JP2004099645A - 粉体塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記成分(A)〜(C)を含有する事を特徴とする粉体塗料組成物。
(A):エポキシ基含有アクリル系粉体樹脂、水酸基或いはカルボキシル基含有ポリエステル系粉体樹脂、エポキシ系粉体樹脂、カルボキシル基含有エポキシポリエステル系粉体樹脂から選ばれる少なくとも1種の粉体樹脂 100重量部。
(B):高級脂肪酸及び/又は高級アルコールと二重結合含有化合物との反応生成物と、SiH結合含有シリコーン化合物、アミノ基含有シリコーン化合物、並びにメルカプト基含有シリコーン化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物との反応、若しくは、高級脂肪酸とアミノ基含有シリコーン化合物との脱水反応によって得られるシリコーンワックスであって、融点が45℃以上であると共に、示差走査熱量測定における吸熱メインピークの半値幅が7℃以下である粉体状オルガノポリシロキサン 5〜150重量部。
(C):成分(A)を架橋させる当量重量部の粉体状樹脂。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の粉体塗料に比較して流動性及び光沢が著しく向上すると共に、レベリング性、表面潤滑性、耐擦傷性、及び耐候性に優れた粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料は溶剤を使用する溶液型塗料に比べて溶剤を使用しないので、環境汚染や火災の危険性が少ない、貯蔵安定性が良好、保管、運搬などの取扱いが容易、厚膜塗装が可能などの利点を有するため、近年その使用量が急激に伸びている塗装材料である。このような粉体塗料の代表的なものとしては、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系の3種類が挙げられる。これらは、各々の特徴を生かして使い分けられているが、中でも特公昭45‐18786号公報や特開昭49‐21448号公報等に開示されているアクリル系粉体塗料は、耐候性が良好で硬度が高いという長所を有するため、乗用車等の車体用塗料への応用がなされている。しかしながら、従来のアクリル系粉体塗料は無溶剤であるために、レベリング性及び耐擦傷性が共に不足しているなどの欠点を有しており、その改善が望まれていた。
これに対し、出願人は特開平9‐241538号公報でオルガノポリシロキサングラフトアクリル樹脂によるアクリル系粉体塗料の流動性改良方法を提案したが、未だ充分なレベリング性は得られていない。
【0003】
また、ポリエステル系粉体塗料に固体状のフェニル・プロピルシルセスキオキサン共重合体を添加して耐候性を付与する方法が工業的に広く行われているが、これらのシリコーン樹脂は、融点範囲が40〜80℃と広い為に流動性が不充分であるという欠点があった。更に、α−オレフィン、高級脂肪酸の不飽和エステル、或いは高級アルコールの不飽和エーテル等とSiH結合含有シリコーン化合物とのヒドロシリル化反応により得られたシリコーン系ワックスを添加する方法も試みられているが、高分子量のα−オレフィンは分子量分布がブロードである為に、対応するシリコーン系ワックスの融点がブロードとなり、溶融時の流動性が不十分であるという欠点があった。
【0004】
更に、高純度高級脂肪酸の不飽和エステルにシリコーンをヒドロシリル化してなるワックスは、融点がシャープな付加物として得られるが、融点が45℃より低い為に粉体塗料の配合には適さない。また、高級アルコール不飽和エーテルの高級アルコールとしてステアリルアルコールを使用した場合、或いは、高級脂肪酸とアミノシリコーンを反応させた場合でも、45℃以上の融点を示すものを得ることは出来なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者等は、従来達成することの困難であった、流動性、レベリング性及び光沢に優れたオルガノポリシロキサン配合粉体塗料を得る為に鋭意研究した結果、ベース樹脂である(A)成分を、エポキシ基含有アクリル系粉体樹脂、水酸基或いはカルボキシル基含有ポリエステル系粉体樹脂、エポキシ系粉体樹脂、カルボキシル基含有エポキシポリエステル系粉体樹脂から選択すると共に、(B)成分として、高級脂肪酸又は高純度な高級アルコールと二重結合含有化合物を反応させて得られた二重結合含有ワックスに、SiH結合含有オルガノポリシロキサンを不可反応させるか、又は、前記二重結合含有ワックスにアミノ基含有ポリシロキサン及び/又はメルカプト基含有ポリシロキサンをマイケル付加させることにより得られる個体状のシリコーン系ワックス、或いは純度90%以上のベヘン酸とアミノ基含有オルガノポリシロキサンとの脱水反応で得られる固体状のシリコーン系ワックスを用い、(C)成分として、二塩基酸、ブロックイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、β−ヒドロキシアルキルアミド、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、ポリカルボン酸樹脂、イミダゾール樹脂の中から選ばれる樹脂を一定の割合で使用することにより、良好な結果を得ることが出来る事を見出し本発明に到達した。
