JP2004099882A - 電波吸収体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
 優れた難燃性と優れた電波吸収能を同時に兼ね備える新規な非ハロゲン性の電波吸収体を提供し、さらには、成形性に優れた電波吸収体を提供する。
【解決手段】
 ポリオレフィン系樹脂にカルボニル還元鉄粉および金属水酸化物が混合されてなる電波吸収体であって、ポリリン酸アンモニウムおよび/または加熱膨張黒鉛が混合されることを特徴とする電波吸収体。
 さらに、上記電波吸収体に滑剤を混合させることで、ロール圧延加工やプレス加工などの成形加工による歩留まりが向上する。
【選択図】図1
  
 

Description

 本発明は、難燃性の向上された電波吸収体に関する。
 近年、ITS(Intelligent Transport Systems;高度道路交通システム)に代表される交通インフラの情報化にともない、ETC(Electronic Toll Collection;ノンストップ自動料金収受)システムやAHS(Advanced cruise−assist Highway System;走行支援道路システム)、レーダや衛星通信などによるDSRC(Dedicated Short Range Communication;狭域通信)システム、双方向道路情報システムなど、ミリ波、マイクロ波などの電波の使用による無線通信技術を応用したシステムの導入が拡大している。これらのシステムでは、路面や吸音壁などで使用電波が反射することによる通信領域内での電波の乱反射が、システムの誤作動を引き起こす原因となっており問題とされている。電波吸収体は、こうした無線通信システムにおいて周辺構造体からの多重散乱波を抑制し、システム周辺の電波環境の改善を目的として使用される。このような電波吸収体のうち、シートタイプ電波吸収体はバインダーとしてのベース樹脂に電波吸収性の損失材料を添加したものであるが、基材となるベース樹脂が可燃性であるため、火災時の安全性を確保するため、厳しい難燃性が要求されている。従来、この難燃性を達成するためには、ハロゲン元素を含む難燃性のベース樹脂あるいは/および難燃効果の高いハロゲン系難燃剤を使用することが一般的であった。例えば、ベース樹脂としては、カルボニル還元鉄粉のような電波吸収剤やその他の充填剤などが比較的大量に添加でき、かつ柔軟性がある程度あることから、塩素化ポリエチレンが使用されている。また、塩素化ポリエチレンの難燃性を向上させる手段としては、ハロゲン系難燃剤(例えば、臭素系難燃剤)が使用されてきた。
 一方、環境問題が取りだされる近年、このようなハロゲン系の樹脂および難燃剤を使用した樹脂は、不適切な燃焼によってダイオキシンや有毒ガスを発生するため、環境汚染を引き起こす原因となることから、電波吸収体の分野でも脱ハロゲン化の要求が高まってきた。しかしながら、塩化ビニル樹脂(PVC)などのハロゲン系樹脂は、それ自体がハロゲンを含むために難燃性を有するが、非ハロゲン系樹脂では、それ自体で難燃性が得られないという問題があった。また、非ハロゲン系難燃剤(例えば、金属水酸化物)では、ハロゲン系難燃剤のような高い難燃効果が得られないため、要求される厳しい難燃性を達成することは困難であり、さらには電波吸収体の可撓性も低下し脆くなるという問題があった。
 また、シートタイプ電波吸収体は、プレス成形やロール圧延成形によって、所望の厚さに成形されるのが一般的である(シートタイプ電波吸収体は、厚さをコントロールすることで対象電波(周波数域)で最も効果的に吸収特性を発現するように制御されている)が、バインダーとしてのベース樹脂に電波吸収性の損失材料を添加した組成物からなるシートタイプの電波吸収体は、成形中にプレス成形機のプレス板やロール圧延機のロールへ張り付くといったことが起こり、それを剥す際に所望の厚さから外れたり(厚さの変動)、電波吸収体表面を傷つけるといった問題があった。
特許公開2000−151177号公報 特許公開2003−165908号公報
 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、優れた難燃性と優れた電波吸収能を同時に兼ね備える新規な非ハロゲン系電波吸収体を提供することであり、さらには、成形性に優れた新規な非ハロゲン系電波吸収体を提供することである。
 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
 (1)ポリオレフィン系樹脂にカルボニル還元鉄粉および金属水酸化物が混合されてなる電波吸収体であって、ポリリン酸アンモニウムおよび/または加熱膨張黒鉛が混合されることを特徴とする電波吸収体。
 (2)ポリオレフィン系樹脂がエチレン酢酸ビニル共重合樹脂である(1)に記載の電波吸収体。
 (3)さらに、滑剤が混合されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の電波吸収体。
 (4)金属水酸化物が水酸化マグネシウムである(1)〜(3)のいずれかに記載の電波吸収体。
 (5)(1)〜(4)のいずれかに記載の電波吸収体の電波が入射してくる面に耐侯性を有する層および反対側の面に電波反射層を有することを特徴とする電波吸収体。
 (6)電波反射層がアルミニウムにポリエチレンテレフタレートを張ったアルミラミネートである(5)に記載の電波吸収体。
