リソグラフィ工程の寸法に影響を与える要因が変動して寸法の値が変化した時の補正を行う方法に関するものではないが、その変動を補正する場合には、(1)フォーカスを一定として露光量のみで寸法を制御するもの、(2)フォーカスの計測手段を別に設け異常を判定することを(1)に付け加えたもので対応している。上記技術では、フィードバック制御で補正するのは露光量のみで、フォーカスは別の手段で計測して安定化することを前提としている。しかし、フォーカスの変動は、不定期に起こる可能性があって、定期的な点検では抑えきれない場合がある。また、一般に製品着工の条件と、フォーカスのモニタリングとは別の手段であるため、製品の寸法誤差に応じてフォーカスを補正することが望ましい。例えばフォーカス原因の寸法ずれを、フォーカスも考慮して最適化された露光量を変化させることで補正しようとすると、デフォーカスの影響を悪化させて寸法バラツキが増加して歩留まりを低下させることになる。また、フォーカスが変化すると、寸法の露光量による変化の敏感度が変化してフィードバック制御の精度を劣化させることになる。このようにフォーカスの影響は、単に寸法を増減するのではなく、露光量の変化に対するパターン寸法の変化を敏感にし、寸法バラツキを大きくするため、極めて重要な要素であり、フォーカスを一定とみなすことは品質を劣化させるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、半導体集積回路装置の歩留まりを向上させることのできる技術を提供することにある。
【0006】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
すなわち、本発明は、装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群、前記装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2パラメータ群および前記装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、前記第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、前記装置の処理結果から前記第2のパラメータ群の値を推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る前記第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価とを行い、前記第2の評価関数によって、前記装置の処理条件として前記第2のパラメータ群の値を設定し、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて前記装置の処理条件最適化処理を行うことと、前記第1の評価関数から第2のパラメータ群の推定ができるように第2のパラメータ群の調整を行う工程を有する第1の方法と、前記第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、前記第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、前記第1のモデルを用いて、前記第1の評価関数を用いて、前記第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、前記第2のモデルを用いて第1のパラメータ群の一部または全ての値を推定して前記装置の補正を行う第2の方法とを有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明を詳細に説明する前に、本願における用語の意味を説明すると次の通りである。
【0010】
1.ウエハとは、半導体集積回路の製造に用いるシリコン単結晶基板(半導体ウエハまたは半導体集積回路ウエハ;一般にほぼ平面円形状)、サファイア基板、ガラス基板その他の絶縁、反絶縁または半導体基板等並びにそれらの複合的基板を言う。
【0011】
2.デバイス面とは、ウエハの主面であってその面にフォトリソグラフィにより、複数のチップ領域に対応するデバイスパターンが形成される面を言う。
【0012】
3.マスク:パターン原画が描かれた基板の総称で、パターンの原寸法の数倍のパターンが形成されるレチクルを含む。可視、紫外光等を用いた露光装置に用いられる。マスクには、通常のマスク、位相シフトマスクおよびレジストマスクがある。
【0013】
4.露光量、フォーカスという用語は、以下に説明する慣用で用いられている。
【0014】
まず、一般に露光装置を用いたリソグラフィ工程では、レチクルと称する回路パターンの原版を照明して投影レンズでウエハに回路パターンを結像して、感光材料にパターン像を転写する。ここで、感光材料にパターン像を投影して転写する際に、光のエネルギーが感光材料に与えられるが、このエネルギーの量を加減すると転写されるパターンの寸法が変化する。このことを露光量による寸法の制御という。次に、ウエハに、レチクルのパターンを投影している状態では、レチクルの像が最も鮮鋭になる、レチクル面と平行な面があり、これを最良像面と呼ぶ。ここで、ウエハの表面をその最良像面に正確に合わせると、すなわち、正しく焦点合わせされるとウエハに最も鮮鋭なパターンが形成される。このような位置に焦点合わせされるようにウエハの位置が合わせられている状態をベストフォーカスと言う。このベストフォーカスとなるウエハの位置をレチクル面と垂直方向にずらすと、すなわち、ウエハの高さを変えると、ウエハ面と重なる空間像の鮮鋭度は低くなり、すなわち、コントラストが低下する。このため転写される像の寸法も変化する。このように最良像面とウエハの高さとの相対関係、あるいはベストフォーカスを基準とした相対距離が変化すると、パターンの寸法が変化する。このことをフォーカスによる寸法の制御という。フォーカスとは、上記の最良像面とウエハの高さとの相対関係が一定になるように設定する時の、その設定される量を一般に言う。フォーカスは、例えばパターン形状に応じて異なる、ということが言われる。これは、パターンの形状が異なると光学系に誤差が生じるためである。このように基本的には最良像面とウエハ面とを一致させるために設定される量をフォーカスと考えるが、この設定されるべき量が諸条件により異なることを、フォーカスが変化するなどと表現する。
【0015】
5.半導体の分野では紫外線は以下のように分類する。波長が400nm程度未満で、50nm程度以上を紫外線、300nm以上を近紫外線、300nm未満、200nm以上を遠紫外線、200nm未満を真空紫外線という。なお、本願の主な実施の形態は、250nm未満、200nm以上のKrFエキシマレーザによる遠紫外域でも可能であることは言うまでもない。また、100nm未満、50nm以上の紫外線の短波長端領域及び400nm程度から500nm程度の可視短波長短領域でも本発明の原理を適用することは同様に可能である。
【0016】
6.「遮光(遮光領域、遮光膜、遮光パターン等)」と言うときは、その領域に照射される露光光のうち、40%未満を透過させる光学特性を有することを示す。一般に数%から30%未満のものが使われる。特に従来のクロムマスクの代替として使用されるバイナリマスク(またはバイナリ遮光パターン)では、その遮光領域の透過率がほぼ0、すなわち、1%未満、望ましくは0.5%未満、更に実際的には0.1%未満である。一方、「透明(透明膜、透明領域)」と言うときは、その領域に照射される露光光のうち、60%以上を透過させる光学特性を有することを示す。透明領域の透過率は、ほぼ100%、すなわち、90%以上、望ましくは99%以上である。
【0017】
7.マスク遮光材料に関して「メタル」と言うときは、クロム、酸化クロム、その他の金属の同様な化合物を指し、広くは金属元素を含む単体、化合物、複合体等で遮光作用のあるものを含む。
【0018】
8.レジスト膜とは、一般に有機溶剤、ベース樹脂および感光剤を主成分とし、その他の成分も加わって構成されている。紫外線または電子線等のような露光光により感光剤は、光化学反応を起こし、その光化学反応による生成物が、あるいはその光化学反応による生成物が触媒となる反応により、ベース樹脂の現像液への溶解速度を大きく変化させ、露光および露光後に行われる現像処理によりパターンを形成するものを言う。露光部でのベース樹脂の現像液への溶解速度が小から大に変化するものをポジ型のレジストといい、露光部でのベース樹脂の現像液への溶解速度が大から小に変化するものをネガ型のレジストという。一般的なレジスト膜では、主成分中に無機材料は含まれないが、例外としてSiを含有するレジスト膜もこのレジスト膜に含まれるものとする。一般的なレジスト膜と感光性SOG(Spin On Glass)との違いは、感光性SOGでは、主成分中にSi−OやSi−N等が含まれ、この部分が無機材料である点である。感光性SOGの主骨格は、SiO2である。有機か無機かの違いは、終端部分にCH3等が結合しているか否で決まる。一般に有機で終端させた方が安定であり、広く使われているが、感光性SOGの主要部とは関係無く、有機または無機のいずれでも可能である。
【0019】
9.半導体集積回路装置というときは、シリコンウエハやサファイア基板等のような半導体または絶縁体基板上に作られるものだけでなく、特に、そうでない旨明示された場合を除き、TFT(Thin−Film−Transistor)およびSTN(Super−Twisted−Nematic)液晶等のようなガラス等のような他の絶縁基板上に作られるもの等も含むものとする。
