JP2004100752A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続コーナを判定し、自車位置に近い側の手前コーナの制御内容を自車位置から遠い側の次コーナ形状に基づいて補正し、また、前記自車位置に近い側のコーナの旋回方向と遠い側のコーナの旋回方向との関係によって補正の方法を変更することによって、連続コーナにおいても運転者の感覚に合致した駆動力制御を行うことができ、車両の運転性を向上させることができるようにする。
【解決手段】駆動源に駆動連結される入力軸、及び、該入力軸の入力を変速して出力する出力軸を備える自動変速機と、道路情報に基づいて前記自動変速機を制御する自動変速機制御装置とを有し、該自動変速機制御装置は、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の駆動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナビゲーション装置が搭載された車両において、前記ナビゲーション装置が提供する道路状況データに対応させて駆動力制御を行うことができるようにした車両の駆動力制御装置が提供されている。この場合、例えば、車両がコーナ(カーブ)に差し掛かることが検出され、かつ、運転者の動作に基づく所定の条件が満たされると、駆動力制御としてダウンシフト等の車両を減速させるためのコーナ制御が行われる。そして、上限の変速段が決定され、該上限の変速段より上の変速段(高速側の変速段、変速比の小さい変速段等)が選択されないようになっている。
【0003】
この場合、前記車両の駆動力制御装置は、前記ナビゲーション装置が提供する道路状況データ、車両の速度、アクセル開度等の種々のデータに基づいて演算を行い、制御用データを作成し、該制御用データに基づいて前記コーナ制御を行うようになっている。
【0004】
また、近年、変速比を無段階に制御することができる無段変速機の出現に伴い、無段変速機の変速比を制御してコーナ制御を行う車両の駆動力制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。そして、該車両の駆動力制御装置においては、ナビゲーション装置が提供する道路状況データに基づいて、車両がコーナに差し掛かることが検出され、運転者がアクセルペダルを解放する(アクセルを閉じる)と、変速比を大きくする、すなわち、ダウンシフトするように無段変速機が制御される。
【0005】
これにより、コーナに差し掛かる時に運転者の減速しようとする意志を検出して、通常よりも大きなエンジンブレーキによる減速力を発生させることができるので、運転者の感覚に合致した駆動力制御を行うことができ、車両の運転性を向上させることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−280880号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平10−281278号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、コーナが連続する連続コーナを考慮していないため、該連続コーナにおいて車両が現在のコーナを走行中であっても次のコーナのための変速を開始することになる。そのため、走行中のコーナの状態に関わらずダウンシフトが開始されるので運転者に違和感を与えることになりドライバビリティが低下してしまう。例えば、車両が現在走行中のコーナに比べて次のコーナが急コーナである場合、次のコーナに備えて変速比を大きくするような制御が行われるので、コーナ走行中にも関わらず大きな減速度の変化が生じ、運転者に違和感を与えてしまうことになる。
【0009】
また、連続コーナにおいて、車両が現在走行中のコーナと次のコーナの旋回方向が相違する場合、横Gの向きの変化とは無関係に、減速度が変化するために運転者に違和感を与えてしまう。
【0010】
もっとも、このような問題点を解決するために、車両がコーナを走行している時には変速比をホールドしたり、変速速度を低くするように制御する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。ところが、この場合、次のコーナに対応して変速比を制御することができないため、次のコーナが急コーナである時には、十分な減速力を発生させることができないまま、車両が急コーナに進入してまうことになる。
【0011】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、連続コーナを判定し、自車位置に近い側の手前コーナの制御内容を自車位置から遠い側の次コーナ形状に基づいて補正し、また、前記自車位置に近い側のコーナの旋回方向と遠い側のコーナの旋回方向との関係によって補正の方法を変更することによって、連続コーナにおいても運転者の感覚に合致した駆動力制御を行うことができ、車両の運転性を向上させることができる車両の駆動力制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の車両の駆動力制御装置においては、駆動源に駆動連結される入力軸、及び、該入力軸の入力を変速して出力する出力軸を備える自動変速機と、道路情報に基づいて前記自動変速機を制御する自動変速機制御装置とを有し、該自動変速機制御装置は、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。
【0013】
本発明の他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第2のコーナのコーナ形状が前記第1のコーナのコーナ形状より急である場合に、該第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。
【0014】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第2のコーナの旋回方向が前記第1のコーナの旋回方向と異なる場合に、前記補正の程度を小さくする。
【0015】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナのコーナ形状と前記第2のコーナのコーナ形状との中間のコーナ形状に適した変速比となるように補正する。
【0016】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記中間のコーナ形状に基づいて求められた推奨入力軸回転数の上限値と、前記第1のコーナに対する必要減速度に基づいて求められた推奨入力軸回転数とを比較して、小さい方を前記第1のコーナに対する推奨入力軸回転数となるように変速比を補正する。
【0017】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナのコーナ形状と前記第2のコーナのコーナ形状との中間のコーナ形状に適した変速比と前記第1のコーナのコーナ形状に適した変速比との中間となるように補正して制御する。
【0018】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナのコーナ形状に基づいて求められた推奨入力軸回転数の上限値と前記中間のコーナ形状に基づいて求められた推奨入力軸回転数の上限値との間の所定値を推奨入力軸回転数の上限値とし、該推奨入力軸回転数の上限値と前記第1のコーナに対する必要減速度に基づいて求められた推奨入力軸回転数とを比較して、小さい方を前記第1のコーナに対する推奨入力軸回転数となるように変速比を補正する。
【0019】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、車速と前記入力軸の回転数とを軸とし、コーナにおける旋回横加速度が所定値となる推奨車速にまで減少するのに必要な前記道路情報に含まれる必要減速度に応じて前記入力軸の回転数を制限する変速曲線が設定され、該曲線と車速に基づいて前記入力軸の回転数が算出されるマップであって、コーナの形状が急な場合の必要減速度の上限値を示す第1の曲線、該第1の曲線よりも低回転側に設定されたコーナの形状が中間の場合の必要減速度の上限値を示す第2の曲線、及び、該第2の曲線よりも低回転側に設定されたコーナの形状が緩い場合の必要減速度の上限値を示す第3の曲線を含むマップを備え、前記道路情報に含まれる必要減速度に対応する変速曲線に従って求めた回転数を推奨入力軸回転数とし、前記第1〜第3の曲線に従って求めた回転数を推奨入力軸回転数の上限値とする。
【0020】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記コーナ形状は、小さい曲率の緩コーナ、中間の曲率の中コーナ、又は、大きい曲率の急コーナである。
【0021】
本発明の更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記第1のコーナのコーナ形状は小さい曲率の緩コーナであり、前記第2のコーナのコーナ形状は大きい曲率の急コーナである。
【0022】
本発明の車両の駆動力制御方法においては道路情報に基づいて自動変速機を制御する時に、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。
【0023】
本発明の車両の駆動力制御用プログラムにおいては、コンピュータを、駆動源に駆動連結される入力軸、及び、該入力軸の入力を変速して出力する出力軸を備える自動変速機を道路情報に基づいて制御する自動変速機制御装置として機能させ、該自動変速機制御装置は、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図2は本発明の実施の形態における車両の駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
図において、10は道路情報としての車両の走行環境情報を出力する道路情報送信装置としてのナビゲーション装置、20は駆動源に駆動連結される入力軸、及び、該入力軸の入力を変速して出力する出力軸を備える自動変速機であり、変速比を無段階に制御して車両のエンジンの回転を車軸に伝達する自動変速機としての無段変速機、30は前記走行環境情報及びアクセル開度に基づいて無段変速機20を制御する自動変速機制御装置としての無段変速機制御装置、41は車両の回転角速度、すなわち、旋回角を検出するジャイロセンサ、42は車両の速度を検出する車速センサ、43は運転者が操作する車両のステアリングの舵(だ)角を検出するステアリングセンサ、44は運転者が操作する車両のブレーキペダルの動きを検出するブレーキセンサ、45は運転者が操作するアクセル開度を検出するアクセル開度センサ、46は車両のエンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ、並びに、50はCRT、液晶ディスプレイ等の表示手段及びスピーカ等の発音手段から成る表示・音声出力装置である。
【0027】
なお、本発明における車両の駆動力制御装置は、変速段を備えた自動変速機を有する車両にも適用することができるものであるが、本実施の形態においては、説明の都合上、自動変速機が無段変速機である場合について説明する。また、本発明における道路情報送信装置は、前記車両の自動変速機制御装置、エンジン制御装置等の制御装置に組み込まれたものであってもよいし、FM放送、テレビ放送等の放送網、携帯電話網等の通信回線網等を介して交通情報、渋滞情報等の情報を発信する情報発信センタ等であってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上、道路情報送信装置が車両に搭載されたナビゲーション装置である場合について説明する。
