JP2004099587A - タングステン種を用いる液相酸化反応 - Google Patents

タングステン種を用いる液相酸化反応 Download PDF

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Abstract

【課題】タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、触媒活性性能を向上・維持することができ、また、触媒の活性の低下を抑制して触媒の再利用ができるように触媒成分のタングステン種の反応溶液中への溶出を抑制する方法を提供する。
【解決手段】タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、該タングステン種を多孔質担体に担持させ、かつ、該触媒に多孔質構成成分及びタングステン元素以外の第三元素を共存させるタングステン種を用いる液相酸化反応。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タングステン種を用いる液相酸化反応に関する。より詳しくは、タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、触媒成分の触媒活性性能を向上・維持することが可能である、タングステン種を用いる液相酸化反応に関する。
【0002】
【従来の技術】
タングステン原子を必須とする化合物であるタングステン種は、各種の反応において触媒活性を示し、触媒成分として有効なものである。例えば、これをアルミナ等の担体に担持させた担持体が気相反応における石油クラッキングやアルケンの異性化・不均化の触媒として使用できることが知られており、MgO等の担体に酸化タングステンを担持した触媒を1−ブテン異性化や1−ブテン、プロピレン及びエチレンの不均化反応に用いることが開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。また、アルミナに担持した酸化タングステンを石油クラッキングの触媒として用いることが開示されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0003】
一方、液相反応において、アルミナ担持タングステン触媒を用いてエチレン性二重結合を少なくとも1つ有する化合物を過酸化水素を酸化剤としてエポキシ化反応を行うことによりエポキシ化合物を製造する方法は有用な方法であり、これに関して以下のように開示されている。
【0004】
エチレン性二重結合を有する化合物を過酸化水素と反応させることによりエポキシ化合物を製造する方法に関し、アリルアルコールと過酸化水素とのモル比を1.5:1とし、水と過酸化水素とのモル比を35:1とし、担持触媒としてタングステン種を用いて60℃でエポキシ化反応を行ったことが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このエポキシ化反応においては、収率が過酸化水素に対するモル%で27〜31%となり、過酸化水素の転化率が97.8〜99.1%となったことが記載されている。担持触媒において、タングステン種としては、HWO、NaHWO、NHHWO、NaWO、ヘテロポリタングステン酸、ヘテロポリタングステン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩等が挙げられ、また、担体としては、アルミナ、活性炭、マグネシア、ジルコニア、シリカアルミナ、粘土が挙げられている。更に、実施形態としては、HWO/Al(焼成なし)が挙げられている。
【0005】
またQXW24−2n(Qは、第4級オニウム塩のカチオンを表し、Xは、P又はAs原子を表し、nは、0、1又は2を表す。)で表される化合物をアルミナ等の不活性物質に担持させ、過酸化水素を用いるオレフィン化合物のエポキシ化触媒として用いることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
過酸化水素及びタングステン触媒を用いるエポキシ化反応に関し、シクロヘキセン、シクロオクテン又は1−オクテンを基質とし、基質と過酸化水素とのモル比を1:1又は1:2とし、メタノール又はt−ブタノール溶媒中において60℃でエポキシ化反応を行ったことが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。このエポキシ化反応においては、転化率が基質のモル%で23〜98.1%となり、エポキシ化の選択率が基質に対するモル%で7〜92%となったことが記載されている。担持触媒において、タングステン種としては、MPWnMo12−nO40(Mは、カウンターアニオンを表す。)等のタングステンを含むヘテロポリ酸が挙げられ、実施形態にHPW1240−Al、HPWMo1140−Al、HPW1240−Mg silicate、(CP)PW1240−Al、HPW1240−ZrPO、HPW1240−SnO、HPW1240−Al(OH)、HPW1240−TiO、HPWMo40−Al、HPMo1240−SiO等が挙げられ、また、担体としては、IIa族、IIb、IIIb、IVa及びIVbの元素の固体や強塩基性樹脂から選ばれる有機基材が挙げられ、実施形態にAlが挙げられている。
【0007】
しかしながら、このような触媒は、工業的な製造において通常では再利用されることになるが、触媒成分であるタングステン種が反応溶液中へ溶出することとなり、これにより触媒の活性が低下して再利用できないこととなる。タングステン種は高価なものであることから、触媒を再利用できるようにすることが望まれる。なお、触媒を焼成することにより、触媒を焼成しない方法(例えば、特許文献1参照。)と比較すると触媒成分の溶出が抑制されることが開示されているが(例えば、特許文献3参照。)、このような方法以外の方法により触媒成分の溶出を抑制することが可能となるようにするための工夫の余地があった。
またこれらの触媒を用いた場合には、反応原料として使用された過酸化水素のうち、エポキシ化合物の生成に用いられたものの割合である過酸化水素有効利用率が低いことから、触媒活性性能を向上・維持するという点においても工夫の余地があった。
【0008】
ところで、アルミナに担持したタングステン酸化物の触媒において、第二成分である金属酸化物の添加物がある場合とない場合とについての分子構造の分析に関して報告されている(非特許文献3参照。)。すなわちWO/Alは石油クラッキング触媒として古くから使用されていることから、この触媒に金属酸化物の添加物(金属としては、Ni、Fe、P、Sn、La、Co、Ce、Zn等)を添加したときの表面の担持形態に関して分析を行っている。しかしながら、反応に使用したことの開示はなく、このような触媒が液相反応における酸化反応に用いることができる点について開示されていない。したがって、触媒反応において、触媒成分の溶出を抑制することや、触媒活性性能を向上・維持することについての記載はない。
【0009】
またケイ素及びタングステンの酸化物をMCM−41(メソポーラスモレキュラーシーブ)に担持させた触媒を用いる過酸化水素によるシクロオクテンのエポキシ化反応が開示されている(例えば、非特許文献4参照。)。このエポキシ化反応においては、触媒調製方法やケイ素種とタングステン種との比率を変えた複数の触媒を用い、基質であるシクロオクテンと過酸化水素との比を1:5とし、溶媒としてt−ブタノールを用いて反応を行い、基質転換率が33〜98%であったことが記載されている。担持触媒において、タングステン種としては、WO(O(HO)等が挙げられ、また、担体としては、MCM−41が挙げられている。