【0020】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、本実施の形態では、電界効果トランジスタを代表するMIS・FET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、pチャネル型のMIS・FETをpMISと略し、nチャネル型のMIS・FETをnMISと略す。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明者の検討によれば、リソグラフィ工程においてフィードバック制御で補正するのは露光量のみで、フォーカスは別の手段で計測して安定化することを前提としている。しかし、フォーカスの変動は、不定期に起こる可能性があり、定期的な点検では抑えきれない場合がある。また、一般に製品着工の条件と、フォーカスのモニタリングとは別の手段であるため、製品の異常と関連がつかない場合もあるため、製品の寸法誤差に応じてフォーカスを補正することが望ましい。特に、フォーカスずれが原因である寸法ずれを露光量で補正することの問題を図1に示す。露光量は、フォーカスも考慮した最適化で設定された露光量から変化させると、デフォーカスの影響を劣化させて寸法バラツキが増加して歩留まりを低下させることになる。また、図2に示すように、フォーカスが変化すると、寸法の露光量による変化の敏感度が変化してフィードバック制御の精度も劣化させることになる。これまで製品の寸法から露光量とフォーカスとの両方を同時に制御する方式は提案されていない。これは、一般的な統計的手法である応答曲面法(RSM:Response Surface Method)と実験計画法とを駆使した高度なプロセス制御を行うシステムでも同じである。このシステムは、前記DOE/Optに見られるものである。本実施の形態でも、上記RSM手法を採用するので、前記DOE/Optとの違いを説明する。まず、前記DOE/Optの問題点について説明する。DOE/Optは、下記のサブシステムから構成される。
【0022】
(1)Block/RSM Manipulation:複数のRSMを集合として操作するメカニズム、(2)DOE:実験計画法の設計をサポート、(3)RSM:実験計画法に基づいた収集データからRSMを計算する、(4)Opt:RSMの出力の複数変数を用いた評価関数を定義し、入力変数の最適化演算を行う、(5)Analysis:その他の補助的な解析ルーチン一般、(6)Extension Language:1〜5の上位サブユニットで、プロセス制御などアプリケーションのロジックを記述したもので、言語は高水準言語であるTclを用い拡張性を考慮している、(7)User Interface:(2)の上位にあってGUIを記述する。
【0023】
上記によるアプリケーション例として、プロセス/デバイス最適化、シミュレータチューニング、プロセスコントロールレシピ生成、生産容易化設計が記載されている。この中で本実施の形態と関連のあるプロセスコントロールレシピ生成については以下の通りである。対象は窒化シリコン膜を成膜するためのCVD(Chemical Vapor Deposition)装置の反応条件の最適な初期設定と、その後に発生する変動に適用的に対応する制御である。このように、この例で明らかなように、この公知例では、入力条件を変化させて最適な入力条件の組合せを求める最適化処理のフェーズと、その際に求めたRSMを用いて出力を目標値に近づけるよう入力を変化させる操作を行う制御フェーズとを分離している。このため、制御フェーズにおいて、ターゲットと実際の出力との差のみからでは一意に変化方向の定まらないフォーカスのような物理量を操作することが困難となっている。この点についてまず、上記DOE/Optの文献で採り上げられているCVD装置の例を説明し、解決課題について説明する。
【0024】
CVD装置のモデル構築では、入力はガス流量(N2、SH4、NH3)、圧力、高周波(RF)出力、電極間隔が設定され、出力は目標変数としてデポレート、応力、屈折率が、制約条件として不均一性が指定されてデータ取得が行われ、各出力についてRSMが計算される。次に、各出力変数に対し目標関数が定義される。これは出力の目標値と、仮に設定される入力条件から求まる出力の予測値の差分の二乗を重み係数を付加して線形結合した関数である。予測は各出力のRSMを用いる。目標関数を最小とする入力条件の組み合わせが最適な初期設定としてレシピに設定される。この最適な設定近傍からのシフトはRSMの動作点近傍のグラディエントから調整できる。また、この傾斜に基づく制御では、例えば補正の応答を調べて傾斜を修正することなどが行われる。
【0025】
この技術の特徴は、このような最適化と制御の関係で、最適化、すなわち、最適な条件を初期設定する際には、入力変数との関係で応答を調べ、複数の入力について最適な状態を求めるが、制御に当たっては、まず、測定された出力から次の出力を予測し、その予測された出力の偏差を補正するために入力と出力との間の相関関係を用いるもので、そのために、リソグラフィの場合、単調な相関のある露光量と出力である寸法の関係のみ用い、フォーカスについては一定とみなすことになっている。しかし、先に説明したように、フォーカスの変化の影響は、寸法を単に増減するのではなく、露光量の変化に対する寸法の変化を敏感にしてバラツキを大きくするなど、極めて重要なため、このような仮定をすることは品質を劣化させるおそれがある。
【0026】
そこで、本実施の形態においては、例えば次のようにする。第1の手段は、装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群と、装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2のパラメータ群と、装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、装置の処理結果から第2のパラメータ群の値の推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価とを行い、第2の評価関数によって、装置の処理条件として第2のパラメータ群の値を設定し、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて装置の処理条件最適化処理を行うことと、第1の評価関数から第2のパラメータ群の推定ができるように第2のパラメータ群の調整を行う工程を有する第1の方法と、前記第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、第1のモデルを用いて、第1の評価関数を用いて、第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、第2のモデルを用いて第のパラメータ群の一部または全ての値を推定して装置の補正を行う第2の方法とを有するものである。
【0027】
また、第2の手段は、装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群と、装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2のパラメータ群と、装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、この第2のパラメータ群と第3のパラメータ群との応答を表す第1のモデルの組み合わせは、複数の異なる条件による複数の組み合わせであることを特徴とし、これら複数の組み合わせを用いて、装置の処理結果から第2のパラメータ群の値を推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価を行い、第2の評価関数によって、装置の処理条件として第2のパラメータ群の値の設定を行い、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて装置の処理条件最適化処理を行うことと、第1の評価関数から第2のパラメータ群の推定ができるように第2のパラメータ群の調整を行うことを特徴とする第1の方法と、第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、前記複数の組み合わせに対し、第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、第1のモデルを用いて、第1の評価関数により、第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、第2のモデルを用いて第1のパラメータ群の一部または全ての値を推定して装置の補正を行う第2の方法とを有するものである。
【0028】
また、第3の手段は、上記第1または第2の手段において、前記第1の方法で、既に推定用評価関数が調整済みの入力を用いることで、評価関数の調整を省略するものである。
【0029】
また、第4の手段は、上記第3の手段において、評価関数の調整の省略可能なように複数のパターンを組み合わせたパターンを用いるものである。
【0030】
また、第5の手段は、上記第4の手段において、予め用意されているパターンに対して実際の計測された出力ではなく、シミュレーションを用いるものである。
【0031】
さらに、第6の手段は、上記第2の手段において、第1のパラメータ群は露光量とフォーカスとの設定に係るパラメータ群であり、第2のパラメータ群は露光量とフォーカスとの実効的入力値であり、第3のパラメータ群は特定のパターンの単一の寸法であり、第1のモデルとは露光量とフォーカスとを変化させて露光した時の寸法の変化に関するモデルであり、複数の組み合わせとは、異なる形状や配置のパターン毎の組み合わせであるものであり、第2の方法による第2のパラメータ群の推定は、この複数のパターンに共通する第2のパラメータ群である露光量とフォーカスとを設定して、このパターン毎に各々の寸法についてこの露光量とフォーカスとから予測される寸法と実測値との一致度を評価する第1の評価関数を用い、複数の組み合わせに対し最も一致度の高い露光量とフォーカスとを実際の露光時の実効的入力値として推定するものである。
