JP2004101699A - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】低温低湿から高温高湿環境下において、安定した画像性(カブリ、干渉縞、ゴースト)を有する電子写真感光体を与える。
【解決手段】中間層成分として、特定構造のポリアミド樹脂とアゾ顔料を含有し、かつ、特定範囲の表面粗度を有する導電性支持体との組み合せ。
【選択図】 なし
【解決手段】中間層成分として、特定構造のポリアミド樹脂とアゾ顔料を含有し、かつ、特定範囲の表面粗度を有する導電性支持体との組み合せ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置の帯電手段としては、コロナ放電手段及び感光層表面に直接接触するローラーやブラシ等を用いた帯電手段が用いられている。コロナ放電手段は、気中放電を利用するためオゾンが発生すること、高圧電源を用いる必要があるために電源コストが高くなること、また、コロナ生成物によるワイヤの汚れに対するメンテナンスに手間がかかる等、種々の問題を抱えている。このような欠点を改良するために、例えば特開平7−114249号公報や特開平7−98534号公報等でローラーやブラシ等の帯電部材を直接感光層表面に接触し、前記帯電部材に電圧を印加することにより感光体を帯電する接触帯電手段が提案されている。
【0003】
一方、電子写真感光体は、基本的には帯電及び露光により潜像を形成する感光層と、その感光層を設ける導電性支持体、あるいは必要に応じて中間層を設けても良い。
【0004】
電子写真感光体は、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性及び光学特性を備えていることが要求され、また、低温低湿から高温高湿のいずれの環境においても、その特性が十分に発揮されるような環境安定性を有していることが要求される。
【0005】
画像欠陥の代表的なものとしては、画像スジ、白地部分の黒点、黒字部分の白点、白地部分の地力ブリ、更には、デジタル複写機やレーザービームプリンター等の単一波長を有する光源を使用して露光を行う場合には、支持体の表面形状や感光体の膜厚ムラ等の要因によって発生する干渉縞等が挙げられる。
【0006】
従って、感光体を作製する場合、これらの画像欠陥が発生しないようにあらかじめ何らかの対策を施しておく必要がある。
【0007】
前記画像欠陥の発生に大きな影響を与える要因として、支持体表面上の異物、アルミニウム合金に含まれる銅やマンガン等の化学的な不純物及び支持体表面のバリ、突起や穴等の支持体加工時に発生する欠陥等が挙げられる。
【0008】
中間層は必要に応じて用いられるが、電子写真感光体に電圧を印加したとき支持体から電荷注入が起こらないように電気的なブロッキング機能が要求される。これは支持体から電荷注入があると、帯電能の低下、画像コントラストの低下や反転現像方式の場合は白地に黒点や地カブリの原因になり、画質を著しく低下させる。
【0009】
一方、中間層の電気的抵抗が高すぎると感光層で発生した電荷が支持体に抜けきらず電荷発生層内部に滞留し、結果として残留電位の上昇や繰り返し使用による電位変動、更には前回の印字部が次回の印刷時に残存するゴースト現象の原因になる。従って、電気的なブロッキング機能以外にも中間層の電気的抵抗値はある程度小さくする必要がある。
【0010】
更に、ブロッキング機能や電気的抵抗特性が低温低湿から高温高湿のいずれの環境下においても大きく変化してはならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ブロッキング機能及び適度な範囲の電気的抵抗特性を有する中間層として、例えば、有機高分子からなる中間層としては特開昭46−47344号公報や特開昭52−100240号公報、また、金属酸化物や金属窒化物を有機高分子中に分散した中間層としては特開昭54−151843号公報や特開平1−118848号公報等が提案されている。
【0012】
しかしながら、これまで知られている前記有機高分子からなる中間層や金属酸化物を有機高分子中に分散した中間層はいずれも十分な電位特性や画質が得られていないのが現状である。
【0013】
従って、この発明の目的は、低温低湿から高温高湿のいずれの環境下においても、画像スジ、白地部分の黒点、黒字部分の白点、白地部分の地カブリ、更には、ゴースト現象やレーザービーム等の単一波長を有する光源を使用して露光を行う場合の干渉縞等の画像欠陥を発生せず、また同時に、電位変動の少ない良好な電子写真感光体、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するための検討を行った結果、感光層と導電性支持体の間に中間層を設け、前記中間層が特定の構造を有する共重合ポリアミド樹脂及びアゾ顔料から構成され、且つ、前記導電性支持体が特定の範囲の表面粗さを有する場合、電位変動の少なく、画像欠陥のない良好な電子写真感光体を与えることを見い出し、特に、接触帯電方式の帯電手段を用いた場合、その効果が極めて有効であることを見い出した。
【0015】
即ち、本発明は、電子写真感光体が下記一般式(1)の構造を有するジアミン成分から構成される共重合ポリアミド樹脂及びアゾ顔料を含む中間層を有し、且つ、導電性支持体の中心線粗さRaが0.1〜0.3μm、最大粗さRmaxが0.5〜3.0μmの範囲であることを特徴とする。
【外5】
【0016】
本発明に用いる共重合ポリアミド樹脂は、下記一般式(1)のジアミン構造を有する。
【0017】
一般式(1)中、R1及びR2は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基が、好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0018】
