JP2004101492A - 自然循環型原子炉及びその起動方法 - Google Patents

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Kimio Akazawa
赤澤 公雄
Shuhei Miyake
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金川 孝
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Abstract

【課題】自然循環型原子炉の起動時の不安定現象を防止する原子炉とその起動方法を提供する。
【解決手段】原子炉は真空引き装置を付加され、真空引きによってサブクール状態にある炉内上部の冷却材が飽和状態に近づいてから起動される。また原子炉は、不安定現象が起きるより弱い出力で起動され、炉心付近のサブクール状態の冷却材が飽和状態に近づいてから、通常運転が開始される。原子炉は、起動初期に炉内の蒸気発生器20に2次冷却材が流され、炉内の自然循環を促進するよう炉内に温度差がつけられる。また以上の起動方法の各々に関して制御装置が設けられる。
【選択図】   図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然循環型原子炉の運転方法に関し、特に、起動時において、原子炉の安定性を維持して起動する運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電プラントにおいて、冷却材の対流現象を利用して冷却材が循環するように設計された自然循環炉が知られている。自然循環炉は、強制循環型の原子炉に比べてポンプや弁の数を減らすことができ、保守の簡易化、信頼性の向上などの面から注目されている。
【0003】
自然循環炉は、原子炉圧力容器の内部に、中心軸を鉛直方向とする円筒状のシュラウドを備えている。シュラウドの内側は冷却材が上昇するライザー、外側は冷却材が下降するダウンカマである。炉心は、ライザーの下部に設置されている。冷却材は、低温のときはライザーとダウンカマでの冷却材の密度差によって、通常運転のときはボイド率の差を主な駆動力として、自然循環する。自然循環炉には加圧水型と沸騰水型があるが、こうした炉内の自然循環の挙動はどちらの型でも同じである。
【0004】
ライザーは、円筒状のシュラウドの内部の空間である。こうした形状の空間が液体で満たされ、下部に熱が加えられた場合、一定の条件下で、ガイセリング現象と呼ばれる不安定現象が発生することが知られている。
【0005】
ガイセリング現象は、以下に記述するような低温二相流の不安定現象である。冷温停止状態にある原子炉の炉心を起動すると、ライザー部の冷却材は炉心によって加熱され、ダウンカマ部の冷却材よりも密度が小さくなる。原子炉の起動初期には、炉内の冷却材は、この密度差を駆動力として低流量で循環する。
【0006】
ライザー部の温度が上昇すると、ある温度まで達した時点で、サブクール状態にある冷却材が沸騰を始め、ライザー部の冷却材は液相に気相のボイドが混じった二相流状態となる。このボイドの発生によって、冷却材の循環速度が増加する。冷却材の循環速度が増加すると、ライザー部より低温のダウンカマ部の冷却材が炉心下部に流入する量が増加し、ライザー部の冷却材は温度が下がって単相流状態に戻る。こうした過程が繰り返されて、冷却材は二相流と単相流状態が交番する不安定な状態となる。こうした不安定現象がガイセリング現象と呼ばれる。
【0007】
加圧水型、あるいは沸騰水型の自然循環型原子炉の起動に際して、ガイセリング現象の発生を防止することが求められている。
【0008】
ガイセリング現象が生じる条件は、1)炉心上部にサブクール水が存在する、2)冷却材の循環流量が小さい、3)炉内の圧力が低い、の3つが同時に成立すること、である。自然循環炉の起動時には、これらの条件が満たされる可能性がある。
【0009】
上述の条件(1)に関して、特開昭59−143997号は、原子炉に外部熱源を設置して、サブクール状態の冷却材を加熱沸騰させる方法を開示している。また特開平5−256991号は、沸騰水型の自然循環炉において、真空ポンプを設置することでサブクール状態の冷却材を減圧沸騰させる方法を開示している。
【0010】
また、沸騰水型の自然循環炉において、原子炉の通常運転をする前に,不安定現象が発生しない程度のきわめて低い核加熱で長時間、冷却材を加熱することで、サブクール状態の冷却材を飽和状態に近い状態にして、不安定現象を回避する方法が知られている。
【0011】
条件(2)に関して、炉心の起動初期における冷却材の循環流量は、ライザーの冷却材とダウンカマの冷却材の温度差によって決まる。炉心またはライザー部の温度は、ダウンカマ部の温度よりも高い方が、冷却材の流量は大きくなる。ライザー部の温度は、上部より下部が高温である方が、冷却材の流量は大きくなる。こうした温度分布を、図11に示す。冷却材の温度分布が図11に示すパターンに近ければ冷却材の循環流量は大きくなる。
【0012】
原子炉の起動初期においては、ライザーの冷却材とダウンカマの冷却材の密度差は小さく、循環流量は小さい。特開平6−265665号は、こうした状態の原子炉に関して、炉心下部の冷却材を外部熱源によって加熱することによって、炉内の温度分布を図11のパターンに近づける方法を開示している。
【0013】
条件(3)に関して、特開平5−72387号は、沸騰水型原子炉の場合において、原子炉に加圧器を設置し、加圧した状態で冷却材を加熱する方法を開示している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自然循環型原子炉の起動時において、不安定現象の発生を防止する原子炉およびその起動方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、自然循環型原子炉の起動時において、不安定現象の発生を簡易な手段で防止する原子炉およびその起動方法を提供することである。
【0016】
本発明の更に他の目的は、自然循環型原子炉の起動時において、不安定現象の発生を少ないコストで防止する原子炉およびその起動方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0018】
本発明による自然循環型原子炉の原子炉圧力容器(1)には、冷却材が充填されている。原子炉圧力容器(1)の内部は、液相の冷却材で満たされた液相部(8)と、その上部に気体で満たされた気相部(9)で占められている。この気相部(9)には、真空引き用配管(11)が接続されている。真空引き用配管(11)は、真空引き装置(10)に接続されている。
【0019】
また原子炉圧力容器(1)には、原子炉圧力容器(1)のなかの冷却材を抽出し原子炉圧力容器(1)のなかに再充填するための充填抽出系(12)および充填ポンプ(13)が接続されている。真空引き装置(10)の排気側は、充填抽出系(12)に接続され、真空引き装置(10)によって原子炉圧力容器(1)から引き出された冷却材は、充填抽出系(12)と充填ポンプ(13)を通して原子炉圧力容器(1)の内部に還流する。
