JP2005306803A - 不飽和化合物の酸化方法 - Google Patents

不飽和化合物の酸化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005306803A
JP2005306803A JP2004127765A JP2004127765A JP2005306803A JP 2005306803 A JP2005306803 A JP 2005306803A JP 2004127765 A JP2004127765 A JP 2004127765A JP 2004127765 A JP2004127765 A JP 2004127765A JP 2005306803 A JP2005306803 A JP 2005306803A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
carbon
containing compounds
group
phase transfer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004127765A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuo Oshikawa
達夫 押川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Foundation for Science and Technology Promotion
Original Assignee
Hamamatsu Foundation for Science and Technology Promotion
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Foundation for Science and Technology Promotion filed Critical Hamamatsu Foundation for Science and Technology Promotion
Priority to JP2004127765A priority Critical patent/JP2005306803A/ja
Publication of JP2005306803A publication Critical patent/JP2005306803A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 太陽光を利用して選択的かつ高い収率で不飽和化合物からエポキシ化合物を得る方法を提供する。
【解決手段】 炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物をエポキシ化する方法であって、相間移動触媒と光半導体触媒の存在下、光照射下で該不飽和化合物を酸化剤で処理することによる方法、ならびに炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物を、相間移動触媒と光半導体触媒の存在下、光照射下で酸化剤で処理することにより対応するエポキシ化合物を得ることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物をエポキシ化する方法、およびエポキシ化合物の製造方法に関する。
医薬、農薬、化成品など各種化学分野において原料または中間体化合物として有用な化合物であるエポキシ化合物は、一般には、オレフィン類を過酢酸やm―クロロ過安息香酸などの有機過酸と反応させることにより製造されている。このエポキシ化の過程においてはアルケンの幾何異性は保持されており、また、エポキシ化合物は、求核剤として反応して高選択的に開環するので、アルケンからエポキシを経て得られる開環後の最終化合物の立体構造を予測できるという点においても、アルケンからエポキシを得ることには有用性がある。しかし、オレフィン類の酸化に用いる有機過酸は、比較的高価であり、また安定性が低いという問題を有している。
一方、光半導体触媒を用いた光酸化による有機合成反応は、太陽光に由来する光エネルギーを利用するものであるため、多くの反応試薬や特殊な装置を必要とせず経済的であり、副生成物も少なく、常温・常圧で安全に進行するといった特徴を有する。更に、光半導体触媒を用いた光酸化反応は、環境汚染物質の完全酸化や還元反応に応用できる可能性があるため、有害物質を含む汚染水の洗浄や、大気中の窒素酸化物や臭い物質の分解除去などの環境保全と関連した分野での応用が近年注目されている。
この光酸化は、不飽和化合物のエポキシ化にも応用されており、この反応は、分子状酸素の添加下、二酸化チタン(TiO2)などの光半導体触媒の存在下で、不飽和化合物に光照射を行うことにより進行する。例えば非特許文献1には、1−ヘキセンや1−デセン中に二酸化チタンを懸濁し、酸素をバブルすることにより紫外線照射下でエポキシ化合物が得られることが記載されている。しかし、その収率は、60〜70%とそれほど高いものではない。また、特許文献1にも、二酸化チタン触媒と過酸化物との存在下、オレフィンを光照射下により酸化してエポキシ化合物を得る方法が記載されている。しかしこの方法では、エポキシ化合物の収率が低く、またケトン体やアルコール体などの副生成物も多く生成する。このため、高収率でエポキシ化合物を得る方法が求められていた。
一方、二酸化チタン、タングステン酸、モリブデン酸などの触媒のほか、更に必要に応じて相間移動触媒を併用して、過酸化水素、過酸などを酸化剤として用い、不飽和化合物からエポキシ化合物を得る方法も報告されている(特許文献2〜4)。しかし、これらの方法においては、反応収率は高いものではなく、また光照射による光酸化を行うことはまったく報告されていない。
