JP2004103673A - 電波吸収放熱シート - Google Patents
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Abstract
【課題】CPU等の発熱性電子部品に好適な、電波吸収性及び放熱性の両方に優れる電波吸収放熱シートを提供する。
【解決手段】熱伝導性物質を含むシート本体11に、磁性物質を含む薄層21を積層して電波吸収放熱シート10を構成する。前記シート本体11及び前記薄層21の各マトリクス用樹脂は、同一種類の樹脂が好ましい。また、前記電波吸収放熱シート10は、CPU等の発熱性電子部品の表面に配置され、より好ましくは発熱性電子部品と放熱フィンとによって挟まれるようにして使用される。前記シート本体11では放熱性を発揮し、前記薄層21では電波吸収性を発揮する。また、前記熱伝導性物質と前記磁性物質を異なる層に分けて含ませることができるため、電波吸収放熱シートを柔軟なものにできる。
【選択図】 図2
【解決手段】熱伝導性物質を含むシート本体11に、磁性物質を含む薄層21を積層して電波吸収放熱シート10を構成する。前記シート本体11及び前記薄層21の各マトリクス用樹脂は、同一種類の樹脂が好ましい。また、前記電波吸収放熱シート10は、CPU等の発熱性電子部品の表面に配置され、より好ましくは発熱性電子部品と放熱フィンとによって挟まれるようにして使用される。前記シート本体11では放熱性を発揮し、前記薄層21では電波吸収性を発揮する。また、前記熱伝導性物質と前記磁性物質を異なる層に分けて含ませることができるため、電波吸収放熱シートを柔軟なものにできる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波吸収放熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CPU(MPUとも称される)等の電子部品を用いる電子機器の急激な広まりによって、電子機器から放出される電磁波の影響が問題となってきており、その電磁波の影響を防ぐ必要が生じてきた。そこで、電磁波の影響を防ぐための電波吸収体として、非磁性体の片面又は両面に磁性層を設けたものなどが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−74297号公報
【特許文献2】
特開2001−60791号公報
【0004】
また、近年の電子部品の中には、処理能力の増大にしたがい発熱量が増加し、その発熱量の増大による温度上昇で悪影響を受けるものがあるため、そのような電子部品に対して放熱性を高める必要が生じてきた。そこで、電波吸収性と放熱性の両方を備える電波吸収放熱シートが望まれるようになってきた。
【0005】
前記電波吸収放熱シートとして、磁性体粉等の電波吸収物質と、アルミナ粉等の熱伝導性物質との両方を、シリコーンゴムやアクリルゴム等のマトリクス用樹脂に配合し、シート状に形成したものが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記電波吸収物質と熱伝導性物質の両方をマトリクス用樹脂に配合した電波吸収放熱シートにおいて、電波吸収性を高めるには電波吸収物質の配合量を多くし、また放熱性を高めるには放熱性物質の配合量を多くする必要がある。ところが、前記電波吸収物質の配合量を大にすると、得られる電波吸収放熱シートは熱伝導性(放熱性)が低下するのみならず、充填物質(電波吸収物質及び放熱性物質等)の総配合量増大によって硬くなり、電子部品の表面に対する密着性が損なわれて、ますます放熱性が低下するようになる。そのため、前記の電波吸収放熱シートでは、電波吸収性と放熱性の両方について充分な性能を得ることが難しい問題がある。
【0007】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、電波吸収性及び放熱性の両方に優れる電波吸収放熱シートを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体と磁性物質を含む樹脂製薄層との積層体からなる電波吸収放熱シートに係る。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体及び前記磁性物質を含む樹脂製薄層の各マトリクス用樹脂が同一種類であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、電波放出面に、前記熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体を載置したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係る電波吸収放熱シート10の斜視図、図2は図1の2−2拡大断面図である。前記電波吸収放熱シート10は、シート本体11と薄層21との積層体からなり、CPU等の電子部品と放熱フィン等の放熱器との間に、前記シート本体11を電子部品側として配置、すなわち電波放出面に載置するのに好適なものである。前記電波吸収放熱シート10の平面視サイズは、電子部品等に合わせて適宜決定される。