【0020】
炉心(2)を起動する際に、真空引き装置(10)を作動して真空引きを行うことで、サブクール状態にある冷却材が減圧され飽和状態に近づく。その後、炉心が起動される。飽和状態に近い冷却材は、わずかな加熱でサブクール状態でなくなり、原子炉はガイセリング現象を生じずに起動する。
【0021】
真空引き用配管(11)や充填抽出系(12)の配管には、各部品の接続部にシール部がある。冷却材の漏洩に対して高い信頼性を維持するためには、このような配管に引き出される冷却材は少量であることが望ましい。真空引きを続けて冷却材が沸騰すると多量の気相の冷却材が真空引き用配管(11)に引き込まれるため、真空引き装置(10)の作動を適切なタイミングで停止する制御装置が設けられていることが望ましい。
【0022】
真空引き装置(10)を適切なタイミングで停止するための付加設備として、ライザー(5)上部には、第1圧力計(101)と第1温度計(102)が設置されている。これらは第1制御装置(103)に接続されている。
【0023】
第1制御装置(103)は、第1計算部(104)を備えている。第1計算部(104)は、第1圧力計(101)の出力する圧力(P(t))と、第1温度計(102)の出力する温度(T)とを入力とし、それらを用いてライザー(5)上部の飽和温度(T(t))から温度(T)を差し引いた値である第1サブクール度(S(t))を算出する。
【0024】
冷却材が沸騰していないとき、サブクール度は正の値をとる。減圧をすると、飽和温度が小さくなることから、サブクール度は小さくなる。冷却材が沸騰している時、サブクール度は0の値をとる。
【0025】
真空引き装置(10)を停止するとき、第1サブクール度(S(t))が小さいほどガイセリング現象の発生がより確実に防止でき、望ましい。一方で、冷却材が沸騰し第1サブクール度(S(t))が0になると、真空引き用配管(11)に蒸気状態の冷却材が多量に引き出され、望ましくない。ガイセリング現象の発生を防止し、かつ冷却材漏れ防止に関して高い信頼性を維持するには、第1サブクール度は充分に小さく、かつ0になる前に真空引き装置が停止するように制御がなされていることが好ましい。
【0026】
こうした事情に配慮して、真空引きを止める基準として、第1設定サブクール度(S)が設定される。第1制御部(106)は、第1計算部(104)が算出する第1サブクール度(S(t))と第1設定サブクール度(S)を用いて、真空引き装置(10)を制御する。
【0027】
また本発明による自然循環型原子炉は、炉心(2)を通常運転のために起動するのに先立って、不安定現象が発生しない程度の弱い出力で起動し、ライザー(5)下部のサブクール状態の冷却材が飽和状態に近づくまで核予熱を加える。
【0028】
この核予熱の強さを制御するために、ライザー下部には第2圧力計(201)と第2温度計(202)が設置されている。これらは第2制御装置(203)に接続されている。
【0029】
第2制御装置(203)は、第2計算部(204)を備えている。第2計算部(204)は、第2圧力計(201)の出力する圧力(P’(t))と、第2温度計(202)の出力する温度(T’)とを入力とし、それらを用いてライザー(5)下部の飽和温度(T’(t))と温度(T’)の差を、第2サブクール度(S’(t))、として算出する。第2制御部(206)は、第2サブクール度(S’(t))と、予め設定された第2設定サブクール度(S’)を用いて、制御棒駆動機構(3a)を制御し、核予熱の量を調節する。
【0030】
核予熱は、真空引きと並行して行われることが望ましい。自然循環型原子炉のライザー(5)は、自然循環量を確保するために充分な鉛直方向の長さをもつ。ライザー(5)が鉛直方向に長いほど、炉心近傍の冷却材の圧力は、液面付近の冷却材の圧力よりも大きくなる。そのため、温度が実質的に一様という条件のもとでは、ライザー(5)の下部にいくほど冷却材のサブクール度は高くなる。
【0031】
真空引きと併せて核予熱を行うことで、ライザーの下部にいくほど高くなるような温度勾配がつけられ、ライザー(5)全体で冷却材が飽和状態に近い状態となる。これにより、ガイセリング現象が発生する条件のひとつである、炉心上部におけるサブクール水の存在が緩和される。
【0032】
真空引きと核予熱が並行して行われるとき、真空引きによってライザー(5)上部の冷却材が飽和温度に近い状態になる時間と、核予熱によってライザー(5)下部の冷却材が飽和温度に近い状態になる時間は、ほぼ同時であるのが望ましい。ほぼ同時でない場合は、ライザー(5)上部の冷却材とライザー(5)下部の冷却材のうち先に飽和温度に近い状態に達した方が、他方が飽和温度に近い状態に達するまでの間に、飽和温度に近い状態でなくなる可能性がある。真空引きの開始時刻または排気速度、前記核予熱の開始時刻または発熱量の少なくともひとつを制御することで、ライザー(5)上部と下部が飽和状態に近い状態となる時間が接近するように調整される。
【0033】
また核予熱はライザー(5)下部の冷却材を飽和状態に近い状態にすればよいので、核加熱によって冷却材を全体的に飽和状態に近づける従来技術に比べて、起動時間が短く済む。
【0034】
また本発明による自然循環型原子炉は、加圧水型の自然循環型原子炉であることがある。加圧水型の自然循環型原子炉は、原子炉圧力容器(1)の内部の1次冷却材と分離された2次冷却材が通る2次冷却系を備えている。原子炉圧力容器(1)はダウンカマ(6)に蒸気発生器(20)を備えており、1次冷却材と2次冷却材は、蒸気発生器(20)を介して熱交換する。
【0035】
原子炉圧力容器(1)の外部から流れてきた2次冷却材は、蒸気発生器(20)の入口に入り、ダウンカマ(6)の冷却材と熱交換しながら蒸気発生器(20)の内部を流れ、蒸気発生器(20)の出口から出て、原子炉圧力容器(1)の外部に導かれる。
【0036】
こうした蒸気発生器(20)を備えた原子炉において、本発明による起動方法では、炉心(2)の起動初期に、蒸気発生器(20)の内部に2次冷却材が流される。この場合、原子炉圧力容器(1)は起動初期の低温状態であることから、2次冷却材は蒸気発生器(20)を通り抜けても液体のままである。この液体の2次冷却材を流すために、蒸気発生器(20)は、タービン(26)を通らない経路を形成する配管に接続される。
【0037】
蒸気発生器(20)の内部を流れる2次冷却材によって、蒸気発生器(20)を介してダウンカマ(6)の1次冷却材は熱を奪われ、ライザー(5)の1次冷却材よりも温度が低くなる。この温度差によるライザー(5)とダウンカマ(6)の1次冷却材の密度差によって、1次冷却材の自然循環流量が増大し、ガイセリング現象が発生する条件のひとつである低流量が緩和される。
【0038】
つまり、原子炉の通常運転時においてタービン(26)を動かすための蒸気を発生するために備えられている蒸気発生器(20)およびその内部を通る2次冷却材は、まだ蒸気を発生する温度に達しない原子炉の起動初期において、炉内の自然循環流量を増加し不安定現象を防止するために用いられる。
【0039】