 (7)(1)〜(6)のいずれかに記載の電波吸収体が、自動料金収受システムまたは狭域通信に使用される電波吸収体。
 本発明によれば、優れた難燃性と優れた電波吸収吸収能を同時に兼ね備える非ハロゲン性の電波吸収体を提供することができ、さらには、成形性に優れた電波吸収体を提供することができる。
 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明における電波吸収体の形式には、ポリオレフィン系樹脂中にカルボニル還元鉄粉と金属水酸化物と、ポリリン酸アンモニウムおよび/または加熱膨張黒鉛とが混合させてなる樹脂組成物が用いられる。
 ポリオレフィン樹脂は、本発明の電波吸収体においてバインダーとして使用される。分子鎖中にハロゲン元素を有しない樹脂のことを指し、具体的には、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)、ポリエチレン(PE)等やこれらの混合樹脂を指す。中でも、EVAが配合する電波損失剤およびその他配合剤を多量に配合しても柔軟性有することができる点で好ましい。また、本発明の電波吸収体において、バインダーとしてEVAを使用することで、EVAにおける酢酸ビニルの混合比は率(以下、VA比ともいう)の相違によりベースポリマーの柔軟性を幅広く選択することが可能になるという利点がある。
 EVAにおけるVA比は、特に制限されないが、10重量%〜50重量%であるのが好ましく、30重量%〜47重量%であるのがより好ましい。VA比が10重量%未満であると柔軟性にかける傾向があるためであり、50重量%を越えると、適当な硬度が得られない傾向があるためである。
 本発明に使用されるカルボニル還元鉄粉は、電波吸収剤として作用する。カルボニル還元鉄粉は、カルボニル法にて生産された高純度(純度:97重量%以上)の鉄粉(カルボニル鉄粉)を還元して得られた鉄粉を指す。なお当該「カルボニル鉄粉」、「カルボニル還元鉄粉」の名称は、生産工程中の中間体である「ペンタカルボニル鉄」に由来するものであり、カルボニル基を有する訳ではない。本発明に用いるカルボニル還元鉄粉は、その形状に特に制限はなく、球状や針状、その他の様々な形状のものを用いることができるが、バインダー(EVA)への分散性が良好であり、またバインダーにカルボニル還元鉄粉を混合した混合物を圧延加工する際に配向することなくシート成形を容易に行えることから、球状のカルボニル還元鉄粉を用いることが好ましい。なお本明細書において、カルボニル還元鉄粉の形状に関して「球状」とはアスペクト比が1〜5であるものを指し、「針状」とはアスペクト比が5よりも大きいものを指すものとする。
 ここで、上記アスペクト比とは、カルボニル還元鉄粉のあらゆる方向における最少長さに対する最大長さの比をいう。
 本発明に使用するカルボニル還元鉄粉末は、平均粒径が1μm〜10μmであるのが好ましく、3μm〜7μmであるのがより好ましい。カルボニル還元鉄粉末の平均粒径が1μm未満であると、バインダー中での分散性が低下する傾向があるためであり、またカルボニル還元鉄粉末の平均粒径が10μmを越えると、電波吸収特性が低下する傾向があるためである。
 上記平均粒径は、例えば以下の手順にて測定できる。
 測定対象(カルボニル還元鉄の粉末)を、水またはエタノールなどの有機液体に投入し、35kHz〜40kHz程度の超音波を付与した状態にて約2分間分散処理して得た分散液を用い、かつその場合の粒状物の量は該分散液のレーザ透過率(入射光量に対する出力光量の比)が70%〜95%となる量とし、次いで該分散液について、マイクロトラック粒度分析計にかけてレーザー光の散乱により個々の粒状物の粒径(D1、D2、D3・・・)、および各粒径ごとの存在個数(N1、N2、N3・・・)を計測する(個々の粒状物の粒径(D)は、マイクロトラック粒度分析計によれば種々の形状の粒状物ごとに球相当径が自動的に測定される)。
 視野内に存在する個々の粒子の個数(N)と各粒径(D)とから、下記式(1)にて平均粒径を算出する。
 平均粒径=(ΣND/ΣN)1/3            (1)
 カルボニル還元鉄粉は、従来公知の種々の手法にて得ることができる。
 例えば、まず、カルボニル法により鉄からカルボニル鉄粉を得る。すなわち。鉄(Fe)に一酸化炭素を反応させてペンタカルボニル鉄(Fe(CO))を得た後、これを蒸留し、熱分解してカルボニル鉄粉とする。得られたカルボニル鉄粉を水素還元して、カルボニル還元鉄粉とする。
 また、針状のカルボニル還元鉄粉については、例えば、特開平10−32398号公報に記載の製法などによって得ることができる。
 上記平均粒径を有するようなカルボニル還元鉄粉は、上記で適宜得られたカルボニル還元鉄粉を気流により分級するなどして取得することができる。
 カルボニル還元鉄粉は、市販のもの、例えば、BASF Japan社製の球状のカルボニル鉄粉(純度:97重量%)や、ISP Japan社製の球状のカルボニル鉄粉(純度:97重量%)を使用してもよい。