従って本発明の目的は、従来技術では達成困難であった流動性、レベリング性及び光沢に優れたオルガノポリシロキサン配合の粉体塗料組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、下記成分(A)〜(C)を含有する事を特徴とする粉体塗料組成物によって達成された。
(A):エポキシ基含有アクリル系粉体樹脂、水酸基或いはカルボキシル基含有ポリエステル系粉体樹脂、エポキシ系粉体樹脂、カルボキシル基含有エポキシポリエステル系粉体樹脂から選ばれる少なくとも1種の粉体樹脂 100重量部。
(B):高級脂肪酸及び/又は高級アルコールと二重結合含有化合物との反応生成物と、SiH結合含有シリコーン化合物、アミノ基含有シリコーン化合物、並びにメルカプト基含有シリコーン化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物との反応、若しくは、高級脂肪酸とアミノ基含有シリコーン化合物との脱水反応によって得られるシリコーンワックスであって、融点が45℃以上であると共に、示差走査熱量測定における吸熱メインピークの半値幅が7℃以下である粉体状オルガノポリシロキサン 5〜150重量部。
(C):二塩基酸、ブロックイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、β−ヒドロキシアルキルアミド、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、ポリカルボン酸樹脂及びイミダゾール樹脂の中から選ばれる、成分(A)を架橋させる当量重量部の粉体状樹脂。
上記(B)成分における高級脂肪酸としては、特にベヘン酸が好ましく、高級アルコールとしては特にベヘニルアルコールが好ましい。また、高級脂肪酸の不飽和エステル、不飽和ジカルボン酸のエステル、及び高級アルコールの不飽和エーテルは、1分子中に2個以上の高級脂肪酸残基又は2個以上の高級アルコール残基を持つことが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の粉体塗料組成物中の(A)成分は、エポキシ基含有アクリル系粉体樹脂、水酸基或いはカルボキシル基含有ポリエステル系粉体樹脂、エポキシ系粉体樹脂、カルボキシル基含有エポキシポリエステル系粉体樹脂から選ばれる粉体樹脂である限り、特に限定されるものではない。エポキシ基含有アクリル系樹脂としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有アクリル系モノマーと、他のラジカル重合性モノマーとの共重合体が例示される。
【0008】
上記他のラジカル重合性モノマー中、エステルを主体とするラジカル重合性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフロロプロピル(メタ)アクリレート、パーフロロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル化合物類;スチレンまたはスチレン誘導体;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルポリシロキサンなどのラジカル重合性有機けい素化合物類;アクリロニトリル;ビニルピロリドン;酢酸ビニル;1分子中に1個のラジカル重合性基を有するポリオキシアルキレン及びポリカプロラクトン等のラジカル重合性マクロモノマー類等、ラジカル重合性化合物が用いられる。
【0009】
更に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、t−ブチル(メタ)アクリレート等を使用してもよい。
【0010】
水酸基又はカルボキシル基含有ポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとフタール酸、テレフタール酸、メタフタール酸、トリメリット酸、アジピン酸、ヘキサハイドロテレフタル酸などの多塩基酸化合物との重縮合物が例示される。水酸基或いはカルボキシル基が残存するように、どちらかを過剰に用いる事により、目的の水酸基或いはカルボキシル基含有ポリエステル系樹脂が得られる。
【0011】
