JP2004101904A - 画像定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速運転しても安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない画像が得られ、さらに、高速化、カラー化を容易に実現できる画像定着装置を提供すること。
【解決手段】定着部材と、定着部材に圧接される加圧部材と、を備え、前記定着部材及び前記加圧部材で形成されるニップ域に、未定着トナー像が担持された記録シートを通過させ、熱及び圧力により、前記未定着トナー像を定着させる画像定着装置であって、定着部材及び加圧部材の少なくとも一方が、フィルムベルトからなり、フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを、そのフィルムベルト内側及び外側に位置する2つの末端辺がベルト肉厚方向に略一致し且つフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなすように、巻回して積層してなり、フィルムベルトを、その回転方向が巻回し方向と同じとなるよう配設した、ことを特徴とする画像定着装置である。
【選択図】 なし
【解決手段】定着部材と、定着部材に圧接される加圧部材と、を備え、前記定着部材及び前記加圧部材で形成されるニップ域に、未定着トナー像が担持された記録シートを通過させ、熱及び圧力により、前記未定着トナー像を定着させる画像定着装置であって、定着部材及び加圧部材の少なくとも一方が、フィルムベルトからなり、フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを、そのフィルムベルト内側及び外側に位置する2つの末端辺がベルト肉厚方向に略一致し且つフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなすように、巻回して積層してなり、フィルムベルトを、その回転方向が巻回し方向と同じとなるよう配設した、ことを特徴とする画像定着装置である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録シート上に担持されている未定着トナー像を加熱してシート面に定着(固着)させる画像定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写装置、プリンタ、ファクシミリ等のハードコピー装置において、印刷用紙等の記録シート上に形成したトナー像を、加熱してシート上に固着させるための画像定着装置は広く実用化されている。画像定着装置には種々の動作原理のものが提案されているが、最も多く採用されているものは、所定の温度に維持された定着ローラと、弾性層が表面に設けられている加圧ローラの間でシートを送りつつ加熱して定着する熱ローラ方式である。
【0003】
情報化社会の進展と共に、電子写真装置の高速化や高画質化・カラー化への要請は高まる一方であるが、それに伴い画像定着装置でのトナーの融解定着速度を高める必要がある。そのために、熱ローラ定着装置においては、熱容量を大きくして定着における温度変動を少なくするためや、高い圧力でローラを圧着して定着ニップを広げるために、ローラを大きくすることが行われている。熱定着ローラ装置での電力消費量は多大なものがあり、そのため装置を使用しない時はローラの温度を下げることが行われているが、ローラを大きくし、熱容量を大きくすると定着温度に昇温する時間が長くなる問題があった。
【0004】
この問題を避ける方法として、例えば、耐熱樹脂フィルムをベルト状にし、それを介して加熱装置によりシート(記録媒体)を加熱することが提案(例えば特開昭59−68766号公報など)されている。また、加熱定着ロールとフィルムベルトによりベルトニップを形成し熱損失を低減することが提案(例えば特開平8−262903号公報など)されている。耐熱樹脂フィルムベルトとしては、通常ポリイミド樹脂の前駆体の有機溶剤溶液を金型に塗布して乾燥、熱処理して成形する方法で製造されるポリイミド樹脂の円筒状成型品が用いられる。
【0005】
また、熱可塑性フィルムを巻回しフィルムベルト基材が提案(例えば特開平8−187773号公報など)されているが、耐熱性が不足し引張り張力が掛かる定着フィルムベルトには耐久性に問題があった。また、非可塑性のチューブ上に接着剤としてポリアミドイミド等のイミド系接着剤を用いたフィルムベルトでは、曲げ応力が大きくかかる小径ローラで使用すると、接着剤に可撓性が不足しているために層間ハガレを発生する問題があった。
【0006】
また、シート状薄膜フィルムを渦巻き状に複数積層させて、精度良く肉厚を大きくし強度の強いエンドレスベルト(フィルムベルト)が提案(例えば特開2000−98772公報など)されており、これにより、ニップ圧を大きくさせ、画像の乱れの防止や、装置の高速化を実現している。
【0007】
【特許文献1】
特開昭59−68766号公報
【特許文献2】
特開平8−262903号公報
【特許文献3】
特開平8−187773号公報
【特許文献4】
特開2000−98772公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
定着装置に用いるフィルムベルトとして、直接金型に前駆体溶液を塗布して製造するベルトは、金型へ樹脂溶液を均一に塗布することが困難であり、フィルムの厚みむらの少ないベルトを製造しにくいほか、金型上で成型した後に機械的特性を改良するための緊張処理や、残留する歪みを除去するための弛緩熱処理などを施すことが困難であるという問題がある。一方、フィルムベルトとして、耐熱樹脂フィルムを巻回して積層したベルトは、緊張処理、熱固定処理などを受けて寸法安定性や機械的特性が改良されており、また厚み精度も高精度のものが製造されている。
【0009】
しかし、樹脂フィルムをつなぎ合わせて(巻き回して積層させて)ベルト状に加工する方法の問題点は、そのつなぎ部分(内壁に位置する末端辺)がフィルムの重なりや接着剤などのために厚くなることで、肉厚が不均一になり、運転時にベルトが蛇行したり、フィルムベルト内壁の段差とその支持部材とが干渉し異音・振動が発生したりして、終にはフィルムベルト自体が破壊されてしまうなどの問題があり、特に高速運転するにおいて顕著である。
【0010】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、高速運転しても安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない画像が得られ、さらに、高速化、カラー化を容易に実現できる画像定着装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1)定着部材と、前記定着部材に圧接される加圧部材と、を備え、前記定着部材及び前記加圧部材で形成されるニップ域に、未定着トナー像が担持された記録シートを通過させ、熱及び圧力により、前記未定着トナー像を定着させる画像定着装置であって、