 本発明の電波吸収体において、上記カルボニル還元鉄粉は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、500重量部〜700重量部配合されているのが好ましく、500重量部〜690重量部配合されるのがより好ましく、560重量部〜600重量部配合されるのが特に好ましい。カルボニル還元鉄粉の配合がポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、500重量部未満であると、充分な電波吸収特性が得られにくい傾向があるため好ましくない。また、カルボニル還元鉄粉の配合がポリオレフィン系樹脂100重量部に対し700重量部を越えると、電波吸収体を層状(シート状)に成形することが困難となる傾向があるため好ましくない。
 本発明の電波吸収体において使用される金属水酸化物は、難燃剤として作用する。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられ、これら1種または2種以上を併用してもよい。特にこれらの中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが好ましく、特に好ましくは水酸化マグネシウムである。
 上記金属水酸化物の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、50重量部〜200重量部であり、好ましくは80重量部〜170重量部、より好ましくは90重量部〜110重量部である。金属水酸化物の配合量がポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、200重量部を越えると、低温特性(脆化特性)が損なわれる傾向があるためであり、50重量部未満であると、得られる樹脂組成物の難燃性が低下する傾向があるためである。
 上記金属水酸化物には、ポリオレフィン系樹脂への接着性を向上させる目的で、カップリング剤による表面処理を施してもよい。カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタネート系カップリング剤などが好ましい。さらに。電波吸収体の柔軟性などを向上させる目的で、カップリング剤で表面処理した金属水酸化物の一部に代えて、脂肪酸で表面処理した金属水酸化物を配合してもよい。脂肪酸としては、炭素数が15〜20のものが好ましく。例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが特に好ましく、これらはいずれか1種を用いても2種以上を併用してもよい。
 アミノシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、アミノベンゼントリエトキシシラン、N−4,4’−メチレンビスベンゼンアミノ−シクロヘキサノールエチルトリメトキシシラン、N−4,4’メチレンビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−アミノベンゼンメチレン−p−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノ−シクロへキサノールエチルトリメトキシシラン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−アミノベンゼンオキシ−p−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−4,4’−スルホニルベンゼンアミノ−シクロヘキサノールエチルトリメトキシシラン、N−4,4’−スルホニルベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−アミノベンゼンスルホニル−p−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−p−フェニレンジアミノ−シクロヘキサノールエチルトリメトキシシラン、N−p−フェニレンジアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−p−フェニレンジアミノ−γ−ウレイドプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、これら1種または2種以上が使用される。
 また、アミノチタネート系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシチタン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトシキチタン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシチタン、γ−アニリノプロピルトリメトキシチタン、アミノベンゼントリエトキシチタン、N−4,4’−メチレンビスベンゼンアミノ−シクロヘキサノールエチルトリメトキシチタン、N−4,4’メチレンビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−アミノベンゼンメチレン−p−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノ−シクロヘキサノールエチルトリメトキシチタン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−アミノベンゼンオキシ−p−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタン、N−4,4’−スルホニルベンゼンアミノ−シクロヘキサノールエチルトリメトキシチタン、N−4,4’−スルホニルベンゼンアミノ2−2ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−アミノベンゼンスルホニル−p−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタン、N−p−フェニレンジアミノ−シクロヘキサノールエチルトリメトキシチタン、N−p−フェニレンジアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−p−フェニレンジアミノ−γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタンなどが挙げられ、これらは1種または2種以上が使用される。
 金属水酸化物のカップリング剤または脂肪酸による表面処理方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法、例えば、カップリング剤または脂肪酸のアルコール溶液に金属水酸化物を投入し処理した後乾燥するいわゆるスラリー法、あるいはカップリング剤または脂肪酸を金属水酸化物粉末に直接スプレーする乾式法などが用いられる。カップリング剤または脂肪酸の使用量は、カップリング剤または脂肪酸の種類によっても相違するが、金属水酸化物100重量部当り通常0.002重量部〜5.0重量部であり、好ましくは0.1重量部〜3.0重量部である。
 金属水酸化物は、市販のもの、例えば、神島化学社製の水マグ10、水マグ10A、水マグ200、協和化学社製のキスマ5A、キスマ5B、キスマ5J、ティーエムジー社製のファインマグ等を使用してもよい。
 本発明の電波吸収体は、難燃性をさらに高めるために、ポリリン酸アンモニウムまたは加熱膨張黒鉛が混合される。ポリリン酸アンモニウムと加熱膨張黒鉛は、各々単独で混合してもよく、または併用してもよいが、併用することが好ましい。電波吸収体は吸水すると電波吸収特性が低下する傾向があるが、ポリリン酸アンモニウムと加熱膨張黒鉛を併用した場合、各々単独で混合した場合に比べ、電波吸収体の吸収率を低くすることができるためである。
 本発明の電波吸収体に使用されるポリリン酸アンモニウムは、難燃剤として作用するものであり、金属水酸化物による難燃性をさらに向上させることができる。ポリリン酸アンモニウムを使用することによって、他のリン系難燃助剤(例えば、赤リン系難燃助剤等)を使用する場合と比べ、難燃性規格(例えば、UL94 V−0等)を満足することが可能になるという利点がある。
 ポリリン酸アンモニウムは公知のものを適用すればよく、具体的には市販されている例えば、クラリアントジャパン社製のExiolit AP−422、Exiolit AP−462、Exioliot AP−750、住友化学社製のスミセーフPなどを使用してもよい。
 本発明の電波吸収体において、上記ポリリン酸アンモニウムは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、5重量部〜20重量部配合されるのが好ましく、15重量部〜20重量部配合されるのがより好ましい。ポリリン酸アンモニウムの配合がポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、5重量部未満であると、充分な難燃性が得られにくい傾向があるため好ましくない。また、ポリリン酸アンモニウムの配合がポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、20重量部を超えると、コスト高となる傾向があるため経済的に好ましくない。
 本発明の電波吸収体に使用される加熱膨張黒鉛は、難燃剤として作用するものであり、金属水酸化物による難燃性をさらに向上させることができる。
 加熱膨張黒鉛とは、天然黒鉛または人造黒鉛由来の物質で、室温から急速加熱により結晶のc軸方向に対して膨張する性質を有するものをいう。
 本発明において、加熱膨張黒鉛としては、膨張性、即ち、室温から800〜1000℃への急速加熱前後の比容積の差が100ml/g以上のものが難燃効果の面から特に好ましい。これは、100ml/g以上の膨張性を持たない加熱膨張黒鉛は、100ml/g以上の膨張性を持つものと比べて難燃効果が著しく小さいためである。なお、本発明においていう膨張性、即ち、室温から800〜1000℃への加熱前後の比容積(ml/g)の差は、具体的には次に示す方法で測定される。電気炉内で予め1000℃に加熱した石英ビーカーに加熱膨張黒鉛を2g投入し、すばやく1000℃に加熱した電気炉内に石英ビーカーを10秒間入れた後膨張した黒鉛の100mlの重量を計量し、ゆるみ見かけ比重(g/ml)を測定し、
   比容積=1/(ゆるみ見かけ比重)
とする。次に加熱していない室温での加熱膨張黒鉛の比容積を同様の方法で求め、
   膨張性=(加熱後の比容積)−(室温での比容積)
として、加熱膨張黒鉛の膨張性を求める。
 加熱膨張黒鉛の製造方法としては、鱗片状黒鉛を酸化処理する方法が挙げられ、また酸化処理の方法としては、過酸化水素/硫酸中での電解酸化、リン酸と硝酸、硫酸と硝酸、硫酸と過塩素酸との混酸などの酸化処理などが挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
