JP2004099820A - シートモールディングコンパウンド(smc)の製造方法及び製造装置 - Google Patents

シートモールディングコンパウンド(smc)の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Koji Kurimoto
栗本 孝司
Toshiaki Hiwatari
樋渡 俊明
Hirobumi Onishi
大西 博文
Yoichi Kosaka
小阪 洋一
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Abstract

【課題】SMCの表面を平滑に維持できるコンベアベルト押さえロール方式において、樹脂ペーストとガラス繊維との含浸性を向上させ、かつ、空気の排出を効率良く行うことのできるSMCの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】巻出装置1により引き出された下部キャリアフィルム2をコンベアベルト3上に載置し、この下部キャリアフィルム2上に樹脂ペースト4をドクター5等により所定の厚さ塗工し、補強繊維材9を樹脂ペースト4上に振り掛けるようにして堆積させる。さらに、巻出装置10により引き出された上部キャリアフィルム11上に樹脂ペースト4をドクター12等により所定の厚さ塗工して補強繊維材9上に接触させるようにして配置させ、樹脂ペースト4に補強繊維材9を供給する工程を経た後、樹脂ペースト4と補強繊維材9とを緩やかに含浸させる工程13を経て、次いで、気泡排出工程14を経た後、樹脂ペースト4と補強繊維材9とを十分に含浸させる工程15を経る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂に充填材、硬化剤、増粘剤を加えた樹脂ペーストにガラス繊維の強化材を混ぜてシート状の成形材料(シートモールディングコンパウンド、以下SMCという)を製造する製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂に充填材、硬化剤、増粘剤等を配合した樹脂ペーストにガラス繊維等の補強繊維材を混合して製造されたSMCは、熱圧縮成形して、住宅設備、輸送用機器、工業製品等の成型品に使用される。
【0003】
SMCの製造においては、樹脂ペーストにガラス繊維を均一に混合させ、樹脂ペーストによってガラス繊維が十分に濡らされているか否か、すなわち含浸性が良好か否かが、その品質上重要な要素となる。
【0004】
ガラス繊維の濡れ性が悪いと成形後の製品の表面に白い斑点状が残り、見映えが悪くなり外観不良を生じるばかりでなく、ガラス繊維同士が固まりあっていわゆるダマとなり、強度不良の問題も生じる。例えば、SMCによりバスタブや水槽等を熱圧縮成形した場合、含浸性が十分でないとガラス繊維と樹脂ペーストとの界面に空隙が生じ、その部分の強度が低下したり、水漏れを生じる原因ともなる。
【0005】
この含浸性を悪化させる主な原因は空気の存在であり、樹脂ペースト中に混入している空気、ガラス繊維に含まれる空気、あるいは含浸工程における空気の混入などを如何に低減するかが重要な要素となるのである。
特にSMCの生産速度を早めようとすると空気の混入等が顕著となり、また、ガラス繊維の混合率が大きいSMCを製造する場合には更にこの傾向が顕著となるため、生産性の低下を生じる問題があった。
【0006】
一般に樹脂ペーストとガラス繊維とを含浸させる含浸機としては、メッシュベルト方式やコンベアベルト押さえロール方式が知られているが、メッシュベルト方式では、強制的にSMCをメッシュベルトでニップしているためガラス繊維の含有率を向上させることができ、装置もコンパクトになるものの、金属メッシュの摩耗により金属粉が発生し、SMCへの混入が問題となったり、メッシュの網目に空気が密封され、SMCの表面にメッシュ目、穴等を生じて品質上の問題を生じてしまう。
また、ニップ圧はSMC全体に対して効果を奏するように調整するため個々のニップロールの調整が困難であり、また、メッシュが汚れた場合には洗浄することも困難であった。
【0007】
一方、コンベアベルト押さえロール方式によれば、ロール毎にギャップや含浸圧の自由な調整が可能であり、接触面と非接触面の繰り返し配置のため空気を非接触面から排出しやすく、SMCの表面も平滑に保たれるものの、ガラス繊維の含浸度をあまり高くすることは困難であり、含浸度を向上させるためにはロールの本数も十数本(12〜15本程度)使用しなければならず、製造ラインが長くなってしまったり、生産速度を速めると空気の排出効率が低下してしまう欠点もあった。
【0008】
そのため、これら種々の装置に対して、含浸効率を向上させるとともに、如何に空気の混入を防止するか、あるいは混入した空気を如何に除去するかの研究も行われている。