【0012】
前記シート本体11は、マトリクス用樹脂に熱伝導性物質を含有させ、前記マトリクス用樹脂を硬化させた樹脂製のシートからなり、厚みは適宜とされるが、通常0.5〜5mmとされる。前記シート本体11のマトリクス用樹脂としては、この電波吸収放熱シート10の製造時には液状またはゲル状で、その後の加熱等によって架橋あるいは固体化する熱硬化樹脂あるいは溶剤等で流動化され、揮発硬化する熱可塑性樹脂が好ましい。前記熱硬化樹脂としては、付加型、縮合系のシリコーンゴム、ウレタンゲル等を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂エマルジョンを加熱して得られるアクリル樹脂等を挙げることができる。特には前記付加型シリコーンゴムをマトリクス用樹脂とするシート本体が好適である。前記シリコーンゴムは耐熱性に優れ、しかも柔軟性があるため、前記シート本体11が、電子部品表面に密着し易くなって、前記シート本体11への電子部品からの熱伝導性が良好になり、放熱性が増大する。
【0013】
前記シート本体11に含まれる熱伝導性物質としては、アルミナ、マグネシア、窒化アルミ、窒化ボロン、又はアルミ、フェライト等の金属単体、あるいはそれらの混合物が粉体で使用される。前記熱伝導性物質の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。また、前記熱伝導性物質の量は、適宜とされるが、前記シート本体11のマトリクス用樹脂100体積部に対して50〜300体積部が好ましい。前記範囲より少ないと前記シート本体11の放熱性効果が低くなり、また、前記範囲より多いと、前記シート本体11における熱伝導性が、それほど増大しないのみならず、成形性が悪化したり、硬度が高くなったりするなどの問題を生じる。
【0014】
さらに、前記シート本体11のマトリクス用樹脂には前記熱伝導性物質の他に磁性物質を適量混合してもよい。前記磁性物質としては、フェライト、軟磁性体(カルボニル鉄)等の磁性体粉が用いられる。磁性体粉の平均粒子径は、0.5μm〜500μmの粒子径が好ましく、特には1μm〜100μmの粒子径が最適である。本発明では、後述のように前記磁性物質を薄層21に含ませるため、前記シート本体11における磁性物質の量は、零又は含む場合でも少なくすることができる。したがって、電子部品等との密着性が損なわれない。また、伝熱性が低下することもない。
【0015】
前記薄層21は電波吸収層を構成するものであって、マトリクス用樹脂に磁性物質を含有させ、前記マトリクス用樹脂を硬化させた層(膜)状のものからなる。前記薄層21の厚みは、前記シート本体11よりも薄くされ、通常10〜500μmとされるが、中でも50〜200μmが、電波吸収特性及び伝熱特性の両方において好ましい。
【0016】
前記薄層21のマトリクス用樹脂は、適宜の樹脂とされるが、それらの中でも、この電波吸収放熱シート10の製造時において液状またはゲル状で、その後の加熱等によって架橋あるいは固体化する熱硬化樹脂あるいは熱可塑性樹脂が好ましい。前記熱硬化樹脂としては、付加型、縮合系のシリコーンゴム、ウレタンゲル等を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂エマルジョンを加熱して得られるアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0017】
また、前記磁性物質としては、フェライト、軟磁性体(カルボニル鉄)等の磁性体粉が用いられる。磁性体粉の平均粒子径は、0.5μm〜500μmの粒子径が好ましく、特には1μm〜100μmの粒子径が最適である。前記磁性物質の量は、前記薄層21のマトリクス用樹脂100体積部に対して10〜100体積部が好ましいが、さらには前記薄層21のマトリクス用樹脂と磁性物質との混合材料が、粘度50〜10000cpとなる量とすれば、前記薄層21を後述の塗布形成で前記シート本体11に一体形成する作業が容易になる。
【0018】