 また、加熱膨張黒鉛は、市販のもの、例えば、東ソー社製のGREP−EG等を用いてもよい。
 本発明の電波吸収体において、上記加熱膨張黒鉛は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、5重量部〜30重量部配合されているのが好ましく、10重量部〜15重量部配合されるのがより好ましい。加熱膨張黒鉛の配合がポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、5重量部未満であると、充分な難燃性が得られにくい傾向があるため好ましくない。また、加熱膨張黒鉛の配合がポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、30重量部を超えると、コスト高となる傾向があるため経済的に好ましくない。
 本発明の電波吸収体には、上述したポリオレフィン系樹脂にカルボニル還元鉄粉、金属水酸化物、ポリリン酸アンモニウムおよび/または加熱膨張黒鉛が配合され構成している。さらに、後述する成形方法にて良好に成形できるために、本発明の電波吸収体には、さらに滑剤を配合することが好ましい。
 本発明の電波吸収体に使用される滑剤は、成形性を良好にするために配合するものであり、成形加工による本発明の電波吸収体の厚さの制御および電波吸収体表面の正常性(傷がない)に作用するものである。
 滑剤は、公知のものを適用すればよく、具体的には、ステアリン酸、パラフィン、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコールなどが挙げられ、中でも、電波吸収特性に影響が少ない脂肪酸アミドが好ましい。また、本発明の電波吸収体において滑剤は、配合されていればよいが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、2重量部〜4重量部、特には、2.5重量部〜3.5重量部が成形加工(特にロール圧延加工)での歩留りを向上させる点で好ましい。ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、2重量部未満であると、成形加工での歩留りが低下する傾向にあり、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、4重量部を超えると電波吸収特性が低下する傾向になるともに、作製された電波吸収体の表面から滑剤がブリードする傾向にある。
 本発明の電波吸収体は、ポリオレフィン系樹脂(例えば、EVA)中にカルボニル還元鉄粉と、金属水酸化物とポリリン酸アンモニウムおよび/または加熱膨張黒鉛を混合し、後述するような添加物を必要に応じて適宜配合した後、均一に分散するように70℃〜130℃で10分間〜1時間程度混練した後、当該混合物を公知の手法にてシート状に成形する。成形方法は、公知のロール圧延加工にて行ってもプレス加工によって行ってもよいが、生産効率が良好である点より、ロール圧延加工によりシート状に成形するのが好ましい。ロール圧延加工の場合、例えば、100℃〜150℃のロール温度、0.1MPa〜2MPaの圧力で行えばよい。
 電波吸収体は、通常、概ね均一な厚みを有するように成形され、その厚みは、対象とする電波の周波数に応じて適宜選択する。例えば、周波数が5.8GHzの電波を対象電波とする場合、電波吸収体の厚みを2.1mm±0.3mm、好ましくは2.1mm±0.05mmとすることで優れた吸収特性が得られる。この場合、電波吸収体の厚みが上記範囲を外れると、5.8GHzの周波数を有する電波の吸収特性は低下する傾向がある。
 本発明の電波吸収体においては、その電波の入射してくる面に、耐侯性を有する層、例えば、耐侯性保護シートを設けたものであることが好ましい。耐侯性保護シートは、従来公知の適宜の耐侯性材料、例えば、ポリ塩化ビニルで形成したシート状のものを用いればよい。このような耐侯性保護シートを電波吸収体の電波入射面に設置することで、例えば、EVAなどの紫外線で経年的に劣化してしまう虞のある樹脂を用いたとしても、当該耐侯性保護シートにて紫外線を遮断させ得、電波吸収体における紫外線による経年劣化を確実に防止することができる。経年劣化の判断は、例えば、電波吸収体(電波吸収層)の色差を測定するこることで可能となる。
 耐侯性保護シートの設置は、従来公知の適宜の接着剤により上記電波吸収体の電波入射面に接着すればよい。用いる接着剤としては、特に制限はなく、例えば、エポキシ系接着剤、シリコン系接着剤、変性シリコン系接着剤などが挙げられる。
 また、耐侯性保護シートは、その表面に必要に応じて適宜の指定色にて塗装が施されたものであってもよい。
 また、上記耐侯性保護シートの設置に換えて、少なくとも上記電波入射面に耐侯性を有する塗料を塗布してもよい。かかる耐侯性を有する塗料としては、従来公知の種々の塗料を用いることができ、具体的には、NYポリンK(神東シグマ株式会社製)などが例示される。このように耐侯性の塗料を塗布することによっても、上述した耐侯性保護シートを設けた場合と同様の効果を奏する電波吸収体を実現することができる。