【0010】
タングステン種を疎水性メソポーラスシリカゲルに担持させた触媒を用いる過酸化水素による1−オクテンのエポキシ化反応が開示されている(例えば、非特許文献5参照。)。このエポキシ化反応においては、シランカップリング剤及びアルキル化薬で表面処理したシリカゲルを担体として、複数のタングステン種を担持した触媒を用い、基質である1−オクテンと過酸化水素との比を1:2とし、90℃で反応を行い、基質転化率が18〜100%であったことが記載されている。担持触媒において、タングステン種としては、[π−C(CH15CH(PW12403−が挙げられ、また、担体としては、PhSiOCと(CHNCH(OCHPh)等で表面処理したSiOが挙げられている。
【0011】
タングステン種を層状担体に担持させた触媒を用いる過酸化水素によるシクロヘキセンのエポキシ化反応が開示されている(例えば、非特許文献6参照。)。このエポキシ化反応においては、ZnAlを担体とし、タングステン種としてKSiW1139、KSiW1240を担持した触媒を用い、基質であるシクロヘキセンと過酸化水素との比を1:1とし、70℃の温度下で反応を行い、ターンオーバー数が14及び1.9mol/mol−Wであったことが記載されている。
【0012】
しかしながら、これらの触媒を用いる場合においても、高い触媒活性と過酸化水素有効利用率を保ちながら、触媒成分であるタングステン種が反応溶液中へ溶出しないようにする工夫の余地があった。
また過酸化水素の有効利用率が低く、タングステン種を層状担体に担持させた触媒を用いる場合(例えば、非特許文献6参照。)には、不純物も比較的多く副生することになり、また、タングステン種を担体に担持させることで活性が低下することから、これらの点を改善し、触媒活性性能を向上・維持するための工夫の余地があった。
【0013】
【特許文献1】
米国特許第2870171号明細書(第2−3、5、8−9欄)
【特許文献2】
欧州特許出願公開第0109273号明細書(第13−16、40頁)
【特許文献3】
国際公開第93/00338号パンフレット(第16−23、24頁)
【非特許文献1】
ヤマグチ(T.Yamaguchi)、他2名、ジャーナル オブ キャタリシス(Journal of Catalysis)、(米国)、1987年、65巻、p.442−447
【非特許文献2】
ミュレル(L.L.Murrell)、他3名、ジャーナル オブ キャタリシス(Journal of Catalysis)、(米国)、1987年、107巻、p.463−470
【非特許文献3】
オストロメキ(M.M.Ostromecki)、他4名、ジャーナルオブ モレキュラー キャタリシス A:ケミカル(Journal of Molecular Catalysis A:Chemical)、(蘭国)、1998年、132巻、p.43−57
【非特許文献4】
ブリオット(Briot,E.)、他5名、ジャーナル オブ マテリアルズ ケミストリー(Journal of Materials Chemistry)、(英国)、2000年、10巻、p.953−958
【非特許文献5】
サカモト(Sakamoto,T.)、他1名、テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、(蘭国)、2000年、41巻、p.10009−10012
【非特許文献6】
ワタナベ(Watanabe,Y.)、他2名、ジャーナル オブ モレキュラー キャタリシス A:ケミカル(Journal of MolecularCatalysis A:Chemical)、(蘭国)、1999年、145巻、p.281−289
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、触媒活性性能を向上・維持することができ、また、触媒の活性の低下を抑制して触媒の再利用ができるように触媒成分のタングステン種の反応溶液中への溶出を抑制する方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、液相酸化反応を行うときに用いる触媒を種々検討するうち、多孔質担体とタングステン種とを必須成分とする触媒が、タングステン種が活性点となって液相反応における酸化反応に効果的であることに着目し、これに該必須成分、すなわち多孔質担体やタングステン元素とは別の特定の元素を共存させると、触媒活性性能を向上又は維持するのに有効であることを見いだし、また、触媒成分であるタングステン種が反応溶液中へ溶出することが抑制され、これに起因して触媒の活性の低下が抑制されて触媒がより再利用できるようになることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。なお、オストロメキ、他4名、ジャーナルオブ モレキュラーキャタリシス A:ケミカル、(蘭国)、1998年、132巻、p.43−57には、アルミナに担持したタングステン酸化物の触媒において、金属酸化物の添加物がある場合とない場合とについての分子構造の分析に関して報告されているが、該触媒が液相反応における酸化反応に用いることができる点について開示はなく、また、従来の技術においては、液相酸化反応を行うときに用いる触媒に関し、第三成分添加の記述はなく、触媒活性性能を向上又は維持する方法や触媒成分の反応溶液中への溶出を抑制する方法についてはこれまでに検討されたことはない。これに対して本発明は、高価なタングステン種を有効に利用したり再利用したりすることができる工業的に有用な方法であり、液相酸化反応を行うときに触媒活性性能を向上又は維持し、また、触媒の活性の低下が抑制されて触媒がより再利用できることになるという有利な効果を奏することができる方法である。
【0016】
すなわち本発明は、タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、上記タングステン種を多孔質担体に担持させ、かつ、上記触媒に多孔質構成成分とタングステン元素以外の第三元素とを共存させるタングステン種を用いる液相酸化反応である。
以下に本発明を詳述する。
【0017】
本発明のタングステン種を用いる液相酸化反応においては、タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うことになる。このような液相酸化反応としては、(1)不飽和結合の酸化(アルケンやアルキンの不飽和二重結合や不飽和三重結合の酸化)、(2)水酸基の酸化、(3)ヘテロ原子の酸化(硫黄原子や窒素原子等の酸化)、(4)アルカンの酸化、(5)芳香族の酸化、(6)これら(1)〜(5)以外の酸化反応等が挙げられる。より好ましくは、過酸化水素を酸化剤に使用する液相酸化反応である。
【0018】
上記(1)不飽和結合の酸化(アルケンやアルキンの不飽和二重結合や不飽和三重結合の酸化)において、アルケンの不飽和二重結合の酸化としては、例えば、エポキシ化、アルケンからケトンが生成する反応(Wacker酸化)、アルケンからジヒドロキシ化合物が生成する反応、アルケンからα−ヒドロキシケトンが生成する反応、アルケン開裂、アリル位酸化、酸化的開裂、アンモ酸化等が挙げられる。