こうした、炉心(2)の起動初期に蒸気発生器(20)に2次冷却材を流す方法は、真空引きの方法と併せて用いられることが好ましい。原子炉圧力容器(1)の真空引きを行った場合、ライザー(5)とダウンカマ(6)の静水頭圧に差がつきにくく、冷却材の自然循環流量が小さくなる。真空引きと併せて、炉心(2)の起動時に蒸気発生器(20)に2次冷却材を流すことで、ガイセリング現象が発生する条件のうち、原子炉圧力容器内が低圧力であることと、原子炉圧力容器内の冷却材の循環流量が小さいことが、同時に緩和される。
【0040】
また、炉心(2)の起動初期に蒸気発生器(20)に2次冷却材を流す方法は、核予熱の方法と共に用いられることが好ましい。炉心(2)の起動初期に2次冷却材を流す方法では、ダウンカマ(6)の冷却材が冷却される。核予熱の方法ではライザー(5)の冷却材が加熱される。そのため、炉心(2)の起動初期に2次冷却材を流す方法と核予熱の方法が併用されることで、ライザー(5)とダウンカマ(6)の1次冷却材の密度差はさらに大きくなる。それによって、自然循環型原子炉の起動初期における1次冷却材の自然循環量がさらに大きくなり、不安定現象が有効に回避される。
【0041】
また、こうした、炉心(2)の起動初期に蒸気発生器(20)に2次冷却材を流す方法において、2次冷却材は、自然循環型原子炉が通常備えているタービンバイパス(23)を通って循環することがある。その構成は、次のようになっている。
【0042】
蒸気発生器(20)は蒸気配管(21)によってタービン(26)の入口に接続されている。タービンの排気側は、復水器(29)に接続されている。
【0043】
また、タービン(26)は多段式であり、その中段からは抽気配管(28)が引き出されている。抽気配管(28)は、給水加熱器(31)を通って、復水器(29)に接続されている。
【0044】
2次冷却系には、蒸気発生器(20)の発生した蒸気をタービン(26)に導く蒸気配管(21)の途中に、2次冷却材がタービン(26)を迂回して循環するバイパス(23)が設けられる。バイパス(23)の他端は、抽気配管(28)に接続されている。このバイパス(23)によって、2次冷却系には、バイパス(23)を通らずに蒸気発生器(20)とタービン(26)を通る第1循環経路(34)と、タービン(26)を通らずに蒸気発生器(20)とバイパス(23)を通る第2循環経路(35)が存在することになる。
【0045】
蒸気配管(21)の、バイパス(23)よりもタービン(26)に近い側には、タービン蒸気止め弁(25)が設けられている。バイパス(23)には、バイパス止め弁(24)が設けられている。第1循環経路(34)は、バイパス止め弁(24)を閉じ,タービン蒸気止め弁(25)を開くことで確保される。第2循環経路(35)は、タービン蒸気止め弁(25)を閉じ、バイパス止め弁(24)を開くことで確保される。
【0046】
こうしたバイパス(23)を備えた原子炉において、炉心(2)の起動時に、第2循環経路(35)が確保される。その後、給水ポンプ(32)が起動され、2次冷却材が第2循環経路(35)を循環する。
【0047】
炉心(2)の起動初期に蒸気発生器(20)に2次冷却材を流す方法において、2次冷却材の循環経路として、このように通常の自然循環型原子炉が備えているバイパス(23)を利用する方法は、新たな設備を付加する必要がなく、原子炉の起動初期の不安定現象を簡易かつ安価な手段で防止する。
【0048】
また、こうした、炉心(2)の起動初期に蒸気発生器に流れる2次冷却材の流量を自動的に制御するために、原子炉圧力容器(1)は、気相部(8)に気相部圧力を計測する第3圧力計(301)と、液相部(8)に1次冷却材の循環流量を計測する流量計測部(302)を備えている。第3圧力計(301)と流量計測部(302)は、第3制御装置(303)に接続されている。
【0049】
第3制御装置(303)は、第3計算部(304)を備えている。第3計算部(304)は、第3圧力計(301)の計測する圧力(P”)を入力とし、それを用いて設定自然循環流量(C(t))を出力する。第3制御部(306)は、第3計算部(304)の出力する設定自然循環流量(C(t))と、流量計測部(302)の計測する自然循環流量(C(t))とを用いて、2次冷却系の給水制御弁(33)の開度を制御する。
【0050】
【発明の実施の形態】
[実施の第1形態]
本発明の第1の実施の形態における自然循環型原子炉の1次冷却系の構成を図1に示す。自然循環型原子炉は、原子炉圧力容器1を備えている。原子炉圧力容器1の内部は、冷却材7が液相で存在する液相部8と、気体で満たされた気相部9とで占められている。原子炉圧力容器1はシュラウド4を備えており、シュラウド4の内側はライザー5、外側はダウンカマ6である。液相部8の冷却材7は、ライザー5内を上向きに、ダウンカマ6内を下向きに循環する。炉心2はライザー5の下部に設置されている。
【0051】
原子炉圧力容器1は、気相部9に開口する真空引き用配管11を備えている。真空引き用配管11は、真空引き装置10に接続されている。真空引き装置10の排気側は、充填抽出系12に接続されている。真空引き用配管11に引き入れられた1次冷却材7は、充填抽出系12を通り、充填ポンプ13によって原子炉圧力容器1の内部に還流する。
【0052】
以上の構成を備えた自然循環型原子炉は、以下のように動作する。
【0053】
図2は、真空引き装置10を用いた自然循環型原子炉の起動方法を表す起動曲線である。時刻tにおいて、炉心2は冷温停止状態にあり、炉内における温度は実質的に一様である。時刻tにおける炉内の温度はT、冷却材7の水面での圧力はPで示される。ライザー5の上部にはサブクール水(サブクール状態の1次冷却材7)が存在し、時刻tにおけるサブクール水の飽和温度は図2(c)のT(t)で示される。
【0054】
図2(a)は、各時刻における真空引き装置10のON/OFFの状態を示している。時刻tで真空引き装置10を動かし始めると、図2(b)に示されるように、炉内の圧力が低下し始める。圧力が低下するに伴って、図2(c)に示されるように、サブクール水の飽和温度T(t)も低下する。
【0055】
冷却材7が減圧沸騰する圧力まで真空引きを続けると、真空引き用配管11に気相の冷却材が多量に流入する。真空引き用配管11は図示しないシール部で接続されており、1次冷却材の漏洩に対する信頼性を高く保つためには、多量の冷却材の流入は、好ましくない。そのため、真空引き装置10は、サブクール水が飽和に達するより少し前に停止するのが好ましい。
【0056】
ライザー5にサブクール水が存在しても、その温度が飽和温度に近ければ、原子炉を起動したときにわずかな核加熱で沸騰するため、ガイセリング現象が発生する条件のひとつであるサブクール水の存在は緩和される。
【0057】
真空引き装置10を止める時刻は、図2(a)のtで示されている。この時刻におけるサブクール水の飽和温度は、T(t)で示されている。その後、時刻t(t>t)において炉心を起動し、核加熱を開始する。
【0058】
真空引き装置10によって原子炉圧力容器1から引き出された冷却材は、充填抽出系12を通り、充填ポンプ13によって原子炉圧力容器1の内部に還流する。
【0059】