一般式(1)のジアミン成分と、例えば、γ−カプロラクタム、ε−カプロラクタム、ラウリルカプロラクタム等のラクタム類、1,4−ブタンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,20−アイコサンジカルボン酸等のジカルボン酸類、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等のジアミン類、ピペラジン等を組み合わせて、共重合化させて共重合ポリアミド樹脂を製造する。
【0019】
前記共重合ポリアミド樹脂の製造方法は、常法のポリアミド樹脂の重縮合法が適用され、溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等が用いられる。
【0020】
また、前記共重合ポリアミド樹脂の製造において、反応制御剤として、酢酸、安息香酸等の一塩基酸またはへキシルアミン、アニリン等の一酸塩基が用いられる場合がある。
【0021】
また、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤や熱安定剤等が用いられる場合もある。
【0022】
本発明の共重合ポリアミド樹脂は、数平均分子量が10,000〜50,000であり、好ましくは15,000〜35,000である。
【0023】
本発明の中間層に含有されるアゾ顔料としては、以下の一般式で表されるアゾ顔料が好ましい。
【外6】
【0024】
式中Aは直接あるいは結合基を介して結合していても良い置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環基又は複素環基を表す。Cpはフェノール性水酸基を有するカプラー残基を表す。nは1〜3の整数を表す。
【0025】
カプラー残基Cpとしては、それらの少なくとも一つは下記一般式(3)または一般式(4)で示される構造が好ましい。
【外7】
【0026】
式中Xはベンゼン環と縮合して多環芳香環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、R3,R4は水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、複素環基を表す。また、R3とR4は窒素原子を介して環状アミノ基を形成していても良い。Zは酸素原子または硫黄原子を表し、mは0または1を表す。
【外8】
【0027】
式中Yは置換基を有しても良い芳香族炭化水素基を表す。
【0028】
本発明のジアミン成分から構成される共重合ポリアミド樹脂に対するアゾ顔料の含有率は、任意に用いられるが、20質量%〜200質量%の範囲で、好ましくは50質量%〜100質量%である。
【0029】
本発明の中間層の膜厚は、0.1μm〜5μm、好ましくは0.5μm〜3μmである。
【0030】
本発明に用いられる導電性支持体の表面粗さは、中心線粗さ(Ra)が0.1〜0.3μm、最大粗さ(Rmax)が0.5〜3.0μmの範囲が好ましい。中心線粗さ(Ra)が0.1μm以下及び最大粗さ(Rmax)が0.5μm以下の場合、前記支持体表面が比較的平滑なために、例えば、光源として半導体レーザーを用いる系になると前記支持体表面上で干渉作用を起こし、ハーフトーン画像において干渉縞画像が発生する。また、中心線粗さ(Ra)が0.3μm以上及び最大粗さ(Rmax)が3.0μm以上の場合、前記支持体表面の凹凸が大きくなり、ハーフトーン画像において画像のガサツキが生じたり、また、前記中間層を所望の膜厚で被覆できなくなり、結果として反転現像系の場合白地画像に黒点やカブリが発生する。
【0031】
本発明に用いられる導電性支持体は、アルミニウム及びアルミニウム合金を必要に応じて切削加工、湿式または乾式ホーニング加工、センタレス加工より選ばれた方法により前記支持体表面を粗面化することが出来る。
【0032】
本発明における切削加工は、加工に用いるダイヤモンドバイトは単数個でもよく複数個配列したものでもよく、Rは任意に選択できる。
【0033】
本発明におけるホーニング加工は、分散メディアを水などの液体媒体に分散させた湿式ホーニング方式や水などの液体媒体を用いずに直接分散メディアを吹き付ける乾式ホーニング方式のどちらを採用してもよく、また、前記分散メディアとしては、アルミナ、ガラス、SUS等が用いられる。
【0034】
本発明におけるセンタレス加工は、支持体端部から徐々に研磨されるスルーフィード方式、または支持体全体が一度に研磨されるインフィールド方式のどちらを採用してもよく、また、砥石のメッシュとしては、粗さの均一性を維持するために400メッシュ以上が好ましい。
【0035】
本発明の電子写真感光体の感光層の構成は、電荷発生物質と電荷輸送物質双方を含有している所謂単一層型、或いは電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と電荷発生物質を含有する電荷発生層に機能分離された、所謂積層型のいずれでもよい。積層型の感光層の構成の例としては、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の順に積層したものと、導電性支持体、電荷輸送層及び電荷発生層の順に積層したものが挙げられる。
【0036】
電荷発生層は、前記一般式(2)に示すモノアゾ顔料、ジスアゾ顔料及びトリスアゾ顔料などのアゾ系顔料、キノン系顔料、キノシアニン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ系顔料、アズレニウム塩顔料及びフタロシアニン系顔料などの電荷発生物質を、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース及び酢酸酪酸セルロースなどの結着樹脂に分散し、この分散液を塗布し、乾燥することによって形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.05〜2μmであることが好ましい。
【0037】