【0009】
例えば、ロールコンベア方式において、ロールに螺旋状の溝を掘り、SMC中の空気を含浸機の両側に排出させるようにした従来の装置に対して、進行中のフィルムでサンドイッチ状に被覆されたSMCの気泡発生場所のフィルム上面に、SMCの進行方向に対して直角に移動する空気抜具を、おさえローラの前で且つ支えローラの上方で接触させながら横行させて、SMC中に含まれた空気をその側端部より排出させる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、メッシュベルト方式やコンベアベルト押さえロール方式に拘わらず、振動発振機による振動をロール等に与えて、SMCを加圧含浸させるとともに空気を排出する装置等も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
【特許文献1】
特公平6−57409号公報(第2頁、第2図)
【特許文献2】
特開平9−150415号公報(第2−3頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、SMCの表面を平滑に維持できるコンベアベルト押さえロール方式において、樹脂ペーストとガラス繊維との含浸性を向上させ、かつ、空気の排出を効率良く行うことのできるSMCの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱硬化性樹脂を含有する樹脂ペーストと補強繊維材とを含浸させてコンベアベルト押さえロール方式によりSMCを製造するSMCの製造方法において、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を経てシート状物を得た後、樹脂ペーストと補強繊維材とを緩やかに含浸させる工程を経て、次いで、主として気泡を排出する工程を経た後、樹脂ペーストと補強繊維材とを十分に含浸させる工程を経ることを特徴とするSMCの製造方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、樹脂ペーストと補強繊維材とを緩やかに含浸させる工程において1本以上のロールが配置され、少なくとも1本のロールは断面略台形の凸部を有しており、その後段に1回転開始部と1回転終了部とがロール展開図において略台形状となる凸部を有するロールが1本以上配置され、さらに樹脂ペーストと補強繊維材とを十分に含浸させる工程において1本以上のロールが配置され、少なくとも1本のロールは断面略台形の凸部を有していることを特徴とするSMCの製造装置を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、シート状物中から気泡を排出する工程に、1回転開始部と1回転終了部とがロール展開図において該開始部から該終了部にいくにしたがって対称に広がる形状であり、かつ、該終了部においては該シート状物の幅と略同等の幅となるような凸部を有している表面形状の気泡排出ロールを使用することを特徴とするSMCの製造方法及び製造装置を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、SMCの製造工程を示す模式図である。巻出装置1により引き出された10〜50μmの厚さのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂フィルムを下部キャリアフィルム2としてコンベアベルト3上に載置し、この下部キャリアフィルム2上に樹脂ペースト4をドクター5等により所定の厚さに塗工する。この際、樹脂ペースト4の塗布幅は、下部キャリアフィルム2の両側からはみ出さないようにするために、40〜80mm程度内側に位置するように塗布される。
なお、コンベアベルト3の内側には、適宜コンベアベルト3のガイドロール18が配置されている。
【0017】
樹脂ペースト4は、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分としたものに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等の充填剤、熱可塑性樹脂粉末等の増粘剤、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド等の硬化用触媒、ワックス等の内部離型剤、ゴム状重合体等の低収縮化剤、着色剤等を適宜混合して粘度を30〜600ポイズ程度としたペースト状物である。
【0018】
一方、樹脂ペーストに含浸させる補強繊維材9は、例えばロービング装置6により複数束のガラスストランド7を切断装置8に送り込み、1/16〜1.5インチ程度のガラス繊維の切断片として樹脂ペースト4上に均一に分散するように振り掛けて堆積させる。