特開2002−263502号公報 特開2003−73323号公報 特開2004−868号公報 特開2001−181238号公報 御園生誠ほか著「グリーンケミストリー」講談社サイエンティフィク出版、128〜129ページ、2003年
本発明者は、安価な次亜塩素酸などの酸化剤・相間移動触媒・光触媒から成る系において光照射によって、従来よりも選択的かつ高い収率で不飽和化合物からエポキシ化合物を得ることを目的として鋭意研究をおこなった結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物をエポキシ化する方法であって、相間移動触媒と光半導体触媒の存在下、光照射下で該不飽和化合物を酸化剤で処理することによる方法に関する。本発明はまた、炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物を、相間移動触媒と光半導体触媒の存在下、光照射下で酸化剤で処理することにより対応するエポキシ化合物を得ることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法にも関する。
本発明の方法においては、相間移動触媒と光半導体触媒の存在下、光照射下で不飽和化合物を酸化剤で処理することにより、炭素炭素二重結合のエポキシ化が、選択的かつ高収率で進行する。また、本発明の方法は、特殊な反応装置を必要とせず、副生成物も少なく、常温・常圧で酸化反応が進行するため、経済的であり、環境に対する負荷も少ない。
本発明の方法によりエポキシ化を行うことができる炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物としては、分子内に1以上のエチレン結合を有する各種化合物が含まれ、このような化合物としては、炭素炭素二重結合を有する鎖状炭化水素化合物;炭素炭素二重結合を有する環式炭化水素基を有する化合物;および炭素炭素二重結合を有する複素環基を有する化合物を挙げることができる。
炭素炭素二重結合を有する鎖状炭化水素化合物としては、具体的には、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、1−ノネン、2−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどの直鎖もしくは分岐鎖状のアルケン類;1,4−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、2,6−オクタジエンなどの直鎖もしくは分岐鎖状のアルカジエン類;ウンデカトリエン、ドデカトリエンなどの直鎖もしくは分岐鎖状のアルカトリエン類などが挙げられる。上記鎖状炭化水素の炭素数は、例えば2〜30、好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜16程度である。
これらの鎖状炭化水素化合物は、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、アルキニル基(例えばC2-6アルキニル基など)、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基などの置換基を有していてもよい。
このような置換基を有する鎖状炭化水素化合物としては、具体的には、3−ヘキセン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、ゲラニオールなどのヒドロキシル基で置換されている、エチレン結合を有する化合物;1−アセトキシ−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエンなどのアシルオキシ基で置換されている、エチレン結合を有する化合物;カルコンなどのフェニル基およびオキソ基で置換されている、エチレン結合を有する化合物などを挙げることができる。
炭素炭素二重結合を有する環式炭化水素基を有する化合物としては、具体的には、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセンなどのシクロアルケン類;1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘプタジエン、シクロデカジエン、シクロドデカジエンなどのシクロアルカジエン類;シクロヘプタトリエン、シクロデカトリエンなどのシクロアルカトリエン類;シクロドデカテトラエンなどのシクロアルカテトラエン類などが挙げられる。シクロアルケン環の員数は、例えば3〜30、好ましくは3〜20、さらに好ましくは3〜12(特に5〜10)程度である。
この炭素炭素二重結合を有する環式炭化水素基は、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル基などのC1-6アルキル基など)、アルケニル基(例えばC2-6アルケニル基など)、アルキニル基(例えばC2-6アルキニル基など)、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基などの置換基を有していてもよい。また、炭素炭素二重結合を有する環式炭化水素基には、芳香族性又は非芳香族性炭素環、芳香族性又は非芳香族性複素環が縮合していてもよい。更にまた、炭素炭素二重結合を有する環式炭化水素基は、環に架橋を有していてもよい。これらのような環式炭化水素基を有する化合物の具体例としては、例えば、1−メチル−1−シクロヘキセン、4−メチル−1−シクロヘキセン、ノルボルネン、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエン、リモネン、1−p−メンテン、3−p−メンテン、カルベオールなどのテルペン類などが挙げられる。