電荷輸送層は、主鎖または側鎖にピフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリンなどの含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、及びスチリル化合物などの電荷輸送物質を成膜性を有する樹脂に溶解した塗工液を塗布し、乾燥することによって形成される。成膜性を有する樹脂としてはポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリアリレート、アクリロニトリルースチレンコポリマー、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンなどが挙げられる。電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0038】
前記各種の層は、適当な溶剤を用い、浸積コーティング法、スプレーコーティング法、ビームコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法などのコーティング法により塗布した後、乾燥することによって形成することができる。
【0039】
本発明に用いられる帯電部材は、ローラー形状、ブラシ形状、ベルト形状及びブレード形状等、いずれの形状でも使用できるが、特にローラー形状で用いられることが好ましい。
【0040】
接触帯電方式においては、帯電部材と感光体表面との均一な当接状態を確保するために、帯電部材に適度な弾性が必要である。そのため、帯電部材は、電圧を印加するステンレス等の導電性支持体とその周囲にゴムや発泡体等を含有する導電性弾性層、さらに、必要に応じて、導電性弾性層上に磨耗性向上や感光体表面の汚染防止のために設けられる導電性被覆層を有することが好ましい。
【0041】
前記弾性層に用いられる弾性体としては、熱硬化性や熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴム等の高分子化合物に、必要に応じて導電性付与剤やその他の添加剤を添加したものが挙げられる。前記高分子化合物としては、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール及びエチレンー酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、更に、ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコンゴム及びフッ素ゴム等が挙げられる。
【0042】
また、導電性被覆層としては、前記熱硬化性や熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴム等の高分子化合物が用いられ、必要に応じて導電性付与剤を用いても良い。
【0043】
導電性付与剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫及び酸化チタン等の金属酸化物やポリピロール及びポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。また、金属塩化合物等のイオン導電体を用いることも可能である。
【0044】
帯電部材の体積抵抗率は、102〜1012Ωcmの範囲であることが好ましく、特には105〜1010Ωcmの範囲であることが好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は特にこれらに限定するものではない。
【0046】
(実施例1)
アルミニウム合金(JIS規格6063)をポートポール押し出し法により、外径φ30.15mm、内径28.0mmのパイプ状に連続押し出しして、長さ260mmに切断した。その後、旋盤を用いて前記アルミニウム合金シリンダーの表面を粗面化した。得られた表面粗度は、中心線粗さ(Ra)が0.23μm、最大高さ(Rmax)が1.41μmであった。表面粗度は表面粗さ測定装置(小坂研究所製、サーフコーダーSE−3300)により測定した。切削条件は下記の通りである。
【0047】
バイト:ニュウディー0.5R
主軸回転数:33S−1
バイト送り速度:0.05mm/rev
下記構造で示されるアゾ顔料5質量部とメタノール/n−ブタノール混合溶液(5/5)4質量部を混合し、サンドミルにより30時間分散した。前記分散液を下記構造式で示される共重合ポリアミド(数平出分子量:2万3000)5質量部をメタノール/n−ブタノール混合溶液(5/5)45質量部に溶解した溶液と混合した後、更にサンドミルで10時間分散し、中間層の塗布液を調合した。固形分濃度は10質量%に調整した。
【外9】
【0048】
前記中間層塗布液を前記アルミニウムシリンダー上に、浸漬塗布し、100℃で20分間乾燥することによって、膜厚1μmの中間層を形成した。
【0049】
次に、チタニルオキシフタロシアニン顔料5質量部を、シクロヘキサノン100質量部中にサンドミルで20時間分散した。前記分散液にブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)2.5質量部をシクロヘキサノン20質量部に溶解した溶液を加え更に2時間分散した。この分散液に酢酸エチル100質量部とシクロヘキサノン100質量部を加えて希釈した溶液を前記中間層上に浸漬塗布し、80℃で10分間乾燥することによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0050】
次に、下記式で示されるアリールアミン化合物50質量部、及びポリカーボネート(ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学(株)製)50質量部をモノクロルベンゼン400量部に溶解した溶液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で1時間乾燥することによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【外10】
【0051】
