JP2004100868A - カバー装置 - Google Patents

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奥村 洋一郎
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Abstract

【課題】一対のカバー部材からなるカバー装置の嵌合面が確実に密着可能な構造を有するカバー装置を提供する。
【解決手段】このカバー装置は、開口部を有する第1カバー1と、上記開口部をを覆う第2のカバー2とを有してなり、上記第1のカバー1と第2のカバー2とは、ガタのある状態で嵌合する外周面1cと、内周面2cとを有しており、ねじ部材3を第2のカバー2のボス部2eに貫通させ、第1のカバー1のボス部1eに螺着締結することによって第1,2カバーが結合される。上記ボス部1e,2eの端部は、斜面形状になっており、ねじ部材3の締結によってボス部1e,2eが相対微小移動して外周面1cと内周面2cとが密着する。したがって、上記結合状態では、第2カバー2が側方に軋んで移動することがなく、嵌合部の良好な防滴,遮光状態が得られる。
【選択図】  図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定空間を形成するための一対のカバー部材からなるカバー装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、民生用機器の外観ケースであるカバー装置の構造の一例として、例えば、特開平7−20549号公報に提案されたカメラのカバー装置である外装ユニットは、前方側のカバーユニットと後方側の後蓋とで構成されている。上記カバーユニットと後蓋とは、周囲をビスで締結して一体化されるが、その接合面は、平面で形成されている。したがって、上記カバーユニットと後蓋との外周部に僅かなずれが生じる可能があった。また、平面の接合状態であるので機密性が必ずしも良好であるとはいえない。そこで、上記ずれの防止や機密性の向上のためには、外周に沿って嵌合部を設けた結合構造(印籠式嵌合構造)が従来から採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の外周に沿う嵌合部をもつ結合構造を適用したカバー装置においては、上記嵌合部に僅かな嵌合ガタが有る場合、ビスで締結した状態であってもカバーに外力を加えると上記嵌合ガタ分だけずれて外周部分に僅かな段差が生じたり、あるいは、ずれるときに軋み音を発生することがあった。また、そのずれにより嵌合部に僅かな隙間が発生する可能性もあり、防滴性や遮光性を必要とする機器に対しては問題となっていた。
【0004】
本発明は、上述の不具合を解決するためになされたものであり、一対のカバー部材からなるカバー装置の嵌合面が確実に密着可能な構造を有するカバー装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のカバー装置は、一対のカバー部材を有するカバー装置において、ねじ部材と、上記一対のカバー部材の一方を形成し、開口部と、上記開口部周囲にある内周面、若しくは、外周面と、上記開口部内側に設けられ、斜面で形成される端部を有し、ねじ部材がねじ込まれるねじ用ボス部とを有する第1のカバー部材と、上記一対のカバー部材の他方を形成し、上記第1のカバー部材の上記開口部を覆う部材であって、上記内周面若しくは外周面に対向する外周面、若しくは、内周面と、上記ねじ用ボス部と対向し、端部に上記斜面に対向し、当接可能な斜面および上記ねじ部材が貫通する貫通穴を備えたボス部とを有する第2のカバー部材と、を有し、上記ねじ部材が上記ねじ用ボス部にねじ込まれ、締結されると、上記内周面と上記外周面とが密着する。
【0006】
本発明の請求項2記載のカバー装置は、請求項1記載のカバー装置において、上記ねじ用ボス部および上記ボス部と、上記内周面、若しくは、外周面との間にはリブが連設されている。
【0007】