【0019】
さらに、巻出装置10により引き出された10〜50μmの厚さのポリエチレンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムを上部キャリアフィルム11として、この上部キャリアフィルム11上に上述した樹脂ペースト4をドクター12等により所定の厚さ塗工して、上記補強繊維材9上に接触させるようにして配置させる。この場合にも、樹脂ペースト4の塗布幅は、上部キャリアフィルム11の両側からはみ出さないようにするために、40〜80mm程度内側に位置するように塗布される。
【0020】
こうして下部キャリアフィルム2/樹脂ペースト4/補強繊維材9/樹脂ペースト4/上部キャリアフィルム11となる層構成のシート状物が得られることとなり、両キャリアフィルムを除いた部分の厚さとしては約5mm程度とし、後述する厚さ調整ロールを通過してガラス繊維の切断片が十分に濡れ、樹脂ペーストに含浸し、空気が抜けることにより約3mmのSMCが得られる。
【0021】
なお、約5mmの厚さのSMCを製造する場合には、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を複数工程とし、補強繊維材9の間に位置する樹脂ペースト4をカーテン塗工等により塗工して、下部キャリアフィルム2/樹脂ペースト4/補強繊維材9/樹脂ペースト4/補強繊維材9/樹脂ペースト4/上部キャリアフィルム11のような層構成のシート状物とすることもできる。
【0022】
上記のように樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を経た後、直ちに十分な含浸をさせようとしても、補強繊維材が樹脂ペーストで十分に濡れた状態となっていないために補強繊維材同士の中にある空気が閉じ込められてSMCに膨れを生じる等して、却って含浸性を損なうことになるのである。
【0023】
そこで、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を経た後、樹脂ペーストと補強繊維材とを緩やかに含浸させる工程13を経ることが重要となる。
【0024】
コンベアベルト押さえロール方式によれば、コンベアベルト3上のシート状物(2/4/9/4/11)を、例えば約7mmのゴム製のコンベアベルト3とその上方に配置された1本以上のロール131で挟み込むようにして通過させる際に、このロールに入る前の上記シート状物の全厚tに対して60〜100%のギャップを有するようにコンベアベルト3とロール131との距離を調整する(図2参照)。
【0025】
そして、例えばシート状物の全厚が約5.0mmで、2本のロールを配置して緩やかに含浸させる場合には、最初のロール131とコンベアベルト3とのギャップを4.5mm(全厚tに対して90%)、第2のロール132とコンベアベルト3とのギャップを4.0mm(全厚tに対して80%)として設定すれば良い。
【0026】
ここで、最初のロール131に入る前のシート状物は補強繊維材9が振り掛けられた状態で全厚は必ずしも一定ではないので、シート状物の平均的な厚さに対して100%のギャップを有するようにコンベアベルト3とロール131との距離を調整しても、緩やかに含浸させることができるのである。
【0027】
なお、1本のロールのみでも十分に効果を奏するが、2本以上のロールを配置する場合には、それぞれ同じギャップを有するように配列させても良く、また、上述のように順次ギャップを狭めるように配列させることも好ましい。
【0028】
また、確実にかつ十分緩やかに含浸させる点からはシート状物の全厚tに対して70〜90%のギャップを有するようにすることが特に好ましい。
【0029】
このように、シート状物に対して1本以上のロールをソフトタッチとなるように配置することにより、補強繊維材が揉みほぐされて樹脂ペーストにより満遍なく濡らすことができる。
【0030】
この際、ガラス繊維の切断片が樹脂ペーストで十分に濡らされるように、図3に示すように各ロールは円筒面にネジ切りではない溝加工した構造であることが好ましく、その断面の形状としては略台形であり、上底l1が2〜4mm、下底l2が8〜10mm、高さhが5〜15mm、ピッチpが8〜20mmの範囲で適宜選択すれば良い。
【0031】
上記の形状であれば、シート状物に損傷を与えることもなく、補強繊維材同士がいわゆるダマとなることもなく、含浸状態が良好となるのである。
【0032】
上述の例では、シート状物の全厚に対して60〜100%のギャップを有するようにロールを配置させるが、他の方法でソフトタッチを行うことも可能である。
【0033】