前記定着部材及び前記加圧部材の少なくとも一方が、フィルムベルトからなり、
前記フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを、その前記フィルムベルト内側及び外側に位置する2つの末端辺がベルト肉厚方向に略一致し且つフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなすように、巻回して積層してなり、
前記フィルムベルトを、その回転方向が巻回し方向と同じとなるよう配設した、
ことを特徴とする画像定着装置。
【0012】
(2) 前記フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを巻回し、その2つの末端辺がフィルムベルト周方向に対して85°以下の角度をなして積層されてなることを特徴とする前記(1)に記載の画像定着装置。
【0013】
(3) 前記フィルムベルトの外周面に、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、またはフッ素系ゴムからなる最外層が設けられてなることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の画像定着装置。
【0014】
(4) 前記フィルムベルトは、ポリイミド樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像定着装置。
【0015】
(5) 前記フィルムベルトは、接着剤により接着されて積層されてなり、当該接着剤がエポキシ樹脂またはシリコーン系樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像定着装置。
【0016】
(6) 前記記録シート上に担持された未定着トナー像を加熱定着した後、定着された記録シートを100℃以下まで冷却させる冷却手段を備えることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像定着装置。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像定着装置は、少なくとも一方が、後述するフィルムベルトから構成される定着部材及び加圧部材で形成されるニップ域に、未定着トナー像が担持された記録シートを通過させ、熱及び圧力により、前記未定着トナー像を定着させる装置である。まず、フィルムベルトから説明する。
【0018】
フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを巻回して積層させて筒状に形成されてなる。具体的は、フィルムベルトは、図1〜3に示すように、その長手方向末端辺が長手方向に対して角度をなすようにカットされたシート状の耐熱樹脂フィルムを巻回し、筒状に形成したとき、フィルムベルト内側及び外側に位置するシート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺をベルト肉厚方向に略一致させている。また、シート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺は、フィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなしている。そして、フィルムベルトは、巻き回し方向に回転するように装置内に配設される。なお、図1〜3中、1は、フィルムベルトを示し、2はシート状の耐熱性樹脂フィルムを示す。
【0019】
このフィルムベルトでは、シート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺をベルト肉厚方向に略一致させることで、フィルム末端の厚み段差やフィルム積層数に伴うベルト肉厚の不均一さを極力抑える。さらに2つの長手方向末端辺をフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をつけ、且つ巻き回し方向と同じ回転方向になるように装置内に配設させることで、フィルム末端の厚み段差やフィルム積層数に伴うベルト肉厚の不均一さに起因する、ベルトの内壁と当該ベルト内壁から支持する支持部材などとの干渉を抑制させる。このため、高速運転しても、安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない画像がえられ、電子写真などの画像定着装置の高速化、カラー化を容易に実現できる。
【0020】
フィルムベルトにおいて、フィルムベルト内側及び外側に位置するシート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺が、フィルムベルト週方向の直交方向に対して角度をなしているが、これをフィルムベルト周方向に対してなす角度として具体的に表すと、85°以下であることが好ましい。この角度とは、末端辺がフィルムベルト周方向に対してなす、鋭角側の角度であり、これが小さすぎるとベルト成形が困難と成り易く、大きすぎると、支持部材などとの干渉抑制効果が低減しにくくなる。
【0021】
フィルムベルトは、シート状の耐熱性樹脂フィルムを巻回して積層させて形成されるが、この巻回し回数、即ちフィルム積層数としては、少なくとも2層以上であれば特に制限されず、所望とするフィルムベルトの肉厚や、シート状フィルムの厚みに応じて適宜選択することができる。
【0022】
シート状耐熱性樹脂フィルムの厚みとしては、5から50μm、好ましくは5から25μm程度に選ばれるが、本発明の目的を損なわない限りこれに制限されるものではない。耐熱樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド樹脂のフィルムであるカプトン(東レ・デュポン社製)、ユーピレックス(宇部興産社製)等:パラ系アラミド樹脂のフィルムであるアラミカ(旭化成工業社製)、ミクトロン(東レ社製):が市販されており、これらが好ましく用いられる。中でもポリイミド樹脂のフィルムは高い弾性率、強度を持つため、ベルトの剛性が高く、薄手の物が安定に用いられる点で好ましい。ほかには、ポリパラベンゾビスイミダゾール、ポリパラベンゾビスオキサゾール、ポリパラベンゾビスチアゾール等の樹脂が開発されており、それらのフィルムが実用化されれば本発明を実施する上で好ましく用いられる。
【0023】
シート状の耐熱性樹脂フィルムには、表面の接着力向上の為にプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、プラズマ処理や、化学的物理的エッチング処理等の表面処理を施すことも好ましい。
【0024】
フィルムベルトは、通常、接着剤により、シート状の耐熱性樹脂フィルムを巻き回して接着し積層させるが、ここで接着剤としては、シリコーンゴム系、エポキシ系が好ましい。接着剤としては、アクリル樹脂系やポリイミド系も使用使用可能であるが、アクリル樹脂系やでは本発明の画像定着装置に用いる上で必要とする耐熱性が不足し、またポリイミド系では繰り返し受ける屈曲に耐えないことがある。