本発明の請求項3記載のカバー装置は、請求項1、または、2記載のカバー装置において、上記ねじ用ボス部、および、上記ボス部の端部の斜面は、上記ねじ部材により上記第1のカバー部材と上記第2のカバー部材を結合したとき、上記第1のカバー部材の上記内周面、若しくは、外周面と、上記第2のカバー部材の上記外周面、若しくは、内周面が密着する方向に相対的に移動するような方向に傾斜している。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態であるカバー装置の分解斜視図である。図2は、図1における上記カバー装置の第1ケースを示すA矢視図である。図3は、図1における上記カバー装置の第2ケースを示すB矢視図である。図4は、図1における上記カバー装置の第2ケースを示すC矢視図である。図5は、図1における上記カバー装置の組み立て状態を示すC矢視図である。図6は、上記カバー装置の組み立て結合状態における図5のF−F,F′−F′断面図であり、図4上では第2ケースのE−E断面部分を示す。
【0009】
本実施形態のカバー装置は、図1に示すように例えば、合成樹脂同士、金属と合成樹脂、または、金属同士からなる特定空間を形成するための一対のカバー部材として、その一方の第1のカバー部材である第1カバー1と、その他方の第2のカバー部材である第2カバー2とを有してなる。このカバー装置は、例えば、カメラの外装カバーなどの小型機器における各構成部材を収納するための外装カバーとして適用される。
【0010】
上記第1カバー1は、図2,6等に示すように開口部1aを有する直方体箱形状を有するカバー部材である。開口部1aの周辺に沿って外周面1cを有する段付き凸状壁部1bが設けられ、さらに、上記凸状壁部1bの上下左右、さらに、内周隅部の内周辺にそれぞれ第1のボス部を形成する4本のねじ用ボス部1e、および、4本のねじ用ボス部1iとが配置されている。
【0011】
上記ねじ用ボス1e,1iと凸状壁部1bの内周面1dとの間には、それぞれリブ1f,1jが連設され、一体化されている。そして、上記ねじ用ボス1e,1iには、カバー締結用セルフタップねじ3が螺着可能なねじ下孔(ストレート孔)1h,1mが設けられ、それぞれの端部には、第1カバー1の中心点P0 側に向けて(方向D1a〜D3a(図5)に向けて第1カバー底面に対して)低くなるように所定の角度傾斜した第1の傾斜面である傾斜面1g,1kが形成されている。
【0012】
上記第2カバー2は、図3,4,6等に示すように上記第1カバー1の開口部1aを覆う蓋部2aを有する平板に近い直方体箱形状を有するカバー部材である。そして、第2カバー2には、蓋部2aの周辺に内周面2cを有する段付き凸状壁部2bが設けられ、さらに、上記凸状壁部2bの上下左右の内周辺および内周隅部にそれぞれ第2のボス部を形成する4本のねじ貫通用ボス部2eと4本のねじ挿通用ボス部2iとが配置されている。上記内周面2cは、第1カバー1の外周面1cとガタのある状態、もしくは、ガタを感じさせない状態で嵌合可能とし、上記ボス部2e,2iは、第1カバー1のねじ用ボス部1e,1iと互いに対向する位置関係にある。
【0013】
上記ボス2e,2iと凸状壁部2bの内周面2dとの間には、それぞれリブ2f,2jが連設され、一体化されている。そして、上記ボス2e,2iには、セルフタップねじ3が挿通可能であって、第2カバー2の中心点P0 に向く方向D1 〜D3 の長孔であるねじ貫通孔2h,2mが設けられる。また、上記ボス2e,2iのそれぞれの端部には、第2カバー2の中心点P0 に向けて(方向D1a〜D3a(図5)に向けて第2カバー底面に対して)高くなるように所定の角度で傾斜する第2の傾斜面である傾斜面2g,2kが形成されている。なお、この傾斜面2g,2kは、それぞれ上記第1カバー1のねじ用ボス部の傾斜面1g,1kと合わせた状態で合致する同一傾斜角を有している。なお、上記ねじ貫通孔2h,2mの外面側には、セルフタップねじ3の頭部が挿入可能な凹部2p,2qが設けられる。
【0014】
上述の構成を有する本実施形態のカバー装置を組み立て結合する場合は、第1カバー1内に図示しない機器の構成要素を組み込み後、第1カバー1に第2カバー2を被せて第1カバー1の外周面1cと第2カバー2の内周面2cとを嵌合させて組み合わせる。そして、8本のセルフタップねじ3をねじ貫通孔2h,2mに貫通させて、ねじ用ボス部1e,1iのねじ下孔1h,1mにねじ込み、第1カバー1と第2カバー2とを締結し、結合状態とする。
【0015】