通常、ロールはエアーシリンダーにより上下方向へ移動する構造であるが、このエアーシリンダーの上下に空気圧力調整器を設置し、下方へロールを押し下げる空気圧力と上方へロールを押し上げる空気圧力の両者のバランスによりロールの自重を見かけ上ゼロとなるように調整することができ、コンベアベルトとロールに挟み込まれるシート状物の接触圧力を調整してソフトタッチを行うことができるのである。
【0034】
例えば、コンベアベルトの上方のロールがφ165mm、長さが1、250mm、重量80kgであって、SMCの製品幅1、000mmである時、内径φ50mmのエアーシリンダをロールの軸両端に2個使用した場合、下降空気圧力を約0.05MPa、上昇空気圧力約0.2MPaとすることによりほぼロール重量をゼロにすることができる。このロールでの自重キャンセル圧力は0.15MPaとなる。
【0035】
ここで、例えば下降空気圧力を約0.2MPa大きくし0.25MPaと設定することで、シート状物の幅1,000mmに対する線圧を約7.8N/cmに設定することができる。
【0036】
ソフトタッチを行うためにはこの線圧を0.5〜9N/cmの範囲で設定すれば良く、特に好ましくは1.8〜6N/cmとすれば良い。1本以上のロールを使用する場合には、最初のロールでは1.0N/cm、第2のロールでは2.0N/cm、…というように、徐々に線圧を大きくしてくように調整することが好ましい。
【0037】
この方式によれば、上記したロールギャップを機械的に調整するよりも簡便であり、特に複数本のロールを使用するような場合には好適である。
【0038】
上述のように樹脂ペーストと補強繊維材とを緩やかに含浸させる工程を経ることにより、補強繊維材は樹脂ペーストにより満遍なく濡らされることになるが、気泡の排出は十分ではない。
【0039】
そこで、次工程においては、主として気泡を排出する工程14とするのである。
ここで使用する気泡排出ロール141は図4に示すように、1回転の開始部142と1回転の終了部143とがロール展開図において、開始部から終了部へと対称に広がっていく面状となる凸部を有する構造となっている。そして、この凸部の終了部における幅はシート状物の幅と略同等となっている。
【0040】
この凸部の開始部の幅としては、シート状物に過剰の負荷がかかることを防止するために、200〜300mmの範囲の幅とすることが好ましい。
なお、ロール展開図において凸部の側面とロールの接線との成す角度θとしては19〜24°の範囲が気泡の排出が効率的になり、特に21〜22°とすることが好ましい。
【0041】
また、ロール接触時の衝撃を吸収する点からは、厚さは4〜8mmの範囲とし、この凸部をショア硬度Aとして30〜50°の材質とすることが好ましい。
【0042】
さらに、樹脂ペーストの原料にはスチレンモノマー等の成分が含まれるため、長期間使用するとロール表面に汚れが発生する。したがって、凸部の材質は耐油性、耐溶剤性であることが好ましく、例えば耐油性のウレタンシートを好適に使用することができる。
【0043】
例えば、φ210mmの径のロールに上記形状のウレタンシートを貼り付けて気泡排出ロールとして線圧を1.8〜7N/cmとした場合に、シート状物には図5に示すような凹痕が周期的に形成されることになる。
【0044】
この凹痕部分は上下の樹脂ペースト同士が補強繊維材と共に面接触状態となっており、シート状物の中央付近から外側方向に気泡が排出されやすくなる排出路を形成することになるため、その後の工程15で十分な含浸をさせるべくロール151を接触させることで、上記排出路から気泡が排出されていく。
【0045】
なお、通常、製品とされるSMCの幅は800〜1000mm程度であり、800mmの狭い幅のSMCでは上記面状の凸部を有する気泡排出ロールであれば良いが、1000mm幅のSMCにおいても上記気泡排出ロールを兼用する場合には、図6に示すように1回転終了部から更に帯状に延長された面状の凸部を有するようにすることが好ましい。
【0046】
この帯状に延長された面状の凸部の幅としては60〜120mm程度とすることが好ましく、2本の帯状の終端部の間隔はシート状物と略同等の間隔となるようにすれば、幅狭でも幅広でも、いずれの幅のSMCを製造する場合にも効率的に気泡を排出することができるのである。そして、上述したのと同様に、凹痕部分が面接触状態となり、それ以外の部分が気泡排出路として機能し、気泡排出効率が向上するのである(図7参照)。
【0047】
このような気泡排出ロールはシート状物に対する線圧を1.8〜7N/cmの範囲として設定することにより主として気泡を排出することになるが、コンベアベルトもシート状物も弾性体であり、また凸部の厚さも4〜8mmで硬度も30〜50°であるから、樹脂ペーストと補強繊維材とを含浸させる機能も有することとなり、気泡排出と含浸とを効率的に行うことができ、この気泡排出ロールを1本以上使用することにより更に効率的となる。