また、炭素炭素二重結合を有する複素環基を有する化合物としては、酸素、窒素、硫黄、リンなどから選択される1つ以上のヘテロ原子を環員として含む単環または多環式複素環化合物を挙げることができる。具体的には、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジン、2−ホスホレン、3−ホスホレンなどが挙げられる。これらの化合物は、環に、前記炭素炭素二重結合を有する環式炭化水素基の場合と同様の置換基を有していてもよく、また芳香族性又は非芳香族性炭素環、芳香族性又は非芳香族性複素環と縮合していてもよい。
本発明の方法に使用することができる光半導体触媒としては、光を吸収してそのエネルギーにより酸化反応を起こさせるものであればどのような光半導体触媒をも用いることができる。なかでも二酸化チタン(TiO2)などのチタン化合物;タングステン酸やその塩、リンタングステン酸やその塩などのタングステン含有化合物;モリブデン酸やその塩、リンモリブデン酸やその塩などのモリブデン含有化合物;ヘテロポリ酸、バナジウム含有化合物、レニウム含有化合物、コバルト含有化合物、砒素含有化合物、硼素含有化合物、アンチモン化合物、遷移金属ポルフィリン錯体などを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、経済的であるという点および環境保全の観点から、二酸化チタン(TiO2)を特に好ましく用いることができる。
二酸化チタンを用いる場合、いずれの結晶構造を有するものでもよく、また異なる結晶構造を有する複数種の混合物も用いることができる。またその形態は特に限定されず、粉末状(粒子状)、塊状、膜状などのいずれであってもよい。粉末状の二酸化チタンを用いる場合、その平均粒径は、例えば10〜50μm程度、好ましくは20μm程度である。二酸化チタン触媒の使用量は、基質として用いる炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物1molに対して、例えば0.1〜20mol、好ましくは0.5〜15molである。
この光半導体触媒は、均一系で使用してもよく、不均一系で使用してもよい。具体的には、触媒を溶媒に溶解させて使用する形態、触媒自体が固体であれば溶媒に懸濁させて使用する形態などが挙げられる。また、触媒を担体に担持して担持体として用いてもよい。担体としては特に限定されず、例えば、各種イオン交換樹脂、シリカ、アルミナや他の酸化物などの一般的に不均一系接触触媒反応に用いられる担体を用いることができる。
本発明の方法において使用することができる相間移動触媒としては、二相間を移動して酸化反応を促進することができる任意の触媒を用いることができる。例えば一般式R1234+-(R1〜R4は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、ヒドロキシ、アリール、もしくはヘテロアリールで置換されていてもよいC1-50アルキル基であるか、またはR1〜R4のうち2もしくは3つがそれらが結合する窒素原子またはリン原子と一緒になって架橋を有していてもよい飽和もしくは不飽和5〜8員環(該環は、更にメチル基、エチル基、プロピル基などのC1-6アルキル基;またはエテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基などのC2-6アルケニル基で置換されていてもよく、これらのアルキル基またはアルケニル基は更にヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよい)を形成し;Mは、窒素又はリンを表し;Q-は、ハロゲンイオン又は無機アニオンを示す)で表される4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩などのオニウム塩を用いることができる。
上記オニウム塩中のC1-50アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基などの直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。該オニウム塩中の窒素原子またはリン原子と一緒になって形成される架橋を有していてもよい飽和もしくは不飽和5〜8員環としては、ピロリジニル、ピペリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エニルなどが挙げられる。また該ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンおよびフッ素イオンを挙げることができ、なかでも、塩素イオン、臭素イオンおよびヨウ素イオンが好ましい。また、該無機アニオンとしては、水酸イオン、亜硫酸イオンなどが挙げられる。
4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩;テトラベンジルアンモニウム塩;セチルピリジニウム塩;アルキルピロリジニウム塩;アルキルピコリニウム塩;アルキルイミダゾリニウム塩;N−ベンジルシンコニジウムブロミド、N−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルシンコニジウム]ブロミドなどのシンコニウム塩;更には(R,R)−3,4,5−トリフルオロフェニル−NAS−ブロミド、(R,R)−3,5−ビスフルオロメチルフェニル−NAS−ブロミド、ベンジルトリアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