前記薄層21の形成及び前記シート本体11との一体化は、前記薄層21のマトリクス用樹脂に前記磁性物質を混合した薄層形成混合材料を、前記シート本体11の表面にロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の塗布方法で直接塗布して加熱等により硬化させるか、予め形成しておいた前記薄層21を、接着剤で前記シート本体11の表面に接着することにより行うことができる。前記薄層形成混合材料を前記シート本体11の表面へ塗布して前記薄層21と前記シート本体11の一体化を行う場合、前記薄層21と前記シート本体11のマトリクス用樹脂を互いに同一種類の材質、好ましくは前記シリコーンゴムに設定すれば、前記シート本体11と前記薄層21との一体化が一層確実になる。また、前記接着による場合の接着剤としては、柔軟性があり、しかも熱伝導性及び電波吸収性の低下が少ないもの、例えばシリコーン系接着剤が好適である。
【0019】
なお、前記説明では、前記シート本体11と前記薄層21との2層構造のものを説明したが、本発明はそれに限られるものではなく、前記薄層21の表面にメッキ等により金属層を設けたりしてもよい。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
・シート本体の形成
シート本体のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TSE3070、GE東芝シリコーン製)100体積部に、熱伝導性物質としてアルミナ(AS−30、昭和電工製)125.3体積部をヘンシェルミキサーで混合分散させ、厚み1.5mmのシート状にしてオーブンで150℃、30分間加熱し、硬化させてシート本体を形成した。得られたシート本体の熱伝導率を熱伝導率計(QTM−500、京都電子工業株式会社製)で測定したところ1.4w/mkであり、またアスカーC硬度(日本ゴム協会標準規格)は40であった。
【0021】
・薄層の形成
薄層のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TES3033、GE東芝シリコーン製)100体積部に、磁性物質として平均粒子径20μmのカルボニル鉄(BASF製)19体積部をヘンシェルミキサーで混合し、分散させて薄層形成混合材料を調製した。この薄層形成混合材料をロールコーターにより前記シート本体の上面に厚み70μmで塗布し、その後オーブンで150℃、10分間加熱し、硬化させることにより、前記シート本体上に薄層を一体に形成し、実施例1の電波吸収放熱シートを得た。
【0022】
(実施例2)
・シート本体の形成
シート本体のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TSE3070、GE東芝シリコーン製)100体積部に、熱伝導性物質としてアルミナ(AS−30、昭和電工製)63.3体積部、磁性物質として平均粒子径20μmのカルボニル鉄(BASF製)101.3体積部をヘンシェルミキサーで混合分散させ、厚み1.5mmのシート状にしてオーブンで150℃、30分間加熱し、硬化させてシート本体を形成した。得られたシート本体の熱伝導率を熱伝導率計(QTM−500、京都電子工業株式会社製)で測定したところ2.5w/mkであり、またアスカーC硬度(日本ゴム協会標準規格)は55であった。
【0023】
・薄層の形成
薄層のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TES3033、GE東芝シリコーン製)100体積部に、磁性物質として平均粒子径20μmのカルボニル鉄(BASF製)19体積部をヘンシェルミキサーで混合し、分散させて薄層形成混合材料を調製した。この薄層形成混合材料をロールコーターにより前記シート本体の上面に厚み70μmで塗布し、その後オーブンで150℃、10分間加熱し、硬化させることにより、前記シート本体上に薄層を一体に形成し、実施例2の電波吸収放熱シートを得た。
【0024】
また、比較のために、前記実施例1のシート本体(磁性物質を含まず熱伝導性物質を含むもの)のみからなる一層の比較例1と、前記実施例2のシート本体(磁性物質と熱伝導性物質の両方を含むもの)のみからなる一層の比較例2と、厚み1.5mmのシリコーンゴムシート(熱伝導性物質及び磁性物質の両方とも含まないもの)の片面に実施例1及び実施例2と同じ薄層形成混合材料を塗布し、加熱硬化させてシリコーンゴム層に薄層が積層された二層構造からなる比較例3のシートを得た。このようにして得られた比較例1、比較例2のシートについて、また比較例3のシリコーンゴムシートについて、それぞれ熱伝導率と硬度を測定した。なお、比較例1及び比較例2の硬度はアスカーC硬度(日本ゴム協会標準規格)で測定し、比較例3の硬度はJIS A硬度(JIS K 6301準拠)で測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0025】