【0048】
このようにして補強繊維材が樹脂ペーストにより満遍なく濡らされて気泡も十分に排出された後は、更に含浸性を向上させるためにシート状物を複数組のロールに通過させることとなる(十分に含浸させる工程15)。
【0049】
この場合にも、上述したように複数組のロールのギャップを調整した配置とすることでも良く、ロールの上下駆動空気圧を調整してシート状物との接触圧力を調整することでも良い。
【0050】
この工程では、既に補強繊維材が樹脂ペーストで十分に濡れた状態となっているため、シート状物とソフトタッチとなるような設定とはせず、ハードタッチとするような設定とすることが重要となる。
【0051】
シート状物は第1工程、第2工程、あるいは第I工程、第II工程を経ることにより、当初の厚さよりは多少薄くはなっているが、当初のシート状物の全厚に対して30%以下のギャップを有するようにしたロールを1本以上配列して通過させるか、線圧P(III)を4〜15N/cmの範囲、特に好ましくは6〜10N/cmの範囲で設定したロールを1本以上配列してシート状物を通過させることにより、ハードタッチによって樹脂ペーストと補強繊維材とを十分に含浸させることが可能となる。
【0052】
なお、線圧を設定する場合には、上述した第I工程における線圧P(I)よりも大きい線圧に設定する。
【0053】
複数本のロールを配列する場合には、シート状物の全厚に対して各ロールのギャップを第1工程と同様に順次狭められていくように設定することが好ましく、また、線圧による場合には、第I工程と同様にして、各ロールのシート状物に対する線圧が順次高められていくように設定することが好ましい。
【0054】
また、十分に含浸させる工程15に使用される各ロールは、第1工程または第I工程と同様の形状で、円筒面に溝加工した断面略台形の構造が好ましく、上底l1が2〜6mm、下底l2が5〜10mm、高さhが5〜15mm、ピッチpが8〜20mmの範囲で適宜選択することにより、シート状物内に十分に入り込んで接触状態もハードタッチとすることができ、十分な含浸を行うことができる。
【0055】
ロールの配置として初めの上底位置に対し、例えば1/2ピッチずらして次のロールの位置を決め、このような考えで複数のロール全体を配置すれば、SMCのシート幅全体にもれなく含浸圧を掛けることができる。
【0056】
上述のように、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を経た後、樹脂ペーストと補強繊維材とを緩やかに含浸させる工程を経て、次いで、主として気泡を排出する工程を経た後、樹脂ペーストと補強繊維材とを十分に含浸させる工程を経たならば、サイジングロール等により厚さを調整する工程16を経てシート状物表面のロール目のスジをならして厚さを均一にし、最終製品であるSMCが上下キャリアフィルムと共に巻取ロール17で巻き取られて得られることとなる。
【0057】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のSMCの製造方法によれば、コンベアベルトとシート状物をソフトタッチで挟持しながら樹脂ペーストと補強繊維材とを緩やかに含浸させる工程によってその濡れ性を向上させることができ、次いで、特殊形状のロールを使用することによりシート状物中から気泡を十分に排出するとともに含浸を行うことができ、さらに次工程において十分な含浸を行えるので、例えば緩やかに含浸させる工程のロールを1本、気泡排出ロールを1本、十分に含浸させるロールを4本としてロール使用本数が少なくても、気泡もなく表面性状に優れるSMCを得ることができるため製造ラインの長さも約半分とすることができ、設置面積の小スペース化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるSMCの製造工程の一実施形態を示す模式図。
【図2】シート状物をコンベアベルトとその上方に配置されたロールで挟み込んだ状態を示す模式図。
【図3】含浸用に使用するロールの一実施形態を示す模式図。
【図4】気泡排出ロールの一実施形態を示す模式図。
【図5】気泡排出ロールを通過した後のシート状物の表面状態を示す模式図。
【図6】気泡排出ロールの他の実施形態を示す模式図。
【図7】図6に示した気泡排出ロールを通過した後のシート状物の表面状態を示す模式図。
【符号の説明】
1 巻出装置
2 下部キャリアフィルム
3 コンベアベルト
4 樹脂ペースト
5 ドクター
6 ロービング装置
7 ガラスストランド
8 切断装置
9 補強繊維材
10 巻出装置
11 上部キャリアフィルム
12 ドクター
13 緩やかに含浸させる工程
131 ロール