【0032】
図3および図4に一般的な方式に関する説明図を示す。図3は第1の方法である最適化フェーズの方法で、図4は第2の方法である制御実行フェーズの方法である。符号Cは制御で操作する入力値である。第1の方法の処理の流れは、設定入力、実効的入力、出力(出力の計測)、応答モデル(応答モデルの作成と評価)、最適化評価関数・実効的入力推定用評価関数、最適化実効的入力、最適化設定入力の順に、データの設定や計算が行われる。ここで本発明者が検討した技術と異なるのは、本実施の形態では、最適化評価関数の計算と同時に、実効的入力推定用評価関数の計算と評価を行い、推定可否または精度が不十分な場合に、入力の追加または変更が行われることを特徴としていることである。推定用評価関数の評価とは、例えば上記第2の手段で操作入力をx1,x2、異なる影響をもたらす入力xa,xbとし、複数の組み合わせとしてxaに関する応答モデルfa(x1,x2),xbに関してfb(x1,x2)とした時、xaに関する実際の出力をLa,xbに関してLbとして、V(x1、x2)=[La−fa(x1,x2)]**2+[Lb−fb(x1,x2)]**2という評価関数を調べることで、例えばx1=X1,x2=X2という仮の入力を設定した時の応答をLa=fa(X1,X2),Lb=fb(X1,X2)として上記評価関数を指定された範囲で、x1,x2を変化させて計算し、V(x1,x2)の最小値を与えるx1,x2の組み合わせを推定するのであるが、その最小値が確かといえるには与えられた範囲内に近い値の極小値がないことが必要である。このような応答が得られるように入力の組み合わせを追加(fc(x1,x2)を与えるxcなる入力を追加する)または変更(xbに代えてxcを評価する)を行うことである。このようにx1,x2の初期設定を最適化する際に、x1,x2を推定する評価関数を入力条件を設定する際に考慮することにより、第2の方法による制御実行時の実効的入力の推定の確かさが保証される。本実施の形態の主要な効果は、第2の方法で得られるが、第2の方法を有する実施の形態で明示的に第1の方法が存在する実施の形態もあり得る。例えば第1の方法での入力や評価関数は、予め上記の調整を行った固定的な組み合わせとして用意しておいて流用するものである。その一例を図5および図6に示す。図5は第1の方法である最適化フェーズの方法で、図6は第2の方法である制御実行フェーズの方法である。この実施の形態は、次に説明する寸法測定値から実効的露光量と実効的フォーカスとを推定するもので、予め異なる影響を与えるパターンを組み合わせておいて配置する。例えば孤立パターンと周期パターンとを組み合わせたTEG(Test Element Group)を用意しておくと多くの場合推定可能となる。この場合も原理的には図3および図4で説明した実施の形態と同じで、第1の方法は、流用可能な範囲で省略可能で、この場合は上記第3の手段の形態をとる。マスク上に配置される上記TEG領域の要部平面図の一例を図7に示す。このパターンでは、露光装置の光学系で投影される場合、孤立部1aと繰返し部1b、ヌキ部1cとノコシ部1dの条件の組み合わせで回折光の分布が異なるため、後に説明するように収差の影響が異なってフォーカスや露光量の影響が変化する組み合わせとなる。このようなTEGを用いて本実施の形態を実行する方法は、上記第4の手段に相当する。この場合、予め測定された収差に基づいてシミュレーションにより応答モデルが作成可能である。シミュレーションによる方法は、TEGだけでなく、ある限られた範囲では実際のデバイスパターンでも予測可能であり、本実施の形態はこのようにシミュレーションを用いて実行することができる。
【0033】
本実施の形態では、パターンの寸法誤差の要因と考えられてきた、露光装置の収差、デバイスの標高差、レジスト膜の感度や反射率の変動等のような条件によってベストフォーカスの位置が異なる現象に着目して制御することを検討した。デバイス領域内のパターンは、後述の様々な要因で最適なフォーカス位置が異なる。本実施の形態では、特定の露光装置で安定なベストフォーカス位置が、ランダムな現象ではなく、パターンの形状と配置に応じて異なることを利用している。ベストフォーカス位置については図8および図9に応答曲面のモデルを示す。このようにを図8および図9に示す。図8は単独のモデルを示している。また、図9は2つのパターンの応答モデルであって、ベストフォーカス位置が異なるパターンの応答モデルを示している。また、図10および図11は、本実施の形態の原理の特にフォーカスの変動の推定を示している。この場合、露光量はベスト露光量のままであって、フォーカスのみ変化した応答モデルを用い、実測された寸法から実効的フォーカス推定用評価関数を計算し、その最小値、すなわち、一致度の高いフォーカス条件が求まることを示したものである。次に、図12は、露光量、フォーカスとも変化する場合まで考慮した場合の評価関数を示す。先に一般的な方式説明で例示した評価関数が適用可能である。この評価関数は、後述する要因系の拡大に対応して関数としては色々な関数が考えられるが、ここで説明した差分の二乗和を用いる方法は、本実施の形態の基本を説明するのに十分考えられる。
【0034】
次に、露光量とフォーカスとの影響を変化させる要因について説明する。転写するパターンの形状と配置とによりベストフォーカスが変化するのは、まず、露光装置の光学系の収差の影響がパターンの形状と配置とにより変化するからである。図13は、球面収差により、孤立パターン(図13の右)と、繰返しパターン(図13の左)とでベストフォーカスが変化していることを示している。符号Mはマスクを、LEはレンズを、F1,F2はフォーカス位置をそれぞれ示している。図14は、互いに直交する方向のパターン間で非点収差によりベストフォーカスに差が生じていることを示している。符号F3,F4はフォーカス位置を示している。図15は、像面湾曲により異なる像高に配置されたパターンでベストフォーカスに差が生じていることを示している。符号F5,F6はフォーカス位置を示している。これらは典型例であるが、パターンの微細化とそれに応じた光学系の高開口数(NA:Numerical Aperture)化で、ランダムあるいは高次成分と呼ばれる成分の影響も顕著になっており、様々なパターン形状に応じてフォーカス差が発生するようになっている。図16は、デバイスパターン、すなわち、ウエハ表面の凹凸によるフォーカス差の一例を示している。このような影響が着工時のフォーカス合わせ精度というランダムな成分の中で比較的安定して発生している。このため、同じパターン形状など、同一条件の測定を複数点測定して平均化することで、パターン間の寸法差が求まり、そこから実効的フォーカスと実効的露光量との推定が可能となる。
【0035】
以上のリソグラフィ工程における寸法制御において、寸法測定結果から実効的露光量と実効的フォーカスとを推定して制御を行うことの新規性は明らかであると考えられるが、本実施の形態はリソグラフィ工程に限らず、一般的なプロセス制御についての原理的提案であり、この点について本実施の形態と本発明者が検討した技術(発明者検討技術ともいう)とを比較して説明する。
【0036】
システム原理の点で、本実施の形態と発明者検討技術との差異を明確にするために、しっかりとした自動システム化が行われて、構成的に類似しているように見える前記Bonningの文献にあるDOE/Optとの原理的および構成的な差異を明確にし、また、その適用範囲や他の性能の違いについて説明する。
【0037】
発明者検討技術で用いられる最適化処理は初期設定に用いられるもので、普遍的に用いられている方法で、本実施の形態との関連では、制御の前段階として当然使われるべきものである。本実施の形態は、制御フェーズについて主な特徴があり、これは上記文献のRSMの傾斜を用いたフィードバックを行う方式では、複雑な変動現象の集積であるLSI生産プロセスでは対応できないと考え、特に露光工程におけるフォーカスと露光量とによる寸法の制御では、2変数ではあるが、ある寸法値を与えるフォーカスと露光量の条件は複数ありうるために困難な課題となっており、これに着目して半導体プロセスの制御に適した新規な制御モデルを考案したものである。
【0038】
上記発明者検討技術を典型とする最近の半導体生産プロセスの制御との差異を明確にした本実施の形態の特徴を以下に述べる。まず、本発明者は、出力である検査データをRSMの傾斜を利用して入力値を操作する考え方の簡便な曖昧さに着目した。本発明者は、フィードバックによる安定化の効果は疑いないが、これはブラックボックス的な考え方であって、RSMを用いていてもそれは出力偏差と入力補正量の換算テーブルにすぎないのではと考えた。また、これまでの経験から適切さを欠いた入力値の補正がプロセスのマージンを低下させ歩留まり低下に到るのを如何に防止すべきかを検討した。
【0039】