カルボキシル基含有エポキシポリエステル樹脂は、エポキシ樹脂と上記多塩基酸をカルボキシル基過剰のもとで反応させる事によって得られる。エポキシ樹脂としては市販の多価アルコールとエピクロルヒドリンの重縮合物やノボボラック型グリシジルエーテルなどが例示される。これらの樹脂は、ハンマーミルやボールミルなどの粉砕機により、0.05〜2mm程度の粉体状にされた後、必要に応じて分級され、本発明の(A)成分とする事が出来る。
【0012】
本発明の(B)成分は、従来の粉体塗料で問題化している柚肌外観や低レベリングによる光沢不足を解消する物であり、DSCの吸熱メインピークが45℃以上でピークの半値幅が7℃以下の粉体状オルガノポリシロキサンである。具体的には、高級脂肪酸の不飽和エステル、不飽和ジカルボン酸のエステル及び高級アルコールの不飽和エーテルの中から選択された少なくとも1種の化合物と、SiH結合含有オルガノポリシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応性生物;高級脂肪酸の不飽和エステル及び/又は不飽和ジカルボン酸のエステルと、アミノ基含有オルガノポリシロキサン化合物及び/又はメルカプト基含有オルガノポリシロキサン化合物とのマイケル付加反応物;及び、高級脂肪酸とアミノ基含有オルガノポリシロキサン化合物との脱水縮合反応生成物などが例示される。
【0013】
本発明の(B)成分として好適なシリコーンワックスの原料は、高級脂肪酸及び高級アルコールの中から選択されるが、高融点、高純度のものが特に好ましい。特に純度90%以上のステアリン酸、ステアリルアルコール、ベヘン酸、ベヘニルアルコールが好適である。本発明においては、これらを二重結合含有化合物に誘導してシリコーン付加用の化合物とする。これらの化合物の具体例として、以下のものが例示される。
BAOCH2CH=CH2,BAO(CH2)9CH=CH2,BA’OCH2CH=CH2,
BA’O(CH2)9CH=CH2,BAOCH2CH(OH)CH2OCH2CH=CH2,
BAO(HO)□CH=CH2,BAOCH2CH(OBA)CH2OCH2CH=CH2,
BA’OCH2CH(OBA’)CH2OCH2CH=CH2,BA’OCO(CH2)8CH=CH2,
(BAOCH2)2C3H5CH2OCH2CH=CH2,
(BA’OCH2)2C3H5CH2OCH2CH=CH2,
BA’OCOCH2C(=CH2)COOBA’, (I)
STOCH2CH(OST)CH2OCH2CH=CH2,
ST’OCH2CH(OST’)CH2OCH2CH=CH2,
(STOCH2)2C3H5CH2OCH2CH=CH2,
(ST’OCH2)2C3H5CH2OCH2CH=CH2,
ST’OCOCH2C(=CH2)COOST’, (II)
ここでBAはC21H43C=O、BA’はC22H45、STはC17H35C=O、ST’はC18H37、□はビニルシクロヘキセンエポキサイド残基である。
【0014】
上記のすべての化合物は、白金触媒の存在下でオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化反応させることにより、DSCによる融点が45℃以上のシリコーン系ワックスに誘導する事が出来る。また上記化合物の内、特に(I)及び(II)の化合物は、マイケル付加反応によってもシリコーンワックスへ誘導される。上記化合物の原料であるベヘン酸及びベヘニルアルコールは、純度が90%以上であることが好ましい。工業的に安価な(純度90%未満)場合であっても、DSCの吸熱メインピークが45℃以上でピークの半値幅が7℃以下のオルガノポリシロキサンであれば、特に純度は問題とならない。
【0015】
上記化合物と反応させる事の出来るオルガノポリシロキサンとしては、構造制御の観点から、下記式(III)、(IV)又は(V)で表される、両末端又は片末端のみにヒドロシリル基、アミノ基、メルカプト基を有するものが特に好適に使用される。
但し、式中のR1は、炭素数1〜12の非置換又は置換の炭化水素基、Xは水素原子、アミノ基又はメルカプト基で置換されている炭素数1〜6の2価炭化水素基であり、nは0〜30の整数を表わす。
【0016】
式(III)、(IV)、(V)中のR1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;フェニル基やトリル基などのアリール基;クロロメチル基、トフルオロプロピル基などの置換アルキル基が例示される。特に工業的にはメチル基或いはフェニル基が好ましい。Xの具体例としては、水素原子、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基が挙げられる。シロキサンの繰り返し数nは上記した如く0〜30であるが、本発明の塗料に流動性を付与する観点から、特に2〜20であることが好ましい。nが30を越えるとポリシロキサン長さによる生成物の低融点化が起きるので好ましくない。しかしながら、生成物のDSCの吸熱メインピークが45℃以上でピークの半値幅が7℃以下のオルガノポリシロキサンであれば、nの数が30以上であっても良い。また、オルガノポリシロキサンの側鎖に官能基を有するものも使用可能である。
【0017】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンと二重結合含有化合物との反応は、無溶剤、あるいは溶剤中で、白金系触媒を使用して公知の方法により実施される。反応温度は30℃〜150℃であるが、特に60℃〜120℃であることが好ましい。二重結合含有化合物とアミノシリコーン及び/又はメルカプトシリコーンとのマイケル付加反応は、無触媒、若しくはアミン及び/又はホスフィン触媒の存在下で、上記と同様な条件のもとに実施される。また、高純度ベヘン酸と、分子の片末端又は両末端のみにアミノアルキル基を有するアミノシリコーンとの脱水反応によっても、(B)成分のシリコーン系ワックスが得られる。
【0018】
本発明における(C)成分は、(A)成分の架橋剤である。(A)成分がエポキシ基含有アクリル系粉体樹脂である場合に対しては、(C)成分として、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸などの2塩基酸が、(A)成分が水酸基含有ポリエステル系粉体樹脂の場合に対しては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の3量体、ε−カプロラクタムブロックIPDI等の粉体状ポリイソシアネートが例示される。更に(A)成分がカルボキシル基含有ポリエステル系粉体樹脂の場合に対しては、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)、N,N,N’,N’−テトラキス(β−ヒドロキシエチル)アジピン酸アミド(HAA)などが、(A)成分がエポキシ系粉体樹脂の場合に対しては、上記多価カルボン酸、ポリアミン類、イミダゾール類などが、(A)成分がカルボキシル基含有エポキシポリエステル系粉体樹脂の場合に対しては、TGIC、HAAなどが使用される。
【0019】
(A)〜(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して(B)成分は5〜150重量部であることが好ましく、特に10〜100重量部が好適である。(B)成分の配合量が5重量部未満では流動性や柚肌の改善効果がうすく、光沢も向上しない。150重量部を超えると、可塑化効果が多くなり過ぎて塗膜の硬度が低くなり易い上、塗膜も厚くしにくくなるので好ましくない。(C)成分の配合量は(A)成分の官能基当量近辺の配合量、若しくは微量過剰の配合量であることが好ましい。具体的な配合量は官能基含有量に依存するが、架橋性を考慮すると、(A)成分100重量部に対して5〜150重量部程度が好ましい。また、本発明は、フェニル・プロピルシルセスキオキサン等の熱可塑性或いは熱硬化性シリコーン樹脂を配合したポリエステル樹脂系粉体塗料にも応用する事が出来、レベリング性や流動性等の改善に有効である。
【0020】
本発明の粉体塗料は、必要に応じて更に、着色顔料、充填剤などを配合することも可能である。着色顔料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロムグリーン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、フタロニトリルブルー、ウルトラマリンブルー、カドミウム顔料、クロム顔料などが挙げられる。充填剤としてはクレイ、シリカ、タルク、マイカ、ウオラストナイトなどが挙げられる。
【0021】
本発明の粉体塗料は、主樹脂である(A)成分に、上記のようにして得られた(B)成分のシリコーン、(C)成分である架橋剤、顔料、充填剤などの混合物をヘンシェルミキサーなどで予備混合し、エクストルーダー、コニーダーなどの混練り機によって80〜140℃近辺の温度で溶融混練し、冷却した後粉砕機により微粉砕し、用途に応じて分級し、100〜200メッシュの粒度とすることができる。この粉体塗料の塗装方法は、溶射法、流動浸漬法、静電流動浸漬法、静電吹付け法などの公知の方法の中から適宜選択することが出来る。硬化条件は硬化剤との組合せにより異なるが、通常は120〜200℃、5〜60分で硬化させることができる。
以下に、本発明を実施例によって更に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、製造例中のDSC吸熱ピークは吸熱ピーク先端の温度、吸熱ピーク半値巾は吸熱ピークの高さが半分である点におけるピークの巾であり、DSC測定に際しては、−100℃から毎分10℃の割合で昇温させた。
【0022】
製造例1.
