JP2004097268A - 生体埋込部材被覆材 - Google Patents

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巽 英介
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Abstract

【課題】生体皮下組織から細胞が容易に侵入、生着して組織化されることにより、生体組織との癒着が頑強に得られ、その結果、生体埋込部材を生体内に埋め込むことによる生体への悪影響を防止することができる生体埋込部材被覆材を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂で形成された、平均孔径100〜1,000μmで、見掛け密度が0.01〜0.5g/cmの、連通性のある多孔性三次元網状構造部を有する生体埋込部材被覆材。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工弁、人工弁リング、人工血管、人工乳房、人工骨、人工関節及び人工心臓などや並びにその付帯部品類などの生体埋込部材の表面を被覆することで、生体からの異物反応などを緩和するための生体埋込部材被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工弁、人工弁リング、人工血管、人工乳房、人工骨、人工関節及び人工心臓などや並びにその付帯部品類などの生体埋込部材の構成材料については、溶出物がない又は少なく、化学的に不活性で周辺組織を刺激しない又は刺激が少なく、免疫学的に生体から無視される材料を中心に検討されてきた。このような材料としては、チタニウム、ステンレス、白金などの金属材料、ヒドロキシアパタイトなどのセラミック材料並びにポリ四フッ化エチレン、ポリエステル及びポリプロピレンなどの高分子材料などがあり、様々な用途で実用化されている。金属材料は、例えば、血管内へ留置するステント、骨固定用ボルト、人工関節に利用されている。セラミック材料は、例えば、人工関節、人工骨として関節や骨の欠損部分の充填、代替などに利用されている。高分子材料は、動脈瘤切除後に血流を確保するための人工血管、再度の切開を行わなければ抜糸が不可能な部位の縫合に使用する縫合糸、人工気管、乳癌切除により失った乳房の補綴術や形成外科の豊胸術に使用する人工乳房などに実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
生体内に埋め込む金属材料、例えば、血管内へ留置するステントは、防錆性の良好なステンレスを主成分とするが、長期間の血管内留置において種々の電解質、タンパク質、脂質を含有する血液に常時曝されることによって錆を発生し、これが周辺組織を刺激する要因にもなることがある。
【0004】
また、現在実用化されている人工乳房の主流は、生理食塩水を充填したシリコンバックなどであるが、これらは皮下埋め込み後のその表層で被包化コラーゲン組織が肥厚して拘縮することが多く、この場合、シリコンバックは生体内で変形をきたし、周辺組織を圧迫したり、炎症反応を惹起したり、乳癌を再発したりする問題があった。
【0005】
また、人工気管としては、シリコンチューブからなるものが実用化されているが、これは生体気管との間で親和性がなく、長期間の埋め込みによって脱離したり、界面において感染を引き起こす問題があった。
【0006】
埋め込み型人工心臓の場合には、例えば、駆動モーターの振動慣性によって生体組織との境界面で炎症、感染がおこるポケット感染が問題となっている。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題を顧みて達成されたものであり、生体皮下組織から細胞が容易に侵入、生着して組織化されることにより、生体組織との癒着が頑強に得られ、その結果、生体埋込部材を生体内に埋め込むことによる生体への悪影響を防止することができる生体埋込部材被覆材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の生体埋込部材被覆材は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂よりなる基材樹脂で形成された、平均孔径100〜1,000μmで、見掛け密度が0.01〜0.5g/cmの、連通性のある多孔性三次元網状構造部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の生体埋込部材被覆材は、上記特定の平均孔径及び見掛け密度を有する、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる、連通性のある多孔性三次元網状構造部を有するため、この多孔性三次元網状構造部の空孔部分へ細胞が容易に侵入して生着し、また毛細血管の構築が可能であり、生体組織と頑強な癒着が得られる。
【0010】
このように、本発明の生体埋込部材被覆材は、細胞の侵入生着及び毛細血管の構築が可能な多孔性三次元網状構造層を有していることを特徴とする。
【0011】