またアルキンの不飽和三重結合の酸化としては、例えば、アルキンからα,β−エポキシケトンが生成する反応、アルキンからジケトンが生成する反応等が挙げられる。
上記(2)水酸基の酸化としては、例えば、カルボニル化合物が生成する反応が挙げられ、具体的には、第一級アルコールからアルデヒドが生成する反応、アルデヒドからカルボン酸が生成する反応、第二級アルコールからケトンが生成する反応等が挙げられる。
【0019】
上記(3)ヘテロ原子の酸化(硫黄原子や窒素原子等の酸化)において、硫黄原子の酸化としては、例えば、スルフィドからスルホキシドが生成する反応、スルホキシドからスルホンが生成する反応、チオールからジスルフィドが生成する反応等が挙げられる。
また窒素原子の酸化としては、例えば、第一級アミンからヒドロキシアミンが生成する反応、ヒドロキシアミンからニトロソ化合物又はアゾキシ化合物が生成する反応、ニトロソ化合物からオキシム又はニトロ化合物が生成する反応、第二級アミンからヒドロキシルアミンが生成する反応、ヒドロキシルアミンからナイトロンが生成する反応、第三級アミンからアミンオキシドが生成する反応等が挙げられる。
上記(4)アルカンの酸化としては、例えば、アルカンに水酸基、ヒドロペルオキシ基、アルキルペルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基が導入される反応、アンモ酸化等が挙げられる。
上記(5)芳香族の酸化としては、例えば、核水酸化、側鎖酸化等が挙げられる。
上記(6)(1)〜(5)以外の酸化反応としては、例えば、ケトンからラクトンが形成するBaeyer−Villiger酸化、酸化的カップリング、酸化的脱水素等が挙げられる。
【0020】
上記液相酸化反応における酸化剤としては、例えば、酸素イオンや酸素ラジカル、ペルオキシドやスーパーペルオキシドを生成しうるものを用いることができ、例えば、分子状酸素や過酸化水素、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、過酢酸等の有機過酸化物、酸素と水素の混合ガス、一酸化二窒素、ヨードシルベンゼン等が挙げられる。
【0021】
上記様々な液相酸化反応及び酸化剤の中でも、本発明においては、過酸化水素(H)による酸化反応が好適であり、また、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する化合物の酸化反応が好適であり、これによりエポキシ化合物を製造することができる。このように過酸化水素によりエチレン性二重結合を少なくとも1つ有する化合物の酸化反応を行ってエポキシ化合物を製造する形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0022】
本発明のタングステン種を用いる液相酸化反応においては、上記タングステン種を多孔質担体に担持させ、かつ、上記触媒に多孔質構成成分及びタングステン元素以外の第三元素を共存させることになる。好ましくは、上記触媒に多孔質構成成分及びタングステン種の構成成分以外の第三元素を共存させることである。すなわち本発明において用いる触媒は、多孔質担体とタングステン種とを必須成分とし、かつ該必須成分を構成する元素とは別の少なくとも一種の元素(第三元素)を有するものであることが好ましい。本発明においては、このような触媒を1種用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明においては、このような触媒により、タングステン種を必須成分とする触媒を用いる液相酸化反応において、タングステン種の溶出を抑制することが可能となり、また、場合によっては、触媒活性性能を向上・維持することが可能となる。
【0023】
上記触媒の好ましい形態としては、第三元素が、2族、3族、4族、5族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族、15族、16族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態が挙げられる。より好ましくは、2族、3族、4族、5族、7族、8族、12族、13族、14族、15族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態である。更に好ましくは、2族、3族、7族、8族、12族、13族、14族、15族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態である。元素としては、好ましくは、Mg、Ca、La、Ti、V、Nb、Re、Fe、Zn、Al、In、Sn、Pb、P、Sb、Bi及びFからなる群より選択される少なくとも一種の元素であり、より好ましくは、La、Zn、Al、Sn、Pb、P、Sb及びBiからなる群より選択される少なくとも一種の元素であり、更に好ましくは、La、Zn、Sn、Pb及びPからなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態である。
なお、「族」は、18族長周期型周期表における族を意味する。
【0024】
本発明の液相酸化反応は、触媒の活性性能を向上・維持する方法及び/又はタングステン種の溶出を抑制する方法が有用であるが、選択する第三元素によって、触媒の活性性能を効果的に向上・維持する場合、タングステン種の溶出を効果的に抑制する場合、これらの両方において効果的である場合がある。例えば、触媒の活性性能を効果的に向上・維持させる場合、第三元素が、3族、4族、5族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族、15族、16族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素であることが好ましい。より好ましくは、3族、4族、7族、8族、12族、13族、14族、15族及び17族である。また、タングステン種の溶出を効果的に抑制させる場合、第三元素が、2族、3族、4族、7族、8族、12族、13族、14族、15族、16族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素であることが好ましい。より好ましくは、2族、3族、7族、8族、12族、14族及び15族である。
【0025】
また本発明においては、液相酸化反応に用いる酸化剤により、第三元素を選択することが好ましい。上記酸化剤として過酸化水素を用いる場合、本発明の好ましい形態としては、第三元素が、2族、3族、4族、5族、7族、12族、13族、14族、15族、16族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態が挙げられる。より好ましくは、2族、3族、7族、12族、13族、14族、15族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態である。元素としては、Mg、Ca、La、Ti、V、Nb、Re、Zn、Al、In、Sn、Pb、P、Sb、Bi及びFからなる群より選択される少なくとも一種の元素が好ましい。より好ましくは、La、Zn、Al、Sn、Pb及びPである。
【0026】