まず、顕著なのは発明者検討技術における入力の意味についての曖昧さである。入力の値は機器の差や装置のソフトのしくみによって変化してしまう。これまでは、これが装置間で一定になるよう管理すべきとして制御システムの外に投げていたのが実状であろう。これはフォーカスは一定と考えられるよう別の手段で計測しようとしている現在の動向も含まれる。しかし、別の手段であれば、また、その間のキャリブレーションが発生し、徐々に安定な量としていけるとしても、今後いっそう厳しい精度が要求されたり、新しい方式の装置が導入されたりすると延々と別の手段に依存していくことになる。また、この曖昧さは、入力値の変動原因の性格が異なる場合や、影響の仕方、変動の原因など分析的な制御ルールが必要となる場合にも問題があると考えた。露光量に関しては、露光装置の露光量の一定化制御は相当程度安定であり、変動は主に下地の反射率やレジスト感度などは装置ではなくプロセス要因によることが多い。一方、フォーカスの変動は品種や工程が同一であれば、主に露光装置の変動が主である。付随して言えば、このために、フォーカスは装置自体で安定化すべきというパラダイムが強固であって、それは間違いなく正しいものの、本実施の形態の寸法データによりフォーカスを制御するシステムの発想の新規性につながっている。
【0040】
ここから本発明者は、入力の意味を装置に設定される値である入力設定値と、出力に影響を与える実効的入力値の2段階に分けて考え、モデルは出力と実効的入力値との関係を記述するものであって、制御にあっては、まず、出力から実効的入力値を推定し、次に実効的入力値を与える入力設定値を推定するという2段階の推定モデルを有するべきであると考えた。発明者検討技術との関係で言えば、最初の最適化フェーズにおいては短時間で制御された実験で行われるので、入力設定値と実行入力値とは一致しており、制御実行時の出力のシフトは実効的入力値と設定入力値とに乖離が生じ変動していると捉えることができる。この2段階の推定モデルによる制御は、単なる見方を変えただけではなく、強力な制御システムを構築する新規な能力を有することが後の実施の形態で示される。実効的入力値の変化とは、制御されていない処理条件や材料や装置の経時変化など多様な要因の中の特定要因の変化による処理プロセスそのものの出力への影響関係の変化であって入力という表現は適当でないかもしれないが、処理プロセスの入力は、ここで言う設定入力に限定されず、上記多様な要因を含むものである。これらは、例えば付加的なセンサによれば、制御できない場合も入力として見なしうるものとすることもできるものもある。このように本発明者は実効的入力値と設定入力値との関係は柔軟に考え、いわば、実効的入力値は、上記多様な影響因子そのものという範囲まで拡張した考え方を持っており、実施の形態も後に示される。このような考え方を有するものであるが、寸法制御において、この2段階をそれぞれ、露光量とフォーカスとして同じに設定することも、後述する新規な制御アルゴリズムにより、非常に有効である。
【0041】
次に、発明者検討技術の最適化と制御の関係との意味について考察した。この最適化方法は、特に複数の出力変数の間にトレードオフがある実際のプロセスでは必須の方式である。しかし、これは入力条件を変化させて出力を調べるという、いわゆる条件出しで使用されるもので、大域的な傾向を正確に把握した上で実行が可能であって、制御実行時に特定の出力の組み合わせが与えられた場合には、当初設定された入力値のRSMの傾斜を利用して制御性のある入力値を変化させて目標値に近づける操作をせざるを得ない。このため、その目標値に近づける経路は様々で、アドホックな制御モデルが試行されている。この中には、操作の結果に基づいてモデルの修正も行うアダプティブな方式も使われている。しかし、出力の変化が大きい場合は制御の信頼性に問題が生じるのは明らかであり、現実には制御可能限界を経験的に付加して運用して、不適切な制御による歩留まり低下の発生を防いでいる。本発明者は、このような技術的状況を検討して、発明者検討技術の問題点を次のように把握した。まず、発明者検討技術の最適化は、出力のトレードオフを解決するための目標関数の最適化であって、RSMで表現された大域的な傾向の中に現れる特徴は、統計的に平均化されるため、間接的に影響を与えるか、無視されていることである。また、制御においては、動作点近傍の傾向しか使われないことである。この2点は問題点というよりもプロセスの最適化制御の一般的な方法とも言えるが、本実施の形態の詳細な説明に従って比較した場合に、本発明者は制御対象の挙動の特徴を制御に用いることを阻む問題点として把握している。
【0042】
この最適化および制御の関係について、本発明者は先に述べた入力の2段階モデル、すなわち、設定入力および実効的入力に基づいて新規な提案を行っている。まず、最適化による初期設定のフェーズが存在するのは上記発明者検討技術と同じである。しかし、この最適化フェーズにおいては、制御時に用いるRSMあるいは出力パラメータよりも多くの出力を設定すべきであると考えられる。初期条件の設定時では、通常の検査に含まれない品質要因よりも多くの品質要因に対して評価を行うことは普通に行われている。また、RSMで表現できない、すなわち、定量化困難な品質要因についても考慮すべきである。例えば寸法制御においては、通常検査では行わないパターン角部の曲率などの測定を行ったり、レジスト表面の膜減りやスカムの発生限界のような点が考慮される。これらは柔軟な特徴を持つ本実施の形態の中で効果的にシステム化しうることが後に説明される。
【0043】
このように、比較的柔軟な選択基準に基づいて、出力パラメータおよび実効的入力パラメータの選別を進めるが、その際に、本実施の形態の特徴として、設定入力パラメータの影響を変化させる入力を実効的入力に加えること、あるいは、設定入力の影響が異なる出力のRSMを加えることである。これは上記発明者検討技術の最適化で、トレードオフを考慮した最適化を行うことが目的なのではなく、設定入力を補正する量を計算するために用いる実効的入力値を推定するために用いる。後述するが、CD(Critical Dimension)制御において、フォーカスの影響は、特定のパターンの寸法に対しては、ベストフォーカスの正負の両側で同一、すなわち、対称であって、例えば+0.1μmのデフォーカスにより、寸法が150nmから140nmに変化したとしても正負どちらかは判別できない。これは前記したフォーカス制御の問題そのものであるが、これに対し、別のパターンで同じデフォーカスでは145nmとなり、反対方向のデフォーカスでは変化しないという特性を持つパターンを選択するのである。これは、ベストフォーカスの位置が相対的に異なるパターンが存在するためである。このようなことが現実に起こりうることは、良く知られている。例えば光学系の収差によるもので、像面湾曲により、露光領域の位置によりベストフォーカス位置が変化する。また、球面収差はパターンの疎密差によりベストフォーカスが変化する。非点収差はパターンの方向により変化する等、単なる誤差要因と考えられていた上記特徴を実効的入力として、あるいはRSMの複数化として加えるのである。このような傾向は、最新の低収差の露光装置においても、その性能限界までに微細化したデバイスに適用されるため、常に顕現する現象である。また、ラフな工程では、レジスト膜厚が大きくデフォーカスの影響は非対称となるので、このような追加なしでも可能な場合もあるが、付加的に高密度の縞パターンを追加すれば良い。光学系収差以外にもデバイスパターンの下地の標高差によっても発生する。このように複数のパターンの寸法に対して露光量とフォーカスとを変化させた応答を測定してRSMを作成する。この他の品質因子も考慮して、この複数のパターン寸法のRSM上の動作点、すなわち、露光量とフォーカスとの初期設定が決定され、設定入力とされる。制御実行時において、寸法検査装置から収集した複数のパターンの寸法データを用い、これらが共通の露光量とフォーカスとで、かつ、それぞれのその露光量とフォーカスとでのRSM上値との一致度が良い露光量とフォーカスとを実効的入力値として求める。この実効的入力値と初期設定された動作点の露光量とフォーカスとを実効的入力値として求める。この実効的入力値と初期設定された動作点の露光量とフォーカスとの差が変動の結果生じたものである。このようして求まった実効的入力値は、SPC(Statistical Process Control:統計的品質制御)などの時系列処理を行ってフィルタリングや予測を行い、補正量を計算して設定入力値に変換される。
【0044】
以上、本実施の形態と上記発明者検討技術との技術的差は明らかである。前記した光学系の収差による寸法の変化は現実に寸法制御上発生している問題である。また、発明者検討技術で使用するRSMの傾斜も装置によって異なる。特にフォーカス設定によって大きく変化することから微細化に対応していくためには、本実施の形態のように現実に存在する誤差要因により入力に対する応答が異なる対象の複数のRSMを作成することは有効であると考えられる。
【0045】