さらに、VCCI(3m)法(VCCI(郵政省電気通信技術審議会諮問第3号に対する一部答申))にしたがい、CPU(駆動クロック300MHz)の内蔵された電子情報機器を電波暗室内に静置し、前記CPUの上面を、前記実施例及び比較例の電波吸収放熱シートで覆ってCPUを作動させ、1.2GHzと1.5GHzで放射電界強度を測定した。なお、その際、各実施例の薄層及び比較例3の薄層が外面側を、また各実施例のシート本体及び比較例3のシリコーンゴム層がCPU側を向く(すなわち電波放出面に載置される)ようにした。測定結果を表1に示す。表1における放射電解強度の値は、低いほど電波吸収性が良好であることを示す。
【0026】
さらにまた、前記各実施例品と各比較例品をそれぞれ同一環境でCPUとフィン式放熱器間に挟み、CPUを稼働させてCPUの表面温度を測定した。その結果についても表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から明らかなように、実施例1及び実施例2は、シートに電波吸収用の薄層を設けていない比較例1及び比較例2、磁性物質を含まないシリコーンゴムシートに電波吸収用の薄層をコートした比較例3の場合と比べ、漏洩電波が約2〜7dB減少した。また、CPU表面の温度については、CPUとフィン式放熱器を直接密着させた場合及び磁性物質を含まないシリコーンゴムシートに電波吸収用の薄層をコートした比較例3の場合と比べ、実施例1及び実施例2の場合は約35〜55℃低くなった。さらに、実施例1及び実施例2の電波吸収放熱シートは柔軟性を有するものであった。
【0029】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、本発明の電波吸収放熱シートによれば、電波吸収性及び放熱性のいずれも良好となり、CPUのような発熱性の電子部品等の放射電波を抑え、発熱による性能低下を効率的に抑えることができる。しかも、本発明の電波吸収放熱シートは、柔軟性を有し、CPU等の表面に密着させることができるため優れた放熱性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の電波吸収放熱シートの斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【符号の説明】
10 電波吸収放熱シート
11 シート本体
21 薄層
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波吸収放熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CPU(MPUとも称される)等の電子部品を用いる電子機器の急激な広まりによって、電子機器から放出される電磁波の影響が問題となってきており、その電磁波の影響を防ぐ必要が生じてきた。そこで、電磁波の影響を防ぐための電波吸収体として、非磁性体の片面又は両面に磁性層を設けたものなどが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−74297号公報
【特許文献2】
特開2001−60791号公報
【0004】
また、近年の電子部品の中には、処理能力の増大にしたがい発熱量が増加し、その発熱量の増大による温度上昇で悪影響を受けるものがあるため、そのような電子部品に対して放熱性を高める必要が生じてきた。そこで、電波吸収性と放熱性の両方を備える電波吸収放熱シートが望まれるようになってきた。
【0005】
前記電波吸収放熱シートとして、磁性体粉等の電波吸収物質と、アルミナ粉等の熱伝導性物質との両方を、シリコーンゴムやアクリルゴム等のマトリクス用樹脂に配合し、シート状に形成したものが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記電波吸収物質と熱伝導性物質の両方をマトリクス用樹脂に配合した電波吸収放熱シートにおいて、電波吸収性を高めるには電波吸収物質の配合量を多くし、また放熱性を高めるには放熱性物質の配合量を多くする必要がある。ところが、前記電波吸収物質の配合量を大にすると、得られる電波吸収放熱シートは熱伝導性(放熱性)が低下するのみならず、充填物質(電波吸収物質及び放熱性物質等)の総配合量増大によって硬くなり、電子部品の表面に対する密着性が損なわれて、ますます放熱性が低下するようになる。そのため、前記の電波吸収放熱シートでは、電波吸収性と放熱性の両方について充分な性能を得ることが難しい問題がある。