また、4級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラブチルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、トリオクチルエチルホスホニウム塩、テトラヘキシルホスホニウム塩などを挙げることができる。
具体的には、以下の化合物を相間移動触媒として好ましく用いることができる。
Figure 2005306803
また、上記のヨウ化テトラブチルアンモニウムのようなテトラアルキルアンモニウム塩としては、アルキルがメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルであって、対イオンが、塩素イオン、臭素イオンまたはヨウ素イオンであるものを好ましく用いることができる。
これらの相間移動触媒は、1種又は2種以上で用いることができる。
相間移動触媒として上記のようなオニウム塩を用いる場合、オニウム塩は、用いる炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物1molに対し、通常0.01〜1mol、望ましくは0.05〜0.5molで用いることができる。
本発明の方法に用いることができる酸化剤としては、炭素炭素二重結合を酸化してエポキシ化することができるものであれば特に制限されず、具体的には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩;t−ブチルヒドロペルオキシド、シクロヘキセンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物;過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、トリフルオロ過酢酸、m−クロロ過安息香酸などの過カルボン酸類;過酸化水素;及び分子状酸素などが挙げられる。なかでも、反応性、選択性、精製が容易であり、使用後に有害な化合物を残さないなどの点で、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩を好ましく使用することができる。次亜塩素酸塩を用いる場合には、適当な溶媒、例えば水に希釈した形態(例えば、5%(w/v)次亜塩素酸塩水溶液)で用いるのが好ましい。
酸化剤の使用量は、基質として用いる化合物の種類により適宜決定することができる。次亜塩素酸塩を用いる場合には、炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物1molに対して、例えば1〜30mol程度、好ましくは5〜20mol程度である。
照射する光としては、光半導体触媒を励起させることができる光線であればどのような光線を用いることもできるが、なかでも紫外線を好ましく用いることができる。特に波長230〜430nmの光線を特に好ましく用いることができる。
本願発明の方法を実施するに際しては、炭素炭素二重結合をエポキシ化するのに通常使用されている方法を適宜選択して行うことができる。例えば、基質である炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物を適当な溶媒に溶解し、ついで光半導体触媒、酸化剤、相間移動触媒を添加する。次いで、必要であれば撹拌しながら、光照射を行う。
使用しうる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、リグロイン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素;クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒;酢酸などの有機酸;水;これらの混合溶媒などを挙げることができる。これらは、用いる基質や試薬の種類に応じて適宜選択することができる。
反応温度は、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、特に室温で行なうことができる。
照射時間は、用いる基質化合物、触媒、酸化剤により適宜決定することができる。
上記の反応の結果得られたエポキシ化合物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により反応混合物から分離精製できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
1−ヘキセン0.08gをクロロホルム3mlに含む溶液に、二酸化チタン0.4g(石原産業製、ST−21、5mmol)、5%(w/v)次亜塩素酸カリウム水溶液(有効塩素5%以上、13.6ml)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム0.03gを加えた。光源としてSPECTRONICSのランプ(波長:365nm)を用いて、室温で激しく撹拌しながら10時間照射した。反応を薄層クロマトグラフィー、HPLC、および1H−NMRで追跡した。反応終了後、反応混合物をろ化し、生成物を含むクロロホルム層を分離し、通常の方法により生成物を分離した。反応混合物を1H−NMRにより解析したところ、副生成物であるアルデヒド体は検出されなかった。また、オレフィンプロトンの消失が1H−NMRにより確認されたことから、オレフィン体がエポキシ体に100%変換されたことが確認された。
実施例2〜5
炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物として、1−ヘキセンに代えて各種不飽和化合物を用い、相間移動触媒として先に例示したヨウ化テトラブチルアンモニウムまたはPTC−Aを用いた以外は実施例1の方法を用いてエポキシ化を行った。実施例1〜5の反応の条件および結果を以下の表に示す。