従って、本発明の生体埋込部材被覆材を用いて、人工弁、人工弁リング、人工血管、人工乳房、人工骨、人工関節及び人工心臓などや並びにその付帯部品類などの生体内に埋め込まれる部材を被覆することにより、これらの部材に対する周辺組織からの異物反応を緩和することが可能である。
【0012】
なお、ここでいう生体埋込み部材とは生体内へ埋込むものをいい、種々の部品類から構築させるシステムを包含するものである。例えば、人工心臓システムに関していえば、体内駆動ユニットとしてのアクチュエーター(エネルギーコンバーター),ポンプとしての左右血液ポンプ,心房カフ,心房コネクター,動脈グラフト及び動脈コネクター,経皮的エネルギー伝送システムのなかの体内二次コイル,経皮的情報伝達システムのなかの体内ユニット,バッテリーシステムのなかの体内バッテリー,制御システムのなかの体内制御ユニット,容積置換(ボリュームディスプレースメント)システムにはコンプライアンスチャンバ,容積置換チャンバ,ベントチューブがあり、ほかにも体内ユニット接続ケーブル及びコネクターなど多点の部品類からなるものである。本発明では、これらすべてを生体内埋込み部材という。
【0013】
また、本発明の生体埋込部材被覆材は、臨床的目的以外にも動物の生態調査のために発信機などを動物体内へ埋め込む際に該発信機の外表面を被覆することで異物反応を緩和することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の生体埋込部材被覆材の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明の生体埋込部材被覆材を構成する熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる、連通性のある三次元網状構造部は、平均孔径が100〜1,000μm、見掛け密度が0.01〜0.5g/cmの多孔性三次元網状構造であれば良く、厚み方向の切断断面において、その全面が類似の構造を有してもいても、一方の面側と他方の面側において異なる構造を有していても良い。また、部分的に平均孔径や見掛け密度が変化するものであっても良く、例えば、一方の面側から他方の面側に向けて平均孔径や見掛け密度が徐々に変化する、所謂、異方性を有していても良い。また、生体組織との接触面側には平均孔径を大きく外れる大孔径の孔が存在しても構わない。このような孔としては500〜2,000μm程度の孔が好ましく、これらが生体組織側の表層近くに存在することでコラーゲンなどの細胞外マトリックスを深部まで均質に含浸させること容易となり、また、組織からの細胞の侵入や毛細血管の構築などに有利に働くこととなる。ただし、このような大孔径の孔は、本発明でいう多孔性三次元網状構造の平均孔径の計算の概念に導入されるものではない。
【0016】
本発明に係る多孔性三次元網状構造の平均孔径は100〜1,000μmで、見掛け密度が0.01〜0.5g/cmであるが、好ましい平均孔径は200〜600μm、より好ましくは200〜500μmである。見掛け密度としては0.01〜0.5g/cm範囲内であれば、細胞生着性が良好で、優れた物理的強度を維持し、細胞が侵入、生着し、組織化した際に皮下組織と近似した弾性特性が得られるが、好ましくは0.05〜0.3g/cm、より好ましくは0.05〜0.2g/cmである。
【0017】
また、平均孔径が同一であっても孔径の分布としては、細胞の侵入に重要な孔径サイズである150〜400μmの孔の寄与率が高いことが望ましく、孔径150〜400μmの孔の寄与率が10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上であると、細胞が侵入し易く、また、侵入した細胞が接着、成長しやすいため、好ましい。
【0018】
なお、多孔性三次元網状構造の平均孔径における孔径150〜400μmの孔の寄与率とは、後述の実施例1における平均孔径の測定方法における、全孔の数に対する孔径150〜400μmの孔の数の割合を指す。
【0019】
このような平均孔径、見掛け密度及び孔径分布の多孔性三次元網状構造であれば、細胞が容易に空孔部分へ浸透し、多孔性三次元網状構造部へ細胞が接着、成長し易く、毛細血管の構築がなされ、生体埋込部材を埋め込んだ部分において生体との頑強かつ良好な癒着を得ることができる。
【0020】
多孔性三次元網状構造部の厚みとしては0.5〜500.0mmが使用可能であるが、好ましくは0.5〜100.0mm、より好ましくは0.5〜50.0mm、特に好ましくは0.5〜10.0mm、とりわけ好ましくは0.5〜5.0mmであり、このような厚みであれば、生体埋込部材被覆材として必要な物理的強度、細胞の侵入、組織化、生体組織との癒着性などを高いレベル満足することができる。
【0021】
このような多孔性三次元網状構造部を構成する熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン樹脂,ポリアミド樹脂,ポリ乳酸樹脂,ポリリンゴ酸樹脂,ポリグリコール酸樹脂,ポリオレフィン樹脂,ポリエステル樹脂,フッ素樹脂,尿素樹脂,フェノール樹脂,エポシキ樹脂,ポリイミド樹脂,アクリル樹脂及びメタクリル樹脂並びにそれらの誘導体の1種又は2種以上が例示できるが、好ましくはポリウレタン樹脂であり、中でもセグメント化ポリウレタン樹脂が好適である。