【0025】
フィルムベルトには、上記シート状フィルムを巻回し積層したベルトを基材として、この外周面に、トナーとの離形性を付与するために、シリコンゴムやシリコン樹脂またはフッ素樹脂層やフッ素系ゴムからなる最外層が形成させるが好適である。フッ素樹脂としてはFEP、PFAが好ましく用いられる。これらの最外層には、カーボンブラック、顔料、滑材、耐磨耗材などの添加剤を、改質のために添加することも好ましい実施態様である。
【0026】
フィルムベルトを成形する方法としては、円柱状や円筒状の金属支持体上に、シート状フィルムの一端辺を仮止し巻き重ね、シート状フィルム同士が重なり合うところより接着剤をシート状フィルム間に投入して接着する方法:シート状フィルムと接着性樹脂フィルムとを重ね合わせて円柱状や円筒状の金属支持体状に巻き重ね、次いで接着性樹脂の溶融温度または硬化温度以上の温度で加熱して、シート状フィルムと接着性樹脂の界面を密着した後、必要な幅にトリミングする方法などが挙げられる。
【0027】
フィルムベルトにおいては、必要であれば、シート状フィルムの2つの長手方向末端辺による厚み段差を研削しテーパ状にすることも好ましい実施態様である。
【0028】
以下、本発明の画像定着装置を図面を参照しつつ説明する。図4は、本発明の画像定着装置の一例を示す概略構成図である。図5は、本発明の画像定着装置の他の一例を示す概略構成図である。
【0029】
図4に示す定着装置は、より一層の小型化、省エネ化、と高速化の両立を狙った装置であり、ベルトを張架する為の支持ロールや加圧ローラをもたず、ベルト走行ガイド13に沿ってガイドされ、ハロゲンランプなどの加熱源24を内蔵した加熱ロール10(定着部材)からの駆動力を受けることで加圧ベルト11を従動させており、このようなベルト型定着装置は、支持ロールや加圧ロールをもつタイプと区別する為、フリーベルト型定着装置と呼ばれる。図4に示す定着装置は、定着ユニットとして、ヒーターランプ14を内蔵した加熱ロール10および加圧ベルト11が対向して設けられ、加圧ベルト11として、上述したフィルムベルトが、それを構成するシート状フィルムの巻き回し方向と同じ方向に回転走行させるように配設される。加圧ベルト11はその周内部に配置された加圧パッド12(加圧部材)により加熱ロール10に押圧され、圧接してニップが形成されつつ、上述のように、ベルト走行ガイド13に沿ってガイドされ、加熱ロール10からの駆動力を受けることで加圧ベルト11を従動される。
【0030】
加圧パッド12(加圧部材)は、記録シートの進行方向に沿って、異なる硬度の2つの加圧部12a、12bを有する。加圧パッド12における記録シート突入側の加圧部12aをゴム状弾性部材から構成させ、記録シート排出側の加圧部12bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、ニップ領域の圧力を記録シート突入側より記録シート排出側が高くさせている。この構成により、上述のように記録シート(特に薄い記録シート)の剥離性が向上される。加圧部12a、12bは、ホルダ12cにより支持され、テフロン(R)を含むガラス繊維シートやフッ素樹脂シートなどの低摩擦層12dを介して加圧ベルト11内周面から加熱ロール10を押圧している。
【0031】
加熱ロール10の周辺には、定着後の用紙を剥離するための剥離ブレード18、ロール表面の温度を制御するための温度センサー15が設けられている。
【0032】
なお、加圧ベルト21周辺には、図示しないが、シリコンオイルなどの潤滑油塗布装置などを適宜配置することができる。
【0033】
図4に示す定着装置では、未定着トナー像17を表面に保持する記録シート16が、矢印A方向に、不図示の搬送手段により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される加熱ロール10と、加圧ベルト11とが圧接し形成されたニップ領域に挿通される。この際、記録シート16の未定着トナー像17が形成された面と、加熱ロール10の表面とが、向き合うように記録シート16が挿通される。このニップ領域を記録シート16が通過した際に、熱及び圧力が記録シート16に加えられることにより、未定着トナー像17が、記録シート16に定着される。定着後の記録シートはニップ領域を通過後、剥離爪18により加熱ロール10から剥離され、ベルト型定着装置から排出される。このようにして定着処理が成される。
【0034】
図5に示す画像定着装置は、フィルムベルトを用いた冷却剥離定着装置であり、ハロゲンランプなどの加熱源26を内蔵した加熱ロール20及びテンションロール23に張架された定着ベルト20(定着部材)を介して、加熱ロール20に対向して、ハロゲンランプなどの加熱源26を内蔵した加熱ロール25(加圧部材)が圧設されている。定着ベルト20として、上述したフィルムベルトが、それを構成するシート状フィルムの巻き回し方向と同じ方向に回転走行させるように配設される。
【0035】
定着ベルト20内側には、ヒートシンク22(冷却手段)が設けられ、定着ベルト20の外側には、当該ヒートシンク22に対向して、弾性テンションロール24が配設されている。
【0036】
なお、定着ベルト20周辺には、図示しないが、クリーニングブレード、シリコンオイルなどの潤滑油塗布装置、記録シートの剥離装置などを適宜配置することができる。
【0037】
図5に示す定着装置では、未定着トナー像28を表面に保持する記録シート27が、矢印A方向に、不図示の搬送手段により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される定着ベルト20と、加熱ロール25とが圧接し形成されたニップ領域に挿通される。この際、記録シート27の未定着トナー像28が形成された面と、定着ベルト20の表面とが、向き合うように記録シート27が挿通される。このニップ領域を記録シート27が通過した際に、熱及び圧力が記録シート28に加えられることにより、未定着トナー像28が、記録シート27に定着される。その後、記録シート27は定着ベルト20に貼りついた状態で、ヒートシンク22の配設位置まで搬送させ、定着ベルト20と共に冷却され、そして、テンションローラ23の曲率により定着ベルト20から記録シート27が剥離させ、装置内から排出される。このようにして、定着処理が成される。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0039】
(フィルムベルト基材−1)
シート状フィルムとして、外径29.9mm、長さ500mmの金属棒に、厚さ25μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を2重巻にしカプトン同士が重なりあう面にシリコーンゴム接着剤SE1750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を厚さ3μmとなるように塗布し、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行った。外側末端の厚み段差を研磨紙でテーパ状にしてから、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対してて85°になるようにした。