前記電子写真感光体を反転現像方式のレーザープリンター(Laser Jet 4000)を用いて評価した。評価環境は、常温常湿(23℃、60%Rh)、高温高湿(32.5℃、85%Rh)、低温低湿(15℃、10%Rh)で、各環境に48時間放置した後、べ夕自画像とハーフトーン画像の評価及び暗部電位と明部電位を測定した。結果を表1及び表2に示す。べ夕自画像では微小黒点(カブリ)、ハーフトーン画像では干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストを観察し、評価したが、何れも認められなかった。
【0052】
(実施例2)
アルミニウム合金(JIS規格3003)をポートポール押し出し法により、外径φ30.15mm、内径28.0mmのパイプ状に連続押し出しして、長さ260mmに切断した。その後、湿式ホーニング装置を用いて湿式ホーニング処理を行い、前記アルミニウム合金シリンダーの表面を粗面化した。得られた表面粗度は中心線粗さ(Ra)が0.15μm、最大高さ(Rmax)が1.76μmであった。以下、実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。湿式ホーニング処理条件は、以下の通りである。結果を表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【0053】
研磨砥粒:アルミナビーズCB−A20S(昭和タイタニウム社製)
懸濁媒体:水
アルミナビーズ/水=1/10(体積比)
シリンダー回転数:1.7S−1
エア吹き付け圧力:0.1MPa
ガン移動速度:0.015m/s
ホーニング処理時間:20秒
(実施例3)
アルミニウム合金(JIS規格3003)をボートボール押し出し法により、外径φ30.15mm、内径28.0mmのパイプ状に連続押し出しして、長さ260mmに切断した。その後、センタレス加工により前記アルミニウム合金シリンダーの表面を粗面化した。得られた表面粗度は中心線粗さ(Ra)が0.28μm、最大高さ(Rmax)が2.30μmであった。以下、実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。センタレス加工は、インフィード方式の装置にて、粗さ800メッシュの砥石を用いて、以下の条件で研磨を行った。結果を表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【0054】
粗研磨送り速度:0.0080mm/s
仕上げ研磨送り速度:0.0025mm/s
粗研磨代:0.16mm
仕上げ研磨代:0.02mm
研磨液:鉱物系オイル、10℃
(実施例4)
実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。
【0055】
アゾ顔料を下記構造のものに代えて中間層塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【外11】
【0056】
(実施例5)
実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。
【0057】
アゾ顔料を下記構造のものに代えて中間層塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【外12】
【0058】
(実施例6)
実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。
【0059】
アゾ顔料を下記構造のものに代えて中間層塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【外13】
【0060】
(比較例1)
共重合ポリアミドを市販のポリアミド樹脂(アミランCM8000、東レ製)に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で中間層用の分散液を作製した。更に実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、電子写真特性を評価した。結果は表1及び表2に示す。
【0061】
ハーフトーン画像においては異常はみられなかったが、高温高湿環境下においてカブリが発生し、低温低湿環境下において感度低下がみられた。
【0062】
(比較例2)
中間層を市販のポリアミド樹脂(アミランCM8000)に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。ハーフトーン画像においてネガのゴーストが発生し、低温低湿環境下において大きな感度低下がみられた。
【0063】
(比較例3)
アルミニウム合金の表面粗度を中心線粗さ(Ra)が0.07μm、最大高さ(Rmax)が0.40μmに調節したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。ハーフトーン画像において干渉縞が発生した。
【0064】
(比較例4)
アルミニウム合金の表面粗度を中心線粗さ(Ra)が0.40μm、最大高さ(Rmax)が3.7μmに調節したこと以外は実施例2と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。べ夕自画像において、比較的大きな黒点が発生し、ハーフトーン画像においてもガサツキが目立った。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、接触帯電方式による帯電装置を用いても、低温低湿から高温高湿の環境下において、ベタ自画像における黒点やカブリ、ハーフトーン画像における干渉縞、更にはゴースト等の画像欠陥がみられず、また、電位変動の小さな良好な特性の電子写真感光体が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置の帯電手段としては、コロナ放電手段及び感光層表面に直接接触するローラーやブラシ等を用いた帯電手段が用いられている。コロナ放電手段は、気中放電を利用するためオゾンが発生すること、高圧電源を用いる必要があるために電源コストが高くなること、また、コロナ生成物によるワイヤの汚れに対するメンテナンスに手間がかかる等、種々の問題を抱えている。このような欠点を改良するために、例えば特開平7−114249号公報や特開平7−98534号公報等でローラーやブラシ等の帯電部材を直接感光層表面に接触し、前記帯電部材に電圧を印加することにより感光体を帯電する接触帯電手段が提案されている。