純度92%のベヘン酸から誘導された、グリセリンモノアリルエーテルジベヘネート[BAOCH2CH(OBA)CH2OCH2CH=CH2]1707g(2.2モル)、同量のトルエン、及び塩化白金酸の中和テトラメチルジビニルジシロキサン錯体化物 5g(0.5%トルエン溶液)をフラスコに仕込み、80℃で、平均構造式がHMe2SiO(Me2SiO)8SiMe2Hで表されるハイドロジェンポリシロキサン 726g(1.0モル)を滴下した。トルエン還流下で5時間反応させ、溶剤をストリップして除去した後解砕することにより、シリコーン系ワックス(I)を2310g(収率95%)得た。得られたワックスのDSCによる吸熱メインピークは54℃であり、ピークの半値幅は6℃であった。
【0023】
製造例2.
製造例1で使用したグリセリンモノアリルエーテルジベヘネート1707g(2.2モル)に替えて、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルジベヘネート[(BAOCH2)2C3H5CH2OCH2CH=CH2]1729g(2.2モル)を使用したこと以外は、製造例1と同様にして反応を行い、シリコーンワックス(II)を2360g(収率96%)得た。なおトリメチロールプロパンモノアリルエーテルジベヘネート合成時には、純度が92%のベヘン酸を使用した。以下、製造例化合物の合成には、すべて純度92%のベヘン酸、又は、ベヘニルアルコールを使用した。(II)のDSCによる吸熱メインピークは47℃であり、ピークの半値幅は4℃であった。
【0024】
製造例3.
製造例1で使用したグリセリンモノアリルエーテルジベヘネート1707g(2.2モル)に替えて、ウンデシレン酸ベヘニル[BA’OCO(CH2)8CH=CH2]を1132g(2.3モル)使用したこと以外は、製造例1と同様にして反応を行い、シリコーンワックス(III)を1780g(収率96%)得た。得られたワックスのDSCによる吸熱メインピークは45℃であり、ピークの半値幅は4℃であった。
【0025】
製造例4.
ベヘン酸680g(2.0モル)と、平均構造式がH2NC3H6Me2SiO(Me2SiO)8SiMe2C3H6NH2で表される両末端アミノ変性シリコーン841g(1.0モル)を、キシレン680g中で5時間脱水縮合させ、溶剤をストリップして除去した後解砕することにより、シリコーンワックス(VI)を1440g(収率97%)得た。得られたワックスのDSCによる吸熱メインピークは74℃であり、ピークの半値幅は3℃であった。
【0026】
製造例5.
BA’OCOCH2C(=CH2)COOBA’(I)で表されるイタコン酸ジベヘニル1641g(2.2モル)とHSC3H6Me2SiO(Me2SiO)8SiMe2C3H6SHで表される平均構造式の両末端メルカプト変性シリコーン 875g(1.0モル)を、キシレン800g中で、触媒としてトリフェニルホスフィンを1g用い、130℃で5時間反応させ、溶剤をストリップして除去した後解砕することにより、シリコーンワックス(V)を2440g(収率97%)得た。得られたワックスのDSCによる吸熱メインピークは57℃であり、ピークの半値幅は6℃であった。
【0027】
比較製造例1.
製造例1で使用した純度92%のベヘン酸に替えて、純度が82%のベヘン酸を使用してグリセリンモノアリルエーテルジベヘネートを合成した。以下、製造例1と同様に反応させてシリコーンワックス(VI)を2310g得た。得られたワックスのDSCによる吸熱メインピークは53℃、ピークの半値幅は9℃であった。
【0028】
比較製造例2.
グリセリンモノアリルエーテルジベヘネートの代りに平均構造式がC30H60で表されるα−オレフィン(品名:ダイヤレン30、三菱化学株式会社製の商品名)924g(2.2モル)を使用したこと以外は、製造例1と同様にして、シリコーンワックス(VII)を1570g(収率95%)得た。得られたワックスのDSCによる吸熱メインピークは61℃であり、ピークの半値幅は15℃であった。
【0029】
実施例1.