この実施の形態においては、真空引き装置10と真空引き用配管11が設けられる。従来、ガイセリング現象を防ぐために、加圧器を用いる方法や、外部熱源を用いる方法が知られている。真空引き装置10と真空引き用配管11は、加圧器や外部熱源に比べて設備規模が小さく、低いコストで不安定現象の発生を防止することができる。
【0060】
また、不安定現象の発生を防止するために加圧器やヒーターを用いる方法では、冷却材を循環させる必要がある。真空引き装置10で減圧する際には冷却材7を循環させる必要がなく、冷却材喪失事故の可能性が低減し、より高い信頼性が得られる。
[実施の第2形態]
本発明の実施の第1の形態における真空引き装置を備えた自然循環型原子炉は、真空引き用配管11に数箇所のシール部を有している。それらのシール部から冷却材7が漏洩しないよう高い信頼性を確保するために、真空引き用配管11に引き出される冷却材は少ないことが望ましい。そのためには、真空引き装置10を停止するタイミングは、ガイセリング現象を防止するのに効果的な圧力まで減圧がなされ、かつ沸騰するより前になるよう制御されることが望ましい。本実施の形態によれば、真空引き装置10は、こうした条件を満たすタイミングで停止されるよう自動制御される。
【0061】
図3を参照して,本発明の第2の実施の形態における原子炉は、ライザー上部に設置された第1圧力計101と、第1温度計102を備えている。第1圧力計101と第1温度計102は第1制御装置103に接続され、第1制御装置103は真空引き装置10に接続され、真空引き装置10を自動制御している。
【0062】
第1制御装置103の構成を、図4に示す。第1制御装置103は、第1計算部104、第1減算器105、第1制御部106を備えている。
【0063】
第1計算部104は、第1圧力計101が測定する圧力P(t)と第1温度計102が測定する温度T(t)を入力とし、それらの値からライザー上部のサブクール度S(t)を計算して出力する。
【0064】
ここでサブクール度とは、ある圧力下にある液体において、その圧力下における飽和温度から、液体の温度を引いたものである。したがってその値は正であり、サブクール度が小さいほど、液体は飽和状態に近い。
【0065】
第1減算器105は、第1計算部が出力したサブクール度S(t)と、あらかじめ設定された設定サブクール度Sを入力とし、その差S(t)−Sを出力する。
【0066】
第1制御部106は、第1減算器105の出力したS(t)−Sを入力とし、真空引き装置10に物理的または電気的に接続され、真空引き装置10のON/OFFを制御する。このON/OFFの制御は、電源のON/OFFまたは図示しない制御弁の開閉などの手段による。
【0067】
以上の構成を備えた自然循環型原子炉は、以下に示すように動作する。
【0068】
まず、第1設定サブクール度Sが設定される。第1設定サブクール度Sは、ライザー5上部の冷却材のサブクール度がどの程度になったら真空引き装置10の真空引きを停止するのかを予め設定したものである。サブクール度T(t)−TがS以下になったとき、真空引き装置10が停止される。
【0069】
は、高すぎるとガイセリング現象の発生を防止するのに充分なまでにサブクール水が飽和状態に近づかず、好ましくない。Sは、低すぎると、わずかな攪乱要因によってサブクール水が沸騰して真空引き用配管11に多量の1次冷却材が引き出される可能性を生じ、好ましくない。Sは、こうした事情を考慮して、適切な値に設定されるのが好ましい。
【0070】
時刻tにおいて原子炉1は冷温停止状態にあり、炉内は実質的に一様な温度Tである。図2(c)に示されるように、サブクール水の飽和温度はT(t)で示される。図2(a)を参照して、時刻tにおいて、真空引き装置10が作動し、原子炉1の真空引きを行う。その間、第1圧力計101と第1温度計102はライザー上部の圧力P(t)および温度T(t)を計測し、P(t)とT(t)を実質的にリアルタイムで出力する。
【0071】
第1制御装置103は、冷却材7のサブクール度がS以下になったときに、真空引き装置10を停止する。第1制御装置103の動作は、詳しくは次のようである。
【0072】
計算部104は、P(t)とT(t)を用いて、時刻tにおけるライザー5上部のサブクール度S(t)≡T(t)−Tを算出する。
【0073】
第1減算器105は、S(t)とSを入力とし、S(t)−Sを出力する。S(t)−Sの符号によって、制御部106は真空引き装置10にON/OFFの指令を出す。時刻tにおいてS(t)−S>0が満たされているとき、真空引き装置10がONの状態を取るよう制御され、真空引きが続けられる。逆にS(t)−S<0の条件が満たされたとき、真空引き装置10がOFFとなるよう制御され、真空引きは停止される。真空引きを停止する時刻は、図のtで示されている。
【0074】
時刻t(t>t)において、炉心が起動される。この時刻において冷却材はサブクール度が小さい状態にあるため、ガイセリング現象の発生を避けて起動することができる。
[実施の第3形態]
本発明の実施の第3の形態においては、真空引きと併せて、ライザー下部に、ガイセリング現象が発生する加熱量よりも弱い核予熱が行われる。
【0075】
図5は、本実施の形態における原子炉の起動曲線を示している。時刻tにおいて、原子炉は冷温停止状態にあり、原子炉圧力容器1の内部は実質的に一様な温度Tである。時刻tにおけるライザー上部サブクール水の飽和温度はT(t)、ライザー下部サブクール水の飽和温度はT’(t)で示される。ライザー上部の圧力はP、ライザー下部の圧力はP’で示される。P’は静水圧の分だけPより大きい。
【0076】
時刻tで真空引き装置10を動かし始めると、圧力PおよびP’は低下しはじめる。それに伴って、サブクール水の飽和温度も低下しはじめる。真空引きをつづけると沸騰が始まるが、実施例1で示したように、沸騰する前に真空引きを停止するのが好ましい。真空引きを停止する時刻は、tで示されている。
【0077】
核予熱を開始する時刻は図5(e)のt’で示される。この核予熱は、起動初期の不安定現象が生じない程度に弱い。この核予熱によって、図5(d)に示されるように、ライザー下部の温度が上昇し始める。また真空引きも併せて行っているため、ライザー下部のサブクール水の飽和温度は低下し続ける。
【0078】
核予熱を続けると、やがてある時刻においてライザー下部の温度とサブクール水の飽和温度が等しくなり、ライザー下部サブクール水は沸騰を始める。しかし真空引きを行う方法と同様に、沸騰する手前で核予熱が停止されることが好ましい。その時刻がt’で示されている。
【0079】
とt’が実質的に同時となることは、ライザー5の内部のサブクール水がほぼ均一に飽和状態に近い状態になることを示しており、安定性の上で好ましい。こうしたタイミングを成立させるためには、真空引きの開始時刻t、核予熱の開始時刻t’、真空引き装置10の吸引力、および核予熱の強さが調節される。
【0080】
時刻t(t>t、t’)において、炉心を起動する。このとき、ライザー上部のサブクール水は真空引きにより飽和状態に近い状態である。ライザー下部のサブクール水は核予熱によって飽和状態に近い状態である。そのため、ガイセリング現象の発生を有効に防止しつつ炉心を起動できる。
【0081】