【0028】
ここで、前記ナビゲーション装置10は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、タッチパネル、リモートコントローラ、押しボタンスイッチ等の入力手段、通信インターフェイス等を備える。そして、前記ナビゲーション装置10には前記ジャイロセンサ41、車速センサ42及びステアリングセンサ43が接続される。また、前記ナビゲーション装置10は、図示されないGPS(Global Positioning System)センサ、地磁気センサ、距離センサ、ビーコンセンサ、高度計等を備える。そして、前記ナビゲーション装置10は、前記ジャイロセンサ41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、GPSセンサ、地磁気センサ、距離センサ、ビーコンセンサ、高度計等からの信号に基づいて、車両の現在位置、車両が向いている方位、車両の速度、車両の移動距離等を検出する。
【0029】
そして、前記GPSセンサは、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在位置を検出し、前記地磁気センサは、地磁気を測定することによって車両が向いている方位を検出し、前記距離センサは、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。前記距離センサとしては、例えば、図示されない車輪の回転数を測定し、該回転数に基づいて距離を検出するもの、加速度を測定し、該加速度を2回積分して距離を検出するもの等を使用することができる。また、前記ビーコンセンサは、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して現在位置を検出する。
【0030】
なお、前記GPSセンサ及びビーコンセンサは、それぞれ、単独で現在位置を検出することができる。そして、距離センサによって検出された距離と、地磁気センサ及びジャイロセンサ41によって検出された方位とを組み合わせることによって現在位置を検出することもできる。また、距離センサによって検出された距離と、ステアリングセンサ43によって検出された舵角とを組み合わせることによって現在位置を検出することもできる。
【0031】
また、前記ナビゲーション装置10の記憶手段は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイル、及び、各地域のホテル、ガソリンスタンド等の施設の情報が記録された施設情報データファイルから成るデータベースを備える。そして、前記記憶手段には、経路を探索するためのデータの他、前記表示手段の画面に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするための各種のデータが記録される。なお、前記記憶手段には、所定の情報を音声出力するための各種のデータも記録される。また、前記記憶手段は、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、MD、DVD−ROM、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等、あらゆる形態の記録媒体を含むものであり、取り外し可能な外部記憶媒体を使用することもできる。
【0032】
そして、前記交差点データファイルには交差点データが、ノードデータファイルにはノードデータが、道路データファイルには道路データがそれぞれ記録され、前記交差点データ、ノードデータ及び道路データによって道路状況が表示手段の画面に表示される。なお、前記交差点データには、交差点の種類、すなわち、交通信号灯器の設置されている交差点であるか又は交通信号灯器の設置されていない交差点であるかが含まれる。また、前記ノードデータは、前記地図データファイルに記録された地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード点、及び各ノード点間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノード点は、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
【0033】
また、前記道路データには、道路自体について、幅員、勾(こう)配、カント、高度、バンク、路面の状態、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等のデータが含まれる。なお、高速道路や幹線道路の場合、対向方向の車線のそれぞれが別個の道路データとして格納され、2条化道路として処理される。例えば、片側2車線以上の幹線道路の場合、2条化道路として処理され、上り方向の車線と下り方向の車線は、それぞれ、独立した道路として道路データに格納される。また、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等のデータが含まれる。さらに、道路属性については、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路、道路種別(国道、主要地方道、一般道、高速道等)等のデータが含まれる。
【0034】
さらに、前記ナビゲーション装置10の通信インターフェイスは、無段変速機制御装置30との間で通信を行うとともに、FM送信装置、電話回線網、インターネット、携帯電話網等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、図示されない情報センサ等によって受信した渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPSセンサの検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。
【0035】
そして、前記ナビゲーション装置10は、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等の各種処理を実行し、地図を表示手段の画面に表示し、前記地図上に車両の現在位置、該現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等を表示する。なお、該案内情報は、発音手段によって音声出力されるようにしてもよい。さらに、前記ナビゲーション装置10は、車両の走行経路において車両の前方に位置するコーナ等(交差点、T字路、高速道路出入口ランプウェイ等も含む)の形状、前記コーナ等への推奨進入速度等を含む道路情報としての走行環境情報を演算して出力する。この場合、道路情報は、交差点データ、ノードデータ、道路データなどの経路上の道路の形状や交差点などを特定することができる情報である。なお、該走行環境情報は、無段変速機制御装置30に送信される。
【0036】
また、無段変速機20は、例えば、入力軸及び出力軸にそれぞれ取り付けられた二つのVプーリと、該二つのVプーリに掛けられたゴム製のVベルト又は多数の金属ブロックを組み合わせた金属製のVベルトとを有し、前記Vプーリの傾斜側面の間隔を調整して変速するベルト式無段変速機であるが、Vベルトに代えてチェーンを使用するチェーン式無段変速機、かさ形の摩擦車やアイドラを使用して摩擦やトラクションによって動力伝達を行う摩擦式無段変速機等、いかなる形式の無段変速機であってもよい。
【0037】
そして、前記無段変速機制御装置30は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える。なお、前記無段変速機制御装置30には、前記車速センサ42、ステアリングセンサ43、ブレーキセンサ44、アクセル開度センサ45、及び、エンジン回転数センサ46が接続される。また、前記無段変速機制御装置30は、前記ナビゲーション装置10が出力した走行環境情報を受信する。
【0038】
ここで、前記記憶手段は、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、MD、DVD−ROM、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等、あらゆる形態の記録媒体を含むものであり、取り外し可能な外部記憶媒体を使用することもできる。そして、前記無段変速機制御装置30は、前記記憶手段に格納された制御プログラムに従って、無段変速機20にアップシフト又はダウンシフトの変速を行わせる。この場合、アップシフトとは(現在の変速比よりも)変速比を小さくすることであり、出力軸の回転数が一定の場合にアップシフトの変速が行われると入力軸の回転数が減少する。また、ダウンシフトとは(現在の変速比よりも)変速比を大きくすることであり、出力軸の回転数が一定の場合にダウンシフトの変速が行われると入力軸の回転数が増加する。
【0039】
そして、運転者が図示されないモード選択手段を操作して通常モードを選択すると、前記無段変速機制御装置30は、車速センサ42が検出した車両の速度、ステアリングセンサ43が検出したステアリングの舵角、アクセル開度センサ45が検出したアクセル開度、ブレーキセンサ44が検出したブレーキの動き、エンジン回転数センサ46が検出したエンジン回転数等に基づいて、前記記憶手段に格納された図示されない変速マップを参照して、無段変速機20を制御して、アップシフト又はダウンシフトの変速を行わせる。
【0040】
また、運転者が図示されないモード選択手段を操作してナビモードを選択すると、前記無段変速機制御装置30は、ナビゲーション装置10が出力した走行環境情報に対応させて無段変速機20を制御して、アップシフト又はダウンシフトの変速を行わせることによって、車両の駆動力制御を行う。なお、ナビモードが選択されなくても、前記無段変速機制御装置30が常時、車両の駆動力制御を行うようにしてもよい。そして、車両の駆動力制御が行われると、コーナが連続する場合にワインディング制御が行われたり、車両が交差点に差し掛かると交差点制御が行われたり、車両がコーナに差し掛かるとコーナ制御が行われたりして、車両の運転性が低下しないようになっている。
【0041】
なお、前記ジャイロセンサ41としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。そして、前記ジャイロセンサ41によって検出された旋回角を積分することによって、車両が向いている方位を検出することができる。また、前記車速センサ42としては、図示されない車軸に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ等が使用される。さらに、前記ステアリングセンサ43としては、例えば、図示されないステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0042】
次に、前記構成の車両の駆動力制御装置の動作について説明する。
【0043】