【0022】
セグメント化ポリウレタン樹脂は、ポリオール、ジイソシアネート及び鎖延長剤の3成分から合成され、いわゆるハードセグメント部分とソフトセグメント部分を分子内に有するブロックポリマー構造によるエラストマー特性を有するため、このようなセグメント化ポリウレタン樹脂を使用した場合に得られる弾性特性は、生体組織と生体埋込部材の界面に生じる応力を減衰させる効果が期待できる。
【0023】
本発明の生体埋込部材被覆材には、上記特定の多孔性三次元網状構造を形成した層を第1の層とし、この第1の層に更に異なる構造の第2の層を積層することも可能である。この第2の層としては、第1の層の多孔性三次元網状構造とは平均孔径や見掛け密度が異なる多孔性三次元網状構造層が使用可能である。
【0024】
本発明の生体埋込部材被覆材の多孔性三次元網状構造部には、コラーゲンタイプI,コラーゲンタイプII,コラーゲンタイプIII,コラーゲンタイプIV,アテロ型コラーゲン,フィブロネクチン,ゼラチン,ヒアルロン酸,ヘパリン,ケラタン酸,コンドロイチン,コンドロイチン硫酸,コンドロイチン硫酸B,エラスチン,ヘパラン硫酸,ラミニン,トロンボスポンジン,ビトロネクチン,オステオネクチン,エンタクチン,ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体,ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体,アルギン酸,ポリアクリルアミド,ポリジメチルアクリルアミド及びポリビニルピロリドンよりなる群から選択される1種又は2種以上が保持されていても良く、更に、血小板由来増殖因子,上皮増殖因子,形質転換増殖因子α,インスリン様増殖因子,インスリン様増殖因子結合蛋白,肝細胞増殖因子,血管内皮増殖因子,アンジオポイエチン,神経増殖因子,脳由来神経栄養因子,毛様体神経栄養因子,形質転換増殖因子β,潜在型形質転換増殖因子β,アクチビン,骨形質タンパク,繊維芽細胞増殖因子,腫瘍増殖因子β,二倍体繊維芽細胞増殖因子,ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子,シュワノーマ由来増殖因子,アンフィレグリン,ベーターセルリン,エピグレリン,リンホトキシン,エリスロエポイエチン,腫瘍壊死因子α,インターロイキン−1β,インターロイキン−6,インターロイキン−8,インターロイキン−17,インターフェロン,抗ウイルス剤,抗菌剤及び抗生物質よりなる群から選択される1種又は2種以上が保持されていても良く、更に、胚性幹細胞(分化されていても良い。),血管内皮細胞,中胚葉性細胞,平滑筋細胞,末梢血管細胞,及び中皮細胞よりなる群から選択される1種又は2種以上の細胞が接着されていても良い。
【0025】
また、本発明の生体埋込部材被覆材は、その多孔性三次元網状構造層を構築する熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる骨格自体にも微細な孔を設けることが可能である。このような微細孔は、骨格表面を平滑な表面でなく複雑な凹凸のある表面とし、コラーゲンや細胞増殖因子などの保持にも有効であり、結果として細胞の生着性を上げることが可能である。ただし、この場合の微細孔は、本発明でいう多孔性三次元網状構造層の平均孔径の計算の概念へ導入されるものではない。
【0026】
以下に、本発明の生体埋込部材被覆材を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂よりなる多孔性三次元網状構造体の製造方法の一例を挙げるが、本発明の生体埋込部材被覆材の製造方法は何ら以下の方法に限定されるものではない。
【0027】
熱可塑性ポリウレタン樹脂よりなる多孔性三次元網状構造体を製造するには、まず、ポリウレタン樹脂と、孔形成剤としての後述の水溶性高分子化合物と、ポリウレタン樹脂の良溶媒である有機溶媒とを混合してポリマードープを製造する。具体的には、ポリウレタン樹脂を有機溶媒に混合して均一溶液とした後、この溶液中に水溶性高分子化合物を混合分散させる。有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド,N−メチル−2−ピロリジノン,テトラヒドロフランなどがあるが、熱可塑性ポリウレタン樹脂を溶解することができればこの限りではなく、また、有機溶媒を減量するか又は使用せずに熱の作用でポリウレタン樹脂を融解し、ここに孔形成剤を混合することも可能である。
【0028】
孔形成剤としての水溶性高分子化合物としては、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,アルギン酸,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,メチルセルロース,エチルセルロースなどが挙げられるが、熱可塑性樹脂と均質に分散してポリマードープを形成するものであればこの限りではない。また、熱可塑性樹脂の種類によっては、水溶性高分子化合物でなく、フタル酸エステル,パラフィンなどの親油性化合物や塩化リチウム,炭酸カルシウムなどの無機塩類を使用することも可能である。また、高分子用の結晶核剤などを利用して凝固時の二次粒子の生成、即ち、多孔体の骨格形成を助長することも可能である。