【0040】
(フィルムベルト基材−2)
シート状フィルムとして、外径29.9mm、長さ500mmの金属棒に、厚さ12.5μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を4重巻にしカプトン同士が重なりあう面に厚さ10μmのエポキシ系接着フィルムTSA−61(東レ・デュポン社製)を重ねあわせ、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行い、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対して45°になるようにした。
【0041】
(フィルムベルト基材−3)
シート状フィルムとして、外径167.8mm、厚さ5mm、長さ500mmのアルミパイプに、厚さ25μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を2重巻にしカプトン同士が重なりあう面にシリコーンゴム接着剤SE1750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を厚さ3μmとなるように塗布し、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行い、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対して70°になるようにした。内側、外側の両末端辺の厚み段差を研磨紙で滑らかにした。
【0042】
(フィルムベルト基材−4)
シート状フィルムとして、外径29.9mm、長さ500mmの金属棒に、厚さ25μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を2重巻にしカプトン同士が重なりあう面にシリコーンゴム接着剤SE1750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を厚さ3μmとなる塗布し、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行い、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対して90°になるようにした。外側の末端の厚み段差を研磨紙で滑らかにした。
【0043】
上記フィルムベルト基材−1〜4に、厚さ50μmのFEP(フッ化エチレンプロピレン樹脂)の熱収縮チューブ(グンゼ社製)を被せ250℃1時間で溶着し、フィルムベルト−1〜4を得た。
【0044】
(実施例1〜3、比較例1〜5)
表1に従って、所定の回転方向(フィルムの巻き回し方向(巻方向)或いはそれとは逆方向)となるように、フィルムベルト−1、2、4を、定着装置にポリイミド製フィルムベルトを用いている市販のレーザビームプリンタ(富士ゼロックス社製、Docu Centre Color 400CP)の定着装置(図4に示す画像定着装置とほぼ同様な構成)のベルトと入れ替えて、パーソナルコンピュータからハーフトーンの全面無地(いわゆるべた)の印刷信号を入力して試験印刷した。試験印刷は、連続して100枚印刷し、それを10回繰り返し、総計1000枚の印刷を実施した。
また、同様に、フィルムベルト−3を、図5に示す画像定着装置とほぼ同等の画像定着装置に配設し、手動により未定着ハーフトーンを1000枚通した。
【0045】
―評価―
評価項目は、無地印刷ではベルトの継ぎ目がムラとなるか否か。また、印刷時の装置の異音・振動の状態が違和感があり使用に耐えない状態か否か。1000枚印刷にベルトが耐えるか否か。これらについて観察し、○、×で評価した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果、比較例1は、ベルトフィルムの蛇行がひどく印刷開始直後にベルトフィルムの側面が挫屈し印刷できなかった。そのため画質評価はできなかった。
比較例2では、300枚でフィルムベルト裏面のフィルム末端が捲れ蛇行により、ベルトフィルム側面が挫屈してしまった。
比較例3では、800枚でフィルムベルト裏面のフィルム末端が捲れ異音が発生し出した。
比較例4では、異音・振動が最初からあったものの1000枚印刷は実施した。画質はムラが常時発生していた。
比較例5は、異音・振動が酷いことから5枚印刷のみで1000枚印刷は実施しなかった。画質であるムラも酷い状態であった。
【0048】
これら実施例から、シート状の耐熱樹脂フィルムを、その前記フィルムベルト内側及び外側に位置する2つの長手方向末端辺がベルト肉厚方向に略一致し且つフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなすように、巻回して積層して一体化したフィルムベルトを巻方向と同じ方向に回転走行するようにセットした画像定着装置では、安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない、電子写真の画像定着装置の高速化、カラー化を容易に実現できることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、高速運転しても安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない画像が得られ、さらに、高速化、カラー化を容易に実現できる画像定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像定着装置に用いられるフィルムベルトを形成するシート状の耐熱性樹脂フィルムを示す展開図である。
【図2】本発明の画像定着装置に用いられるフィルムベルトを示す概要図である。
【図3】本発明の画像定着装置に用いられるフィルムベルトを示す断面図である。
【図4】本発明の画像定着装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の画像定着装置の他の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10、21、25 加熱ロール
11 加圧ベルト(フィルムベルト)
16、27 記録シート
17、28 未定着トナー像
20 定着ベルト(フィルムベルト)