Figure 2005306803
上記の結果から、本発明の方法では、副生成物を生成することなく、目的とするエポキシ化合物を、ほぼ理論量という高い収率で得ることができることが示された。
実施例6〜10
以下の表に示す量の不飽和化合物をクロロホルム3mlに含む溶液に、二酸化チタン0.05g(石原産業製、ST−21、0.63mmol)、5%(w/v)次亜塩素酸ナトリウム水溶液13.6mlおよび表に示す量の相間転移触媒を加えた。光源としてSPECTRONICSのランプ(波長:365nm)を用いて、室温で激しく撹拌しながら10時間照射した。反応を薄層クロマトグラフィー、HPLC、および1H−NMRで追跡した。反応終了後、反応混合物をろ化し、生成物を含むクロロホルム層を分離し、通常の方法により生成物を分離した。変換収率を以下の表に示す。実施例6、8、9および10の各反応において、エポキシ化反応前後の各化合物のNMRスペクトルを図1〜4に示す。また、実施例6については、反応30分ごとにHPLCによる測定を行なって、時間−反応率の相関を検討した。その結果を図5に示す。
Figure 2005306803
試験した化合物のうちカルコンおよび1−ヘキセンでは、その変換率は、100%であり、極めて高い変換率が示された。相間転移触媒としてPTC−Aを用いた実施例7では、生成物のエナンチオマー過剰率(e.e.)は、73%と高いものであった。また、NMRスペクトルにより、各化合物において、エポキシ化が進行したことが示された。更にまた、実施例6においては、カルコンのエポキシ化が、反応時間に比例して進行することが示された。
また、上記の例のほか、相間転移触媒として、先に例示したPTC−A〜PTC−Hをそれぞれ用いた以外は上記と同様の条件下で、基質としてカルコンを用い、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いてエポキシ化反応を進行させて、各生成物のエナンチオマー過剰率を比較したところ、生成物のエナンチオマー過剰率は、17.7〜24.3%であった。相間転移触媒がフッ素原子を置換基として有している場合には、エナンチオマー過剰率が上昇する傾向が示された。フッ素原子を置換基として有しないPTC−Cは、10%程度のエナンチオマー過剰率を示すのみであり、またPTC−DおよびPTC−Eもまた、高いエナンチオマー過剰率を示さなかったことは、この傾向と一致している。この理由としては、窒素原子上の電子をフッ素原子が吸引する結果、窒素原子のプラス電荷が強められるためと考えられた。
比較例1
触媒として相間移動触媒を使用せず、光半導体触媒のみを用いて光酸化反応を行なった。
カルコン0.104g(0.5mmol)、5%(w/v)次亜塩素酸ナトリウム水溶液3.6ml(2.7mmol)、クロロホルム3ml、およびTiO20.5g(6.3mmol)の混合物を室温で24時間激しく撹拌した。反応混合物をろ別し、ろ液の有機層を分離した。有機層をHPLCで測定すると、未反応のカルコンのみが検出された。
本発明の方法により、炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物のエポキシ化が、選択的かつ高収率で進行する。また、特殊な反応装置を必要とせず、副生成物も少なく、常温・常圧で進行するため、経済的であり、環境に対する負荷も少ない。
エポキシ化反応前後の化合物のNMRスペクトルを示す。 エポキシ化反応前後の化合物のNMRスペクトルを示す。 エポキシ化反応前後の化合物のNMRスペクトルを示す。 エポキシ化反応前後の化合物のNMRスペクトルを示す。 時間−反応率の相関を示す。

Claims (10)

  1. 炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物をエポキシ化する方法であって、相間移動触媒と光半導体触媒の存在下、光照射下で該不飽和化合物を酸化剤で処理することによる方法。
  2. 光半導体触媒が、チタン化合物、タングステン含有化合物、モリブデン含有化合物、ヘテロポリ酸、バナジウム含有化合物、レニウム含有化合物、コバルト含有化合物、砒素含有化合物、硼素含有化合物、アンチモン化合物、および遷移金属ポルフィリン錯体から選択される、請求項1記載の方法。
  3. 光半導体触媒が、二酸化チタンである、請求項1記載の方法。
  4. 相間移動触媒が、4級アンモニウム塩および4級ホスホニウム塩から選択されるオニウム塩である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 相間移動触媒が、ヨウ化テトラブチルアンモニウムである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  6. 酸化剤が、次亜塩素酸塩;有機過酸化物;過カルボン酸類;過酸化水素;及び分子状酸素から選択される、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 酸化剤が、次亜塩素酸塩である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  8. 紫外線を用いて光照射を行う、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 波長230〜430nmの紫外線を用いる、請求項8記載の方法。
  10. 炭素炭素二重結合を有する不飽和化合物を、相間移動触媒と光半導体触媒の存在下、光照射下で酸化剤で処理することにより対応するエポキシ化合物を得ることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