図3は本発明の実施の形態におけるコーナ形状判定の動作を示す図、図4は本発明の実施の形態におけるコーナ形状判定のためのテーブルを示す図、図5は本発明の実施の形態におけるコーナ制御領域判定の基準の例を示す図、図6は本発明の実施の形態における連続コーナ判定の例を示す図、図7は本発明の実施の形態における必要減速度の算出方法を示す図、図8は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャート、図9は本発明の実施の形態における走行環境認識処理のサブルーチンを示す図である。なお、図5において、横軸にノードからの距離を、縦軸に旋回角によるコーナ形状を、図7において、横軸に区間距離Lを、縦軸に車速Vを採ってある。
【0044】
ここでは、車両の現在位置がコーナ、交差点、高速道路出入口ランプウェイ等の減速する必要がある区間、すなわち、要減速区間に差し掛かる場合における車両の駆動力制御について説明する。なお、本実施の形態においては、車両がコーナに差し掛かることが検出されて、駆動力制御としてのコーナ制御が行われる場合について説明する。まず、前記ナビゲーション装置10の動作について説明する。
【0045】
この場合、ナビゲーション装置10は、自車位置としての車両の現在位置の検出、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等を行い、地図を表示手段の画面に表示し、前記地図上に車両の現在位置、該現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等を表示する処理、すなわち、ナビゲーション基本処理を実行する。
【0046】
そして、該ナビゲーション基本処理において、自車位置としての車両の現在位置、道路データ等に基づいて、車両がコーナの手前の所定の位置に到達したことを検出し、車両がコーナに差し掛かると判断すると、前記ナビゲーション装置10は、走行環境認識処理を開始する。該走行環境認識処理は、前記コーナの形状、前記コーナへの進入車速の分析等、車両の駆動力制御に必要な走行環境情報を演算する処理である。
【0047】
まず、前記ナビゲーション装置10は、ノードデータファイルに記録されているノードデータ、道路データファイルに記録されている道路データ等に基づいて、前記コーナの形状を判定するためのコーナ形状判定処理を行う。本実施の形態においては、コーナ形状として、緩コーナ、中コーナ又は急コーナのいずれであるかを判定するようになっている。この場合、図3に示されるように、道路11上のノード12−1〜12−6を滑らかに結んだ曲線13の接線から前記ノード12−1〜12−6のそれぞれについての旋回角θを判断する。
【0048】
なお、図3は、ノード12−4についての旋回角θを判断する例を示している。この場合、前記ノード12−4から前後に所定距離La及びLbだけ離れた曲線13上の点13−1及び13−2における曲線13の接線14−1及び14−2が交差する角度θをノード12−4についての旋回角θとして判断する。そして、図4に示されるような、あらかじめ作成されて記憶手段に記録されているテーブルに旋回角θの角度を当てはめて、コーナ形状が緩コーナ、中コーナ又は急コーナのいずれであるかを判定する。すなわち、旋回角θが、θ1以上θ2未満であれば緩コーナ、θ2以上θ3未満であれば中コーナ、θ3以上であれば急コーナであると判定する。なお、前記La、Lb、θ1〜θ3等の数値は、例えば、La=35〔m〕、Lb=35〔m〕、θ1=20〔度〕、θ2=40〔度〕、θ3=90〔度〕とすることができるが、適宜変更してもよい。
【0049】
続いて、前記ノード12−1〜12−6から所定距離だけ手前の位置から該ノード12−1〜12−6まで、又は、該ノード12−1〜12−6に基づいて決定される所定位置までの範囲をコーナ制御領域として判定する。なお、前記所定距離や所定位置は、コーナ形状に基づいて、適宜変更することができる。そして、図5には、前記コーナ形状に基づいて決定されるコーナ制御領域を判定する基準の例が示されている。この場合、コーナ制御領域は、緩コーナ制御領域、中コーナ制御領域及び急コーナ制御領域に区分けされている。ここで、ノードからの距離、L1〜L3は適宜決定することができる。なお、図5に示されるような基準を示すグラフ、テーブル、計算式等はあらかじめ作成されて記憶手段に記録されている。
【0050】
続いて、前記ナビゲーション装置10は、コーナ判定ノード間の距離に基づいて連続コーナであるか否かを判定する。ここで、コーナ判定ノードとは、前記ナビゲーション装置10が、コーナ形状が所定のきつさである、例えば、緩コーナよりきついと判定したノードである。
【0051】
そして、図6に示されるような方向で、車両がコーナに進入した場合、前記ナビゲーション装置10は、一つ目のコーナの終点であるノードAと二つ目のコーナの始点であるノードBとの距離Lxに基づいて連続コーナであるか否かを判定する。すなわち、前記Lxが所定値より大きい場合、前記二つのコーナは、互いに離れており、それぞれ、単独のコーナであると判定され、「連続コーナなし」の属性が付与される。一方、前記Lxが所定値より小さい場合、互いに接近しているので前記二つのコーナは連続コーナであると判定され、前記ノードAに「連続コーナあり」の属性が付与される。この場合、前記ノードAには、次コーナとしての二つ目のコーナに関する「次コーナのコーナ形状」及び「次コーナの旋回方向」の属性も付与される。
【0052】
したがって、車両の現在位置における前方の所定距離範囲内に存在するノードを対象にして、「連続コーナ」の属性が付与されたノードを検索することによって、車両の差し掛かったコーナが単独コーナか連続コーナかを判定することができ、さらに、連続コーナの場合、次コーナのコーナ形状及び旋回方向も判定することができる。
【0053】
なお、前記「連続コーナなし」、「連続コーナあり」、「次コーナのコーナ形状」及び「次コーナの旋回方向」の属性は、あらかじめ付与されてノードデータファイルや道路データファイルに記憶しておくようにしてもよいし、車両がコーナに差し掛かる度にナビゲーション装置10が判定して付与するようにしてもよい。
【0054】
続いて、前記ナビゲーション装置10は、車両の速度を、現在の車速から前方のコーナにおける推奨車速にまで減速するために必要な必要減速度を算出するための必要減速度算出処理を行う。ここで、前記推奨車速は、コーナにおける旋回横加速度が、例えば、0.2〔G〕となるような車速である。なお、前記旋回横加速度の値は適宜変更することができる。この場合、旋回横加速度は、車速の2乗に比例し、コーナの半径に反比例するので、前記旋回横加速度の値を設定すれば、コーナの半径に対応する推奨車速を求めることができる。例えば、旋回横加速度を0.2〔G〕に設定した場合、推奨車速は、コーナの半径が15〔m〕であると20〔km/h〕、コーナの半径が30〔m〕であると30〔km/h〕、コーナの半径が60〔m〕であると40〔km/h〕、コーナの半径が100〔m〕であると50〔km/h〕となる。
【0055】
そして、車両の前方に位置するノードNdi(iは自然数)における推奨車速Vri(iは自然数)となるのに必要な必要減速度Gi(iは自然数)が算出される。この場合、現在位置における車速V0と、車両の現在位置から前方の所定距離範囲(例えば、200〔m〕)内に存在する各ノードNdiにおける前記推奨車速Vriとを決定する。続いて、車両の現在位置から各ノードNdiまでの距離Li(iは自然数)を算出する。そして、次の式(1)によって必要減速度Giを算出する。
Gi=(V02 −Vri2 )/(2×Li)・・・式(1)
そして、各ノードNdiに関して算出された必要減速度Giの最大値を算出し、これを最終的な必要減速度として設定する。なお、図7には、現在位置から各ノードNd1、Nd2、Nd3までの車速の変化が3本の減速度曲線で示されている。この場合、各減速度曲線は必要減速度G1、G2及びG3に対応し、減速度曲線の曲率が大きいほど、すなわち、曲がり方がきついほど必要減速度が大きくなっている。したがって、図7に示される例においては、ノードNd2に関して算出された必要減速度G2が最大となっている。
【0056】
最後に、前記ナビゲーション装置10は、走行環境情報伝達処理として、判定したコーナ形状、設定した必要減速度を含む走行環境情報を図示されない通信インターフェイスを介して、無段変速機制御装置30に送信する。なお、前記ナビゲーション基本処理、走行環境認識処理及び走行環境情報伝達処理は、所定の周期(例えば、16〔msec〕)で繰り返し実行される。
【0057】
次に、フローチャートについて説明する。まず、ナビゲーション装置10における処理全体を示す図8のフローチャートについて説明する。
ステップS1 ナビゲーション基本処理を行う。
ステップS2 走行環境認識処理を行う。
ステップS3 走行環境情報伝達処理を行う。
【0058】
次に、図8のステップS2における走行環境認識処理のサブルーチンについて説明する。
ステップS2−1 コーナ形状判定処理を行う。
ステップS2−2 必要減速度算出処理を行う。
【0059】
次に、無段変速機制御装置30の動作について説明する。
【0060】
図10は本発明の実施の形態における基本目標入力軸回転数マップを示す図、図11は本発明の実施の形態におけるコーナに対する推奨入力軸回転数マップを示す図、図12は本発明の実施の形態におけるブレーキ踏力に応じた変速速度係数マップを示す図、図13は本発明の実施の形態における無段変速機制御装置の動作を示すフローチャート、図14は本発明の実施の形態におけるコーナに対する目標入力軸回転数算出処理のサブルーチンを示すフローチャート、図15は本発明の実施の形態におけるコーナに対する推奨入力軸回転数算出処理のサブルーチンを示すフローチャート、図16は本発明の実施の形態における変速制御処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図10において、横軸に車速を、縦軸に基本目標入力軸回転数を、図11において、横軸に車速を、縦軸に推奨入力軸回転数を、図12において、横軸にブレーキ踏力を、縦軸に変速速度係数を採ってある。
【0061】
まず、無段変速機制御装置30は、基本目標入力軸回転数算出処理を実行する。この場合、あらかじめ作成された図10に示されるような基本目標入力軸回転数マップに従い、車速センサ42及びアクセル開度センサ45から受信した車速及びアクセル開度に基づいて、基本目標入力軸回転数が算出される。
【0062】
ここで、図10に示されるマップは、無段変速機20の変速マップの一つであり、直線16−1は無段変速機20の変速比を最大に設定した場合の無段変速機20の入力軸回転数と車速との関係を示し、直線16−2は無段変速機20の変速比を最小に設定した場合の無段変速機20の入力軸回転数と車速との関係を示している。なお、車速は無段変速機20の出力軸回転数に比例している。
【0063】
そして、曲線17−1〜17−4は、アクセル開度の段階に対応する無段変速機20の入力軸回転数と車速との関係を示す変速曲線である。例えば、アクセル開度が第3段階に対応する場合、入力軸回転数と車速との関係が曲線17−3に沿って変化するように、無段変速機20の変速比が制御されるようになっている。なお、アクセル開度は、実際上、無段階で連続的に変化するが、前記曲線17−1〜17−4は、その中の四つの段階に対応するアクセル開度を示している。そして、曲線17−1がアクセル開度の小さい第1段階に対応し、17−2、17−3及び17−4の順にアクセル開度が大きい段階に対応することを示している。