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録シート上に担持されている未定着トナー像を加熱してシート面に定着(固着)させる画像定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写装置、プリンタ、ファクシミリ等のハードコピー装置において、印刷用紙等の記録シート上に形成したトナー像を、加熱してシート上に固着させるための画像定着装置は広く実用化されている。画像定着装置には種々の動作原理のものが提案されているが、最も多く採用されているものは、所定の温度に維持された定着ローラと、弾性層が表面に設けられている加圧ローラの間でシートを送りつつ加熱して定着する熱ローラ方式である。
【0003】
情報化社会の進展と共に、電子写真装置の高速化や高画質化・カラー化への要請は高まる一方であるが、それに伴い画像定着装置でのトナーの融解定着速度を高める必要がある。そのために、熱ローラ定着装置においては、熱容量を大きくして定着における温度変動を少なくするためや、高い圧力でローラを圧着して定着ニップを広げるために、ローラを大きくすることが行われている。熱定着ローラ装置での電力消費量は多大なものがあり、そのため装置を使用しない時はローラの温度を下げることが行われているが、ローラを大きくし、熱容量を大きくすると定着温度に昇温する時間が長くなる問題があった。
【0004】
この問題を避ける方法として、例えば、耐熱樹脂フィルムをベルト状にし、それを介して加熱装置によりシート(記録媒体)を加熱することが提案(例えば特開昭59−68766号公報など)されている。また、加熱定着ロールとフィルムベルトによりベルトニップを形成し熱損失を低減することが提案(例えば特開平8−262903号公報など)されている。耐熱樹脂フィルムベルトとしては、通常ポリイミド樹脂の前駆体の有機溶剤溶液を金型に塗布して乾燥、熱処理して成形する方法で製造されるポリイミド樹脂の円筒状成型品が用いられる。
【0005】
また、熱可塑性フィルムを巻回しフィルムベルト基材が提案(例えば特開平8−187773号公報など)されているが、耐熱性が不足し引張り張力が掛かる定着フィルムベルトには耐久性に問題があった。また、非可塑性のチューブ上に接着剤としてポリアミドイミド等のイミド系接着剤を用いたフィルムベルトでは、曲げ応力が大きくかかる小径ローラで使用すると、接着剤に可撓性が不足しているために層間ハガレを発生する問題があった。
【0006】
また、シート状薄膜フィルムを渦巻き状に複数積層させて、精度良く肉厚を大きくし強度の強いエンドレスベルト(フィルムベルト)が提案(例えば特開2000−98772公報など)されており、これにより、ニップ圧を大きくさせ、画像の乱れの防止や、装置の高速化を実現している。
【0007】
【特許文献1】
特開昭59−68766号公報
【特許文献2】
特開平8−262903号公報
【特許文献3】
特開平8−187773号公報
【特許文献4】
特開2000−98772公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
定着装置に用いるフィルムベルトとして、直接金型に前駆体溶液を塗布して製造するベルトは、金型へ樹脂溶液を均一に塗布することが困難であり、フィルムの厚みむらの少ないベルトを製造しにくいほか、金型上で成型した後に機械的特性を改良するための緊張処理や、残留する歪みを除去するための弛緩熱処理などを施すことが困難であるという問題がある。一方、フィルムベルトとして、耐熱樹脂フィルムを巻回して積層したベルトは、緊張処理、熱固定処理などを受けて寸法安定性や機械的特性が改良されており、また厚み精度も高精度のものが製造されている。
【0009】
しかし、樹脂フィルムをつなぎ合わせて(巻き回して積層させて)ベルト状に加工する方法の問題点は、そのつなぎ部分(内壁に位置する末端辺)がフィルムの重なりや接着剤などのために厚くなることで、肉厚が不均一になり、運転時にベルトが蛇行したり、フィルムベルト内壁の段差とその支持部材とが干渉し異音・振動が発生したりして、終にはフィルムベルト自体が破壊されてしまうなどの問題があり、特に高速運転するにおいて顕著である。
【0010】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、高速運転しても安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない画像が得られ、さらに、高速化、カラー化を容易に実現できる画像定着装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1)定着部材と、前記定着部材に圧接される加圧部材と、を備え、前記定着部材及び前記加圧部材で形成されるニップ域に、未定着トナー像が担持された記録シートを通過させ、熱及び圧力により、前記未定着トナー像を定着させる画像定着装置であって、
前記定着部材及び前記加圧部材の少なくとも一方が、フィルムベルトからなり、
前記フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを、その前記フィルムベルト内側及び外側に位置する2つの末端辺がベルト肉厚方向に略一致し且つフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなすように、巻回して積層してなり、
前記フィルムベルトを、その回転方向が巻回し方向と同じとなるよう配設した、
ことを特徴とする画像定着装置。
【0012】
(2) 前記フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを巻回し、その2つの末端辺がフィルムベルト周方向に対して85°以下の角度をなして積層されてなることを特徴とする前記(1)に記載の画像定着装置。
【0013】
(3) 前記フィルムベルトの外周面に、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、またはフッ素系ゴムからなる最外層が設けられてなることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の画像定着装置。
【0014】
(4) 前記フィルムベルトは、ポリイミド樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像定着装置。
【0015】
(5) 前記フィルムベルトは、接着剤により接着されて積層されてなり、当該接着剤がエポキシ樹脂またはシリコーン系樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像定着装置。
【0016】
(6) 前記記録シート上に担持された未定着トナー像を加熱定着した後、定着された記録シートを100℃以下まで冷却させる冷却手段を備えることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像定着装置。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像定着装置は、少なくとも一方が、後述するフィルムベルトから構成される定着部材及び加圧部材で形成されるニップ域に、未定着トナー像が担持された記録シートを通過させ、熱及び圧力により、前記未定着トナー像を定着させる装置である。まず、フィルムベルトから説明する。