上記酸化剤として酸素を用いる場合、本発明の好ましい形態としては、第三元素が、3族、4族、5族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、14族、15族、16族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態が挙げられる。より好ましくは、3族、4族、5族、7族、8族、9族、10族、11族及び12族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である形態である。元素としては、La、Ti、V、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pb、Cu及びZnからなる群より選択される少なくとも一種の元素が好ましい。より好ましくは、La、Fe、Znである。
【0027】
上記触媒の好ましい形態としてはまた、多孔質担体にタングステン種と第三元素とを担持した形態である。なお、上記触媒は、多孔質担体、タングステン種及び第三元素を有し、これらを主成分とすることが好ましいが、本発明の作用効果を奏する限り触媒調製過程で生じる不純分や、他の成分を含有していてもよい。
【0028】
上記触媒の必須成分である多孔質担体としては、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、シリカ、粘土、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化バリウム、ハイドロタルサイト、活性炭、酸化タングステン、リン酸亜鉛、リン酸鉛、リン酸ランタン、ゼオライト、イオン交換樹脂や、シリカ−アルミナ、酸化タングステン−酸化錫、酸化錫−アルミナ等の複合酸化物等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルミナもしくは酸化錫を必須とすることが好ましい。また、タングステン種としては、タングステン原子を必須とする化合物であって、液相酸化反応を反応溶液中で行うときに活性点となり得るものであればよい。なお、多孔質構成成分とは、多孔質に含まれる元素を指し、多孔質担体100重量部に対して、0.05重量部以上を占める元素を意味する。
【0029】
本発明の好ましい形態としては、タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、該タングステン種を多孔質担体に担持させ、かつ、該触媒に多孔質構成成分及びタングステン元素以外のMg、Ca、La、Re、Fe、Zn、Al、In、Sn、Pb、P、Sb、Bi及びFからなる群より選択される少なくとも一種の元素を共存させることである。
また、より好ましくは、アルミナ及び/又は酸化錫を必須成分とする多孔質担体にタングステン種を担持させ、かつ、該触媒に多孔質構成成分及びタングステン元素以外のLa、Zn、Al、Sn及びPbからなる群より選択される少なくとも一種の元素を共存させる液相エポキシ化反応である。
【0030】
上記触媒中のタングステン種の含有量としては、触媒が用いられる液相酸化反応の種類やタングステン種の種類等により適宜設定することになるが、多孔質担体100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、また、50重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、1重量部以上であり、また、40重量部以下である。また、第三元素の含有量としては、タングステン種や第三元素の種類等により適宜設定することになるが、タングステン種100重量部に対して0.01重量部以上であることが好ましく、また、1000重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1重量部以上であり、また、800重量部以下である。
【0031】
上記触媒を調製する方法としては、多孔質担体にタングステン種及び第三元素を担持することにより行うことができる。担持方法としては、(1)タングステン種の担持前に担体に第三元素を担持させる方法、(2)タングステン種の担持後に担体に第三元素を担持させる方法、(3)タングステン種と第三元素とを同時に担体に担持させる方法が挙げられ、また、触媒調製溶媒やpH、調製温度は、多孔質担体やタングステン種、第三元素の種類等により適宜設定すればよい。好ましくは、pHを0.5〜12の間に設定した水溶媒もしくは水含有有機溶媒を使用し、0℃〜95℃で調製を行う。また、本発明における触媒を調製する際には、多孔質担体にタングステン種及び第三元素を担持した後、焼成を行うことが好ましい。これにより、触媒活性性能をより向上させたり、タングステン種の溶出をより抑制して、触媒を再利用し易くしたりすることができることとなる。
【0032】
上記触媒の調製における焼成の温度としては、300〜800℃とすることが好ましい。本発明において用いられる触媒としては、このような300〜800℃の温度で焼成した触媒が好適である。焼成の温度は、より好ましくは、330℃以上であり、また、700℃以下である。また、焼成時間は、30分以上24時間以内が好適である。より好ましくは、40分以上20時間以内である。焼成中の気相雰囲気は、空気、窒素、アルゴン、酸素等特に限定されるものではないが、より好ましくは、空気中である。
【0033】
上記触媒の調製方法において、タングステン種を担持する際に用いる化合物としては、タングステン酸やその塩、タングステン原子を有するヘテロポリオキソメタレートアニオンの塩が好適であり、また、第三元素を担持する際に用いる化合物としては、該第三元素の酸や塩が好適であり、中でも、酸、塩化物塩、硝酸塩、酢酸塩が好適である。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
上記タングステン酸やその塩としては、HWO、NaWO、NaHWO、(NHWO、(NH)HWO、(NH10[W1241]や[WO(O(HO)]、K[WO(O(HO)O、Na[WO(O(HO)O等が好適であり、タングステン原子を有するヘテロポリオキソメタレートアニオンとしては、下記一般式(1);
[XWq−      (1)
(式中、Xは、珪素原子又はリン原子を表す。(n,m)は、無欠損の場合は(12,40)、一欠損構造部位を有する場合は(11,39)、二欠損構造部位を有する場合は(10,36)、三欠損構造部位を有する場合は(9,34)である。qは、正の整数である。)で表されるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンであることが好ましい。なお、qは、元素Xの価数によって決まることになる。これらの中でも、[γ−SiW1036 、[PW1240 、[PW34 、[SiW 404−が好適である。また、欠損型のヘテロポリオキソメタレートを利用する場合、その一欠損、二欠損あるいは三欠損部位に、他の元素が組み込まれていたり、もしくは、配位したりしているものを用いることも可能である。
【0035】