またライザーの下部が加熱されることで、ライザー上部よりもライザー下部の密度が小さくなり、自然循環流量が大きくなる。そのため、ガイセリング現象が発生するための他の条件である低流量を緩和される。
【0082】
また冷却材を加熱するのに原子炉の核加熱を利用することは、加熱のために新たな設備を設ける必要がないため、コストおよび原子炉の構造の簡易さの点から、好ましい。
[実施の第4形態]
実施の第4の形態において、自然循環型原子炉は、実施の第2の形態における真空引き装置を制御する制御装置に加えて、核予熱を制御する制御装置を備えている。
【0083】
図6を参照して、本発明による自然循環型原子炉は、実施の第2形態で示した、真空引き装置10を制御するために第1圧力計101、第1温度計102、第1制御装置103を備えている。
【0084】
それに加えて、本実施の形態における自然循環型原子炉は、ライザー下部に設置された第2圧力計201と第2温度計202を備えている。それらは第2制御装置203に接続されている。第2制御装置203は、制御棒駆動機構3aに接続され、制御棒3の出し入れによって核予熱量を自動制御している。
【0085】
図7は、第2制御装置203の構成を示している。第2制御装置203は、第2計算部204、第2減算器205、第2制御部206を備えている。
【0086】
第2計算部204は、第2圧力計201が測定する圧力P’(t)と第2温度計202が測定する温度T’(t)を入力とし、それらの値から時刻tにおけるライザー下部のサブクール度S’(t)≡T’(t)−T’(t)を算出して出力する。
【0087】
第2減算器205は、第2計算部204が出力したサブクール度S’(t)と、あらかじめ設定された設定サブクール度S’を入力とし、その差S’(t)−S’を出力する。第2制御部206は、第2減算器の出力したS’(t)−S’を入力とし、その値を用いて、核予熱の量を制御する。
【0088】
本実施の形態における以上の構成をもつ自然循環型原子炉は、以下に示すように動作する。
【0089】
まず、ライザー下部の設定サブクール度S’が設定される。S’は、冷却材7のライザー下部におけるサブクール度がどの程度になったら核予熱を停止するのかの基準を予め設定しておいたものである。ライザー下部のサブクール度S’(t)≡T’(t)−TがS’以下になったとき、真空引き装置10が停止される。
【0090】
’は、高すぎるとライザー下部サブクール水が十分に飽和状態に近づかず、好ましくない。S’は、低すぎると、わずかな攪乱でライザー下部のサブクール水が沸騰する可能性があり、安定性の上から好ましくない。S’は、こうした事情を考慮して、適切な値に設定されるのが好ましい。
【0091】
時刻tにおいて、原子炉は冷温停止状態にある。図5を参照して、時刻tで真空引きが開始される。時刻t’で、核予熱が開始される。tとt’は順不同である。
【0092】
第2圧力計201と第2温度計202はライザー下部の圧力P’(t)および温度T’(t)を計測し、P’(t)とT’(t)を実質的にリアルタイムで出力する。計算部204は、P’(t)とT’(t)を用いて、時刻tにおけるライザー下部のサブクール度S’(t)を算出する。
【0093】
第2減算器205は、S’(t)とS’を入力とし、S’(t)−S’を出力する。その出力値を用いて、第2制御部206は核予熱の量を制御する。S’(t)−S’の値が大きいほど、核予熱の量は相対的に大きくなる方向で制御される。S’(t)−S’の値が小さくなるほど核予熱の量は相対的に小さくなる方向で制御され、ある時刻で停止される。その時刻は、図5のt’で示されている。
【0094】
真空引き装置は、実施の第2の形態と同様に制御されて時刻tで停止される。tとt’は順不同である。
【0095】
時刻t(t>t、t’)において、炉心が起動される。この時刻においてライザー全体で冷却材はサブクール度が小さい状態にあるので、ガイセリング現象の発生を避けて起動することができる。
【0096】
ライザー上部のサブクール水は真空引きにより飽和状態に近い状態となり、ライザー下部のサブクール水は核予熱によって飽和状態に近い状態となる。ライザー上部のサブクール水が飽和状態になる時刻と、ライザー下部のサブクール水が飽和状態になる時刻は、ほぼ同時であることが、冷却材7の全体の安定性から好ましい。
【0097】
このような構成をもつ原子炉において、真空引きの開始時刻または排気速度、前記核予熱の開始時刻または発熱量の少なくともひとつが調節される。これらの調節は、ライザー(5)上部と下部が飽和状態に近い状態となる時刻が接近するように、すなわちt≒t’となるように行われる。
【0098】
ライザー5の全体で冷却材がほぼ同時に飽和状態に近い状態となるように真空引きと核予熱が制御されることで、ガイセリング現象を効果的に防止し、原子炉を安定的に起動することができる。
[実施の第5の形態]
本実施の形態における原子炉は、加圧水型の自然循環炉である。図8を参照して、原子炉圧力容器1は、ダウンカマ6の内部に2次冷却系の蒸気発生器20を備えている。蒸気発生器20は、蒸気配管21に接続されている。蒸気配管21の途中には、蒸気流量を調節する蒸気流量制御弁22が設置されている。蒸気配管21は途中で分岐している。一方の配管は間にタービン蒸気止め弁25を挟んでタービン26の入口に接続されており、他方の配管はバイパス23である。タービン26は、発電機27に接続されている。
【0099】
タービン26の出口に接続された配管は、復水器29、脱気器30、給水加熱器31、給水ポンプ32、給水制御弁33の順に接続され、蒸気発生器20に戻る。また、タービン26は多段式であり、その中段から引かれた抽気配管28は、給水加熱器31を通って復水器29に接続されている。
【0100】
また蒸気配管21の途中で分岐したバイパス23は、抽気配管28に接続されている。バイパス23はバイパス止め弁24を備えている。
【0101】
次に原子炉の通常運転時における2次冷却材の循環経路を示す。これは第1循環経路34として図示され、次に示す経路である。2次冷却材は、蒸気発生器20で液体から蒸気に変化し、蒸気配管21を通ってタービン26に流入する。タービン26は発電機27に接続され、発電が行われる。タービン26から排出された蒸気は、復水器29によって除熱されて液化される。液化された2次冷却材は、脱気器30によって溶け込んでいる気体を取り除かれる。脱気器30を出た2次冷却材は、給水加熱器31によって予熱される。給水加熱器31を出た2次冷却材は、給水ポンプ32によって押し出され,給水制御弁33によって流量を調節されて、蒸気発生器20に還流する。
【0102】
また、タービン26の中段から引き出された2次冷却材の蒸気は、給水加熱器31に送り込まれて、脱気器30から出た2次冷却材の予熱に用いられる。給水加熱器31から出た2次冷却材の蒸気は、復水器29に導入される。
【0103】
次に第2循環経路35について説明する。第2循環経路35は、蒸気発生器20を通り、バイパス23、抽気配管28を通って復水器29に戻る。以降は第1循環経路34と同じ経路を取り、脱気器30、給水加熱器31、給水ポンプ32、給水制御弁33を経て蒸気発生器20に還流する。第2循環経路35は、タービン蒸気止め弁25を閉じ、バイパス止め弁24を開くことで確保される。