製造例1で得られたシリコーンワックス(I)30重量部、グリシジル基含有アクリル系粉体樹脂(MMA35重量%、グリシジルメタクリレート35重量%、ブチルメタクリレート30重量%の共重合体でエポキシ当量が405g/モル、PS換算分子量9200、ガラス転移点53℃、軟化点100℃)100重量部、1,10−デカンジカルボン酸28重量部及び二酸化チタン(ルチル型)100重量部をヘンシェルミキサーで予備混合した後、エクストルーダーを用いて120℃で混練し、冷却した後高速回転粉砕機で粉砕し、更に分級して150メッシュパスの粉体塗料を得た。次に、この粉体塗料を流動浸漬法によってリン酸亜鉛処理鉄板に付着させ、その後さらに180℃/20分の条件で焼付処理を行なった。粉体塗料の原料組成及び得られた塗膜について物性測定を行なった結果を表1に示した。
【0030】
実施例2〜5及び比較例1〜3.
実施例1で用いたシリコーンワックス(I)を、各々製造例(II)〜(VII)で得られた各シリコーンワックスに代えた他は、実施例1と同様にして粉体塗料を調製し、得られた塗膜について物性測定を行なった結果(比較例3はシリコーン無添加)を、表1に示した。
【0031】
(物性測定法)
撥水性:水の接触角(度)で評価した。
耐擦傷性:ティッシュペーパーを丸め、約500gの荷重をかけて擦ったときの表面の状態を観察し下記の基準で評価した。
傷が全く入らない:〇、
僅かに傷が入る:△、
傷が入る:×。
レベリング性:下記の基準で評価した。
表面に凹凸なし:〇、
わずかに凹凸あり:△、
凹凸あり:×。
耐候性:サンシャインウェザオメーター(JIS B−7753)に500時間曝露した後の60度鏡面光沢値を測定し、この測定値と初期の光沢値とから光沢保持率を求めた。
【0032】
【表1】
Claims (5)
- 下記成分(A)〜(C)を含有する事を特徴とする粉体塗料組成物。
(A):エポキシ基含有アクリル系粉体樹脂、水酸基或いはカルボキシル基含有ポリエステル系粉体樹脂、エポキシ系粉体樹脂、カルボキシル基含有エポキシポリエステル系粉体樹脂から選ばれる少なくとも1種の粉体樹脂 100重量部。
(B):高級脂肪酸及び/又は高級アルコールと二重結合含有化合物との反応生成物と、SiH結合含有シリコーン化合物、アミノ基含有シリコーン化合物、並びにメルカプト基含有シリコーン化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物との反応、若しくは、高級脂肪酸とアミノ基含有シリコーン化合物との脱水反応によって得られるシリコーンワックスであって、融点が45℃以上であると共に、示差走査熱量測定における吸熱メインピークの半値幅が7℃以下である粉体状オルガノポリシロキサン 5〜150重量部。
(C):二塩基酸、ブロックイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、β−ヒドロキシアルキルアミド、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、ポリカルボン酸樹脂及びイミダゾール樹脂の中から選ばれる、成分(A)を架橋させる当量重量部の粉体状樹脂。 - (B)成分が、純度が90%以上の高級脂肪酸及び/又は純度が90%以上の高級アルコールと二重結合含有化合物との反応生成物と、SiH結合含有シリコーン化合物とのヒドロシリル化反応、若しくはアミノ基含有シリコーン化合物及び/又はメルカプト基含有シリコーン化合物とのマイケル付加反応、又は、純度が90%以上の高級脂肪酸とアミノ基含有シリコーン化合物との脱水反応の何れかの反応を行わせることにより得られることを特徴とする、請求項1に記載された粉体塗料組成物。
- (B)成分における高級脂肪酸及び/又は高級アルコールと二重結合含有化合物との反応生成物が、高級脂肪酸の不飽和エステル、不飽和ジカルボン酸のエステル又は高級アルコールの不飽和エーテルである、請求項2に記載された粉体塗料組成物。
- (B)成分における前記高級脂肪酸の不飽和エステル、不飽和ジカルボン酸のエステル、又は高級アルコールの不飽和エーテルが、1分子中に2個以上の高級脂肪酸残基又は2個以上の高級アルコール残基を有する化合物である、請求項3に記載された粉体塗料組成物。
- (B)成分中の高級脂肪酸がべへン酸であり高級アルコールがベヘニルアルコールである、請求項1〜4の何れかに記載された粉体塗料組成物。
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