次に、本実施の形態をさらに詳細に説明する。本発明者は、本実施の形態による寸法制御システムを開発する中で、時系列処理を行うフィードバック制御の適正な補正量を推定するAPC(Advanced Process Control)システムの性能を大きく向上させることを見出した。図17は本発明者が検討したAPCシステムの説明図であり、図18は本実施の形態のAPCシステムの説明図である。図17の技術では時系列解析の入力は寸法測定値であるのに対して、図18の本実施の形態では時系列解析処理の前に実効的入力の推定を行って入力する点が異なる。すなわち、本実施の形態では、初期設定の後に、設定露光量および設定フォーカスを制御対象に入力すると工程の変化があれば測定される寸法は変化し、その寸法変化から実効的入力を推定(実効的露光量および実効的フォーカスの推定)し、次に、時系列解析(実効的露光量および実効的フォーカスの変動予測)および補正値変換を行うという順に処理が進められる。寸法制御精度を大幅に改善できる理由を以下に説明する。まず、最適補正量を推定する精度を向上させる効果を説明するにあたり、簡単のために、設定入力値を一定として説明する。実効的入力として求まる露光量(Eact)とフォーカス(Fact)とが当初初期設定された際に最適化された露光量(Eopt)とフォーカス(Fopt)のそれぞれの差が、変動している露光量(ΔEact)とフォーカス(ΔFact)である。この変動量は、寸法測定しているパターンに対する依存性は寸法測定値そのものに比べ小さくなる。通常の寸法データを基に露光量で補正を行う方式では、この依存性はノイズとなるため、統計的な制御を行う際には同一品種ごとの層別を行って傾向を推定することを行っている。従って、品種が増えてくるに従い大量のデータを必要とすることになり、制御は短期的な変動に応答することができなくなっている。本実施の形態によれば、実効的フォーカスの変動は、ほぼ装置がフォーカスの原点としている条件の変動に対応し、実効的露光量は下地の反射率などの前処理の変動、塗布装置の状態の変化、レジスト材料の変化の要因系が考えられるが、これらの要因の変動パターンは個別に特定することが容易である。例えば下地の変動は前処理装置の層別で検知でき、塗布装置の状態は塗布装置のレシピの層別で検知でき、レジスト材料は当然レジスト系で層別できる。露光装置の露光量制御は、上記の要因系を考慮せずに、センサの感度やオフセットの変化に集約して、(品種や工程により変化する)実効的露光量と変動量との相関を求めることで検知できる。これらの要因系は短期間であれば同時に発生することは考え難く、このような明快な変動パターン識別による推定アルゴリズムの実装が容易になる。まず品種と工程で寸法測定データを分類することが必要な図17の発明者検討技術では、十分なデータ数をうるためには、データ収集期間が長期化してこのような変動原因を推定することが難度が高いことは明らかである。もちろん本実施の形態による実効的入力の変動パターンに品種・工程に依存するものもありうる。レチクルに依存する場合がそうで、例えば露光量やフォーカスの制御のキャリブレーションに用いるマークの異常が考えられるが、これもレチクルID(Identification Number)による分類で容易にその依存性が検出できる。レチクルの変動は考えられ難い要因であるが、露光装置の短波長化による部材の劣化による透過率の変化は無視できない要因になる可能性がある。このように、図17の発明者検討技術のようにあらかじめ品種と工程で分類してしまい、利用できるデータ数を少なくしてしまうことなく、実効的露光量の変動パターンを分類して推定できるため、制御精度を向上させることができる。
【0046】
次に、実際に連続的にフィードバック制御を行って、設定入力を変化させている場合に、上記の変動パターンの識別を行って最適な補正量を求めるためには、本実施の形態では、上記変動量、すなわち、ΔEact、ΔFactにそのウエハを着工した時の設定入力を加えるだけで良い。これは既に同一の単位に変換されているからである。これは、例えば合わせ精度のフィードバックで計測した誤差と補正量とを加えて、変動の評価・予測を行うのと同じである。しかし、寸法変動の予測値とターゲット値の差分を予め設定された変換係数を用いて露光量の変化量を求める図17の発明者検討技術では、露光量の設定入力の推移で変動を管理するか、設定入力で補正した結果残る寸法誤差の推移で変動を管理するかを別々に行っていて、それらの変化の関係を管理していない。これを統合して管理するには、本実施の形態の実効的入力値と同様に寸法誤差を変換して求めることが必要であるが、フォーカス変動という外乱要因がもともと考慮されていないため、敢えてそこまでやっていないといえる。また、露光量と寸法の変換係数に基づく算出は、寸法誤差が小さい、すなわち、プロセスが安定している時のみ有効な方法であることも理由と考える。本発明者がこの変動の予測精度を重視するのは、制御精度が向上するという理由だけではなく、APCの将来方向にとっても重要だからである。現在導入が進んでいるAPCはフィードバック制御だけでなく、フィードフォワード制御を含むもので、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程において研磨前の膜厚を測定して、その膜厚の変化分に応じて、研磨時間を調整して研磨結果である残膜厚を一定化しようというものである。寸法制御においても同様な考え方は過去多く試みられている。レジストのABCパターメータと呼ばれる感度に関連した計測や、レジスト膜厚、下地反射率、デバイスの標高差など多岐に渡って、かつ、評価される結果がそれらと異なる寸法という点が、前後の膜厚差を研磨時間で調整するため、その変化の割合(単位時間の研磨量)を用いて補正するというCMPと異なり、複雑な変換関係を扱わねばならないことが寸法制御でフィードフォワードの導入での課題である。もちろん単純に考えて、反射率の変化と寸法の応答の実験に基づいてオープンループ的に補正をかける方法もそれなりの効果は見込めるが、CMPで示したRun to Run Controlのように、補正誤差を補正量の変換ルールにフィードバックをかける仕組みが無ければ、高精度化は期待できず、また、他の要因による誤差によって変換ルールを補正することができなければ安定した制御は期待できない。本実施の形態は、反射率による実効的露光量の変化とその補正精度を検証する手段を有しているため、図19の実施の形態に示すように、今後のフィードフォワード制御を含むリソグラフィ工程のAPCの実現に有効である。すなわち、図19に示す実施の形態では、前工程からのフィードフォワード情報として、例えば対象ウエハの反射率等を、SEMでの寸法検査時の実効的入力推定(実効的露光量および実効的フォーカスの推定)時に用いることで、その実効的入力に対する影響を考慮して実効的入力推定を行うことができ、また、次に着工する時には、例えば前工程からのフィードフォワード情報として次の対象ウエハの反射率等を露光装置着工時の補正値変換時に伝え、その影響を補正することができる。
【0047】
このようなフィードフォワード制御で考慮される要因のように、本実施の形態は直接操作可能な入力のみでなく、品質に影響を与える様々な要因について考慮されている。図20は、プロセス制御に影響を与える様々な誤差要因について、適切な計測により制御できるように考慮に入れることで高精度化が可能な要因の分類を示している。ここでは、その要因として前工程の処理による影響、材料による影響、着工時の環境要因、補正のない装置固有誤差、連続運転時の劣化など着工条件依存で発生する誤差や変動、補正可能な実効的入力等が例示されている。補正可能な実効的入力以外の要因は、誤差要因であって、応答モデルを用いた影響の推定あるいは実効的入力の推定の補正を行う方法がない場合、精度を劣化させる。しかし、図20で出力の項目に示したように、これらの要因は計測可能なものが多く、実験的あるいはシミュレーションによって応答モデルは構築可能である。この要因系の拡張について、実施の形態として寸法制御における、同期精度およびマスク寸法精度について説明する。
【0048】
要因系の拡張の実施の形態である寸法制御における同期精度の考慮について図21で説明する。同期精度というのは、レチクルとウエハとを対向方向に走査して同一パターンが走査されながら露光されている間、光学系の共役位置に正確に維持されるようにして露光するスキャナという方式で、速度むらにより共役位置からのずれが発生すると転写された像にシフトまたはぼけが生じる効果を言う。同期精度で生じるぼけは露光期間中に位置関係がばらつくために生じる効果で、デフォーカスに類似しており、正確に制御する必要がある。もし、同期精度のバラツキ成分が変化する場合、すなわち、バラツキの標準偏差の大きさが変化する場合、実効的フォーカスの推定精度に影響する。しかし、同期精度はレーザ干渉計で正確に測定でき、装置から測定値を収集することが可能な量であるため、本実施の形態によれば考慮することは容易である。簡単のため、前記TEGを用いる方法で説明すると、応答モデルとして、露光量とフォーカスの設定を変化させて各組み合わせごとに同期精度を変化してTEGパターン転写を行う。同期精度のバラツキを変化させるには、レチクルの平均速度とウエハの平均速度とを少しずらして設定すると露光期間中に一様な相対速度でずれが発生して露光できるので、容易に応答モデルを作成できる。正規分布のようなバラツキと一様なバラツキの影響の関係が問題になるか確認する必要がある場合は、例えばウエハ全面に多数の露光を行って、その露光の際の同期精度を計測して、入力値として評価すれば良い。このような応答モデルを用い、実際の制御時に計測点の同期精度を露光装置から収集したデータにより求め、その同期精度で固定して、残りの実効的フォーカスと実効的露光量とを変化させて前記実効的入力推定用の評価関数を求めることで、正確な実効的フォーカスと実効的露光量を求めることができ、精度の良い制御が行われる。
【0049】
同様に実効的露光量に関連する拡張的な誤差要因にマスク寸法誤差が考えられる。マスク(レチクル)寸法誤差の影響を考慮する実施の形態として、先と同様にTEGを用い、多品種に共通してこのTEGに関する応答モデルを共有する場合を図22により説明する。レチクル上のTEGのパターン寸法は、品種が変わって、すなわち、レチクルが変わると、レチクル描画時の寸法誤差により変化する。応答モデルを多品種で共用している場合に、この誤差により、品種をまたがった連続的なフィードバック制御が困難になり、レチクルごとに条件出しが必要になって不便である。したがって、予め収差が一定と考えられる比較的狭い領域に、パターン寸法を変化させたTEGを有するテストレチクルを用いて、レチクル寸法と露光量およびフォーカスの応答モデルを作成するのである。この複数のTEGの組み合わせのセットはレチクル上に多数配置することができ、これらのモデルを予め作成しておくと、製品毎にTEGの配置された座標から近似的に一致する配置のTEGについての応答モデルを選択することができ、多品種にまたがってレチクル寸法誤差を含む応答モデルを用意することができる。制御実行時には、選択された応答モデルを用い、マスク寸法についてはマスク制作時に計測された寸法値に固定し、実効的露光量と実効的フォーカスとを変化させて計算した推定用評価関数から実効的露光量と実効的フォーカスとを求めるのである。