【0007】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、電波吸収性及び放熱性の両方に優れる電波吸収放熱シートを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体と磁性物質を含む樹脂製薄層との積層体からなる電波吸収放熱シートに係る。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体及び前記磁性物質を含む樹脂製薄層の各マトリクス用樹脂が同一種類であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、電波放出面に、前記熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体を載置したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係る電波吸収放熱シート10の斜視図、図2は図1の2−2拡大断面図である。前記電波吸収放熱シート10は、シート本体11と薄層21との積層体からなり、CPU等の電子部品と放熱フィン等の放熱器との間に、前記シート本体11を電子部品側として配置、すなわち電波放出面に載置するのに好適なものである。前記電波吸収放熱シート10の平面視サイズは、電子部品等に合わせて適宜決定される。
【0012】
前記シート本体11は、マトリクス用樹脂に熱伝導性物質を含有させ、前記マトリクス用樹脂を硬化させた樹脂製のシートからなり、厚みは適宜とされるが、通常0.5〜5mmとされる。前記シート本体11のマトリクス用樹脂としては、この電波吸収放熱シート10の製造時には液状またはゲル状で、その後の加熱等によって架橋あるいは固体化する熱硬化樹脂あるいは溶剤等で流動化され、揮発硬化する熱可塑性樹脂が好ましい。前記熱硬化樹脂としては、付加型、縮合系のシリコーンゴム、ウレタンゲル等を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂エマルジョンを加熱して得られるアクリル樹脂等を挙げることができる。特には前記付加型シリコーンゴムをマトリクス用樹脂とするシート本体が好適である。前記シリコーンゴムは耐熱性に優れ、しかも柔軟性があるため、前記シート本体11が、電子部品表面に密着し易くなって、前記シート本体11への電子部品からの熱伝導性が良好になり、放熱性が増大する。
【0013】
前記シート本体11に含まれる熱伝導性物質としては、アルミナ、マグネシア、窒化アルミ、窒化ボロン、又はアルミ、フェライト等の金属単体、あるいはそれらの混合物が粉体で使用される。前記熱伝導性物質の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。また、前記熱伝導性物質の量は、適宜とされるが、前記シート本体11のマトリクス用樹脂100体積部に対して50〜300体積部が好ましい。前記範囲より少ないと前記シート本体11の放熱性効果が低くなり、また、前記範囲より多いと、前記シート本体11における熱伝導性が、それほど増大しないのみならず、成形性が悪化したり、硬度が高くなったりするなどの問題を生じる。
【0014】
さらに、前記シート本体11のマトリクス用樹脂には前記熱伝導性物質の他に磁性物質を適量混合してもよい。前記磁性物質としては、フェライト、軟磁性体(カルボニル鉄)等の磁性体粉が用いられる。磁性体粉の平均粒子径は、0.5μm〜500μmの粒子径が好ましく、特には1μm〜100μmの粒子径が最適である。本発明では、後述のように前記磁性物質を薄層21に含ませるため、前記シート本体11における磁性物質の量は、零又は含む場合でも少なくすることができる。したがって、電子部品等との密着性が損なわれない。また、伝熱性が低下することもない。
【0015】
前記薄層21は電波吸収層を構成するものであって、マトリクス用樹脂に磁性物質を含有させ、前記マトリクス用樹脂を硬化させた層(膜)状のものからなる。前記薄層21の厚みは、前記シート本体11よりも薄くされ、通常10〜500μmとされるが、中でも50〜200μmが、電波吸収特性及び伝熱特性の両方において好ましい。
【0016】
前記薄層21のマトリクス用樹脂は、適宜の樹脂とされるが、それらの中でも、この電波吸収放熱シート10の製造時において液状またはゲル状で、その後の加熱等によって架橋あるいは固体化する熱硬化樹脂あるいは熱可塑性樹脂が好ましい。前記熱硬化樹脂としては、付加型、縮合系のシリコーンゴム、ウレタンゲル等を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂エマルジョンを加熱して得られるアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0017】
また、前記磁性物質としては、フェライト、軟磁性体(カルボニル鉄)等の磁性体粉が用いられる。磁性体粉の平均粒子径は、0.5μm〜500μmの粒子径が好ましく、特には1μm〜100μmの粒子径が最適である。前記磁性物質の量は、前記薄層21のマトリクス用樹脂100体積部に対して10〜100体積部が好ましいが、さらには前記薄層21のマトリクス用樹脂と磁性物質との混合材料が、粘度50〜10000cpとなる量とすれば、前記薄層21を後述の塗布形成で前記シート本体11に一体形成する作業が容易になる。