 本発明の電波吸収体は、さらに電波反射層を設けることが好ましい。電波反射層は、入射してきた電波を反射して、新たに入射してきた電波を相殺するために設けられたものであって、導電性を有し、電波吸収体の終端インピーダンスが0(ゼロ)となるものであれば特に制限はなく使用できる。このような電波反射層としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄などの金属箔が適用され、好ましくは、アルミニウム箔が適用される。このような電波反射層は、優れた電波吸収性能を有する電波吸収体を実現し得る観点からは、電波吸収体の電波の入射を意図しない側、すなわち、上記耐候性を有する層と反対側の面に隙間なく隣接させて設けるのが好ましい。
 本発明における電波反射層としては、片面に防食層を形成したもの(金属ラミネート箔)を用い、これを防食層を形成した側が電波の入射を意図しない側に配置されるように設けるのが好ましい。防食層の形成材料としては、公知の樹脂材料を用いればよく、具体的には、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)やポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン66等)などが挙げられ、好ましくは、ポリエステル樹脂が挙げられ、中でもPETが特に好ましい。
 また、電波吸収体の電波の入射してくる面とは反対側の面に導電性塗料を塗布して電波反射層を形成することもできる、導電性塗料を塗布する場合、スプレー方式で塗料を噴霧させて電波吸収体に塗布する方法や電波吸収体を回転させて塗料を均一の厚みとなるように塗布する方法が挙げられる。
 上記防食層を金属箔に接着させる方法としては、例えば、熱圧着による接着や公知の接着剤を介しての接着が挙げられる。
 電波反射層も概ね均一な厚みを有するように成形されるのが好ましい。電波反射層の厚さは、特に制限はないが、例えば金属ラミネート箔で実現する場合には、金属箔の厚さが10μm〜100μm程度であり、防食層の厚みが10μm〜200μmであるのが好ましい。
 電波吸収体と電波反射層とを接着させる手段としては、シート状に成形した電波吸収体に、金属箔を隣接させるようにして電波反射層を載置し、例えば、100℃〜150℃、0.1MPa〜2MPaの条件でプレスを施して熱接着する方法や、弾性系接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、瞬間接着剤、無機系接着剤など公知の接着剤を使用して接着する方法が挙げられる。上記のように隙間なく隣接させて電波反射層を設けることができる点から、熱接着によりこれらを接着させるのが好ましい。
 なお、上記の耐候性を有する層(膜)と電波反射層は、どちらを先に電波吸収体に設けてもよく、また同時に設けてもよい。
 上述してきたように、本発明の電波吸収体は、カルボニル還元鉄粉と、金属水酸化物と、ポリリン酸アンモニウムおよび/または加熱膨張黒鉛とをポリオレフィン系樹脂中(特には、EVA中)に分散させてなる樹脂組成物を、基本的に備えるものである。本発明においては、このような構成を基本的に備えることで、優れた難燃性と優れた電波吸収能とを同時に兼ね備える非ハロゲン系電波吸収体を実現することができるものである。さらには、滑剤を配合することによって成形性が良好となり、ロール圧延加工にてシートタイプの電波吸収体を製造しても、製造時にロールに電波吸収体(樹脂組成物)が張り付かず、均一な厚さで表面に傷のない長尺のシートタイプの電波吸収体を得ることが実現できる。
 「優れた難燃性」とは、例えば、難燃性規格であるUL94 V−0を満たす難燃性を示すことをいう。
 ここで、UL−94 V−0は以下のとおりである。
 シートから長さ125mm、幅13mmに切り取った試料をクランプにて上端を垂直に固定し、試料の下端に10秒間バーナーで接炎する。残炎が消滅した時点で、もう一度10秒間接炎したとき、
1.各試料(N=5)の残炎時間が10秒以下、
2.すべての処理による各組の残炎時間の合計が、50秒以下、
3.2回目接炎後の各試料の残炎時間と残燻時間の合計が、30秒以下、
4.保持クランプまで着火する試料がない、
5.試料の下に置いた標識用綿を滴下物等により着火させる試料がない。
 また、「優れた電波吸収特性」とは、電波の入射角度をθとしたとき、0°<θ≦55°の範囲から入射する円偏波に対して、反射減衰量が20dB以上となることをいう。ここで、電波の入射角度とは、入斜面の垂線と入射電波がなす角度をいう。
 なお、本発明における電波吸収体には、電波吸収特性を劣化させない範囲で難燃助剤、可塑剤、カーボンブラック、酸化防止剤、着色剤、安定剤、充填剤、光安定剤など、適宜の添加剤が添加されていてもよい。
 電波吸収体に添加してもよい難燃助剤としては、従来公知の窒素系難燃助剤など従来公知の種々のものが挙げられる。難燃助剤は、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部あたり25重量部以下添加することができる。
 電波吸収体に添加してもよい可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタラート(DOP)やジブチルフタラート(DBP)などのフタル酸エステル系のもの、ジオクチルアジペート(DOA)などのアジピン酸エステル系のもの、ジオクチルセバケート(DOS)などのセバシン酸エステル系のもの、トリメリット酸オクチルエステルなどのトリメリット酸系エステル、ピロメリット酸エステル、ポリエステル系、エポキシ化大豆油などが挙げられる。可塑剤は、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部あたり10重量部以下添加することができる。