【0029】
熱可塑性ポリウレタン樹脂、有機溶媒及び水溶性高分子化合物などより製造されたポリマードープは、次いで熱可塑性ポリウレタン樹脂の貧溶媒を含有する凝固浴中に浸漬し、凝固浴中に有機溶媒及び水溶性高分子化合物を抽出除去する。このように有機溶媒及び水溶性高分子化合物の一部又は全部を除去することにより、ポリウレタン樹脂からなる多孔性三次元網状構造材料を得ることができる。ここで用いる貧溶媒としては、水,低級アルコール,低炭素数のケトン類などが例示できる。凝固したポリウレタン樹脂は、最終的には、水などで洗浄して残留する有機溶媒や孔形成剤を除去すれば良い。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
熱可塑性ポリウレタン樹脂(日本ミラクトラン社製,ミラクトランE980PNAT)をN−メチル−2−ピロリジノン(関東化学社製,ペプチド合成用試薬,NMP)にディゾルバー(約2,000rpm)を使用して室温下で溶解して7.5%溶液(重量/重量)を得た。このNMP溶液約1.0kgをプラネタリーミキサー(井上製作所製,2.0L仕込み,PLM−2型)に秤量して入れ、ポリウレタン樹脂の半分相当重量のメチルセルロース(関東化学社製,試薬,50cpグレード)を40℃で20分間攪拌し、攪拌を継続したまま10分間20mmHg(2.7kPa)まで減圧して脱泡する操作を加え、ポリマードープを得た。
【0032】
別に、厚み3mmで、内側の140mm×140mm部分を打抜いた150mm×150mmのテフロン製の四角枠を二枚重ね、これらの間に150mm×150mm角の化学実験用濾紙(東洋濾紙社製,定量分析用,1番)を挟み固定した。ここに前記ポリマードープを流延し、ガラス棒にて液切りした後、150mm×150mm角の化学実験用濾紙(東洋濾紙社製,定量分析用,1番)を載せて固定した。これを還流状態にあるメタノール中へ投入して72時間還流を継続して上下両面の化学実験用濾紙面からNMP溶媒を抽出除去することでポリウレタン樹脂を凝固させた。なお、メタノールは還流状態を維持したまま、随時新液と交換した。
【0033】
72時間後、テフロン枠から固化したポリウレタン樹脂を取り出し、日本薬局方精製水中で72時間洗浄することによりメチルセルロース、メタノール及び残留するNMPを抽出除去した。洗浄用の水は随時新液を供給した。これを、室温下で24時間減圧(20mmHg)乾燥させて、熱可塑性ポリウレタン樹脂製の多孔性三次元網状構造材料を得た。
【0034】
図1及び図2は、この生体埋込部材被覆材の走査型電子顕微鏡(トプコン社製,SM200)にて撮影した像であるが、得られた生体埋込部材被覆材が孔径約350μmの多孔性三次元網状構造であることが分かる。
【0035】
得られた生体埋込部材被覆材について、下記方法により平均孔径及び見掛け密度の測定を行い、結果を表1に示した。なお、平均孔径と見掛け密度の測定において、試料の切断は両刃カミソリ(フェザー社製,ハイステンレス)を使用して室温下で行った。
【0036】
[平均孔径の測定]
両刃カミソリで切断した試料の平面(切断面)を電子顕微鏡(トプコン社製,SM200)にて撮影した写真を使用して、同一平面上の個々の孔を三次元網状構造の骨格から包囲された図形として画像処理(画像処理装置はニレコ社のLUZEX APを使用し、画像取り込みCCDカメラはSONYのLE N50を使用した。)し、個々の図形の面積を測定した。これを真円面積とし、対応する円の直径を求め孔径とした。多孔体の骨格部分に穿孔した微細孔は無視して同一平面上の連通孔のみを測定した。同時に、測定した全孔において孔径分布を測定し、図示したのが図3である。更に孔径分布測定結果から、孔径150〜400μm孔の寄与率を計測した。
【0037】
[見掛け密度の測定]
実施例1で製造した三次元網状構造体を約10mm×10mm×3mmの直方体に両刃カミソリで切断した。この試料を投影機(Nikon,V−12)にて測定して得た寸法より体積を求め、その重量を体積で除した値から求めた。
【0038】
【表1】
Figure 2004097268
【0039】
表1より、本発明の生体埋込部材被覆材は、細胞接着に有効なサイズの孔を主体とする多孔性三次元網状構造体であることが明らかである。
【0040】
(実施例2)
検体には成ヤギ(雌,体重54kg)を用い、剃毛された左側胸部より腹部表皮を試験部位とした。手術時、検体は左側臥位にて、通常手技を用い速やかに気管内挿管を行い、イソフルレンによる全身麻酔下にて維持された。胸腹部周囲表皮をイソジン消毒後、表皮を20mm切開し、実施例1で作成した該生体埋込部材被覆材を埋込み、皮下組織を縫合して固定した(図4)。該生体埋込部材被覆材は、10mm×10mmの試験片へ切断し、エチレンオキサイトガス滅菌を施したものを使用した。術後、試験部位は酸性水又はイソジンにて1日2回の消毒を行った。検体は自由給水とし、飼料としてヘイキューブを一日5回、適量(約1kg)を給仕した。術後2週間後に、全身麻酔下にて先に埋め込まれた試験片及び周囲の組織を摘出した。試験片と周囲の組織は密に生着し、互いの剥離は困難であった。また周囲に感染、炎症等の所見は認められなかった。