上記ヘテロポリオキソメタレートアニオンの塩を形成する対カチオンとしては、プロトン、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン)、アルカリ土類金属カチオン(ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン)、ランタニドイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、錫イオン、鉛イオンや、第四級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリブチルメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリラウリルメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、アンモニウム塩)、第四級フォスフォニウム塩(テトラメチルフォスフォニウム塩、テトラエチルフォスフォニウム塩、テトラプロピルフォスフォニウム塩、テトラブチルフォスフォニウム塩、テトラフェニルフォスフォニウム塩、エチルトリフェニルフォスフォニウム塩、ベンジルトリフェニルフォスフォニウム塩)、第四級アルセン塩等の有機カチオンを含むカチオンが好適である。カチオンは、1種類又は2種類以上用いることができる。これらの中でも、プロトン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン、アンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウム塩が好適である。
【0036】
本発明においては、上述したように、タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、触媒活性性能を効果的に向上・維持したり、タングステン種の溶出を効果的に抑制したりする方法として有効であるが、これらの方法において、触媒活性性能やタングステン種の溶出量の範囲はタングステン種や液相酸化反応の形態により異なることになる。
上記タングステン種の溶出を効果的に抑制させる方法においては、触媒に担持したタングステン種の反応溶液中への溶出量(モル%)が、触媒に多孔質構成成分及びタングステン元素以外の第三元素を共存させない形態と比較して減少することになればよい。この場合、第三元素を共存させない触媒におけるタングステン種の溶出量を100モル%とすると、溶出量を1モル%でも抑制できれば、高価なタングステンの有効利用という点で有利であると考えられることから、99モル%以下となるようにすることが好ましい。より好ましくは、80モル%以下である。更に好ましくは、60モル%以下である。特に好ましくは、40モル%以下である。
【0037】
上記溶出抑制方法において、それぞれの反応に用いる溶媒形態に対するタングステン種の溶出抑制量としては、第三元素を共存させない触媒におけるタングステン種の溶出量を100モル%とすると、タングステン種の反応溶液中への溶出量が、水溶媒を用いる場合には、99モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、60モル%以下である。また、水含有有機溶媒を用いる場合には、99モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、40モル%以下である。更に、有機溶媒を用いる場合には、99モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、20モル%以下である。
【0038】
なお、第三成分非共存で溶出抑制がされていない触媒を繰り返し使用していく場合には、繰り返し回数を重ねる程、第三成分共存触媒に比べてタングステン種の溶出量に大きな差が生じることとなる。例えば、相対溶出率が99%に抑制された触媒を繰り返し使用した場合、抑制処理をしていない触媒に比べ次のような差異が生じるということが予想される。
1回目使用後のタングステン種溶出量は、
第三元素非共存触媒=1としたとき、第三元素共存溶出抑制触媒=0.99、
2回目再使用後の残存触媒タングステン種溶出量の合計は、
第三元素非共存触媒=1としたとき、第三元素共存溶出抑制触媒=(0.99)(0.99の2乗)となることが予想されることから、
n回目再使用後の残存触媒タングステン種溶出量の合計は、
第三元素非共存触媒=1としたとき、第三元素共存溶出抑制触媒=(0.99)(0.99のn乗)となると予想される。
このように溶出を抑制し相対溶出率を小さくすることが、高価なタングステンの有効利用という点において非常に重要であり、本発明の有利な効果の一つである。
【0039】
またこの際に、酸化反応生成物のモル%で表されるH基準の収率としては、40%以上であることが好ましい。より好ましくは、60%以上である。また、反応生成物全体を100モル%としたときに、エポキシ化合物のモル割合(モル%)として表される選択率としては、80%以上であることが好ましい。より好ましくは、90%以上である。
【0040】
上記触媒活性性能を効果的に向上・維持する方法においては、収率や酸化剤の有効利用率、選択率等が、触媒に多孔質構成成分及びタングステン元素以外の第三元素を共存させない形態と比較して向上又は維持されることになればよい。
過酸化水素を用いてエチレン性二重結合を有する化合物のエポキシ化反応を行う場合、原料として供給されるエチレン性二重結合を有する化合物のモル数に対するエポキシ反応生成物のモル%として表される収率としては、第三元素を共存させない触媒における収率に比較して1.3倍以上であることが好ましい。より好ましくは、1.6倍以上である。例えば、1−ブテンの過酸化水素によるエポキシ化反応を行う場合、従来の方法では、過酸化水素の有効利用率は30〜40%程度であったが、第三元素としてZnを用いると、主反応であるエポキシ化反応の速度が速くなるために、過酸化水素がエポキシ化反応に使用される前に分解して水と酸素になる割合が減少することから、過酸化水素の有効利用率を70〜80%程度にまで向上して収率を高めることが可能となる。
上記エポキシ生成物モル%は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定することができ、また過酸化水素有効利用率は、電位差滴定装置で測定した残存過酸化水素モル量と酸化反応生成物モル量から計算することができる。
【0041】
以下では、本発明の好ましい実施形態として上記触媒を用い、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する化合物を過酸化水素により酸化してエポキシ化合物の製造を行う場合における反応基質、製造条件等について説明する。
【0042】
上記反応基質であるエチレン性二重結合を少なくとも1個有する化合物としては、非環式であっても環式有機化合物であってもよく、例えば、炭化水素、エステル、アルコール、エーテル、ハロゲン置換炭化水素等の1種又は2種以上用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン類、1−ヘキセン、1−ペンテン、イソプレン、ジイソブチレン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、プロピレンのトリマー及びテトラマー類、1,3−ブタジエン等の末端にエチレン性二重結合を有する直鎖アルケン;2−ブテン、2−オクテン、2−メチル−2−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン等の分子内部にエチレン性二重結合を有するアルケンや分岐アルケン;シクロペンテン、シクロヘキセン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセン、シクロへプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロペンタジエン、シクロデカトリエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンシクロプロパン、メチレンシクロペンタン、メチレンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、シクロオクテン、ノルボルネン等の脂環式オレフィン性炭化水素等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜15の不飽和炭化水素が好ましい。より好ましくは、炭素数2〜12の不飽和炭化水素である。