 電波吸収体に添加してもよいカーボンブラックは、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部あたり、1重量部以下添加することができる。
 電波吸収体に添加してもよい酸化防止剤としては、従来公知のフェノール系の酸化防止剤、チオエーテル系の酸化防止剤など、従来公知の種々のものが挙げられる。酸化防止剤は、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部あたり1重量部以下添加することができる。
 本発明の電波吸収体の用途には特には限定はないが、特に有料道路における自動料金収受(ETC)システムまたは狭域通信(DSRC)システム等の高速道路交通システム(ITS)に好適に使用することができる。本発明の電波吸収体をETCシステムまたはDSRCシステムの周辺構造物に使用することにより、多重散乱波を防止し、システムの誤作動を防止することができる。
 なお、ETCシステムとは、有料道路の料金所で一旦停止することなく無線通信を用いて自動的に料金の支払いを行うシステムをいい、DSRCシステムとは、ETCや商用車管理システム等の路車間通信に用いられる無線通信をいう。
 以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
 実施例1
 エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA、VA比=45%)100重量部に、カルボニル還元鉄粉(平均粒径3.5μm)を580重量部、加熱膨張黒鉛を10重量部、水酸化マグネシウムを50重量部、酸化防止剤を0.5重量部、滑剤を0.5重量部、カーボンブラックを1重量部配合し、混練した組成物を100℃のロール温度でロール圧延加工を施し、厚み2.1mm±0.05mmのシート状の電波吸収体を成形した。
 実施例2
 水酸化マグネシウムを100重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 実施例3
 カルボニル還元鉄粉を610重量部、加熱膨張黒鉛を配合する代わりにポリリン酸アンモニウムを30重量部、窒素系難燃助剤を10重量部配合した以外は実施例2と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 実施例4
 さらに、ポリリン酸アンモニウムを15重量部、窒素系難燃助剤を10重量部配合した以外は実施例2と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 実施例5
 滑剤を2重量部に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 実施例6
 滑剤を3重量部に変えたこと以外は、実施例3と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 実施例7
 滑剤を4重量部に変えたこと以外は、実施例4と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 実施例8
 実施例1の電波吸収体のサンプルの電波が入射している面側に耐侯性の塗料を塗布した電波吸収体を作製した。
 実施例9
 実施例7の電波吸収体のサンプルの電波が入射している面側に耐侯性の塗料を塗布した電波吸収体を作製した。
 比較例1
 水酸化マグネシウムを70重量部、加熱膨張黒鉛を配合する代わりに赤リン系難燃剤を15重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 比較例2
 加熱膨張黒鉛を配合する代わりに赤リン系難燃剤を15重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 比較例3
 水酸化マグネシウムを70重量部、加熱膨張黒鉛を配合する代わりに赤リン系難燃剤を10重量部配合した以外は実施例1よ同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 比較例4
 加熱膨張黒鉛を配合する代わりに赤リン系難燃剤を10重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体サンプルを作製した。
 比較例5
 水酸化マグネシウムを70重量部、加熱膨張黒鉛を配合する代わりに赤リン系難燃剤を5重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体を作製した。
 比較例6
 加熱膨張黒鉛を配合する代わりに赤リン系難燃剤を5重量部配合した以外は実施例1を同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 比較例7
 水酸化マグネシウムを配合する代わりに赤リン系難燃剤を5重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 比較例8
 水酸化マグネシウムを配合する代わりに赤リン系難燃剤を10重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 比較例9