14 気泡を排出する工程
141 気泡排出ロール
142 1回転の開始部
143 1回転の終了部
15 十分に含浸させる工程
151 ロール
16 厚さを調整する工程
17 巻取ロール
18 ガイドロール

Claims (14)

  1. 熱硬化性樹脂を含有する樹脂ペーストと補強繊維材とを含浸させてコンベアベルト押さえロール方式によりSMCを製造するSMCの製造方法において、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を経てシート状物を得た後、該シート状物の全厚tに対して60〜100%のギャップを有するようにしたロールを1本以上配置して該シート状物を通過させる第1工程を経て、次いで、1本以上の気泡排出ロールにより該シート状物中の気泡を排出する第2工程を経た後、該シート状物の全厚tに対して30%以下のギャップを有するようにしたロールを1本以上配置して該シート状物を通過させる第3工程を経ることを特徴とするSMCの製造方法。
  2. 該第1工程における該1本以上のロールのギャップを順次狭めていくように設定した請求項1に記載のSMCの製造方法。
  3. 該第3工程における該1本以上のロールのギャップを順次狭めていくように設定した請求項1又は2に記載のSMCの製造方法。
  4. 該第1工程及び該第3工程における1本以上のロールのうち、少なくとも1本のロールの表面形状が、断面略台形の凸部を有するようにした請求項1〜3のいずれかに記載のSMCの製造方法。
  5. 熱硬化性樹脂を含有する樹脂ペーストと補強繊維材とを含浸させてコンベアベルト押さえロール方式によりSMCを製造するSMCの製造方法において、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を経てシート状物を得た後、該シート状物に対して線圧P(I)を0.5〜9N/cmの範囲で設定したロールを1本以上配置して該シート状物を通過させる第I工程を経て、次いで、1本以上の気泡排出ロールにより該シート状物中の気泡を排出する第II工程を経た後、該シート状物に対して線圧P(III)を4〜15N/cmの範囲であって、かつP(I)<P(III)として設定したロールを1本以上配置して該シート状物を通過させる第III工程を経ることを特徴とするSMCの製造方法。
  6. 該第I工程における該1本以上のロールの該シート状物に対する線圧が順次高められていくように設定した請求項5に記載のSMCの製造方法。
  7. 該第III工程における該1本以上のロールの該シート状物に対する線圧が順次高められていくように設定した請求項5又は6に記載のSMCの製造方法。
  8. 該第I工程及び該第III工程における1本以上のロールのうち、少なくとも1本のロールの表面形状が、断面略台形の凸部を有するようにした請求項5〜7のいずれかに記載のSMCの製造方法。
  9. 熱硬化性樹脂を含有する樹脂ペーストと補強繊維材とを含浸させてコンベアベルト押さえロール方式によりSMCを製造するSMCの製造方法において、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する工程を経てシート状物を得た後、該シート状物から気泡を排出する工程における気泡排出ロールの表面形状が、1回転開始部と1回転終了部とがロール展開図において該開始部から該終了部にいくにしたがって対称に広がる面状である凸部を有していることを特徴とするSMCの製造方法。
  10. 該凸部がショア硬度Aとして30〜50°の材質で形成されている請求項9に記載のSMCの製造方法。
  11. 熱硬化性樹脂を含有する樹脂ペーストと補強繊維材とを含浸させてコンベアベルト押さえロール方式によりSMCを製造するSMCの製造装置において、樹脂ペーストに補強繊維材を供給する手段と、コンベアベルトの上方に1本以上のロールを有し、該ロールのうち、少なくとも1本のロールは、1回転開始部と1回転終了部とがロール展開図において該開始部から該終了部にいくにしたがって対称に広がる面状である凸部を有する気泡排出ロールであることを特徴とするSMCの製造装置。
  12. 該凸部がショア硬度Aとして30〜50°の材質で形成されている請求項11に記載のSMCの製造装置。
  13. 該1本以上のロールのうち、少なくとも1本のロールの表面形状が、断面略台形の凸部を有するようにした請求項11又は12に記載のSMCの製造装置。
  14. 該1本以上のロールのうち、少なくとも1本のロールは、ロールを押し下げる空気圧力調整機構とロールを押し上げる空気圧力調整機構とを有している請求項11〜13のいずれかに記載のSMCの製造装置。
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