【0018】
前記薄層21の形成及び前記シート本体11との一体化は、前記薄層21のマトリクス用樹脂に前記磁性物質を混合した薄層形成混合材料を、前記シート本体11の表面にロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の塗布方法で直接塗布して加熱等により硬化させるか、予め形成しておいた前記薄層21を、接着剤で前記シート本体11の表面に接着することにより行うことができる。前記薄層形成混合材料を前記シート本体11の表面へ塗布して前記薄層21と前記シート本体11の一体化を行う場合、前記薄層21と前記シート本体11のマトリクス用樹脂を互いに同一種類の材質、好ましくは前記シリコーンゴムに設定すれば、前記シート本体11と前記薄層21との一体化が一層確実になる。また、前記接着による場合の接着剤としては、柔軟性があり、しかも熱伝導性及び電波吸収性の低下が少ないもの、例えばシリコーン系接着剤が好適である。
【0019】
なお、前記説明では、前記シート本体11と前記薄層21との2層構造のものを説明したが、本発明はそれに限られるものではなく、前記薄層21の表面にメッキ等により金属層を設けたりしてもよい。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
・シート本体の形成
シート本体のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TSE3070、GE東芝シリコーン製)100体積部に、熱伝導性物質としてアルミナ(AS−30、昭和電工製)125.3体積部をヘンシェルミキサーで混合分散させ、厚み1.5mmのシート状にしてオーブンで150℃、30分間加熱し、硬化させてシート本体を形成した。得られたシート本体の熱伝導率を熱伝導率計(QTM−500、京都電子工業株式会社製)で測定したところ1.4w/mkであり、またアスカーC硬度(日本ゴム協会標準規格)は40であった。
【0021】
・薄層の形成
薄層のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TES3033、GE東芝シリコーン製)100体積部に、磁性物質として平均粒子径20μmのカルボニル鉄(BASF製)19体積部をヘンシェルミキサーで混合し、分散させて薄層形成混合材料を調製した。この薄層形成混合材料をロールコーターにより前記シート本体の上面に厚み70μmで塗布し、その後オーブンで150℃、10分間加熱し、硬化させることにより、前記シート本体上に薄層を一体に形成し、実施例1の電波吸収放熱シートを得た。
【0022】
(実施例2)
・シート本体の形成
シート本体のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TSE3070、GE東芝シリコーン製)100体積部に、熱伝導性物質としてアルミナ(AS−30、昭和電工製)63.3体積部、磁性物質として平均粒子径20μmのカルボニル鉄(BASF製)101.3体積部をヘンシェルミキサーで混合分散させ、厚み1.5mmのシート状にしてオーブンで150℃、30分間加熱し、硬化させてシート本体を形成した。得られたシート本体の熱伝導率を熱伝導率計(QTM−500、京都電子工業株式会社製)で測定したところ2.5w/mkであり、またアスカーC硬度(日本ゴム協会標準規格)は55であった。
【0023】
・薄層の形成
薄層のマトリクス用樹脂としてシリコーンゴム(TES3033、GE東芝シリコーン製)100体積部に、磁性物質として平均粒子径20μmのカルボニル鉄(BASF製)19体積部をヘンシェルミキサーで混合し、分散させて薄層形成混合材料を調製した。この薄層形成混合材料をロールコーターにより前記シート本体の上面に厚み70μmで塗布し、その後オーブンで150℃、10分間加熱し、硬化させることにより、前記シート本体上に薄層を一体に形成し、実施例2の電波吸収放熱シートを得た。
【0024】
また、比較のために、前記実施例1のシート本体(磁性物質を含まず熱伝導性物質を含むもの)のみからなる一層の比較例1と、前記実施例2のシート本体(磁性物質と熱伝導性物質の両方を含むもの)のみからなる一層の比較例2と、厚み1.5mmのシリコーンゴムシート(熱伝導性物質及び磁性物質の両方とも含まないもの)の片面に実施例1及び実施例2と同じ薄層形成混合材料を塗布し、加熱硬化させてシリコーンゴム層に薄層が積層された二層構造からなる比較例3のシートを得た。このようにして得られた比較例1、比較例2のシートについて、また比較例3のシリコーンゴムシートについて、それぞれ熱伝導率と硬度を測定した。なお、比較例1及び比較例2の硬度はアスカーC硬度(日本ゴム協会標準規格)で測定し、比較例3の硬度はJIS A硬度(JIS K 6301準拠)で測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0025】