上記第1カバー1と第2カバー2との締結結合状態においては、図6に示すようにセルフタップねじ3のねじ込みによってねじ用ボス1e,1iの傾斜面1g,1kとボス2e,2iの傾斜面2g,2kが強く当接する。その当接力によって第1,2カバー1,2が僅かに弾性変形し、上記傾斜面2g,2kが傾斜方向に僅かに滑り、ボス2e,2iがD1a〜D3a方向に、ねじ用ボス1e,1iがその逆方向に相対的に微少移動する。そして、リブ2f,2jとリブ1f,1jを介して内周面2cと外周面1cが互いに当接する方向に微少移動し、全周にわたって密着する状態となる。したがって、上記カバー締結結合状態では、第2カバー2に側方向の外力を加えても第2カバー2が側方向にずれて軋むことがない。また、内周面2cと外周面1cとの間は、良好な防滴状態、かつ、遮光状態に保たれる。
【0016】
上述したように本実施形態のカバー装置によると、第1カバー1と第2カバーの嵌合部である外周面1cと内周面2cとが組み立て前にたとえガタのある状態であっても締結結合後の状態では、上記嵌合部が確実に密着し、第2カバー2が軋み移動することもなく、かつ、良好な密閉状態、防滴状態、および、遮光状態が得られる。
【0017】
なお、上記第1の実施形態のカバー装置の嵌合部の変形例として、上記嵌合部にゴムパッキンを狭持する構造を提案することができる。すなわち、この変形例のカバー装置は、図7の嵌合部まわりの断面図に示すように第1カバー1の外周面1c、または、第2カバー2の内周面2cに環状ゴムパッキン4を装着し、上記ゴムパッキン4を挟んで外周面1cと内周面2cとを嵌合させる構造とする。他の構造は、前記第1の実施形態の場合と同様とする。
【0018】
本変形例のカバー装置においては、第1,2カバー1,2の嵌合部を嵌め込み、セルフタップねじ3をねじ用ボス1e,1iにねじ込むことによって前記第1の実施形態の場合と同様に傾斜面1gと傾斜面2gで滑りが発生し、上記外周面1cと内周面2cの間の環状ゴムパッキン4が圧縮されて第1,2カバー1,2が締結結合される。したがって、内周面2cと、外周面1cとの間のより良好な防滴,遮光状態が得られる。
【0019】
次に、本発明の第2の実施形態のカバー装置について、図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態のカバー装置における第1,第2カバーの組み立て結合状態における嵌合部まわりの断面図である。
【0020】
本実施形態のカバー装置は、前記第1の実施形態のカバー装置と同様に図8に示すように特定空間を形成するための一対のカバー部材として、開口部を有する第1のカバー部材である第1カバー11と、上記開口部を覆う第2のカバー部材である第2カバー12とを有してなるが、前記第1の実施形態のカバー装置に対して異なる部分として、第1,2カバー11,12の嵌合部がそれぞれ内周面11cと外周面12cとで形成され、それに応じて第1,2カバー11,12のねじ用ボス部11eと、ねじ貫通用ボス部12eの結合面端部における傾斜面11g,12gの傾き方向が異なっている。
【0021】
すなわち、ねじ用ボス部11eの傾斜面11gは、第1カバー11の中心に向けて高くなる方向(第1カバー底面に対して)に傾斜しており、ねじ貫通用ボス部12eの傾斜面12gは、第2カバー12の中心に向けて低くなる方向(第2カバー底面に対して)に傾斜している。そして、第1,2カバー11,12のそれぞれ嵌合部である内周面11c,外周面12cの周辺の内壁部に対して上記ねじ用ボス部11e,ねじ貫通用ボス部12eは、リブ11f,12fにより一体的に連接されている。
【0022】
上述した構成を有する本実施形態のカバー装置を組み立て結合する場合も第1カバー11内に図示しない機器の構成要素を組み込み後、第1カバー11に第2カバー12を被せ、第1カバー11の内周面11cに第2カバー12の外周面12cを嵌合させて組み合わせる。そして、8本のセルフタップねじ13をねじ貫通孔12hに貫通させて、ねじ用ボス部11eのねじ下孔11hにねじ込み、第1カバー11と第2カバー12とを締結結合し、密閉状態とする。
【0023】