【0064】
次に、無段変速機制御装置30は、道路勾配推定処理を実行する。この場合、アクセル開度、車速、車両の実加速度等に基づいて、道路勾配を推定する。該道路勾配は、後述されるコーナに対する目標入力軸回転数算出処理において、コーナに対する目標入力軸回転数の補正に使用される。
【0065】
次に、無段変速機制御装置30は、コーナに対する目標入力軸回転数算出処理を実行する。この場合、無段変速機制御装置30は、まず、駆動力制御としてのコーナ制御が行われているか否かを、コーナ制御実行中フラグがオンになっているか否かによって判断する。なお、該コーナ制御実行中フラグは車両のエンジンが始動される時に初期化されてオフになる。
【0066】
そして、コーナ制御実行中フラグがオフになっている場合、すなわち、コーナ制御が行われていない場合、無段変速機制御装置30は、ナビゲーション装置10から受信した走行環境情報に含まれるコーナ形状に関する情報がオンであるかオフであるかに基づいて、前方にコーナがあるか否かを判断する。ここで、前記コーナ形状に関する情報がオンである場合、無段変速機制御装置30は、前方にコーナがあると判断し、続いて、前記走行環境情報に含まれる必要減速度Giが所定値以上であるか否か、すなわち、前記コーナに対して減速が必要であるか否かを判断する。
【0067】
続いて、前記コーナに対して減速が必要であると判断した場合、無段変速機制御装置30は、コーナ制御を開始する条件が成立したので、コーナ制御を開始する。そして、コーナ制御が行われていることを示すコーナ制御実行中フラグがオンにされる。
【0068】
また、前述されたように、コーナ制御が行われているか否かを判断した時にコーナ制御実行中フラグがオンになっている場合には、無段変速機制御装置30は、前記走行環境情報に含まれるコーナ形状に関する情報がオンであるかオフであるかに基づいて、コーナを通過したか否かを判断する。そして、前記コーナ形状に関する情報がオフである場合、無段変速機制御装置30は、前記コーナを通過したと判断し、コーナ制御実行中フラグをオフにし、続いて、前記コーナに対する目標入力軸回転数を初期値(ゼロ)にして、コーナに対する目標入力軸回転数算出処理を終了する。
【0069】
さらに、前述されたように、前方にコーナがあるか否かを判断した時にコーナ形状に関する情報がオフなのでコーナがないと判断した場合、又は、コーナに対して減速が必要であるか否かを判断した時に必要減速度Giが所定値以上でないので減速が必要でないと判断した場合、無段変速機制御装置30は、コーナ制御を開始する条件が成立しないので、コーナに対する目標入力軸回転数を初期値(ゼロ)にし、コーナに対する目標入力軸回転数算出処理を終了する。
【0070】
続いて、無段変速機制御装置30は、ナビゲーション装置10から受信したコーナ形状、設定した必要減速度を含む走行環境情報に基づいて、図11に示されるようなコーナに対する推奨入力軸回転数マップに従い、コーナに対する推奨入力軸回転数を算出する。
【0071】
この場合、コーナに対する推奨入力軸回転数とは、必要減速度、すなわち、減速の必要度合い及びコーナ形状によって決まる無段変速機20の入力軸回転数であり、前記推奨入力軸回転数には運転者の減速意図が反映されない。なお、コーナに対する推奨入力軸回転数に運転者の減速意図を反映したものが、目標入力軸回転数である。
【0072】
ここで、図11に示されるマップは、無段変速機20の変速マップの一つであり、直線22−1は無段変速機20の変速比を最大に固定した場合の無段変速機20の入力軸回転数と車速との関係を示し、直線22−2は無段変速機20の変速比を最小に設定した場合の無段変速機20の入力軸回転数と車速との関係を示している。なお、車速は無段変速機20の出力軸回転数に比例している。また、図11において、横軸の車速及び縦軸の推奨入力軸回転数として示される数値は、一例であり、適宜変更することができる。
【0073】
そして、曲線23−1〜23−4は、必要減速度の段階に対応する無段変速機20の入力軸回転数と車速との関係を示す変速曲線である。この場合、必要減速度が大きいほど、推奨入力軸回転数は高くなる。また、コーナに高い車速で進入すると場合、及び、アクセルオフが遅い場合には、必要減速度が大きくなるので推奨入力軸回転数は高くなる。
【0074】
また、前記推奨入力軸回転数は、道路勾配によって補正されることが好ましい。例えば、道路が降坂路、すなわち、下り坂である場合、前記推奨入力軸回転数を、さらに、500〔rpm〕程度高くすることが望ましい。なお、図11に示されるようなマップに従ってコーナに対する推奨入力軸回転数を算出するとともに、コーナ形状(緩コーナ、中コーナ及び急コーナ)に応じてコーナに対する推奨入力軸回転数の上限値を設定することが望ましい。この場合、例えば、曲線23−2を緩コーナに対する推奨入力軸回転数の上限値を示す第3の曲線とし、曲線23−3を中コーナに対する推奨入力軸回転数の上限値を示す第2の曲線とし、曲線23−4を急コーナに対する推奨入力軸回転数の上限値を示す第1の曲線とすることができる。
【0075】
ここで、前記無段変速機制御装置30は、車速と前記入力軸の回転数とを軸とし、コーナにおける旋回横加速度が所定値となる推奨車速にまで減少するのに必要な前記道路情報に含まれる必要減速度に応じて前記入力軸の回転数を制限する変速曲線が設定され、該曲線と車速に基づいて前記入力軸の回転数が算出されるマップであって、コーナの形状が急な場合の必要減速度の上限値を示す第1の曲線、該第1の曲線よりも低回転側に設定されたコーナの形状が中間の場合の必要減速度の上限値を示す第2の曲線、及び、該第2の曲線よりも低回転側に設定されたコーナの形状が緩い場合の必要減速度の上限値を示す第3の曲線を含むマップを備え、前記道路情報に含まれる必要減速度に対応する変速曲線に従って求めた回転数を推奨入力軸回転数とし、前記第1〜第3の曲線に従って求めた回転数を推奨入力軸回転数の上限値とする。
【0076】
このような上限値を設定しない場合、例えば、コーナ形状が緩コーナであっても推奨入力軸回転数が高くなり運転者に違和感を与えてしまうことがあるが、コーナ形状に応じた上限値を設定することによって、推奨入力軸回転数がコーナ形状に応じた範囲内に収まるので運転者に違和感を与えることがない。
【0077】
ここで、コーナに対する推奨入力軸回転数を算出する動作について詳細に説明する。まず、無段変速機制御装置30は、必要減速度に基づいて推奨入力軸回転数を算出する。
【0078】
続いて、無段変速機制御装置30は、ナビゲーション装置10から受信した走行環境情報に含まれるコーナ形状情報に基づいて、連続コーナがあるか否かを判断する。なお、前記走行環境情報に含まれるコーナ形状情報は、車両の現在位置の前方において近い側に位置するコーナ、すなわち、手前コーナのコーナ形状、該手前コーナの旋回方向、及び、連続コーナ情報を備える。さらに、該連続コーナ情報は、「連続コーナなし」、「連続コーナあり」、「次コーナのコーナ形状」及び「次コーナの旋回方向」の属性を備える。
【0079】
そして、無段変速機制御装置30は、連続コーナがあると判断すると、車両の現在位置の前方において近い側に位置するコーナとしての手前コーナから、車両の現在位置の前方において遠い側に位置するコーナとしての次コーナに移る時にコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化するか否かを判断する。
【0080】
ここで、コーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合は、さらに、無段変速機制御装置30は、手前コーナと次コーナとで旋回方向が同じか否かを判断する。そして、旋回方向が同じである場合、無段変速機制御装置30は、緩コーナである手前コーナと急コーナである次コーナとの中間のコーナ形状を有する中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値を算出する。
【0081】
また、旋回方向が同じでない場合、無段変速機制御装置30は、緩コーナである手前コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値と、前記中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値との間の所定値を推奨入力軸回転数の上限値とする。
【0082】
なお、前述されたように、連続コーナがあるか否かを判断した時に、連続コーナがないと判断した場合、及び、手前コーナから次コーナに移る時にコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化するか否かを判断した時に、コーナ形状が緩コーナから急コーナに変化しない場合、無段変速機制御装置30は、緩コーナである手前コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値を算出する。
【0083】
そして、無段変速機制御装置30は、必要減速度に基づいて最初に算出した推奨入力軸回転数と、連続コーナがあるか否かを判断した後に算出した推奨入力軸回転数の上限値とを比較して、小さい方の数値をコーナに対する推奨入力軸回転数として決定する。
【0084】
続いて、無段変速機制御装置30は、アクセル開度に基づいて、アイドル状態であるか否か、すなわち、運転者がアクセルを全閉としているか否かを判断する。ここで、アイドル状態である場合、すなわち、運転者がアクセルを全閉としている場合には、運転者に減速の意図があると判断することができる。そして、運転者に減速の意図があると判断した場合、無段変速機制御装置30は、前記コーナに対する推奨入力軸回転数をコーナに対する目標入力軸回転数に代入する。
【0085】
一方、アイドル状態でなく、運転者に減速の意図がないと判断した場合、無段変速機制御装置30は、現時点での実際の無段変速機20の入力軸回転数、すなわち、実入力軸回転数と、前記コーナに対する推奨入力軸回転数とを比較して、前記実入力軸回転数が前記コーナに対する推奨入力軸回転数以下であるか否かを判断する。そして、前記実入力軸回転数が前記コーナに対する推奨入力軸回転数以下である場合、無段変速機制御装置30は、無段変速機20の入力軸回転数を現時点での実入力軸回転数より低下させないために、前記実入力軸回転数をコーナに対する目標入力軸回転数に代入する。
【0086】
さらに、前記実入力軸回転数が前記コーナに対する推奨入力軸回転数より大きい場合、無段変速機制御装置30は、前記コーナに対する推奨入力軸回転数をコーナに対する目標入力軸回転数に代入する。この場合、既に実入力軸回転数が目標入力軸回転数より大きい状態であり、変速動作が伴わないので、運転者に違和感を与えることがない。
【0087】
次に、無段変速機制御装置30は、最終目標入力軸回転数算出処理を実行する。この場合、無段変速機制御装置30は、既に算出した基本目標入力軸回転数とコーナに対する目標入力軸回転数とを比較し、回転数が高い方のものを最終目標入力軸回転数とする。ここで、基本目標入力軸回転数を「NIN_BASE」とし、コーナに対する目標入力軸回転数を「NIN_CN」とし、最終目標入力軸回転数を「NIN_F」とすると、次の式(2)によって表すことができる。
NIN_F=MAX(NIN_BASE,NIN_CN)・・・式(2)