【0041】
図5に、この生体埋込部材被覆材の生着部分をルーペで拡大した写真を示す。図5の中の矢印で示される境界の不明瞭な乳白色の層が生体埋込部材被覆材の内部にも連続しており、また、生体埋込部材被覆材内部が透明な組織で充満しており肉芽組織が浸潤していることが確認された。
【0042】
上記試験後、摘出された試料片は、10%中性緩衝ホルマリンにて速やかに固定され、常法にてHE染色標本を作成し、光学顕微鏡にて観察した。その結果、本発明の生体埋込部材被覆材の多孔性三次元網状構造層には、周囲組織より伸展した線維芽細胞、マクロファージおよび膠原線維などの細胞外基質を主体とする肉芽組織が浸潤し、また血管新生が確認された。
【0043】
また、4週間後に同様の手技にて得た標本から、埋没された試験片内には多量の肉芽組織が伸展し、より成熟した結合組織が形成されていることが認められ、更なる器質化が進んでいることが確認された。
【0044】
以上により、本発明の生体埋込部材被覆材は、多孔性三次元網状構造層へ生体細胞が浸潤することにより器質化し、異物反応の緩和が可能であることが示唆された。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の生体埋込部材被覆材によれば、生体組織から細胞が容易に侵入、生着して器質化されることにより、生体組織との癒着が頑強に得られ、その結果、生体埋込部材を生体内に埋め込むことによる生体への悪影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造された生体埋込部材被覆材の組織接触側の表面のSEM像(50倍)である。
【図2】実施例1で製造された生体埋込部材被覆材の内部断面のSEM像(50倍)である。
【図3】実施例1で製造された生体埋込部材被覆材の孔径分布を測定して得られた分布図である。
【図4】実施例1で製造された生体埋込部材被覆材をヤギ胸部切開部位へ埋込み、皮下組織を縫合して固定する手術を終えた直後の写真である。
【図5】実施例1で製造された生体埋込部材被覆材をヤギ胸部切開部位へ2週間埋込み、摘出した時の試験片周辺組織の拡大写真である。

Claims (24)

  1. 熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂よりなる基材樹脂で形成された、平均孔径100〜1,000μmで、見掛け密度が0.01〜0.5g/cmの、連通性のある多孔性三次元網状構造部を有することを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  2. 請求項1において、該多孔性三次元網状構造の平均孔径が200〜600μmで、見掛け密度が0.01〜0.5g/cmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  3. 請求項2において、該多孔性三次元網状構造の平均孔径が200〜500μmで、見掛け密度が0.01〜0.5g/cmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該多孔性三次元網状構造の見掛け密度が0.05〜0.3g/cmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  5. 請求項4において、該多孔性三次元網状構造の見掛け密度が0.05〜0.2g/cmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、該多孔性三次元網状構造の平均孔径における孔径150〜400μmの孔の寄与率が10%以上であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  7. 請求項6において、該多孔性三次元網状構造の平均孔径における孔径150〜400μmの孔の寄与率が20%以上であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  8. 請求項7において、該多孔性三次元網状構造の平均孔径における孔径150〜400μmの孔の寄与率が30%以上であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  9. 請求項8において、該多孔性三次元網状構造の平均孔径における孔径150〜400μmの孔の寄与率が40%以上であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  10. 