さらに、VCCI(3m)法(VCCI(郵政省電気通信技術審議会諮問第3号に対する一部答申))にしたがい、CPU(駆動クロック300MHz)の内蔵された電子情報機器を電波暗室内に静置し、前記CPUの上面を、前記実施例及び比較例の電波吸収放熱シートで覆ってCPUを作動させ、1.2GHzと1.5GHzで放射電界強度を測定した。なお、その際、各実施例の薄層及び比較例3の薄層が外面側を、また各実施例のシート本体及び比較例3のシリコーンゴム層がCPU側を向く(すなわち電波放出面に載置される)ようにした。測定結果を表1に示す。表1における放射電解強度の値は、低いほど電波吸収性が良好であることを示す。
【0026】
さらにまた、前記各実施例品と各比較例品をそれぞれ同一環境でCPUとフィン式放熱器間に挟み、CPUを稼働させてCPUの表面温度を測定した。その結果についても表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から明らかなように、実施例1及び実施例2は、シートに電波吸収用の薄層を設けていない比較例1及び比較例2、磁性物質を含まないシリコーンゴムシートに電波吸収用の薄層をコートした比較例3の場合と比べ、漏洩電波が約2〜7dB減少した。また、CPU表面の温度については、CPUとフィン式放熱器を直接密着させた場合及び磁性物質を含まないシリコーンゴムシートに電波吸収用の薄層をコートした比較例3の場合と比べ、実施例1及び実施例2の場合は約35〜55℃低くなった。さらに、実施例1及び実施例2の電波吸収放熱シートは柔軟性を有するものであった。
【0029】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、本発明の電波吸収放熱シートによれば、電波吸収性及び放熱性のいずれも良好となり、CPUのような発熱性の電子部品等の放射電波を抑え、発熱による性能低下を効率的に抑えることができる。しかも、本発明の電波吸収放熱シートは、柔軟性を有し、CPU等の表面に密着させることができるため優れた放熱性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の電波吸収放熱シートの斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【符号の説明】
10 電波吸収放熱シート
11 シート本体
21 薄層
Claims (3)
- 熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体と磁性物質を含む樹脂製薄層との積層体からなる電波吸収放熱シート。
- 前記熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体及び前記磁性物質を含む樹脂製薄層の各マトリクス用樹脂が同一種類であることを特徴とする請求項1に記載の電波吸収放熱シート。
- 電波放出面に、前記熱伝導性物質を含む樹脂製シート本体を載置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電波吸収放熱シート。
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Cited By (3)
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JP2007035699A (ja) * | 2005-07-22 | 2007-02-08 | Bridgestone Corp | 電磁波吸収体用硬化性組成物、その製造方法及び電磁波吸収体 |
JP2008112903A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 実装基板の製造方法、部品実装機 |
JP2008303324A (ja) * | 2007-06-08 | 2008-12-18 | Bando Chem Ind Ltd | ゴム組成物、ゴム成形体、放熱シート及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-09-06 JP JP2002260816A patent/JP2004103673A/ja active Pending
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