JP2004127765A 2004-04-23 2004-04-23 不飽和化合物の酸化方法 Pending JP2005306803A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004127765A JP2005306803A (ja) 2004-04-23 2004-04-23 不飽和化合物の酸化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004127765A JP2005306803A (ja) 2004-04-23 2004-04-23 不飽和化合物の酸化方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005306803A true JP2005306803A (ja) 2005-11-04

Family

ID=35435963

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004127765A Pending JP2005306803A (ja) 2004-04-23 2004-04-23 不飽和化合物の酸化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005306803A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006327946A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 Hamamatsu Kagaku Gijutsu Kenkyu Shinkokai 有機化合物の酸化方法
WO2014024753A1 (ja) * 2012-08-07 2014-02-13 国立大学法人名古屋工業大学 不斉四級炭素を有するβ-置換-β-トリフルオロメチル-α、β-エポキシケトン化合物およびその製造方法
CN108912070A (zh) * 2018-08-27 2018-11-30 青岛农业大学 环氧类化合物的合成方法及其农用生物活性
CN114225931A (zh) * 2021-11-24 2022-03-25 中山大学 一种钼负载硅掺杂二氧化钛催化剂及其制备方法和应用

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62263172A (ja) * 1986-05-09 1987-11-16 Idemitsu Kosan Co Ltd エポキシ化合物の製造方法
JPH01249763A (ja) * 1988-03-31 1989-10-05 Agency Of Ind Science & Technol 光学活性なエポキシ化合物の製造方法
JPH1017559A (ja) * 1996-06-26 1998-01-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 脂肪族エポキシド化合物の製造方法
JPH10158259A (ja) * 1996-11-25 1998-06-16 Kao Corp 3−アルキルフラバノノール誘導体の製造方法
JP2000159759A (ja) * 1998-11-27 2000-06-13 Sagami Chem Res Center 3−イソクロマノン誘導体を製造する方法
JP2002263502A (ja) * 2001-03-07 2002-09-17 Daicel Chem Ind Ltd オレフィン類の酸化方法及びエポキシ化合物の製造法
JP2003532646A (ja) * 2000-04-27 2003-11-05 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング オレフィンをエポキシ化する方法
JP2003533520A (ja) * 2000-05-18 2003-11-11 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 炭化水素のエポキシ化方法
WO2004002973A1 (ja) * 2002-06-28 2004-01-08 Kaneka Corporation 光学活性1−置換アミノー2,3−エポキシプロパンの製造方法並びにその合成中間体およびそれらの製造方法
JP2004174486A (ja) * 2002-11-11 2004-06-24 Nippon Shokubai Co Ltd 液相反応用触媒

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62263172A (ja) * 1986-05-09 1987-11-16 Idemitsu Kosan Co Ltd エポキシ化合物の製造方法
JPH01249763A (ja) * 1988-03-31 1989-10-05 Agency Of Ind Science & Technol 光学活性なエポキシ化合物の製造方法
JPH1017559A (ja) * 1996-06-26 1998-01-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 脂肪族エポキシド化合物の製造方法
JPH10158259A (ja) * 1996-11-25 1998-06-16 Kao Corp 3−アルキルフラバノノール誘導体の製造方法
JP2000159759A (ja) * 1998-11-27 2000-06-13 Sagami Chem Res Center 3−イソクロマノン誘導体を製造する方法