【0050】
本実施の形態では、発明者検討技術に比べて多くの応答モデルが必要になる。特に、前記したように、寸法制御に用いる場合は、寸法測定用SEMで測定するため、多数の応答モデルを作成することは困難と考えられてきた。前記したように、既に応答が分かっているTEGを用いれば簡略可能であるが、TEGを用いると実際のデバイスパターンの検査にTEGの検査が加わるというデメリットが生じる。しかし、本発明者は、多数の測定であってもSEMの測定を自動化することが可能であることから本実施の形態の応答モデルの作成が障害にはならないことを確認している。一般に多品種製品でも、品種間で共通のレイアウト(セルと呼ばれる)が使われることが多い。この共通のレイアウトを用いる場合、SEMの自動測定条件については画像を流用し、座標のみ与えれば自動測定が可能な装置が入手できるようになっている。座標あるいは画像もパターンレイアウト設計の工程で情報として抽出することが可能で、このようにしてSEMの自動測定を行う場合の情報の流れを図23に示す。図23は、設計から導出されるパターンに関する情報(DAデータ)と、ウエハ上にどのように条件を変化させて転写されているかという、いわば、実験計画に関する情報をもとに自動測定が可能であることを説明している。図24は、より高度な自動化の一例で、レシピビルダの入力段階で、パターンの配置情報と前記露光装置の光学系の収差データとから測定すべきパターンの選択を行って測定スケジュールを行うもので、例えば球面収差の大きい領域で、孤立パターンと繰り返しパターンとを選択するというように容易に実現できる。
【0051】
また、SEM検査の検査作業量を減らすためには、SEM検査を検査結果に応じて検査を追加することが有効である。寸法をフィードバック制御で補正する場合に推定精度が必要となるのは、寸法のずれが発生している場合であることに着目すると、例えば寸法のずれが微小な場合は、動作点近傍での傾向に従うため、補正誤差が生じる可能性は小さい。大きなずれが発生した場合、ランダムな誤差が加わる可能性もあって正確な推定が必要とされる。このように大きなずれを検出した場合に適応して測定を増加することはシステム的に容易である。このように図25(最適化フェーズ)および図26(制御実行フェーズ)に基づく実施の形態のように、計測した測定点の寸法誤差に応じて寸法測定の測定点増加と露光量とフォーカス推定のRSM数増加とを行うことで、寸法安定時のレスポンスを改善することができる。すなわち、ずれが小さいときは最小限の測定を行い、ずれが大きい時は推定精度を上げるために、予め応答モデルが用意された測定点を追加するという方法を行うことで、生産効率を落とすことなく本実施の形態を実施できる。
【0052】
図25および図26に基づく実施の形態で説明したように、計測した測定点の寸法誤差に応じて寸法測定の測定点増加と露光量とフォーカス推定のRSM数増加とを行うことにより、寸法安定時のレスポンスを改善することができるが、本来、不安定な時こそ本実施の形態は有効なので本発明者はこの課題についても解決策を得ている。図27、図28および図29は、その説明図である。図27はシステムの一例の説明図を示し、図28および図29はこのシステムを用いた処理の流れの説明図を示している。図27のシステムは、モデラ、APC、インラインコントローラ、測長SEMおよび露光装置を有している。微細化したLSIプロセスの寸法測定は測長SEMにより行われているが、この装置はオフライン装置であるため、普通着工から時間をおいて検査される。そのため、寸法測定のAPCでは、測長SEMの測定が終わった直後にそのデータを収集し、データベースに格納されて補正すべき露光量が計算される。そして、その補正は、さらに時間をおいて次のロットの到着時か、または前のロットの再生処理時に反映されることになる。このようにパラメータ演算と補正とのタイムラグがあることが、本実施の形態の可能性として、多くの計算を要する処理を可能としている。図28および図29の処理の流れに沿って説明すると、測長SEMの計測が終了すると、MESまたはAPCシステム測定データおよび着工装置や着工条件などの付帯データを収集して、RSM演算部にデータを送信する。RSM演算部の露光量およびフォーカスの補正量の計算が終了すると、その補正量はAPCシステムに送られて時系列処理や統計的プロセスコントロールの処理が行われる。ここで異常検知が行われて例えばフィードバック制御の続行は、リスクの増大が予測された場合、アラームなどにより装置のフォーカス合わせ機構などの状態やウエハ上の原因探索が行われて、トラブルシューティングやそれに応じたメンテナンスが行われる。例えばメンテナンスが行われた場合は工程状態が変化したとしてAPCシステムの今後の時系列処理では、メンテナンス以前のデータは計算のスコープから外される。このように、本実施の形態では、推定演算が制御の実行と時間的に分離されているために、計算量の増大は問題にならず、また、異常検出やメンテナンスなどに必要なデータを提供できる。また、これらを次のウエハが露光装置で着工されるまでにデータの整理がついて、再開することができるので、フィードバック制御で問題となるその信頼性を確保することができる。
【0053】
露光処理では、上記の方法によりデータ補正を行った露光装置により露光処理を施す。まず、マスクおよびウエハを露光装置にセッティングする。ウエハの主面には既にフォトレジスト膜が塗布されており、ウエハは、そのフォトレジスト膜の塗布面を上(露光装置の投影レンズ側)に向けて載置する。露光装置の露光条件は上記のようにデータ補正が行われている。続いて、縮小投影露光処理を施すことにより、マスクのパターンをウエハのフォトレジスト膜に転写する。続いて現像等の通常のリソグラフィ工程を経て、ウエハの主面上にレジストパターンを形成した後、例えばレジストパターンをエッチングマスクとしたエッチング処理やレジストパターンをイオン注入マスクとしたイオン注入処理等、目的とするプロセスを施し、半導体集積回路装置を製造する。図30は、本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法で製造された半導体集積回路装置の要部断面図の一例を示している。
【0054】
上記ウエハから切り出された半導体チップを構成する半導体基板(以下、単に基板という)8Sは、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型のシリコン(Si)単結晶からなり、その主面(デバイス面)には溝型の分離部9が選択的に形成されている。この溝型の分離部9は、基板8Sの主面に形成された溝内に、例えば酸化シリコン膜が埋め込まれることで形成されている。ここには、溝形の分離部(SGI(Shallow Groove Isolation)またはSTI(Shallow TrenchIsolation))が例示されているが、例えばLOCOS(Local Oxidization ofSilicon)法等によって酸化シリコン(SiO2等)膜からなる分離部を形成しても良い。また、基板8Sには、その主面から基板8Sの所定の深さに渡ってp型ウエルPWLおよびn型ウエルNWLが選択的に形成されている。p型ウエルPWLには、例えばホウ素が導入され、n型ウエルNWLには、例えばリンが導入されている。そして、このp型ウエルPWLおよびn型ウエルNWLの領域において上記分離部9に囲まれた活性領域には、nMISQnおよびpMISQpが形成されている。このnMISQnおよびpMISQpによりCMIS回路が形成されている。
【0055】
nMISQnおよびpMISQpのゲート絶縁膜10は、例えば厚さ6nm程度の酸化シリコン膜からなる。ここでいうゲート絶縁膜10の膜厚とは、二酸化シリコン換算膜厚であり、実際の膜厚と一致しない場合もある。ゲート絶縁膜10は、酸化シリコン膜に代えて酸窒化シリコン膜で構成しても良い。すなわち、ゲート絶縁膜10と基板8Sとの界面に窒素を偏析させる構造としても良い。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減したりする効果が高いので、ゲート絶縁膜10のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通し難いので、酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極材料中の不純物が基板8S側に拡散することに起因する、しきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するには、例えば基板8SをNO、NO2またはNH3といった含窒素ガス雰囲気中で熱処理すれば良い。
【0056】
nMISQnおよびpMISQpのゲート電極11は、例えば低抵抗多結晶シリコン膜上に、例えば窒化タングステン(WN)膜等のようなバリアメタル膜を介してタングステン(W)膜等のようなメタル膜を積層した構造を有する、いわゆるポリメタルゲート構造とされている。ただし、ゲート電極構造は、これに限定されるものではなく、例えば低抵抗多結晶シリコン膜の単体膜構造としても良し、例えば低抵抗多結晶シリコン膜上に、例えばチタンシリサイド(TiSix)膜またはコバルトシリサイド(CoSix)膜を積層した構造を有する、いわゆるポリサイド構造としても良い。このようなゲート電極11の側面には、例えば酸化シリコン膜からなるサイドウォール12が形成されている。また、ゲート電極11の上面には、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン(Si3N4等)膜等からなるキャップ膜13が形成されている。nMISQnおよびpMISQpのチャネルは、ゲート電極11の直下の基板8S部分に形成される。