【0018】
フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを巻回して積層させて筒状に形成されてなる。具体的は、フィルムベルトは、図1〜3に示すように、その長手方向末端辺が長手方向に対して角度をなすようにカットされたシート状の耐熱樹脂フィルムを巻回し、筒状に形成したとき、フィルムベルト内側及び外側に位置するシート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺をベルト肉厚方向に略一致させている。また、シート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺は、フィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなしている。そして、フィルムベルトは、巻き回し方向に回転するように装置内に配設される。なお、図1〜3中、1は、フィルムベルトを示し、2はシート状の耐熱性樹脂フィルムを示す。
【0019】
このフィルムベルトでは、シート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺をベルト肉厚方向に略一致させることで、フィルム末端の厚み段差やフィルム積層数に伴うベルト肉厚の不均一さを極力抑える。さらに2つの長手方向末端辺をフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をつけ、且つ巻き回し方向と同じ回転方向になるように装置内に配設させることで、フィルム末端の厚み段差やフィルム積層数に伴うベルト肉厚の不均一さに起因する、ベルトの内壁と当該ベルト内壁から支持する支持部材などとの干渉を抑制させる。このため、高速運転しても、安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない画像がえられ、電子写真などの画像定着装置の高速化、カラー化を容易に実現できる。
【0020】
フィルムベルトにおいて、フィルムベルト内側及び外側に位置するシート状の耐熱樹脂フィルムの2つの長手方向末端辺が、フィルムベルト週方向の直交方向に対して角度をなしているが、これをフィルムベルト周方向に対してなす角度として具体的に表すと、85°以下であることが好ましい。この角度とは、末端辺がフィルムベルト周方向に対してなす、鋭角側の角度であり、これが小さすぎるとベルト成形が困難と成り易く、大きすぎると、支持部材などとの干渉抑制効果が低減しにくくなる。
【0021】
フィルムベルトは、シート状の耐熱性樹脂フィルムを巻回して積層させて形成されるが、この巻回し回数、即ちフィルム積層数としては、少なくとも2層以上であれば特に制限されず、所望とするフィルムベルトの肉厚や、シート状フィルムの厚みに応じて適宜選択することができる。
【0022】
シート状耐熱性樹脂フィルムの厚みとしては、5から50μm、好ましくは5から25μm程度に選ばれるが、本発明の目的を損なわない限りこれに制限されるものではない。耐熱樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド樹脂のフィルムであるカプトン(東レ・デュポン社製)、ユーピレックス(宇部興産社製)等:パラ系アラミド樹脂のフィルムであるアラミカ(旭化成工業社製)、ミクトロン(東レ社製):が市販されており、これらが好ましく用いられる。中でもポリイミド樹脂のフィルムは高い弾性率、強度を持つため、ベルトの剛性が高く、薄手の物が安定に用いられる点で好ましい。ほかには、ポリパラベンゾビスイミダゾール、ポリパラベンゾビスオキサゾール、ポリパラベンゾビスチアゾール等の樹脂が開発されており、それらのフィルムが実用化されれば本発明を実施する上で好ましく用いられる。
【0023】
シート状の耐熱性樹脂フィルムには、表面の接着力向上の為にプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、プラズマ処理や、化学的物理的エッチング処理等の表面処理を施すことも好ましい。
【0024】
フィルムベルトは、通常、接着剤により、シート状の耐熱性樹脂フィルムを巻き回して接着し積層させるが、ここで接着剤としては、シリコーンゴム系、エポキシ系が好ましい。接着剤としては、アクリル樹脂系やポリイミド系も使用使用可能であるが、アクリル樹脂系やでは本発明の画像定着装置に用いる上で必要とする耐熱性が不足し、またポリイミド系では繰り返し受ける屈曲に耐えないことがある。
【0025】
フィルムベルトには、上記シート状フィルムを巻回し積層したベルトを基材として、この外周面に、トナーとの離形性を付与するために、シリコンゴムやシリコン樹脂またはフッ素樹脂層やフッ素系ゴムからなる最外層が形成させるが好適である。フッ素樹脂としてはFEP、PFAが好ましく用いられる。これらの最外層には、カーボンブラック、顔料、滑材、耐磨耗材などの添加剤を、改質のために添加することも好ましい実施態様である。
【0026】
フィルムベルトを成形する方法としては、円柱状や円筒状の金属支持体上に、シート状フィルムの一端辺を仮止し巻き重ね、シート状フィルム同士が重なり合うところより接着剤をシート状フィルム間に投入して接着する方法:シート状フィルムと接着性樹脂フィルムとを重ね合わせて円柱状や円筒状の金属支持体状に巻き重ね、次いで接着性樹脂の溶融温度または硬化温度以上の温度で加熱して、シート状フィルムと接着性樹脂の界面を密着した後、必要な幅にトリミングする方法などが挙げられる。
【0027】
フィルムベルトにおいては、必要であれば、シート状フィルムの2つの長手方向末端辺による厚み段差を研削しテーパ状にすることも好ましい実施態様である。
【0028】
以下、本発明の画像定着装置を図面を参照しつつ説明する。図4は、本発明の画像定着装置の一例を示す概略構成図である。図5は、本発明の画像定着装置の他の一例を示す概略構成図である。
【0029】
図4に示す定着装置は、より一層の小型化、省エネ化、と高速化の両立を狙った装置であり、ベルトを張架する為の支持ロールや加圧ローラをもたず、ベルト走行ガイド13に沿ってガイドされ、ハロゲンランプなどの加熱源24を内蔵した加熱ロール10(定着部材)からの駆動力を受けることで加圧ベルト11を従動させており、このようなベルト型定着装置は、支持ロールや加圧ロールをもつタイプと区別する為、フリーベルト型定着装置と呼ばれる。図4に示す定着装置は、定着ユニットとして、ヒーターランプ14を内蔵した加熱ロール10および加圧ベルト11が対向して設けられ、加圧ベルト11として、上述したフィルムベルトが、それを構成するシート状フィルムの巻き回し方向と同じ方向に回転走行させるように配設される。加圧ベルト11はその周内部に配置された加圧パッド12(加圧部材)により加熱ロール10に押圧され、圧接してニップが形成されつつ、上述のように、ベルト走行ガイド13に沿ってガイドされ、加熱ロール10からの駆動力を受けることで加圧ベルト11を従動される。