ここで、MAX(A,B)はA,Bの最大値を選択する関数である。
【0088】
なお、コーナ制御が行われていない場合、コーナに対する目標入力軸回転数(NIN_CN)は初期値(ゼロ)なので、前記式(2)のように最大値を選択すると、最終目標入力軸回転数(NIN_F)が必ず基本目標入力軸回転数(NIN_BASE)になり、通常の制御が行われる。
【0089】
次に、無段変速機制御装置30は、変速制御処理を実行する。この場合、無段変速機制御装置30は、まず、コーナ制御時と通常制御時とで変速速度を変更するために、コーナ制御実行中フラグを参照し、現時点でコーナ制御が行われているのか、又は、通常制御が行われているのかを、コーナ制御実行中フラグがオンであるか否かによって判断する。そして、現時点でコーナ制御が行われていると判断した場合、無段変速機制御装置30は、最終目標入力軸回転数と過渡目標入力軸回転数との比較を行う。また、コーナ制御実行中フラグがオフであることによって現在コーナ制御が行われていないと判断した場合であっても、コーナ制御実行中フラグがオンからオフになった直後であれば、コーナ制御から通常制御に復帰させるためのアップシフトを、通常制御における変速速度とは異なる変速速度で実施させるようになっているので、コーナ制御が行われている場合と同様の処理へ進む。そのため、無段変速機制御装置30は、現時点で通常制御が行われていても、コーナ制御実行中フラグがオンからオフになってから所定時間以内であると判断した場合、最終目標入力軸回転数と過渡目標入力軸回転数との比較を行う。
【0090】
一方、現時点で通常制御が行われていて、かつ、コーナ制御実行中フラグがオンからオフになってから所定時間以上経過したと判断した場合、無段変速機制御装置30は、通常制御における過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。ここで、過渡目標入力軸回転数とは、実入力軸回転数を最終目標入力軸回転数に滑らかに追従させるための過渡的な目標値であり、この値に基づいて無段変速機20の各アクチュエータが制御される。また、通常制御時は、アクセル開度及び車速に応じた変速速度係数が所定のマップに従って算出される。なお、アクセル開度が大きいほど、また、車速が低いほど変速速度係数は大きく設定されるので、変速速度が速くなる。そして、算出された変速速度係数は、過渡目標入力軸回転数を算出する際に使用される。
【0091】
また、最終目標入力軸回転数と過渡目標入力軸回転数との比較を行って、最終目標入力軸回転数が過渡目標入力軸回転数より大きい場合、無段変速機制御装置30は、ダウンシフトを実施すると判断する。一方、最終目標入力軸回転数が過渡目標入力軸回転数以下である場合、無段変速機制御装置30は、アップシフトを実施すると判断する。これは、コーナ制御における変速速度をダウンシフト時とアップシフト時とで、個別に設定するためである。
【0092】
続いて、ダウンシフトを実施すると判断した場合、無段変速機制御装置30は、既にコーナ制御におけるダウンシフトが実施されたか否かを判断する。これは、コーナ制御における変速速度をダウンシフトが実施された実施済みの時と実施されていない未実施の時とで、変更するためである。ここで、次のような条件、|最終目標入力軸回転数−基本目標入力軸回転数|>所定値1
|最終目標入力軸回転数−過渡目標入力軸回転数|<所定値2
がともに成立した場合、コーナ制御においてダウンシフトが実施済みと判断される。
【0093】
続いて、コーナ制御におけるダウンシフトが未実施であると判断した場合、無段変速機制御装置30は、図12に示されるブレーキ踏力に応じた変速速度係数マップにおける曲線24−1に従って、ブレーキ踏力に対応する過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。なお、図12に示されるマップは、無段変速機20の変速速度を決定する変速速度係数とブレーキ踏力との関係を決定するために、あらかじめ作成され、記憶手段に記録されている。そして、曲線24−1はコーナ制御におけるダウンシフト未実施の場合の変速速度係数とブレーキ踏力との関係を示し、曲線24−2はコーナ制御におけるダウンシフトが実施済みの場合の変速速度係数とブレーキ踏力との関係を示している。この場合、ブレーキ踏力が大きいほど、運転者の減速意図が大きいと考えることができるので、変速速度係数を大きく設定し、変速速度が速くなるようになっている。なお、前記変速速度係数は、ブレーキ踏力、車両特性、走行環境、走行状態を表す各種状態量に基づいて所定の計算式によって算出してもよい。そして、算出された変速速度係数は、過渡目標入力軸回転数を算出する際に使用される。
【0094】
また、コーナ制御におけるダウンシフトが実施済みと判断した場合、無段変速機制御装置30は、図12に示されるブレーキ踏力に応じた変速速度係数マップにおける曲線24−2に従って、ブレーキ踏力に対応する過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。この場合も、ダウンシフトが未実施の場合と同様に、ブレーキ踏力が大きいほど、運転者の減速意図が大きいと考えることができるので、変速速度係数を大きく設定し、変速速度が速くなるようになっている。
【0095】
ここで、曲線24−2を曲線24−1と比較して分かるように、コーナ制御におけるダウンシフトが実施済みの場合の変速速度係数は、ダウンシフト未実施の場合の変速速度係数よりも小さくなるように設定され、無段変速機20の変速速度を遅くしている。これは、ダウンシフト未実施の場合は、車両が直進状態からコーナに進入しようとしている状態であると推測することができるので、速やかにエンジンブレーキを効かせるためにダウンシフトの変速速度を速くする必要があるからである。これに対して、ダウンシフト実施済みの場合は、車両が現時点において既にコーナを走行していて、更に次のコーナに進入しようとしている状態であると推測することができるので、いわゆる、連続コーナ走行時の急な変速による違和感を防止するためにダウンシフトの変速速度を遅くする必要があるからである。
【0096】
なお、前記変速速度係数は、ブレーキ踏力、車両特性、走行環境、走行状態を表す各種状態量に基づいて所定の計算式によって算出してもよい。そして、算出された変速速度係数は、過渡目標入力軸回転数を算出する際に使用される。
【0097】
また、前述されたように、最終目標入力軸回転数が過渡目標入力軸回転数以下なのでアップシフトを実施すると判断した場合、無段変速機制御装置30は、コーナ制御におけるアップシフト時の過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。そして、コーナ制御におけるアップシフト時は、運転者に違和感を与えることがないように、変速速度を遅くしてゆっくりアップシフトさせるので、通常制御時及びコーナ制御におけるダウンシフト時と比較して、変速速度係数が小さく設定される。なお、算出された変速速度係数は、過渡目標入力軸回転数を算出する際に使用される。
【0098】
続いて、無段変速機制御装置30は、算出された最終目標入力軸回転数に実入力軸回転数を滑らかに近付けるために、算出された変速速度係数を用い、次の式(3)によって過渡目標入力軸回転数を算出する。
NINTSTA(i)=NINTSTA(i−1)+KNIN1×(NIN_F(i)−NINTSTA(i−1))+KNIN2・・・式(3)
なお、NINTSTA(i)は今回の過渡目標入力軸回転数、NINTSTA(i−1)は前回の過渡目標入力軸回転数、KNIN1は変速速度係数(大きいほど変速速度が速い。)、NIN_F(i)は今回の最終目標入力軸回転数、KNIN2は最小変速速度である。
【0099】
ここで、最小変速速度(KNIN2)は、回転差(最終目標入力軸回転数−過渡目標入力軸回転数)が小さくなって、変速速度が遅くなり過ぎることを防止するために設定される。すなわち、最小変速速度(KNIN2)が設定されないと、過渡目標入力軸回転数を示す曲線は、目標値に近付くにつれて傾斜が緩やかになり、目標値に到達するまでに時間がかかってしまう。そのため、過渡目標入力軸回転数が目標値に近付くと大きく作用する最小変速速度(KNIN2)が設定される。したがって、前記最小変速速度(KNIN2)は、ダウンシフト時において正の値、アップシフト時において負の値となるように設定される。また、前記最小変速速度(KNIN2)は定数であるが、車両特性、走行状態、走行環境に応じて適宜変更してもよい。
【0100】
また、次の式(4)によって過渡目標入力軸回転数を算出することもできる。NINTSTA(i)=NINTSTA(i−1)+KNIN_SWP ・・・式(4)
なお、KNIN_SWPは制御周期当たりの変化量である。
【0101】
この場合、無段変速機制御装置30は、変速制御処理において、前記変速速度係数を算出することなく、制御周期当たりの変化量(KNIN_SWP)を算出する。ここで、該制御周期当たりの変化量(KNIN_SWP)は、1回の制御周期毎に増加又は減少する過渡目標入力軸回転数の数値である。したがって、前記制御周期当たりの変化量(KNIN_SWP)は、ダウンシフト時において正の値、アップシフト時において負の値となるように設定される。そして、前記制御周期当たりの変化量(KNIN_SWP)の大きさは、前述されたように、変速速度係数を算出する場合と同様に設定される。すなわち、該変速速度係数が大きく設定される条件下では制御周期当たりの変化量(KNIN_SWP)を大きく設定し、変速速度係数が小さく設定される条件下では制御周期当たりの変化量(KNIN_SWP)を小さく設定する。これにより、変速速度係数を算出する場合と同様に過渡目標入力軸回転数を算出することができる。
【0102】
最後に、無段変速機制御装置30は、実入力軸回転数が算出された過渡目標入力軸回転数と一致するように、無段変速機20のアクチュエータを作動させて、変速比を制御する。これにより、例えば、無段変速機20がベルト式無段変速機である場合には、Vプーリの傾斜側面の間隔を調整するための各可動シーブが軸方向に移動させられて、変速比が変化する。
【0103】
なお、無段変速機制御装置30が実行する前記基本目標入力軸回転数算出処理、道路勾配推定処理、コーナに対する目標入力軸回転数算出処理、最終目標入力軸回転数算出処理及び変速制御処理は、所定の周期(例えば、16〔msec〕)で繰り返し実行される。
【0104】
次に、フローチャートについて説明する。まず、無段変速機制御装置30における処理全体を示す図13のフローチャートについて説明する。
ステップS11 基本目標入力軸回転数算出処理を行う。
ステップS12 道路勾配推定処理を行う。
ステップS13 コーナに対する目標入力軸回転数算出処理を行う。
ステップS14 最終目標入力軸回転数算出処理を行う。
ステップS15 変速制御処理を行う。
【0105】
次に、図13のステップS13における目標入力軸回転数算出処理のサブルーチンを示すフローチャートについて説明する。
ステップS13−1 コーナ制御実行中フラグがオンであるか否かを判断する。
オンである場合はステップS13−2に進み、オフである場合はステップS13−5に進む。
ステップS13−2 コーナを通過したか否かを判断する。通過した場合はステップS13−3に進み、通過していない場合はステップS13−9に進む。
ステップS13−3 コーナ制御実行中フラグをオフにする。