【0057】
nMISQnのソースおよびドレイン用の半導体領域14は、n−型の半導体領域14aおよびn+型の半導体領域14bを有する、いわゆるLDD(LightlyDoped Drain)構造とされている。n−型の半導体領域14aおよびn+型の半導体領域14bには、共に、例えばリン(P)またはヒ素(As)が導入されているが、n−型の方がn+型よりも不純物濃度が低くされている。一方、pMISQpのソースおよびドレイン用の半導体領域15は、p−型の半導体領域15aおよびp+型の半導体領域15bを有する、いわゆるLDD構造とされている。p−型の半導体領域15aおよびp+型の半導体領域15bには、共に、例えばホウ素が導入されているが、p−型の方がp+型よりも不純物濃度が低くされている。
【0058】
このような基板8S上には、例えば3層の多層配線層が形成されている。多層配線層は、基板8S上に層間絶縁膜と配線層とが交互に積み重なって形成されている。第1〜第3の各配線層には、それぞれ第1〜第3層配線16L1〜16L3が形成されている。第1〜第3層配線16L1〜16L3は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム−シリコン−銅合金を主配線材料として形成されている。最下層の第1層配線16L1と基板1Sまたはゲート電極11とは、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールCNTを通じて電気的に接続されている。また、第1〜第3層配線16L1〜16L3間は、層間絶縁膜に形成されたスルーホールTHを通じて電気的に接続されている。最上の第3層配線16L3は、その表面の大半が表面保護膜17によって覆われているが、その表面保護膜17の一部が開口されて第3層配線16L3の一部が露出されている。この第3層配線16L3が表面保護膜17から露出される部分は、ボンディングワイヤまたはバンプ電極が接合される外部端子領域18である。なお、表面保護膜17は、基板8S側から順に保護膜17a〜17cが積層されてなる。最下層の護膜17aは例えば酸化シリコン膜等からなり、その上の保護膜17bは例えば窒化シリコン膜等からなり、最上層の保護膜17cは例えばポリイミド樹脂等からなる。
【0059】
以上のような本実施の形態の概要を図31に示す。本実施の形態は、リソグラフィにおける寸法制御に関する技術を主としている。その新しい考え方を実現するシステム構成は、他のプロセスおよび他の装置や工程・装置をまたがった制御を実現できるように工夫されたものである。寸法制御の目的は、微細化製品で安定した高精度の寸法制御を実現するものである。すなわち、フォーカス、露光量、マスクパターン形状および露光装置の機差(収差、他)等のような転写されるパターンの寸法への影響要因を考慮して、ベストフォーカスシフト等、露光条件の応答のパターン依存性を評価する。続いて、パターン差、装置の機差を含む応答モデルを作成する。続いて、複数の応答モデルを用いた露光条件の推定の可否、性能を評価する。続いて、評価結果が良くないときは、条件出し時に制御を考慮した最適化(パターンの選択等)を行う。評価結果が良いときは、フィードバック制御にデバイス寸法検査データを使用する。続いて、複数の実デバイス寸法の検査から各々の応答モデルを用いた着工時の露光条件を推定する。その後、着工時の露光条件の変動(解析、予測して)を補正する。
【0060】
本実施の形態では、第1に、寸法データの変動そのものからフォーカスと露光量との変動を推定してフィードバック制御する。発明者検討技術では、フォーカスを製品寸法から推定するのではなく、フォーカスは別に講じた管理方法で安定化し、露光量を調節して寸法を制御するものであるため、装置変動時に両者の整合性が確保されず、露光マージンやフォーカスマージンを劣化させるため、微細かで突発的な不良を発生させる恐れが強い。
【0061】
本実施の形態では、第2に、寸法変動のパターン依存性、装置精度依存性を補正原理に織り込み、上記誤差要因に対する制御精度を保証する。発明者検討技術では、上記誤差要因は制御モデルの誤差として、管理限界の設定や感度係数の微調という別カテゴリーの変数の調整を経験的に行う作業で補正していたが、これらの誤差が増大すると制御精度や品質の確保が保証されない。本実施の形態では、これらの静的な誤差が大きい程、制御精度が向上することができるように補正原理に織り込まれている。
【0062】
本実施の形態では、第3に、作業量の多い初期条件出しで、製品の寸法のフィードバック制御実行のモデルの作成と調整とができる一貫した枠組みを提供できる。発明者検討技術では、初期条件出しで、プロセスウィンドウの確認と確保を行い、定めた動作点を中心に寸法と制御量との相関を局所的に求めるものである。条件だし時点で制御精度を考慮して評価点の選択を行うしかけが無かったため、実質上条件出しの結果と制御モデルは無関係で精度が保証されるものではない。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば前記実施の形態においては、SEMを用いた寸法測定データを用いる場合について説明したが、その測定できるパターン形状は制限があるが、光を用いた寸法測定でも効果がある。図32は、その場合に用いるパターンの平面図の一例で、異なる周期のパターンP1,P2を対向させているもので、この寸法の相対的な変化量を測定して、露光量とフォーカスとに関連した量を計測することができる。単一の周期パターンを用いて光を用いた寸法測定を行った場合、フォーカスと露光量を同時に推定できないが、異なる周期のパターンP1,P2を用いること、及び縦方向と横方向を用いること、SEMを用いた寸法測定データで説明した原理を用いることで実効的フォーカスと実効的露光量とを推定することが可能である。
【0065】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるCMIS回路を有する半導体装置に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、例えばSRAM(Static Random Access Memory)またはフラッシュメモリ(EEPROM;Electric Erasable Programmable Read Only Memory)等のようなメモリ回路を有する半導体集積回路装置、マイクロプロセッサ等のような論理回路を有する半導体集積回路装置あるいは上記メモリ回路と論理回路とを同一半導体基板に設けている混載型の半導体集積回路装置等、種々の半導体集積回路装置の製造方法に適用できる。
【0066】
【発明の効果】
本願によって開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0067】
すなわち、本発明によれば、前記第1の方法と第2の方法とを有することにより、露光処理等のような所望の処理プロセスによって形成されるパターンの寸法精度を向上させることができるので、半導体集積回路装置の歩留まりを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォーカスずれが原因の寸法ずれを露光量で補正することの問題を説明するグラフ図である。
【図2】フォーカスの変化により寸法の露光量による変化の敏感度が変化することを示すグラフ図である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第1の方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第2の方法の説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第1の方法の説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第2の方法の説明図である。
【図7】本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法で用いるマスクのTEG領域の要部平面図である。
【図8】ベストフォーカス位置における応答曲面の説明図である。
【図9】ベストフォーカス位置における応答曲面の説明図である。
【図10】フォーカス変動の推定の説明図である。
【図11】フォーカス変動の推定の説明図である。
【図12】露光量およびフォーカスの両方ともが変化する場合まで考慮した場合の評価関数を示す説明図である。
【図13】孤立パターンと繰返しパターンとで球面収差によりベストフォーカスが変化していることを示す説明図である。
【図14】互いに直交する方向のパターン間で非点収差によりベストフォーカスに差が生じていることを示す説明図である。
【図15】像面湾曲により異なる像高に配置されたパターンでベストフォーカスに差が生じていることを示す説明図である。
【図16】ウエハ表面の凹凸によるフォーカス差の一例を示す説明図である。
【図17】本発明者が検討したAPCシステムの説明図である。
【図18】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法に用いるAPCシステムの説明図である。