【0104】
本実施の形態では、炉心2の起動初期に、タービン蒸気止め弁25が閉じられるとともにバイパス止め弁24が開かれることで、第2循環経路35が確保される。そして第2循環経路35に2次冷却材が流される。
【0105】
炉心の起動初期においては2次冷却材が沸騰するほど1次冷却材7が高温でなく、2次冷却材は蒸気発生器20を通過しても液体のままである。この液体の2次冷却材を流すために、タービン26を通らない第2循環経路35が確保されている。
【0106】
2次冷却材は、蒸気発生器20を通る際にダウンカマ6の1次冷却材の熱を奪う。熱を奪われたダウンカマ6の1次冷却材はライザー5の1次冷却材に比べて比重が大きくなり、1次冷却材7の自然循環が促される。
【0107】
以上に示した炉心の起動方法は、原子炉の起動時における1次冷却材7の流量が増加し、ガイセリングの発生条件の一つである、冷却材の低流量を緩和する。
【0108】
本実施の形態における、炉心2の起動時に蒸気発生器20に2次冷却材を流す方法は、実施の第1、第2、第4の形態に示した真空引きと併用されることが好ましい。真空引きを行う起動方法においては、冷却材7のライザー5とダウンカマ6における静水頭圧差が小さくなるため、自然循環流量は小さくなる。真空引きと併せて炉心の起動時に蒸気発生器に2次冷却材が流されることで、1次冷却材の循環流量が大きくなる。その結果、ガイセリング現象が発生する条件である炉心上部のサブクール水が存在することと、冷却材の自然循環量が小さいこととが、共に緩和される。
【0109】
また、本実施の形態における、炉心の起動時に蒸気発生器に2次冷却材を流す方法は、実施の第3、第4の形態に示した核予熱と併用されることが好ましい。核予熱の方法ではライザーの冷却材が予熱される。本実施の形態では、ダウンカマの冷却材が冷却される。そのため、核予熱と炉心の起動時に2次冷却材を流す方法とが併用されることで、ライザーとダウンカマの密度差はさらに大きくなる。それによって、炉心の起動初期における1次冷却材の自然循環量がさらに大きくなり、不安定現象が有効に回避される。
【0110】
以上のことから、真空引きと、核予熱と、炉心起動初期に蒸気発生器に冷却材を流す方法を併用する起動方法が、自然循環型原子炉の起動初期の不安定現象を防止する上で最も好適に用いられる。
【0111】
本実施の形態における方法は、加圧水型の自然循環炉が備えている蒸気発生器とバイパスを利用するものであり、新たに設備を付加することなく実施することができるため、低いコストで起動時の安定性を向上させることができる。
[実施の第6の形態]
図9を参照して、本発明の第6の実施の形態において、原子炉は、原子炉圧力容器1の気相部9の圧力を計測する第3圧力計301と、冷却材の自然循環量C(t)を計測する流量計測部302を備えている。それらは第3制御装置303に接続され、第3制御装置303は、2次冷却系の給水制御弁33に接続され、給水制御弁33の開度を制御している。
【0112】
第3制御装置303の構成を図10に示す。第3制御装置303は、第3計算部304、第3減算器305、第3制御部306を備えている。
【0113】
第3計算部304は、気相部の圧力P”を入力とし、それを用いて設定自然循環流量C(t)を算出して出力する。圧力P”が低いほど、ライザー5の冷却材とダウンカマ6の冷却材の密度差が大きくなり、大きな自然循環流量が見込めるので、設定自然循環流量C(t)は大きく設定する。
【0114】
圧力P”が高いほど、ライザー5の冷却材とダウンカマ6の冷却材の密度差は小さくなり、大きな自然循環流量を得るのは難しくなる。しかし、ガイセリング現象が発生する条件の一つである炉内の低圧力は緩和されている。したがって圧力P”が大きいほど、設定自然循環流量C(t)は小さくてもガイセリング現象を防ぐことができる。
【0115】
第3減算器305は、設定自然循環流量C(t)と、流量計測部302の出力した自然循環流量C(t)を入力とし、その差C(t)−C(t)を出力する。第3制御部306は、C(t)−C(t)を入力とし、それを用いて給水制御弁32に指令を出し、2次冷却材の流量を調整する。第3制御部306は、C(t)−C(t)が大きいほど、蒸気発生器20により多くの2次冷却材を流すように、給水制御弁33の開度を調節する。
【0116】
こうした制御装置を備えた原子炉は、冷却材の自然循環流量を制御することで、ガイセリング現象を有効に回避する。特に、実施の第1の形態または第2の形態に示した真空引きと併用されることで、ガイセリング現象を有効に回避する。
【0117】
【発明の効果】
本発明による自然循環型原子炉とその起動方法は、起動時の不安定現象を簡易な手段で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における原子炉を示す断面図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態における、原子炉の起動方法を示す起動曲線である。
【図3】図3は、第2の実施の形態における、真空引きを停止するタイミングを制御する制御系を示す。
【図4】図4は、第2の実施の形態における、真空引きを停止するタイミングを制御する制御装置の構成を示す。
【図5】図5は、第3の実施の形態における、原子炉の起動方法を示す起動曲線である。
【図6】図6は、第4の実施の形態における、核予熱の加熱量を制御する制御系を示す。
【図7】図7は、第4の実施の形態における、核予熱の強さを制御する制御装置の構成を示す。
【図8】図8は、第5の実施の形態における原子炉の構成を示す。
【図9】図9は、第6の実施の形態における、自然循環量を制御する原子炉の構成を示す。
【図10】図10は、第6の実施の形態における、自然循環量を制御する制御装置の構成を示す。
【図11】図11は、自然循環型原子炉の自然循環流量が大きい時の温度分布を示す。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器
2…炉心
3…制御棒
3a…制御棒駆動装置
4…シュラウド
5…ライザー
6…ダウンカマ
7…冷却材
8…液相部
9…気相部
10…真空引き用配管
11…真空引き装置
12…充填抽出系
13…充填ポンプ
20…蒸気発生器
21…蒸気配管
22…蒸気流量制御弁
23…バイパス
24…バイパス止め弁
25…タービン蒸気止め弁
26…タービン
27…発電機
28…抽気配管
29…復水器
30…脱気器
31…給水加熱器
32…給水ポンプ
33…給水制御弁
34…第1循環経路
35…第2循環経路
101…第1圧力計
102…第1温度計
103…第1制御装置
201…第2圧力計
202…第2温度計
203…第2制御装置
301…第3圧力計
302…流量計測部
303…第3制御装置
…第1設定サブクール度
S(t)…第1サブクール度
(t)…ライザー上部飽和温度
’…第2設定サブクール度
S’(t)…第2サブクール度
’(t)…ライザー下部飽和温度
(t)…設定自然循環流量
C(t)…自然循環流量

Claims (18)