ステップS13−4 コーナに対する目標入力軸回転数を初期値(ゼロ)にし、リターンする。
ステップS13−5 前方にコーナがあるか否かを判断する。コーナがある場合はステップS13−6に進み、コーナがない場合はステップS13−7に進む。
ステップS13−6 必要減速度Giが所定値以上であるか否かを判断する。所定値以上である場合はステップS13−8に進み、所定値より小さい場合はステップS13−7に進む。
ステップS13−7 コーナに対する目標入力軸回転数を初期値(ゼロ)にし、リターンする。
ステップS13−8 コーナ制御実行中フラグをオンにする。
ステップS13−9 必要減速度及び連続コーナ情報を含むコーナ形状に基づくコーナに対する推奨入力軸回転数を算出する。
ステップS13−10 アイドル状態であるか否かを判断する。アイドル状態である場合はステップS13−11に進み、アイドル状態でない場合はステップS13−12に進む。
ステップS13−11 コーナに対する推奨入力軸回転数をコーナに対する目標入力軸回転数に代入し、リターンする。
ステップS13−12 実入力軸回転数がコーナに対する推奨入力軸回転数以下であるか否かを判断する。実入力軸回転数がコーナに対する推奨入力軸回転数以下である場合はステップS13−13に進み、実入力軸回転数がコーナに対する推奨入力軸回転数より大きい場合はステップS13−14に進む。
ステップS13−13 実入力軸回転数をコーナに対する目標入力軸回転数に代入し、リターンする。
ステップS13−14 コーナに対する推奨入力軸回転数をコーナに対する目標入力軸回転数に代入し、リターンする。
【0106】
次に、図14のステップS13−9における必要減速度及び連続コーナ情報を含むコーナ形状に応じたコーナに対する推奨入力軸回転数算出処理のサブルーチンを示すフローチャートについて説明する。
ステップS13−9−1 必要減速度に基づいて推奨入力軸回転数を算出する。
ステップS13−9−2 連続コーナがあるか否かを判断する。連続コーナがある場合はステップS13−9−3に進み、連続コーナがない場合はステップS13−9−7に進む。
ステップS13−9−3 手前コーナから次コーナに移る時にコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化するか否かを判断する。コーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合はステップS13−9−4に進み、コーナ形状が緩コーナから急コーナに変化しない場合はステップS13−9−7に進む。
ステップS13−9−4 手前コーナと次コーナとで旋回方向が同じか否かを判断する。旋回方向が同じである場合はステップS13−9−5に進み、旋回方向が同じでない場合はステップS13−9−6に進む。
ステップS13−9−5 中間形状としての中コーナに基づく推奨入力軸回転数の上限値を算出する。
ステップS13−9−6 手前コーナの形状である緩コーナに基づく推奨入力軸回転数の上限値と、中間形状としての中コーナに基づく推奨入力軸回転数の上限値との間の所定値を推奨入力軸回転数上限値とする。
ステップS13−9−7 手前コーナの形状である緩コーナに基づく推奨入力軸回転数の上限値を算出する。
ステップS13−9−8 必要減速度に基づいて算出された推奨入力軸回転数とそれぞれに算出された推奨入力軸回転数の上限値を比較し、小さい方をコーナに対する推奨入力軸回転数とし、リターンする。
【0107】
次に、図13のステップS15における変速制御処理のサブルーチンを示すフローチャートについて説明する。
ステップS15−1 コーナ制御実行中フラグがオンになっているか、又はコーナ制御実行中フラグがオンからオフになった後所定時間以内であるか否かを判断する。コーナ制御実行中フラグがオン、又はオンからオフになった後所定時間以内である場合はステップS15−3に進み、コーナ制御実行中フラグがオフ、かつ、オンからオフになった後所定時間以上である場合はステップS15−2に進む。
ステップS15−2 通常制御時の過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。
ステップS15−3 最終目標入力軸回転数が過渡目標入力軸回転数より大きいか否かを判断する。最終目標入力軸回転数が過渡目標入力軸回転数より大きい場合はステップS15−4に進み、最終目標入力軸回転数が過渡目標入力軸回転数以下である場合はステップS15−7に進む。
ステップS15−4 コーナ制御によるダウンシフトが実施されているか否かを判断する。実施されている場合はステップS15−6に進み、未実施である場合はステップS15−5に進む。
ステップS15−5 図12に示されるコーナ制御によるダウンシフト未実施時の変速速度係数マップからブレーキ踏力に応じて過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。
ステップS15−6 図12に示されるコーナ制御によるダウンシフト実施済み時の変速速度係数マップからブレーキ踏力に応じて過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。
ステップS15−7 コーナ制御によるアップシフト時の過渡目標入力軸回転数算出用の変速速度係数を算出する。
ステップS15−8 算出された変速速度係数を用いて過渡目標入力軸回転数を算出する。
ステップS15−9 実入力軸回転数が過渡目標入力軸回転数と一致するように変速比を変化させ、リターンする。
【0108】
次に、車両がコーナに差し掛かった時の車両の駆動力制御装置の動作について説明する。
【0109】
図1は本発明の実施の形態における連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合のコーナ制御の状態を示す図、図17は本発明の実施の形態における連続コーナの手前コーナと次コーナとで旋回方向が異なる場合のコーナ制御の状態を示す図である。なお、図において、横軸に時間を、縦軸に横G、変速比及び目標入力軸回転数を採ってある。
【0110】
まず、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合であって、かつ、旋回方向が同じ場合について説明する。図1(a)は連続コーナの形状を示す図であり、図1(b)は、図1(a)に示される連続コーナにおけるコーナ制御の状態を示すグラフである。図1において、27は道路、28は該道路27上を走行する車両であり、▲1▼は連続コーナに進入する手前の直線部、▲2▼は連続コーナの手前コーナとしての緩コーナの入り口、▲3▼は連続コーナの次コーナとしての急コーナの入り口である。また、31は目標入力軸回転数の緩コーナにおける上限値である緩コーナ上限回転数を示す直線、32は目標入力軸回転数の中コーナにおける上限値である中コーナ上限回転数を示す直線、33は目標入力軸回転数の急コーナにおける上限値である急コーナ上限回転数を示す直線、34は車両28にかかる横Gの値が0であることを示す直線、35は目標入力軸回転数の変化を示す目標入力軸回転数曲線、36は車両28にかかる横Gの変化を示す横G曲線、37は変速比の変化を示す変速比曲線、38aは従来の目標入力軸回転数の変化を示す第1の従来目標入力軸回転数曲線、38bは従来の目標入力軸回転数の変化を示す第2の従来目標入力軸回転数曲線である。
【0111】
そして、車両28が連続コーナの手前コーナに近付くと、ナビゲーション装置10は、車両28がコーナに差し掛かると判断して、走行環境認識処理を開始する(ステップS2)。その結果、コーナ形状、必要減速度を含む走行環境情報が、ナビゲーション装置10から無段変速機制御装置30に送信される(ステップS3)。そして、該無段変速機制御装置30は、車両28がコーナ制御開始点に対応する位置に到達すると、必要減速度が所定値以上になったことを判断して、コーナ制御を開始する(ステップS13−8)。そして、コーナ形状に応じたコーナに対する推奨入力軸回転数を算出する(ステップS13−9)。
【0112】
この場合、コーナ形状が緩コーナから急コーナに変化し、かつ、手前コーナと次コーナとで旋回方向が同じなので、無段変速機制御装置30は、緩コーナである手前コーナと急コーナである次コーナとの中間のコーナ形状を有する中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値を算出する(ステップS13−9−5)。そして、中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値をコーナに対する推奨入力軸回転数に反映させる。すなわち、この場合、中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値をコーナに対する推奨入力軸回転数の上限値として設定する(ステップS13−9−8)。
【0113】
続いて、無段変速機制御装置30は、運転者に減速の意図があると判断し、前記推奨入力軸回転数を目標入力軸回転数に代入する(ステップS13−11)。これにより、目標入力軸回転数は、目標入力軸回転数曲線35で示されるように、緩コーナに進入すると、中コーナ上限回転数を示す直線32と重なる。なお、目標入力軸回転数の変化に伴い、無段変速機20の変速比も変速比曲線37で示されるように制御される。また、車両28には、横G曲線36で示されるように、横Gがかかる。
【0114】
そして、車両28が連続コーナの次コーナとしての急コーナに近付くと、無段変速機制御装置30は、目標入力軸回転数を急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値を上限として、緩やかに上昇させる。これにより、目標入力軸回転数は、目標入力軸回転数曲線35で示されるように、急コーナに進入すると、急コーナ上限回転数を示す直線33と重なる。なお、目標入力軸回転数の変化に伴い、無段変速機20の変速比も変速比曲線37で示されるように制御される。また、車両28にかかる横Gは横G曲線36で示されるように変化する。
【0115】
このように、本実施の形態においては、自動変速機制御装置としての無段変速機制御装置30は、複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、手前コーナにおける自動変速機としての無段変速機20の変速比を、次コーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。より具体的には、次コーナの曲率が手前コーナの曲率より大きい場合に、該手前コーナにおける変速比を、前記次コーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する、すなわち、手前コーナにおける変速比を、手前コーナと次コーナとの中間の曲率のコーナに適した変速比となるように補正して制御する。
【0116】