【0003】
一方、電子写真感光体は、基本的には帯電及び露光により潜像を形成する感光層と、その感光層を設ける導電性支持体、あるいは必要に応じて中間層を設けても良い。
【0004】
電子写真感光体は、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性及び光学特性を備えていることが要求され、また、低温低湿から高温高湿のいずれの環境においても、その特性が十分に発揮されるような環境安定性を有していることが要求される。
【0005】
画像欠陥の代表的なものとしては、画像スジ、白地部分の黒点、黒字部分の白点、白地部分の地力ブリ、更には、デジタル複写機やレーザービームプリンター等の単一波長を有する光源を使用して露光を行う場合には、支持体の表面形状や感光体の膜厚ムラ等の要因によって発生する干渉縞等が挙げられる。
【0006】
従って、感光体を作製する場合、これらの画像欠陥が発生しないようにあらかじめ何らかの対策を施しておく必要がある。
【0007】
前記画像欠陥の発生に大きな影響を与える要因として、支持体表面上の異物、アルミニウム合金に含まれる銅やマンガン等の化学的な不純物及び支持体表面のバリ、突起や穴等の支持体加工時に発生する欠陥等が挙げられる。
【0008】
中間層は必要に応じて用いられるが、電子写真感光体に電圧を印加したとき支持体から電荷注入が起こらないように電気的なブロッキング機能が要求される。これは支持体から電荷注入があると、帯電能の低下、画像コントラストの低下や反転現像方式の場合は白地に黒点や地カブリの原因になり、画質を著しく低下させる。
【0009】
一方、中間層の電気的抵抗が高すぎると感光層で発生した電荷が支持体に抜けきらず電荷発生層内部に滞留し、結果として残留電位の上昇や繰り返し使用による電位変動、更には前回の印字部が次回の印刷時に残存するゴースト現象の原因になる。従って、電気的なブロッキング機能以外にも中間層の電気的抵抗値はある程度小さくする必要がある。
【0010】
更に、ブロッキング機能や電気的抵抗特性が低温低湿から高温高湿のいずれの環境下においても大きく変化してはならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ブロッキング機能及び適度な範囲の電気的抵抗特性を有する中間層として、例えば、有機高分子からなる中間層としては特開昭46−47344号公報や特開昭52−100240号公報、また、金属酸化物や金属窒化物を有機高分子中に分散した中間層としては特開昭54−151843号公報や特開平1−118848号公報等が提案されている。
【0012】
しかしながら、これまで知られている前記有機高分子からなる中間層や金属酸化物を有機高分子中に分散した中間層はいずれも十分な電位特性や画質が得られていないのが現状である。
【0013】
従って、この発明の目的は、低温低湿から高温高湿のいずれの環境下においても、画像スジ、白地部分の黒点、黒字部分の白点、白地部分の地カブリ、更には、ゴースト現象やレーザービーム等の単一波長を有する光源を使用して露光を行う場合の干渉縞等の画像欠陥を発生せず、また同時に、電位変動の少ない良好な電子写真感光体、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するための検討を行った結果、感光層と導電性支持体の間に中間層を設け、前記中間層が特定の構造を有する共重合ポリアミド樹脂及びアゾ顔料から構成され、且つ、前記導電性支持体が特定の範囲の表面粗さを有する場合、電位変動の少なく、画像欠陥のない良好な電子写真感光体を与えることを見い出し、特に、接触帯電方式の帯電手段を用いた場合、その効果が極めて有効であることを見い出した。
【0015】
即ち、本発明は、電子写真感光体が下記一般式(1)の構造を有するジアミン成分から構成される共重合ポリアミド樹脂及びアゾ顔料を含む中間層を有し、且つ、導電性支持体の中心線粗さRaが0.1〜0.3μm、最大粗さRmaxが0.5〜3.0μmの範囲であることを特徴とする。
【外5】
【0016】
本発明に用いる共重合ポリアミド樹脂は、下記一般式(1)のジアミン構造を有する。
【0017】
一般式(1)中、R1及びR2は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基が、好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0018】
一般式(1)のジアミン成分と、例えば、γ−カプロラクタム、ε−カプロラクタム、ラウリルカプロラクタム等のラクタム類、1,4−ブタンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,20−アイコサンジカルボン酸等のジカルボン酸類、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等のジアミン類、ピペラジン等を組み合わせて、共重合化させて共重合ポリアミド樹脂を製造する。
【0019】
前記共重合ポリアミド樹脂の製造方法は、常法のポリアミド樹脂の重縮合法が適用され、溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等が用いられる。
【0020】
また、前記共重合ポリアミド樹脂の製造において、反応制御剤として、酢酸、安息香酸等の一塩基酸またはへキシルアミン、アニリン等の一酸塩基が用いられる場合がある。
【0021】