【0043】
上記エチレン性二重結合を少なくとも1個有する化合物はまた、例えば、−COOH、−CN、COOR、−OR(Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアリルアルキル置換基を表す)等の基や、アリール、アリルアルキル、ハロゲン、ニトロ、スルホン酸、カルボニル(例えばケトン、アルデヒド)、ヒドロキシル、エーテル基を有していてもよい。このような化合物として、例えば、アリルアルコール、塩化アリル、アリルメチルエーテル、アリルビニルエーテル、ジアリルエーテル、アリルフェニルエーテル、メタクリル酸メチル、アクリル酸等が挙げられる。
【0044】
また上記エチレン性二重結合を少なくとも1個有する化合物としては、炭素−炭素の二重結合を含む炭素数6以上のアリール化合物を用いることもできる。このような化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の置換スチレン類、ジビニルベンゼン類、スチルベン、アラルケン類;炭素−炭素の二重結合を有するアミン類、チオール類、サルファイド類、ジサルファイド類、Se、Te、SbやAsを有する化合物、ホスフィン類、ホスファイト類等が挙げられる。
【0045】
上記過酸化水素の使用形態としては、実用的には、0.01〜70重量%の水溶液、アルコール類の溶液が好適であるが、100%の過酸化水素も使用可能である。
【0046】
上記過酸化水素の使用量としては、反応基質であるエチレン性二重結合を少なくとも1個有する化合物中のエチレン性二重結合に対するモル比(反応基質中のエチレン性二重結合のモル数/過酸化水素のモル数)が100/1以上となるようにすることが好ましく、より好ましくは、10/1以上である。また、1/100以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは、1/50以下である。
【0047】
上記触媒の使用量としては、触媒中のタングステン種に対する反応基質であるエチレン性二重結合を少なくとも1個有する化合物中のエチレン性二重結合のモル比(反応基質中のエチレン性二重結合のモル数/タングステン種のモル数)が、100000/1以上となるようにすることが好ましく、より好ましくは、10000/1以上である。また、1/10以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは、1/1以下である。
【0048】
上記エポキシ化合物の製造における反応方法としては、溶媒中で、エチレン性二重結合を少なくとも1個有する化合物及び過酸化水素に触媒を接触させることによりエポキシ化反応を行うことが好ましい。また、本発明では固体触媒を用いるので、触媒を固相とし、反応基質や過酸化水素等の反応物を気相や液相とするいわゆる不均一系反応で行うことになる。
【0049】
上記反応溶液における溶媒としては、水及び/又は有機溶媒を用いることになる。有機溶媒としては、1種又は2種以上を用いることができ、反応基質であるエチレン性二重結合を少なくとも1個有する化合物や、過酸化水素等の酸化剤、生成したエポキシ化合物とは反応しないものが好ましい。このような有機溶媒としては、メタノール、エタノール、ノルマル又はイソプロパノール、第3級ブタノール等の炭素数1〜6の第1、2、3級の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレンオキシド、プロピレンオキシドが開環したオリゴマー類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、多価アルコールの蟻酸エステル又は酢酸エステル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、ニトリル類等の窒素化合物;リン酸トリエチル、リン酸ジエチルヘキシル等のリン酸エステル等のリン化合物;クロロホルム、ジクロロメタン、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素等が好適である。
【0050】
上記溶媒の中でも、水、炭素数1〜4のアルコール類、1,2−ジクロロエタン、ヘプタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルスルホオキシド、ジメチルホルムアミド等や、これらの混合物を用いることが好ましい。より好ましくは、水もしくは水とメタノール、ヘプタン、トルエン、アセトニトリル、ベンゾニトリルより選ばれる有機溶媒との混合溶媒である。更に好ましくは、タングステン種の溶出が水溶媒よりも水と有機溶媒の混合溶媒においてより抑制されることから、水と有機溶媒の混合溶媒である。水が存在する場合は、場合によって相間移動触媒や界面活性剤を共存させることも可能である。
【0051】
上記エポキシ化反応における反応系(反応溶液)は、中性〜酸性であることが好ましい。本発明においては、上記触媒を用いることにより反応系を酸性とすることができるが、更に反応系中に酸性物質を加えてもよい。酸性物質としては、ブレンステッド酸、ルイス酸等が好適であり、1種又は2種以上を用いることができる。ブレンステッド酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;酢酸、安息香酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スルホン酸等の有機酸類;ゼオライト類、混合酸化物類等の無機酸類等が好適であり、ルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化ホウ素化合物、塩化アンチモン化合物、塩化第二スズ、フッ化アンチモン、亜鉛やチタンの化合物、ゼオライト類、混合酸化物等が好適である。更に無機、有機酸性塩を用いることもできる。
【0052】
上記エポキシ化反応における反応条件としては、反応温度は、0℃以上が好ましく、より好ましくは、室温以上である。また、250℃以下が好ましく、より好ましくは、180℃以下である。反応時間は、数分以上が好ましく、また、150時間以内が好ましい。より好ましくは、48時間以内である。反応圧力は、常圧以上が好ましく、また、2×10Pa以下が好ましい。より好ましくは、5×10Pa以下である。また、減圧下で反応を行うこともできる。
【0053】