これにより、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合、緩コーナである手前コーナにおける目標入力軸回転数は、中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値となるように制御される。そのため、手前コーナにおける目標入力軸回転数と急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差が小さいので、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、変速速度係数を小さく設定し、目標入力軸回転数を緩やかに上昇させることによって、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値まで到達させることが可能となる。これにより、車両28に横Gがかかっている36aで示される領域において、減速度の変化が小さく、かつ、滑らかとなり、運転者に違和感を与えることがなく、ドライバビリティが低下することがない。
【0117】
これに対し、「従来の技術」及び「発明が解決しようとする課題」において説明した従来の車両の駆動力制御装置であると、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合であっても、緩コーナである手前コーナにおける目標入力軸回転数を、第1の従来目標入力軸回転数曲線38aで示されるように、緩コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値となるように制御する。そのため、手前コーナにおける目標入力軸回転数と急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差が大きいので、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値を上限とし、変速速度係数を大きく設定し、目標入力軸回転数を急激に上昇させる必要がある。これにより、車両28に横Gがかかっている36aで示される領域において、減速度の変化が大きく、かつ、急激となり、運転者に違和感を与え、ドライバビリティが低下してしまう。
【0118】
もっとも、従来の車両の駆動力制御装置であっても、車両28に横Gがかかっている36aで示される領域において、減速度の変化が小さく、かつ、滑らかとなるように、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、変速速度係数を小さく設定し、目標入力軸回転数を緩やかに上昇させることによって、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値となるようにすることも考えられる。しかし、手前コーナにおける目標入力軸回転数と急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差が大きいので、第2の従来目標入力軸回転数曲線38bで示されるように、急コーナに進入して急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数まで大きくなるのが遅れ、十分な減速力を得ることができなくなってしまう。
【0119】
次に、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合であって、かつ、旋回方向が異なる場合について説明する。図17(a)は連続コーナの形状を示す図であり、図17(b)は、図17(a)に示される連続コーナにおけるコーナ制御の状態を示すグラフである。
【0120】
この場合、コーナ形状が緩コーナから急コーナに変化し、かつ、手前コーナと次コーナとで旋回方向が同じでないので、無段変速機制御装置30は、緩コーナである手前コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値と、前記中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値との間の所定値を推奨入力軸回転数の上限値とする(ステップS13−9−6)。そして、該推奨入力軸回転数の上限値をコーナに対する推奨入力軸回転数に反映させる(ステップS13−9−8)。すなわち、この場合、該推奨入力軸回転数の上限値をコーナに対する推奨入力軸回転数の上限値として設定する。
【0121】
続いて、無段変速機制御装置30は、運転者に減速の意図があると判断し、前記推奨入力軸回転数を目標入力軸回転数に代入する(ステップS13−11)。これにより、目標入力軸回転数は、目標入力軸回転数曲線35で示されるように、緩コーナに進入すると、緩コーナ上限回転数を示す直線31と中コーナ上限回転数を示す直線32との間の所定値となる。なお、目標入力軸回転数の変化に伴い、無段変速機20の変速比も変速比曲線37で示されるように制御される。また、車両28には、横G曲線36で示されるように、横Gがかかる。
【0122】
そして、車両28が連続コーナの次コーナとしての急コーナに近付くと、無段変速機制御装置30は、目標入力軸回転数を急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値を上限として、緩やかではあるが、図1に示される場合よりは急激に上昇させる。これにより、目標入力軸回転数は、目標入力軸回転数曲線35で示されるように、急コーナに進入すると、急コーナ上限回転数を示す直線33と重なる。なお、目標入力軸回転数の変化に伴い、無段変速機20の変速比も変速比曲線37で示されるように制御される。また、車両28にかかる横Gは横G曲線36で示されるように変化する。この場合、手前コーナと次コーナとで旋回方向が変わるので、領域36bにおいて横Gが0となる。
【0123】
このように、本実施の形態においては、無段変速機制御装置30は、複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、次コーナの旋回方向が手前コーナの旋回方向と異なる場合に、手前コーナにおける無段変速機20の変速比を、次コーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。より具体的には、次コーナの曲率が手前コーナの曲率より大きい場合に、該手前コーナにおける変速比を、次コーナのコーナ形状に基づく補正の程度を緩和して制御する、すなわち、手前コーナにおける変速比を、手前コーナと次コーナとの中間の曲率のコーナに適した変速比と前記手前コーナの曲率のコーナに適した変速比との中間となるように補正して制御する。
【0124】
これにより、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合、緩コーナである手前コーナにおける目標入力軸回転数を、緩コーナである手前コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値と前記中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値との間の所定値となるように制御される。そのため、手前コーナにおける目標入力軸回転数と急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差は小さいが、図1に示される場合より大きいので、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、変速速度係数を図1に示される場合より大きく設定し、目標入力軸回転数を緩やかではあるが、図1に示される場合より急激に上昇させることによって、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値まで到達させることが可能となる。これにより、減速度の変化が図1に示される場合より大きくなるが、車両28に横Gが0となる領域36bにおいて減速度が変化するので、運転者に違和感を与えることがなく、ドライバビリティが低下することがない。
【0125】
これに対し、「従来の技術」及び「発明が解決しようとする課題」において説明した従来の車両の駆動力制御装置であると、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合であっても、緩コーナである手前コーナにおける目標入力軸回転数を、第1の従来目標入力軸回転数曲線38aで示されるように、緩コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値となるように制御する。そのため、手前コーナにおける目標入力軸回転数と急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差が大きいので、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値を上限として、変速速度係数を大きく設定し、目標入力軸回転数を急激に上昇させる必要がある。これにより、車両28に横Gがかかっている36aで示される領域において、減速度の変化が大きく、かつ、急激となり、車両28に横Gが0となる領域36bであっても、運転者に違和感を与え、ドライバビリティが低下してしまう。
【0126】
もっとも、従来の車両の駆動力制御装置であっても、減速度の変化が小さくかつ滑らかとなるように、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、変速速度係数を小さく設定し、目標入力軸回転数を緩やかに上昇させることによって、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値となるようにすることも考えられる。しかし、手前コーナにおける目標入力軸回転数と急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差が大きいので、第2の従来目標入力軸回転数曲線38bで示されるように、急コーナに進入しても目標入力軸回転数が急コーナ上限回転数まで大きくなるのが遅れ、十分な減速力を得ることができなくなってしまう。
【0127】
このように、本実施の形態において、無段変速機制御装置30は、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合であり、手前コーナと次コーナとで旋回方向が同じである場合には、緩コーナである手前コーナにおける目標入力軸回転数を中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値となるように制御する。そのため、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、変速速度係数を小さく設定し、目標入力軸回転数を緩やかに上昇させることによって、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値まで到達させることが可能となる。これにより、減速度の変化が小さく、かつ、滑らかとなり、運転者に違和感を与えることがなく、ドライバビリティが低下することがない。
【0128】
また、連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合であり、手前コーナと次コーナとで旋回方向が同じでない場合には、緩コーナである手前コーナにおける目標入力軸回転数を、緩コーナである手前コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値と前記中コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値との間の所定値となるように制御する。そのため、次コーナとしての急コーナに近付いた時に、変速速度係数をやや大きく設定し、目標入力軸回転数を緩やかではあるが、やや急激に上昇させることによって、急コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値まで到達させることが可能となる。これにより、減速度の変化がやや大きくなるが、車両28に横Gが0となる時に減速度が変化するので、運転者に違和感を与えることがなく、ドライバビリティが低下することがない。