【0030】
加圧パッド12(加圧部材)は、記録シートの進行方向に沿って、異なる硬度の2つの加圧部12a、12bを有する。加圧パッド12における記録シート突入側の加圧部12aをゴム状弾性部材から構成させ、記録シート排出側の加圧部12bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、ニップ領域の圧力を記録シート突入側より記録シート排出側が高くさせている。この構成により、上述のように記録シート(特に薄い記録シート)の剥離性が向上される。加圧部12a、12bは、ホルダ12cにより支持され、テフロン(R)を含むガラス繊維シートやフッ素樹脂シートなどの低摩擦層12dを介して加圧ベルト11内周面から加熱ロール10を押圧している。
【0031】
加熱ロール10の周辺には、定着後の用紙を剥離するための剥離ブレード18、ロール表面の温度を制御するための温度センサー15が設けられている。
【0032】
なお、加圧ベルト21周辺には、図示しないが、シリコンオイルなどの潤滑油塗布装置などを適宜配置することができる。
【0033】
図4に示す定着装置では、未定着トナー像17を表面に保持する記録シート16が、矢印A方向に、不図示の搬送手段により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される加熱ロール10と、加圧ベルト11とが圧接し形成されたニップ領域に挿通される。この際、記録シート16の未定着トナー像17が形成された面と、加熱ロール10の表面とが、向き合うように記録シート16が挿通される。このニップ領域を記録シート16が通過した際に、熱及び圧力が記録シート16に加えられることにより、未定着トナー像17が、記録シート16に定着される。定着後の記録シートはニップ領域を通過後、剥離爪18により加熱ロール10から剥離され、ベルト型定着装置から排出される。このようにして定着処理が成される。
【0034】
図5に示す画像定着装置は、フィルムベルトを用いた冷却剥離定着装置であり、ハロゲンランプなどの加熱源26を内蔵した加熱ロール20及びテンションロール23に張架された定着ベルト20(定着部材)を介して、加熱ロール20に対向して、ハロゲンランプなどの加熱源26を内蔵した加熱ロール25(加圧部材)が圧設されている。定着ベルト20として、上述したフィルムベルトが、それを構成するシート状フィルムの巻き回し方向と同じ方向に回転走行させるように配設される。
【0035】
定着ベルト20内側には、ヒートシンク22(冷却手段)が設けられ、定着ベルト20の外側には、当該ヒートシンク22に対向して、弾性テンションロール24が配設されている。
【0036】
なお、定着ベルト20周辺には、図示しないが、クリーニングブレード、シリコンオイルなどの潤滑油塗布装置、記録シートの剥離装置などを適宜配置することができる。
【0037】
図5に示す定着装置では、未定着トナー像28を表面に保持する記録シート27が、矢印A方向に、不図示の搬送手段により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される定着ベルト20と、加熱ロール25とが圧接し形成されたニップ領域に挿通される。この際、記録シート27の未定着トナー像28が形成された面と、定着ベルト20の表面とが、向き合うように記録シート27が挿通される。このニップ領域を記録シート27が通過した際に、熱及び圧力が記録シート28に加えられることにより、未定着トナー像28が、記録シート27に定着される。その後、記録シート27は定着ベルト20に貼りついた状態で、ヒートシンク22の配設位置まで搬送させ、定着ベルト20と共に冷却され、そして、テンションローラ23の曲率により定着ベルト20から記録シート27が剥離させ、装置内から排出される。このようにして、定着処理が成される。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0039】
(フィルムベルト基材−1)
シート状フィルムとして、外径29.9mm、長さ500mmの金属棒に、厚さ25μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を2重巻にしカプトン同士が重なりあう面にシリコーンゴム接着剤SE1750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を厚さ3μmとなるように塗布し、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行った。外側末端の厚み段差を研磨紙でテーパ状にしてから、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対してて85°になるようにした。
【0040】
(フィルムベルト基材−2)
シート状フィルムとして、外径29.9mm、長さ500mmの金属棒に、厚さ12.5μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を4重巻にしカプトン同士が重なりあう面に厚さ10μmのエポキシ系接着フィルムTSA−61(東レ・デュポン社製)を重ねあわせ、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行い、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対して45°になるようにした。
【0041】
(フィルムベルト基材−3)
シート状フィルムとして、外径167.8mm、厚さ5mm、長さ500mmのアルミパイプに、厚さ25μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を2重巻にしカプトン同士が重なりあう面にシリコーンゴム接着剤SE1750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を厚さ3μmとなるように塗布し、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行い、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対して70°になるようにした。内側、外側の両末端辺の厚み段差を研磨紙で滑らかにした。
【0042】
(フィルムベルト基材−4)
シート状フィルムとして、外径29.9mm、長さ500mmの金属棒に、厚さ25μm、幅320mmの「カプトン」(東レ・デュポン社製)を2重巻にしカプトン同士が重なりあう面にシリコーンゴム接着剤SE1750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を厚さ3μmとなる塗布し、外側末端辺を内側末端辺と肉厚方向に略一致させて耐熱テープで仮止し、接着性向上のために150℃、1時間でオーブン中で加熱処理を行い、金属棒より脱型しフィルムベルト基材を作製した。シート状フィルムの末端辺はフィルムベルト基材周方向に対して90°になるようにした。外側の末端の厚み段差を研磨紙で滑らかにした。