【図19】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の説明図である。
【図20】露光工程において高精度化が可能な要因の分類の説明図である。
【図21】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の寸法制御における同期精度の考慮についての説明図である。
【図22】図21の変形例の半導体集積回路装置の製造方法であって多品種に共通してTEGに関する応答モデルを共有する場合の説明図である。
【図23】SEMの自動測定を行う場合の情報の流れの説明図である。
【図24】図24のSEMの自動測定を高度化した場合の情報の流れの説明図である。
【図25】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第1の方法の説明図である。
【図26】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における第2の方法の説明図である。
【図27】本発明の他の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法で用いるシステムの説明図である。
【図28】図27のシステムを用いた処理の流れの説明図である。
【図29】図27のシステムを用いた処理の流れの説明図である。
【図30】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法で製造された半導体集積回路装置の一例の要部断面図である。
【図31】本発明の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の概要の説明図である。
【図32】本発明の実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法において光を用いた寸法測定で用いる異なる周期のパターンの一例の平面図である。
【符号の説明】
1a 孤立部
1b 繰返し部
1c ヌキ部
1d ノコシ部
8S 半導体基板
9 分離部
10 ゲート絶縁膜
11 ゲート電極
12 サイドウォール
13 キャップ膜
14 半導体領域
14a n−型の半導体領域
14b n+型の半導体領域
15 半導体領域
15a p−型の半導体領域
15b p+型の半導体領域
16L1 第1層配線
16L2 第2層配線
16L3 第3層配線
17 表面保護膜
17a〜17c 保護膜
18 外部端子領域
M マスク
LE レンズ
F1〜F6 フォーカス位置
Qp pチャネル型のMIS・FET
Qn nチャネル型のMIS・FET
P1,P2 パターン
Claims (10)
- 装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群、前記装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2パラメータ群および前記装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、前記第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、前記装置の処理結果から前記第2のパラメータ群の値を推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る前記第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価とを行い、前記第2の評価関数によって、前記装置の処理条件として前記第2のパラメータ群の値を設定し、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて前記装置の処理条件の最適化処理を行うことと、前記第1の評価関数から第2のパラメータ群の推定ができるように第2のパラメータ群の調整を行う工程を有する第1の方法と、前記第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、前記第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、前記第1のモデルを用いて、前記第1の評価関数を用いて、前記第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、前記第2のモデルを用いて第1のパラメータ群の一部または全ての値を推定して前記装置の補正を行う第2の方法とを有することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の方法で、既に推定用評価関数が調整済みの入力を用いることにより、評価関数の調整を省略することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項2記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記評価関数の調整が省略可能なように複数のパターンを組み合わせたパターンを用いることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項3記載の半導体集積回路装置の製造方法において、予め用意されているパターンに対して実際の計測された出力ではなく、シミュレーションを用いることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記装置が露光装置であり、前記処理プロセスが露光処理であることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 装置に設定される設定入力と称する第1のパラメータ群、前記装置の処理プロセスの処理条件に相当する実効的入力と称する第2のパラメータ群および前記装置の処理結果の品質に相当する出力と称する第3のパラメータ群が設定され、前記第2のパラメータ群を変化させた第3のパラメータ群の応答を表現する第1のモデルを用い、前記第2のパラメータ群と第3のパラメータ群との応答を表す第1のモデルの組み合わせは、複数の異なる条件による複数の組み合わせであることを特徴とし、これら複数の組み合わせを用いて、前記装置の処理結果から第2のパラメータ群の値を推定する第1の評価関数の評価と最適な処理結果を得る第2のパラメータ群の値を設定する第2の評価関数の評価を行い、前記第2の評価関数によって、前記装置の処理条件として第2のパラメータ群の値を設定し、この第2のパラメータ群の設定値から実際の装置に設定される第1のパラメータ群の一部または全てを設定する第2のモデルを用いて前記装置の処理条件の最適化処理を行うことと、前記第1の評価関数から前記第2のパラメータ群の推定ができるように前記第2のパラメータ群の調整を行うことを特徴とする第1の方法と、前記第1の方法で設定された条件で、実際の処理を行い、前記複数の組み合わせに対し、前記第3のパラメータ群の一部または全ての検査を行って求まる第3のパラメータ群の値から、前記第1のモデルを用いて、前記第1の評価関数により、前記第2のパラメータ群の一部または全ての値を推定して、次に推定された第2のパラメータ群から、前記第2のモデルを用いて前記第1のパラメータ群の一部または全ての値を推定して前記装置の補正を行う第2の方法とを有することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項6記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の方法で、既に推定用評価関数が調整済みの入力を用いることにより、評価関数の調整を省略することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項7記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記評価関数の調整が省略可能なように複数のパターンを組み合わせたパターンを用いることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法において、予め用意されているパターンに対して実際の計測された出力ではなく、シミュレーションを用いることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
- 請求項6記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のパラメータ群は露光量とフォーカスとの設定に係るパラメータ群であり、前記第2のパラメータ群は露光量とフォーカスとの実効的入力値であり、前記第3のパラメータ群は特定のパターンの単一の寸法であり、前記第1のモデルとは露光量とフォーカスとを変化させて露光した時の寸法の変化に関するモデルであり、前記複数の組み合わせとは異なる形状や配置のパターン毎の組み合わせであり、前記第2の方法による第2のパラメータ群の推定はその複数のパターンに共通する第2のパラメータ群である露光量とフォーカスとを設定して、このパターン毎に各々の寸法について前記露光量とフォーカスとから予測される寸法と実測値との一致度を評価する第1の評価関数を用い、前記複数の組み合わせに対し最も一致度の高い露光量とフォーカスとを実際の露光時の実効的入力値として推定することであることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
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