また、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤や熱安定剤等が用いられる場合もある。
【0022】
本発明の共重合ポリアミド樹脂は、数平均分子量が10,000〜50,000であり、好ましくは15,000〜35,000である。
【0023】
本発明の中間層に含有されるアゾ顔料としては、以下の一般式で表されるアゾ顔料が好ましい。
【外6】
【0024】
式中Aは直接あるいは結合基を介して結合していても良い置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環基又は複素環基を表す。Cpはフェノール性水酸基を有するカプラー残基を表す。nは1〜3の整数を表す。
【0025】
カプラー残基Cpとしては、それらの少なくとも一つは下記一般式(3)または一般式(4)で示される構造が好ましい。
【外7】
【0026】
式中Xはベンゼン環と縮合して多環芳香環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、R3,R4は水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、複素環基を表す。また、R3とR4は窒素原子を介して環状アミノ基を形成していても良い。Zは酸素原子または硫黄原子を表し、mは0または1を表す。
【外8】
【0027】
式中Yは置換基を有しても良い芳香族炭化水素基を表す。
【0028】
本発明のジアミン成分から構成される共重合ポリアミド樹脂に対するアゾ顔料の含有率は、任意に用いられるが、20質量%〜200質量%の範囲で、好ましくは50質量%〜100質量%である。
【0029】
本発明の中間層の膜厚は、0.1μm〜5μm、好ましくは0.5μm〜3μmである。
【0030】
本発明に用いられる導電性支持体の表面粗さは、中心線粗さ(Ra)が0.1〜0.3μm、最大粗さ(Rmax)が0.5〜3.0μmの範囲が好ましい。中心線粗さ(Ra)が0.1μm以下及び最大粗さ(Rmax)が0.5μm以下の場合、前記支持体表面が比較的平滑なために、例えば、光源として半導体レーザーを用いる系になると前記支持体表面上で干渉作用を起こし、ハーフトーン画像において干渉縞画像が発生する。また、中心線粗さ(Ra)が0.3μm以上及び最大粗さ(Rmax)が3.0μm以上の場合、前記支持体表面の凹凸が大きくなり、ハーフトーン画像において画像のガサツキが生じたり、また、前記中間層を所望の膜厚で被覆できなくなり、結果として反転現像系の場合白地画像に黒点やカブリが発生する。
【0031】
本発明に用いられる導電性支持体は、アルミニウム及びアルミニウム合金を必要に応じて切削加工、湿式または乾式ホーニング加工、センタレス加工より選ばれた方法により前記支持体表面を粗面化することが出来る。
【0032】
本発明における切削加工は、加工に用いるダイヤモンドバイトは単数個でもよく複数個配列したものでもよく、Rは任意に選択できる。
【0033】
本発明におけるホーニング加工は、分散メディアを水などの液体媒体に分散させた湿式ホーニング方式や水などの液体媒体を用いずに直接分散メディアを吹き付ける乾式ホーニング方式のどちらを採用してもよく、また、前記分散メディアとしては、アルミナ、ガラス、SUS等が用いられる。
【0034】
本発明におけるセンタレス加工は、支持体端部から徐々に研磨されるスルーフィード方式、または支持体全体が一度に研磨されるインフィールド方式のどちらを採用してもよく、また、砥石のメッシュとしては、粗さの均一性を維持するために400メッシュ以上が好ましい。
【0035】
本発明の電子写真感光体の感光層の構成は、電荷発生物質と電荷輸送物質双方を含有している所謂単一層型、或いは電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と電荷発生物質を含有する電荷発生層に機能分離された、所謂積層型のいずれでもよい。積層型の感光層の構成の例としては、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の順に積層したものと、導電性支持体、電荷輸送層及び電荷発生層の順に積層したものが挙げられる。
【0036】
電荷発生層は、前記一般式(2)に示すモノアゾ顔料、ジスアゾ顔料及びトリスアゾ顔料などのアゾ系顔料、キノン系顔料、キノシアニン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ系顔料、アズレニウム塩顔料及びフタロシアニン系顔料などの電荷発生物質を、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース及び酢酸酪酸セルロースなどの結着樹脂に分散し、この分散液を塗布し、乾燥することによって形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.05〜2μmであることが好ましい。
【0037】
電荷輸送層は、主鎖または側鎖にピフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリンなどの含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、及びスチリル化合物などの電荷輸送物質を成膜性を有する樹脂に溶解した塗工液を塗布し、乾燥することによって形成される。成膜性を有する樹脂としてはポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリアリレート、アクリロニトリルースチレンコポリマー、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンなどが挙げられる。電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0038】