本発明において製造されるエポキシ化合物は、触媒の活性の低下を抑制して触媒の再利用ができるように触媒成分の反応溶液中への溶出を抑制して製造されたものであり、各種の工業製品の製造において用いる中間体や原料として好適なものである。このようなエポキシ化合物としては、エチレングリコールやポリエチレングリコールの原料となるエチレンオキシドや、ポリエーテルポリオール類を得るための原料となるプロピレンオキシド等が工業的に重要であるが、これらのエポキシ化合物は、溶剤や界面活性剤の原料として重要な工業製品の一つであるプロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール類やアルカノールアミン類の製造における重要な中間体でもある。また、このようなエポキシ化合物の中でも分子内にエポキシ基以外の官能基を有する化合物は、それら官能基の反応性を活かして種々の誘導体を合成できる中間体として利用でき、例えばアリルアルコールの二重結合がエポキシ化されたグリシドールは、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリセリンエーテル、グリセリンエステル、ジヒドロキシプロピルアミンなど、医薬品及びその中間体、塗料、接着剤、半導体用UV硬化剤等の原料として有用な物質である。
【0054】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「モル%」を意味するものとする。
【0055】
<調製法1>
(1)第三元素を含む酸又は塩1.3mmolを水50mLに溶解(不溶の場合は塩酸又は硝酸を添加)させ、担体であるγ−Al 10gを加えて水を減圧下留去した。その後500℃で2時間焼成した。第三元素を含む酸又は塩としては、リン酸又はCa、Sb、Pb、Zn、Sn、La、Bi、Fの硝酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩やハロゲン化物を使用した。
(2)HWO  1.5gに水を40−50mL加え、80℃に加熱した後アンモニア水を加えてpHを7に設定した。冷却後、再度80℃に加熱しアンモニア水を加えてpHを7に設定した。
(3)室温に戻した後、不純物を濾過した。
(4)(3)の溶液に(1)で得られた固体3.0gを加えて60℃で1時間攪拌した。
(5)減圧濾過後、得られた白色固体を120℃で6時間乾燥し、400℃〜600℃で3時間焼成した。
このようにして調製した触媒を、以下W/M−Alと記述する(M=Ca、Sb、Pb、Zn、Sn、P、La、Bi、F)。
【0056】
<調製法2>
ヘテロポリオキソメタレートK[SiW1036]・12HOは、以下の文献を参考に調製した。
テーゼ(A.Teze)、他1名、インオーガニック シンセシーズ(Inorganic Syntheses)、(米国)、1990年、第27巻、p88(1)K[SiW1036]・12HO 1.5gに水を40−50mL加え、濃硝酸水溶液でpHを3に設定した。
(2)(1)の溶液に担体であるγ−Al 3.0gを加えて60℃で1時間攪拌した。
(3)減圧濾過後、得られた白色固体を120℃で6時間乾燥し400℃で3時間焼成した。
(4)金属塩0.39mmolを水50mLに溶解させ、(3)で得られた固体全量を加えて水を減圧下留去した。その後120℃で6時間乾燥し400℃で3時間焼成した。このようにして調製した触媒を、以下、M/γ−SiW1036/Alと記述する(M=Pb、Mg、La)。金属塩はPb、Mg、Laの硝酸塩や酢酸塩を使用した。
【0057】
<調製法3>
(1)金属塩1.3mmolを水50mLに溶解させ、担体であるγ−Al10gを加えて水を減圧下留去した。その後500℃で2時間焼成した。金属塩はPb、Laの硝酸塩を使用した。
(2)HWO 1.5gに35%過酸化水素水8mLを加えて60℃で1時間攪拌した。
(3)(2)の溶液に水20mLを加え、(1)で得られた固体3.0gを加えて60℃で1時間攪拌した。
(4)減圧濾過後、得られた白色固体を120℃で6時間乾燥し400℃で3時間焼成した。
このようにして調製した触媒を、以下WO(O(HO)/M−Alと記述する(M=Pb、La)。
【0058】
<調製法4>
(1)第三元素を含む酸又は塩1.3mmolを水50mLに溶解させ、担体であるγ−Al 10gを加えて水を減圧下留去した。その後500℃で2時間焼成した。第三元素を含む塩としては、Sn、Re、In、Fの硝酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩やハロゲン化物を使用した。
(2)硝酸亜鉛1.3mmolを水50mLに溶解させ、(1)で得られた固体を全量加えて水を減圧下留去した。その後500℃で2時間焼成した。
(3)HWO 1.5gに水を40−50mL加え、80℃に加熱した後アンモニア水を加えてpHを7に設定した。冷却後、再度80℃に加熱しアンモニア水を加えてpHを7に設定した。
(4)室温に戻した後、不純物を濾過した。
(5)(4)の溶液に(2)で得られた固体3.0gを加えて60℃で1時間攪拌した。
(6)減圧濾過後、得られた白色固体を120℃で6時間乾燥し、400℃で3時間焼成した。このようにして調製した触媒を、以下W/M−Zn−Alと記述する。(M=Sn、Re、In、F)。
【0059】
<調製法5>
(1)硝酸亜鉛1.3mmolを水50mLに溶解させ、担体であるγ−Al  10gを加えて水を減圧下留去した。その後500℃で2時間焼成した。
(2)HPW1240 1.5gに水を40−50mL加え、ここに(1)で得られた固体3.0gを加えて60℃で1時間攪拌した。
(3)減圧濾過後、得られた白色固体を120℃で6時間乾燥し、400℃で3時間焼成した。このようにして調製した触媒を、以下HPW1240/Zn−Al  と記述する。
【0060】
<調製法6>
(1)第三元素を含む塩6.5mmolを水200mLに溶解させ、担体であるSnO 50gを加えて水を減圧下留去した。その後200℃で30分乾燥し、500℃で2時間焼成した。第三元素を含む塩としては、Zn、Alの硝酸塩やハロゲン化物を使用した。
(2)HWO 2.5gに水を50mL加え、60℃に加熱した後アンモニア水を加えてpHを8に設定した。冷却後、再度60℃に加熱しアンモニア水を加えてpHを8に設定した。
(3)室温に戻した後、不純物を濾過した。
(4)(3)の溶液に(1)で得られた固体5.0gを加えて60℃で1時間攪拌した。
(5)減圧濾過後、得られた固体を120℃で6時間乾燥し、400℃で2時間焼成した。このようにして調製した触媒を、以下W/M−SnOと記述する(M=Zn、Al)。
【0061】
<調製法7>
(1)硝酸亜鉛6.5mmolを水200mLに溶解させ、担体であるSnO50gを加えて水を減圧下留去した。その後200℃で30分乾燥し、500℃で2時間焼成した。
(2)HPW1240 1.5gに水を40−50mL加え、アンモニア水でpHを6.0に設定した。
(3)(2)の溶液に(1)で得られた固体3.0gを加えて60℃で1時間攪拌した。
(4)減圧濾過後、得られた固体を120℃で6時間乾燥し、400℃で3時間焼成した。このようにして調製した触媒を、以下HPW1240/Zn−SnOと記述する。
【0062】
<調製法8>
ポリアニオン[FeSiW10386−は、以下の文献を参考に調製した。
ニシヤマ(Y.Nishiyama)、他2名、アンゲバンテ ヘミー インターナショナル エディション(Angewandte Chemie International Edition)、(独国)、2001年、第40巻、p.3639−3641
(1)硝酸亜鉛6.5mmolを水200mLに溶解させ、担体であるSnO50gを加えて水を減圧下留去した。その後200℃で30分乾燥し、500℃で2時間焼成した。