【0043】
上記フィルムベルト基材−1〜4に、厚さ50μmのFEP(フッ化エチレンプロピレン樹脂)の熱収縮チューブ(グンゼ社製)を被せ250℃1時間で溶着し、フィルムベルト−1〜4を得た。
【0044】
(実施例1〜3、比較例1〜5)
表1に従って、所定の回転方向(フィルムの巻き回し方向(巻方向)或いはそれとは逆方向)となるように、フィルムベルト−1、2、4を、定着装置にポリイミド製フィルムベルトを用いている市販のレーザビームプリンタ(富士ゼロックス社製、Docu Centre Color 400CP)の定着装置(図4に示す画像定着装置とほぼ同様な構成)のベルトと入れ替えて、パーソナルコンピュータからハーフトーンの全面無地(いわゆるべた)の印刷信号を入力して試験印刷した。試験印刷は、連続して100枚印刷し、それを10回繰り返し、総計1000枚の印刷を実施した。
また、同様に、フィルムベルト−3を、図5に示す画像定着装置とほぼ同等の画像定着装置に配設し、手動により未定着ハーフトーンを1000枚通した。
【0045】
―評価―
評価項目は、無地印刷ではベルトの継ぎ目がムラとなるか否か。また、印刷時の装置の異音・振動の状態が違和感があり使用に耐えない状態か否か。1000枚印刷にベルトが耐えるか否か。これらについて観察し、○、×で評価した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果、比較例1は、ベルトフィルムの蛇行がひどく印刷開始直後にベルトフィルムの側面が挫屈し印刷できなかった。そのため画質評価はできなかった。
比較例2では、300枚でフィルムベルト裏面のフィルム末端が捲れ蛇行により、ベルトフィルム側面が挫屈してしまった。
比較例3では、800枚でフィルムベルト裏面のフィルム末端が捲れ異音が発生し出した。
比較例4では、異音・振動が最初からあったものの1000枚印刷は実施した。画質はムラが常時発生していた。
比較例5は、異音・振動が酷いことから5枚印刷のみで1000枚印刷は実施しなかった。画質であるムラも酷い状態であった。
【0048】
これら実施例から、シート状の耐熱樹脂フィルムを、その前記フィルムベルト内側及び外側に位置する2つの長手方向末端辺がベルト肉厚方向に略一致し且つフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなすように、巻回して積層して一体化したフィルムベルトを巻方向と同じ方向に回転走行するようにセットした画像定着装置では、安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない、電子写真の画像定着装置の高速化、カラー化を容易に実現できることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、高速運転しても安定な走行性を保ち挫屈等の破壊が発生せず、異音・振動も十分に抑えられ、画質としてムラのない画像が得られ、さらに、高速化、カラー化を容易に実現できる画像定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像定着装置に用いられるフィルムベルトを形成するシート状の耐熱性樹脂フィルムを示す展開図である。
【図2】本発明の画像定着装置に用いられるフィルムベルトを示す概要図である。
【図3】本発明の画像定着装置に用いられるフィルムベルトを示す断面図である。
【図4】本発明の画像定着装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の画像定着装置の他の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10、21、25 加熱ロール
11 加圧ベルト(フィルムベルト)
16、27 記録シート
17、28 未定着トナー像
20 定着ベルト(フィルムベルト)
Claims (6)
- 定着部材と、前記定着部材に圧接される加圧部材と、を備え、前記定着部材及び前記加圧部材で形成されるニップ域に、未定着トナー像が担持された記録シートを通過させ、熱及び圧力により、前記未定着トナー像を定着させる画像定着装置であって、
前記定着部材及び前記加圧部材の少なくとも一方が、フィルムベルトからなり、
前記フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを、その前記フィルムベルト内側及び外側に位置する2つの末端辺がベルト肉厚方向に略一致し且つフィルムベルト周方向の直交方向に対して角度をなすように、巻回して積層してなり、
前記フィルムベルトを、その回転方向が巻回し方向と同じとなるよう配設した、
ことを特徴とする画像定着装置。 - 前記フィルムベルトは、シート状の耐熱樹脂フィルムを巻回し、その2つの末端辺がフィルムベルト周方向に対して85°以下の角度をなして積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
- 前記フィルムベルトの外周面に、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、またはフッ素系ゴムからなる最外層が設けられてなることを特徴とする請求項1又は2記載の画像定着装置。
- 前記フィルムベルトは、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像定着装置。
- 前記フィルムベルトは、接着剤により接着されて積層されてなり、当該接着剤がエポキシ樹脂またはシリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像定着装置。
- 前記記録シート上に担持された未定着トナー像を加熱定着した後、定着された記録シートを100℃以下まで冷却させる冷却手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像定着装置。
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Cited By (2)
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JP2005331574A (ja) * | 2004-05-18 | 2005-12-02 | Fuji Xerox Co Ltd | 電子写真システム用の定着装置と画像形成装置 |
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-
2002
- 2002-09-10 JP JP2002264102A patent/JP2004101904A/ja active Pending
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