前記各種の層は、適当な溶剤を用い、浸積コーティング法、スプレーコーティング法、ビームコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法などのコーティング法により塗布した後、乾燥することによって形成することができる。
【0039】
本発明に用いられる帯電部材は、ローラー形状、ブラシ形状、ベルト形状及びブレード形状等、いずれの形状でも使用できるが、特にローラー形状で用いられることが好ましい。
【0040】
接触帯電方式においては、帯電部材と感光体表面との均一な当接状態を確保するために、帯電部材に適度な弾性が必要である。そのため、帯電部材は、電圧を印加するステンレス等の導電性支持体とその周囲にゴムや発泡体等を含有する導電性弾性層、さらに、必要に応じて、導電性弾性層上に磨耗性向上や感光体表面の汚染防止のために設けられる導電性被覆層を有することが好ましい。
【0041】
前記弾性層に用いられる弾性体としては、熱硬化性や熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴム等の高分子化合物に、必要に応じて導電性付与剤やその他の添加剤を添加したものが挙げられる。前記高分子化合物としては、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール及びエチレンー酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、更に、ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコンゴム及びフッ素ゴム等が挙げられる。
【0042】
また、導電性被覆層としては、前記熱硬化性や熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴム等の高分子化合物が用いられ、必要に応じて導電性付与剤を用いても良い。
【0043】
導電性付与剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫及び酸化チタン等の金属酸化物やポリピロール及びポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。また、金属塩化合物等のイオン導電体を用いることも可能である。
【0044】
帯電部材の体積抵抗率は、102〜1012Ωcmの範囲であることが好ましく、特には105〜1010Ωcmの範囲であることが好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は特にこれらに限定するものではない。
【0046】
(実施例1)
アルミニウム合金(JIS規格6063)をポートポール押し出し法により、外径φ30.15mm、内径28.0mmのパイプ状に連続押し出しして、長さ260mmに切断した。その後、旋盤を用いて前記アルミニウム合金シリンダーの表面を粗面化した。得られた表面粗度は、中心線粗さ(Ra)が0.23μm、最大高さ(Rmax)が1.41μmであった。表面粗度は表面粗さ測定装置(小坂研究所製、サーフコーダーSE−3300)により測定した。切削条件は下記の通りである。
【0047】
バイト:ニュウディー0.5R
主軸回転数:33S−1
バイト送り速度:0.05mm/rev
下記構造で示されるアゾ顔料5質量部とメタノール/n−ブタノール混合溶液(5/5)4質量部を混合し、サンドミルにより30時間分散した。前記分散液を下記構造式で示される共重合ポリアミド(数平出分子量:2万3000)5質量部をメタノール/n−ブタノール混合溶液(5/5)45質量部に溶解した溶液と混合した後、更にサンドミルで10時間分散し、中間層の塗布液を調合した。固形分濃度は10質量%に調整した。
【外9】
【0048】
前記中間層塗布液を前記アルミニウムシリンダー上に、浸漬塗布し、100℃で20分間乾燥することによって、膜厚1μmの中間層を形成した。
【0049】
次に、チタニルオキシフタロシアニン顔料5質量部を、シクロヘキサノン100質量部中にサンドミルで20時間分散した。前記分散液にブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業(株)製)2.5質量部をシクロヘキサノン20質量部に溶解した溶液を加え更に2時間分散した。この分散液に酢酸エチル100質量部とシクロヘキサノン100質量部を加えて希釈した溶液を前記中間層上に浸漬塗布し、80℃で10分間乾燥することによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0050】
次に、下記式で示されるアリールアミン化合物50質量部、及びポリカーボネート(ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学(株)製)50質量部をモノクロルベンゼン400量部に溶解した溶液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で1時間乾燥することによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【外10】
【0051】
前記電子写真感光体を反転現像方式のレーザープリンター(Laser Jet 4000)を用いて評価した。評価環境は、常温常湿(23℃、60%Rh)、高温高湿(32.5℃、85%Rh)、低温低湿(15℃、10%Rh)で、各環境に48時間放置した後、べ夕自画像とハーフトーン画像の評価及び暗部電位と明部電位を測定した。結果を表1及び表2に示す。べ夕自画像では微小黒点(カブリ)、ハーフトーン画像では干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストを観察し、評価したが、何れも認められなかった。
【0052】
(実施例2)