  1. 原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器の内部の空間は、冷却材が液体状に存在する液相部と、前記液相部の上部に気体が存在する気相部とで占められ、
    前記液相部に接続され、前記冷却材を前記原子炉圧力容器の外部に抽出し、前記原子炉圧力容器の内部に再充填する充填抽出系と、
    吸気側を前記気相部に接続され、排気側を前記充填抽出系に接続された真空引き装置とを備えた、
    自然循環型原子炉。
  2. 請求項1に記載の自然循環型原子炉において、さらに、
    前記冷却材の前記液相部の液面近傍における第1圧力を測定する第1圧力計と、
    前記冷却材の前記液相部の液面近傍における第1温度を測定する第1温度計と、
    前記第1圧力と前記第1温度とを用いて、前記冷却材の液面近傍における飽和温度と前記第1温度との差を、第1サブクール度として算出し出力する第1計算部と、
    前記第1サブクール度が予め設定された第1設定サブクール度以下になったとき、前記真空引き装置を停止する第1制御部とを備えた、
    自然循環型原子炉。
  3. 請求項2に記載の自然循環型原子炉において、さらに、
    前記原子炉圧力容器の内部に設けられた炉心と、
    前記炉心の鉛直方向上側の近傍における前記冷却材の第2圧力を測定する第2圧力計と、
    前記炉心の鉛直方向上側の近傍における前記冷却材の第2温度を測定する第2温度計と、
    前記第2圧力と前記第2温度とを用いて、前記冷却材の前記炉心の鉛直方向上側の近傍における飽和温度と前記第2温度の差を、第2サブクール度として算出し出力する第2計算部と、
    前記第2サブクール度と、予め設定された第2設定サブクール度とを用いて、起動初期における冷却材の不安定現象が発生する限界出力よりも弱い出力にある前記炉心の核加熱の強さを制御する第2制御部とを備えた、
    自然循環型原子炉。
  4. 請求項3に記載の自然循環型原子炉において、さらに、
    前記原子炉圧力容器の内部に設けられた蒸気発生器と、
    前記蒸気発生器の内部を流れる2次冷却材の流量を調節する給水制御弁と、
    前記気相部の気相部圧力を測定する第3圧力計と、
    前記冷却材の循環流量を計測する流量計測部と、
    前記気相部圧力を用いて設定自然循環流量を決める第3計算部と、
    前記循環流量と前記設定自然循環流量とを用いて、前記給水制御弁の開度を制御する第3制御部とを備えた、
    加圧水型の自然循環型原子炉。
  5. 原子炉圧力容器と、
    前記原子炉圧力容器の内部に設けられた炉心と、
    前記炉心の鉛直方向上側の近傍における前記冷却材の第2圧力を測定する第2圧力計と、
    前記炉心の鉛直方向上側の近傍における前記冷却材の第2温度を測定する第2温度計と、
    前記第2圧力と前記第2温度とを用いて、前記炉心の鉛直方向上側の近傍における前記冷却材の飽和温度と前記第2温度の差を、第2サブクール度として算出し出力する第2計算部と、
    前記第2サブクール度と、予め設定された第2設定サブクール度とを用いて、起動初期における冷却材の不安定現象が発生する限界出力よりも弱い出力にある核加熱の強さを制御する第2制御部とを備えた、
    自然循環型原子炉。
  6. 原子炉圧力容器と、
    前記原子炉圧力容器の内部に設けられた蒸気発生器と、
    前記蒸気発生器の内部を流れる2次冷却材の流量を調節する給水制御弁と、
    前記気相部圧力を測定する第3圧力計と、
    前記原子炉圧力容器の内部に充填された冷却材の循環流量を計測する流量計測部と、
    前記気相部圧力を用いて設定自然循環流量を決める第3計算部と、
    前記循環流量と前記設定自然循環流量とを用いて、前記給水制御弁の開度を制御する第3制御部とを備えた、
    加圧水型の自然循環型原子炉。
  7. 請求項1に記載の自然循環型原子炉を起動する起動方法であって、
    冷温停止状態にある前記原子炉の前記原子炉圧力容器を前記真空引き装置によって真空引きし、前記冷却材の減圧を行う減圧ステップと、
    前記冷却材が、前記液相部の液面近傍において、前記原子炉の起動初期の不安定現象が発生しない程度まで飽和状態に近づいた後に、前記真空引き装置を停止するステップとを含む、
    自然循環型原子炉の起動方法。
  8. 請求項7に記載の自然循環型原子炉の起動方法において、さらに、
    前記減圧ステップと並行して、冷温停止状態にある前記自然循環型原子炉の炉心を、起動初期における冷却材の不安定現象が発生する限界出力よりも弱い出力で運転して前記炉心近傍の前記冷却材を核加熱し、前記炉心の近傍における前記冷却材を、前記原子炉の起動初期の不安定現象が発生しない程度まで飽和状態に近づける核予熱のステップを含む、
    自然循環型原子炉の起動方法。
  9. 請求項8に記載の自然循環型原子炉の起動方法において、さらに、
    前記冷却材が前記原子炉の起動初期の不安定現象が発生しない程度まで飽和状態に近づく時間が、前記液相部の液面近傍と前記炉心の近傍で、実質的に同じである、
    自然循環型原子炉の起動方法。
  10. 請求項2に記載の自然循環型原子炉を起動する起動方法であって、
    冷温停止状態にある前記原子炉の前記原子炉圧力容器を前記真空引き装置によって真空引きし、前記冷却材の減圧を行うステップと、
    前記第1圧力を測定するステップと、
    前記第1温度を測定するステップと、
    前記第1圧力と前記第1温度を用いて前記第1サブクール度を計算するステップと、
    前記第1サブクール度が前記第1設定サブクール度以下になったときに、前記真空引き装置を停止するステップとを含む、
    自然循環型原子炉の起動方法。
  11. 請求項3に記載の原子炉の起動方法において、
    冷温停止状態にある前記原子炉の前記原子炉圧力容器を前記真空引き装置によって真空引きし、前記冷却材の減圧を行う減圧ステップと、
    前記第1圧力を測定するステップと、
    前記第1温度を測定するステップと、
    前記第1圧力と前記第1温度を用いて前記第1サブクール度を計算するステップと、
    前記第1サブクール度が前記第1設定サブクール度以下になったときに、前記真空引き装置を停止するステップと、
    冷温停止状態にある前記原子炉の炉心を、起動初期における冷却材の不安定現象が発生する限界出力よりも弱い出力で運転し、前記炉心近傍の冷却材を核加熱する核予熱のステップと、
    前記第2圧力を測定するステップと、
    前記第2温度を測定するステップと、
    前記第2圧力と前記第2温度を用いて前記第2サブクール度を計算するステップと、
    前記第2サブクール度と前記第2設定サブクール度とを用いて、前記核予熱の強さを制御するステップと、
    前記第1サブクール度が前記第1設定サブクール度以下となる時間と、前記第2サブクール度が前記第2設定サブクール度以下となる時間が実質的に同じになるように、前記真空引きの開始時間または排気速度、前記核予熱の開始時間または加熱量のうちの少なくとも1つを調整するステップを含む、
    自然循環型原子炉の起動方法。