(2)K[SiW1036]・12HO 1.5gに水を30mL加え、濃硝酸でpHを3.9に設定した後、水5mLに溶かした硝酸鉄9水和物 0.41gをゆっくり滴下し、10分間攪拌した。
(3)(2)の溶液に(1)で得られた固体もしくはSnOを3.0g加えて60℃で1時間攪拌した。
(4)減圧濾過後、得られた固体を120℃で6時間乾燥し、400℃で2時間焼成した。このようにして調製した触媒を、以下γ−FeSiW1038/Zn−SnOもしくはγ−FeSiW1038/SnOと記述する。
【0063】
実施例1〜13及び比較例1〜3
〔アリルアルコールの過酸化水素酸化反応〕
調製法1〜3で得られた触媒を用い、以下の条件によりアリルアルコールの過酸化水素酸化を行った。結果を表1〜3に示す。
アリルアルコール:10mmol
過酸化水素水溶液:2mmol
水:2mL
反応温度:60℃
反応時間:2時間
触媒:100μmol
【0064】
【表1】
Figure 2004099587
【0065】
【表2】
Figure 2004099587
【0066】
【表3】
Figure 2004099587
【0067】
実施例14〜27及び比較例4〜5
〔1−ブテンの過酸化水素酸化反応〕
調製法1及び4〜7で得られた触媒を用い、以下の条件により1−ブテンの過酸化水素酸化を行った。結果を表4に示す。
1−ブテン:10分間バブリング
過酸化水素水溶液:1mmol
ベンゾニトリル:6mL
反応温度:60℃
反応時間:2時間
触媒:100μmol
【0068】
【表4】
Figure 2004099587
【0069】
実施例28及び比較例6
〔1−ブテンの過酸化水素酸化反応における触媒再利用実験〕
調製法6で得られた触媒を用い、以下の条件により1−ブテンの過酸化水素酸化における触媒再利用実験を行った。触媒は濾過により回収した。結果を表5に示す。
1−ブテン:10分間バブリング
過酸化水素水溶液:1mmol
ベンゾニトリル:6mL
反応温度:60℃
反応時間:2時間
触媒:100μmolの同じ触媒を濾過回収して繰り返し使用
【0070】
【表5】
Figure 2004099587
【0071】
実施例29〜30及び比較例7
〔Baeyer−Villiger酸化反応〕
調製法6で得られた触媒を用い、以下の条件によりシクロヘキサノン及びシクロブタノンの過酸化水素酸化反応を行った。結果を表6に示す。
基質(シクロヘキサノン、シクロブタノン):1mmol
60%過酸化水素水溶液:1mmol
ベンゾニトリル:2mL
反応時間:18時間
反応温度:70℃
触媒:350mg
【0072】
【表6】
Figure 2004099587
【0073】
実施例31〜32及び比較例8
〔シクロオクテンの酸素酸化反応〕
調製法8で得られた触媒を用い、以下の条件によりシクロオクテンの酸素酸化反応を行った。結果を表7に示す。
シクロオクテン:1mmol
酸素:1atm
イソブチルアルデヒド:4mmol
ベンゾニトリル:2mL
反応時間:24時間
反応温度:100℃
触媒:350mg
【0074】
【表7】
Figure 2004099587
【0075】
表1〜3及び5〜7において、溶出量とは、触媒に担持したタングステン元素100モル%に対して、反応溶液中に溶出したタングステン元素の量(モル%)である。なお、調製した触媒中に含まれるタングステンの量は、蛍光X線分析で定量することができる。表1〜3及び5〜7において、相対溶出率(%)とは、第三元素を含まないときのタングステン種の溶出量を100モル%としたときの溶出量(モル%)である。表5において、反応回数とは濾過により回収される同一の触媒を反応用いた回数である。表1〜3において、収率とは、反応系に供給されたHのモル数を基準(100モル%)とする、生成したグリシドールのモル%[(生成グリシドールのモル数/Hのモル数)×100]である。また、選択率とは、全酸化反応生成物のモル数を基準(100モル%)とする、生成したグリシドールもしくはアクロレインのモル%[生成したグリシドールもしくはアクロレインのモル数/全酸化反応生成物のモル数]×100]である。表4及び5において、収率とは、反応系に供給されたHのモル数を基準(100モル%)とする、生成したエポキシ化合物のモル%[(エポキシ反応生成物のモル数/Hのモル数)×100]である。また、H有効利用率とは、反応により消費したHのモル数を基準(100モル%)とする、生成した酸化反応生成物のモル%[(酸化反応生成物のモル数/消費したHのモル数)×100]であり、消費したHのモル数は、[(反応系に供給されたHのモル数)−(残存Hのモル数)]である。なお、残存Hのモル数は、0.1M硫酸四アンモニウムセリウム溶液を用いた電位差滴定で測定することができる。表6において、収率とは、反応系に供給されたHのモル数を基準(100モル%)とする、生成したラクトン化合物のモル%[(生成ラクトン化合物のモル数/Hのモル数)×100]である。表7において、収率とは、反応系に供給された基質のモル数を基準(100モル%)とする、生成したエポキシ反応生成物のモル%[(エポキシ反応生成物のモル数/基質のモル数)×100]である。
【0076】
表1〜3より、タングステン種とは別の元素を担持した触媒においては、無機酸化物及びタングステン種から構成される触媒に比べて触媒成分(タングステン種)の溶出が抑制された。
表4〜5より、タングステン種とは別の元素を担持した触媒においては、無機酸化物及びタングステン種から構成される触媒に比べて酸化生成物の収率が高く、触媒の活性性能が向上すると共に、その活性を維持したまま触媒の回収及び再利用が可能となった。また、触媒成分(タングステン種)の溶出が抑制された。
表6〜7より、タングステン種とは別の元素を担持した触媒においては、無機酸化物及びタングステン種から構成される触媒に比べて酸化生成物の収率が高く、触媒の活性性能が向上した。また、触媒成分(タングステン種)の溶出が抑制された。
【0077】
【発明の効果】
本発明のタングステン種を用いる液相酸化反応は、上述の構成よりなり、タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、触媒活性性能を向上・維持することができ、また、触媒の活性の低下を抑制して触媒の再利用ができるように触媒成分のタングステン種の反応溶液中への溶出を抑制することができる方法であり、例えば、各種の工業製品の製造において用いる中間体や原料として好適なエポキシ化合物の製造において有用な方法である。

Claims (3)

  1. タングステン種を必須成分とする触媒を用いて液相酸化反応を行うに際し、該タングステン種を多孔質担体に担持させ、かつ、該触媒に多孔質構成成分及びタングステン元素以外の第三元素を共存させる
    ことを特徴とするタングステン種を用いる液相酸化反応。
  2. 前記第三元素は、2族、3族、4族、5族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族、15族、16族及び17族からなる群より選択される少なくとも一種の元素である
    ことを特徴とする請求項1記載のタングステン種を用いる液相酸化反応。
  3. 前記触媒は、300〜700℃の温度で焼成した触媒である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のタングステン種を用いる液相酸化反応。
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