 加熱膨張黒鉛と水酸化マグネシウムを配合する代わりにポリリン酸アンモニウムを30重量部、窒素系難燃助剤を10重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 比較例10
 加熱膨張黒鉛と水酸化マグネシウムを配合する代わりにポリリン酸アンモニウムを30重量部、窒素系難燃助剤を15重量部配合した以外は実施例1と同様にして、電波吸収体のサンプルを作製した。
 (評価試験)
 (1)電波吸収能試験(斜入射特性)
 実施例1〜9、比較例1〜10の各サンプルを300mm角に切り出し、電波が入射してくる面とは反対側の面に電波反射層として20μm厚のアルミニウム箔と30μm厚のPETからなるものを接着剤を介して貼り合わせた電波吸収体を作製した。5.8GHzの円偏波にて、入射角5〜55°まで5°毎に入射した。各入射角における電波吸収量をアーチ法にて測定した。1回目の測定(タテ)の後、試料を90°回転させて2回目の測定(ヨコ)を同様に行った。
 0°<θ≦55°の範囲で反射減衰量が20dB以上であるものを○、20dB未満のものを×と評価した。実施例および比較例の各サンプルとも優れた電波吸収能(優れた斜入射特性)を示した。
 実施例4のサンプルの各入射角における電波吸収能(斜入射特性)を示すグラフを図1に示す。
 (2)曲げ試験
 実施例1〜7、比較例1〜10の各サンプルを幅1cm、長さ2.5cmに切り出したものを、直径20mmの円柱に巻きつけた。表面の割れを目視にて確認し、割れが生じなかったものを○、割れが生じたものを×と評価した。実施例および比較例の各サンプルとも、割れは生じなかった。
 (3)難燃性評価試験
 実施例1〜7、比較例1〜10の各サンプルについて、難燃性規格UL94を準用した難燃性評価試験を行った。UL94 V−0を満足するものを○、満足しないものを×と評価した。実施例のサンプルは、いずれもUL94 V−0を満足したが、比較例のサンプルは、いずれもUL94 V−0を満足しなかった。
 (4)吸水性試験
 実施例1〜7、比較例1〜10の各サンプルを予め、50℃±2.0℃にて24時間保持して乾燥させた。試験前の質量を測定し、23℃の水に24時間浸水した後の質量を測定した。
 吸水率を次式
 吸水率(%)=100×(浸水後の質量−試験前の質量)/(試験前の質量)
により算出し、吸水率が0.2%以下のものを○、0.1%以下のものを◎、0.2%より大きいものを×と評価した。実施例および比較例の各サンプルとも良好な耐吸水性を示し、実施例4、実施例7は特に優れた耐吸水性を示した。
 (5)成形性
 実施例1〜7、比較例1〜10の作製されたシート状電波吸収体の長尺サンプルから2.1mm±0.05mmの厚さを満足したものの割合(歩留り)を評価した。歩留りが80%以上のものを○と評価し、80%未満のものを△と評価した。
 (6)耐侯性試験
 実施例1〜9、比較例1〜10の各サンプルを300mm×300mmに切り出し、サンシャインウェザオメータにより、500時間の促進耐侯性試験(JIS A 1415)を行った。試験前、試験後のサンプルからそれぞれ、幅1cm、長さ2.5cmに切り出した電波吸収体(電波吸収層)の色差それぞれ測定し、色差が30以下のものを○、色差が30を越えたものを×と評価した。実施例8、9以外のサンプルは色差が30を越える結果となった。
 実施例1〜9の各評価試験結果を表1、比較例1〜10の各評価試験結果を表2に示す。
Figure 2004099882
Figure 2004099882
 本発明の電波吸収体の用途には特には限定はないが、特に有料道路における自動料金収受(ETC)システムまたは狭域通信(DSRC)システム等の高速道路交通システム(ITS)に好適に使用することができる。
実施例4の電波吸収体に対して5.8GHzの円偏波を入射したときの入射角度と反射減衰量との関係を示す図である。

Claims (7)

  1.  ポリオレフィン系樹脂にカルボニル還元鉄粉および金属水酸化物が混合されてなる電波吸収体であって、ポリリン酸アンモニウムおよび/または加熱膨張黒鉛が混合されることを特徴とする電波吸収体。
  2.  ポリオレフィン系樹脂がエチレン酢酸ビニル共重合樹脂である請求項1に記載の電波吸収体。
  3.  さらに、滑剤が混合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電波吸収体。
  4.  金属水酸化物が水酸化マグネシウムである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電波吸収体。
  5.  請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電波吸収体の電波が入射してくる面に耐侯性を有する層および反対側の面に電波反射層を有することを特徴とする電波吸収体。
  6.  電波反射層がアルミニウムにポリエチレンテレフタレートを張ったアルミラミネートである請求項5に記載の電波吸収体。
  7.  請求項1〜6のいずれかに記載の電波吸収体が、自動料金収受システムまたは狭域通信に使用される電波吸収体。

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