JP2003532646A (ja) * 2000-04-27 2003-11-05 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング オレフィンをエポキシ化する方法
JP2003533520A (ja) * 2000-05-18 2003-11-11 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 炭化水素のエポキシ化方法
JP2002263502A (ja) * 2001-03-07 2002-09-17 Daicel Chem Ind Ltd オレフィン類の酸化方法及びエポキシ化合物の製造法
WO2004002973A1 (ja) * 2002-06-28 2004-01-08 Kaneka Corporation 光学活性1−置換アミノー2,3−エポキシプロパンの製造方法並びにその合成中間体およびそれらの製造方法
JP2004174486A (ja) * 2002-11-11 2004-06-24 Nippon Shokubai Co Ltd 液相反応用触媒

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006327946A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 Hamamatsu Kagaku Gijutsu Kenkyu Shinkokai 有機化合物の酸化方法
WO2014024753A1 (ja) * 2012-08-07 2014-02-13 国立大学法人名古屋工業大学 不斉四級炭素を有するβ-置換-β-トリフルオロメチル-α、β-エポキシケトン化合物およびその製造方法
CN108912070A (zh) * 2018-08-27 2018-11-30 青岛农业大学 环氧类化合物的合成方法及其农用生物活性
CN108912070B (zh) * 2018-08-27 2020-06-02 青岛农业大学 环氧类化合物的合成方法及其农用生物活性
CN114225931A (zh) * 2021-11-24 2022-03-25 中山大学 一种钼负载硅掺杂二氧化钛催化剂及其制备方法和应用
CN114225931B (zh) * 2021-11-24 2023-11-03 中山大学 一种钼负载硅掺杂二氧化钛催化剂及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20040116722A1 (en) Process for the epoxidation of cyclic alkenes
JP4911919B2 (ja) ジオレフィン化合物の選択酸化による2官能性エポキシモノマーの製造方法
JP4603787B2 (ja) 環式アルケンをエポキシ化する際の沈澱促進剤としての環式アルカンの使用
CN1219740C (zh) 顺式双键的环氧化方法
JP2005306803A (ja) 不飽和化合物の酸化方法
JP4083424B2 (ja) オレフィンのエポキシ化方法
EP1618953B1 (en) Use of a metal catalyst
EP1580190A1 (en) Method of oxidizing carbon-carbon double bond and process for producing oxidized compound
ES2211533T3 (es) Oxidaxion con oxigeno singulete de substratos organicos.
US7074947B2 (en) Process for producing epoxide compound
JP2004059573A (ja) エポキシ化合物の製造方法
JP4439233B2 (ja) 液相反応用触媒
JP4067823B2 (ja) 環状モノオレフィンのエポキシ化方法
EP2602251B1 (en) Method for producing epoxy compound by oxidation
US7132092B2 (en) Metallized mesoporous silicate and method of oxidation with the same
US5103027A (en) Olefin expoxidation using an oxorhenium porphyrin complex catalyst and an organic hydroperoxide
US9284326B2 (en) Method for producing epoxy compound
EP1706205B1 (en) A catalytical asymmetric epoxidation
Tebandeke et al. Highly efficient epoxidation of olefins with hydrogen peroxide oxidant using modified silver polyoxometalate catalysts
JP4386675B2 (ja) タングステン種を用いる液相酸化反応
JP2003300971A (ja) エポキシド類の製造方法
JP5138147B2 (ja) エポキシドの製造方法
JP2005002027A (ja) 異種元素置換ヘテロポリオキソメタレート化合物
JP4211261B2 (ja) エポキシド類の製造方法
JP2002263502A (ja) オレフィン類の酸化方法及びエポキシ化合物の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100810