上記第1カバー11と第2カバー12との締結結合状態においては、図8に示すようにセルフタップねじ13のねじ込みによってねじ用ボス11eの傾斜面11gとボス12eの傾斜面12gが強く当接する。その当接力によって第1,2カバー11,12が僅かに弾性変形して上記傾斜面11g,12gが傾斜方向に僅かに滑り、ねじ用ボス11eがカバー中心方向に、ボス12eが逆の外方向に相対的に微少移動する。そして、リブ11fとリブ12fを介して内周面11cと外周面12cが互いに当接する方向に微少移動して、全周にわたって密着する状態となる。したがって、上記カバー締結結合状態では、第2カバー12に側方向の外力を加えても第2カバー12が側方向にずれて軋むことがなく、また、内周面11cと外周面12cとの間は、良好な防滴状態、かつ、遮光状態に保たれる。
【0024】
本実施形態のカバー装置においても前記第1の実施形態のカバー装置と同様な効果が得られる。
【0025】
なお、従来のカバー装置のように嵌合部のガタをなくし、あるいは、圧入嵌合とする結合構造では、カバー部材の成形金型の調整が面倒であり、さらに、部品の歩留まりも悪く、コスト高は、避けられなかったが、上述した本発明のカバー装置によれば、これらの点も改善できる。
【0026】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、一対のカバー部材からなるカバー装置において、その嵌合部にガタがあるとしても、ねじの締結によって上記一対のカバー部材の嵌合面を確実に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるカバー装置の分解斜視図である。
【図2】上記図1のカバー装置を構成する第1カバーの図1におけるA矢視図である。
【図3】上記図1のカバー装置を構成する第2カバーの図1におけるB矢視図である。
【図4】上記図1のカバー装置を構成する第2カバーの図1におけるC矢視図である。
【図5】上記図1のカバー装置の組み立て状態での図1におけるC矢視図である。
【図6】図1のカバー装置の嵌合部まわりの図5のF−F,F′−F′断面図である。
【図7】上記図1の第1の実施形態のカバー装置の変形例の組み立て結合状態における嵌合部まわりの断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のカバー装置の組み立て結合状態における嵌合部まわりの断面図である。
【符号の説明】
1,11…第1カバー(第1のカバー部材,一対のカバー部材)
1a…(開口部)
1c,12c…外周面(カバー部材の外周面)
1e,1i,11e…ねじ用ボス部
1g,1k,11g…傾斜面(ねじ用ボス部の端部の斜面)
2,12…第2カバー(第2のカバー部材,一対のカバー部材)
2c,11c…内周面(カバー部材の内周面)
2e,2i,12e…ボス部
2g,2k,12g…傾斜面(ボス部の端部の斜面)
2h,2m,12h…貫通穴
3 …セルフタップねじ(ねじ部材)

Claims (3)

  1. 一対のカバー部材を有するカバー装置において、
    ねじ部材と、
    上記一対のカバー部材の一方を形成し、開口部と、上記開口部周囲にある内周面、若しくは、外周面と、上記開口部内側に設けられ、斜面で形成される端部を有し、ねじ部材がねじ込まれるねじ用ボス部とを有する第1のカバー部材と、
    上記一対のカバー部材の他方を形成し、上記第1のカバー部材の上記開口部を覆う部材であって、上記内周面若しくは外周面に対向する外周面、若しくは、内周面と、上記ねじ用ボス部と対向し、端部に上記斜面に対向し、当接可能な斜面および上記ねじ部材が貫通する貫通穴を備えたボス部とを有する第2のカバー部材と、
    を有し、上記ねじ部材が上記ねじ用ボス部にねじ込まれ、締結されると、上記内周面と上記外周面とが密着するように構成されたことを特徴とするカバー装置。
  2. 上記ねじ用ボス部および上記ボス部と、上記内周面、若しくは、外周面との間にはリブが連設されていることを特徴とする請求項1記載のカバー装置。
  3. 上記ねじ用ボス部、および、上記ボス部の端部の斜面は、上記ねじ部材により上記第1のカバー部材と上記第2のカバー部材を結合したとき、上記第1のカバー部材の上記内周面、若しくは、外周面と、上記第2のカバー部材の上記外周面、若しくは、内周面が密着する方向に相対的に移動するような方向に傾斜していることを特徴とする請求項1、または、2記載のカバー装置。
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