請求項9において、該多孔性三次元網状構造の平均孔径における孔径150〜400μmの孔の寄与率が50%以上であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項において、該多孔性三次元網状構造部の厚みが0.5〜500.0mmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  12. 請求項11において、該多孔性三次元網状構造部の厚みが0.5〜100.0mmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  13. 請求項12において、該多孔性三次元網状構造部の厚みが0.5〜50.0mmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  14. 請求項13において、該多孔性三次元網状構造部の厚みが0.5〜10.0mmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  15. 請求項14において、該多孔性三次元網状構造部の厚みが0.5〜5.0mmであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  16. 請求項1ないし15のいずれか1項において、該基材樹脂が、ポリウレタン樹脂,ポリアミド樹脂,ポリ乳酸樹脂,ポリリンゴ酸樹脂,ポリグリコール酸樹脂,ポリオレフィン樹脂,ポリエステル樹脂,フッ素樹脂,尿素樹脂,フェノール樹脂,エポシキ樹脂,ポリイミド樹脂,アクリル樹脂及びメタクリル樹脂並びにこれらの誘導体よりなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  17. 請求項16において、該基材樹脂がポリウレタン樹脂であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  18. 請求項17において、該ポリウレタン樹脂がセグメント化ポリウレタン樹脂であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  19. 請求項1ないし18のいずれか1項において、該多孔性三次元網状構造よりなる第1の層と、該第1の層とは異なる第2の層との積層体であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  20. 請求項1ないし19のいずれか1項において、該多孔性三次元網状構造部に、コラーゲンタイプI,コラーゲンタイプII,コラーゲンタイプIII,コラーゲンタイプIV,アテロ型コラーゲン,フィブロネクチン,ゼラチン,ヒアルロン酸,ヘパリン,ケラタン酸,コンドロイチン,コンドロイチン硫酸,コンドロイチン硫酸B,エラスチン,ヘパラン硫酸,ラミニン,トロンボスポンジン,ビトロネクチン,オステオネクチン,エンタクチン,ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体,ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体,アルギン酸,ポリアクリルアミド,ポリジメチルアクリルアミド及びポリビニルピロリドンよりなる群から選択される1種又は2種以上が保持されていることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  21. 請求項20において、該多孔性三次元網状構造部に更に、血小板由来増殖因子,上皮増殖因子,形質転換増殖因子α,インスリン様増殖因子,インスリン様増殖因子結合蛋白,肝細胞増殖因子,血管内皮増殖因子,アンジオポイエチン,神経増殖因子,脳由来神経栄養因子,毛様体神経栄養因子,形質転換増殖因子β,潜在型形質転換増殖因子β,アクチビン,骨形質タンパク,繊維芽細胞増殖因子,腫瘍増殖因子β,二倍体繊維芽細胞増殖因子,ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子,シュワノーマ由来増殖因子,アンフィレグリン,ベーターセルリン,エピグレリン,リンホトキシン,エリスロエポイエチン,腫瘍壊死因子α,インターロイキン−1β,インターロイキン−6,インターロイキン−8,インターロイキン−17,インターフェロン,抗ウイルス剤,抗菌剤及び抗生物質よりなる群から選択される1種又は2種以上が保持されていることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  22. 請求項21において、該多孔性三次元網状構造部に細胞接着されていることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  23. 請求項22において、該細胞が胚性幹細胞,血管内皮細胞,中胚葉性細胞,平滑筋細胞,末梢血管細胞及び中皮細胞よりなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
  24. 請求項23において、該胚性幹細胞が分化されたものであることを特徴とする生体埋込部材被覆材。
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