アルミニウム合金(JIS規格3003)をポートポール押し出し法により、外径φ30.15mm、内径28.0mmのパイプ状に連続押し出しして、長さ260mmに切断した。その後、湿式ホーニング装置を用いて湿式ホーニング処理を行い、前記アルミニウム合金シリンダーの表面を粗面化した。得られた表面粗度は中心線粗さ(Ra)が0.15μm、最大高さ(Rmax)が1.76μmであった。以下、実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。湿式ホーニング処理条件は、以下の通りである。結果を表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【0053】
研磨砥粒:アルミナビーズCB−A20S(昭和タイタニウム社製)
懸濁媒体:水
アルミナビーズ/水=1/10(体積比)
シリンダー回転数:1.7S−1
エア吹き付け圧力:0.1MPa
ガン移動速度:0.015m/s
ホーニング処理時間:20秒
(実施例3)
アルミニウム合金(JIS規格3003)をボートボール押し出し法により、外径φ30.15mm、内径28.0mmのパイプ状に連続押し出しして、長さ260mmに切断した。その後、センタレス加工により前記アルミニウム合金シリンダーの表面を粗面化した。得られた表面粗度は中心線粗さ(Ra)が0.28μm、最大高さ(Rmax)が2.30μmであった。以下、実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。センタレス加工は、インフィード方式の装置にて、粗さ800メッシュの砥石を用いて、以下の条件で研磨を行った。結果を表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【0054】
粗研磨送り速度:0.0080mm/s
仕上げ研磨送り速度:0.0025mm/s
粗研磨代:0.16mm
仕上げ研磨代:0.02mm
研磨液:鉱物系オイル、10℃
(実施例4)
実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。
【0055】
アゾ顔料を下記構造のものに代えて中間層塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【外11】
【0056】
(実施例5)
実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。
【0057】
アゾ顔料を下記構造のものに代えて中間層塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【外12】
【0058】
(実施例6)
実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。
【0059】
アゾ顔料を下記構造のものに代えて中間層塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。カブリ、干渉縞、画像のガサツキ及びゴーストは認められなかった。
【外13】
【0060】
(比較例1)
共重合ポリアミドを市販のポリアミド樹脂(アミランCM8000、東レ製)に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で中間層用の分散液を作製した。更に実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、電子写真特性を評価した。結果は表1及び表2に示す。
【0061】
ハーフトーン画像においては異常はみられなかったが、高温高湿環境下においてカブリが発生し、低温低湿環境下において感度低下がみられた。
【0062】
(比較例2)
中間層を市販のポリアミド樹脂(アミランCM8000)に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。ハーフトーン画像においてネガのゴーストが発生し、低温低湿環境下において大きな感度低下がみられた。
【0063】
(比較例3)
アルミニウム合金の表面粗度を中心線粗さ(Ra)が0.07μm、最大高さ(Rmax)が0.40μmに調節したこと以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。ハーフトーン画像において干渉縞が発生した。
【0064】
(比較例4)
アルミニウム合金の表面粗度を中心線粗さ(Ra)が0.40μm、最大高さ(Rmax)が3.7μmに調節したこと以外は実施例2と同様の方法で電子写真感光体を作製し、評価した。結果は表1及び表2に示す。べ夕自画像において、比較的大きな黒点が発生し、ハーフトーン画像においてもガサツキが目立った。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、接触帯電方式による帯電装置を用いても、低温低湿から高温高湿の環境下において、ベタ自画像における黒点やカブリ、ハーフトーン画像における干渉縞、更にはゴースト等の画像欠陥がみられず、また、電位変動の小さな良好な特性の電子写真感光体が得られる。
Claims (8)
- アルミニウム及びアルミニウム合金からなる導電性支持体を切削加工、ホーニング加工、センタレス加工より選ばれた方法によりアルミニウム及びアルミニウム合金表面を粗面化することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の電子写真感光体。
- 帯電部材を表面に接触させて帯電する請求項1乃至請求項5記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至請求項6記載の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置に着脱自在であることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
- 請求項1乃至請求項6記載の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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