  12. 請求項4に記載の自然循環型原子炉の起動方法であって、
    冷温停止状態にある前記原子炉の前記原子炉圧力容器を前記真空引き装置によって真空引きし、前記冷却材の減圧を行う減圧ステップと、
    前記第1圧力を測定するステップと、
    前記第1温度を測定するステップと、
    前記第1圧力と前記第1温度を用いて前記第1サブクール度を計算するステップと、
    前記第1サブクール度が前記第1設定サブクール度以下になったときに、前記真空引き装置を停止するステップと、
    冷温停止状態にある前記原子炉の炉心を、起動初期における冷却材の不安定現象が発生する限界出力よりも弱い出力で運転し、前記炉心近傍の冷却材を核加熱する核予熱のステップと、
    前記第2圧力を測定するステップと、
    前記第2温度を測定するステップと、
    前記第2圧力と前記第2温度を用いて前記第2サブクール度を計算するステップと、
    前記第2サブクール度と前記第2設定サブクール度とを用いて、前記核予熱の強さを制御するステップと、
    前記第1サブクール度が前記第1設定サブクール度以下となる時間と、前記第2サブクール度が前記第2設定サブクール度以下となる時間が実質的に同じになるように、前記真空引きの開始時間または排気速度、前記核予熱の開始時間または加熱量のうちの少なくとも1つを調整するステップと、
    前記炉心を起動するステップと、
    前記蒸気発生器の内部を通過した2次冷却材が沸騰しない程度に前記1次冷却材が低温である前記炉心の起動初期において、前記蒸気発生器の内部を前記2次冷却材が流れるステップと、
    前記気相部圧力を計測するステップと、
    前記循環流量を計測するステップと、
    前記設定自然循環流量を決めるステップと、
    前記設定自然循環流量と前記循環流量とを用いて前記給水制御弁の開度を制御するステップとを含む、
    加圧水型の自然循環型原子炉の起動方法。
  13. 請求項5に記載の原子炉を起動する起動方法であって、
    冷温停止状態にある前記原子炉の炉心を、起動初期における冷却材の不安定現象が発生する限界出力よりも弱い出力で起動し、前記炉心近傍の冷却材を核加熱する核予熱のステップと、
    前記第2圧力計によって前記第2圧力を測定するステップと、
    前記第2温度計によって前記第2温度を測定するステップと、
    前記第2計算部が、前記第2圧力と前記第2温度を用いて前記第2サブクール度を計算するステップと、
    前記第2サブクール度と前記第2設定サブクール度とを用いて、前記核予熱の強さを制御するステップとを含む、
    自然循環型原子炉の起動方法。
  14. 請求項6に記載の原子炉を起動する起動方法であって、
    前記炉心を起動するステップと、
    前記蒸気発生器の内部を通過した2次冷却材が沸騰しない程度に前記1次冷却材が低温である前記炉心の起動初期において、前記蒸気発生器の内部を前記2次冷却材が流れるステップと、
    前記気相部圧力を計測するステップと、
    前記設定自然循環流量を決めるステップと、
    前記循環流量を計測するステップと、
    前記設定自然循環流量と前記循環流量とを用いて前記給水制御弁の開度を制御するステップとを含む、
    加圧水型の自然循環型原子炉の起動方法。
  15. 原子炉圧力容器と、
    前記原子炉圧力容器の内部に充填された1次冷却材と、
    前記原子炉圧力容器の内部に設置されたシュラウドと、
    前記シュラウドの内側に設置された炉心と、
    前記原子炉圧力容器の内部かつシュラウドの外側に設置された蒸気発生器
    とを備えた加圧水型の自然循環型原子炉を起動する起動方法であって、
    前記炉心を起動するステップと、
    前記蒸気発生器の内部を通過した2次冷却材が沸騰しない程度に前記1次冷却材が低温である前記炉心の起動初期において、前記蒸気発生器の内部を前記2次冷却材が流れるステップとを含む、
    加圧水型の自然循環型原子炉の起動方法。
  16. 原子炉圧力容器と、
    前記原子炉圧力容器の内部に充填された1次冷却材と、
    前記原子炉圧力容器の内部に設置されたシュラウドと、
    前記シュラウドの内側に設置された炉心と、
    前記原子炉圧力容器の内部かつシュラウドの外側に設置された蒸気発生器
    とを備えた加圧水型の自然循環型原子炉を起動する起動方法であって、
    冷温停止状態にある前記原子炉の炉心を、起動初期における冷却材の不安定現象が発生する限界出力よりも弱い出力で起動し、前記炉心近傍の前記冷却材を核加熱する核予熱のステップと、
    前記炉心を起動するステップと、
    前記蒸気発生器の内部を通過した2次冷却材が沸騰しない程度に前記1次冷却材が低温である前記炉心の起動初期において、前記蒸気発生器の内部を前記2次冷却材が流れるステップとを含む、
    加圧水型の自然循環型原子炉の起動方法。
  17. 請求項7、8、9、10、11、13のいずれかに記載の原子炉の起動方法において、
    前記原子炉は、
    前記原子炉圧力容器の内部に設置されたシュラウドと、
    前記原子炉圧力容器の内部かつシュラウドの外側に設置された蒸気発生器
    とを備えた加圧水型の自然循環型原子炉を起動する起動方法であって、
    前記炉心を起動するステップと、
    前記蒸気発生器の内部を通過した2次冷却材が沸騰しない程度に前記1次冷却材が低温である前記炉心の起動初期において、前記蒸気発生器の内部を前記2次冷却材が流れるステップとを含む、
    加圧水型の自然循環型原子炉の起動方法。
  18. 請求項12、14、15、16、17のいずれかに記載の原子炉の起動方法において、
    前記原子炉は、さらに、
    前記蒸気発生器に接続され、前記蒸気発生器の発生する2次冷却材の蒸気を前記原子炉圧力容器の外部に導く蒸気配管と、
    前記蒸気配管に接続されたタービンと、
    前記タービンの排出する蒸気を液化する復水器と、
    前記タービンから引きだされた抽気を復水器に送る抽気配管と、
    前記抽気配管の途中に設けられた給水加熱器と、
    前記蒸気配管から分岐し、前記抽気配管に接続するバイパスと、
    前記復水器の排出する前記2次冷却材を前記蒸気発生器に還流する給水ポンプと、
    前記給水ポンプと前記蒸気発生器をつなぐ配管上に設けられ、前記2次冷却材の流量を調節する給水制御弁と、
    前記蒸気配管上の前記バイパスよりも前記タービンに近い側に設けられ、前記タービンに導かれる2次冷却材の流入を制御するタービン蒸気止め弁と、
    前記バイパスの開閉を制御するバイパス止め弁と、
    を備えた原子炉の起動方法であって、
    前記タービン蒸気止め弁を閉じた状態に保持するステップと、
    前記バイパス止め弁を開いた状態に保持するステップと、
    前記蒸気発生器と前記バイパスを含む経路を前記2次冷却材が循環するステップとを含む、
    加圧水型の自然循環型原子炉の起動方法。
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