【0129】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0130】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、車両の駆動力制御装置においては、駆動源に駆動連結される入力軸、及び、該入力軸の入力を変速して出力する出力軸を備える自動変速機と、道路情報に基づいて前記自動変速機を制御する自動変速機制御装置とを有し、該自動変速機制御装置は、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。
【0131】
この場合、連続コーナにおいても運転者の感覚に合致した駆動力制御を行うことができ、車両の運転性を向上させることができる。
【0132】
他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第2のコーナのコーナ形状が前記第1のコーナのコーナ形状より急である場合に、該第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する。
【0133】
この場合、手前コーナにおける目標入力軸回転数と曲率の大きいコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差が小さいので、曲率の大きい次コーナに近付いた時に、変速速度係数を小さく設定し、目標入力軸回転数を緩やかに上昇させることができる。
【0134】
更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第2のコーナの旋回方向が前記第1のコーナの旋回方向と異なる場合に、前記補正の程度を小さくする。
【0135】
この場合、手前コーナにおける目標入力軸回転数と曲率の大きいコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数との差はやや大きいので、曲率の大きい次コーナに近付いた時に、変速速度係数をやや大きく設定し、目標入力軸回転数を緩やかではあるが、やや急激に上昇させることによって、次コーナのコーナ形状に基づく推奨入力軸回転数の上限値となるようにすることができる。
【0136】
更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナのコーナ形状と前記第2のコーナのコーナ形状との中間のコーナ形状に適した変速比となるように補正する。
【0137】
この場合、車両に横Gがかかっている領域において、減速度の変化が小さく、かつ、滑らかとなり、運転者に違和感を与えることがなく、ドライバビリティが低下することがない。
【0138】
更に他の車両の駆動力制御装置においては、さらに、前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナのコーナ形状と前記第2のコーナのコーナ形状との中間のコーナ形状に適した変速比と前記第1のコーナのコーナ形状に適した変速比との中間となるように補正して制御する。
【0139】
この場合、減速度の変化がやや大きくなるが、車両に横Gが0となる時に減速度が変化するので、運転者に違和感を与えることがなく、ドライバビリティが低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における連続コーナのコーナ形状が緩コーナから急コーナに変化する場合のコーナ制御の状態を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両の駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるコーナ形状判定の動作を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるコーナ形状判定のためのテーブルを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるコーナ制御領域判定の基準の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における連続コーナ判定の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における必要減速度の算出方法を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態における走行環境認識処理のサブルーチンを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における基本目標入力軸回転数マップを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるコーナに対する推奨入力軸回転数マップを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるブレーキ踏力に応じた変速速度係数マップを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における無段変速機制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態におけるコーナに対する目標入力軸回転数算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態におけるコーナに対する推奨入力軸回転数算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態における変速制御処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態における連続コーナの手前コーナと次コーナとで旋回方向が異なる場合のコーナ制御の状態を示す図である。
【符号の説明】
20  無段変速機
30  無段変速機制御装置
28  車両

Claims (12)

  1. (a)駆動源に駆動連結される入力軸、及び、該入力軸の入力を変速して出力する出力軸を備える自動変速機と、
    (b)道路情報に基づいて前記自動変速機を制御する自動変速機制御装置とを有し、
    (c)該自動変速機制御装置は、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 前記自動変速機制御装置は、前記第2のコーナのコーナ形状が前記第1のコーナのコーナ形状より急である場合に、該第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御する請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。
  3. 前記自動変速機制御装置は、前記第2のコーナの旋回方向が前記第1のコーナの旋回方向と異なる場合に、前記補正の程度を小さくする請求項2に記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナのコーナ形状と前記第2のコーナのコーナ形状との中間のコーナ形状に適した変速比となるように補正する請求項2に記載の車両の駆動力制御装置。
  5. 前記自動変速機制御装置は、前記中間のコーナ形状に基づいて求められた推奨入力軸回転数の上限値と、前記第1のコーナに対する必要減速度に基づいて求められた推奨入力軸回転数とを比較して、小さい方を前記第1のコーナに対する推奨入力軸回転数となるように変速比を補正する請求項4に記載の車両の駆動力制御装置。
  6. 前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナのコーナ形状と前記第2のコーナのコーナ形状との中間のコーナ形状に適した変速比と前記第1のコーナのコーナ形状に適した変速比との中間となるように補正して制御する請求項3に記載の車両の駆動力制御装置。
  7. 前記自動変速機制御装置は、前記第1のコーナのコーナ形状に基づいて求められた推奨入力軸回転数の上限値と前記中間のコーナ形状に基づいて求められた推奨入力軸回転数の上限値との間の所定値を推奨入力軸回転数の上限値とし、該推奨入力軸回転数の上限値と前記第1のコーナに対する必要減速度に基づいて求められた推奨入力軸回転数とを比較して、小さい方を前記第1のコーナに対する推奨入力軸回転数となるように変速比を補正する請求項5に記載の車両の駆動力制御装置。
  8. (a)前記自動変速機制御装置は、車速と前記入力軸の回転数とを軸とし、コーナにおける旋回横加速度が所定値となる推奨車速にまで減少するのに必要な前記道路情報に含まれる必要減速度に応じて前記入力軸の回転数を制限する変速曲線が設定され、該曲線と車速に基づいて前記入力軸の回転数が算出されるマップであって、コーナの形状が急な場合の必要減速度の上限値を示す第1の曲線、該第1の曲線よりも低回転側に設定されたコーナの形状が中間の場合の必要減速度の上限値を示す第2の曲線、及び、該第2の曲線よりも低回転側に設定されたコーナの形状が緩い場合の必要減速度の上限値を示す第3の曲線を含むマップを備え、
    (b)前記道路情報に含まれる必要減速度に対応する変速曲線に従って求めた回転数を推奨入力軸回転数とし、前記第1〜第3の曲線に従って求めた回転数を推奨入力軸回転数の上限値とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両の駆動力制御装置。
  9. 前記コーナ形状は、小さい曲率の緩コーナ、中間の曲率の中コーナ、又は、大きい曲率の急コーナである請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両の駆動力制御装置。
  10. 前記第1のコーナのコーナ形状は小さい曲率の緩コーナであり、前記第2のコーナのコーナ形状は大きい曲率の急コーナである請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両の駆動力制御装置。
  11. (a)道路情報に基づいて自動変速機を制御する時に、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御することを特徴とする車両の駆動力制御方法。
  12. (a)コンピュータを、
    (b)駆動源に駆動連結される入力軸、及び、該入力軸の入力を変速して出力する出力軸を備える自動変速機を道路情報に基づいて制御する自動変速機制御装置として機能させ、
    (c)該自動変速機制御装置は、前記道路情報に基づいて検出された複数のコーナが連続する連続コーナにおいて、車両の前方に位置する第1のコーナにおける前記自動変速機の変速比を、前記第1のコーナに連続する第2のコーナのコーナ形状に基づいて補正して制御することを特徴とする車両の駆動力制御用プログラム。
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